JP3204406U - 着脱容易な防護服 - Google Patents

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Abstract

【課題】上下つなぎ服タイプの防護服において、着脱のための開閉部分を形成するためのファスナを、一人で開閉しやすく、かつ、防護服の着脱も行いやすい形態で設けた着脱容易な防護服を提供する。【解決手段】つなぎ服タイプの防護服Dにおいて、着脱用のファスナ5を当該防護服の上衣1と下衣2の境界近傍ないし胴部W近傍の(以下、単に「胴部」という)周囲に設け、前記ファスナを開けたとき、該ファスナで分離される前記上衣の下部と下衣の上部に着脱用の開口部が現われるようにした。【選択図】図1

Description

本考案は、原子力発電所などの放射線管理区域内等で使用して有用な主として放射線を対象とした上下つなぎ服タイプの防護服に関する。
従来から上下つなぎ服タイプの防護服については、数多くの提案がなされ、実用に供されているものも多い。
従来の防護服は、例えば放射線から着用者を防護する目的で着用されるものであるから、フード付の上下つなぎ服タイプの形態である。
上記防護服では、当該服を着脱するための開閉部分が、通常上衣の前面中央に、腹部からフードの顔出し窓に至る区間に縦向きにスライドファスナを設けて形成され、前記スライドファスナを開閉してこの防護服の着脱が行われている。
ところで、上下つなぎ服タイプの防護服において、上衣の前面略中央部に、例えば警報付きポケット線量計(APD)などの器材,機器等を外部から見える形で収容するための透明なポケットを設けた防護服(特許文献1参照)が使用されるようになった。
上記のように防護服の上衣の前面略中央に前記ポケットのような構造が設けられると、この部位に設けていた着脱のためのラインファスナが邪魔になるため、前記ファスナの位置を変更する必要が生じた。
防護服の着脱用のファスナの設置位置を変更した形態に関して、本考案の考案者は先にいくつかの提案をしている(特許文献2参照)。
しかし提案しているファスナ位置では、一人でファスナが開閉できなかったり開閉し難い等のいまだ解決すべき課題のあることが判っている。ファスナの開閉ができなかったり開閉しにくいと、作業後に防護服を脱ぐとき、汚染された手袋で防護服の内部を触ってしまい、汚染が拡大するという問題が指摘されている。
登録実用新案公報第3183170号 登録実用新案公報第3180634号
そこで本考案が解決しようとする課題は、上下つなぎ服タイプの防護服において、着脱のための開閉部分を形成するためのファスナを、一人で開閉しやすく、かつ、防護服の着脱も行いやすい形態で設けた防護服を提供することである。
上記課題を解決することを目的としてなされた本考案防護服の構成は、つなぎ服タイプの防護服において、着脱用のファスナを当該防護服の上衣と下衣の境界近傍ないし胴部近傍(以下、単に「胴部」という)の周囲に設け、前記ファスナを開けたとき、該ファスナで分離される前記上衣の下部と下衣の上部に着脱用の開口部が現われることを特徴とするものである。
本考案防護服は、上記構成において、防護服の胴部の周囲に設けるファスナはを胴部の前方、又は、後方、或は、側方の一部を残した周囲に設ける形態と、ファスナを前記胴部の全周乃至略全周に亘って環状に設ける形態とがある。
ファスナを環状に設ける形態では、ファスナを境に上衣と下衣とが完全に分離するタイプとファスナの始端部と終端部とが繋がって上衣と下衣が分離しないタイプとがある。上衣と下衣がファスナで分離するタイプでは、下衣に所謂サロペット(オーバーオール)タイプの胸当てを備えたズボン形態のものを用いることが出来る。
また、ファスナを環状に設ける場合、防護服の前後面に関し防護服を側面視したとき斜めに横断する傾斜角を付けて設けることがある。前記傾斜角は、防護服の側面に関し後ろ下がり又は前下がりの傾斜を選択できるが、人の腕の無理のない動作形態に鑑みると、後ろ下がりの傾斜が好ましい。
胴部の周囲におけるファスナの高さ方向の位置は、胸部近傍あるいは、その胸部近傍よりも下方から骨盤近傍の間で設置高さを任意に選択することができる。
本考案防護服は、通常上衣と一体のフードを具備するものであるが、フードを備えないタイプにも本考案は適用できる。また、防護服の材質は、天然繊維、又は、化学繊維による織布,編布,不織布、ビニール等の柔軟シート材など、いずれの材料で製されたものにも適用できる。
さらに本考案防護服におけるファスナの設置位置を胴部近傍の周囲にすると、上衣の正面略中央に警報付きポケット線量計を収容する透明ポケットを設けた防護服に、本考案を有意に適用することができる。
本考案は、つなぎ服タイプの防護服において、着脱用のファスナを当該防護服の上衣と下衣の境界近傍ないし胴部近傍の(以下、単に「胴部」という)周囲に設け、前記ファスナを開けたとき、該ファスナで分離される前記上衣の下部と下衣の上部に着脱用の開口部が現われるようにしたから、つなぎ服タイプの防護服の着脱が容易になる。また、上衣の正面略中央に透明ポケットを設けたために着脱用のファスナを該上衣の正面上下方向に設けることができない場合の着脱用ファスナの設置位置として極めて好適である。
