JP3202012B1 - 圧電アクチュエータ、インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

圧電アクチュエータ、インクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置

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JP3202012B1
JP3202012B1 JP2000091530A JP2000091530A JP3202012B1 JP 3202012 B1 JP3202012 B1 JP 3202012B1 JP 2000091530 A JP2000091530 A JP 2000091530A JP 2000091530 A JP2000091530 A JP 2000091530A JP 3202012 B1 JP3202012 B1 JP 3202012B1
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piezoelectric actuator
piezoelectric film
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慎太郎 原
伊策 神野
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

【要約】 【課題】 耐電圧性の高い薄膜の圧電膜を備えた圧電ア
クチュエータ及びそれを備えたインクジェットヘッド並
びにインクジェット式記録装置を提供する。 【解決手段】 インクジェットヘッド1のアクチュエー
タとして、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型
構造を有し且つ膜厚が1μm〜10μmの圧電膜を備え
た圧電アクチュエータ16を用いる。圧電膜18は、比
誘電率が150〜500であり、X線回折ピークの強度
が最大となる面が(001)面であり、抗電界が10V
/μm程度であり、誘電損失が5%以下であり、Pb/
(Zr+Ti)=1.1〜1.5であり、組成比の異な
る複数の圧電薄膜18a,18bが積み重ねられて形成
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧電アクチュエー
タ、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録
装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気信号が与えられると機械
的動作を行うアクチュエータとして、上部電極と下部電
極との間に圧電体が設けられてなる圧電アクチュエータ
が知られている。圧電アクチュエータは、圧電体の圧電
効果を利用して電気的エネルギーを機械的エネルギーに
変換するものであり、例えばインクジェット式記録装置
のヘッド等のアクチュエータなど、幅広い用途に利用さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年はイン
クジェットヘッド等の小型化に伴い、圧電アクチュエー
タ自体の小型化が望まれており、そのために、圧電体の
薄膜化が切望されている。しかし、圧電膜は、膜自体の
性質を変えることなく単に薄膜化しただけでは、絶縁破
壊を起こしやすくなる。従って、耐電圧性を確保する観
点から、圧電膜の薄膜化には一定の限界があった。そこ
で、圧電アクチュエータの更なる小型化、ひいては圧電
アクチュエータを利用したインクジェットヘッド及びイ
ンクジェット式記録装置のより一層の小型化を進めるた
めには、従来と異なる性質を有する耐電圧性に優れた圧
電膜が必要とされる。
【0004】本発明は、かかる点に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、耐電圧性の高い薄膜
の圧電膜を備えた圧電アクチュエータ及びそれを備えた
インクジェットヘッド並びにインクジェット式記録装置
を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイ
ト型構造を有する膜厚が1μm〜10μmの圧電膜であ
って、従来とは異なる性質を有するものを備えることと
した。
【0006】具体的には、本発明に係る圧電アクチュエ
ータは、上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられ
てなる圧電アクチュエータであって、上記圧電体は、
パッタリング、CVD法およびゾルゲル法のいずれか1
