JP3201631U - 電動式ドライバー - Google Patents
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Abstract
【課題】ドライバービットを簡易で安価な方式で磁化できる電動式ドライバーを提供する。【解決手段】電動式ドライバー50は、ドライバービット40と、ドライバービットに着脱される固定具用磁着補助具1とを備えており、固定具用磁着補助具1は、複数の永久磁石が、中央の中空貫通孔13を形成するように、隣接する永久磁石の同一極性の端部同士が隙間なく束状に接合されて筒状体に構成されている。【選択図】図1
Description
本考案は、ドライバービットを備えた電動式ドライバーに関する。
従来には、ドライバービットを磁化可能とした電動式ドライバーが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このものは、ドライバービットを保持するビット保持部に電磁コイルを配設したもので、電磁コイルに通電することでドライバービットの軸部を磁化する構成となっている。このようにドライバービットを磁化することで、その先端にビス等の回転式の固定具を吸着して保持することができる。
しかしながら、上記文献のものは電磁コイルを含んだ構成であるため、通電手段が必要となり、そのためコストがかかり、高価なものとなるおそれがある。また、電磁コイルは内部に組み込んであるため、故障したときに修理にも手間がかかる。
また近時においては、ドライバービットそれ自体を磁化させて、あるいはドライバービットに永久磁石を内蔵した補助具を付設して、ドライバービットの先端に鉄製のビスを磁着させたりして、作業時に鉄製のビスの脱落を防止するように構成したものも存在している。
しかしながら、錆びに強いステンレス製のビスを、電動式ドライバービットの先端に吸着して保持できるようにしたものは存在しない。ステンレス製の固定具をドライバービットの先端に吸着させるためには、鉄製の固定具を対象とするよりも大きな磁力が必要とされ、それに応じた構造にする必要があり、開発が望まれている。
本考案は、このような事情を考慮して提案されたもので、その目的は、ドライバービットを簡易で安価な方式で磁化でき、鉄製のビスだけでなく、ステンレス製のビスなどの固定具を先端に磁着できるドライバービットを備えた電動式ドライバーを提供することにある。
上記目的を達成するために、本考案の電動式ドライバーは、ドライバービットと、該ドライバービットに着脱される固定具用磁着補助具とを備えた電動式ドライバーであって、固定具用磁着補助具は、複数の永久磁石を、中央の中空貫通孔が形成されるように、隣接する永久磁石の同一極性の端部同士を隙間なく束状に接合させて筒状体に構成されていることを特徴とする。
また、本考案の電動式ドライバーは、ドライバービットの軸部には、前記固定具用磁着補助具を適正位置に装着させるための位置決め部が形成されたものとしてもよい。
さらに、ドライバービットを、固定具用磁着補助具を一体的に取り付けた構成にしてもよい。
また、複数の永久磁石のそれぞれの中空貫通孔と反対の端面に、クッション材を介在させたものとしてもよい。
さらに、複数の永久磁石は、さらに大きい磁力を得るために、中空貫通孔に挿嵌されるドライバービットの軸線に対して、磁力線が先端に向う傾斜角度をもって、磁化方向を規定したものでもよい。
また、複数の永久磁石は、それらの外周に、中空貫通孔の貫通方向に沿って補助永久磁石を付設することで更に磁力をアップさせる構成としてもよい。
さらに、花弁状の筒状体は、正n角形の形状をなしたものとしてもよい。
さらに、永久磁石は、磁石間の隣接する側面に面取接合面が形成されたものとしてもよい。
また、固定具用磁着補助具は、その外ケースの少なくとも先端部分を透光に形成したものとしてもよい。
さらにまた、固定具用磁着補助具は、蓄光手段を設けた構成としてもよい。
本考案でいう電動式ドライバーは、ドライバービットを取り付けてモータで回転させて使用するものだけでなく、先端のチャック部にドリルビットなどを取り替えて使用するものも含まれることはいうまでもない。
本考案の電動式ドライバーによれば、上述した構成となっているため、ドライバービットを簡易で安価な方式で磁化することができる。また、上述した構成となっているため、永久磁石を束ねた構造体の磁束の漏れはほとんどなくなり、ドライバービットの挿入される中空貫通孔に磁束を集中させることができる。このため、中空貫通孔に挿入されたドライバービット先端にも大量の磁力線を集めることができ、鉄製のビスなどの固定具はもちろん、ステンレス製のビスなどの固定具も磁着させることができる。