本考案防護服の一例の正面図。 図1の防護服の背面図。 図1の防護服のファスナを開けて上衣を前方へ倒した状態の右側面図。
図1〜図3において、Dは本考案の一例を適用した防護服で、ここではフード3を有する上衣1と、当該上衣1と公知の上下つなぎ服と同じ形態で繋がったズボン状の下衣2を備えたものである。なお、本考案において、防護服Dは、一般のつなぎ服タイプの作業服も含む概念である。
公知の上下つなぎ服タイプの防護服では、着脱用の開閉部が、上衣1の正面側に、フード3の顔出し窓4から上衣1と下衣2の境界近傍、例えば腰部までの区間に、縦向きのラインファスナ(図示せず)を設けることにより形成されていた。
この点、本考案防護服Dでは、その防護服Dを着脱するための開閉部を、一例として図示したように胴部Wの周囲に該周囲の一部6を残してスライダ5aを有するラインファスナ5を設けて形成した。従って、6は前記胴部Wにおけるファスナ5の未設置部である。
本考案のファスナ5は、線状に並んだ咬合子(務歯)がスライダのスライド動作で噛合離脱するラインファスナ、或は、断面略凹凸状の線状雌雄部材がスライダで噛合離脱するラインファスナを用いるが、ラインファスナの形態はこれに限られるものではない。ファスナには面ファスナを線状に形成したものを用いることもある。
図示した防護服Dにおいて、11,12左右の袖、21,22は、下衣2における左右の脚筒である。
上記防護服Dにおいて、実施例では次に述べる構成を備えたものであるが、本考案を適用する防護服Dは、そのような構成を具備しないものであってもよい。
図示した防護服Dにおいて、7はフード3の顔出し窓4の下部に設けた離型紙付きの粘着シートで、防護服Dの着用者が顔面に装着する防護マスク(図示せず)の外面と顔出し窓4の縁との間を隙間なく結合するためのものである。粘着シート7は前記顔出し窓4の全周に並べて設けたり、幅広テープ状の粘着シートを顔出し窓4に沿って環状に設けることもある。
8は上衣1の胸部に設けた略四角形の透光窓で、防護服Dの内部に装備した例えば警報付きポケット線量計(APD)などを外部から視認するためのものである。前記透光窓8はEVA樹脂やPEs樹脂の透明シートで形成し、内面側にポケットを備えている。透光窓8の形状は図示したもののほか横長形状や縦長形状であってもよい。9は前記透光窓8の横で防護服Dの内部側に設けたフラップ9a付きのポケットであり、着用者の携帯電話等を収容するためのものである。フラップ9aは放射線がポケット9の開口部9bから防護服Dの内部に進入するのを抑止するために設けている。ポケット9の設置位置も透光窓8の横以外の位置や他の部位、例えば袖や脚筒に設けてもよい。
11a,12aは上衣1の両袖11,12の袖口近傍に設けた透光窓で、上記透光窓8とほぼ同じ構成であるが、内面側にポケットは備えない。この透光窓11a,12aは、防護服Dの着用者が手首に装着した腕時計等を外部から見るための窓である。
11b,12bは袖口に形成した絞り部、21a,22aは脚筒21,22の裾に形成した絞り部で、両絞り部とも放射線が防護服Dの内部に袖口や裾から進入するのを防ぐと共に、着用時に捲れ上がるのを防ぐためのものである。
図示した本考案防護服Dは、この服Dを着脱するために開閉される部を、当該防護服Dの胴部Wにラインファスナ5によって形成したから、図3に模式的に示したように前記ファスナ5を開けた状態で上衣1を前方へ倒しておけば、通常のズボンを履くように下衣2を着用者が下半身に着けてから、フード3を含む上衣1を、セーター等を着るように頭から被りつつ左右の袖11,12に腕を通して着用し、前記ファスナ5のスライダ5aを元の位置に戻すことにより、着用を完了することができる。
着用している防護服Dを脱ぐ場合には、まずファスナ5を開いて、例えば上衣1を、フード3を頭から外してセーターを脱ぐような態様で脱ぎ、しかる後、ズボン状の下衣2を脱ぐことにより、この防護服Dを脱ぎ終える。
図1〜図3により説明した本考案防護服Dでは、着脱のための開閉部を形成するファスナ5を、胴部前面側にファスナ未設置部6を残して胴部Wに設けたが、本考案は、ファスナ未設置部6を、胴部Wの背面側、又は、左右いずれかの側面側に配置した形態にしても、上記例と同様の着脱し易いという効果が得られる。
また、本考案ではファスナ5を胴部Wの全周に亘って略環状に設け、防護服Dの上衣1と下衣2とが分離可能な形態としたり、或は、ファスナ5を開けた時、上衣1と下衣2がファスナ5の始端と終端においてのみ繋がった形態にすることもできる。この構成によっても、防護服Dの着脱要領は、図1〜図3により説明した場合と同様に着脱が容易である。
本考案は以上の通りであるから、着脱が行い易く、特に作業後に防護服を脱ぐとき、汚染された手袋で防護服の内部を触ってしまうという汚染拡大の問題が生じない。
しかも、着脱し易いための構成は至ってシンプルであるから、少ない手間で低コストに防護服を提供することができる。
D 本考案防護服
1 防護服の上衣
2 防護服の下衣
3 フード
11,12 上衣1の左右の袖
21,22 下衣2の左右の脚筒
4 顔出し窓
5 スライドファスナ
5a スライダ
6 ファスナ未設置部

