JP3202775B2 - 固形製剤 - Google Patents

固形製剤

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JP3202775B2
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洋一 中嶋
勝美 今森
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アスコルビン酸又はそ
の塩とエフェドリン型アルカロイドとを有効成分として
含有する安定で変色しない固形製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】エフェドリン型アルカロイドは気管支拡
張作用、鎮咳作用等を有し、特に感冒薬においては鎮咳
成分として広く配合されている。一方、アスコルビン酸
又はその塩は、ビタミンとして、あるいは酸化防止剤と
して広く使用されてきたが、最近感冒薬中に配合される
例が増加している。しかしながら、アスコルビン酸類と
エフェドリン型アルカロイドの双方を配合すると、製剤
が変色してしまうという問題があった。例えば、塩酸メ
チルエフェドリンは淡黄緑色に、塩酸フェニルプロパノ
ールアミンは赤色に変色してしまい、商品価値をなくし
てしまうという欠点があった。
【0003】即ち、アスコルビン酸又はその塩とエフェ
ドリン型アルカロイドの配合された固形製剤の製造時、
アスコルビン酸又はその塩とエフェドリン型アルカロイ
ドの溶媒練合による接触により変色を発生し、配合成分
又は製造設備からの金属類(Na,Ca,Fe等)の存
在が変色を増強し、さらに、抗ヒスタミン成分、他の鎮
咳成分、去痰成分、カフェイン類などの含窒素成分の存
在が変色を増強するという欠点があった。
【0004】このため、すでに上市されているアスコル
ビン酸又はその塩とエフェドリン型アルカロイドとを配
合した製剤は、さらに、生薬や漢方エキス等の濃色の成
分を加えて褐色の製剤としたり、2成分を顆粒分けした
り、多層錠とすることが行なわれている。しかし、これ
らの方法は変色を根本的に防止するものではない。
【0005】一方、医薬品及び食品の変色を防止する一
般的な従来技術としては、α澱粉を添加しアセチルサリ
チル酸の変色を防止する方法(特開昭55−51017
号公報)、シクロデキストリンを変色防止剤として用い
る方法(特開昭59−205958号公報、特開昭59
−205932号公報、特開昭61−122219号公
報、特開昭62−19051号公報、特開平1−257
453号公報、特開平1−287042号公報、特開平
2−16932号公報、特開平3−100065号公
報)、アスコルビン酸又はその塩を変色防止剤として用
いる方法(特開昭55−118344号公報、特開昭5
7−189634号公報、特開昭61−67440号公
報、特開平2−215340号公報、特開平2−291
226号公報)などが知られているが、いずれもアスコ
ルビン酸類とエフェドリン型アルカロイドによる変色を
防止することはできないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、アスコルビン酸類及びエフェドリン型アルカロイド
を含みながらも変色せず、一顆粒製剤等の剤型が可能な
固形製剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み、本発
明者は鋭意研究を重ねた結果、アスコルビン酸が変色因
子であることから酸性物質は全て変色因子と考えられて
いたが、意外にも特定の有機酸に変色防止効果があるこ
とを見い出し、本発明を完成した。
【0008】即ち本発明は、(a)アスコルビン酸又は
その塩、(b)塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフ
ェドリン、l−塩酸メチルエフェドリン、dl−メチルエ
フェドリンサッカリン塩及び塩酸フェニルプロパノール
アミンから選ばれるエフェドリン型アルカロイド、並び
に(c)二塩基酸及びオキシ酸より選ばれる1種又は2
種以上の有機酸 1〜20重量%、を含有する固形製剤
を提供するものである。
【0009】本発明に用いるアスコルビン酸又はその塩
としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウ
ム、アスコルビン酸カルシウム等が挙げられる。これら
の配合量は目的、剤形にもよるが、0.5〜50重量%
(以下、単に「%」で示す)とすることが好ましい。
【0010】また、エフェドリン型アルカロイドとして
は、塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフェドリン、
1−塩酸メチルエフェドリン、dl−メチルエフェドリン
サッカリン塩及び塩酸フェニルプロパノールアミン等が
挙げられ、配合量としては0.1〜10%とすることが
好ましい。
【0011】本発明に用いる二塩基酸及びオキシ酸から
選ばれる有機酸としては、コハク酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸等が
挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いて
もよく、配合量は0.5〜50%、特に1〜20%が好
ましい。この配合量が0.5%未満であると、製剤の変
色が十分に防止できず、50%を超えて配合しても無駄
であり、いずれも好ましくない。
【0012】本発明の固形製剤は、上記必須成分の他、
目的に応じて解熱鎮痛成分、抗ヒスタミン成分、他の鎮
咳成分、去痰成分、カフェイン類、ビタミン、生薬、制
酸剤、賦形剤を配合することができ、常法に従って錠
剤、顆粒剤、散剤等とすることができる。なお、本発明
に用いる上記有機酸の配合方法は、特に限定されない
が、例えば、水又は/及びエタノールの混液に有機酸を
溶解し、これを造粒時練合液として用い、配合する方
法、有機酸の結晶を粉砕し、直接配合する方法等が挙げ
られる。
【0013】