以下に、本考案の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
電動式ドライバー50は、ドライバー本体51と、ドライバービット40と、ドライバービット40に着脱される固定具用磁着補助具1とを備えている。ドライバービット40は、ドライバー本体51のチャック部54に対して着脱自在とされたものでもよいし、一体化されたものであってもよい。
固定具用磁着補助具1(以下、磁着補助具1という)は、ドライバービット40に挿脱して使用するため、中空貫通孔13を有した筒形状の補助具となっており、図2〜図8の説明において詳細に後述するように、複数の永久磁石21(図3参照)を有したものである。
この電動式ドライバー50は、ドライバー本体51に内装されたモータ52aによりドライバービット40を回転させてねじ締め作業を行う構成になっている。
図1(a)に示すように、ドライバー本体51は、モータ52aを内装した胴部52と、スイッチ53aを有したハンドル部53と、ドライバービット40を保持するチャック部54とを有している。
ドライバービット40は、鉄製とされ、図例のものは先端41がマイナス形状となっているが、固定具に対応させてプラス形状などの種々の形状のものであってもよい。
図1(a)に示すように、ドライバービット40の軸部には、周面より外方に突出した環状突起を有している。この環状突起は、磁着補助具1を適切な位置に取り付けるための位置決め部40aである。この位置決め部40aは、その環状突起に磁着補助具1の後端側端部1bを当接させることで、磁着補助具1の取付け位置を規制しているが、この環状突起は、別体のリング体を圧嵌して形成してもよい。
この位置決め部40aは、磁着補助具1の先端側端部1aからドライバービット40の先端41までの距離を定めて、ドライバービット40の先端41に固定具を磁着するのに十分な磁力が発生するようにしている。特に、後述するように、ドライバービット40でステンレス固定具45(図4参照)を吸着するためには強い磁力が必要であるが、このように位置決め部40aに合わせて磁着補助具1を正しく取り付けることで、ステンレス固定具45を磁着できる強い磁力を発生させることができる。
この位置決め部40aは、ドライバービット40の基端42側への磁着固定具1の移動を規制するためのものでもあり、環状突起によらなくてもよく他の形状の突部であってもよい。また、位置決め部40aは、図1(b)に示すように、磁着補助具1の先端側端部1aの位置を定める、たとえば拡大図に示すような目盛り付きの複数の細溝であってもよい。なお、目盛りとしては、その位置決め部40aに磁着固定具1を位置合わせしたときに先端で生じる磁力の強さを表す相対番号を付記してある。また、たとえば強、中、弱や、鉄強、鉄中、鉄弱、ステンレスなどのように、ビット先端に磁着させる補助具の素材に応じた区別表示をしてあってもよい。
また、図1(c)は、さらに他の位置決め部40aの例を示した図である。このドライバービット40には位置決め部40aとして目印線が設けられており、その目印線に磁着補助具1(移動を想定して図中の右側の2点鎖線で図示)の先端側端部1aを合わせた場合は、鉄製の固定具を適切に磁着でき、一方、目印線に磁着補助具1(図中の左側の2点鎖線で図示)の後端側端部1bを合わせて、先端側端部1aからのドライバービット40の突出長さを短くしたときには、ステンレス固定具45(図4参照)を適切に磁着できるようになっている。なお、ステンレス固定具45に対応する目印線と、鉄製の固定具に対応する目印線とを個別に設けてもよい。
前述した実施例では、本磁着補助具1は、ドライバービット40に対する後付け部材となっているので、簡単に装着してドライバービット40を有効に磁化させることができる。特に、上記のような位置決め部40aを設けたものでは適切な効果が表れる位置に迅速に取り付けできるため、固定具のねじ締め作業を効率的に行うことができる。磁着補助具1は、ドライバービット40に予め一体化させた構造にしてもよい。
また、ドライバー本体51に対し着脱自在なドライバービット40は、チャック部54で固定保持されるように、基端側に嵌着接続のための窪み(不図示)が形成されているが、先端側、特に磁着補助具1の先端側端部1aよりも先端側には窪みや凹部、凸部などは形成されていないことが望ましい。このようにストレートな形状とするのは、ドライバービット40の表面と磁着補助具1との間にギャップが生じて磁力の漏れが発生することを回避するためである。なお、図1(a)の環状突起による位置決め部40aは磁着補助具1の後端側にあるため、突起形状であってもほとんど問題はないし、図1(b)の細溝による位置決め部40aは切り溝程度の凹部であるため、先端側に形成されていてもほとんど問題はない。
