JP3204523U - バトン昇降装置 - Google Patents

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浩人 村田
浩人 村田
辰仁 土井
辰仁 土井
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森平舞台機構株式会社
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Abstract

【課題】フリートアングルを零にすることができ、かつ大型化を防止することのできるバトン昇降装置を提供することを課題としている。【解決手段】繰出用滑車4は、回転支持軸41の中心線C2の方向がドラム2の主軸22の中心線C1に平行となる基準方向Nに対して回転支持軸41の中心線C2の一端側が主軸22の中心線C1から遠ざかる一の方向に所定角度θ1揺動変位する範囲及び基準方向Nに対して回転支持軸41の中心線C2の他端側が主軸22の中心線C1から遠ざかる他の方向に所定角度θ2揺動変位する範囲内で、主軸22の中心線C1に直交する方向に平行な方向の基軸線C3の回りに揺動自在に設置されていることを特徴としている。【選択図】図5

Description

本考案は、スタジオ、劇場、舞台等において、照明、幕、スクリーン等の吊り物を保持するバトンを昇降するためのバトン昇降装置に関する。
この種のバトン昇降装置としては、ドラムの外周面に所定のピッチで螺旋状に巻かれたワイヤを当該ドラムから繰り出したり、当該ドラムに巻き戻したりすることにより、そのワイヤの先端部に取り付けられた例えば棒状のバトンを下方又は上方に移動するように構成されたものが知られている。ワイヤは、バトンを安定的に保持すべく通常複数のものがドラムに巻回されており、当該ドラムの回転に伴って同期的に繰り出されたり、巻き戻されたりするようになっている。
また、各ワイヤは、繰り出しの途中に設けられた少なくとも一つの滑車によって繰出方向が変更されるようになっている。ドラムの直近に位置する繰出用滑車については、通常、その回転軸の方向がドラムの回転軸の方向と平行となるように設置されている。
このため、ドラムからのワイヤの繰出方向は、その繰り出しの当初においてはドラムの回転軸及び繰出用滑車の回転軸に直交する方向と一致する方向であっても、ドラムの回転に伴って、各回転軸に直交する方向から徐々にずれた状態になる。この回転軸に直交する方向に対するワイヤの繰出方向のずれ角度をフリートアングルと呼ぶが、このフリートアングルについてはドラム及び繰出用滑車へのワイヤの確実な巻回を考慮すると、2°以下に制限することが好ましく、例えば舞台機構業界においてもこの値が採用されている。
従って、上記のようなフリートアングルを考慮して繰出用滑車の位置を設計すると、ドラムと繰出用滑車との間隔が非常に長いものになってしまうという問題がある。
このような問題を解決するため、例えばドラムが1回転した後には当該ドラム自体が回転軸の方向にワイヤの巻回ピッチにおける1ピッチ分だけ平行移動するように構成し、フリートアングルが常に零になるように工夫されたものがある(例えば、特許文献1)。
しかしながら、上記のようにドラムを回転軸の方向に移動するように構成したバトン昇降装置においては、そのドラムの移動に要する分、寸法が増大し大型化してしまうという問題がある。
特開2007−141458号公報
本考案は、上記事情に鑑みてなされたものであり、フリートアングルを零にすることができ、かつ大型化を防止することのできるバトン昇降装置を提供することを課題としている。
上記課題を解決するために、請求項1に記載の考案は、螺旋状の保持溝が形成された円筒状の外周面を有すると共に、当該外周面の軸心部に同軸状に設けられた主軸を有し、前記主軸回りに回転駆動されるドラムと、前記ドラムの外周面における前記保持溝に沿って巻回され、先端部がバトンに連結されたワイヤと、前記ドラムの外周面の近傍に設置され、当該ドラムから繰り出された前記ワイヤを案内する案内溝が外周面に形成され、回転中心部に回転支持軸が設けられた繰出用滑車とを備えたバトン昇降装置であって、前記繰出用滑車は、前記回転支持軸の中心線の方向が前記ドラムの前記主軸の中心線に平行となる基準方向に対して前記回転支持軸の中心線の一端側が前記主軸の中心線から遠ざかる一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記基準方向に対して前記回転支持軸の中心線の他端側が前記主軸の中心線から遠ざかる他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で、前記主軸の中心線に直交する方向に平行な方向の基軸線の回りに揺動自在に設置されていることを特徴としている。
