JP3202708U - 回り止め付き軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】静止輪(外輪)をハウジングに嵌合させる際の組付性(取付性)に優れていると共に、回り止め構造の早期の劣化を防止することで、長期に亘って軸受を安定して、かつ、精度よく回転させ続けることを可能にする回り止め付き軸受を提供する。【解決手段】回転輪2に対向する静止輪4とハウジングHとの相対回転を防止する回り止め構造は、静止輪及びハウジングのいずれか一方の周面を静止輪の中心軸Axに沿って一部平行に突出させた凸部Pと、静止輪及びハウジングのいずれか他方の周面を凸部に対向して一部窪ませることで凸部を収容し、互いに係合可能な凹部Gとを備え、凹部には周方向両側に凹部側面Gsが構成され、凹部側面は中心軸側の基点Tから径方向外側に向って所定角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置され、基点が中心軸から径方向に沿って所定距離だけ離間し凸部側面と凹部側面とは互いに面状に接触する。【選択図】図1

Description

本考案は、例えば転がり軸受を回転体とハウジングとの間に組み込んだ状態において、静止輪とハウジングとの相対的な回転を防止するための回り止め構造を有する回り止め付き軸受に関する。
従来、回転体とハウジングとの間に組み込まれる軸受には、その静止輪とハウジングとの相対的な回転を防止するための各種の回り止め構造が適用されている(例えば、特許文献1参照)。その一例として、回り止め構造は、ハウジングの内周に形成された凸部と、静止輪の外周に形成された凹部とを互いに係合させることで、静止輪とハウジングとの相対的な回転を防止するものが知られている。
具体的に説明すると、図4(a)に示すように、回り止め構造を有する軸受は、回転体R(回転シャフトともいう)に嵌合されて共に回転する回転輪2(例えば、内輪)と、回転輪2の外周に対向配置され、かつ、ハウジングHに嵌合されて固定される静止輪4(例えば、外輪)と、回転輪2と静止輪4との間(内外輪2,4間)に沿って転動自在に組み込まれた複数の転動体6と、これら転動体6を保持する保持器8とを備えている。なお、転動体6としては、「玉」や「ころ」を適用することができる。
そして、回り止め構造は、ハウジングHの内周面を、上記した軸受(具体的には、静止輪4(外輪))の中心軸Ax(軸受或いは回転体Rの回転軸ともいう)に沿って一部平行に突出させることで形成された凸部Pと、静止輪4(外輪)の外周面を、凸部Pに対向して一部窪ませることで形成され、凸部Pを収容し、かつ、互いに係合可能な凹部Gとを備えている。この場合、凸部Pの周方向両側(中心軸Ax回りに沿った方向の両側)には、凸部側面Psが構成されており、凹部Gの周方向両側(中心軸Ax回りに沿った方向の両側)には、凹部側面Gsが構成されている。
このような構成において、ハウジングHの凸部Pの両側に構成された一対の凸部側面Psは、中心軸Axを直交する方向に沿って互いに平行な位置関係(具体的には、中心軸Axを直交し、かつ、当該中心軸Axに沿って平行に延出する仮想平面Sに対して、それぞれ平行な位置関係)を成して配置されている。また、静止輪4(外輪)の凹部Gの両側に構成された一対の凹部側面Gsは、中心軸Axを直交する方向に沿って互いに平行な位置関係(具体的には、上記した仮想平面Sに対して、それぞれ平行な位置関係)を成して配置されている。これにより、凸部側面Psと凹部側面Gsとは、互いに平行な位置関係を成して対向配置されている。
特開2007−92863号公報
ところで、静止輪4(外輪)をハウジングHに嵌合させる際には、静止輪4(外輪)に形成された凹部Gを、ハウジングHに形成された凸部Pに組み付ける(取り付ける)作業が行われるが、このときの組付性(取付性)を向上させるために、凸部Pの幅寸法W1よりも凹部Gの幅寸法W2を周方向に沿って広げる(大きくする)場合がある。なお、幅寸法W1,W2は、中心軸Ax回りにおける周方向に沿った値として規定される。