以下に、固定具用磁着補助具1の詳細について、図2〜図8を参照しながら説明する。
磁着補助具1は、複数の永久磁石21を花弁状に配置させて筒状体に構成したものであり、永久磁石21の中央には中空貫通孔13が形成されるように、隣接する永久磁石21の同一極性の端部同士を、隙間なく束状に接合させた構造をなしている。
永久磁石21と中空貫通孔13との関係は、図3(a)に示したものの他に、図8のような形態が可能であり、中央の中空貫通孔13は、望ましくは、正n角形を構成しているが、そのような形状には限定されない。
ついで、図2および図3を参照して、磁着補助具1のさらに具体的な構造について説明する。
図2に示した磁着補助具1は、中央に中空貫通孔13を有した円柱形状とされる(図2(a)参照)。図例の中空貫通孔13は、正六角柱状とされ、円の中心位置に配されている。
この磁着補助具1は、本体ケース10、永久磁石21、ゴムなどの弾性材料で構成されたクッション材22および鉄製のヨークを有しており、ヨークは本体ケースの外面を覆う外ケース15を構成している。これらのうち、永久磁石21、クッション材22およびヨークは、図2に見るように、中空貫通孔13の貫通方向に沿って配されている。
本体ケース10は、磁着補助具1の円柱形状を概ね形づくる非磁性体の樹脂で製されており、上部に開口を有し、下部に中空貫通孔13を形成するための六角開口を有した本体11と、上部の開口を塞ぐ蓋体12とで構成される。
また、外ケース15は鉄製のヨークに代えて、透明のプラスチック素材で構成してもよく、この場合には、操作者は、ドライバービット40の先端に磁着した固定具を視認しやすくなる。なお、固定具を視認しやすくするためには、外ケース15の少なくとも先端部分が透光に形成されていればよい。
さらにまた、磁着補助具1の外ケース15を蓄光素材で形成したり、外面に蓄光テープを貼ったり、蓄光塗料を塗るなどしておけば、暗所部や夜間においても蓄光手段の光により作業箇所を目視できるため、照明がなくても作業できる。また、夜間等において、磁着補助具1の存在そのものを容易に確認することもでき、便利である。
永久磁石21は、6個の同一形状のものが花弁の形状を保持するように、本体ケース10の本体11内に樹脂材料16を充填している。個々の永久磁石21の横断面形状は、図3(a)に示すように、矩形と等脚台形とを組み合わせてなる六角形状になっている。また、極性の配置も永久磁石21間で同一であり、本図例のものは、中空貫通孔13側がN極となるように配列しているが、S極、N極を逆配置としてもよい。
6個の永久磁石21は、隣設された永久磁石21の間が隙間を形成しないようにして、図例では、等脚台形の脚辺どうしが接するように、つまり脚辺に相当する両面を面取接合面25として対応させて形成しており、これらを相互に密着させるようにして花弁状に配列されている。
また、複数の永久磁石21のそれぞれにおける中空貫通孔13と反対の端面には、クッション材22が配設されており、これによって、中空貫通孔13に挿入されるビット径に多少の大小があっても、その誤差を吸収して、隙間を生じないようになっている。
本体ケース10の本体11内では、6個の永久磁石21が、同一磁極が向き合うように配列されているので、同一極性どうしの反発力を生じる。そのため、永久磁石21は、花弁の形状を崩さないように本体11内には樹脂材料16を充填して強固に拘束されている。
ついで、図4および図5を参照して、磁着補助具1の使用要領について説明する。
複数の永久磁石21は、それぞれの磁化の向きを矢印で示すように、中空貫通孔13に挿入されるドライバービット40の軸線43(図4参照)に対して先端41に向かうように、傾斜させて磁化させているが、このような構成は後述するように、本考案の必須の構成ではない。
一般的に、ステンレス製のビスなどの固定具は磁化できないために、磁着させることはできないが、ステンレスのうちでも、オーステナイト系(SUS304)のものは、通常時は非磁性材料であっても、大きい負荷を加えて変形させた場合には、マルテンサイトに変態して磁化させることができることが知られており、本考案者は、通常の建築物に使用されているSUS304のステンレス製のビスなどは、その頭部にドライバービット40の先端41を嵌め入れる挿入溝を形成する工程で、すでに、そのような変態を生じていることを知得して、本考案に到達している。
本磁着補助具1では、図4に示したように、その中空貫通孔13に、強磁性体よりなるドライバービット40が挿入されると、ドライバービット40は磁化されて、ステンレス製のビスなどのステンレス固定具45の頭部46に形成されたビット挿入溝48をドライバービット40の先端41に近づけると、ステンレス製のビス45を吸着させることができる。なお、図4の符号47はビス45の軸部である。
