JP3203399U - 波形ねじ山形状 - Google Patents

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Abstract

【課題】位置に依存しないとともにねじ山の長さの細長い部分に沿ってプリベイリングトルクを与える相互作用嵌合ねじ山を有するねじファスナーを提供すること。【解決手段】ねじファスナーの波形ねじ山形状が、概ね螺旋状の経路に沿って複数のねじピッチを含み、各々が螺旋状のストレート経路から逸脱する複数の波形ねじ山部分を含み、螺旋状の経路に沿って隣接する波形ねじ山部分は、略螺旋状のストレート経路に沿って延びる標準ねじ山部分によって離間している。【選択図】図1

Description

本考案は包括的にはねじファスナーに関し、より具体的には、本考案は、ねじ組立体においてプリベイリングトルクを生じさせる、ねじファスナーのねじ山構造に関する。
[関連出願の相互参照]
本願は、2010年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/308,703号の利益を主張する。
単純なねじファスナーは、互いに係合するように形成された雄ねじ部品と雌ねじ部品とを含む。工業用締め具協会(IFI:Industrial Fasteners Institute)によれば、ねじ山は、円筒の外面または内面の螺旋状の一様なセクションとして定義されている。様々な目的からねじファスナーの性能を改善する多様なねじ山構造が知られている。一般に、全てのタイプのねじ山はストレートな螺旋パターンに基づいている。ねじピッチは、1つのタイプまたはサイズのファスナーから別のタイプまたはサイズのファスナーまで様々とすることができ、同じファスナーの異なる部分に異なるねじピッチを設けることが知られている。然しながら、ねじ山はピッチに関係なくストレートな螺旋パターン沿いに延在している。
標準のファスナー設計では、所定ピッチすなわち「基準」ピッチの場合、雄ねじが基準ピッチ以下で設けられ、雌ねじが基準ピッチ以上で設けられる。その結果、雌ねじ内で雄ねじを「浮かす」ことで、ファスナーを最終的に緊締する際に、締付け圧力が加えられるまで干渉がほとんどないかまたは全くなく、2つの部品をねじ山の長さ全体に亘ってともに進ませることが可能となる。ファスナーが緊締され、締付け荷重が加えられると、ファスナーに張力が作用するため、ファスナーの伸張により摩擦が生じる。締付け荷重は、振動、角度付きねじ面の経時によるずれ、膨張サイクルおよび収縮サイクル等により弱まる可能性がある。締付け荷重が失われる場合であっても、雄形部品と雌形部品との相対位置を維持するために、ナットを変形させるか或いはねじ山にペースト状の物質を用いることによってプリベイリングトルクを与えることが知られている。ナットをクリンプすることは製造プロセスにかなりのコストを加え、その目的のための既知のペースト状の物質は、極度の温度条件では幾分制限され、再使用性が制限される。
更なる問題は、ねじファスナーがやや非標準的な状況で用いられる場合に生じる。ファスナーを緊締するためには、締付け荷重を加えることが必要で、これは、ファスナーの頭部、雌形ファスナーの対向面および該頭部と該対向面との間の全ての材料または部品がともに圧縮されることを意味する。例えば、弾性材料をともに保持するジョイントのようないわゆる「軟質のジョイント」、ガスケット等では、ファスナージョイントは、保持されている材料に過剰な締付け力を加えることなく緊締できることが望ましい。この目的から、ショルダーボルトまたはスペーサー付き標準ファスナーが使用されてきたが、組み付けが複雑であり、費用がかさむものであった。
他の部品または関連の部材と共に組付けるようにした部品にねじファスナーを予め組付けておき、その後に該ねじファスナーを締付けるようにしたねじファスナーが知られている。例えば、現場で使用するために、内部にワイヤーを受入れる端子の適所に予め配設したねじを備えた様々な電気組立体がある。ワイヤーを適正に位置決めし、ねじを緊締することによって、ワイヤーと電気組立体とが電気的に接続される。予め組付けたねじの位置が変位しないように比較的しっかりとさせて、ねじが抜けることで部品が使用不能とならないようにしなければならない。
