JP3204010B2 - 形状モデラ用形状復元装置 - Google Patents

形状モデラ用形状復元装置

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JP3204010B2
JP3204010B2 JP32546194A JP32546194A JP3204010B2 JP 3204010 B2 JP3204010 B2 JP 3204010B2 JP 32546194 A JP32546194 A JP 32546194A JP 32546194 A JP32546194 A JP 32546194A JP 3204010 B2 JP3204010 B2 JP 3204010B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、コンピュータ支援設
計(CAD)装置等にて構成され、分割結合演算やフィ
レット付与の演算等の図形に関する演算を繰り返し行っ
て形状モデルを作成する、立体もしくは曲面を取り扱う
ことができる形状モデラに用いられ、該形状モデラが前
記演算によって消滅させた形状を、作成された形状モデ
ル中に復元する形状復元装置に関し、特には、鋳鍛造等
で形成する素形材等の複雑な形状モデルを作成する形状
モデラに好適な形状復元装置に関するものである。
【0002】なお、この明細書において「演算境界エッ
ジ」とは、前記図形に関する演算によって図形の一部を
他の図形で置換する際の置換の境界となるエッジをい
い、また「演算境界エッジの両端の頂点」とは、その演
算境界エッジがエッジ列を形成している場合にはそのエ
ッジ列の両端の頂点をいうものとする。
【0003】
【従来の技術】上述した形状復元装置は、形状モデラに
よって形状モデルを作成する際の、作成途中で図形操作
の誤りを発見した場合の修復や、作成後に設計変更が要
求された場合の対応や、座ぐり孔等の形状特徴のみの消
去等の必要上から、作成した形状モデル中に演算で消滅
させた形状を復元する必要がある場合に用いられ、従来
のかかる形状復元装置としては、例えば本願発明者等が
先に特開平6-103342号公報で開示するとともに論文「多
様体をベースとする階層型非多様体モデルの理論と応用
(第一報)」(鈴木建彦ほか著、精密工学会誌,59, 1
0, (1993), 1665)で述べたものが知られている。
【0004】この装置では、形状モデラが演算で形状を
消滅させる際に、図12に示す如く、ポインタ付与手段
が、残す形状を形成する領域A11, A21と消滅させる形状
を形成する領域A12, A22との境界をなす演算境界エッジ
E1と、それに接続されたフェイスF11 およびF21 との組
に、その消滅させる領域の前記演算境界エッジを特定し
得るポインタB1, B3をそれぞれ付与し、デッドシェル保
有手段が、その消滅させる領域A12, A22をデッドシェル
DS1, DS3として保有するとともに、その領域A12のフェ
イスF12 とエッジE2との組に既に他のデッドシェルDS2
へのポインタB2が付与されている場合はそのポインタB2
も併せて保有することで、デッドシェルを関連づけて保
有しておく。
【0005】そしてその後、例えば領域A12 またはA22
を持つ形状の復元のために、作成された形状モデルP3
復元する領域A12 またはA22 との境界をなす演算境界エ
ッジとなるエッジE1と、それに接続されるフェイスF11
またはF21 との組が形状モデラのユーザーによって指定
されると、形状結合手段が、デッドシェル保有手段が保
有しているデッドシェルの内から、その指定された組に
付帯するポインタB1またはB3で特定されたエッジE1を持
つデッドシェルDS1 またはDS3 を捜し出して、そのデッ
ドシェルの領域A12 またはA22 が形成する形状を結合演
算により前記形状モデルP3に結合することにより、上記
領域A12 またはA22 を持つ形状を復元する。
【0006】従って、この従来の装置によれば、先の特
開平6−103342号公報に詳細されているように、局所的
アンドゥ法を実現し得て、局所的形状復元を行う場合の
当該装置以前の再実行法やアンドゥ法や取消操作法等の
問題点を解消することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記従来
の装置は、図13に示すように、フェイスが一致する図形
FG1, FG2間の集合演算によって図形FG3 を作成する際に
その両側でフェイスが一致している演算境界エッジE3
存在をユーザーが期待しないためその演算境界エッジE3
が消去された場合や、図14に示すように、図形FG4 への
フィレット面FL1のフィレットがけにより止まり面SF1
が拡張されて本来の演算境界エッジE4が消去された場合
には、局所的形状復元ができなくなるという不都合があ
り、また図15に示すように、二つの複合曲面CF1, CF2
結合によって作られた複合曲面CF3を分割しても、微妙
な演算の場合には幾何データが置き換えられてしまって
厳密には元の複合曲面CF1, CF2は得られないため、本来
可能なはずの他の複合曲面との結合等の演算が実行不能
になるという不都合もあった。
【0008】それゆえ上記従来の装置は、本願発明者等
がこの種の装置の適用対象とする非常に複雑かつ微妙な
図形を取り扱う鋳鍛造金型等のモデリングにおいては、
実務上ある程度有効ではあったものの、必ずしも十分な
ものではなかった。そして上記従来の装置では、ライブ
シェルに存在する演算境界エッジに接続する二次元多様
体のみをデッドシェルとして取り扱っているため、上記
課題への対応は十分には為し得なかった。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は、デッドシェ
ルとして取り扱う対象を二次元斉次でない多様体まで拡
張することによって上記課題を有利に解決した形状復元
装置を提供することを目的とするものであり、上記目的
のため、この発明の第1の形状モデラ用形状復元装置
は、図形に関する演算を繰り返し行って形状モデルを作
成する、立体もしくは曲面を取り扱うことができる形状
モデラに用いられ、該形状モデラが前記演算で消滅させ
た形状を、その演算で作成された形状モデル中に復元す
る形状復元装置において、前記形状モデラが前記演算で
形状を消滅させる際に、その演算で作成される形状モデ
ルが有することになるエッジおよびフェイスの内の、前
記消滅させる形状を形成する領域との間の境界となる演
算境界エッジとその演算境界エッジに接続されたフェイ
スとの組に、前記消滅させる形状を形成する領域の前記
演算境界エッジを特定し得る接続関係を付与する接続関
係付与手段と、前記消滅させる形状を形成する領域を領
域のデッドシェルとして保有するとともに、前記デッド
シェルとした領域に他のデッドシェルとの間の接続関係
が付与されている場合にはその接続関係も併せて保有す
ることにより、複数のデッドシェルを関連づけて保有し
得るデッドシェル保有手段と、前記演算で作成された形
状モデルが有しているエッジおよびフェイスの内の、復
元する形状を形成する領域との間の演算境界エッジとな
るエッジとそのエッジに接続されたフェイスとの組を指
定されると、前記デッドシェル保有手段が保有している
デッドシェルの内から、その指定されたフェイスとエッ
ジとの組に付与されている前記接続関係で特定される前
記演算境界エッジを持つ前記領域のデッドシェルを捜し
出して、そのデッドシェルの領域が形成する形状を結合
演算により、前記演算で作成された形状モデルの前記指
定されたエッジで分割された二つの領域の内の前記指定
されたフェイスを有する方の領域に、前記指定されたエ
ッジとそのデッドシェルの領域の演算境界エッジとを介
して結合する形状結合手段と、を具え、前記接続関係付
与手段が、前記形状モデラが前記演算で演算境界エッジ
を消滅させる際に、その演算で作成される形状モデルが
有することになる頂点の内の、前記消滅させる演算境界
エッジの両端に位置する一対の頂点に、前記消滅させる
演算境界エッジを特定し得る接続関係を付与し、前記デ
ッドシェル保有手段が、前記消滅させる演算境界エッジ
を演算境界エッジのデッドシェルとして保有するととも
に、前記デッドシェルとした演算境界エッジとその演算
境界エッジに接続されていた前記演算の前の形状のフェ
イスとの組に他のデッドシェルとの間の接続関係が付与
されている場合にはその接続関係も併せて保有し、前記
形状結合手段が、前記演算で作成された形状モデルが有
している頂点の内の、復元する演算境界エッジの両端の
頂点となる一対の頂点を指定されると、前記デッドシェ
ル保有手段が保有しているデッドシェルの内から、その