の成膜方法により成膜され、Pb、Zr及びTiを含む
ペロブスカイト型構造を有し、 Pb/(Zr+Ti)
=1.1〜1.5(但し1.1を除く)で、膜厚が1μ
m〜10μm且つ比誘電率が150〜500の圧電膜に
よって形成されていることとしたものである。
【0007】このように、従来の圧電体よりも低い比誘
電率を有することにより、圧電膜の耐電圧性は向上す
る。また、圧電アクチュエータを駆動するために必要な
電源容量を少なくすることができ、省エネルギー化を図
ることができる。
【0008】本発明に係る他の圧電アクチュエータは、
上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられてなる圧
電アクチュエータであって、上記圧電体は、Pb、Zr
及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する膜厚が1
μm〜10μm且つX線回折ピークの強度が最大となる
面が(001)面である圧電膜によって形成されている
こととしたものである。
【0009】上記圧電アクチュエータにおいて、圧電膜
の(001)面のX線回折ピーク強度は、(110)
面、(101)面及び(111)面のX線回折ピーク強
度のうちの最大の強度の5倍以上であることが好まし
い。
【0010】圧電膜においては、(001)面に垂直に
電界をかけた場合に、結晶学的に安定な高い圧電特性が
得られる。そのため、上記事項により、絶縁破壊を生じ
るおそれは少なくなる。結晶方位の中に占める(00
1)成分の量を多くすることにより、圧電膜の結晶構造
はほぼ単結晶に近い均質な結晶構造となり、耐電圧性は
向上する。
【0011】本発明に係る他の圧電アクチュエータは、
上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられてなる圧
電アクチュエータであって、上記圧電体は、Pb、Zr
及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する膜厚が1
μm〜10μm且つ抗電界が2V/μm以上の圧電膜に
よって形成されていることとしたものである。
【0012】一般に、抗電界が大きいほど分極の安定性
は高いため、たとえ擾乱があっても分極の反転は起こり
にくくなる。上記事項によれば、従来よりも抗電界が大
きいため、従来よりも分極の反転は起こりにくくなる。
そのため、圧電膜の劣化が抑制され、絶縁破壊は生じに
くくなる。
【0013】本発明に係る他の圧電アクチュエータは、
上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられてなる圧
電アクチュエータであって、上記圧電体は、Pb、Zr
及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する膜厚が1
μm〜10μm且つ誘電損失が5%以下の圧電膜によっ
て形成されていることとしたものである。
【0014】このことにより、電圧印加時の発熱等の損
失が低減し、耐電圧性は向上する。
【0015】本発明に係る他の圧電アクチュエータは、
上部電極と下部電極との間に圧電体が設けられてなる圧
電アクチュエータであって、上記圧電体は、Pb、Zr
及びTiを含むペロブスカイト型構造を有する膜厚が1
μm〜10μm且つPb/(Zr+Ti)=1.1〜
1.5の圧電膜によって形成されていることとしたもの
である。
【0016】従来より、酸化物薄膜の形成における問題
点として、各金属元素が十分に酸化されず、その酸素欠
損のために圧電特性や耐電圧性の低下を招くことがあっ
た。しかし、上記事項によれば、PZTの組成の中で特
に酸化しやすい元素であるPbが過剰に加えられている
ので、Pbの酸化に伴って、他の金属元素も十分に酸化
した状態になりやすい。その結果、圧電特性及び耐電圧
性は向上する。
【0017】ところで、Pbの成分量が多すぎると、結
晶成長の際に、結合に結びつかないPb原子が増えるこ
とになり、却って圧電特性の低下を引き起こす。一方、
Pbの成分量が少なすぎると、酸素欠損気味の領域が存
在しやすくなり、耐電圧性の低下を招く。そのため、上
述の通り、成分比Pb/(Zr+Ti)は、1.1〜
1.5の範囲内にあることが好ましい。
【0018】なお、前記圧電膜は、Pb、Zr及びTi
を含むペロブスカイト型構造を有する複数の圧電薄膜が
積み重ねられて形成されていることが好ましい。
【0019】このことにより、圧電膜の特性を局所的に
変化させることが可能となる。
【0020】上記圧電膜において、下層の圧電薄膜は、