請求項2に記載の考案は、請求項1に記載の考案において、前記ドラムは、前記主軸が基礎フレームに固定されたドラム用軸受ブラケットによって回転自在に保持されており、前記繰出用滑車は、前記回転支持軸が滑車フレームによって回転自在に保持されており、前記滑車フレームは、前記基礎フレームに固定された滑車用ブラケットに揺動自在に保持されており、前記滑車用ブラケットは、前記繰出用滑車が前記一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で前記基軸線の回りに揺動されるように、前記滑車フレームを揺動自在に保持するように構成されていることを特徴としている。
請求項3に記載の考案は、請求項2に記載の考案において、前記基礎フレームは、ドラム用軸受ブラケットの取付面及び滑車用ブラケットの取付面が水平方向に向くように所定の基礎部に設置されるようになっており、前記基軸線は、前記滑車用ブラケットの取付面に対して垂直方向に向けられており、前記滑車フレームには、上部回転軸及び下部回転軸が同軸状に設けられており、前記上部回転軸及び下部回転軸は、前記基軸線と同軸状に配置された状態において、前記繰出用滑車が前記一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で揺動する中心軸の位置となるように、前記滑車フレームに設けられており、前記滑車用ブラケットには、前記基軸線と同軸上の位置に、前記上部回転軸及び前記下部回転軸をそれぞれ回転自在に支持する上部軸受及び下部軸受が設けられていることを特徴としている。
請求項4に記載の考案は、請求項3に記載の考案において、前記下部回転軸には、その軸心部に、前記ドラムから繰り出され前記繰出用滑車を介して下方に方向変換された前記ワイヤを通す貫通孔が形成されていることを特徴としている。
請求項5に記載の考案は、請求項2〜4の何れかに記載の考案において、前記ドラムの前記主軸を回転駆動する回転駆動手段を備えてなり、前記回転駆動手段は、その出力軸が前記主軸の一端部に同軸状に連結されることにより設置された状態になっており、前記回転駆動手段には、前記出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該回転駆動手段と前記基礎フレームとを連結するように荷重変換器が設けられていることを特徴としている。
請求項6に記載の考案は、請求項5に記載の考案において、前記回転駆動手段は、電動モータ及び減速機構を有し、当該電動モータの回転が当該減速機構で減速されて前記出力軸から出力されるように構成されており、前記減速機構は、前記出力軸側から前記電動モータ側への回転力の伝達が阻止される歯車機構を有していることを特徴としている。
請求項7に記載の考案は、請求項5又は6に記載の考案において、前記回転駆動手段を第1の回転駆動手段とし、当該第1の回転駆動手段とは異なる第2の回転駆動手段を備えてなり、前記第2の回転駆動手段は、その出力軸が前記主軸の他端部に同軸状に連結されることにより設置された状態になっており、前記第2の回転駆動手段には、当該第2の回転駆動手段の出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該第2の回転駆動手段と前記基礎フレームとを連結するように荷重変換器が設けられていることを特徴としている。
請求項1に記載の考案によれば、繰出用滑車の回転支持軸が一の方向に所定角度揺動変位した場合には当該繰出用滑車の案内溝におけるワイヤの巻回開始部分の位置がドラムにおける主軸の中心線に沿う方向の一方の側に寄った位置に移動する。また、繰出用滑車の回転支持軸が他の方向に所定角度揺動変位した場合には当該繰出用滑車の案内溝におけるワイヤの巻回開始部分の位置がドラムにおける主軸の中心線に沿う方向の他方の側に寄った位置に移動することになる。
