JP3203634B2 - 液晶配向剤 - Google Patents

液晶配向剤

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JP3203634B2
JP3203634B2 JP24304195A JP24304195A JP3203634B2 JP 3203634 B2 JP3203634 B2 JP 3203634B2 JP 24304195 A JP24304195 A JP 24304195A JP 24304195 A JP24304195 A JP 24304195A JP 3203634 B2 JP3203634 B2 JP 3203634B2
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通則 西川
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は液晶配向剤に関す
る。さらに詳しくは、液晶配向膜としたとき、膜厚均一
性に優れ、液晶の配向性が良好で、電圧保持率および長
期信頼性に優れ、高プレチルト角の液晶表示素子を与え
得る液晶配向剤に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、正の誘電異方性を有するネマチッ
ク型液晶の層を、透明電極付き基板の間に形成してサン
ドイッチ構造とし、前記液晶分子の長軸が基板間で90
度連続的に捻れるようにしてなるTN型液晶セルを有す
る液晶表示素子(TN型液晶表示素子)が知られてい
る。このTN型液晶表示素子における液晶の配向は、ラ
ビング処理が施されたポリイミドなどからなる液晶配向
膜により形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られているポリイミドなどからなる液晶配向膜を用いて
TN型液晶表示素子を作製した場合、液晶表示素子の電
圧保持率が低かったり、長期信頼性試験中に液晶セルに
白シミが生じてしまったり、液晶分子のプレチルト角が
小さいため表示不良が生じたりするという問題がある。
また、液晶配向膜は通常、樹脂溶液からなる液晶配向剤
を基板上に塗布、乾燥することによって得られるが、該
液晶配向剤塗布時に膜厚ムラが生じ、表示特性、電気特
性に影響を及ぼすという問題もある。
【0004】本発明の目的は、新規な液晶配向剤を提供
することにある。本発明の他の目的は、液晶配向膜とし
たとき、膜厚均一性に優れ、液晶の配向性が良好で、電
圧保持率および長期信頼性に優れた高プレチルト角液晶
表示素子を与え得る液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明はら明
らかになろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、 (A)下記一般式(1)
【0006】
【化4】
【0007】(式(1)中、R1は4価の有機基であ
る)で示されるテトラカルボン酸二無水物(以下、「化
合物(I)」とする)と、 (B)(i)下記一般式(2)
【0008】
【化5】
【0009】(式(2)中、R2はアルキル基、アルコ
キシル基またはハロゲン原子であり、aは0〜4の整数
である)で示されるフェニレンジアミン類(以下、「化
合物(II)」とする)、(ii)下記一般式(3)、
(4)、(5)、(6)および(7)
【0010】
【化6】
【0011】(式(3)〜(7)中、R3、R4、R5
6、R8、R9、R10、R11、R12およびR13は、各々
独立に、アルキル基、アルコキシル基またはハロゲン原
子であり、R7は2価の有機基であり、b、c、h、i
およびjは、各々独立に、0〜3の整数であり、d、
e、f、gおよびkは、各々独立に、0〜4の整数であ
る)で示される化合物群から選択される少なくとも1種
の芳香族ジアミン(以下、「化合物(III)」とす
る) 並びに(iii)下記一般式(12)
【化5】 (一般式(12)中、R 23 およびR 24 は、各々独立に、
アルキル基、アルコキシル基またはハロゲン原子であ
り、R 25 およびR 26 は、各々独立に2価の有機基であ
り、R 27 はステロイド骨格を有する2価の有機基であ
り、rおよびsは、各々独立に、0〜4の整数である)
で示されるステロイド骨格を有するジアミン(以下、
「化合物(IV)」とする)とを反応せしめることによ
り生成するポリアミック酸(以下、「特定重合体
(I)」とする)および特定重合体(I)を脱水閉環せ
しめることにより生成するイミド化重合体(以下、「特
定重合体(II)」とする)の少なくともいずれかを含
有することを特徴とする液晶配向剤によって達成され
る。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳述するが、それ
により本発明の目的、構成、利点および効果が明らかに
なろう。
【0013】本発明の液晶配向剤は特定重合体(I)ま
たは/および特定重合体(II)を含有する。
【0014】<化合物(I)>本発明に用いられる上記
化合物(I)において、R1は4価の有機基、好ましく
は炭素数4〜12の有機基である。
【0015】R1の具体例としては、下記一般式(9−
1)および(9−2)
【0016】
【化7】
【0017】(一般式(9−1)中、R15、R16、R17
およびR18は、各々独立に、水素原子または炭素数1〜
4のアルキル基を示し、m、nおよびoは、各々独立
に、0または1の整数を示し、m、nまたはoが0の場
合、(CH2m、(CH2nまたは(CH2oは単結合
を示す。一般式(9−2)中、R19はアルキル基、アル
コキシル基またはハロゲン原子を示し、pは0〜4の整
数を示す。)で示される基を挙げることができる。なか
でも一般式(9−1)で示される4価の有機基が好まし
い。
【0018】かかる一般式(9−1)で示される有機基
を有する化合物(I)としては、例えば1,2,3,4−
シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメ
チル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン
酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル
酢酸二無水物などを挙げることができる。
【0019】また、かかる一般式(9−2)で示される
有機基を有する化合物(I)としては、例えば3,4−
ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフ
タレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−6−メ
チル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコ
ハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−7−メチル−1,
2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水
物などを挙げることができる。
【0020】さらに、その他の化合物(I)としては、
例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−ト
リカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,
4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水
物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3
−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸
二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−
2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物などの脂肪族
酸二無水物あるいは脂環族酸二無水物;
【0021】ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'
−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',
4,4'−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水
物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水
物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボ
ン酸二無水物、3,3',4,4'−ジメチルジフェニルシ
ランテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−テト
ラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,
3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4'−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスル
フィド二無水物、4,4'−ビス(3,4−ジカルボキシ
フェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4'−ビ
ス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロ
パン二無水物、3,3',4,4'−パーフルオロイソプロ
ピリデンジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェ
ニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェ
ニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−
ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレ
ン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(ト
リフェニルフタル酸)−4,4'−ジフェニルエーテル二
無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4'−ジフ
ェニルメタン二無水物などの芳香族テトラカルボン酸二
無水物を挙げることができる。
【0022】これらのうち、1,2,3,4−シクロブタ
ンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,
2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、
1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水
物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無
水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒド
ロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボ
キシ−6−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−
ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−7
−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレ
ンコハク酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒド
ロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2
−ジカルボン酸二無水物およびビシクロ[2,2,2]−
オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二
無水物が好ましく、1,2,3,4−シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物および2,3,5−トリカルボキシシ
クロペンチル酢酸二無水物が特に好ましい。これらは1
種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0023】<化合物(II)>本発明に用いられる化
合物(II)に関する上記一般式(2)のR2につい
て、(a)アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキ
ル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ま
しい。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、
シクロヘキシル基などを挙げることができ、(b)アル
コキシル基としては、炭素数1〜6のアルコキシル基が
好ましく、炭素数1〜3のアルコキシル基がより好まし
い。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プ
ロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソ
ブトキシ基、t−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−