上層の圧電薄膜よりもZrの含有量が少ないことが好ま
しい。
【0021】下部電極、圧電膜、上部電極の順に成膜を
行う場合、圧電膜の下部電極側にZr原子が多く含まれ
ると、圧電膜の成膜時にZrは単独で結晶化しやすくな
り、圧電特性及び耐電圧性は低下しやすくなる。しか
し、上記事項によれば、下層の薄膜の方が上層の薄膜よ
りもZrの含有量が少ないので、圧電特性及び耐電圧性
は良好に保たれる。
【0022】本発明に係るインクジェットヘッドは、複
数のノズル及び該各ノズルにそれぞれ連通する複数のイ
ンク室が形成されたヘッド本体部と、上記ヘッド本体部
の各インク室にそれぞれ対応して設けられ、所定の記録
信号を受けると該インク室のインクを上記ノズルから押
し出すように変形するアクチュエータとを備えたインク
ジェットヘッドであって、上記アクチュエータは、前記
のいずれか一の圧電アクチュエータによって形成されて
いることとしたものである。
【0023】このことにより、小型且つ高性能のインク
ジェットヘッドが得られる。
【0024】本発明に係るインクジェット式記録装置
は、上記インクジェットヘッドと、上記インクジェット
ヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段と、上記
インクジェットヘッドに記録信号を供給する信号供給手
段とを備えていることとしたものである。
【0025】このことにより、高性能のインクジェット
式記録装置が得られる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。
【0027】図1に示すように、本実施形態に係るイン
クジェット式記録装置は、インクジェットヘッド1を備
えたインクジェットプリンタ6である。インクジェット
ヘッド1は、キャリッジ軸3に沿って往復移動するキャ
リッジ2に搭載され、キャリッジ2と共に主走査方向X
に往復移動を行う。ローラ5は、キャリッジ2が主走査
方向Xに一走査分移動する毎に、紙等の記録媒体4を副
走査方向Yに搬送するように構成されている。
【0028】図2に示すように、インクジェットヘッド
1は、共通インク室10と複数の圧力室11と複数のノ
ズル12とが形成されたヘッド本体部15と、図示しな
い信号供給手段からの記録信号に応じて圧力室11のイ
ンクに圧力を付与する圧電アクチュエータ16とを備え
ている。なお、圧電アクチュエータ16は、実際にはヘ
ッド本体部15に比べてはるかに薄いものであるが、図
2においては、理解が容易なように誇張して図示してい
る。
【0029】ヘッド本体部15の圧力室11は、副走査
方向Yに沿って所定間隔毎に配設されている。各圧力室
11は、開口断面(XY断面)が主走査方向Xに細長い
略矩形状に形成され、その底部の長手方向の一端(図2
の右側端)には、共通インク室10と圧力室11とをつ
なぐインク供給口21が形成され、その他端(図2の左
側端)には、圧力室11とノズル12とをつなぐインク
流路13が形成されている。
【0030】圧電アクチュエータ16は、厚さ2μm〜
5μmの振動板23と、振動板23上に形成された厚さ
0.1μm〜0.3μmの白金(Pt)からなる共通電
極17と、共通電極17上に形成された圧電膜18と、
圧電膜18上に形成された厚さ0.1μm〜0.3μm
の白金からなる個別電極19とを備えている。圧電膜1
8の厚みは1μm〜10μmが好ましく、本実施形態で
は、その厚みは3μmに設定されている。圧電膜18及
び個別電極19は、ヘッド本体部15の各圧力室11に
対応した位置にそれぞれ設けられている。
【0031】圧電膜18は、圧電材料であるPbZr
1-xTix3(0≦x≦1)を主成分とする圧電膜であ
り、Pb、Zr及びTiを含むペロブスカイト型構造を
有している。後述するように、本実施形態に係る圧電膜
18はスパッタリング等の成膜方法を用いて形成された
ものであり、従来の焼結法による圧電体と異なり、以下
のような性質を有している。
【0032】すなわち、本圧電アクチュエータ16の圧
電膜18は、比誘電率が150〜500に設定されてい
る。従来の焼結体構造の圧電体においては、比誘電率は
1000以上であった。しかし、本発明者は、スパッタ
リング等の成膜技術を用いることにより圧電体の比誘電
率を低下させることができ、また、比誘電率が150〜
500の範囲にあると耐電圧性が向上することを見いだ
した。そこで、本実施形態では、圧電膜18を比誘電率
が150〜500になるように形成することとした。
【0033】また、本圧電アクチュエータ16の圧電膜
18は、X線回折ピークの強度が最大となる面が(00
1)面に設定されている。従来の焼結体構造の圧電体で