指定された一対の頂点に付与されている前記接続関係で
特定される前記演算境界エッジのデッドシェルを捜し出
して、そのデッドシェルの演算境界エッジを、前記演算
で作成された形状モデルの前記指定された一対の頂点の
間に付加すること、を特徴としている。
【0010】なお、この第1の形状復元装置において
は、前記デッドシェル保有手段が、前記形状モデラが前
記演算で形状を消滅させる際に頂点も消滅させる場合
に、前記消滅させる頂点を頂点のデッドシェルとして保
有し、前記形状結合手段が、前記演算で作成された形状
モデルが有しているエッジの内の、頂点を復元するエッ
ジを指定されると、前記デッドシェル保有手段が保有し
ているデッドシェルの内から、その指定されたエッジ上
に位置し得る幾何データを持つ頂点のデッドシェルを捜
し出して、そのデッドシェルの頂点を、前記演算で作成
された形状モデルが有している前記指定されたエッジに
付加する、というようにしても良い。
【0011】また、この発明の第2の形状復元装置は、
図形に関する演算を繰り返し行って形状モデルを作成す
る、立体もしくは曲面を取り扱うことができる形状モデ
ラに用いられ、該形状モデラが前記演算で消滅させた形
状を、その演算で作成された形状モデル中に復元する形
状復元装置において、前記形状モデラが前記演算で形状
を消滅させる際に、その演算で作成される形状モデルが
有することになるエッジおよびフェイスの内の、前記消
滅させる形状を形成する領域との間の境界となる演算境
界エッジとその演算境界エッジに接続されたフェイスと
の組に、前記消滅させる形状を形成する領域の前記演算
境界エッジを特定し得る接続関係を付与する接続関係付
与手段と、前記消滅させる形状を形成する領域を領域の
デッドシェルとして保有するとともに、前記デッドシェ
ルとした領域に他のデッドシェルとの間の接続関係が付
与されている場合にはその接続関係も併せて保有するこ
とにより、複数のデッドシェルを関連づけて保有し得る
デッドシェル保有手段と、前記演算で作成された形状モ
デルが有しているエッジおよびフェイスの内の、復元す
る形状を形成する領域との間の演算境界エッジとなるエ
ッジとそのエッジに接続されたフェイスとの組を指定さ
れると、前記デッドシェル保有手段が保有しているデッ
ドシェルの内から、その指定されたフェイスとエッジと
の組に付与されている前記接続関係で特定される前記演
算境界エッジを持つ前記領域のデッドシェルを捜し出し
て、そのデッドシェルの領域が形成する形状を結合演算
により、前記演算で作成された形状モデルの前記指定さ
れたエッジで分割された二つの領域の内の前記指定され
たフェイスを有する方の領域に、前記指定されたエッジ
とそのデッドシェルの領域の演算境界エッジとを介して
結合する形状結合手段と、を具え、前記接続関係付与手
段が、前記形状モデラが前記演算で二つの形状を形成す
る二つの領域を結合して一つの形状を作成する際に、そ
の演算で作成される形状が有することになるエッジおよ
びフェイスの内の、前記二つの領域の互いに結合される
二つの演算境界エッジに対応する一つのエッジとそのエ
ッジに接続されたフェイスとの組に、前記二つの演算境
界エッジの少なくとも一方を特定し得る接続関係を付与
し、前記デッドシェル保有手段が、前記二つ演算境界エ
ッジの少なくとも一方を演算境界エッジのデッドシェル
として保有するとともに、そのデッドシェルとして保有
する演算境界エッジの幾何データを併せて保有し、前記
形状結合手段が、前記演算で作成された一つの形状を前
記一つのエッジの位置で分割して前記二つの形状を復元
する際に、前記デッドシェル保有手段が保有しているデ
ッドシェルの内から、演算境界エッジとなる前記一つの
エッジとそのエッジに接続されたフェイスとの組に付与
されている前記接続関係で特定された前記演算境界エッ
ジのデッドシェルを捜し出し、復元する二つの形状を形
成する二つの領域の、前記一つのエッジに対応するエッ
ジの幾何データとしてそのデッドシェルの演算境界エッ
ジの幾何データを優先的に使用すること、を特徴として
いる。
【0012】
【作用】先に述べたこの発明の第1の形状復元装置にあ
っては、接続関係付与手段が、前記形状モデラが前記演
算で形状を消滅させる際に、その演算で作成される形状
モデルが有することになるエッジおよびフェイスの内
の、前記消滅させる形状を形成する領域との間の境界と
なる演算境界エッジとその演算境界エッジに接続された
フェイスとの組に、前記消滅させる形状を形成する領域
の前記演算境界エッジを特定し得る接続関係を付与し、
また前記形状モデラが前記演算で演算境界エッジを消滅
させる際に、その演算で作成される形状モデルが有する
ことになる頂点の内の、前記消滅させる演算境界エッジ
の両端に位置する一対の頂点に、前記消滅させる演算境
界エッジを特定し得る接続関係を付与する。またデッド
シェル保有手段が、前記消滅させる形状を形成する領域
を、二次元多様体からなる領域のデッドシェルとして保
有するとともに、前記デッドシェルとした領域に他のデ
ッドシェルとの間の接続関係が付与されている場合には
その接続関係も併せてし、また前記消滅させる演算境界
エッジを、一次元多様体からなる演算境界エッジのデッ
ドシェルとして保有するとともに、前記デッドシェルと
した演算境界エッジとその演算境界エッジに接続されて
いた前記演算の前の形状のフェイスとの組に他のデッド
シェルとの間の接続関係が付与されている場合にはその
接続関係も併せて保有することにより、複数のデッドシ
ェルを関連づけて保有する。そして形状結合手段が、前
記演算で作成された形状モデルが有しているエッジおよ
びフェイスの内の、復元する形状を形成する領域との間
の演算境界エッジとなるエッジとそのエッジに接続され
たフェイスとの組を指定されると、前記デッドシェル保
有手段が保有しているデッドシェルの内から、その指定
されたフェイスとエッジとの組に付与されている前記接
続関係で特定される前記演算境界エッジを持つ前記領域
のデッドシェルを捜し出して、そのデッドシェルの領域
が形成する形状を結合演算により、前記演算で作成され
た形状モデルの前記指定されたエッジで分割された二つ
の領域の内の前記指定されたフェイスを有する方の領域
に、前記指定されたエッジとそのデッドシェルの領域の
演算境界エッジとを介して結合し、また前記演算で作成
された形状モデルが有している頂点の内の、復元する演
算境界エッジの両端の頂点となる一対の頂点を指定され
ると、前記デッドシェル保有手段が保有しているデッド
シェルの内から、その指定された一対の頂点に付与され
ている前記接続関係で特定される前記演算境界エッジの
デッドシェルを捜し出して、そのデッドシェルの演算境
界エッジを、前記演算で作成された形状モデルの前記指
定された一対の頂点の間に付加する。
【0013】従って、この発明の第1の形状復元装置に
よれば、フェイスが一致する図形間の集合演算によって
新たな図形を作成する際に両側でフェイスが一致する演
算境界エッジが消去された場合や、図形へのフィレット
面のフィレットがけによって止まり面が拡張されて本来
の演算境界エッジが消去された場合でも、その消去され
た演算境界エッジをデッドシェルの内から捜し出して付
加した後に、従来の装置と同様に結合演算を行って形状
を復元し得るので、局所的形状復元を問題なく実行する
ことができ、それゆえ、非常に複雑かつ微妙な図形を取
り扱う鋳鍛造金型等のモデリングの効率を、従来の装置
よりもさらに高めることができる。
【0014】そして、この発明の第1の形状復元装置
を、さらに、前記デッドシェル保有手段が、前記形状モ
デラが前記演算で形状を消滅させる際に頂点も消滅させ
る場合に、前記消滅させる頂点を、ゼロ次元多様体(M.M
ANTYLA著「An Introduetion toSolid Modeling」Comput
er Science Press (Rockville, Mary land) 1988, 第14
8 頁参照) からなる頂点のデッドシェルとして保有し、
前記形状結合手段が、前記演算で作成された形状モデル
が有しているエッジの内の、頂点を復元するエッジを指
定されると、前記デッドシェル保有手段が保有している
デッドシェルの内から、その指定されたエッジ上に位置
し得る幾何データを持つ頂点のデッドシェルを捜し出し
て、そのデッドシェルの頂点を、前記演算で作成された
形状モデルが有している前記指定されたエッジに付加す
る、というように構成すれば、例えば上記演算境界エッ
ジを消滅させる際にその演算境界エッジの両側のフェイ
スの幅が等しいためにその演算境界エッジの両端の頂点
も消滅させた場合等、演算で形状を消滅させる際に頂点
を消滅させた場合でも、形状を復元する際に、その消滅