ヘキシロキシ基、シクロヘキシロキシ基などを挙げるこ
とができ、(c)ハロゲン原子としては、塩素、フッ
素、臭素、ヨウ素などが挙げられ、好ましくは塩素、フ
ッ素である。
【0024】かかる化合物(II)としては、例えば
1,2−フェニレンジアミン、3−メチル−1,2−フェ
ニレンジアミン、4−メチル−1,2−フェニレンジア
ミン、4,5−ジメチル−1,2−フェニレンジアミン、
3−エチル−1,2−フェニレンジアミン、3−メチル
−1,2−フェニレンジアミン、4−エチル−1,2−フ
ェニレンジアミン、4,5−ジエチル−1,2−フェニレ
ンジアミン、3−メトキシ−1,2−フェニレンジアミ
ン、4−メトキシ−1,2−フェニレンジアミン、4,5
−ジメトキシ−1,2−フェニレンジアミン、3−エト
キシ−1,2−フェニレンジアミン、4−エトキシ−1,
2−フェニレンジアミン、3−クロロ−1,2−フェニ
レンジアミン、4−クロロ−1,2−フェニレンジアミ
ン、3−フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、4−
フルオロ−1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニ
レンジアミン、2−メチル−1,3−フェニレンジアミ
ン、4−メチル−1,3−フェニレンジアミン、
【0025】5−メチル−1,3−フェニレンジアミ
ン、2−エチル−1,3−フェニレンジアミン、4−エ
チル−1,3−フェニレンジアミン、5−エチル−1,3
−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,3−フェニ
レンジアミン、4−メトキシ−1,3−フェニレンジア
ミン、5−メトキシ−1,3−フェニレンジアミン、4
−エトキシ−1,3−フェニレンジアミン、5−エトキ
シ−1,3−フェニレンジアミン、4−クロロ−1,3−
フェニレンジアミン、5−クロロ−1,3−フェニレン
ジアミン、4−フルオロ−1,3−フェニレンジアミ
ン、5−フルオロ−1,3−フェニレンジアミン、1,4
−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレ
ンジアミン、2,3−ジメチル−1,4−フェニレンジア
ミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、
2,6−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,3
−ジエチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジエ
チル−1,4−フェニレンジアミン、2,6−エチル−
1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フ
ェニレンジアミン、2−エトキシ−1,4−フェニレン
ジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、
2,3−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,5
−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、2,6−ジク
ロロ−1,4−フェニレンジアミン、2−フルオロ−1,
4−フェニレンジアミン、2,3−ジフルオロ−1,4−
フェニレンジアミン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェ
ニレンジアミン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレ
ンジアミンなどが挙げられる。これらの内、1,2−フ
ェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン、1,4
−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレ
ンジアミン、2−エチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−
エトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2−クロロ−
1,4−フェニレンジアミンおよび2−フルオロ−1,4
−フェニレンジアミンが好ましく、1,3−フェニレン
ジアミンおよび1,4−フェニレンジアミンが特に好ま
しい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて
用いることができる。
【0026】<化合物(III)>本発明に用いられる
化合物(III)に関する上記一般式(3)〜(7)の
3〜R6およびR8〜R13はアルキル基、アルコキシル
基またはハロゲン原子であり、R2に関して既述したア
ルキル基、アルコキシル基およびハロゲン原子の記載を
好ましい態様および具体例を含めてそのまま適用するこ
とができる。また、一般式(5)のR7は2価の有機基
であり、具体的に下記式(10−1)〜(10−12)
【0027】
【化8】
【0028】で示される2価の基を挙げることができ
る。
【0029】上記一般式(3)で示される化合物の具体
例としては、1,5−ジアミノナフタレンが好ましいも
のとして挙げられる。上記一般式(4)で示される化合
物の具体例としては、3,3'−ジメチル−4,4'−ジア
ミノビフェニル、2,2',5,5'−テトラクロロ−4,
4'−ジアミノビフェニル、2,2'−ジクロロ−4,4'
−ジアミノ−5,5'−ジメトキシビフェニル、3,3'−
ジメトキシ−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ジ
アミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニ
ルなどが好ましいものとして挙げられる。
【0030】上記一般式(5)で示される化合物の具体
例としては、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−
アミノフェニル)フルオレン、4,4'−(p−フェニレ
ンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4'−(m−フ
ェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビ
ス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパ
ン、4,4'−ジアミノジフェニルエタン、4,4'−ジア
ミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニル
スルフィド、4,4'−ジアミノベンズアニリド、3,4'
