JP3201169B2 - 産業用ロボット - Google Patents

産業用ロボット

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JP3201169B2
JP3201169B2 JP23385194A JP23385194A JP3201169B2 JP 3201169 B2 JP3201169 B2 JP 3201169B2 JP 23385194 A JP23385194 A JP 23385194A JP 23385194 A JP23385194 A JP 23385194A JP 3201169 B2 JP3201169 B2 JP 3201169B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、部品を作業対象に嵌め
込んだり、作業対象に挿入したり、作業対象にねじ締め
したりすることによって、部品を作業対象に組み付ける
産業用ロボットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、部品を毎回同じ場所へ組み付
けする産業用ロボット等では、組み付けの成功率が最大
となると見られる点が作業中心点として教示されている
が、さらに成功率を向上させるために、特開平4−14
1701号では、作業中心点での組み付けが成功しなか
った場合に、作業中心点の周辺の幾つかの探査点での組
み付けを試みて、成功率が作業中心点の成功率より良い
探査点がある場合には、その探査点を新たな作業中心点
に変更するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、ある作
業点での成功率を他の作業点での成功率と比較する場
合、それぞれの作業点で成功率が精度良く測定されてい
なければならない。従って、成功率の精度を高くするた
めには、各作業点での作業回数を多くする必要がある
が、各作業点の作業成功率が低い状態で作業回数を増や
すと、組み付けの失敗回数が増加し、組立不良を増加す
る恐れがあるため、安易に作業回数を増やすことができ
ない。
【0004】また、各作業点での成功率を比較する場
合、有意差検定の危険率の設定のしかたによって比較結
果に差が生じるため、危険率が適切に設定されていない
と、誤って作業点を修正してしまうため、作業中心点を
適正に修正させることができず、成功率を向上させるこ
とができない。
【0005】さらに、ワークのロット切替えや、周囲の
温度変化によって、作業対象位置が大きく変化した場合
には作業条件が変化するため、成功率を測定するための
作業回数および成功回数は、変化前と変化後とでは関連
性が乏しくなる。このため、変化前と変化後に連続して
各回数の計数を行うと、正しい成功率を測定できなくな
り、誤って作業中心点を修正してしまう恐れがある。
【0006】本発明は、作業中心点の周辺を探査して、
各作業点の成功率に基づいて順次最適な作業中心点に変
更する産業用ロボットにおいて、作業失敗数を少なく
し、長期に亙る組立作業全体において、成功率を高くす
ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、作業対象に作
業を行うロボットの機構部分からなる作業遂行部と、該
作業遂行部に前記作業を行うべき位置である作業中心点
を設定する手段と、該作業中心点に基づいて前記作業遂
行部の動作を制御する制御手段とを備えるロボットの制
御装置であって、設定される前記作業中心点を記憶する
手段、記憶されている前記作業中心点に向けて前記作業
遂行部を移動させて前記作業を行わせる作業命令手段、
前記作業中心点での前記作業の成功回数を作業回数で割
った前記作業の成功率を把握する作業判定手段、前記作
業中心点での成功率に基づいて前記作業中心点の周辺の
予め設定された複数の探査点に向けて前記作業遂行部を
移動させて前記作業を行わせる探査命令手段、前記各探
査点での前記作業の良否をそれぞれ判定して各探査点で
の前記作業の成功回数を作業回数で割った成功率を把握
する探査判定手段、前記作業中心点での成功率と、前記
各探査点での成功率との間に有意差があり、かつ、前記
探査点での成功率の方が前記作業中心点での作業の成功
率よりも大きい時にその探査点を特定し、前記作業中心
点を該探査点に修正する修正手段を有する産業用ロボッ
トにおいて、前記作業中心点での成功率測定する際の作
業回数と前記有意差検定の危険率を、前記作業中心点と
作業成功率の分布の中心位置との距離が最小になるよう
に設定したことを技術的手段とする。
【0008】本発明は、請求項2では、請求項1におい
て、前記作業中心点を修正するために、作業成功率測定
中に、前記作業中心点での成功率に変化があった場合
に、作業成功率測定データを初期化し、再度初めから作
業成功率を測定することを技術的手段とする。
【0009】本発明は、請求項3では、請求項2におい
て、前記作業中心点での所定の作業回数で測定された成
功率を2回以上測定し、その成功率に有意差を伴って成
功率に差がある場合に前記作業中心点での成功率の変化
を検出し、作業成功率測定データを初期化を技術的手段
とする。
【0010】本発明は、請求項4では、請求項3におい
て、前記作業成功率の分布の中心を周期的に移動させた
場合に、前記修正手段により修正される前記作業中心点
と作業成功率の分布の中心位置との距離が最小になるよ
うに前記成功率の有意差検定の危険率を設定したことを
技術的手段とする。
【0011】本発明は、請求項5では、請求項3におい
て、前記作業成功率の分布の中心を周期的に移動させた
場合に、前記修正手段により修正される前記作業中心点
と作業成功率の分布の中心位置との距離が最小になるよ