図5に示したように、磁着補助具1にドライバービット40が差し込まれた状態では、2点鎖線で図示したような磁力線32が放射される磁場が形成される。なお、図4、図5には、磁極間を結ぶ軸線に沿った磁力線31を磁力線32とは区別して図示した。
すなわち、中空貫通孔13にドライバービット40が挿嵌された状態では、6個の永久磁石21の磁束が中空貫通孔13に集中してドライバービット40に入り込み、さらにドライバービット40に入った磁束は、先端に向けて磁着補助具1のヨーク15の先端側に入り込む磁束ループと、基端側に入り込んで磁着補助具1のヨーク15の後端に入り込む磁束ループを構成するので、このときドライバービット40の先端41に多くの磁力線32を導くことができれば、その先端41には、鉄製だけでなく、ステンレス製のビスでも磁着させる強い磁力を作用させることができる。
本考案は、複数の永久磁石を上述したように、隙間なく束状に接合させて、中央に中空貫通孔を形成して、花弁状の筒状体を構成する基本構造によって、それぞれの永久磁石から放射される磁束を中空貫通孔に集中させて強い磁場を形成するので、ドライバービット40を磁化して、ドライバービット40の先端41に、ステンレス製のビスなどのステンレス固定具45を吸着させることができたが、本考案者がさらに検討を加えたところ、永久磁石21からドライバービット40に入り込む磁束を、ドライバービット40の基端42側よりも先端41側に向かう磁束が多くなるように偏らせれば(図4、図5の磁力線31の方向を参照)、ドライバービット40の先端41にはより強い磁束密度が得られることを知得した。
本考案者が提案する、磁束をドライバービット40の先端41側に偏らせる第一の形態は、花弁状の筒状体を構成する、永久磁石21のそれぞれの磁化の向きを、中空部貫通孔13に挿入されるドライバービット40の先端側に向けたもので、このような構造は、永久磁石21の磁化の向きを、ドライバービット40の軸線43に対して、角度を持たせることで容易に実施できる。
図6は、永久磁石21の磁化の方向を示したもので、図6(a)は、ドライバービット40の軸線43に対して角度Wを90度、すなわち垂直にしたもの、これに対して、図6(b)は、永久磁石21の磁化の方向をドライバービット40の軸線43に対して、Wだけ傾斜して着磁させたものを模式的に示している。
図6(a)のものは、永久磁石21の磁化の方向が、ドライバービット40の軸線43に対して、垂直、つまり90度に設定されているので、この態様では、永久磁石21のS極とN極の磁極分岐点35が中空貫通孔13の方向に平行となり、永久磁石21から放射された磁束は、ドライバービット40の先端41側、基端42側に対して偏ることなく入り込んでいる。
図6(b)のものは、永久磁石21の磁化の方向が、ドライバービット40の軸線43に対して、傾斜した角度Wに設定したもので、この態様では、永久磁石21は、S極とN極との境界が中空貫通孔13の方向に平行となっておらず、ドライバービット40の先端41側の磁極分岐点35がドライバービット40の表面から遠ざかるように傾斜している。
永久磁石21から放射された磁束は、ドライバービット40の先端41側が基端42側より多くなっているので、その傾斜角度Wを変化させることで、先端41側により大きな磁束密度が得られる最適値を探ることができる。
また、本考案者の検討によれば、ドライバービット40の先端41での磁束の大きさは、S極とN極の境界線の、ドライバービット40の先端41側の境界点(磁極分岐点35)から、N極側の永久磁石21の端面までの距離Lの長さによって概ね定まることが知見によって得られている。
これによれば、磁極分岐点35がドライバービット40の表面から遠い位置にあるほど、ドライバービット40の先端41に大きな磁束を集中させることができるので、より厚めの永久磁石21を用いればドライバービット40の先端41で強い磁力が発生する。
また、図6(b)に示した磁化の方向を傾斜させた構成は、磁極分岐点35をドライバービット40の表面から遠い位置に設ける手段としても有益である。
また、磁束を偏らせる第二の形態は、図7に示すように、花弁状の筒状体を構成する、永久磁石21のそれぞれの磁化の向きを、ドライバービット40の軸線43に対して傾斜させる構成に加えて、それぞれの永久磁石21の外周に、中空貫通孔13の貫通孔の方向に沿って磁極を揃えた補助永久磁石23を付設することで可能となる。
図7の形態では、複数の補助永久磁石23は、図示したように、その磁極が中空貫通孔13の貫通方向の沿って配され、さらにN極をドライバービット40の先端41側に配するように補助永久磁石23を配設している。
