JP3204003B2 - 掘削工具およびリングビット - Google Patents

掘削工具およびリングビット

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JP3204003B2
JP3204003B2 JP29022294A JP29022294A JP3204003B2 JP 3204003 B2 JP3204003 B2 JP 3204003B2 JP 29022294 A JP29022294 A JP 29022294A JP 29022294 A JP29022294 A JP 29022294A JP 3204003 B2 JP3204003 B2 JP 3204003B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地盤若しくは岩盤等を
掘削して孔を穿設する掘削工具に関し、より詳しくは、
2重管式の掘削工具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地盤若しくは岩盤等を掘削して孔
を穿設するために種々の掘削工具が用いられているが、
そのなかには先端に掘削用のビットがそれぞれ取り付け
られているとともに軸線回りの回転力と軸線方向の打撃
力とを受けて孔を掘削するようにされている互いに同軸
な内管と外管とを有し、かつ掘削した土砂若しくは岩屑
等を、前記内管を介して供給した流体とともに前記内管
と前記外管との間の隙間内を流動させて掘削した孔の外
部に排出するようにされている、いわゆる2重管式掘削
工具がある。
【0003】このような2重管式掘削工具の一例を図3
を用いて説明すると、2重管式掘削工具90は互いに同
軸な外管10と内管20とを有している。前記外管10
は、地盤1を掘削する管状のリングビット11と管状の
アウターケーシング12、およびやはり管状のケーシン
グカップリング13とが一体に螺着されている管状の部
材で、その基端はクリーニングアダプター30に一体に
螺着されている。前記内管20は、インナービット21
とインナーロッド22、およびインナーカップリング2
3とエキステンションロッド24とが一体に螺着された
管状の部材で、前記外管10の内側に同軸に配設されて
いるとともに、その基端は前記クリーニングアダプター
30に一体に螺着されている。前記クリーニングアダプ
ター30には、図示されない駆動装置によって軸線回り
の回転力と軸線方向の打撃力とが加えられるシャンクロ
ッド35が一体に螺着されており、もって前記外管10
および前記内管20には前記クリーニングアダプター3
0を介してそれぞれ軸線C回りの回転力と軸線C方向の
打撃力とが加えられるようになっている。これにより、
それぞれ外管10および内管20の先端に取り付けられ
ている前記リングビット11と前記インナービット21
が、軸線C回りの回転力と軸線C方向の打撃力とにより
地盤1を掘削して孔2を穿設するようにされている。
【0004】前記クリーニングアダプター30の外周に
は、ウォータスイベル40が軸線C回りに相対回転可能
に取り付けられている。そして、前記ウォータスイベル
40の入水管45から流入させられる高圧水Aは、前記
ウォータスイベル40内の通路41から前記内管20内
側の通路42を通って、地盤1を掘削して穿設した孔2
の底部3向かって噴出させられるようになっている。前
記孔2の底部3に噴出されられた高圧水は掘削によって
生じた土砂や岩屑と混じり合い、前記外管10と前記内
管20との間の隙間43を通って前記ウォータスイベル
40に取り付けられている排水管46内に達し、もって
スライムBとして前記孔2の外部に排出されるようにな
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した2
重管式掘削工具90においては、外管10の先端に取り
付けられているリングビット11の外径が外管10を構
成するアウターケーシング12の外径よりも大きくされ
ており、もってアウターケーシング12の外周面が掘削
した孔2の内壁面4に接触しないようにされている。し
かしながら、掘削する地盤1が崩れやすい場合には、掘
削の振動等により穿設した孔2の内壁面4がしだいに崩
れ落ち、孔2の内壁面4と外管10の外周面との間に土
砂や岩屑5がしだいに堆積する。そして、これらの土砂