させた頂点も元のエッジに復元し得るので、演算に可逆
性を与え得て、局所的形状復元の手順を円滑に実施し得
るものにすることができる。
【0015】また、上述したこの発明の第2の形状復元
装置にあっては、接続関係付与手段が、前記形状モデラ
が前記演算で形状を消滅させる際に、その演算で作成さ
れる形状モデルが有することになるエッジおよびフェイ
スの内の、前記消滅させる形状を形成する領域との間の
境界となる演算境界エッジとその演算境界エッジに接続
されたフェイスとの組に、前記消滅させる形状を形成す
る領域の前記演算境界エッジを特定し得る接続関係を付
与し、また前記形状モデラが前記演算で二つの形状を形
成する二つの領域を結合して一つの形状を作成する際
に、その演算で作成される形状が有することになるエッ
ジおよびフェイスの内の、前記二つの領域の互いに結合
される二つの演算境界エッジに対応する一つのエッジと
そのエッジに接続されたフェイスとの組に、前記二つの
演算境界エッジの少なくとも一方を特定し得る接続関係
を付与する。またデッドシェル保有手段が、前記消滅さ
せる形状を形成する領域を領域のデッドシェルとして保
有するとともに、前記デッドシェルとした領域に他のデ
ッドシェルとの間の接続関係が付与されている場合には
その接続関係も併せてし、また前記二つ演算境界エッジ
の少なくとも一方を演算境界エッジのデッドシェルとし
て保有するとともに、そのデッドシェルとして保有する
演算境界エッジの幾何データを併せて保有することによ
り、複数のデッドシェルを関連づけて保有する。そして
形状結合手段が、前記演算で作成された形状モデルが有
しているエッジおよびフェイスの内の、復元する形状を
形成する領域との間の演算境界エッジとなるエッジとそ
のエッジに接続されたフェイスとの組を指定されると、
前記デッドシェル保有手段が保有しているデッドシェル
の内から、その指定されたフェイスとエッジとの組に付
与されている前記接続関係で特定される前記演算境界エ
ッジを持つ前記領域のデッドシェルを捜し出して、その
デッドシェルの領域が形成する形状を結合演算により、
前記演算で作成された形状モデルの前記指定されたエッ
ジで分割された二つの領域の内の前記指定されたフェイ
スを有する方の領域に、前記指定されたエッジとそのデ
ッドシェルの領域の演算境界エッジとを介して結合し、
また前記演算で作成された一つの形状を前記一つのエッ
ジの位置で分割して前記二つの形状を復元する際に、前
記デッドシェル保有手段が保有しているデッドシェルの
内から、演算境界エッジとなる前記一つのエッジとその
エッジに接続されたフェイスとの組に付与されている前
記接続関係で特定された前記演算境界エッジのデッドシ
ェルを捜し出し、復元する二つの形状を形成する二つの
領域の、前記一つのエッジに対応するエッジの幾何デー
タとしてそのデッドシェルの演算境界エッジの幾何デー
タを優先的に使用する。
【0016】従って、この発明の第2の形状復元装置に
よれば、二つの複合曲面の結合によって作られた複合曲
面を分割する際に、元の二つの複合曲面の互いに結合さ
れた二つのエッジの少なくとも一方の幾何データをデッ
ドシェルから求めてその幾何データを優先的に使用する
ので、元の二つの複合曲面を厳密に得ることができ、そ
れゆえ、その分割した複合曲面と他の複合曲面との結合
等の演算が幾何データの変更によって実行不能になると
いう不都合を回避することができる。
【0017】
【実施例】以下に、この発明の実施例を図面に基づき詳
細に説明する。図1は、上述した第1および第2の形状
復元装置を共に含む、この発明の形状モデラ用形状復元
装置の一実施例を示す構成図であり、図中1は、具体的
にはあらかじめ与えられたプログラムと使用者が入力す
るデータとに基づき作動する通常のコンピュータ支援設
計(CAD)装置によって構成されている形状モデラ、
また図中2は、具体的にはコンピュータの作動プログラ
ムの形でその形状モデラ中に組み込まれた上記実施例の
形状復元装置をそれぞれ示す。
【0018】ここにおける形状モデラ1は、前記従来の
装置を組み込んだ形状モデラと同様に、集合演算、分割
結合演算、フィレット付与演算等の図形に関する演算を
所要に応じ適宜繰り返し行って曲面と立体とが共存する
形状モデルを作成するものであり、その取り扱う図形の
データとして、頂点、エッジ(稜線)およびフェイス
(面分)を幾何学的に表す幾何データと、それら頂点、
エッジおよびフェイスからなる位相要素間の接続関係を
表す位相データとを有して、その幾何データと位相デー
タとに基づき、ユーザーが取り扱う図形範囲である外部
表現モデル(形状モデル)として、境界を持つことを許
容する二次元多様体モデルを形成し、また上記実施例の
形状復元装置2を具えることから、これも前記従来の装
置を組み込んだ形状モデラと同様に、内部的に取り扱う
図形範囲である内部表現モデルとして、後述するデッド
シェルを含む非多様体モデルを構成する。
【0019】そしてこの形状モデラ1が取り扱う位相デ
ータも、前記従来の装置を組み込んだ形状モデラと同様
に、全てのエッジに対して、両側のフェイスと、両端の
頂点と、両側のフェイスに隣接するとともに当該エッジ
に接続するエッジとの間の隣接関係を示すデータを付帯
させ、エッジを中心として立体の位相構造を表すように
したウイングドエッジ構造を具えているが、該データ構
造の詳細は、既に発表された他の幾つかの論文に記載さ
れている一方、本発明とは直接は関係がないため、ここ
では説明を省略する。
【0020】かかる形状モデラ1中に組み込まれたこの
実施例の形状復元装置2は、図1に示すように、具体的
には各々コンピュータの作動プログラムとして構成され
た、接続関係付与手段としてのポインタ付与部3と、デ
ッドシェル保有手段としてのデッドシェル保有部4と、
形状結合手段としての形状結合部5とを具えており、こ
こにおけるポインタ付与部3は、形状モデラ1が上述し
た図形に関する演算で形状を消滅させる際に、その演算
で作成される形状モデルが有することになるエッジおよ
びフェイスの内の、前記消滅させる形状を形成する領域
との間の境界となる演算境界エッジ(演算で作成される
形状モデルとその消滅させる形状を形成する領域とが、
当該エッジが消去される場合を除いて各々有する共通の
演算境界エッジ)と、その演算境界エッジに接続された
フェイスとの組に、前記消滅させる形状を形成する領域
の前記演算境界エッジを特定し得る接続関係を示すポイ
ンタ(探す側が保有する、探される側のデータの所在地
を示すアドレス)を付与する。
【0021】そして、特にこの実施例におけるポインタ
付与部3は、形状モデラ1が上述した図形に関する演算
で演算境界エッジ(先に定義したようにエッジ列の場合
を含む)を消滅させる場合には、その演算で作成される
形状モデルが有することになる頂点の内の、前記消滅さ
せる演算境界エッジの両端(先に定義したようにエッジ
列の両端の場合を含む)に位置する一対の頂点に、前記
消滅させる演算境界エッジを特定し得る接続関係を示す
ポインタを付与する。
【0022】また、ここにおけるデッドシェル保有部4
は、上記消滅させる形状を形成する領域を、二次元多様
体からなる領域のデッドシェルとして保有するととも
に、そのデッドシェルとした領域に他のデッドシェルと
の間の接続関係を示すポインタが付与されている場合に
はその接続関係も併せて保有し、これに加えて、上記消
滅させる演算境界エッジも、一次元多様体からなる演算
境界エッジのデッドシェルとして保有するとともに、そ
のデッドシェルとした演算境界エッジとその演算境界エ
ッジに接続されていた前記演算の前の形状のフェイスと
の組に他のデッドシェルとの間の接続関係を示すポイン
タが付与されている場合にはその接続関係も併せて保有
することにより、複数のデッドシェルを階層的に関連づ
けて保有する。
【0023】さらに、ここにおける形状結合部5は、上
記演算で作成された形状モデルが有しているエッジおよ
びフェイスの内の、復元する形状を形成する領域との間
の演算境界エッジとなるエッジとそのエッジに接続され
たフェイスとの組を指定されると、デッドシェル保有手
段4が保有しているデッドシェルの内から、その指定さ
れたフェイスとエッジとの組に付与されている前記接続
関係で特定される前記演算境界エッジを持つ前記領域の
デッドシェルを捜し出して、そのデッドシェルの領域が
形成する形状を結合演算により、前記演算で作成された
形状モデルの前記指定されたエッジで分割された二つの
領域の内の前記指定されたフェイスを有する方の領域
に、前記指定されたエッジとそのデッドシェルの領域の
演算境界エッジとを介して結合する。
【0024】そして、特にこの実施例における形状結合
