JP3201763U - 地中熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】施工の負担を軽減すると共に、効果的に地中熱を利用することが可能な地中熱交換器を提供する。【解決手段】地中熱交換器1は、冷熱を取得する場合に冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する一方で、温熱を取得する場合に冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する直膨方式であり、液体で満たされる筒体2と、筒体2の内部に引き込まれて下方に向けて通される第1の管3a、及び第1の管3aの下端に連続し上方に向けて通されて筒体2の外部に引き出される第2の管3bからなり、筒体2内の液体との間で熱を移動させる冷媒を流す熱交換管3と、第1の管3a及び第2の管3bの一方のみについて、少なくとも筒体2内の液面から、筒体2が埋設されている深さの3分の1以上2分の1以下の深さまでの範囲において、内部を流れる冷媒と筒体2内の液体とを断熱する断熱材4と、筒体2の上方に配置される建築物5と、筒体2の上端の開口を塞ぐ蓋体6と、を備える。【選択図】図1

Description

本考案は、地中熱交換器に関する。
従来の地中熱交換器は、効果的に地中熱を利用するために、50m〜100m程度の深さまで掘削された地中奥深くに設置されている(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)。
特開2011−163572号公報
環境省、[online]、「地中熱ヒートポンプシステム」、[平成26年12月29日検索]、インターネット(URL:https://www.env.go.jp/water/jiban/heatpump-sys_pamph.pdf)
しかし、上述した地中熱交換器の場合、施工に際し、深くまで掘削する必要があるため、施工機械が大きくなり、大きな施工ヤードを必要とする。そして、排出汚泥が多くなる。また、挿入する循環パイプが長大になることでパイプの重量が増え、揚重機が必要になる。このような理由により、施工費用が高くなる。さらに、工期が長くなるなどの弊害があった。
また、地上の気温や日射などは、その影響で地中熱交換器の熱交換長が見かけ上短くなるなど、熱交換器の効率を阻害する要素となっていた。
本考案は、上記課題を鑑みてなされたものであり、施工による負担を軽減すると共に、効果的に地中熱を利用することが可能な地中熱交換器を提供することを目的とする。
本考案は、冷媒が利用されるヒートポンプを構成し、冷熱を取得する場合に前記冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する一方で、温熱を取得する場合に前記冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する直膨方式の地中熱交換器であって、地中に略垂直に埋設され、液体で満たされる筒体と、前記筒体の上端から前記筒体の内部に引き込まれて前記筒体の上方から下方に向けて通される第1の管、及び前記第1の管の下端に連続し前記筒体の下方から上方に向けて通されて前記筒体の上端から前記筒体の外部に引き出される第2の管からなり、前記筒体内の前記液体との間で熱を移動させる前記冷媒を流す熱交換管と、前記第1の管及び前記第2の管の一方のみについて、少なくとも前記筒体内の液面から、前記筒体が埋設されている深さの3分の1以上2分の1以下の深さまでの範囲において、内部を流れる前記冷媒と前記筒体内の前記液体とを断熱する断熱材と、前記筒体の上方に配置され、地中と断熱されていると共に屋外と断熱されている屋内空間を構成する建築物と、前記筒体の上端の開口を塞ぎ、地中と前記屋内空間とを断熱する蓋体と、を備えることを特徴とする地中熱交換器である。
本考案によれば、地中に埋設された部分の上部を建築物及び蓋体で断熱することで、地上の影響、すなわち気温、日射の影響が少なくなり、地中熱交換器を有効に機能させることができる。例えば、夏に地表面の温度が40℃となる場合や、冬に地表面の温度が−20℃となる場合であっても、筒体内上部(例えば、地中1mのところ)を地中深いところ(例えば、地中10mのところ)と同じ温度(例えば、15℃程度)に保つことができる。結果、15℃程度の地中熱を利用することができる。