【発明の効果】本発明の固形製剤は、アスコルビン酸又
はその塩とエフェドリン型アルカロイドを含有しながら
も変色が起こらない。従って一顆粒製剤及び一層の錠剤
等とすることも可能となる。
【0014】
【実施例】実施例1 顆粒剤: (処方) (%) アセトアミノフェン 20 マレイン酸クロルフェニラミン 0.167 リン酸ジヒドロコデイン 0.533 dl−塩酸メチルエフェドリン 1.333 アスコルビン酸カルシウム 11.111 無水カフェイン 1.667 カルボキシメチルセルロース 11.111 ヒドロキシプロピルセルロース 0.889 精製白糖 51.189 クエン酸 2 香料 微量
【0015】(製法)アセトアミノフェン、マレイン酸
クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、dl−塩
酸メチルエフェドリン、アスコルビン酸カルシウム、無
水カフェイン、カルボキシメチルセルロース及び精製白
糖を秤取し均一に混合した後、50%エタノール溶液に
クエン酸及びヒドロキシプロピルセルロースを溶解した
液及び50%エタノール溶液を加えて練合したものを押
出造粒機(不二パウダル製EXR-60型0.8mmスクリー
ン)にて造粒し、50℃で乾燥し篩過整粒し、香料を添
加混合後、スティック包装して顆粒剤を得た。
【0016】実施例2 顆粒剤: (処方) (%) リン酸ジヒドロコデイン 1 塩酸フェニルプロパノールアミン 3 無水カフェイン 9 アスコルビン酸 16.667 カルボキシメチルセルロース 16.667 ヒドロキシプロピルセルロース 1 乳糖 47.666 酒石酸 5 香料 微量
【0017】(製法)リン酸ジヒドロコデイン、塩酸フ
ェニルプロパノールアミン、無水カフェイン、アスコル
ビン酸、カルボキシメチルセルロース、乳糖及び酒石酸
の粒径300μm 以下の粉砕末を秤取し、均一に混合し
た後、ヒドロキシプロピルセルロースのエタノール溶液
及びエタノールを加えて練合したものを押出造粒機(不
二パウダル製EXR-60型0.8mmスクリーン)にて造粒
し、50℃で乾燥し篩過整粒し、香料を添加混合後、ス
ティック包装して顆粒剤を得た。
【0018】比較例1 顆粒剤: (処方) (%) アセトアミノフェン 20 マレイン酸クロルフェニラミン 0.167 リン酸ジヒドロコデイン 0.533 dl−塩酸メチルエフェドリン 1.333 アスコルビン酸カルシウム 11.111 無水カフェイン 1.667 カルボキシメチルセルロース 11.111 ヒドロキシプロピルセルロース 0.889 精製白糖 53.189 香料 微量 (製法)実施例1同様に操作し、顆粒剤を得た。
【0019】比較例2 顆粒剤: (処方) (%) リン酸ジヒドロコデイン 1 塩酸フェニルプロパノールアミン 3 無水カフェイン 9 アスコルビン酸 16.667 カルボキシメチルセルロース 16.667 ヒドロキシプロピルセルロース 1 乳糖 52.666 香料 微量 (製法)実施例2同様に操作し、顆粒剤を得た。
【0020】試験例1 実施例1〜2及び比較例1〜2で得られた顆粒の変色に
ついて試験を行なった。試験はアルミ包材でスティック
包装したものを、50℃の雰囲気下に1箇月放置し、変
色を色差計(日本電色工業製・Σ80型)で測定し、行
なった。
【0021】この結果比較例1及び2のものは製造時の
乾燥の時点で変色が発生した(標準白板と比較してΔE
20〜30)。尚、実施例1及び2はΔEが3〜5であ
った。一方、実施例1及び2のものは、4℃で保管した
同じものと比較して実施例1はΔEが7、実施例2はΔ
Eが8であり変色は少なかった。以上の試験結果より、
本発明の固形製剤は変色が少ないことが判る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 PHYSICIANS DESK R EFERENCE FOR NONPR ESCRIPTION DRUGS (1990)MEDICAL ECONOM ICS COMPANY p.679 最近の医薬 第14集(昭和38年)薬事 日報社p.156 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/137,31/375,47/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)アスコルビン酸又はその塩、
    (b)塩酸エフェドリン、dl−塩酸メチルエフェドリ
    ン、l−塩酸メチルエフェドリン、dl−メチルエフェド
    リンサッカリン塩及び塩酸フェニルプロパノールアミン
    から選ばれるエフェドリン型アルカロイド、並びに
    (c)二塩基酸及びオキシ酸より選ばれる1種又は2種
    以上の有機酸 1〜20重量%、を含有する固形製剤。
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JP4848140B2 (ja) * 2004-05-26 2011-12-28 武田薬品工業株式会社 ビタミンc類を含む安定化された固形製剤
EP2531047A4 (en) 2010-02-05 2014-03-19 Phosphagenics Ltd CARRIER WITH AN UNINUTRALIZED TOCOPHERYL PHOSPHATE
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Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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PHYSICIANS DESK REFERENCE FOR NONPRESCRIPTION DRUGS(1990)MEDICAL ECONOMICS COMPANY p.679
最近の医薬 第14集(昭和38年)薬事日報社p.156

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