特許文献1は、ファスナーのシャンクの螺旋ねじ山パターンの中に湾曲経路沿いに延在するねじ山を設けた相互作用嵌合ねじ山(interactive fit screw thread)を開示している。ファスナーの所望の部分に沿ってプリベイリングトルクを発生させるために湾曲したねじピッチが設けられている。特許文献1に開示されている相互作用嵌合ねじは、通常のファスナーのねじ山のように略螺旋状のストレート経路ではなく、螺旋パターン中に湾曲経路が設けられている。特許文献1に開示されている例示的な実施の形態は正弦波経路に沿って延在する。
しっかりと軸線を一致させて相手側のねじ山に取付けるために、既述した特許文献1に開示されている実施の形態では、ファスナーのシャンクの周囲360度をカバーする3つの波形周期が用いられている。各波形の頂点は前の波形の頂点から120度の位置にあり、波形は、単一のねじピッチ内に集中するように互いの直後に続く。これは効果的に作用するが、ねじ山の波形部分によって得られる有利な効果はファスナーの位置によって左右される。ねじ組立体において3つの波形の適正な係合および位置合わせを確実にするために、波形ねじ山部分が相手側のねじ山に対して適正に配置される必要がある。例えば、雌形ファスナー部品では、雌ねじを4ピッチを設けるのが一般的である。最も効果的に作用させるには、雄形ファスナー部品の3つの波形が雌形部品のねじ山と係合するように配置しなければならない。雄形ファスナー部品が雌形ファスナー部品に対して過回転しているかまたは回転不足である場合には、3つよりも少ない波形しか雌形部品と係合せずに、ねじ組立体があまり効果的でない可能性がある。
米国特許第7,326,014号
従って、波形を雌ねじ部品における最終的な係合のために適切に位置決めすることができるように、ファスナー部品の最終的な関係の調和のとれた知識を有することが必要とされてきた。
位置に依存しないとともにねじ山の長さの細長い部分に沿ってプリベイリングトルクを与える相互作用嵌合ねじ山を有する、ねじファスナーを提供することが望ましい。
本明細書に記載の波形ねじ山形状は、プリベイリングトルクが本来的に備わった(with built in prevailing torque)ファスナーを提供し、該ファスナーの利点は、波形ねじ山部分および標準ねじ山部分の双方を概ね螺旋のねじ山に沿って含むことによって、ファスナー組立体におけるファスナーのランダムな位置決めを行うことができることである。好適な形態では、各波形ねじ山部分は、全ねじピッチよりも短く延び、全ねじピッチに亘って延設する標準ねじ山部分によって、隣接する波形ねじ山部分から離間している。
本考案の一実施の形態の一態様では、複数のねじピッチの概ね螺旋状の経路に沿って延在するねじ山を有する、ねじファスナーのねじ山形状に、ねじ山が螺旋状のストレート経路から逸脱するねじ山セグメントを各々が形成している複数の波形ねじ山部分が設けられる。標準ねじ山部分が、隣接する波形ねじ山部分間に設けられ、各標準ねじ山部分は、略螺旋状のストレート経路に沿って延在するねじ山セグメントを形成している。
本考案の一実施の形態の一態様では、ねじファスナーに、シャンクと、概ね螺旋状の経路に沿って複数のねじピッチを形成している、シャンクにあるねじ山とが設けられる。ねじ山は、該ねじ山が螺旋状のストレート経路から逸脱するねじ山セグメントを各々が形成している複数の波形ねじ山部分と、隣接する波形ねじ山部分間の標準ねじ山部分であって、各標準ねじ山部分は、略螺旋状のストレート経路に沿って延在するねじ山セグメントを形成している、標準ねじ山部分とを含む。
本明細書に記載されている波形ねじ山形状の一実施の形態の利点は、ファスナーの伸張した長さに沿ってプリベイリングトルクが本来的に備わったファスナーを提供することであり、該ファスナーによるプリベイリングトルクの利点は、ねじ組立体におけるねじファスナーのランダムな位置決めによって実現することができる。
本明細書に記載されている波形ねじ山形状の実施の形態の別の利点は、軟質のジョイントに効率的に用いることができる、プリベイリングトルクが本来的に備わったファスナーを提供することである。
本明細書に記載されている波形ねじ山形状の少なくとも幾つかの実施の形態によって提供される更に別の利点は、細目ねじ構造を有するファスナー、小径のファスナー、および/または少なくとも1つのねじ部品が比較的軟質の材料から作製されているファスナー組立体に用いることができる、プリベイリングトルクが本来的に備わったねじファスナーを提供することである。
本考案の他の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実用新案登録請求の範囲、および同様の符号が同様の特徴を示すのに用いられている図面を検討すれば、当業者には明らかとなるであろう。