そして、地中熱交換器の周囲が一定の温度となることにより、浅層部分であっても深い位置の地中熱を利用することが可能となる。例えば、地中熱交換器を構成する筒体が、地中20mの深さに到達する長さを有する場合、地中5m程度の位置においても地中20mの位置の地中熱を利用することが可能となる。このように、浅い部分でも十分に地中熱を交換できるため、地中熱交換器(筒体)の長さ(深さ)を短くすることができる。これに伴い施工機械も小さくなり、小さな施工ヤードでの施工が可能となる。結果、施工費の低減や工期の短縮が可能となる。なお、利用可能な地中熱の温度は、その地域の平均気温といわれている。
また、筒体内に満たされた液体を介することで、地盤との接触面が大きく取れるので、地盤からの地中熱を熱交換管内の冷媒に効果的に移動させることが可能となる。
さらに、筒体内の液体の対流により、地中の深部の地中熱を有効に活用することができる。筒体内の液体の対流は、上部断熱により、筒体の下端付近から上端付近にまで及ぶので、熱交換効率が高い。
そして、筒体内の液面から下方の範囲において、第1の管及び第2の管の一方のみが断熱されているので、断熱されている管を通じて冷媒を地中に引き込んで蒸発器として機能させる場合に、浅い部分ではなく深い部分で熱交換させることができ、また、断熱されている管を通じて冷媒を地中から引き出し、凝縮器として機能させる場合に、冷媒に移動した冷熱が地中に戻ってしまうことが防ぐことができ、結果として、熱交換効率が低下することが防止できる。
本考案の地中熱交換器によれば、施工による負担を軽減できると共に、効果的に地中熱を利用できる。
本考案の実施形態に係る地中熱交換器の概略図である。 図1のII−II方向に視た地中熱交換器の断面図である。 筒体内に満たされた液体の対流を説明する概略図であり、(A)は地中放熱の場合を示し、(B)は地中採熱の場合を示す。 熱交換管内の冷媒の流れを説明する概略図であり、(A)は地中放熱の場合を示し、(B)は地中採熱の場合を示す。
以下、図面を参照して、本考案の実施形態に係る地中熱交換器について詳細に説明する。
まず、図1及び図2を用いて、地中熱交換器1の構成について説明する。図1は、地中熱交換器1の概略図である。図2は、図1のII−II方向に視た地中熱交換器1の断面図である。なお、各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。
図1に示す地中熱交換器1は、冷媒が利用されるヒートポンプを構成し、地中から冷熱を取得する場合に冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する一方で、地中から温熱を取得する場合に冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する直膨方式である。
具体的に、地中熱交換器1は、鋼管からなる筒体2と、ヒートポンプを構成する室外機HPとループを構成する熱交換管3と、この熱交換管3の一部分を断熱する断熱材4と、筒体2の上方に配置される戸建住宅などの建築物5と、筒体2の上端の開口を塞ぐ蓋体6等を備える。
図1及び図2に示す筒体2は、建築物5の杭を兼ねることもでき、地中に略垂直に埋設されるものであり、100mm以上500mm以下程度の直径Dで、地中5m以上20m以下程度の深さLに到達する長さを有する。なお、筒体2の直径Dが大きく、筒体2の内径が大きい程、筒体2内の液体の対流を大きくすることができる。この筒体2は、底が塞がれ、冷媒となる水などの液体で満たされる。筒体2の上端は、建築物5の基礎8を貫通し、基礎8から上方に突出する。
なお、図1において筒体2は、一本のみが示されているが、実際には、取得する地中熱の量に応じた本数が設定される。一方、建築物5の支持杭の本数は、一坪当たり1本程度となることが多い。このため、筒体2のみでは建築物5の支持力が不足する場合、杭を兼ねる筒体2と通常の杭とを併用する。
図1及び図2に示す熱交換管3は、4mm以上10mm以下程度の直径dを有し、筒体2の上端から筒体2の内部に引き込まれて筒体2の上方から下方に向けて通される第1の管3a、及びこの第1の管3aの下端に連続し筒体2の下方から上方に向けて通されて筒体2の上端から筒体2の外部に引き出される第2の管3bからなるUチューブである。なお、熱交換管3の直径dが小さい程、筒体2内の液体の対流を大きくすることができる。この熱交換管3は、筒体2内の液体との間で熱を移動させる冷媒を流す。熱交換管3を流れる冷媒は、温熱を取得する際に蒸発して気体又は気液混合体となり、冷熱を取得する際に凝縮して気体から気液混合体〜液体の状態となる。
断熱材4は、熱交換管3を被覆するものであり、第1の管3aについては、蓋体6から上方のみを被覆し、第2の管3bについては、蓋体6から上方を被覆すると共に蓋体6から下方についても所定の深さL’までの範囲を被覆する。所定の深さL’は、筒体2が埋設されている深さLの3分の1以上2分の1以下であること、すなわち、L/3≦L’≦L/2であることが好ましい。この断熱材4は、熱交換管3の内部を流れる冷媒と筒体2内の液体とを断熱する。
