JP3204906B2 - 球状永久磁石の製造方法 - Google Patents

球状永久磁石の製造方法

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JP3204906B2 JP14325396A JP14325396A JP3204906B2 JP 3204906 B2 JP3204906 B2 JP 3204906B2 JP 14325396 A JP14325396 A JP 14325396A JP 14325396 A JP14325396 A JP 14325396A JP 3204906 B2 JP3204906 B2 JP 3204906B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種磁気治療器
や、自動車、船舶、発電器等の動力用として用いられる
球状の永久磁石に関する。
【0002】
【従来の技術】N極とS極からなる一対の磁極を持ち、
鉄,コバルト,ニッケルなどを吸着する性質を有する磁
石は、従来より、モータ、ヒステリシスブレーキ、スピ
ーカ、電流計、リードスイッチ、有極チョークレストラ
ンス、バイアス磁石を用いたMR素子、磁気治療器等に
広く用いられている。
【0003】このような磁石は、一度着磁された磁力を
永久に保有する永久磁石(permanent magnet) と、軟鉄
心のまわりに絶縁導線を密に巻き、これに電流を通すこ
とにより磁場を発生させるようにした電磁石(electrom
agnet)とに大別され、また、磁石の状態によって、アル
ニコ磁石、フェライト磁石、希土類磁石、希土類鉄磁石
等の固体磁石、磁性流体を一時的に磁化した液体磁石、
プラスチック磁石、可撓性物質に磁性粉体を拡散させた
ゴム磁石などの可撓性磁石に分類される。
【0004】また着磁技法や素材の形状によって、磁石
の基本形ともいえる磁石の左右方向に着磁された左右2
極、磁石の上下方向に着磁された両面2極、磁石の片面
に着磁された片面2極、左右方法に多極化された左右多
極、磁石の両面片面に多極着磁した両面片面多極、円柱
状磁石の外周に左右2極を着磁した円柱2極、円柱2極
を多極化した円柱多極、円筒状もしくはリング状磁石の
内周面に多極着磁した円筒内周面多極、円板状磁石に多
極着磁した多極円板、用途の異なる着磁パターンを同一
磁石上に形成した複合多極円板、円筒の外周面に多極着
磁したスキュー付き円筒多極、角形磁石の平面に縞状の
パターンを着磁した角形多極、丸形磁石の平面に縞状の
パターンを直交させた丸形多極、セグメント形の磁石に
N,S一対を着磁したモータ等に使用される2極セグメ
ント形等に分類される。
【0005】ここで、もっとも一般的なフェライト磁石
の製造は、まず、主成分の酸化鉄と炭酸バリウムなどを
正確に計量し、ボールミルの中で5〜20時間かけて混
合し、原料同士を十分に接触させて化学反応を起こさせ
る。次いで、材料のフェライト化をある程度進めて、後
の焼成での焼き縮みの制御を容易にするため、この材料
を回転炉の中で約1300℃まで加熱する。仮焼を終え
た材料は、錠剤ほどの大きさの硬い塊となって炉から取
り出され、これをミクロン程度の粉末にするために、水
とスチールボールを加えてよく粉砕する。ついで、等方
性フェライトの場合、粉砕された材料に粘結剤や潤滑剤
を混ぜて、そのままプレス成形して必要な形状、大きさ
に固める。一方、異方性フェライトの製造では、プレス
を磁場中で行い、磁化方向をある程度揃える。ついで、
炉内で1000℃で25〜26時間をかけて焼結され、
強固に焼固められる。このようにして完成したフェライ
トは、その後に高磁場を通して着磁させるか、あるいは
あらかじめ機器の中に組み込んで着磁し、永久磁石とし
て出荷される。
【0006】このような永久磁石の中で、特に外形を球
状にした球状磁石あるいは半球状磁石の利用技術が、従
来、例えば、特公昭62−6825号公報、特公昭56
−46863号公報に提案されている。
【0007】特公昭62−6825号公報に記載された
ものは、中空空間を有する非磁性円筒容器の底部に磁界
発生部を設け、この中空空間に変動磁界で転回移動する
球状の永久磁石を挿入したもので、これによって、微少
電流で永久磁石を回転移動できるので変動磁界式磁気治
療装置の消費電力を節約することができる。
【0008】また、特公昭56−46863号公報に記
載されたものは、シートの表面に磁束密度が500ガウ
ス以上の磁性球体を動かないように配置したもので、磁