−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノベン
ゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'
−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパ
ン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキ
シ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−
10−ヒドロアントラセン、4,4'−メチレン−ビス
(2−クロロアニリン)、2,2'−ビス[4−(4−ア
ミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]
ヘキサフルオロプロパン、4,4'−ビス[(4−アミノ
−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフル
オロビフェニルなどが好ましいものとして挙げられる。
【0031】上記一般式(6)で示される化合物の具体
例としては、2,7−ジアミノフルオレンが好ましいも
のとして挙げられる。上記一般式(7)で示される化合
物の具体例としては、5−アミノ−1−(4'−アミノ
フェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミ
ノ−1−(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメ
チルインダンなどが好ましいものとして挙げられる。こ
れらの一般式(3)〜(7)で示される化合物のうち、
一般式(5)、(6)または(7)で示される化合物が
より好ましい。
【0032】そして、上記一般式(5)、(6)または
(7)で示される化合物のうち、4,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−
ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオ
レン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレ
ン、4,4'−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビス
アニリン、4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデ
ン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル]プロパン、5−アミノ−1−
(4'−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルイン
ダンおよび6−アミノ−1−(4'−アミノフェニル)
−1,3,3−トリメチルインダンが好ましい。これらは
1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることがで
きる。
【0033】<化合物(IV)> 本発明に用いられる化合物(IV)は、下記一般式(1
2)で表される、ステロイド骨格を有するジアミンであ
る。
【0034】
【化6】
【0035】(一般式(12)中、R 23 およびR 24 は、
各々独立に、アルキル基、アルコキシル基またはハロゲ
ン原子であり、R 25 およびR 26 は、各々独立に2価の有
機基であり、R 27 はステロイド骨格を有する2価の有機
基であり、rおよびsは、各々独立に、0〜4の整数で
ある)。好ましい例として下記式(17)〜式(19)
【0036】
【0037】
【化11】
【0038】で示される化合物を挙げることができ、こ
れらの内、式(17)および式(19)で示される化合
物が特に好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上
組み合わせて用いることができる。
【0039】本発明で用いられる特定重合体(I)を製
造するにあたり、化合物(II)の使用割合は全ジアミ
ン中10〜70モル%、化合物(III)の使用割合は
全ジアミン中30〜80モル%、化合物(IV)の使用
割合は全ジアミン中0.5〜25モル%が好ましい。化
合物(II)の使用割合が10モル%未満であると、十
分に高い電圧保持率が得られ難く、70モル%を越える
と液晶表示素子の長期信頼性に劣るものとなり易い。化
合物(III)の使用割合が30モル%未満であると、
液晶表示素子の長期信頼性に劣るものとなり易く、80
モル%を越えると十分に高い電圧保持率が得られな難
い。また、化合物(IV)の使用割合が0.5モル%未
満であると、得られるプレチルト角が小さくなり易く、
25モル%を越えると特定重合体の溶媒への溶解性が低
下する傾向が見られる。
【0040】<特定重合体(I)の合成>本発明の液晶
配向剤を構成する特定重合体(I)は、上記化合物
(I)のテトラカルボン酸二無水物と上記化合物(I
I)、(III)および(IV)のジアミン化合物との
反応により合成される。特定重合体(I)の合成反応に
供される化合物(I)と全ジアミン化合物の使用割合
は、アミノ基1当量に対して化合物(I)の酸無水物基
を0.2〜2当量とするのが好ましく、より好ましくは
0.3〜1.2当量である。
【0041】化合物(I)とジアミン化合物とは、有機
溶媒中、反応温度0〜100℃で1〜48時間反応する
ことが好ましい。
【0042】上記有機溶媒としては、反応で生成するポ
リアミック酸を溶解しうるものであれば特に制限はな
い。例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジ
メチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチ
ル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロ
トン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェ
ノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒
を挙げることができる。
【0043】なお、上記有機溶媒には、貧溶媒であるア
ルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロ
ゲン化炭化水素類、炭化水素類を、生成する重合体が析
出しない程度で、併用することができる。かかる貧溶媒
としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブ
タンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢
酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチ
ル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレング
リコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエ
ーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、
エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレン
グリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール
−n−ヘキシルエーテル、エチレングリコールジメチル
エーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレ
ングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、
ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、
ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、
エチレングリコールメチルエーテルアセテート、エチレ
ングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリ
コール−n−プロピルエーテルアセテート、エチレング
リコール−i−プロピルエーテルアセテート、エチレン
グリコール−n−ブチルエーテルアセテート、エチレン
グリコール−n−ヘキシルエーテルアセテート、4−ヒ
ドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、2−ヒドロキ
シプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプ
ロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピ
オン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エ
チル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3
−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオ
ン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エ
トキシプロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、ジク
ロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロ
ブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジク
ロルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどを挙げることができる。こ
れらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いるこ
とができる。
【0044】有機溶媒の使用量は、化合物(I)および
全ジアミン化合物の総量が、反応溶液の全量に対して
0.1〜30重量%になるようにするのが好ましい。
【0045】また、特定重合体(I)合成時に、分子量
調節、基板への塗布性改善などの目的で、無水基を1個
のみ有する酸無水物またはモノアミン化合物を添加して
調製された末端修飾型の特定重合体(I)およびそれを
脱水閉環した特定重合体(II)もなんら問題なく本発
明に使用できる。
【0046】上記酸無水物としては、例えば無水マレイ
ン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサク
シニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水
物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキ
サデシルサクシニック酸無水物、n−オクタデシルサク
シニック酸無水物などが挙げられる。
【0047】また、上記モノアミンとしては、例えばア
ニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n
−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチル
アミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−
デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルア
ミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミ
ン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミ
ン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミ
ン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。
【0048】<特定重合体(II)>本発明の液晶配向
剤を構成する特定重合体(II)は、特定重合体(I)
を、加熱することにより、または脱水剤および脱水閉環
触媒の存在下で脱水閉環することにより得られる。この
特定重合体(II)は、通常ポリイミドまたはポリイソ
イミドである。加熱により脱水閉環する場合の反応温度
は、好ましくは60〜250℃、より好ましくは100
〜170℃である。
【0049】また、脱水剤および脱水閉環触媒の存在下
で脱水閉環する場合の反応は、上記した有機溶媒中で行
うことができる。反応温度は、通常0〜180℃、好ま
しくは60〜150℃である。脱水剤としては、無水酢
酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸
無水物を用いることができる。また、脱水閉環触媒とし
ては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチ
ルアミンなどの3級アミンを用いることができるが、こ
れらに限定されるものではない。脱水剤の使用量は、特
定重合体(I)の繰り返し単位1モルに対して1.5〜
20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒の使
用量は使用する脱水剤1モルに対し、0.5〜10モル
とするのが好ましい。
【0050】<特定重合体(I)および特定重合体(I
I)の固有粘度>このようにして得られる特定重合体