かかる構成によれば、例えば図4(b)に示すように、軸受回転中(即ち、回転輪2(内輪)が回転体Rと共に回転中)に、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、静止輪4(外輪)の凹部Gの両外径端Gt(エッジ、或いは、各凹部側面Gsの先端ともいう)が、ハウジングHの凸部Pの凸部側面Psに接触(具体的には、線接触、或いは、点接触)する。そして、このときの接触圧の程度によっては、凸部側面Psに対する凹部Gの外径端Gtの接触面圧が局部的に高くなり、その結果、当該凸部側面Psが破損したり損傷したりする虞がある。
そうなると、当該凸部側面Ps破損や損傷の程度によっては、回り止め構造が早期に劣化し、これにより、ハウジングHに対して静止輪4(外輪)を安定して嵌合固定させ続けることが困難になり、その結果、長期に亘って軸受を安定して、かつ、精度よく回転させ続けることができなくなってしまう虞がある。
本考案は、かかる問題を解決するためになされており、その目的は、静止輪(外輪)をハウジングに嵌合させる際の組付性(取付性)に優れていると共に、回り止め構造の早期の劣化を防止することで、長期に亘って軸受を安定して、かつ、精度よく回転させ続けることを可能にする回り止め付き軸受を提供することにある。
このような目的を達成するために、本考案は、回転体に嵌合されて共に回転する回転輪と、前記回転輪に対向配置され、かつ、ハウジングに嵌合される静止輪と、前記静止輪と前記ハウジングとの相対的な回転を防止する回り止め構造とを有する回り止め付き軸受であって、前記回り止め構造は、前記静止輪及び前記ハウジングのいずれか一方の周面を、前記静止輪の中心軸に沿って一部平行に突出させることで形成された凸部と、前記静止輪及び前記ハウジングのいずれか他方の周面を、前記凸部に対向して一部を窪ませることで形成され、前記凸部を収容し、かつ、前記凸部と周方向に隙間を持って係合可能な凹部とを備えており、前記凸部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、凸部側面がそれぞれ構成され、前記凹部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、凹部側面がそれぞれ構成され、前記一対の凹部側面は、前記中心軸側に設定され1つの基点から径方向外側に向って、所定角度で末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置され、前記基点は、前記回り止め構造が構成された部位とは前記中心軸を挟んで径方向反対側に設定され、前記中心軸から径方向に沿って所定距離だけ離間し、前記静止輪と前記ハウジングとが相対的に回転した場合、前記凸部側面と前記凹部側面とは、互いに面状に接触する。
本考案において、前記凸部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、前記凸部側面がそれぞれ構成され、かつ、前記一対の凸部側面は、前記中心軸を直交する方向に沿って互いに平行な位置関係を成して配置されており、前記静止輪と前記ハウジングとが相対的に回転した場合、前記凸部側面と、前記凹部側面とは、互いに平行な位置関係を維持しつつ、かつ、互いに面状に接触するように前記所定角度を設定する。
本考案において、前記一対の凹部側面は、前記凹部の周方向幅を一定値とし、前記所定距離を大きくすると、これに従って、前記所定角度が小さくなり、前記所定距離を小さくすると、これに従って、前記所定角度が大きくなる。
本考案において、前記静止輪は、当該静止輪の外周から径方向に沿って周方向に連続したフランジを突出させ、当該フランジに前記凹部並びに前記一対の凹部側面を構成する。
本考案によれば、静止輪(外輪)をハウジングに嵌合させる際の組付性(取付性)に優れていると共に、回り止め構造の早期の劣化を防止することで、長期に亘って軸受を安定して、かつ、精度よく回転させ続けることを可能にする回り止め付き軸受を実現することができる。