本明細書に開示されている波形ねじ山形状を有するねじファスナーの斜視図である。 図1に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図2に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図3に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図4に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図5に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図6に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図7に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図8に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図9に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図10に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 図11に示されている位置から右側すなわち時計回り方向に30度回転させたねじファスナーの斜視図である。 波形ねじ山形状の代替形態の拡大部分図である。
本考案の実施形態を詳細に説明する前に、本考案は、以下の説明に記載または図示されている部品の構成および配置の詳細に限定されないことを理解されたい。本考案は他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施または実行することが可能である。また、本明細書において使用される表現および用語は説明目的のためのものであり、限定とみなされるべきではないことが理解されよう。本明細書における、「含む」、「備える」およびその変形形の使用は、その後に挙げる項目およびその等価物並びに追加の部材およびその等価物を包含することを意味する。
ここで、図面、特に図1をより具体的に参照すると、符号100はねじファスナー、より具体的には、頭部102と、シャンク104と、波形ねじ山形状を有する連続した螺旋ねじ山106とを有するボルトを示す。螺旋ねじ山106は、シャンク104の概ね螺旋状の経路に沿って延びるとともに、複数のねじピッチを形成している。ここで、ねじピッチは、シャンク104を一回転させたときの弦巻線の一回りの長さ部分である。螺旋ねじ山106は、以下でより詳細に説明するように、1つのリードねじ山部分(lead-in-thread portion:導入ねじ山部分)108と、複数の標準ねじ山部分110および複数の波形ねじ山部分112の双方とを含む。図示する例示的な実施形態の各波形ねじ山部分112は、全ねじピッチよりも短く延在しているとともに、ねじ山が螺旋状のストレート経路から逸脱するねじ山セグメントを形成している。図示する例示的な実施形態の各標準ねじ山セグメント110は、1つの全ねじピッチに亘って延在しているとともに、略螺旋状のストレート経路に沿って延在するねじ山セグメントを形成している。図示する例示的な実施形態では、ファスナー100は、シャンク104の、頭部102とは反対の端に鈍端または鈍先端114を含むが、当業者は、テーパー状端またはテーパー状先端も設け得ることを理解するであろう。
図1に示すように、ねじ山106は圧力側フランク120と、ねじ山の頂部124からねじ谷底126にかけての進み側フランク122とを含む。ねじ山106は、シャンク104に沿って概ね螺旋のパターンで設けられており、ファスナー100の略全長に亘って設けてもよく、またはファスナーの端から離間した或る距離から始端しているか若しくは該距離で終端していてもよい。
図2〜図12は、直前の図の向き(view)から30度回転させたファスナー100を示す。従って、図2は、図1の向きから30度回転させたファスナー100を示し、図3は、図2の向きから30度(従って、図1の向きから60度)回転させたファスナー100を示し、図4は、図3の向きから30度(従って、図2の向きから60度、図1の向きから90度)回転させたファスナー100を示すといったように、残りの図5〜図12についても示す。そのため、図1は、図12に示されている向きから30度回転させたファスナー100を示すことにも留意されたい。