は、図3(b)に示すように、X線回折ピークの強度が
最大となる面は(101)面であった。しかし、図3
(a)に示すように、本実施形態に係る圧電膜18にお
いては、X線回折ピークの強度が最大となる面は(00
1)面になっている。このような結晶構造を採用するこ
とにより、(001)面に垂直に電界をかけた場合に安
定的に高い圧電特性を得ることができ、耐電圧性も向上
する。また、結晶方位の中に占める(001)成分の量
を多くすることにより、圧電膜18の結晶構造は単結晶
に近い均質な結晶構造となる。そのため、耐電圧性は向
上する。
【0034】また、本圧電アクチュエータ16の圧電膜
18では、(001)面、(110)面、(101)
面、(111)面の回折ピークの強度をそれぞれI(0
01)、I(110)、I(101)、I(111)としたと
き、I(001)を、(001)面を除く回折ピークの強
度のうちで最大の強度(この場合、I(101))の5倍
以上になるようにした。その理由は、図4に示すよう
に、ピーク強度比α=I(101)/I(001)が1/5
以下になると、圧電膜18の耐電圧性が顕著に向上する
からである。
【0035】また、本圧電アクチュエータ16の圧電膜
18では、分極を反転させるために必要な電界、すなわ
ち抗電界は10V/μm程度になっている。一般に、抗
電界が大きいほど分極の安定性は高いため、外部からの
擾乱があっても分極の反転は起こりにくくなる。従来の
焼結体構造の圧電体においては、抗電界は1V/μm程
度であった。しかし、本発明者は、スパッタリング等の
成膜技術を用いることにより、抗電界を従来以上に高め
ることができることを見出し、圧電膜18の抗電界を2
V/μm以上に設定することとした。その結果、分極の
不要な反転を防止することができ、圧電膜18の劣化を
抑制することができる。
【0036】また、本圧電アクチュエータ16の圧電膜
18では、誘電損失は5%以下になっている。そのた
め、電圧を印加した際の発熱等のエネルギー損失は低減
する。
【0037】また、本圧電アクチュエータ16の圧電膜
18では、従来よりもPbの含有比率が多くなってい
る。従来より、酸化物薄膜の形成においては、各金属元
素を十分に酸化することが難しいという問題があった。
そのため、成膜技術を利用する際に、各金属元素の酸素
欠損のために圧電特性や耐電圧性の低下を招くおそれが
あった。ところで、Pb、Zr、Tiの金属元素の中で
特に酸化しやすい元素はPbであり、このPbを過剰に
加えると、Pbの酸化に伴ってZr及びTiの酸化が促
され、酸素欠損は生じにくくなる。しかし、従来の焼結
法による圧電体においては、製造プロセスにおいて結晶
方位の制御が困難であったので、Pbを過剰に加えると
結晶構造が乱れて圧電特性及び耐電圧性は低下すること
となった。ところが、スパッタリングなどの薄膜形成プ
ロセスを用いれば、配向性の制御は容易である。そこ
で、本発明者は薄膜形成技術を利用し、結晶構造を乱す
ことなくPbを過剰に加えることとした。具体的には、
Pbと、Zr及びTiとの成分比=Pb/(Zr+T
i)を、1.1〜1.5とすることとした。これによ
り、酸素欠損による耐電圧性の低下を防止することがで
きる。
【0038】また、図2に示すように、圧電膜18は下
層18a及び上層18bからなる多層構造に形成されて
おり、両層18a,18bはPbZr1-xTix3を主
成分とする圧電薄膜によって形成されている。両層18
a,18bは、金属元素の組成比が異なっている。詳し
くは、下層18aは上層18bよりもZrの含有量が少
なくなっている。
【0039】次に、図5(a)〜(f)を参照しなが
ら、インクジェットヘッド1の製造方法について説明す
る。なお、本実施形態では以下の成膜工程はスパッタリ
ングによって行うこととしたが、CVD法やゾルゲル法
などの他の成膜方法を利用することも可能である。
【0040】まず、図5(a)に示すように、Siまた
はMgOからなる基板30の表面に、振動板となるCr
層23を形成する。次に、図5(b)に示すように、C
r層23の表面に、共通電極となるPt層17を形成す
る。
【0041】その後、図5(c)に示すように、Zrの
含有量の異なる2種類のPbZr1- xTix3ターゲッ
トを順次用い、Pt層17の表面に2層構造の圧電膜1
8を形成する。ここでは、ターゲットを真空槽内に設置
し、酸素雰囲気のガス中でプラズマを発生させ、スパッ
タ蒸発したターゲット物質を加熱した基板上に蒸着させ
るスパッタリングにより形成する。詳しくは、始めにZ
rの含有量の少ないターゲットを用いてPt層17上に
下層18aを形成し、その後、Zrの含有量の多いター