性球体を身体各部のつぼの周囲に圧接し皮膚の中にくい
込ませることにより、磁気を人体に直接作用させること
ができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この他にも、球状磁石
を動力用として利用する試みが数多くなされているが、
現在の着磁技術では、一般に、着磁する成形体は、着磁
方向に平面体で厚みが均一であることが要求され、球状
とした場合には直径がせいぜい3〜5mm程度であっ
て、大型の磁気治療器やまた動力用に使用できるほどの
直径数センチ以上の球状磁石は未だ開発されていないの
が実状である。
【0010】そこで、本発明において解決すべき課題
は、従来の着磁技術を用いて製造が可能な大型の球状磁
石及びその製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明者は鋭意研究の結果、球体を複数のセグメン
トに分割することによって、従来その製造が困難であっ
た、直径が数センチ以上の大型球状磁石が製造できるこ
とを突き止め、本発明を完成するに至ったものである。
【0012】すなわち、本発明の球状永久磁石は、それ
ぞれが永久磁石からなる複数の積層体のS極とN極を密
着させて直列状に組み合わせ、全体を球状に形成したこ
とを特徴とする。ここで、直列状とは、二つ以上の積層
体のS極とN極とを接続し、一直線上に並んだ状態にす
ることを言う。このような構造にすることによって、従
来の着磁技術でも製造可能な厚みを有する積層体を組み
合わせ、大型の球状磁石を容易に製造することができ
る。なお、本発明でいう球状とは、表面に角部やくぼみ
がない状態のものを言い、厳密な意味での球体のほか卵
形や回転楕円体等を含む。
【0013】ここで、着磁が可能な積層体の厚みは、着
磁装置における磁場の強さやまた使用される材料によっ
ても異なるが、硬質磁石の場合10〜100mmとする
のが望ましい。
【0014】また、分割形成される積層体は数多い方が
よいが、ひずみや欠損などの点からは、硬質磁石の場合
3個以上、ハイブリッド型の場合2個以上が望ましい。
【0015】さらに、複数の各積層体の厚みはそれぞれ
異ならせることもできるが、ほぼ同じ厚みにするのが望
ましい。また、積層体は奇数個あるいは偶数個のいずれ
でもかまわないが、球体の中心、すなわち、組み合わせ
た状態で磁力が最も弱くなる場所が、積層体の接触面と
ならないようにするためには、各積層体をほぼ同じ厚み
とした場合、奇数個が望ましい。
【0016】複数の積層体の接合は、各積層体の磁力に
よるS極及びN極の吸引力によることもできるし、これ
に加え位置ずれを防止する観点から、各接合面をボンド
剤で接着することもできる。
【0017】上記球状磁石は、焼結磁石の場合、直列状
の組み合わせにより球状となる複数の永久磁石用積層体
をあらかじめプレス成形し、次いでこの成形された積層
体を焼結し、さらにこの焼結された積層体に各々着磁
し、その後、前記着磁された複数の積層体を球状に組合
わせることによって製造することができる。
【0018】また、ボンド磁石の場合、直列状の組み合
わせにより球状となる複数の永久磁石用積層体をボンド
剤と共に磁場印加下でプレス成形し、次いでこの成形さ
れた積層体を加熱して前記ボンド剤を硬化させ、その
後、前記着磁された複数の積層体を球状に組合わせるこ
とによって製造することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施の形態を示
す球状磁石の正面図で、本実施の形態では、積層体を3
層とした例を示す。
【0020】図中11は、球状磁石の上部を形成する第
一積層体で、円弧側の頂点をN極とし、下面側をS極と
している。12は、球状磁石の中心部を形成する第二積
層体で、上面側をN極とし、下面側をS極としている。
また、球状磁石の下部を形成する第三積層体13は、第
一積層体11と対称形で、上面側をN極とし、円弧側の
頂点をS極としている。
【0021】これらの第一積層体11、第二積層体1
2、第三積層体13は、これらを組み合わせることによ
って、完全な球体を形成する形状としている。
【0022】図2は各積層体11,12,13をバラバ
ラにした状態での磁力線の状況を、図3は図1のよう
に、各積層体11,12,13同士を接触させ球状とし
た状態での磁力線の状況を示す。
【0023】図2に示すように、各積層体11,12,
13はそれぞれが自由磁極を持つが、これを直列状に接