部5は、上記演算で作成された形状モデルが有している
頂点の内の、復元する演算境界エッジの両端の頂点とな
る一対の頂点を指定されると、デッドシェル保有手段4
が保有しているデッドシェルの内から、その指定された
一対の頂点に付与されている前記接続関係で特定される
前記演算境界エッジのデッドシェルを捜し出して、その
デッドシェルの演算境界エッジを、前記演算で作成され
た形状モデルの前記指定された一対の頂点の間に付加す
る。
【0025】かかる実施例の形状復元装置2による、消
滅させる演算境界エッジがある場合の形状復元の手順
を、以下に説明する。なお、消滅させる演算境界エッジ
がない場合の形状復元の手順は、後述する二つの領域の
結合演算およびその結合した二つの領域の分割演算に演
算境界エッジのデッドシェルを使用する点を除けば、前
記従来の装置(特開平6-103342号公報参照)と同様であ
るので、ここでは説明を省略する。
【0026】図2は、二つの図形を形成する領域のフェ
イスの幾何曲面が一致する場合の計算方法の一つを示す
説明図であり、かかる場合の集合演算、あるいは分割結
合演算の演算境界についての計算は、幾何曲面が一致し
ない場合と異なって、通常交差計算のみでは実現できな
いが、以下のようにすれば実現することができる。すな
わち、先ず、幾何曲面が一致しない領域の交線を残留演
算境界エッジE5とし、そのエッジの両端の頂点T1を計算
し、次いで、幾何曲面が一致する領域の外周Cを求め、
次いで、上記二つの頂点T1で区切られた上記外周Cの一
方の部分、例えば外周部分C1を当該演算の演算境界エッ
ジと仮定し、次いで、集合演算もしくは分割結合演算を
実行し、その結果、幾何曲面が一致する部分にフェイス
の重なる領域が生じなければ、その実行した側のエッジ
を消滅演算境界エッジとし、また上記演算の結果、図2
に示す如く幾何曲面が一致する部分にフェイスの重なる
領域SSがを生じれば、反対側の外周部分C2を消滅演算境
界エッジE6とする。なお、かかる残留演算境界エッジと
消滅演算境界エッジとの決定は、上記ポインタ付与部3
が行う。
【0027】しかして上記手順で残留演算境界エッジと
消滅演算境界エッジとを定めた後、集合演算やそれを曲
面に拡張した分割結合演算を、図3に示す如き手順で実
行すれば、演算が可逆性を持つので、局所的形状復元が
可能となる。この図3では、図13に示すと同様の二つの
図形FG1, FG2の集合演算を行っており、ここでは、先
ず、図2に示す例と同様にして定めた残留演算境界エッ
ジE3を上記図形FG1, FG2にそれぞれ付加して消滅演算境
界エッジE7を生じさせ、それらの演算境界エッジE3, E7
が形成する閉じたエッジ列で二つの図形FG1, FG2をそれ
ぞれ分割し、次いで、不要な図形FG6, FG7を削除すると
ともに、それら不要な図形FG6, FG7の領域をそれぞれ領
域のデッドシェルDS4, DS5として保有し、次いで、残っ
た図形FG5,域 FG8を結合し、最後に、消滅演算境界エッ
ジE7を削除して図形FG9 を形成するとともに、上記消滅
演算境界エッジE7を演算境界エッジのデッドシェルDS6
として保有する。
【0028】上記手順における集合演算は、上記ポイン
タ付与部3が行い、その際、不要な図形FG6, FG7を形成
する領域を削除する時には、残留させる図形FG5, FG8
領域の演算境界エッジとそれに隣接するフェイスとの組
の位相データに、消滅させる領域の対応する演算境界エ
ッジを特定し得る接続関係を与えるポインタを付与す
る。さらに、消滅演算境界エッジE7を削除する時には、
残留させる図形FG9 の領域の、消滅演算境界エッジE7
両端に対応する頂点T2の位相データに、消滅演算境界エ
ッジE7を特定し得る接続関係を与えるポインタを付与す
る。そして、上記手順における領域のデッドシェルDS4,
DS5および演算境界エッジのデッドシェルDS6 の保有
は、上記デッドシェル保有部4が行う。
【0029】このようにして形成した図形FG9 からは、
従来の装置では元の図形FG1, FG2の復元はできなかった
が、この実施例の装置によれば、形状結合部5が実行す
る以下の如き手順によって復元することができる。すな
わち、ユーザーが、図形FG6もしくはFG7 またはそれら
の両方の形状を復元するため、作成された形状モデルが
有しているエッジの内から、その復元する形状を形成す
る図形FG6, FG7の領域との間の演算境界エッジの両端と
なる頂点T2を指定すると、先ず、デッドシェル保有部4
が保有しているデッドシェルの内から、その指定された
頂点T2に付与されているポインタで特定された演算境界
エッジのデッドシェルDS6 を捜し出すとともにそのデッ
ドシェルDS6 の消滅演算境界エッジE7に付与されていた
ポインタも捜し出し、次いで、捜し出したデッドシェル
DS6 の消滅演算境界エッジE7を、上記作成された形状モ
デルFG9 の領域の上記指定された頂点T2間に付加し、次
いで、その消滅演算境界エッジE7を付加した形状モデル
FG9 を、その消滅演算境界エッジE7を含む閉じたエッジ
列の位置で上記図形FG5, FG8に分割する。
【0030】そしてその後、ユーザーが、図形FG6 もし
くはFG7 またはそれらの両方の形状を復元するためさら
に、上記付加した消滅演算境界エッジE7とそれに接続さ
れたフェイスとの組を指定すると、上記捜し出した、そ
の消滅演算境界エッジE7に付与されているポインタで特
定される領域のデッドシェルDS4, DS5を捜し出して、そ
の捜し出したデッドシェルの領域が形成する図形FG6, F
G7を、上記二つの図形FG5, FG8の領域の内の上記指定さ
れたフェイスを有する方の領域に、上記付加した消滅演
算境界エッジE7を介して結合し、最後に上記残留演算境
界エッジE3を削除して、図形FG6 もしくはFG7 またはそ
れらの両方を復元する。
【0031】図4は、止まり面を拡張してフィレット面
を付与する場合に、演算に可逆性を持たせて、局所的形
状復元を可能とする手順を示し、この図4では、図14に
示すと同様の図形FG4 へのフィレット面FL1 の付与を行
っており、ここでは、先ず、フィレット面のための曲面
CFを作成し、次いで、止まり面SF1 の延長部分とその曲
面CFとの間で分割結合演算を行って置換用の図形FG10
作成し、その置換用の図形FG10の、図2に示す例と同様
にして定めた残留演算境界エッジE8と消滅演算境界エッ
ジE9とからなる端周エッジ列を、上記図形FG4 に転写
し、次いで、図形FG4 のその端周エッジ列の内部の不要
な図形FG11を図形FG4 から削除するとともに、その削除
する図形FG11を形成する領域を領域のデッドシェルDS7
として保有し、次いで、その図形FG11の領域を除去され
た図形FG4 と上記置換用の図形FG10とを結合し、最後
に、止まり面SF1 の延長の起線となった上記消滅演算境
界エッジE9を削除して、フィレット面が付与された図形
FG12を形成するとともに、その消滅演算境界エッジE9
演算境界エッジのデッドシェルDS8 として保有する。
【0032】上記手順における分割結合演算も、上記ポ
インタ付与部3が行い、その際、不要な図形FG11を形成
する領域を削除する時には、残留させる図形FG4 の領域
の演算境界エッジとそれに隣接するフェイスとの組の位
相データに、消滅させる領域の対応する演算境界エッジ
を特定し得る接続関係を与えるポインタを付与する。さ
らに消滅演算境界エッジE9を削除する時には、残留させ
る図形FG12の領域の、消滅演算境界エッジE9の両端に対
応する頂点T3の位相データに、消滅演算境界エッジE9
特定し得る接続関係を与えるポインタを付与する。そし
て、上記手順における領域のデッドシェルDS7 および演
算境界エッジのデッドシェルDS8 の保有は、上記デッド
シェル保有部4が行う。
【0033】このようにして図形FG12を形成する手順
も、演算が可逆性を持つので、この実施例の装置によれ
ば、先の二つの図形を形成する領域のフェイスの幾何曲
面が一致する場合と同様に、その形成した図形FG12につ
いて、ユーザーが上記頂点T3を指定することで、形状結
合部5がデッドシェルの内から捜し出した消滅演算境界
エッジE9を付加し、さらにユーザーがその消滅演算境界
エッジE9と止まり面SF1との組を指定することで、形状
結合部5がデッドシェルの内から捜し出した図形FG11
結合することから、元の図形FG4 を復元することができ
る。
【0034】従ってこの実施例の装置によれば、フェイ
スが一致する図形間の集合演算によって新たな図形を作
成する際に両側でフェイスが一致する演算境界エッジが
消去された場合や、図形へのフィレット面のフィレット