ゲットを用いて下層18a上に上層18bを形成する。
【0042】このように圧電膜18を2層構造にした理
由は、以下の通りである。すなわち、PbZr1-xTix
3を主成分とする圧電膜の形成に際し、Pt層17と
の界面の近傍にZrが多く含まれていると、Zrは単独
で結晶化しやすくなり、界面近傍ではペロブスカイト構
造の膜は形成されにくくなる。そこで、本実施形態で
は、界面近傍においても良好なペロブスカイト構造の膜
が形成されるように、界面近傍にはZr含有量の少ない
圧電薄膜18aを配することとした。そして、圧電膜1
8全体としては所定の圧電特性を発揮できるように、圧
電薄膜18a,18bを上方に向かうに従ってZrの含
有量が多くなるように順次積層することとした。このこ
とにより、界面近傍におけるZrの結晶化による圧電特
性及び耐電圧性の低下を抑制することができる。
【0043】次に、図5(d)に示すように、圧電膜1
8の表面に、個別電極となるPt層19を形成する。そ
して、図5(e)に示すように、Pt層19及び圧電膜
18を個別化するようにエッチングを行い、Pt層19
及び圧電膜18のパターンニングを実行する。その後、
図5(f)に示すように、基板30をエッチングし、圧
力室11等を形成する。
【0044】なお、上記実施形態では、圧電膜18をZ
rの含有率の異なる2種類の圧電薄膜18a,18bで
形成したが、本発明における圧電膜はこのような形態に
限定されるものではない。例えば、複数種類の圧電薄膜
を、Zr以外の組成を変調させるように積層してもよ
い。また、2層構造に限らず、組成比の異なる圧電薄膜
を3層以上に積層してもよい。
【0045】
【発明の効果】以上のように、本発明に係る一の圧電ア
クチュエータによれば、比誘電率が150〜500の圧
電膜を備えることとしたので、耐電圧性を向上させるこ
とができるとともに、省エネルギー化を図ることができ
る。
【0046】また、他の圧電アクチュエータによれば、
X線回折ピークの強度が最大となる面が(001)面で
ある圧電膜を備えることとしたので、耐電圧性を向上さ
せることができる。
【0047】また、圧電膜の(001)面のX線回折ピ
ーク強度を、(110)面、(101)面及び(11
1)面のX線回折ピーク強度のうちの最大強度の5倍以
上とすることにより、耐電圧性を向上させることができ
る。
【0048】他の圧電アクチュエータによれば、抗電界
が2V/μm以上の圧電膜を備えることとしたので、分
極の反転が起こりにくくなり、耐電圧性を向上させるこ
とができる。
【0049】他の圧電アクチュエータによれば、誘電損
失が5%以下の圧電膜を備えることとしたので、電圧印
加時の発熱等の損失が低減し、耐電圧性を向上させるこ
とができる。
【0050】他の圧電アクチュエータによれば、Pb/
(Zr+Ti)=1.1〜1.5の圧電膜を備えること
としたので、酸素欠損領域を低減することができ、耐電
圧性を向上させることができる。
【0051】圧電膜を複数の圧電薄膜を積み重ねること
によって形成することにより、圧電膜の特性を局所的に
変化させることができる。
【0052】下層の圧電薄膜のZrの含有量を、上層の
圧電薄膜のZrの含有量よりも少なくすることにより、
成膜時にZrの結晶化を抑制することができ、圧電特性
及び耐電圧性を向上させることができる。
【0053】上記の圧電アクチュエータをインク吐出の
ためのアクチュエータとして利用することにより、高性
能のインクジェットヘッドを得ることができる。
【0054】また、上記インクジェットヘッドを利用す
ることにより、高性能のインクジェット式記録装置を得
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェットプリンタの要部の概略構成図で
ある。
【図2】インクジェットヘッドの斜視図である。
【図3】X線回折ピークの分布図であり、(a)は実施
形態に係る圧電膜の分布図を示し、(b)は従来の圧電
体の分布図を示す。
【図4】X線回折ピークの強度比と絶縁破壊電圧との関
係を示した図であり、
【図5】インクジェットヘッドの製造工程を示す工程図
である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 2 キャリッジ(移動手段) 4 記録媒体 6 インクジェットプリンタ(インクジェット式記録