(a)は、本考案の一実施形態に係る回り止め付き軸受の構成を示す側面図、(b)は、同図(a)に示された回り止め付き軸受において、静止輪(外輪)とハウジングとが相対的に回転した状態を示す側面図。 (a)は、本考案の一実施形態に係る回り止め付き軸受に備えられた静止輪(外輪)の構成を示す斜視図、(b)は、同図(a)に示された回り止め付き軸受において、本考案の一実施形態に係る回り止め付き軸受に備えられた静止輪(外輪)の他の構成を示す斜視図。 (a)は、本考案の変形例に係る回り止め付き軸受の構成を示す側面図、(b)は、同図(a)に示された回り止め付き軸受において、静止輪(外輪)とハウジングとが相対的に回転した状態を示す側面図。 (a)は、従来の回り止め付き軸受の構成を示す側面図、(b)は、同図(a)に示された回り止め付き軸受において、静止輪(外輪)とハウジングとが相対的に回転した状態を示す側面図。
以下、本考案の一実施形態に係る回り止め付き軸受について、添付図面を参照して説明する。
なお、本実施形態は、図4(a)に示された回り止め付き軸受の改良であるため、以下、改良部分の説明にとどめる。この場合、当該回り止め付き軸受(図4(a))と同一の構成については、その構成に付された参照符号と同一の符号を、本実施形態に用いた図面上に付すことで、その説明を省略(簡略)する。
図1(a)、(b)及び図2(a)に示すように、本実施形態の回り止め付き軸受において、回り止め構造は、静止輪4及びハウジングHのいずれか一方の周面を、静止輪4の中心軸Ax(軸受或いは回転体Rの回転軸ともいう)に沿って一部平行に突出させることで形成された凸部Pと、静止輪4及びハウジングHのいずれか他方の周面を、凸部Pに対向して一部窪ませることで形成され、凸部Pを収容し、かつ、互いに係合可能な凹部Gとを備えている。
本実施形態では、一例として、静止輪4を外輪とし、また、当該静止輪4(外輪)の内周に対向配置され、かつ、回転体R(回転シャフトともいう)に嵌合されて共に回転する回転輪2を、内輪とした回り止め付き軸受を想定する。なお、当該軸受における他の構成については、図4(a)と同様であるため、その説明は省略する。
この場合、凸部Pは、ハウジングHの内周面を、上記した軸受(具体的には、静止輪4(外輪))の中心軸Axに沿って一部平行に突出させることで形成されている。一方、凹部Gは、静止輪4(外輪)の外周面を、凸部Pに対向して一部窪ませることで形成され、凸部Pを収容し、かつ、互いに係合可能に構成されている。なお、凸部Pの突出量(突出長)及び凹部Gの窪ませ量(窪ませ深さ)については、静止輪4(外輪)の径方向幅(肉厚)に応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
また、凸部Pには、中心軸Ax回りに沿った方向の周方向両側に、凸部側面Psがそれぞれ構成されており、これら一対の凸部側面Psは、中心軸Axを直交する方向に沿って互いに平行な位置関係(具体的には、中心軸Axを直交し、かつ、当該中心軸Axに沿って平行に延出する仮想平面Sに対して、それぞれ平行な位置関係)を成して配置されている。
一方、凹部Gには、中心軸Ax回りに沿った方向の周方向両側に、凹部側面Gsがそれぞれ構成されており、これら一対の凹部側面Gsは、中心軸Ax側に設定された1つの基点Tから径方向外側に向って、所定角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置されている。別の捉え方をすると、一対の凹部側面Gsは、上記した仮想平面Sに対してその両側に、基点Tから径方向外側に向って所定の傾斜角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置されている。
ここで、中心軸Ax側に設定された1つの基点Tは、回り止め構造が構成された部位とは中心軸Axを挟んで径方向反対側に設定されており、基点Tは、中心軸Axから径方向に沿って所定距離δだけ離間している。具体的に説明すると、回り止め構造が構成された部位(即ち、凸部P及び凹部Gが構成された部位)と、基点Tとが、上記した仮想平面Sに沿って位置付けられている場合、凸部P及び凹部Gが構成された部位と、基点Tとは、中心軸Axを挟んで両側に対向配置されることとなり、かかる位置関係において、基点Tは、中心軸Axから径方向に沿って所定距離δだけ離間している。