このため、ドラムの保持溝から繰り出されるワイヤの位置が当該ドラムの主軸の中心線に沿う方向に漸次移動した場合には繰出用滑車の案内溝におけるワイヤの巻回開始部分の位置がドラムにおけるワイヤの繰出し位置に対応した位置となるように、当該繰出用滑車が基軸線回りに自然に揺動することになる。
この場合、ドラムから繰り出されるワイヤの方向は、ドラムの外周面に対して接線方向となると共に、繰出用滑車の外周面に対しても接線方向となる。即ち、ドラムと繰出用滑車との間におけるワイヤの延在方向は、そのドラムの主軸及び繰出用滑車の回転支持軸のそれぞれの中心線に対して直交した方向になり、ワイヤのフリートアングルが常に零になる。
また、繰出用滑車は基軸線回わりに所定の角度範囲で揺動するだけであるから、これにより装置全体の寸法が増大することがない。従って、フリートアングルを零にすることができると共に、バトン昇降装置の大型化を防止することができる。
請求項2に記載の考案によれば、繰出用滑車の回転支持軸が滑車フレームによって回転自在に保持され、滑車フレームが滑車用ブラケットによって揺動自在に保持され、滑車用ブラケットが基礎フレームに固定されるようになっているので、その基礎フレーム、滑車用ブラケット及び滑車フレームによって、繰出用滑車の支持剛性を高めることができる。このため、例えば、ワイヤに作用する荷重が変化する場合でも、当該ワイヤの繰り出し位置及び巻き戻し位置を安定化させることができる。即ち、バトンに作用する荷重の軽重によって当該バトンの位置が変化するのを極力防止することができる。
請求項3に記載の考案によれば、各取付面が水平方向を向くように基礎フレームが所定の基礎部に設置されるように構成され、基軸線が滑車用ブラケットの取付面に垂直方向に向けられているので、滑車フレームの上部回転軸及び下部回転軸についても、滑車用ブラケットの上部軸受及び下部軸受についても垂直方向に同軸状に向いた状態となる。従って、滑車フレーム及び滑車用ブラケットを垂直方向に立てたコンパクトな状態のもので構成することができる。即ち、これらの滑車フレーム及び滑車用ブラケットをドラムの主軸の中心線に沿う方向に場所をとらずに多数並べて設置することができるという利点がある。
請求項4に記載の考案によれば、滑車フレームにおける下部回転軸の軸心部に、ドラムから繰り出され繰出用滑車を介して下方に方向変換されたワイヤを通す貫通孔が形成されているので、繰出用滑車が一の方向や他の方向に揺動しても、当該ワイヤを貫通孔を通して下方又は上方にスムーズに移動することができる。
請求項5に記載の考案によれば、回転駆動手段がその出力軸をドラムの主軸に同軸に連結することにより設置された状態になっており、回転駆動手段には出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該回転駆動手段と基礎フレームとを連結するように荷重変換器が設けられているので、当該荷重変換器から出力される荷重データに基づいて、回転駆動手段からドラム側に作用する出力トルク及びドラム側から回転駆動手段側に作用する負荷トルクを常時検出し監視することができる。従って、回転駆動手段、ドラム、ワイヤ、繰出用滑車等に例えば過負荷が作用するのを防止することができる。
請求項6に記載の考案によれば、回転駆動手段は電動モータ及び減速機構を有し、減速機構は出力軸側から電動モータ側への回転力の伝達を阻止する歯車機構を有しているので、ワイヤの停止位置を所定の位置に確実に保持することができる。
請求項7に記載の考案によれば、出力軸がドラムの主軸の一端部に同軸状に連結された第1の回転駆動手段と、出力軸がドラムの主軸の他端部に同軸状に連結された第2の回転駆動手段とを有しているので、二種類の回転速度で制御することができるという利点がある。即ち、ワイヤに作用する荷重が小さい場合には、第1及び第2の回転駆動手段のうちスピードを優先させた一方を選択し、ワイヤに作用する荷重が大きい場合には、トルクを優先させた他方を選択することができる。