(I)および特定重合体(II)の固有粘度[ηinh=
ln (t/t0)/C、但し、C=0.5g/dl、t
はポリマー溶液の流下速度、t0はN−メチル−2−ピ
ロリドンの流下速度である。30℃、N−メチル−2−
ピロリドン中で測定、以下同条件にて固有粘度を測定]
は、通常、0.05〜10dl/g、好ましくは0.05
〜5dl/gである。
【0051】<液晶配向剤>本発明の液晶配向剤は、以
上詳述した特定重合体(I)および/または特定重合体
(II)が有機溶媒に溶解した均一な溶液として使用さ
れる。
【0052】上記有機溶媒としては、特定重合体(I)
製造時に用いることができる上記非プロトン系溶媒、フ
ェノール系溶媒などまたはこれらの溶媒と特定重合体
(II)製造時に用いることができる前記アルコール
類、ケトン類、エステル類、エーテル類、ハロゲン炭化
水素類、炭化水素類等などの貧溶媒との、重合体が析出
しない程度の混合溶媒を挙げることができる。
【0053】また、特定重合体(I)および/または特
定重合体(II)の溶液中の濃度は、通常、0.1〜2
0重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0054】本発明の液晶配向剤は、特定重合体(I)
および/または特定重合体(II)と基板との接着性の
さらなる改善を目的として、以下に示す官能性シラン含
有化合物を含有することもできる。
【0055】この官能性シラン含有化合物としては、例
えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルト
リメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−
アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイド
プロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルト
リエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミ
ノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニ
ル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリ
エトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−
トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、
10−トリメトキシイシリル−1,4,7−トリアザデカ
ン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデ
カン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニル
アセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザ
ノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピル
トリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプ
ロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレ
ン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビ
ス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキ
シシランなどを挙げることができる。
【0056】<液晶表示素子の製造>本発明の液晶配向
剤を用いて得られる液晶表示素子は、例えば次の方法に
よって製造することができる。
【0057】(1)パターニングされた透明導電膜が設
けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を
ロールコーター法、スピンナー法、印刷法などで塗布
し、80〜250℃、好ましくは120〜200℃の温
度で加熱して塗膜を形成させる。この塗膜の膜厚は、通
常、0.001〜1μm、好ましくは0.005〜0.5
μmである。なお、特定重合体(I)を含有する本発明
の液晶配向剤は、塗布後に有機溶媒を除去することによ
って液晶配向膜となる塗膜を形成するが、さらに加熱す
ることによってイミド化された塗膜とすることもでき
る。形成された塗膜は、ナイロン、レーヨンなどの合成
繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラ
ビング処理を行うことにより、液晶分子の配向能が塗膜
に付与されて液晶配向膜となる。
【0058】上記基板としては、例えばフロートガラ
ス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルス
ルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックフィルム
からなる透明基板を用いることができる。上記透明導電
膜としては、SnO2からなるNESA膜、In23
SnO2からなるITO膜などを用いることができ、こ
れらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチ
ング法、予めマスクを用いる方法などが用いられる。液
晶配向剤の塗布に際しては、基板および透明導電膜と塗
膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透
明導電膜上に、予め官能性シラン含有化合物、チタネー
トなどを塗布することもできる。
【0059】(2)上記のようにして液晶配向膜が形成
された基板を2枚作製し、その2枚をそれぞれの液晶配
向膜におけるラビング方向が直交または逆平行となるよ
う間隙(セルギャップ)を介して対向させ、基板の周辺
部をシール剤でシールし、液晶を充填し、充填孔を封止
して液晶セルとする。この液晶セルの外表面に、偏光方
向がそれぞれ基板の液晶配向膜のラビング方向と一致ま
たは直交するように偏光板を張り合わせることにより液
晶表示素子とされる。
【0060】上記シール剤としては、例えば硬化剤およ
びスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有したエ
ポキシ樹脂などを用いることができる。上記液晶として
は、ネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを
挙げることができ、その中でもネマティック型液晶を形
成させるものが好ましく、例えばシッフベース系液晶、
アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘ
キサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、
ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、
ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン
系液晶などが用いられる。また、これらの液晶に、例え
ばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コ
レステリルカーボネートなどのコレステリック液晶や商
品名C−15、CB−15(Merck Ltd.)として販売さ
れているようなカイラル剤などを添加して使用すること
もできる。さらに、p−デシロキシベンジリデン−p−
アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性
液晶も使用することができる。
【0061】液晶セルの外表面に使用される偏光板とし
ては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨ
ウ素を吸収させたH膜と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロー
ス保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる
偏光板などを挙げることができる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例により、さらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるも
のではない。なお、以下の実施例および比較例により作
製された各液晶表示素子について、液晶表示素子の液
晶配向性、液晶表示素子の電圧保持率、液晶表示素
子の信頼性、液晶表示素子のプレチルト角、液晶配
向膜の膜厚均一性について評価した。評価方法は以下の
とおりである。
【0063】[液晶表示素子の液晶配向性]液晶表示素
子に電圧をオン・オフさせた時の液晶表示素子中の異常
ドメインの有無を偏光顕微鏡で観察し、異常ドメインの
ない場合良好と判断した。 [液晶表示素子の電圧保持率]液晶表示素子に印加した
5Vの電圧をオフとし、16.7msec後の電圧保持
率を測定することにより評価した。 [液晶表示素子の信頼性]温度80℃、湿度80%の恒
温恒湿槽中、液晶表示素子を5V、60Hzの矩形波で
1000時間駆動させ、白シミが生じない場合を良好と
判断した。
【0064】[液晶表示素子のプレチルト角][T.J.Sc
hffer et al., J.Appl.Phys., 19, 2013 (1980)]に記
載の方法に準拠し測定した。 [液晶配向膜の膜厚均一性]シリコンウェハー上に液晶
配向剤を印刷によって塗布し、基板を180℃で1時間
焼成し、測定点10点を選び膜厚を測定し、10点の平
均を平均膜厚として求め、また最大膜厚と最小膜厚の差
を膜厚ムラとして求めた。
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】合成例1 2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
44.83g(0.20モル)と 1,4−フェニレンジア
ミン5.41g(0.05モル)、4,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン27.76g(0.14モル)および前記式
(17)の化合物6.43g(0.01モル)とをN−メ
チル−2−ピロリドン749gに溶解させ、室温で6時
間反応させた。 次いで、反応混合物を大過剰のメタノー
ルに注ぎ、反応生成物を沈澱させた。その後、メタノー
ルで洗浄し、減圧下40℃で15時間乾燥させて、特定
重合体(Ih)を得、さらにこの特定重合体(Ih)
0.0gを、800gのN−メチル−2−ピロリドン、
35.5gのピリジンと27.5gの無水酢酸中、110
℃で4時間イミド化を行い、固有粘度0.91dl/g
の特定重合体(IIh)37.0gを得た。
【0074】合成例 合成例1において、ジアミンを1,4−フェニレンジア
ミン5.41g(0.05モル)、4,4'−ジアミノジフ
ェニルメタン27.76g(0.14モル)および前記式
(19)の化合物7.40g(0.01モル)に代えた以
外は合成例1と同様にして特定重合体(Ii)を得、さ
らにこの特定重合体(Ii)を用いて合成例と同様に
してイミド化を行い、固有粘度0.81dl/gの特定
重合体(IIi)37.0gを得た。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
【0084】
【0085】
【0086】
【0087】
【0088】
【0089】実施例1 合成例1で得られた特定重合体(IIh)5gをγ−ブ
チロラクトンに溶解させて固形分濃度4重量%の溶液と
し、この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過し、液晶
配向剤溶液を調製した。この溶液を、液晶配向剤塗布用
印刷機を用いて、ITO膜からなる透明電極付きガラス
基板の透明電極面上に塗布し、180℃で1時間乾燥
し、乾燥膜厚0.05μmの塗膜を形成した。この塗膜
にレーヨン製の布を巻き付けたロールを有するラビング
マシーンにより、ロールの回転数500rpm、ステー
ジの移動速度1cm/秒でラビング処理を行った。
【0090】上記のようにして液晶配向膜が形成された
基板を2枚作製し、それぞれの基板の外縁に、直径17
μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をス
クリーン印刷塗布した後、それぞれの基板の液晶配向膜
面が相対するように、しかも該液晶配向膜のラビング方
向が直交するように2枚の基板を間隙を介して重ね合わ
せて外縁部を圧着し、接着剤を硬化させた。次いで、液
晶注入口より一対の基板間に、ネマティック型液晶(Me
rck Ltd.,ZLI−5081)を充填した後、エポキシ
系接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏
光板を、偏光板の偏光方向がそれぞれの基板の液晶配向
膜のラビング方向と一致するように張り合わせ、液晶表
示素子を作製した。
【0091】以上のようにして作製した液晶表示素子
は、電圧をオン・オフさせた時に液晶表示素子中に異常
ドメインは認められず、優れた液晶配向性を有するもの
であった。また、液晶表示素子の電圧保持率を測定した
ところ、99.1%と高い値であった。また、1000
時間後の信頼性試験でも液晶表示素子に白シミは生じな
かった。そして、液晶表示素子のプレチルト角を測定し
たところ、5.3°と高い値であった。さらに液晶配向