装置) 11 圧力室 12 ノズル 15 ヘッド本体部 16 圧電アクチュエータ 17 共通電極(下部電極) 18 圧電膜 18a 下層の圧電薄膜 18b 上層の圧電薄膜 19 個別電極(上部電極) 23 振動板 30 基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−5874(JP,A) 特開 平6−350154(JP,A) 特開 平10−235864(JP,A) 特開 昭62−241870(JP,A) 特開 昭62−241823(JP,A) 特開 昭62−162623(JP,A) 特開 昭47−27396(JP,A) 特開 平11−238921(JP,A) 特開2000−52559(JP,A) 特開 平10−286953(JP,A) 特開 平8−116103(JP,A) 「セラミック誘電体工学(第4 版)」、岡崎清著、学献社、1992年発行 (第334〜335頁) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 41/08

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上部電極と下部電極との間に圧電体が設
    けられてなる圧電アクチュエータであって、上記圧電体
    は、スパッタリング、CVD法およびゾルゲル法のいず
    れか1の成膜方法により成膜され、Pb、Zr及びTi
    を含むペロブスカイト型構造を有し、Pb/(Zr+T
    i)=1.1〜1.5(但し1.1を除く)で、膜厚が
    1μm〜10μm且つ比誘電率が150〜500の圧電
    膜によって形成されている圧電アクチュエータ。
  2. 【請求項2】 上部電極と下部電極との間に圧電体が設
    けられてなる圧電アクチュエータであって、上記圧電体
    は、スパッタリング、CVD法およびゾルゲル法のいず
    れか1の成膜方法により成膜されたPb、Zr及びTi
    を含むペロブスカイト型構造を有する圧電膜で形成さ
    れ、前記圧電膜は、Pb/(Zr+Ti)=1.1〜
    1.5、膜厚が1μm〜10μm、抗電界が2V/μm
    以上且つ誘電損失が5%以下である圧電アクチュエータ
  3. 【請求項3】 X線回折ピークの強度が最大となる面が
    (001)面である圧電膜によって形成されている請求
    項1または2のいずれか1記載の圧電アクチュエータ。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の圧電アクチュエータに
    おいて、圧電膜の(001)面のX線回折ピーク強度
    は、(110)面、(101)面及び(111)面のX
    線回折ピーク強度のうちの最大の強度の5倍以上である
    圧電アクチュエータ。
  5. 【請求項5】 抗電界が2V/μm以上の圧電膜によっ
    て形成されている請求項1記載の圧電アクチュエータ。
  6. 【請求項6】 誘電損失が5%以下の圧電膜によって形
    成されている請求項1または5のいずれか1記載の圧電
    アクチュエータ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか一つに記載の圧
    電アクチュエータにおいて、圧電膜は、Pb、Zr及び
    Tiを含むペロブスカイト型構造を有する複数の圧電薄
    膜が積み重ねられて形成されている圧電アクチュエー
    タ。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の圧電アクチュエータに
    おいて、下層の圧電薄膜は、上層の圧電薄膜よりもZr
    の含有量が少ない圧電アクチュエータ。
  9. 【請求項9】 複数のノズル及び該各ノズルにそれぞれ
    連通する複数のインク室が形成されたヘッド本体部と、
    上記ヘッド本体部の各インク室にそれぞれ対応して設け
    られ、所定の記録信号を受けると該インク室のインクを
    上記ノズルから押し出すように変形するアクチュエータ
    とを備えたインクジェットヘッドであって、上記アクチ
    ュエータは、請求項1〜8のいずれか一つに記載の圧電
    アクチュエータによって形成されているインクジェット
    ヘッド。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のインクジェットヘッ
    ドと、上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移
    動させる移動手段と、上記インクジェットヘッドに記録
    信号を供給する信号供給手段とを備えているインクジェ
    ット式記録装置。
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