本考案の一実施形態として示したバトン昇降装置の平面図である。 同バトン昇降装置を示す正面図である。 同バトン昇降装置を示す図であって、図2のIII−III線に沿う断面図である。 同バトン昇降装置を示す図であって、図3のIV矢視図である。 同バトン昇降装置を示す図であって、(a)は図4のV矢視図であり、(b)は図4のV矢視図に対応する図であって、繰出用滑車が一の方向に所定角度揺動変位した後の状態を示す説明図であり、(c)は図4のV矢視図に対応する図であって、繰出用滑車が他の方向に所定角度揺動変位した後の状態を示す説明図である。 同バトン昇降装置の他の例を示す平面図である。
本考案の実施形態としてのバトン昇降装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態で示すバトン昇降装置1は、図1〜図5に示すように、螺旋状の保持溝21aが形成された円筒状の外周面21を有すると共に、当該外周面21の軸心部に同軸状に設けられた主軸22を有し、その主軸22回りに回転駆動されるドラム2と、ドラム2の外周面21における保持溝21aに沿って巻回され、当該保持溝21aから繰り出された部分の先端部がバトンBに連結されたワイヤ3と、ドラム2の外周面21の近傍に設置され、当該ドラム2から繰り出されたワイヤ3を案内する案内溝4aが外周面に形成され、回転中心部に回転支持軸41が設けられた繰出用滑車4とを備えたもので構成されている。
繰出用滑車4は、図5(a)に示すように、その回転支持軸41の中心線C2の方向がドラム2の主軸22の中心線C1に平行となる方向を基準方向Nとすると、図5(b)に示すように、当該基準方向Nに対して、回転支持軸41の中心線C2の一端側がドラム2の主軸22の中心線C1から遠ざかる一の方向に所定角度θ1揺動変位する範囲、及び図5(c)に示すように、基準方向Nに対して、回転支持軸41の中心線C2の他端側がドラム2の主軸22の中心線C1から遠ざかる他の方向に所定角度θ2揺動変位する範囲内で、揺動自在となるように設置されている。この場合、繰出用滑車4は、図3に示すように、ドラム2の主軸22の中心線C1に直交する方向に平行な方向の基軸線C3の回りに揺動自在に設置されている。また、この例では、θ1=θ2となっている。なお、基軸線C3は、回転支持軸41の中心線C2より、主軸22の中心線C1から離れた位置に配置されている。
ドラム2は、その主軸22の一方及び他方の各端部が、図1及び図2に示すように、バトン昇降装置1の基礎フレーム10に固定された一対のドラム用軸受ブラケット5、5によって回転自在に保持されている。また、繰出用滑車4は、図4及び図5に示すように、回転支持軸41が滑車フレーム6によって回転自在に保持されている。滑車フレーム6は、図2〜4に示すように、基礎フレーム10に固定された滑車用ブラケット7に揺動自在に保持されている。滑車用ブラケット7については、繰出用滑車4が上述した一の方向に所定角度θ1揺動変位する範囲及び他の方向に所定角度θ2揺動変位する範囲内で基軸線C3の回りに揺動されるように、滑車フレーム6を揺動自在に保持するように構成されている。
基礎フレーム10は、図2に示すように、一対の各ドラム用軸受ブラケット5の取付面10a及び滑車用ブラケット7の取付面10bが水平方向に向く状態となるように所定の基礎部(図示せず)に設置されるようになっている。基礎部としては、例えば舞台やスタジオ等の天井の下方に設置された格子状の棚(いわゆる葡萄棚)がある。
上記基軸線C3は、図3及び図4に示すように、基礎フレーム10における滑車用ブラケット7の取付面10bに対して垂直方向に向けられている。また、滑車フレーム6には、上部回転軸61及び下部回転軸62が同軸状に設けられている。これらの上部回転軸61及び下部回転軸62は、基軸線C3と同軸状に回転自在となるように配置された状態において、繰出用滑車4が一の方向に所定角度θ1揺動変位する範囲及び他の方向に所定角度θ2揺動変位する範囲内で揺動するように、滑車フレーム6に設けられている。
滑車用ブラケット7には、基軸線C3と同軸上における所定の位置に上部回転軸61及び下部回転軸62をそれぞれ回転自在に支持する上部軸受71及び下部軸受72が同軸状に設けられている。
即ち、滑車用ブラケット7は、下部フレーム73と、上部フレーム74と、中間フレーム75とによって一体的に構成されている。下部フレーム73は、基軸線C3に対してドラム22側に平行に位置し、その下端部が基礎フレーム10の取付面10bにボルト(図示せず)によって固定されるようになっている。上部フレーム74は、基軸線C3と同軸状に位置すると共に、その下端部が下部フレーム73の上端部とオーバーラップするような高さ位置に設けられている。中間フレーム75は、下部フレーム73の上端部と上部フレーム74の下端部とを一体的につなぐように設けられている。