がけによって止まり面が拡張されて本来の演算境界エッ
ジが消去された場合でも、その消去された演算境界エッ
ジをデッドシェルの内から捜し出して付加した後に、従
来の装置と同様に結合演算を行って形状を復元し得るの
で、局所的形状復元を問題なく実行することができ、そ
れゆえ、非常に複雑かつ微妙な図形を取り扱う鋳鍛造金
型等のモデリングの効率を、従来の装置よりもさらに高
めることができる。
【0035】さらに、この実施例の装置においては、図
5に示すように、形状モデラ1が図形に関する演算で形
状を消滅させる際に頂点T4も消滅させる場合に、デッド
シェル保有部4が、その消滅させる頂点T4を、ゼロ次元
多様体からなる頂点のデッドシェルDS9 として保有する
とともに、その頂点T4の幾何データも併せて保有し、形
状結合部5が、上記演算で作成された形状モデルが有し
ているエッジの内の、頂点を復元するエッジE10 をユー
ザーによって指定されると、デッドシェル保有部4が保
有しているデッドシェルの内から、その指定されたエッ
ジE10 上に位置し得る幾何データを持つ頂点のデッドシ
ェルDS9 を捜し出して、そのデッドシェルの頂点T4を、
併せて保有していたその頂点T4の幾何データを優先的に
用いて、上記演算で作成された形状モデルの上記指定さ
れたエッジE10 に付加する。
【0036】従ってこの実施例の装置によれば、例えば
上記演算境界エッジを消滅させる際にその演算境界エッ
ジの両側のフェイスの幅が等しいためにその演算境界エ
ッジの両端の頂点も消滅させた場合等、演算で形状を消
滅させる際に頂点を消滅させた場合でも、形状を復元す
る際に、その消滅させた頂点も元のエッジに復元し得る
ので、この点でも演算に可逆性を与え得て、局所的形状
復元の手順を円滑に実施し得るものにすることができ
る。
【0037】さらに、この実施例の装置では、図6に示
すように、形状モデラ1が図形に関する演算で複合曲面
を持つ二つの形状を形成する二つの領域CB1, CB2を結合
して複合曲面を持つ一つの形状CB3 を作成する際に、接
続関係付与部3が、その演算で作成される形状が有する
ことになるエッジおよびフェイスの内の、それら二つの
領域の互いに結合される二つの演算境界エッジE11, E12
に対応する一つのエッジE13 とそのエッジにそれぞれ接
続されたフェイスF2, F3との各組に上記二つの演算境界
エッジE11, E12をそれぞれ特定し得る接続関係を示すポ
インタを付与するとともに、二つの領域CB1, CB2の端周
エッジ列から上記二つの演算境界エッジE11, E12を分割
して二つの一次元多様体を生成し、デッドシェル保有部
4が、上記二つの演算境界エッジの一次元多様体をそれ
ぞれ演算境界エッジのデッドシェルDS10, DS11として保
有するとともに、それらデッドシェルとして保有する演
算境界エッジの幾何データを併せて保有する。
【0038】そして形状結合部5は、上記演算で作成さ
れた一つの形状CB3 を上記一つのエッジE13 の位置で分
割して上記二つの形状を復元する際に、デッドシェル保
有部4が保有しているデッドシェルの内から演算境界エ
ッジとなる上記一つのエッジE13 とそのエッジに接続さ
れたフェイスF2, F3との組に付与されているポインタで
特定された上記演算境界エッジのデッドシェルDS10, DS
11を捜し出し、復元する二つの形状を形成する二つの領
域CB1, CB2の、上記一つのエッジに対応するエッジE11,
E12の幾何データとしてそれらのデッドシェルの演算境
界エッジの幾何データを優先的に使用する。
【0039】従ってこの実施例の装置によれば、二つの
複合曲面の結合によって作られた複合曲面を分割する際
に、元の二つの複合曲面の互いに結合された二つのエッ
ジの少なくとも一方の幾何データをデッドシェルから求
めてその幾何データを優先的に使用するので、演算の対
象物に対称性を与え得て、元の二つの複合曲面を厳密に
得ることができ、それゆえ、その分割した複合曲面と他
の複合曲面との結合等の演算が幾何データの変更によっ
て実行不能になるという不都合を回避することができ
る。
【0040】なお、この場合に、例えば上記二つの領域
CB1, CB2のフェイスが一致するとともにそれらの領域CB
1, CB2の演算境界エッジE11, E12の延在方向の幅が等し
かったため、それらの領域の結合によって作成された形
状CB3 のエッジE13 を除去するとともにそのエッジE13
の両端の頂点も除去した場合でも、先に述べた方法でそ
れらの頂点を復元し、次いで上記エッジE13 を復元すれ
ば、上述の如くして、元の領域CB1, CB2の複合曲面を厳
密に得ることができる。
【0041】次に、この実施例の装置2を具える形状モ
デラ1が取り扱う上述した階層型非多様体モデルおよび
そこにおける三種類のデッドシェルについてさらに詳細
に説明する。図3および図4に基づいて説明した局所的
形状復元と、図5および図6に基づいて説明した局所的
形状復元には違いがある。すなわち、図6に基づいて説
明した局所的形状復元で用いた一次元多様体からなる演
算境界エッジのデッドシェルDS10, DS11は、演算境界エ
ッジに沿ってライブシェル(表示される図形)を分割し
てできたライブシェルに対して作用して、物体を結合前
の形状に復元するものであり、ライブシェルの演算境界
エッジとデッドシェルの演算境界エッジとの間には位相
的な接続関係が存在する。かかる、エッジとその両端の
頂点とに位相的な接続関係をもつデッドシェルを、本願
発明者は第1種のデッドシェルと呼ぶこととしており、
先に述べた本願発明者等の従来の装置および本願発明者
等の論文「多様体をベースとする階層型非多様体モデル
の理論と応用(第一報)」で取り扱った二次元多様体か
らなるデッドシェルも、この第1種のデッドシェルであ
る。
【0042】この一方、図3および図4に基づいて説明
した局所的形状復元では、ライブシェルに存在していた
位相要素の集合を消滅させて、一次元多様体からなる演
算境界エッジのデッドシェルDS6, DS8に保存し、演算境
界エッジの端部の頂点においてのみ非多様体接続させ
る。このデッドシェルDS6, DS8は、局所的形状復元の際
には、ライブシェルの演算境界エッジ列にそれらのデッ
ドシェルに対応する位相要素が存在しない状態で作用
し、消滅させた位相要素を復元する働きをする。かか
る、頂点のみに位相的接続関係を有するデッドシェル
を、本願発明者は第2種のデッドシェルと呼ぶこととし
ている。
【0043】さらに、図5に基づいて説明した局所的形
状復元での、ゼロ次元多様体からなる頂点のデッドシェ
ルDS9 は、位相的なつながりが全くなく、連結していな
い図形である点で、前二者と異なる。この形式のデッド
シェルを、本願発明者は第3種のデッドシェルと呼ぶこ
ととしている。なお、本願発明者の採用している胞複体
モデルではセルオペレータ(本願発明者等が先に発表し
た論文「曲面立体共存モデラの位相数学モデルと集合演
算(第一報)」(鈴木建彦ほか著、精密工学会誌、57,
8, (1991), 1393 )参照)を使用する限り、これ以外の
種類のデッドシェルは存在しない。
【0044】上述した一次元多様体からなる第1種デッ
ドシェルを、二次元多様体からなる第1種デッドシェル
の場合と対比させて説明すると、先に述べた従来の装置
での分割結合演算における二次元多様体からなるデッド
シェルの、位相演算子単位で考察した生成過程は、先
ず、複体を分割し、次いで使用者に必要な複体を結合し
てライブシェルとするとともに、使用者から見えなくな
る複体をデッドシェルとし、ライブシェルとデッドシェ
ルとの間の位相的接続関係を与える、というものであ
り、一方、この発明における、局所的形状復元のための
一次元多様体からなるデッドシェルの生成過程は、図6
に示すように、先ず、端周エッジ列を分割して1次元多
様体を作り、次いで複体を結合してライブシェルとする
とともに、生成した1次元多様体をデッドシェルとし、
ライブシェルとデッドシェルとの間の位相的接続関係を
与える、というものである。
【0045】図6に示したような、一つの演算境界エッ
ジに対して二つの一次元多様体のデッドシェルを生成す
る方法は、演算の対象物に対称性を与えることができる
点が優れている。一方、一つの一次元多様体のデッドシ
ェルを使用する方法も当然存在し、この場合はデータ量
を相対的に減らすことができる。そして形状復元を行う
際には、デッドシェルの次元にかかわらず、エッジおよ
び頂点の幾何データとしてデッドシェルの方の幾何デー
タを優先して結合を行う。これにより、元の幾何データ
に復元することができる。当然デッドシェル中の幾何デ
ータには、復元すべき元の幾何データを保存しておかな
ければならない。