図面に示されている特定のファスナーは例示にすぎないこと、また、本明細書に開示されている波形ねじ山形状は、長いシャンクの限定された部分にのみねじ部を有するファスナー、スクリュー式ファスナーおよび他のタイプのねじファスナーを含め、種々のタイプのファスナーに用いることができることを理解されたい。図示する例示的な実施形態では、頭部102は、レンチと係合するように構成されている六面形である。当業者は、頭部102を六角形以外に別様に構成することができることを容易に理解するであろう。従って、頭部102はスクリュードライバー、トルクス(登録商標)ドライバーまたは他のタイプのドライバーを受入れるスロットまたはキャビティを有して構成することができる。更に、頭部102の外周は、六角形のドライバー以外のドライバーと係合するように構成することができる。
本考案の波形ねじ山形状には、全ねじピッチよりも短く、例示的な実施形態では、ねじピッチの約1/3の距離(従って、シャンク104の周りに120度)に亘って延設する個々の波形を用いており、個々の波形ねじ山部分の各々は、およそ1つの全ねじピッチの距離に亘って(従って、シャンク104の周りに360度に亘って)延びる標準ねじ山部分によって、隣接する波形ねじ山部分から離間している。従って、波形ねじ山部分は複数のねじピッチに亘って分割され、ねじ山の始端、ねじ山の終端またはそれらの双方は標準的なねじ山構造で、ねじ山104の全長に亘ってまたはねじ山の全長よりも短い或る部分に亘って、記載したパターンで延在させることができる。
例示的な実施形態では、個々の波形ねじ山部分は、参照符号112とともに文字「a」〜「m」で連続的に特定されている。従って、リードねじ山部分108から始まって、第1の波形ねじ山部分は112aとして示され、次の波形ねじ山部分は112bとしてといったように示される。同様の指定が、種々の波形ねじ山部分112a〜112m間の標準ねじ山部分110に適用されている。波形ねじ山部分112a、112b間の第1の標準ねじ山部分が標準ねじ山部分110aとして特定されており、波形ねじ山部分112b、112c間の第2の標準ねじ山部分が標準ねじ山部分110bとして示されているといったようにファスナー100の長さ方向に沿って示されている。
各波形ねじ山部分112a〜112mは、ねじピッチの1/3に亘って延設するねじ山セグメントを形成しており、全ねじピッチに亘って延設する標準ねじ山部分110によって、隣接する波形ねじ山部分から離間している。従って、隣接する波形ねじ山部分112a〜112mの波形の頂部は4/3ねじピッチだけ離間している。波形を広げることにより、ファスナーのスタンスが広くなることで、ファスナー100を受入れる相補的な雌形ファスナー部品の雌ねじとのより安定性のある滑らかな相互作用をもたらす。波形ねじ山によって与えられるプリベイリングトルクの利点は、ファスナーの正確な地点に波形を設ける必要なく、かつファスナー部品のうちの一方をファスナー部品のうちの他方の内部に特定の相対位置で位置決めする必要なく実現される。例示的な実施形態について図示および記載されているようにして雄ねじに波形を設けることは、ファスナーの長さに沿って任意の3つのピッチが相手側のねじ構造部に係合する場合に効果的に行うことができる。これにより、ねじ山を、最終的な組み付けに関して工具およびファスナーについて特別に考慮することなくどこでも開始させることが可能となる。任意の3つのねじピッチが係合する限り、適正な数の波形ねじ山部分が最終ねじ組立体に含まれ、波形ねじ山部分112により与えられるプリベイリングトルクの十分な利点が達成される。
以下、螺旋ねじ山における標準ねじ山部分と波形ねじ山部分とのパターンを図1〜図12に関してより具体的に説明する。第1の波形ねじ山部分112aが、適した長さの標準ねじ山部分またはリードねじ山部分108に続くことができ、1/3のねじピッチ、すなわちシャンク104の周りに約120度の距離に亘って延設する。標準螺旋ねじ山部分110aが第1の波形ねじ山部分112aから続き、第1の波形ねじ山部分112aの端から1つの完全螺旋の距離、すなわちシャンク104の周りに360度に亘って延設する。その後、第2の波形ねじ山部分112bが、約1/3ねじピッチの距離(シャンク104の周りに120度)に亘って延設するように設けられており、ここでも同様にその後に、全ねじピッチにわたる、シャンク104の周りに360度延びる標準ねじ山部分110bが続く。その後、第3の波形ねじ山部分112cが、シャンクの周りを約120度覆う長さに亘って延設する。シャンク104の周りに約120度(1/3ねじピッチ)延びる波形ねじ山部分の後にシャンク104の周りに約360度(1つの全ねじピッチ)延びる標準ねじ山部分が続くこのパターンが、ねじ山の長さ全体を通してファスナーのリード端の先端から続く。