や岩屑5は、リングビット11の先端を回り込んで外管
10と内管20との間の隙間43内に移動することがな
いから、内管20を介して供給される高圧水Aをもって
除去することができない。また、これらの土砂や岩屑5
は地盤1の圧力により外管10の外周面に固着しようと
するので、外管10に加えられる軸線C回りの回転力と
軸線C方向の打撃力の大半が、外管10と土砂や岩屑5
との摩擦により消費され、最悪の場合には外管10が地
盤1に固着して地盤1を掘削することができなくなって
しまう。
【0006】そこで、本発明は上記の問題点に鑑みてな
されたものであって、その目的とするところは、穿設し
た孔の内壁面と外管との間に土砂や岩屑が堆積して外管
が地盤に固着し、地盤を掘削できなくなることが無い掘
削工具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題は、本発明
の、先端に掘削用のビットがそれぞれ取り付けられてい
るとともに軸線回りの回転力と軸線方向の打撃力とを受
けて孔を掘削するようにされている互いに同軸な内管と
外管とを有し、掘削により生じた土砂若しくは岩屑等
を、前記内管を介して供給した流体とともに前記内管と
前記外管との間の隙間内を流動させて掘削した孔の外部
に排出するようにされている掘削工具であって、前記外
管の先端に取り付けられている環状のリングビットに、
掘削する孔の内壁面に対向する外周面と前記内管に対向
する内周面との間で延びる貫通孔が、前記外周面側の開
口が先端側に近づくように前記軸線に対して傾斜するよ
うに貫設されていることを特徴とする掘削工具によって
達成することができる。
【0008】
【作用】本発明の掘削工具においては、掘削した孔の内
壁面と外管との間に堆積する土砂や岩屑は、内管を介し
て供給される流体とともにリングビットに貫設されてい
る貫通孔を介して外管と内管との間の隙間に流出し、掘
削した孔の外部に排出される。これにより、掘削した孔
の内壁面と外管との間に土砂や岩屑が堆積することを防
止することができるから、外管に加えられる軸線回りの
回転力や軸線方向の打撃力が外管と土砂や岩屑との間の
摩擦により消費されて、掘削速度が低下したり掘削する
ことができなくなることが無い。
【0009】
【実施例】本発明に係る掘削工具の1実施例を、以下に
図面に基づいて詳細に説明する。ここで、図1は本発明
に係る掘削工具の作動を説明する半断面側面図、図2は
図1に示すリングビットの半断面側面図である。なお、
本実施例の掘削工具は、リングビットに貫通孔を貫設し
たことを特徴とし、それ以外の部分の構成は前述した従
来の掘削工具と同一であるので、以下の説明においては
特徴となる部分について詳細に説明するものとする。ま
た、従来の掘削工具と同一の部分には同一の符号を付し
てその説明を省略する。
【0010】図1に示すように、本実施例の掘削工具1
00は、互いに同軸とされている外管10と内管20と
を備え、前記外管10の先端部分にはリングビット50
が取り付けられている。
【0011】前記リングビット50は、図2に示すよう
に、その外周面に雄ねじ52が螺設されている小径部5
1と、その先端面に複数のボタンチップ54が植設され
ている大径部56とを有している。そして前記大径部5
3には、外周面56と内周面57との間で延びる複数の
貫通孔57が円周方向に等間隔に貫設されている。前記
貫通孔57は、その外周面側の開口が前記大径部53の
先端側に近づくように軸線Cに対して傾斜するように貫
設されている。また前記外周面56には、前記貫通孔5
7に向かって軸線方向に延びる凹溝58が凹設されてい
る。
【0012】次に、本実施例の掘削工具100の作動に
ついて、図1を用いて説明する。この掘削工具100の
外管10のリングビット50には、前記雄ねじ52によ
り一体に螺着されているアウターケーシング12を介し
て軸線C回りの回転力と軸線C方向の打撃力が伝達され
る。これによりリングビット50は、先端に取り付けら
れている複数のボタンチップ54により地盤1を掘削す
る。同様に、前記内管20の先端に取り付けられている
インナービット21には、一体に螺着されているインナ
ーロッド22を介して軸線C回りの回転力と軸線C方向
の打撃力が伝達され、もってインナービット21は先端
に取り付けられている複数のチップ21aにより地盤1