また、上部フレーム74には、上端部及び下端部のそれぞれに、上ブロック部74a及び下ブロック部74bが設けられている。これらの上ブロック部74a及び下ブロック部74bには、基軸線C3と同軸状に貫通する孔がそれぞれ形成されており、上ブロック部74aの孔には上部軸受71が同軸状に嵌合され、下ブロック部74bの孔には下部軸受72が同軸状に嵌合されている。この場合、上部軸受71は、ラジアルベアリングで構成され、下部軸受72は、図3に示すように、下側に位置するスラストベアリングと、上側に位置するラジアルベアリングを備えた構成になっている。
なお、上ブロック部74a及び下ブロック部74bについては、上部フレーム74に対して図示しないボルトにより着脱可能に取り付けられている。
滑車フレーム6は、図3及び図4に示すように、一対の平行支持板63、63を有するように構成されている。上部回転軸61及び下部回転軸62は、平行支持板63、63の間に同軸状に配置された状態で当該平行支持板63、63に溶接されている。また、滑車4における回転支持軸41は、平行支持板63、63の所定の位置を貫通するボルトによって形成されている。但し、このボルトによって形成された回転支持軸41は、平行支持板63、63の間が断面円形の平行軸部となっている。そして、繰出用滑車4は、その回転中心部に、回転支持軸41の平行軸部に嵌合するベアリング(図示せず)が設けられている。回転支持軸41の先端側の雄ネジ部にはナット41aが螺合により固定されている。
また、上部回転軸61及び下部回転軸62は、平行支持板63、63における上下の各隅部であって繰出用滑車4の外周面より半径方向の外側の位置に配置されていると共に、これらの上部回転軸61及び下部回転軸62の中心線が繰出用滑車4の案内溝4aにおける幅方向の中心線(即ち、案内溝4aに巻回されたワイヤ3の中心線)に対応する位置となるように配置されている。
更に、上部回転軸61及び下部回転軸62は、平行支持板63、63の間隔を所定の間隔に保持するようにも構成されている。そして、平行支持板63、63には、上部回転軸61と下部回転軸62とつなぐ直線を底辺とする二等辺三角形の頂点に対応する部位に間隔保持部材64が設けられている。この間隔保持部材64は、図5(a)に示すように、ボルト64a、ナット64b及び円筒状のカラー64cを備えた構成になっている。
ボルト64aは、平行支持板63、63のそれぞれに形成された貫通孔に軸部が挿入され、その軸部の先端側の雄ネジ部に螺合するナット64bによって、当該平行支持板63、63に固定されている。カラー64cは、平行支持板63、63の間隔を上部回転軸61及び下部回転軸62と共に所定の間隔に保持するようになっている。このカラー64cは、その内部に上記ボルト64aの軸部が挿入されることにより、当該ボルト64a及びナット64bと共に平行支持板63、63に固定されるようになっている。また、間隔保持部材64は、そのカラー64cの部分によって、ワイヤ3が繰出用滑車4の案内溝4aから脱落するのを防止するようになっている。
下部回転軸62には、その軸心部に、図3に示すように、ドラム2から繰り出され、繰出用滑車4を介して下方に方向変換されたワイヤ3を通す貫通孔62aが形成されている。
一方、ドラム2の主軸22には、図1及び図2に示すように、当該主軸22を回転駆動する回転駆動手段8が備えられている。この回転駆動手段8は、その出力軸(図示せず)が主軸22に同軸に連結されることにより当該主軸22に取り付けられた状態になっている。
そして、この回転駆動手段8には、出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該回転駆動手段8と基礎フレーム10とを連結し、回転駆動手段8が主軸22と共に回転するのを防止する回転止を兼ねたロードセル(荷重変換器)81が設けられている。ロードセル81によって検出された荷重は電気通信コード82を介して荷重データとして制御装置(図示せず)に出力されるようになっている。制御装置は、ロードセル81で得られた荷重と、出力軸の中心線からロードセル81までの寸法を掛け合わせることにより、トルクを演算し、これを負荷トルクとして、ディスプレイや、管理用のコンピュータに出力するようになっている。