【0046】なお局所形状復元が可能な条件は、先に述
べた本願発明者等の従来の装置と同じく、ある演算に対
応した演算境界エッジが閉じるか、同一の端周間を結ぶ
ことであり、ここでの形状モデルが多様体をベースとし
た階層型の非多様体を構成しているという点は、上記従
来の装置と同様である。
【0047】一次元多様体からなる第2種のデッドシェ
ルによる局所的形状復元が可能なのは、対応する両端の
頂点およびそれに接続する演算境界エッジが存在し、な
おかつ中間のエッジおよび頂点を付与できるフェイス、
エッジあるいは頂点が存在する場合である。第2種のデ
ッドシェルで局所的形状復元を行えば、第1種のデッド
シェルに接続する演算境界エッジが生成される。また、
第2種のデッドシェルを発生させた演算全体に対して局
所的形状復元が可能な条件は、第2種のデッドシェルの
みを局所的に形状復元した時点で、当該演算が作り出し
た演算境界エッジが閉じるか、あるいは同一端周を構成
することである。明らかに、同一の演算で作られた第2
種のデッドシェルはそれが接続する第1種のデッドシェ
ルより上位の階層に属する。
【0048】ゼロ次元多様体からなる第3種のデッドシ
ェルによる局所的形状復元が可能なのは、デッドシェル
の頂点を付与できるエッジが存在することである。な
お、本願発明者は、第3種のデッドシェルをもつ物体は
非多様体であるとの立場に立っている。これは、位相数
学の多様体の定義に「連結していること」が含まれてい
ること(岩波書店発行の「数学辞典」参照)と合致して
いる。
【0049】次に、一般化された多様体をベースとする
階層型非多様体モデルと位相演算子について説明する。
多様体をベースとする階層型非多様体モデルは、多様体
である複体を多重に結合することにより表現された結合
体である。本願発明者が非多様体モデルを利用する目的
は、局所的形状復元を行うことである。この目的のため
には、多重結合がなされている位相要素において、多重
結合がなされる前に幾何データを、多重結合がなされる
多様体との対応関係とともに保存する必要がある。これ
に適したデータ構造は、非多様体を多様体の集合で表
し、デッドシェルの演算境界の位相要素がライブシェル
のそれと同一視することができるとする形である。この
表現がなされた非多様体を、複体の多重結合体と呼ぶこ
とにする。なお、ここでいう「同一視できる」ための条
件は、幾何データが同一であるか、近似的に同じである
と見なせることである。
【0050】図7に示すように、複体の形で表現された
非多様体では重複した位相要素の存在が許容されないの
に対し、複体の多重結合体においてはこれが許容される
点が異なる。幾何データが位相データに1:1に対応し
た形で保有されるものと仮定すると、複体の形で表現し
た非多様体を用いると、多重結合を行う前の形状に戻す
際に、多重結合を行う前の幾何データを正確には元に戻
すことができないが、多重結合体ではこれが可能であ
る。すなわち、複体の多重結合体から複体の形の非多様
体への写像は可能であるが、その逆は前記の仮定の下で
は不可能である。なお、本願発明者は、複体の多重結合
体をwilsonのモデルで実現したが、他の非多様体の表現
方法、たとえばweilerのRadial Edge 構造や村端等のサ
イクル構造でも、位相要素に適当な属性を付与するなど
の工夫を行えば多様体の多重結合体の表現が可能であ
る。
【0051】この多重結合体の式表現を以下に示す。
【数1】
【0052】先に述べた本願発明者等の従来の装置で
は、M1 は二次元多様体に限定していたが、本願発明で
は、一次元多様体の取扱もできるようにして、異次元混
在型の斉次でない非多様体に拡張した。また、上記従来
の装置ではB1 ・はエッジ列に限定していたが、本願発
明では、一次元多様体の頂点も許容し、同時に、結合さ
れていない図形をも含むことのできる形に拡張した。図
8は、本願発明者が本願発明で提示した階層型非多様化
モデルが表現できる範囲を示し、点線部分が下位の階層
であるデッドシェルを表現している。
【0053】この非多様体構造は、従来から発表されて
いる非多様体構造と比較して、階層型しか取り扱うこと
ができず、形状表現能力が比較的小さい。しかしなが
ら、本願発明者が本願発明で用いている形状モデラは、
使用者が取り扱うことのできる図形範囲であるライブシ
ェルを積極的に多様体の範囲に限定しようとしており、
この範囲内で形状復元を局所的に行えば良いという条件
の下では、これ以上複雑な非多様体構造を必要としな
い。多様体に限定した本願発明者等のいう胞複体モデル
(本願発明者等の上記論文「曲面立体共存モデラの位相
数学モデルと集合演算(第一報)」参照)においては、
基本的な位相演算は五種類のセルオペレータ(位相演算
子)で実現できる。というのは、本願発明で提案する
「多様体ベースとする斉次でない階層型非多様体モデ
ル」は、これの逆演算を実現するための図形表現に枠組
みを提供するからである。
【0054】多様体の多重結合体におけるオイラボアン
カレの式と位相演算子について説明すると、従来より非
多様体モデルにおけるオイラポアンカレの式は、それぞ
れの立場から導かれているが、これらの式は複体を対象
としており、デッドシェルを用いて表現された多様体を
ベースとする階層型非多様体モデルを説明するには便利
でない。ここでは、複体に変換せず多様体の多重結合体
におけるオイラポアンカレの式から位相演算子を導き、
それを様いることにより作り出される図形が、本願発明
者のモデルの表現範囲に保たれることを示す。なお、こ
こでは位相要素として、次の要素を採用する。 s:多重結合体を構成する多様体 f:フェイス r:フェイスの中の島 e:エッジ v:頂点 g:貫通穴
【0055】個々のゼロ次元〜二次元多様体では、次の
オイラポアンカレの式が成立し、従って、ライブシェル
およびデッドシェルを一まとめの物体として見た場合
も、同じ式が成立するのは明らかである。 v−e+(f−r)=2(s−g)
【0056】デッドシェルを用いて表現した階層型非多
様化モデルにあっては、非多様体接続が行われるエッジ
や頂点は、異なった幾何データを持った複数のエッジや
頂点で構成され(非多様体位相構成要素と呼ぶ)、これ
が同一であると見做されることにより、非多様体接続が
なされるとしており、図9に示すように、非多様体接続
を行っていない位相要素および非多様体位相構成要素に
あっては、階層の最上位にある図形の位相要素を、名目
的な位相要素と呼び、添え字nで表現する。また名目的
でない非多様体位相構成要素を補完的な位相要素と呼
び、添え字cで表現することにする。なお、複体を対象
とするオイラポアンカレの式の場合は、ここでいう名目
的な位相要素のみを対象として取り扱う。
【0057】ここで、エッジおよび頂点以外はこの区別
を行う必要がないのでそのままの記号を用いると、前式
は次の形に書き表すことができ、これが、階層型非多様
体モデルのオイラポアンカレ式である。 (vn +vc )−(en +ec )+(f−r)=2(s
−g)
【0058】上記の式を満足させるための独立な基本位
相演算子は全部で七個存在する。その内の五つは上述し
た多様体のオイラオペレータとしてよく知られており、
残りの二つの基本位相演算子としては、図10および図11
に示す如き、次の二つを選択することができる。なお、
括弧内は逆演算子を表現している。 発生(解除)−非多様体−頂点:make(kill)-non-manif
old-vertex Δvn=−1(+1) Δvc =+1
(−1) 発生(解除)−非多様体−エッジ:make(kill)-non-man
ifold-edge Δen=−1(+1) Δec =+1
(−1)
【0059】上記の基本位相演算子は、頂点あるいはエ
ッジに、デッドシェルの非多様体結合を発生させる(解
除する)という操作に対応する。この基本演算子を使用
するにあたっては、発生−非多様体−エッジを機能させ
る前に、両端の頂点に対し、発生−非多様体−頂点を機
能させておく必要がある。逆に、解除−非多様体−頂点
を機能させる前に、両側のエッジに対し、解除−非多様
体−エッジを機能させておく必要がある。これを実現す
れば、いかなる状態でも位相的な矛盾は存在しない。
【0060】基本位相演算子をそのまま使用すること
は、プログラムを複数にするのみならず、よしんば処理
をまとめたサブルーチンの中で使用しても、無視できな
い処理速度の低下をもたらす。本願発明者等は、これを
防止し、我々の位相モデルである多様体的胞複体を構成
することを補償するために、五つのセルオペレータを開
発しこれを使用している(本願発明者等の上記論文「曲
面立体共存モデラの位相数学モデルと集合演算(第一
報)」参照)。階層型非多様体モデルの場合は、これ