この場合、凹部Gの周方向幅を一定値とし、中心軸Axから基点Tまでの距離δを大きくすると、これに従って、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを小さくすることができる。これに対して、凹部Gの周方向幅を一定値とし、中心軸Axから基点Tまでの距離δを小さくすると、これに従って、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを大きくすることができる。なお、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θの大小変化については、例えば、凸部Pの大きさ、周方向幅などに応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
ここで、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを、例えば凸部Pの大きさ、周方向幅などに応じて設定した場合を想定すると、回転輪2(内輪)を回転体Rに嵌合させると共に、静止輪4(外輪)をハウジングHに嵌合させることで、回り止め付き軸受を回転体RとハウジングHとの間に組み込んだ状態において、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、凸部Pと凹部Gとは、互いに面状に接触する。
即ち、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、凸部Pに構成された凸部側面Psと、凹部Gに構成された凹部側面Gsとは、互いに平行な位置関係を維持しつつ、かつ、互いに面状に接触する。この場合、「面状に接触する」とは、凸部側面Psと凹部側面Gsとが、互いに線接触、或いは、点接触すること無く、かつ、互いに隙間無く接触することを指す。
以上、本実施形態によれば、静止輪4(外輪)をハウジングHに嵌合させる際、静止輪4(外輪)に形成された凹部Gを、ハウジングHに形成された凸部Pに組み付ける(取り付ける)作業の組付性(取付性)を向上させるために、凸部Pの幅寸法W1よりも凹部Gの幅寸法W2を周方向に沿って広げた(大きくした)場合でも(図4(a)参照)、凹部Gの各凹部側面Gsを、中心軸Ax側に設定された1つの基点Tから径方向外側に向って、所定角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置することで、従来の回り止め付き軸受からでは得られない優れた効果を実現することができる。
即ち、例えば図1(b)に示すように、軸受回転中(回転輪2(内輪)が回転体Rと共に回転中)に、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、凸部Pに構成された凸部側面Psと、凹部Gに構成された凹部側面Gsとが、互いに平行な位置関係を維持しつつ、かつ、互いに面状に接触するため、凸部側面Psに対して局部的な接触圧が作用することはなく、その結果、当該凸部側面Psが破損したり損傷したりするといった不具合の発生を防止することができる。
これにより、従来のように当該回り止め構造が早期に劣化するといった事態を完全に防止することができるため、ハウジングHに対して静止輪4(外輪)を安定して嵌合固定させ続けることが可能となり、その結果、長期に亘って軸受を安定して、かつ、精度よく回転させ続けることができる。
また、本実施形態によれば、上記した一対の凹部側面Gsの傾斜角度θの大小変化については、軸受回転中(回転輪2(内輪)が回転体Rと共に回転中)に、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した際、凸部Pの凸部側面Psと凹部Gの凹部側面Gsとが互いに面状に接触するように、各凹部側面Gsの傾斜角度θを設定するだけで足りるため、当該回り止め構造の製造プロセスが極めて簡単になり、その結果、当該回り止め構造を有する軸受全体の製造コストを大幅に低減させることができる。
更に、本実施形態によれば、上記した一対の凹部側面Gsの傾斜角度θの大小変化させるだけで、従来の回り止め構造の凹部Gの幅寸法W2(図4(a))に比して、本実施形態の回り止め構造の凹部G(図1(a))の幅寸法を周方向に沿って広げる(大きくする)ことができる。これにより、静止輪4(外輪)をハウジングHに嵌合させる際に、静止輪4(外輪)に形成された凹部Gを、ハウジングHに形成された凸部Pに組み付ける(取り付ける)作業の組付性(取付性)を、従来に比して飛躍的に向上させることができる。