また、回転駆動手段8は、電動モータ83及び減速機構(図示せず)を有し、当該電動モータ83の回転が減速機構で減速されて出力軸から主軸22に出力されるように構成されている。減速機構は、出力軸側から電動モータ83側への回転力の伝達を阻止する構造の歯車機構(例えば、ウオームギヤとピニオンギヤを組み合わせたもの等)を備えた構成になっている。なお、回転駆動手段8は、ブレーキについても組み込まれたものとなっている。
更に、回転駆動手段8には、出力軸等の回転角度等を検出するエンコーダや、当該回転角度に応じて電気的な出力を発するリミットスイッチ等を組み込んだ制御機器ユニット84が一体的に設けられた構成になっている。
他方、各滑車用ブラケット7の下部フレーム73には、図2〜図4に示すように、上部フレーム74の下方に位置するように、垂直支持板73aが固定され、この垂直支持板73aに方向変換用滑車73bが回転自在に設けられている。方向変換用滑車73bは、各繰出用滑車4から垂直方向の下方に繰り出されてきたワイヤ3を、フリートアングル零の状態で、水平方向に(中心線C1に平行な方向)に変換するようになっている。
また、垂直支持板73aには、方向変換用滑車73bからのワイヤ3の脱落を防止する脱落防止部材73c、73dが設けられている。脱落防止部材73c、73dは、基端部が垂直支持板73aに固定され、先端部が方向変換用滑車73bの外周面に対応する位置に延在するように形成された長尺の棒状のものとなっている。
また、各方向変換用滑車73bで水平方向に変換された各ワイヤ3(この例では4本の各ワイヤ3)は、図示しない他の滑車によって下方に方向変換された上で、その先端部が図2に示すように、バトンBに固定されるようになっている。
上記のように構成されたバトン昇降装置1においては、繰出用滑車4の回転支持軸41が一の方向に所定角度θ1揺動変位した場合には当該繰出用滑車4の案内溝4aにおけるワイヤ3の巻回開始部分の位置がドラム2における主軸22の中心線C1に沿う方向の一方の側に寄った位置に移動する。また、繰出用滑車4の回転支持軸41が他の方向に所定角度θ2揺動変位した場合には当該繰出用滑車4の案内溝4aにおけるワイヤ3の巻回開始部分の位置がドラム2における主軸22の中心線C1に沿う方向の他方の側に寄った位置に移動することになる。
このため、ドラム2の保持溝21aから繰り出されるワイヤ3の位置が当該ドラム2の主軸22の中心線C1に沿う方向に移動した場合には繰出用滑車4の案内溝4aにおけるワイヤ3の巻回開始部分の位置がドラム2におけるワイヤ3の繰出し位置に対応した位置となるように、当該繰出用滑車4が基軸線C3回りに自然に揺動することになる。この場合、ドラム2から繰り出されるワイヤ3の方向は、ドラム2の外周面21に対して接線方向となると共に、繰出用滑車4の外周面21に対しても接線方向となる。即ち、ドラム2と繰出用滑車4との間におけるワイヤ3の延在方向は、そのドラム2の主軸22及び繰出用滑車4の回転支持軸41のそれぞれの中心線C1、C2に対して直交した方向になり、ワイヤ3のフリートアングルが常に零になる。
また、繰出用滑車4は基軸線C3回わりに所定の角度範囲で揺動するだけであるから、これにより装置全体の寸法が拡大することがない。従って、フリートアングルを零にすることができると共に、バトン昇降装置1の大型化を防止することができる。
更に、繰出用滑車4の回転支持軸41が滑車フレーム6によって回転自在に保持され、滑車フレーム6が滑車用ブラケット7によって揺動自在に保持され、滑車用ブラケット7が基礎フレーム10に固定されるようになっているので、その基礎フレーム10に固定された滑車用ブラケット7及びこの滑車用ブラケット7に設けられた滑車フレーム6によって、繰出用滑車4の支持剛性を高めることができる。このため、例えば、ワイヤ3に作用する荷重が異なる場合でも、当該ワイヤ3の繰り出し位置及び巻き戻し位置を一定の位置に安定化させることができる。即ち、バトンBに作用する荷重の軽重により、当該バトンBの位置が上下に変化するのを極力防止することができる。