図1に示す建築物5は、断熱性能を有する構造体であり、地中と断熱されていると共に屋外と断熱されている屋内空間を構成する。具体的に、建築物5は、天井、壁及び窓などが断熱構造を採用した建築物本体7と、この建築物本体7を支持する基礎8と、筒体2に嵌められ基礎8の直下に配置されるリング状の支圧版9と、基礎8の下に敷き詰められた断熱材10と、基礎8の内周に配置された断熱材11と、を備える。なお、断熱材11は、基礎8の外周に配置されているものであってもよい。
基礎8は、鉄筋コンクリートからなるベタ基礎であり、地中に掘られた穴に設けられる。この基礎8には、筒体2が貫通している。支圧版9は、筒体2を補強して、筒体2を杭として機能させる。断熱材10は、地中と屋内空間とを断熱する。断熱材11は、屋内空間と屋外とを断熱する。
蓋体6は、建築物5の基礎8から地上に突出した筒体2の上端及びその周囲(少なくとも、支圧版9に対応する部分)を覆う。すなわち、蓋体6は、筒体2の上端の開口を塞ぎ、地中と屋内空間とを断熱する。この蓋体6には、Uチューブである熱交換管3が貫通する2つの孔(符号省略)が形成されている。
次に、地中熱交換器1における地中熱の流れを、図1及び図3に基づいて説明する。図3は、筒体2内に満たされた液体の対流を説明する概略図である。図3(A)は、地中放熱の場合を示す。図3(B)は、地中採熱の場合を示す。なお、図3における白抜き矢印は、筒体2内の液体の対流の方向を示している。
冷房などのために放熱する場合、ヒートポンプの室外機HPを介して、排熱が熱交換管3内の冷媒に移動する。そして、熱交換管3内の冷媒に移動した熱は、筒体2内の液体を介して、地中に放出される。
この場合、図3(A)に示すように、筒体2内の液体は、熱交換管3の周囲が温められ、筒体2内の中心に上昇液流が生じる。この上昇液流は、筒体2の上端及びその周囲が蓋体6で覆われていると共に、筒体2が建築物5の直下に位置していることで、地上の影響をほとんど受けないので、筒体2の下端付近から上端付近にまで及ぶ。
また、筒体2内の中心に生じた上昇液流に伴って、熱交換管3から離れた筒体2内における外側に下降液流が生じる。この下降液流は、筒体2内の中心に生じた上昇液流が筒体2の下端付近から上端付近にまで及ぶ都合、筒体2の上端付近から下端付近にまで及ぶ。
一方、暖房や給湯などのために採熱する場合、地中熱は、地中から筒体2内の液体を介して、熱交換管3内の冷媒に移動する。熱交換管3内の冷媒に移動した地中熱は、ヒートポンプの室外機HPを介して利用される。
この場合、図3(B)に示すように、筒体2内の液体は、筒体2内における外側から温められ、筒体2内における外側に上昇液流が生じる。この上昇液流は、筒体2の上端及びその周囲が蓋体6で覆われていると共に、筒体2が建築物5の直下に位置していることで、地上の影響をほとんど受けないので、筒体2の下端付近から上端付近にまで及ぶ。
また、筒体2内における外側に生じた上昇液流に伴って、筒体2内における外側から離れた筒体2内の中心に下降液流が生じる。この下降液流は、筒体2内における外側に生じた上昇液流が筒体2の下端付近から上端付近にまで及ぶ都合、筒体2の上端付近から下端付近にまで及ぶ。
次に、地中熱交換器1における熱交換管3内の冷媒の流れを、図1及び図4に基づいて説明する。図4は、熱交換管3内の冷媒の流れを説明する概略図である。図4(A)は、地中放熱の場合を示す。図4(B)は、地中採熱の場合を示す。なお、図4における白抜き矢印は、熱交換管3内の冷媒の流れの方向を示している。
図4(A)に示すように、冷房などのために放熱する場合、地中熱交換器1は、熱交換管3内を流れる冷媒を凝縮させる凝縮器として機能し、筒体2内における熱交換管3内の冷媒の流れは、第1の方向になり、筒体2内においては断熱材4によって被覆されていない第1の管(「ガス管」と呼ばれることもある。)3a、断熱材4によって所定の深さL’まで被覆されている第2の管(「液管」と呼ばれることもある。)3bの順になる。
一方、図4(B)に示すように、暖房や給湯などのために採熱する場合、地中熱交換器1は、熱交換管3内を流れる冷媒を蒸発させる蒸発器として機能し、筒体2内における熱交換管3内の冷媒の流れは、第1の方向とは逆の第2の方向になり、筒体2内においては断熱材4によって所定の深さL’まで被覆されている第2の管3b、断熱材4によって被覆されていない第1の管3aの順になる。