Claims (6)

  1. つなぎ服タイプの防護服において、着脱用のファスナを当該防護服の上衣と下衣の境界近傍ないし胴部近傍の(以下、前記境界近傍ないし胴部近傍を単に「胴部」という)周囲に設け、前記ファスナを開けたとき、該ファスナで分離される前記上衣の下部と下衣の上部に着脱用の開口部が現われることを特徴とする着脱容易な防護服。
  2. ファスナは胴部の前方、又は、後方、或は、側方の一部を残した周囲に設けた請求項1に記載の着脱容易な防護服。
  3. ファスナは胴部の全周乃至略全周に亘って平面視略環状に設けた請求項1に記載の着脱容易な防護服。
  4. 略環状に設けるファスナは、防護服の前後面に関しその防護服を側面から見て斜めに横断する傾きを付して設けた請求項3に記載の着脱容易な防護服。
  5. ファスナを設ける高さは、防護服の胸部近傍から骨盤近傍までの間に設定する請求項1〜4のいずれかに記載の着脱容易な防護服。
  6. ファスナは咬合子(務歯)がスライダで噛合離脱するラインファスナ、又は、断面凹凸状の線状雌雄部材がスライダで噛合離脱するラインファスナである請求項1〜5のいずれかに記載の着脱容易な防護服。


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