第1の波形ねじ山部分の位置、第2の波形ねじ山部分の位置および第3の波形ねじ山部分の位置は、図1〜図12まで30度の増分で回転させたファスナーの一連の図を比較することで理解することができる。図1では、第1の波形ねじ山部分112aおよび第3の波形ねじ山部分112cは見えるのに対し、第2の波形ねじ山部分112bは見えない。ファスナーを30度回転させて図2の向きにすると、第3の波形ねじ山部分112cはあまり見えず、第1の波形ねじ山部分112aがより多く見える。ファスナーを更に30度回転させて図3の向きにすると、第2の波形ねじ山部分112bが見えてくる。図4に示すように更に30度回転させると、第3の波形ねじ山部分112cは回転して見えなくなり、第2の波形ねじ山部分112bをより多く見ることができる。第1の波形ねじ山部分112aは見えたままである。連続行程を図5〜図12のファスナーの更なる回転の全体を通して見ることができる。その他の波形ねじ山部分112d〜112mの相対位置も図1〜図12から理解することができる。
ねじ山106は、標準ねじ山部分110および波形ねじ山部分112の全体を通して断面形状は同一である。螺旋パターンの全体を通して、断面形状は同一である。然しながら、谷底126から頂部124にかけてのねじ山全体は、波形ねじ山部分112に沿って湾曲経路に沿って延在する。図示する例示的な実施形態では、波形ねじ山部分112は頭部102から離れて先端114へ向かう方向にストレート経路から逸脱している。然しながら、波形ねじ山部分が、ストレート経路からファスナーの先端からファスナーの頭部に向う方向に逸脱するようにしたり、或いは、ストレート経路から両方向に逸脱するようにしたファスナーを提供することができる。
図示する例示的な実施形態では、波形ねじ山部分112はそれぞれ、ねじピッチの1/3に延在する単一の波形を形成しているが、単一の波形よりも多くの波形を有する波形ねじ山部分を用いることができ、かつ/または、波形ねじ山部分は、全ねじピッチの1/3よりも長い距離または短い距離に亘って延設することができることを理解されたい。更に、隣接する波形ねじ山部分112間に標準ねじ山部分110を含み、標準ねじ山部分110がねじ山の1つの全ピッチに亘って延在する例示的な実施形態を図示および説明してきたが、隣接する波形ねじ山部分は、全ねじピッチよりも長く或いは短く延在する標準ねじ山部分によって離間させることができる。従って、ねじ組立体における雄ねじと雌ねじとの所望の協働関係は、有利には、3つよりも多いかまたは少ないねじピッチがねじ組立体において係合する場合に、波形ねじ山部分が与えるプリベイリングトルク特性を十分に利用するように設計することができる。更に、波形ねじ山部分112における各波形の幅は所望のプリベイリングトルク特性を与えるように選択することができ、幅が広いほど大きなプリベイリングトルクをもたらし、幅が小さいほど小さなプリベイリングトルクをもたらす。トルク要件は、間に標準ねじ山部分110がある波形ねじ山部分112同士の間隔とともに、波形ねじ山部分の波形の幅および頻度の選択により正確に制御することができる。
波形ねじ山形状の別の実施形態が図13に示されている。図13に示されているファスナー200は、シャンク204と、標準ねじ山部分210と、本明細書において前述した波形ねじ山部分112a〜112mと同様の波形ねじ山部分212とを含む。波形ねじ山部分212は、隣接するねじピッチ上の入れ子状の波形ねじ山部分213と対になっている。波形ねじ山部分212は、図13において230と示される寸法によって示されている波形高さを有し、入れ子状の波形ねじ山部分213は、符号232によって指示される寸法によって示されている波形高さを有する。入れ子状の波形ねじ山部分213は、その関連の波形ねじ山部分212の波形高さ230よりも小さい波形高さ232を有することができる。関連の波形ねじ山部分212の波形高さの1/2を有する入れ子状の波形ねじ山部分213が効果的に作用した。入れ子状の波形ねじ山部分213は、図13に示すように、ファスナーシャンク204の関連の波形ねじ山部分212に対して概ね軸方向に一直線上に配置することができ、例示的な実施形態では、関連の波形ねじ山部分212と同じ方向に螺旋状のストレート経路から逸脱する。