このような永久磁石21と補助永久磁石23との組み合わせによれば、ドライバービット40の先端41側の磁極分岐点35をさらに遠い位置に形成することができ、そのため、ドライバービット40の先端41側ではさらに強い磁力が発生する。
図6(b)や図7に示した構成の磁着補助具1では、ドライバービット40の軸線43に対して、先端方向に向う傾斜角度Wを持った磁力線31を多く放射するので、厚みを厚くしなくても、ドライバービット40の先端41で磁力を強めることができる。
永久磁石21の磁化方向を、ドライバービット40の軸線43に対して、傾斜角度を30度〜90度変化させたものについて、ドライバービット40の先端41での磁力を計測する試験を行った。この傾斜角度Wは、90度に比べて、60度、45度、30度と小さくなるにつれて、ドライバービット40の先端41での磁力が強くなっていることが確認できた。また傾斜角度Wが30度未満のものについても試験を行ったが、30度よりも小さくなると先端41に磁力線が到達しないこともあった。よって、この試験においては、傾斜角度Wは30度が最適値であった。なお、この試験では、中空貫通孔13の出口(永久磁石21の端部)からドライバービット40の先端41までの突出長が16mmとなる位置に、磁着補助具1を取り付けた。
試験では、永久磁石21として、残留磁束密度が高い希土類磁石のネオジウム磁石を用いたが、それぞれは、20000Gの磁束密度で磁化して、5000Gの残留磁気密度が得られたものを、6個束ねて、6面体の花弁状の筒状体として構成したものを使用した。
さらに、中空貫通孔13の出口(永久磁石21の端部)からドライバービット40の先端41までの突出長が1mm、6mm、11mm、16mm、21mmについて試験を行った。
永久磁石21からドライバービット40の先端41までの突出長は短いほど先端41での磁力が強くなり、当然に突出長が1mmの場合に高い磁力が発生することが確認できた。操作のしやすさを考慮すれば、上方からドライバービット40の先端41方向を見た場合、先端41が磁着補助具1によって隠れない程度に突出していることが望ましく、そのため突出長には16mm程度が必要となる。その場合にはドライバービット40の先端41で6000ガウス程度の磁力を計測でき、突出長が最も長い21mmの場合でも5000ガウス程度の磁力が発生することを確認できた。ステンレス固定具45を磁着するのには十分であった。
したがって、図1(a)に示したドライバービット40の位置決め部40aは、ドライバービット40の先端41から、(15mm〜20mm+磁着補助具1の全長)分の距離が離れた位置に形成することが望ましい。また、図1(b)に示したドライバービット40の位置決め部41は、ドライバービット40の先端41から15mm〜20mm離れた位置に設けることが望ましい。
また、それぞれの磁場角度Wの永久磁石21にさらに補助永久磁石23を付けた場合(図6に相当)の試験を行ったが、上記の試験よりもさらに高い磁力が得られた。
以上のように、永久磁石21として6個のネオジウム磁石を用い、それらを隙間なく花弁状に束ねた磁着補助具1を用いることで、ドライバービット40の先端41を強力に磁化できることが確認できた。
ついで、花弁状の筒状体について、図8(a)〜(e)を参照しながら説明する。
これらは、中空貫通孔13として、断面が6角形以外の形状のものを有している。図8(a)(b)では中空貫通孔13が円形、図8(c)では正方形、図8(d)では5角形、図8(e)では長方形となっている。
永久磁石21としては、図8(a)では同一の弧状の3個の永久磁石21が用いられ、図8(b)では同一の弧状の4個の永久磁石21が用いられている。また、図8(c)(d)(e)では、図3(a)に示した永久磁石21と同様に、断面が矩形と等脚台形を組み合わせた6角形状のものが用いられている。図8(c)(d)では複数の永久磁石21が相互に同一形状となっているが、図8(e)では長方形の辺長に対応するように2種の形状の永久磁石21が用いられている。
図8に示した5種の形状のものも、図3に示したものと同様、隣設された永久磁石21は面どうしが密着しているため、磁束の漏れは発生しにくく、ドライバービット40の先端41(図5参照)に効率よく強い磁力を持たせることができる。
50 電動式ドライバー
51 ドライバー本体
52 胴部
52a モータ
53 ハンドル部
53a スイッチ
54 チャック部
1 固定具用磁着補助具(磁着補助具)
1a 先端側端部
1b 後端側端部
10 本体ケース
11 本体
12 蓋体
13 中空貫通孔
15 外ケース
16 樹脂材料
21 永久磁石
22 クッション材
23 補助永久磁石
25 面取接合面
31 磁力線(磁極間を結ぶ軸線)
32 磁力線
35 磁極分岐点
40 ドライバービット
40a 位置決め部