に、さらに次の二つのセルオペレータを追加することに
より、上記の問題点を解決できる。 (1)第1種のデッドシェルの多重結合を発生させる
(解除する) (2)第2種のデッドシェルの多重結合を発生させる
(解除する)
【0061】これらのセルオペレータが基本演算子の組
み合わせで実現できることは、容易に確認することがで
きる。なお、第3種のデッドシェルの発生や解除は、従
来のセルオペレータで実現できる。これらのオペレータ
を使用することにより、位相モデルに欠陥がないことを
保証することができる。
【0062】以上、図示例に基づき説明したが、この発
明は上述の例に限定されるものでなく、例えば、先に少
し述べたように、接続関係付与部3が、形状モデラ1が
図形に関する演算で複合曲面を持つ二つの形状を形成す
る二つの領域を結合して複合曲面を持つ一つの形状を作
成する際に、その演算で作成される形状が有することに
なるエッジおよびフェイスの内の、それら二つの領域の
互いに結合される二つの演算境界エッジに対応する一つ
のエッジとそのエッジにそれぞれ接続されたフェイスと
の各組に、上記二つの演算境界エッジをそれぞれ特定し
得る接続関係を示すポインタを付与し、デッドシェル保
有部4が、上記二つ演算境界エッジの何れか一方を演算
境界エッジのデッドシェルとして保有するとともに、そ
のデッドシェルとして保有する演算境界エッジの幾何デ
ータを併せて保有し、形状結合部5が、上記演算で作成
された一つの形状を上記一つのエッジの位置で分割して
上記二つの形状を復元する際に、デッドシェル保有部4
が保有しているデッドシェルの内から演算境界エッジと
なる上記一つのエッジとそのエッジに接続されたフェイ
スとの組に付与されているポインタで特定された上記一
つの演算境界エッジのデッドシェルを捜し出し、復元す
る二つの形状を形成する二つの領域の、上記一つのエッ
ジに対応する二つのエッジの幾何データとして、その一
つのデッドシェルの演算境界エッジの幾何データを共用
して優先的に使用するようにしても良い。上記のように
一つの一次元多様体のデッドシェルを使用すれば、保有
するデータの量を減らすことができる。
【0063】なお、本願発明でいう「シェル」は、図形
演算の対象範囲を示すものであり、図形としての接続範
囲とは必ずしも一致しない。従って、本願発明の「シェ
ル」は、本願発明者が発表した先の論文「多様体をベー
スとする階層型非多様体モデルの理論と応用(第一
報)」におけるように図形としての接続範囲と一致させ
る方法で実現することもできるが、図形表現の枠組みと
しての例えばいわゆるラジアルエッジ構造(本願発明者
の上記論文中で引用したWeiller の論文参照)やサイク
ル構造(「非多様体シェル演算による統一的形状モデリ
ング(第一報)」東正毅ほか著、精密工学会誌, 60, 1
1, (1994), 1658)等の非多様体においても、演算の対
象範囲をエッジ列等で囲む等の方法で特定することによ
って実現することができる。それゆえ、上記実施例の説
明では図形表現の対象を多様体として記述しているもの
の、本願発明は、図形表現の対象を多様体に限定するも
のではない。
【0064】
【発明の効果】かくしてこの発明の第1の形状復元装置
によれば、フェイスが一致する図形間の集合演算によっ
て新たな図形を作成する際に両側でフェイスが一致する
演算境界エッジが消去された場合や、図形へのフィレッ
ト面のフィレットがけによって止まり面が拡張されて本
来の演算境界エッジが消去された場合でも、その消去さ
れた演算境界エッジをデッドシェルの内から捜し出して
付加した後に、従来の装置と同様に結合演算を行って形
状を復元し得るので、局所的形状復元を問題なく実行す
ることができ、それゆえ、非常に複雑かつ微妙な図形を
取り扱う鋳鍛造金型等のモデリングの効率を、従来の装
置よりもさらに高めることができる。
【0065】そして、この発明の第1の形状復元装置
を、さらに、前記デッドシェル保有手段が、前記形状モ
デラが前記演算で形状を消滅させる際に頂点も消滅させ
る場合に、前記消滅させる頂点をデッドシェルとして保
有し、前記形状結合手段が、前記演算で作成された形状
モデルが有しているエッジの内の、頂点を復元するエッ
ジを指定されると、前記デッドシェル保有手段が保有し
ているデッドシェルの内から、その指定されたエッジ上
に位置し得る幾何データを持つ頂点のデッドシェルを捜
し出して、そのデッドシェルの頂点を、前記演算で作成
された形状モデルが有している前記指定されたエッジに
付加する、というように構成すれば、例えば上記演算境
界エッジを消滅させる際にその演算境界エッジの両側の
フェイスの幅が等しいためにその演算境界エッジの両端
の頂点も消滅させた場合等、演算で形状を消滅させる際
に頂点を消滅させた場合でも、形状を復元する際に、そ
の消滅させた頂点も元のエッジに復元し得るので、演算
に可逆性を与え得て、局所的形状復元の手順を円滑に実
施し得るものにすることができる。
【0066】また、この発明の第2の形状復元装置によ
れば、二つの複合曲面の結合によって作られた複合曲面
を分割する際に、元の二つの複合曲面の互いに結合され
た二つのエッジの少なくとも一方の幾何データをデッド
シェルから求めてその幾何データを優先的に使用するの
で、元の二つの複合曲面を厳密に得ることができ、それ
ゆえ、その分割した複合曲面と他の複合曲面との結合等
の演算が幾何データの変更によって実行不能になるとい
う不都合を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の形状モデラ用形状復元装置の、第1
および第2の形状復元装置を共に含む一実施例を示す構
成図である。
【図2】二つの図形を形成する領域のフェイスの幾何曲
面が一致する場合の計算方法を例示する説明図である。
【図3】図13に示すと同様の二つの図形の、上記実施例
の装置における集合演算および復元の手順を示す説明図
である。
【図4】図14に示すと同様の図形の、上記実施例の装置
におけるフィレットがけおよび復元の手順を示す説明図
である。
【図5】上記実施例の装置における頂点の削除と復元の
方法を示す説明図である。
【図6】上記実施例の装置における複合曲面の結合分離
の方法を示す説明図である。
【図7】複体の多重結合体と複体の形の非多様体とを示
す説明図である。
【図8】本願発明で提示した階層型非多様化モデルが表
現できる範囲を示す説明図である。
【図9】デッドシェルを用いて表現した階層型非多様化
モデルにおける、名目的な位相要素と補完的な位相要素
とを示す説明図である。
【図10】本発明で用い得る、発生(解除)−非多様体
−エッジという基本演算子を示す説明図である。
【図11】本発明で用い得る、発生(解除)−非多様体
−頂点という基本演算子を示す説明図である。
【図12】従来の形状復元装置の機能を示す説明図であ
る。
【図13】フェイスが一致する図形間の集合演算におけ
る上記従来の形状復元装置の問題点を示す説明図であ
る。
【図14】フィレットがけで止まり面が拡張された場合
の上記従来の形状復元装置の問題点を示す説明図であ
る。
【図15】二つの複合曲面を結合してなる複合曲面を分
割する場合の上記従来の形状復元装置の問題点を示す説
明図である。
【符号の説明】
1 形状モデラ 2 形状復元装置 3 接続関係付与部 4 デッドシェル保有部 5 形状結合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江口 誠治 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−103342(JP,A) 特開 平6−259509(JP,A) 鈴木建彦 他4名,”多様体をベース とする階層型非多様体モデルの理論と応 用(第1報)”,精密工学会誌,1993年 10月,第59巻,第10号,p.1665−1670 東正毅 他2名,”非多様体シェル演 算による統一的形状モデリング(第1 報)”,精密工学会誌,1994年11月,第 60巻,第11号,p.1658−1662 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06F 17/50 622 G06F 17/50 626 G06T 17/40 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 図形に関する演算を繰り返し行って形状
    モデルを作成する、立体もしくは曲面を取り扱うことが
    できる形状モデラ (1) に用いられ、該形状モデラが前
    記演算で消滅させた形状を、その演算で作成された形状