例示的な実施形態では、波形ねじ山部分212および入れ子状の波形ねじ山部分213はそれぞれ、螺旋状のストレート経路からファスナー200の先端に向かって任意の同じ方向に逸脱する。入れ子状の波形213を使用することにより、細目ねじ山が用いられる場合に、かつ/または、ねじファスナー部品のうちの一方若しくは他方が軟質の材料および/若しくは小径を有する場合に、ねじ回転を容易にする。入れ子状の波形213は、これらの条件および他の条件下で係合しているねじ山の谷底の干渉に起因する可能性がある不都合点を克服する。入れ子状の波形は締結した組立体において雌ねじと係合するのではなく、雌ねじに対して更なるクリアランスを与える。より軟質の材料では、入れ子状の波形213により、関連した標準サイズの波形部分212が作り出す材料の流れが可能となる。
上記の変形および変更は本考案の範囲内にある。本明細書に開示および規定されている本考案は、言及されている個々の特徴の2つ以上の全ての代替的な組み合わせにおよび、または本文および/若しくは図面から明らかであることが理解される。これらの様々な組み合わせの全ては、本考案の種々の代替的な態様を構成する。本明細書に記載の実施形態は、本考案を実施するための分かっている最良の形態を説明しており、当業者が本考案を利用することを可能にする。実用新案登録請求の範囲は、従来技術が許容する範囲まで代替的な実施形態を含むものと解釈すべきである。
本考案の種々の特徴は添付の実用新案登録請求の範囲内に記載されている。
100 ファスナー
102 頭部
104 シャンク
106 ねじ山
108 リードねじ山部分
110 標準ねじ山部分
112 波形ねじ山部分
114 鈍先端
120 圧力側フランク
122 進み側フランク
124 ねじ山の頂部
126 谷底
200 ファスナー
204 シャンク
210 標準ねじ山部分
212 波形ねじ山部分
213 入れ子状の波形ねじ山部分

Claims (10)

  1. 複数のねじピッチを形成する概ね螺旋状の経路に沿って延在するねじ山を有する、ねじファスナーのねじ山形状であって、
    複数の波形ねじ山部分であって、該複数の波形ねじ山部分の各々が、螺旋状のストレート経路からねじ山が逸脱するねじ山セグメントを形成する複数の波形ねじ山部分と、
    隣接する波形ねじ山部分の間の標準ねじ山部分であって、各々が略螺旋状のストレート経路に沿って延在するねじ山セグメントを形成する標準ねじ山部分とを具備するねじ山形状。
  2. 各波形ねじ山部分は全ねじピッチよりも短い距離に亘って延設する請求項1に記載のねじ山形状。
  3. 各標準ねじ山部分は少なくとも全ねじピッチの距離を延びる請求項1に記載のねじ山形状。
  4. 各波形ねじ山部分はねじピッチの約1/3の距離に亘って延び、前記螺旋状のストレート経路から離れる一方向に逸脱する1つの完全な波形を形成しており、各標準ねじ山部分はおよそ1つの全ねじピッチの距離に亘って延設する請求項1に記載のねじ山形状。
  5. 少なくとも3つの前記波形ねじ山部分を含む請求項4に記載のねじ山形状。
  6. ねじファスナーであって、
    シャンクと、
    概ね螺旋状の経路に沿って複数のねじピッチを形成している、前記シャンクにあるねじ山であって、該ねじ山は、該ねじ山が、螺旋状のストレート経路から逸脱するねじ山セグメントを各々が形成している複数の波形ねじ山部分を含むねじ山と、
    隣接する波形ねじ山部分間の標準ねじ山部分であって、各標準ねじ山部分は、略螺旋状のストレート経路に沿って延在するねじ山セグメントを形成している標準ねじ山部分とを含むねじファスナー。
  7. 各前記波形ねじ山部分は全ねじピッチよりも短い距離に亘って延設する請求項8に記載のねじファスナー。
  8. 各前記波形ねじ山部分はねじピッチの約1/3の距離に亘って延設する請求項9に記載のねじファスナー。
  9. 隣接する波形ねじ山部分間の各前記標準ねじ山部分はおよそ1つの全ねじピッチの距離に亘って延設する請求項10に記載のねじファスナー。
  10. ねじファスナーは、前記シャンクの一端に頭部と、前記シャンクの対向端に遠位先端とを更に含み、各々が単一の波形を形成している前記波形ねじ山部分は、前記螺旋状のストレート経路から前記シャンクの前記遠位先端に向かって逸脱している請求項8に記載のねじファスナー。
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