また、各取付面10a、10bが水平方向を向くように基礎フレーム10が所定の基礎部に設置されるように構成され、基軸線C3が滑車用ブラケット7の取付面10bに垂直方向に向けられているので、滑車フレーム6の上部回転軸61及び下部回転軸62についても、滑車用ブラケット7の上部軸受71及び下部軸受72についても垂直方向に同軸状に向いた状態となる。従って、滑車フレーム6及び滑車用ブラケット7を垂直方向に立てたコンパクトな状態のもので構成することができる。即ち、これらの滑車フレーム6及び滑車用ブラケット7をドラム2の主軸22の中心線C1に沿う方向に複数組(この例では4組)並べて設置する場合でも、十分に余裕をもって設置することができる。
そして、滑車フレーム6における下部回転軸62の軸心部に、ドラム2から繰り出され繰出用滑車4を介して下方に方向変換されたワイヤ3を通す貫通孔62aが形成されているので、繰出用滑車4が一の方向や他の方向に揺動しても、当該ワイヤ3を貫通孔62aを通して下方又は上方にスムーズに移動することができる。
しかも、回転駆動手段8がその出力軸をドラム2の主軸22に同軸に連結することにより設置された状態になっており、回転駆動手段8には出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該回転駆動手段8と基礎フレーム10とを連結するようにロードセル81が設けられているので、当該ロードセル81から出力される荷重データに基づいて、回転駆動手段8からドラム2側に作用する出力トルク及びドラム2側から回転駆動手段8側に作用する負荷トルクを常時検出して監視することができる。従って、回転駆動手段8、ドラム2、ワイヤ3、繰出用滑車4等に例えば過負荷が作用するのを防止することができる。
また、回転駆動手段8は電動モータ83及び減速機構を有し、減速機構は出力軸側から電動モータ83側への回転力の伝達を阻止する歯車機構を有しているので、ワイヤ3の停止位置、即ちバトンBの位置を所定の位置に確実に保持することができる。
なお、上記実施形態においては、主軸22の一端部に回転駆動手段8を設けた例を示したが、このバトン昇降装置としては、図6に示すように、出力軸が主軸22の一端部に同軸状に連結された上記回転駆動手段8としての第1の回転駆動手段801と、出力軸が主軸22の他端部に同軸状に連結された第2の回転駆動手段802とを備えたバトン昇降装置100によって構成してもよい。なお、図1で示した構成要素と共通する要素には同一の符号を付して説明を省略する。
このように構成されたバトン昇降装置100においては、第1の回転駆動手段801及び第2の回転駆動手段802による二種類の回転速度で制御することができるという利点がある。即ち、ワイヤ3に作用する荷重が小さい場合には、第1及び第2の回転駆動手段801、802のうちスピードを優先させた一方を選択し、ワイヤ3に作用する荷重が大きい場合には、トルクを優先させた他方を選択することができる。また、制御機器ユニット84については、第1の回転駆動手段801側に設けられているが、第2の回転駆動手段802を選択した場合においても利用することが可能になっている。
1 バトン昇降装置
2 ドラム
3 ワイヤ
4 繰出用滑車
4a 案内溝
5 ドラム用軸受ブラケット
6 滑車フレーム
7 滑車用ブラケット
8 回転駆動手段
10 基礎フレーム
10a、10b 取付面
21 外周面
21a 保持溝
22 主軸
41 回転支持軸
61 上部回転軸
62 下部回転軸
62a 貫通孔
71 上部軸受
72 下部軸受
81 ロードセル(荷重変換器)
83 電動モータ
801 第1の回転駆動手段
802 第2の回転駆動手段
B バトン
C1、C2 中心線
C3 基軸線
N 基準方向
θ1 一の方向の所定角度
θ2 他の方向の所定角度

Claims (7)

  1. 螺旋状の保持溝が形成された円筒状の外周面を有すると共に、当該外周面の軸心部に同軸状に設けられた主軸を有し、前記主軸回りに回転駆動されるドラムと、
    前記ドラムの外周面における前記保持溝に沿って巻回され、当該保持溝から繰り出された部分の先端部がバトンに連結されたワイヤと、
    前記ドラムの外周面の近傍に設置され、当該ドラムから繰り出された前記ワイヤを案内する案内溝が外周面に形成され、回転中心部に回転支持軸が設けられた繰出用滑車とを備えたバトン昇降装置であって、