触させた図3の状態では、全体を球体とする1個の磁石
となり、一方の頂点をN極、このN極と直径方向の対向
する頂点に位置するS極をもった球状磁石となる。
【0024】球状磁石を構成する各積層体11,12,
13は、従来公知の焼結磁石、あるいはボンド磁石で製
造することができるが、成形後の収縮がないボンド磁石
が、正確な球状のものとするためには望ましい。その
際、プレス成形の時点で、上記積層体11,12,13
の形状となるように成形することもできるし、従来のよ
うなプレート状の磁石を形成し、これを積層体11,1
2,13の形状に加工することもできる。
【0025】このように、本実施の形態の球状磁石で
は、球状磁石を複数の積層体11,12,13で構成す
ることにより、着磁は従来と同じ方法で行うことがで
き、しかも従来製造が困難であった直径数センチ以上の
大型の球状磁石を容易に製造することができる。また、
積層体11,12,13の厚みをほぼ同一とし、かつ3
個で構成することによって、積層した場合の球状磁石の
中心、すなわち、磁力がもっとも弱い部分が、各積層体
11,12,13の接触面とならないようにしている。
【0026】
【実施例】実施例1として、従来公知の焼結法によっ
て、図2に示す第1,第2,第3積層体11,12,1
3を製造した。
【0027】材料として、希土類コバルト合金粉末を、
第1,第2,第3積層体11,12,13の形状となる
ように形成した金型内に充填し、10000ガウスの磁
場中にて、1t/cm2の圧力でプレス成形した。これ
を不活性雰囲気中1000℃で25時間焼結し、第1,
第2,第3積層体11,12,13を得た。これを、第
1,第2,第3積層体11,12,13自体の磁力を利
用して吸引させ、図1の球状磁石を得ることができた。
第1,第2,第3積層体11,12,13の厚みはそれ
ぞれ1センチで、得られた球状磁石の直径は3センチで
あった。また、各積層体11,12,13の 残留密度
Brは8000「G」で、組み合わせによって得られた
球状磁石の、残留密度Brは10,400「KG」であ
った。
【0028】また、実施例2として、ボンド型砥石を圧
縮成型法によって作製した。原料粉末をプレス金型内に
充填し、金型の外部から磁場(20KOe)を印加する
ことによって、磁石粉末を配向させつつ6t/cm2
圧力で常温にてプレスした。続いて、脱枠後、アルゴン
ガス雰囲気で150℃に60分間加熱して樹脂を熱硬化
させて厚み1センチのプレート状のボンド磁石を得た。
これを切断加工し、図2に示す形状の第1,第2,第3
積層体11,12,13を得、これを組み合わせること
によって、直径3センチの球状磁石を得た。各積層体1
1,12,13の残留密度Brは8200「G」、保持
力はHc12000「Oe」で、組み合わせによって得
られた球状磁石の、残留密度Brは15,000「K
G」であった。
【0029】
【発明の効果】本発明によって以下の効果を奏すること
ができる。
【0030】(1)それぞれが永久磁石からなる複数の
積層体のS極及びN極同士を密着させて直列状に組み合
わせ、全体を球状に形成することによって、従来の着磁
技術でも製造可能な厚みを有する積層体を組み合わせ、
大型の球状磁石を容易に製造することができる。
【0031】(2)各積層体をほぼ同じ厚みの奇数個か
らなるものとすることにより組み合わせた状態で磁力が
最も弱くなる場所が、積層体の接触面とならないように
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す球状磁石の正面
図である。
【図2】 各積層体それぞれの磁力線の状態を示す説明
図である。
【図3】 球状磁石の磁力線の状態を示す説明図であ
る。
【符号の説明】 11 第1積層体 12 第2積層体 13 第3積層体

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 直列状の組み合わせにより球状となる3
    個以上の永久磁石用積層体をあらかじめプレス成形し、
    次いでこの成形された積層体を焼結し、さらにこの焼結
    された積層体に各々着磁し、その後、前記着磁された3
    個以上の積層体を球状に組み合わせて、球状の一方の頂
    点をN極としこのN極と直径方向の対向する頂点をS極
    とすることを特徴とする球状永久磁石の製造方法
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