    モデル中に復元する形状復元装置 (2) において、 前記形状モデラが前記演算で形状を消滅させる際に、そ
    の演算で作成される形状モデルが有することになるエッ
    ジおよびフェイスの内の、前記消滅させる形状を形成す
    る領域との間の境界となる演算境界エッジとその演算境
    界エッジに接続されたフェイスとの組に、前記消滅させ
    る形状を形成する領域の前記演算境界エッジを特定し得
    る接続関係を付与する接続関係付与手段 (3) と、 前記消滅させる形状を形成する領域を領域のデッドシェ
    ルとして保有するとともに、前記デッドシェルとした領
    域に他のデッドシェルとの間の接続関係が付与されてい
    る場合にはその接続関係も併せて保有することにより、
    複数のデッドシェルを関連づけて保有し得るデッドシェ
    ル保有手段 (4) と、 前記演算で作成された形状モデルが有しているエッジお
    よびフェイスの内の、復元する形状を形成する領域との
    間の演算境界エッジとなるエッジとそのエッジに接続さ
    れたフェイスとの組を指定されると、前記デッドシェル
    保有手段が保有しているデッドシェルの内から、その指
    定されたフェイスとエッジとの組に付与されている前記
    接続関係で特定される前記演算境界エッジを持つ前記領
    域のデッドシェルを捜し出して、そのデッドシェルの領
    域が形成する形状を結合演算により、前記演算で作成さ
    れた形状モデルの前記指定されたエッジで分割された二
    つの領域の内の前記指定されたフェイスを有する方の領
    域に、前記指定されたエッジとそのデッドシェルの領域
    の演算境界エッジとを介して結合する形状結合手段(5)
    と、を具え、 前記接続関係付与手段 (3) が、前記形状モデラが前記
    演算で演算境界エッジ(E7)を消滅させる際に、その演算
    で作成される形状モデルが有することになる頂点の内
    の、前記消滅させる演算境界エッジの両端に位置する一
    対の頂点(T2)に、前記消滅させる演算境界エッジを特定
    し得る接続関係を付与し、 前記デッドシェル保有手段 (4) が、前記消滅させる演
    算境界エッジ(E7)を演算境界エッジのデッドシェル (DS
    6)として保有するとともに、前記デッドシェルとした演
    算境界エッジとその演算境界エッジに接続されていた前
    記演算の前の形状のフェイスとの組に他のデッドシェル
    との間の接続関係が付与されている場合にはその接続関
    係も併せて保有し、 前記形状結合手段 (5) が、前記演算で作成された形状
    モデルが有している頂点の内の、復元する演算境界エッ
    ジの両端の頂点となる一対の頂点(T2)を指定されると、
    前記デッドシェル保有手段が保有しているデッドシェル
    の内から、その指定された一対の頂点に付与されている
    前記接続関係で特定される前記演算境界エッジのデッド
    シェル (DS6)を捜し出して、そのデッドシェルの演算境
    界エッジ(E7)を、前記演算で作成された形状モデルの前
    記指定された一対の頂点(T2)の間に付加すること、 を特徴とする、形状モデラ用形状復元装置。
  2. 【請求項2】 前記デッドシェル保有手段 (4) は、前
    記形状モデラが前記演算で形状を消滅させる際に頂点(T
    4)も消滅させる場合に、前記消滅させる頂点(T4)を頂点
    のデッドシェル(DS9)として保有し、 前記形状結合手段 (5) は、前記演算で作成された形状
    モデルが有しているエッジの内の、頂点を復元するエッ
    ジ (E10)を指定されると、前記デッドシェル保有手段が
    保有しているデッドシェルの内から、その指定されたエ
    ッジ上に位置し得る幾何データを持つ頂点のデッドシェ
    ル(DS9)を捜し出して、そのデッドシェルの頂点(T4)
    を、前記演算で作成された形状モデルが有している前記
    指定されたエッジ (E10)に付加することを特徴とする、
    請求項1記載の形状モデラ用形状復元装置。
  3. 【請求項3】 図形に関する演算を繰り返し行って形状
    モデルを作成する、立体もしくは曲面を取り扱うことが
    できる形状モデラ (1) に用いられ、該形状モデラが前
    記演算で消滅させた形状を、その演算で作成された形状
    モデル中に復元する形状復元装置 (2) において、 前記形状モデラが前記演算で形状を消滅させる際に、そ
    の演算で作成される形状モデルが有することになるエッ
    ジおよびフェイスの内の、前記消滅させる形状を形成す
    る領域との間の境界となる演算境界エッジとその演算境
    界エッジに接続されたフェイスとの組に、前記消滅させ
    る形状を形成する領域の前記演算境界エッジを特定し得
    る接続関係を付与する接続関係付与手段 (3) と、 前記消滅させる形状を形成する領域を領域のデッドシェ
    ルとして保有するとともに、前記デッドシェルとした領
    域に他のデッドシェルとの間の接続関係が付与されてい
    る場合にはその接続関係も併せて保有することにより、
    複数のデッドシェルを関連づけて保有し得るデッドシェ
    ル保有手段 (4) と、 前記演算で作成された形状モデルが有しているエッジお
    よびフェイスの内の、復元する形状を形成する領域との
    間の演算境界エッジとなるエッジとそのエッジに接続さ
    れたフェイスとの組を指定されると、前記デッドシェル
    保有手段が保有しているデッドシェルの内から、その指
    定されたフェイスとエッジとの組に付与されている前記
    接続関係で特定される前記演算境界エッジを持つ前記領
    域のデッドシェルを捜し出して、そのデッドシェルの領
    域が形成する形状を結合演算により、前記演算で作成さ
    れた形状モデルの前記指定されたエッジで分割された二
    つの領域の内の前記指定されたフェイスを有する方の領
    域に、前記指定されたエッジとそのデッドシェルの領域
    の演算境界エッジとを介して結合する形状結合手段(5)
    と、を具え、 前記接続関係付与手段 (3) が、前記形状モデラが前記
    演算で二つの形状を形成する二つの領域(CB1, CB2)を結
    合して一つの形状(CB3) を作成する際に、その演算で作
    成される形状が有することになるエッジおよびフェイス
    の内の、前記二つの領域の互いに結合される二つの演算
    境界エッジ(E11, E12)に対応する一つのエッジ(E13) と
    そのエッジに接続されたフェイス(F2, F3)との組に、前
    記二つの演算境界エッジ(E11, E12)の少なくとも一方を
    特定し得る接続関係を付与し、 前記デッドシェル保有手段 (4) が、前記二つ演算境界
    エッジの少なくとも一方を演算境界エッジのデッドシェ
    ル(DS10, DS11)として保有するとともに、そのデッドシ
    ェルとして保有する演算境界エッジの幾何データを併せ
    て保有し、 前記形状結合手段 (5) が、前記演算で作成された一つ
    の形状(CB3) を前記一つのエッジ(E13) の位置で分割し
    て前記二つの形状を復元する際に、前記デッドシェル保
    有手段が保有しているデッドシェルの内から、演算境界
    エッジとなる前記一つのエッジ(E13) とそのエッジに接
    続されたフェイス(F2, F3)との組に付与されている前記
    接続関係で特定された前記演算境界エッジのデッドシェ
    ル(DS10,DS11)を捜し出し、復元する二つの形状を形成
    する二つの領域(CB1, CB2)の、前記一つのエッジに対応
    するエッジ(E11, E12)の幾何データとしてそのデッドシ
    ェルの演算境界エッジの幾何データを優先的に使用する
    こと、を特徴とする、形状モデラ用形状復元装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
東正毅 他2名,"非多様体シェル演算による統一的形状モデリング(第1報)",精密工学会誌,1994年11月,第60巻,第11号,p.1658−1662
鈴木建彦 他4名,"多様体をベースとする階層型非多様体モデルの理論と応用(第1報)",精密工学会誌,1993年10月,第59巻,第10号,p.1665−1670

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