    前記繰出用滑車は、前記回転支持軸の中心線の方向が前記ドラムの前記主軸の中心線に平行となる基準方向に対して前記回転支持軸の中心線の一端側が前記主軸の中心線から遠ざかる一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記基準方向に対して前記回転支持軸の中心線の他端側が前記主軸の中心線から遠ざかる他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で、前記主軸の中心線に直交する方向に平行な方向の基軸線の回りに揺動自在に設置されていることを特徴とするバトン昇降装置。
  2. 前記ドラムは、前記主軸が基礎フレームに固定されたドラム用軸受ブラケットによって回転自在に保持されており、
    前記繰出用滑車は、前記回転支持軸が滑車フレームによって回転自在に保持されており、
    前記滑車フレームは、前記基礎フレームに固定された滑車用ブラケットに揺動自在に保持されており、
    前記滑車用ブラケットは、前記繰出用滑車が前記一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で前記基軸線の回りに揺動されるように、前記滑車フレームを揺動自在に保持するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバトン昇降装置。
  3. 前記基礎フレームは、ドラム用軸受ブラケットの取付面及び滑車用ブラケットの取付面が水平方向に向くように所定の基礎部に設置されるようになっており、
    前記基軸線は、前記滑車用ブラケットの取付面に対して垂直方向に向けられており、
    前記滑車フレームには、上部回転軸及び下部回転軸が同軸状に設けられており、
    前記上部回転軸及び下部回転軸は、前記基軸線と同軸状に回転自在となるように配置された状態において、前記繰出用滑車が前記一の方向に所定角度揺動変位する範囲及び前記他の方向に所定角度揺動変位する範囲内で揺動するように、前記滑車フレームに設けられており、
    前記滑車用ブラケットには、前記基軸線と同軸上の位置に、前記上部回転軸及び前記下部回転軸をそれぞれ回転自在に支持する上部軸受及び下部軸受が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のバトン昇降装置。
  4. 前記下部回転軸には、その軸心部に、前記ドラムから繰り出され前記繰出用滑車を介して下方に方向変換された前記ワイヤを通す貫通孔が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のバトン昇降装置。
  5. 前記ドラムの前記主軸を回転駆動する回転駆動手段を備えてなり、
    前記回転駆動手段は、その出力軸が前記主軸の一端部に同軸状に連結されることにより設置された状態になっており、
    前記回転駆動手段には、前記出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該回転駆動手段と前記基礎フレームとを連結するように荷重変換器が設けられていることを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載のバトン昇降装置。
  6. 前記回転駆動手段は、電動モータ及び減速機構を有し、当該電動モータの回転が当該減速機構で減速されて前記出力軸から出力されるように構成されており、
    前記減速機構は、前記出力軸側から前記電動モータ側への回転力の伝達が阻止される歯車機構を有していることを特徴とする請求項5に記載のバトン昇降装置。
  7. 前記回転駆動手段を第1の回転駆動手段とし、当該第1の回転駆動手段とは異なる第2の回転駆動手段を備えてなり、
    前記第2の回転駆動手段は、その出力軸が前記主軸の他端部に同軸状に連結されることにより設置された状態になっており、
    前記第2の回転駆動手段には、当該第2の回転駆動手段の出力軸の中心線から半径方向に所定寸法離れた位置に、当該第2の回転駆動手段と前記基礎フレームとを連結するように荷重変換器が設けられていることを特徴とする請求項5又は6に記載のバトン昇降装置。
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