なお、本考案は、上記した実施形態に限定されることは無く、以下のような構成並びに変形例に係る技術的思想も、本考案の技術的範囲に含まれる。
例えば図2(b)に示すように、回り止め付き軸受に備えられた静止輪4(外輪)の他の構成として、当該静止輪4(外輪)の外周から径方向に沿って周方向に連続したフランジ4fを突出させ、当該フランジ4fに、上記した実施形態と同様の凹部G並びに一対の凹部側面Gsを構成してもよい。なお、フランジ4fの突出量(突出長)や幅(肉厚)については、当該回り止め付き軸受の使用目的や使用環境に応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。要するに、回り止めに必要な強度が確保できるように、フランジ4fの突出量(突出長)や幅(肉厚)を設定すればよい。
また、上記した実施形態では、凸部PをハウジングHの内周面に形成すると共に、凹部Gを静止輪4(外輪)の外周面に形成する場合を想定して説明したが、これに代えて、例えば図3(a),(b)に示すように、本考案の変形例に係る回り止め付き軸受として、凸部Pを静止輪4(外輪)の外周面に形成すると共に、凹部GをハウジングHの内周面に形成してもよい。
この場合、凸部Pは、静止輪4(外輪)の外周面を、上記した軸受(具体的には、静止輪4(外輪))の中心軸Axに沿って一部平行に突出させることで形成されている。一方、凹部Gは、ハウジングHの内周面を、凸部Pに対向して一部窪ませることで形成され、凸部Pを収容し、かつ、互いに係合可能に構成されている。なお、凸部Pの突出量(突出長)及び凹部Gの窪ませ量(窪ませ深さ)については、ハウジングHの径方向幅(肉厚)に応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
また、凸部Pには、中心軸Ax回りに沿った方向の周方向両側に、凸部側面Psがそれぞれ構成されており、これら一対の凸部側面Psは、中心軸Axを直交する方向に沿って互いに平行な位置関係(具体的には、中心軸Axを直交し、かつ、当該中心軸Axに沿って平行に延出する仮想平面Sに対して、それぞれ平行な位置関係)を成して配置されている。
一方、凹部Gには、中心軸Ax回りに沿った方向の周方向両側に、凹部側面Gsがそれぞれ構成されており、これら一対の凹部側面Gsは、中心軸Ax側に設定された1つの基点Tから径方向外側に向って、所定角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置されている。別の捉え方をすると、一対の凹部側面Gsは、上記した仮想平面Sに対してその両側に、基点Tから径方向外側に向って所定の傾斜角度θで末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置されている。
ここで、中心軸Ax側に設定された1つの基点Tは、回り止め構造が構成された部位とは中心軸Axを挟んで径方向反対側に設定されており、基点Tは、中心軸Axから径方向に沿って所定距離δだけ離間している。具体的に説明すると、回り止め構造が構成された部位(即ち、凸部P及び凹部Gが構成された部位)と、基点Tとが、上記した仮想平面Sに沿って位置付けられている場合、凸部P及び凹部Gが構成された部位と、基点Tとは、中心軸Axを挟んで両側に対向配置されることとなり、かかる位置関係において、基点Tは、中心軸Axから径方向に沿って所定距離δだけ離間している。
この場合、凹部Gの周方向幅を一定値とし、中心軸Axから基点Tまでの距離δを大きくすると、これに従って、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを小さくすることができる。これに対して、凹部Gの周方向幅を一定値とし、中心軸Axから基点Tまでの距離δを小さくすると、これに従って、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを大きくすることができる。なお、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θの大小変化については、例えば、凸部Pの大きさ、周方向幅などに応じて設定されるため、ここでは特に数値限定しない。