このように、地中熱交換器1によれば、地中に埋設された部分の上部を建築物5及び蓋体6で断熱することで、地上の影響、すなわち気温、日射の影響が少なくなり、有効に機能させることができる。例えば、夏に地表面の温度が40℃となる場合や、冬に地表面の温度が−20℃となる場合であっても、筒体内上部(例えば、地中1mのところ)を地中深いところ(例えば、地中10mのところ)と同じ温度(例えば、15℃程度)に保つことができる。結果、15℃程度の地中熱を利用することができる。
そして、地中熱交換器1の周囲が一定の温度となることにより、浅層部分であっても深い位置の地中熱を利用することが可能となる。例えば、地中熱交換器1を構成する筒体2が、地中20mの深さに到達する長さLを有する場合、地中5m程度の位置においても地中20mの位置の地中熱を利用することが可能となる。このように、浅い部分でも十分に地中熱を交換できるため、地中熱交換器1(筒体2)の長さ(深さ)を短くすることができる。これに伴い施工機械も小さくなり、小さな施工ヤードでの施工が可能となる。結果、施工費の低減や工期の短縮が可能となる。なお、利用可能な地中熱の温度は、その地域の平均気温といわれている。
また、筒体2内に満たされた液体を介することで、地盤との接触面が大きく取れるので、地盤からの地中熱を熱交換管3内の冷媒に効果的に移動させることが可能となる。
さらに、筒体2内の液体の対流により、地中の深部の地中熱を有効に活用することができる。筒体2内の液体の対流は、上部断熱により、筒体2の下端付近から上端付近にまで及ぶので、熱交換効率が高い。
そして、筒体2内の液面から下方の範囲において、第1の管3a及び第2の管3bの一方(第2の管3b)のみが断熱されているので、断熱されている管(第2の管3b)を通じて冷媒を地中に引き込んで蒸発器として機能させる場合に、浅い部分ではなく深い部分で熱交換させることができ(図4(B)参照)、また、断熱されている管(第2の管3b)を通じて冷媒を地中から引き出し、凝縮器として機能させる場合に、冷媒に移動した冷熱が地中に戻ってしまうことが防ぐことができ(図4(A)参照)、結果として、熱交換効率が低下することが防止できる。
本考案は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
すなわち、上記実施形態において、断熱材4は、第1の管3a及び第2の管3bの一方のみについて、少なくとも筒体2内の液面から、所定の深さL’までの範囲を被覆するものであればよい。
あるいは、上記実施形態において、支圧版9を備えることで筒体2が杭を兼ねる場合を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、支圧版9を備えず筒体2が杭を兼ねないものであってもよい。また、支圧版9は建築物5の荷重を受けられればよく、筒体2に接する内周部分が円形であれば十分で、外周部分は円形以外の4角形等でもよい。
1 地中熱交換器
2 筒体
3 熱交換管
3a 第1の管(ガス管)
3b 第2の管(液管)
4 断熱材
5 建築物
6 蓋体

Claims (1)

  1. 冷媒が利用されるヒートポンプを構成し、冷熱を取得する場合に前記冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する一方で、温熱を取得する場合に前記冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する直膨方式の地中熱交換器であって、
    地中に略垂直に埋設され、液体で満たされる筒体と、
    前記筒体の上端から前記筒体の内部に引き込まれて前記筒体の上方から下方に向けて通される第1の管、及び前記第1の管の下端に連続し前記筒体の下方から上方に向けて通されて前記筒体の上端から前記筒体の外部に引き出される第2の管からなり、前記筒体内の前記液体との間で熱を移動させる前記冷媒を流す熱交換管と、
    前記第1の管及び前記第2の管の一方のみについて、少なくとも前記筒体内の液面から、前記筒体が埋設されている深さの3分の1以上2分の1以下の深さまでの範囲において、内部を流れる前記冷媒と前記筒体内の前記液体とを断熱する断熱材と、
    前記筒体の上方に配置され、地中と断熱されていると共に屋外と断熱されている屋内空間を構成する建築物と、
    前記筒体の上端の開口を塞ぎ、地中と前記屋内空間とを断熱する蓋体と、を備えることを特徴とする
    地中熱交換器。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018053771A (ja) * 2016-09-28 2018-04-05 株式会社大林組 蒸気発生装置および地熱発電システム

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