膜の平均膜厚は520Åで塗布ムラは25Åであり均一
な膜厚が得られた。これらの結果を表1に示す。
【0092】実施例 合成例2で得られた特定重合体(IIi)を用いて液晶
配向剤を調製した以外は、実施例1と同様にして液晶表
示素子の作製を行った。液晶表示素子の液晶配向性、電
圧保持率、信頼性およびプレチルト角ならびに液晶配向
膜の膜厚均一性を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
【0094】
【表1】
【0095】
【発明の効果】本発明の液晶配向剤によれば、液晶配向
膜としたとき、膜厚均一性に優れ、液晶の配向性が良好
で、電圧保持率および長期信頼性に優れた液晶表示素子
を与え得る液晶配向剤が得られる。また、本発明の液晶
配向剤により形成された液晶配向膜に、例えば特開平6
−222366号公報や特開平6−281937号公報
に示されているような紫外線を照射することによってプ
レチルト角を変化させるような処理、あるいは特開平5
−107544号公報に示されているようなラビング処
理を施した液晶配向膜表面にレジスト膜を部分的に形成
して先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行
った後にレジスト膜を除去して、液晶配向膜の配向能を
変化させるような処理を行うことによって、液晶表示素
子の視界特性を改善することが可能である。
【0096】本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶
配向膜を有する液晶表示素子は、TN型液晶表示素子に
好適に使用できる以外に、使用する液晶を選択すること
により、STN(Super twisted nematic)型、SH(S
uper Homeotropic)型、強誘電性および反強誘電性の液
晶表示素子などにも好適に使用することができる。さら
に、本発明の液晶配向剤を用いて形成した液晶配向膜を
有する液晶表示素子は、種々の装置に有効に使用でき、
例えば卓上計算機、腕時計、置時計、係数表示板、ワー
ドプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビ
などの表示装置に用いられる。
【0097】以上詳述した本発明の好ましい態様につき
下記する。 1. 化合物(I)と反応せしめてポリアミック酸を生成
させるのに用いられる全ジアミン中に占める化合物(I
I)の割合が10〜70モル%、化合物(III)の割
合が30〜80モル%、そして化合物(IV)の割合が
0.5〜25モル%である液晶配向剤。 2. 化合物(I)と反応せしめてポリアミック酸を生成
させるのに用いられる全ジアミン中に占める化合物(I
I)の割合が10〜60モル%である液晶配向剤。 3. 化合物(I)と反応せしめてポリアミック酸を生成
させるのに用いられる全ジアミン中に占める化合物(I
II)の割合が40〜80モル%である液晶配向剤。 4. 化合物(I)と反応せしめてポリアミック酸を生成
させるのに用いられる全ジアミン中に占める化合物(I
V)の割合が1〜15モル%である液晶配向剤。 5. 化合物(III)が4,4'−ジアミノジフェニルメ
タン、1,5−ジアミノナフタレン、4,4'−ジアミノ
ジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、9,
9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4−
(p−フェニレンイソプリロピリデン)ビスアニリン、
4,4'−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニ
リン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]プロパンおよび5−アミノ−1−(4'−アミ
ノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダンから選ば
れる少なくとも1種のジアミン化合物である液晶配向
剤。 6. 式(1)のR1が式(9−1)および(9−2)で
示される4価の基のうちの少なくとも1種である液晶配
向剤。 7. 化合物(I)が1,2,3,4−シクロブタンテトラ
カルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,
4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物お
よび2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無
水物の少なくともいずれかである液晶配向剤。 8. 化合物(II)が1,4−フェニレンジアミンであ
る液晶配向剤。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松木 安生 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−281427(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)下記一般式(1) 【化1】 (式(1)中、R1は4価の有機基である)で示される
    テトラカルボン酸二無水物と、 (B)(i)下記一般式(2) 【化2】 (式(2)中、R2はアルキル基、アルコキシル基また
    はハロゲン原子であり、aは0〜4の整数である)で示
    されるフェニレンジアミン類、 (ii)下記一般式(3)、(4)、(5)、(6)お
    よび(7) 【化3】 (一般式(3)〜(7)中、R3、R4、R5、R6
    8、R9、R10、R11、R12およびR13は、各々独立
    に、アルキル基、アルコキシル基またはハロゲン原子で
    あり、R7は2価の有機基であり、b、c、h、iおよ
    びjは、各々独立に0〜3の整数であり、d、e、f、
    gおよびkは、各々独立に、0〜4の整数である)で示
    される化合物群から選択される少なくとも1種の芳香族
    ジアミン 並びに(iii)下記一般式(12) 【化4】 (一般式(12)中、R 23 およびR 24 は、各々独立に、
    アルキル基、アルコキシル基またはハロゲン原子であ
    り、R 25 およびR 26 は、各々独立に2価の有機基であ
    り、R 27 はステロイド骨格を有する2価の有機基であ
    り、rおよびsは、各々独立に、0〜4の整数である)
    で示されるステロイド骨格を有するジアミンとを反応せ
    しめることにより生成するポリアミック酸および該ポリ
    アミック酸を脱水閉環せしめることにより生成するイミ
    ド化重合体の少なくともいずれかを含有することを特徴
    とする液晶配向剤。
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