ここで、一対の凹部側面Gsの傾斜角度θを、例えば凸部Pの大きさ、周方向幅などに応じて設定した場合を想定すると、回転輪2(内輪)を回転体Rに嵌合させると共に、静止輪4(外輪)をハウジングHに嵌合させることで、回り止め付き軸受を回転体RとハウジングHとの間に組み込んだ状態において、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、凸部Pと凹部Gとは、互いに面状に接触する。
即ち、静止輪4(外輪)とハウジングHとが相対的に回転した場合、凸部Pに構成された凸部側面Psと、凹部Gに構成された凹部側面Gsとは、互いに平行な位置関係を維持しつつ、かつ、互いに面状に接触する。この場合、「面状に接触する」とは、凸部側面Psと凹部側面Gsとが、互いに線接触、或いは、点接触すること無く、かつ、互いに隙間無く接触することを指す。
なお、上記した構成を有する本変形例の効果については、上記した実施形態と同様であるため、その説明は省略する。
また、上記した実施形態では、回転輪2を内輪、静止輪4を外輪として説明したが、これに代えて、回転輪2を外輪、静止輪4を内輪とした場合でも同様の効果が得られる。
2 回転輪(内輪)
4 静止輪(外輪)
Ax 中心軸
G 凹部
Gs 凹部側面
H ハウジング
T 基点
θ 凹部側面の傾斜角度

Claims (4)

  1. 回転体に嵌合されて共に回転する回転輪と、
    前記回転輪に対向配置され、かつ、ハウジングに嵌合される静止輪と、
    前記静止輪と前記ハウジングとの相対的な回転を防止する回り止め構造とを有する回り止め付き軸受であって、
    前記回り止め構造は、
    前記静止輪及び前記ハウジングのいずれか一方の周面を、前記静止輪の中心軸に沿って一部平行に突出させることで形成された凸部と、
    前記静止輪及び前記ハウジングのいずれか他方の周面を、前記凸部に対向して一部を窪ませることで形成され、前記凸部を収容し、かつ、前記凸部と周方向に隙間を持って係合可能な凹部とを備えており、
    前記凸部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、凸部側面がそれぞれ構成され、
    前記凹部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、凹部側面がそれぞれ構成され、
    前記一対の凹部側面は、前記中心軸側に設定され1つの基点から径方向外側に向って、所定角度で末広がり状に傾斜した傾斜面を成して構成配置され、
    前記基点は、前記回り止め構造が構成された部位とは前記中心軸を挟んで径方向反対側に設定され、前記中心軸から径方向に沿って所定距離だけ離間し、
    前記静止輪と前記ハウジングとが相対的に回転した場合、前記凸部側面と前記凹部側面とは、互いに面状に接触することを特徴とする回り止め付き軸受。
  2. 前記凸部には、前記中心軸回りに沿った方向の周方向両側に、前記凸部側面がそれぞれ構成され、かつ、前記一対の凸部側面は、前記中心軸を直交する方向に沿って互いに平行な位置関係を成して配置されており、
    前記静止輪と前記ハウジングとが相対的に回転した場合、前記凸部側面と、前記凹部側面とは、互いに平行な位置関係を維持しつつ、かつ、互いに面状に接触するように前記所定角度を設定することを特徴とする請求項1に記載の回り止め付き軸受。
  3. 前記一対の凹部側面は、前記凹部の周方向幅を一定値とし、前記所定距離を大きくすると、これに従って、前記所定角度が小さくなり、前記所定距離を小さくすると、これに従って、前記所定角度が大きくなることを特徴とする請求項1又は2に記載の回り止め付き軸受。
  4. 前記静止輪は、当該静止輪の外周から径方向に沿って周方向に連続したフランジを突出させ、当該フランジに前記凹部並びに前記一対の凹部側面を構成することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の回り止め付き軸受。
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