を掘削する。
【0013】前記内管20の内側に設けられている通路
42内に供給される高圧水は、図1中に矢印Cで示すよ
うに流れて、掘削する孔2の底部3に噴出する。底部3
内に噴出させられた高圧水は、インナービット21のチ
ップ21aの間を半径方向外側に向かって流れ、インナ
ービット21およびリングビット50により掘削されて
生じた土砂や岩屑等と一体になって外管10と内管20
との間の通路43中に流れ込む。そして、前記通路43
中を軸線方向に図示上方に向かって流れ、やがて孔2の
外部に排出される。
【0014】一方、孔2の底部3内に噴出させられた高
圧水の一部は、リングビット50の先端に植設されてい
るボタンチップ54の間から孔2の内壁面4とリングビ
ット50との間に入り込み、孔2の内壁面4とリングビ
ット50およびアウターケーシング12との間に堆積し
ている土砂や岩屑と混じり合う。そして、リングビット
50に貫設されている貫通孔57を介して通路43内に
流出する。この時、前記通路43中を高圧水が流れるこ
とによりリングビット50の貫通孔57内には負圧が生
じるから、孔2の内壁面4とリングビット50およびア
ウターケーシング12との間に堆積している土砂や岩屑
は、貫通孔57を介して通路43内に確実に吸い出され
る。また、本実施例のリングビット50においては、前
記貫通孔57が、その外周面側の開口が前記大径部53
の先端側に近づくように軸線Cに対して傾斜するように
貫設されているとともに、リングビット50の外周面5
6には貫通孔57に向かって軸線方向に延びる凹溝58
が凹設されている。これにより孔2の内壁面4とこのリ
ングビット50の外周面56との間に堆積した土砂や岩
屑等は、滑らかに貫通孔57内に流れ込んで、通路43
内に流出する。
【0015】すなわち、本実施例の掘削工具100にお
いては、孔2の内壁面4とリングビット50およびアウ
ターケーシング12との間に堆積する土砂や岩屑は、リ
ングビット50に貫設されている貫通孔57を介して、
外管10と内管20との間の通路43内に流出し、内管
20を介して供給される高圧水と一緒に孔2の外部に排
出される。これにより、孔2の内壁面4と外管10との
間に土砂や岩屑が堆積することを防止することができる
から、外管に加えられる軸線回りの回転力や軸線方向の
打撃力が外管と土砂や岩屑との間の摩擦により消費され
て、掘削速度が低下したり掘削することができなくなる
ことが無い。
【0016】なお、本発明の掘削工具100は上述した
実施例によって限定されるものではなく、本発明の主旨
に基づいて種々の変更が可能であることは言うまでもな
い。例えば、上述した実施例においては、リングビット
50に貫通孔57を貫設することにより孔2の内壁面4
と外管10との間の土砂や岩屑を外管10と内管20と
の間の通路43内に排出するようにしているが、アウタ
ーケーシング12等の外管10を構成するリングビット
50以外の部材にも貫通孔を貫設することとすれば、孔
2の内壁面4と外管10との間の土砂や岩屑をより一層
効率よく排出させることができる。また、リングビット
50やアウターケーシング12等に貫設する貫通孔の形
状や個数、位置等を適切に設定することは当業者にとっ
て容易なことである。
【0017】
【発明の効果】すなわち、本発明の掘削工具は、先端に
掘削用のビットが取り付けられているとともに軸線回り
の回転力と軸線方向の打撃力とを受けて掘削するように
されている互いに同軸な内管と外管とを有し、掘削した
土砂若しくは岩屑等を、前記内管を介して供給した流体
とともに前記内管と前記外管との間の隙間内を流動させ
て掘削した孔の外部に排出するようにされている掘削工
具であって、前記外管の先端に取り付けられている環状
のリングビットに、掘削する孔の内壁面に対向する外周
面と前記内管に対向する内周面との間で延びる貫通孔
、前記外周面側の開口が先端側に近づくように前記軸
線に対して傾斜するように貫設したものであるから、掘
削した孔の内壁面と外管との間に堆積した土砂や岩屑
は、内管を介して供給される流体とともにリングビット
に貫設されている貫通孔を介して外管と内管との間の隙
間内に吸い出され、掘削した孔の外部に排出される。こ
れにより、掘削した孔の内壁面と外管との間に土砂や岩
屑が堆積することが無いから、外管に加えられる軸線回