41 ドライバービットの先端
42 ドライバービットの基端
43 軸線
45 ステンレス固定具(ビス)
46 頭部
47 軸部
48 ビット挿入溝
51 ドライバー本体
52 胴部
52a モータ
53 ハンドル部
53a スイッチ
54 チャック部
1 固定具用磁着補助具(磁着補助具)
1a 先端側端部
1b 後端側端部
10 本体ケース
11 本体
12 蓋体
13 中空貫通孔
15 外ケース
16 樹脂材料
21 永久磁石
22 クッション材
23 補助永久磁石
25 面取接合面
31 磁力線(磁極間を結ぶ軸線)
32 磁力線
35 磁極分岐点
40 ドライバービット
40a 位置決め部
41 ドライバービットの先端
42 ドライバービットの基端
43 軸線
45 ステンレス固定具(ビス)
46 頭部
47 軸部
48 ビット挿入溝
Claims (10)
- ドライバービットと、該ドライバービットに着脱される固定具用磁着補助具とを備えた電動式ドライバーであって、
前記固定具用磁着補助具は、複数の永久磁石を、中央の中空貫通孔が形成されるように、隣接する永久磁石の同一極性の端部同士を隙間なく束状に接合させて筒状体に構成されていることを特徴とする電動式ドライバー。 - 請求項1において、
前記ドライバービットの軸部には、前記固定具用磁着補助具を適正位置に装着させるための位置決め部が形成されている、電動式ドライバー。 - 請求項1において、
前記ドライバービットは、前記固定具用磁着補助具を一体的に取り付けた構成にしている、電動式ドライバー。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記複数の永久磁石のそれぞれは、中空貫通孔と反対の端面に、クッション材を介在させている、電動式ドライバー。 - 請求項1〜4のいずれかにおいて、
前記複数の永久磁石は、前記中空貫通孔に挿嵌されるドライバービットの軸線に対して、磁力線が先端に向う傾斜角度をもって、磁化方向を規定している、電動式ドライバー。 - 請求項1〜5のいずれかにおいて、
前記複数の永久磁石は、それらの外周に、前記中空貫通孔の貫通方向に沿って磁極を揃えた補助永久磁石を付設している、電動式ドライバー。 - 請求項1〜6のいずれかにおいて、
前記花弁状の筒状体は、正n角形の形状をしている、電動式ドライバー。 - 請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記永久磁石は、隣接する側面に面取接合面を対応して形成している、電動式ドライバー。 - 請求項1〜8のいずれかにおいて、
前記固定具用磁着補助具は、外ケースをさらに備え、該外ケースの少なくとも先端部分が透光に形成されている、電動式ドライバー。 - 請求項1〜9のいずれかにおいて、
前記固定具用磁着補助具は、蓄光手段を備えている、電動式ドライバー。
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---|---|---|---|
JP2015005097U JP3201631U (ja) | 2015-10-08 | 2015-10-08 | 電動式ドライバー |
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JP2015005097U JP3201631U (ja) | 2015-10-08 | 2015-10-08 | 電動式ドライバー |
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---|---|
JP3201631U true JP3201631U (ja) | 2015-12-17 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017109938A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 光和管財株式会社 | 固定具用磁着補助具および電動式ドライバー |
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2015
- 2015-10-08 JP JP2015005097U patent/JP3201631U/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017109938A1 (ja) * | 2015-12-25 | 2017-06-29 | 光和管財株式会社 | 固定具用磁着補助具および電動式ドライバー |
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