りの回転力と軸線方向の打撃力が外管と堆積した土砂や
岩屑あるいは地盤との間の摩擦により消費されることが
無い。したがって、外管に加えられる軸線回りの回転力
と軸線方向の打撃力は外管の先端に取り付けられている
リングビットに確実に伝達されるから、掘削速度を低下
させることなく効率的に地盤を掘削して孔を穿設するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1実施例の掘削工具の作動を説明
する半断面側面図である。
【図2】図1に示すリングビットの半断面側面図であ
る。
【図3】従来の掘削工具の半断面全体側面図である。
【図4】図3に示す掘削工具の要部を拡大して示す半断
面側面図である。
【符号の説明】
1 地盤 2 孔 3 孔の底部 4 孔の内壁面 5 土砂若しくは岩屑 10 外管 11 リングビット 12 ケーシング 13 ケーシングカップリング 20 内管 21 インナービット 22 インナーロッド 23 インナーカップリング 24 エキステンションロッド 30 クリーニングアダプター 35 シャンクロッド 40 ウォータースイベル 41 ウォータースイベル内通路 42 内管内通路 43 外管と内管との隙間 45 入水管 46 排水管 50 本発明に係るリングビット 51 小径部 52 雄ねじ 53 大径部 54 ボタンチップ 55 内周面 56 外周面 57 貫通孔 90 従来の掘削工具 100 本発明に係る掘削工具
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−169691(JP,A) 特開 昭63−184689(JP,A) 特開 平4−327685(JP,A) 実開 昭57−137691(JP,U) 実開 平1−124896(JP,U) 特表 平8−504904(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E21B 10/36 E21B 10/38

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】先端に掘削用のビットが取り付けられてい
    るとともに軸線回りの回転力と軸線方向の打撃力とを受
    けて孔を掘削するようにされている互いに同軸な内管と
    外管とを有し、掘削により生じた土砂若しくは岩屑等
    を、前記内管を介して供給した流体とともに前記内管と
    前記外管との間の隙間内を流動させて掘削した孔の外部
    に排出するようにされている掘削工具において、前記外
    管の先端に取り付けられている環状のリングビットに、
    掘削する孔の内壁面に対向する外周面と前記内管に対向
    する内周面との間で延びる貫通孔が、前記外周面側の開
    口が先端側に近づくように前記軸線に対して傾斜するよ
    うに貫設されていることを特徴とする掘削工具。
  2. 【請求項2】先端に掘削用のビットが取り付けられてい
    るとともに軸線回りの回転力と軸線方向の打撃力とを受
    けて孔を掘削するようにされている互いに同軸な内管と
    外管とを有し、掘削により生じた土砂若しくは岩屑等
    を、前記内管を介して供給した流体とともに前記内管と
    前記外管との間の隙間内を流動させて掘削した孔の外部
    に排出するようにされている掘削工具において、前記外
    管に貫通孔が、外周面側の開口が先端側に近づくように
    前記軸線に対して傾斜するように貫設されていることを
    特徴とする掘削工具。
  3. 【請求項3】前記内管と前記外管の軸線回りの回転方向
    がそれぞれ異なるようにされていることを特徴とする請
    求項1または2に記載の掘削工具。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の掘削工具に用いる環状の
    リングビットであって、その外周面の掘削する孔の内壁
    面に対向する部分と、その内周面との間で延びる貫通孔
    、前記外周面側の開口が先端側に近づくように前記軸
    線に対して傾斜するように貫設されていることを特徴と
    するリングビット。
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