うに前記作業中心点での成功率測定する際の作業回数と
前記成功率の有意差検定の危険率とを設定したことを技
術的手段とする。
【0012】
【作用】作業成功率の分布は、作業対象に作業を行うロ
ボットの機構部分からなる作業遂行部における温度差に
よる変動、作業対象におけるワークのばらつきなどによ
って正規分布で近似されるため、それぞれの具体的な作
業対象によってその分布を把握できる。従って、作業成
功率の分布の中心位置と修正手段によってその点が修正
される作業中心点との距離が最小になるような作業回数
と有意差検定の危険率を、シミュレーションによって特
定することができる。請求項1の発明では、上記のよう
に、作業中心点での成功率測定する際の作業回数と有意
差検定の危険率が、作業中心点と作業成功率の分布の中
心位置との距離が最小になるように設定されることによ
って、作業中心点が常に成功率の分布の中心の近くにな
るため、総合的に成功率の高い作業を行うことができ
る。
【0013】請求項2では、作業中心点での成功率に変
化があった場合は、ワークのロットの切替えや、周囲温
度の変化があって、作業対象の条件に変化が生じた場合
と判断し、そのような場合には、変化前の測定データを
初期化し、再度作業成功率を測定する。従って、変化が
生じた時点から作業が開始されたものとして、作業対象
の条件の変化が生じる前の測定データを用いないため、
新たな条件下での正しい成功率の測定を行うことができ
る。
【0014】請求項3では、作業中心点での成功率の変
化を検出する方法として、作業中心点での所定の作業回
数で測定された成功率を2回以上測定し、その成功率に
有意差を伴って成功率に差があるか否かを判定する。従
って、ある1回の作業の前後で、成功率に変化があって
も、そのままデータが保持され、明らかな成功率の変化
があったときに初めて初期化されるため、安定した動作
を確保でき、誤った修正が行われることがない。
【0015】請求項4、請求項5では、シミュレーショ
ンにおいて、作業成功率の分布の中心を周期的に移動さ
せることによって、作業成功率の分布の中心が移動した
場合の作業中心点の修正の応答性を調べることができる
ため、より適切な各値を設定することができる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、成功率測定のための作業回
数、有意差検定の危険率を最適に設定できるので、産業
用ロボットの位置修正効果が充分に得られ、製品の位置
が変動する場合でも、作業中心点の修正ができる。ま
た、作業回数および危険率の複数の交互効果をもつパラ
メータを作業中心点の修正効果を最大にするように設定
できるので、産業用ロボットの位置修正効果が充分に得
られる。また、請求項2、3では、ワークのロット切替
えや周囲温度の変化などの作業条件が変化した場合に、
誤って作業中心点が修正されることがなく、作業条件の
変動に対応した作業中心点の修正ができる。
【0017】
【実施例】次に本発明を産業用ロボット1に基づいて説
明する。図1に機能構成を示す産業用ロボット1は、基
板3の穴4にランプ5を組み付けるためのティーチング
プレイバックロボットで、ロボット制御回路10はCP
U11、RAM12、ROM13、駆動回路14、セン
サ15、インターフェース16からなり、作業遂行部2
0はサーボモータ21とロボットハンド22からなる。
【0018】産業用ロボット1の作業動作は、図2に示
すように、ロボットハンド22がサーボモータ21によ
り駆動されて、基板3の穴4内にランプ5を挿入し、穴
4内に挿入されたランプ5の爪6が基板3に係止された
場合に組み付けが完了する。センサ15は、ロボットハ
ンド22がチャック位置でランプ5を掴んだときオン状
態となり、ランプ5がロボットハンド22内に残ってい
ないときオフ状態となる。
【0019】ロボット制御回路10は、RAM12に、
作業中心点P0における作業回数、成功回数を記憶する
レジスタR0と、探査点P1〜P4における作業回数、
成功回数を記憶するレジスタR1〜R4を有し、ROM
13内のプログラムによる制御手順に従って作業遂行部
20による作業を行う。ロボット制御回路10は、作業
の合否を判定するセンサ15の信号をインターフェース
16で変換して取り込み、センサ15がオン状態からオ
フ状態に変化するとき作業の成功が判定され、オン状態
が継続すると作業の不成功を判定する。
【0020】以上の構成からなる産業用ロボット1は、
ロボット制御回路10に組み込まれた動作プログラムに
よって、予め教示された作業中心点P0で組立動作を行
うとともに、作業中心点P0での作業が不成功であった
場合に、近傍の探査点で作業を行い、作業の成功率がよ
り良い作業点へ作業対象位置である作業中心点P0を順
次修正するための学習プログラムを有している。ここで
は、学習プログラムにより修正されるのは、図3に示す
ように、作業中心点P0からX軸方向、Y軸方向へそれ
ぞれ探査距離Lだけ離れた距離にある複数の探査点P1
〜P4のいずれかであり、修正は、作業中心点P0、探
査点P1〜P4でのそれぞれの作業成功率に基づいて行
われる。
【0021】次に、探査距離Lの設定について説明す
る。ある作業中心点P0で、作業を行い、その点での成
功率が算出された場合、その作業における成功率分布関
数が分かっていれば、成功率分布における成功率の最高
の点とその作業中心点との距離Lが推定できる。本実施
例では、作業対象と被作業対象の相対的な位置のばらつ
きと、作業が成功する許容範囲とから、以下のとおり算
出した成功率分布と、産業用ロボット1の組立作業にお
いて算出される成功率とを用いてこの距離Lを推定す
る。
【0022】成功率分布の測定のための作業対象と被作
業対象の相対的な位置のばらつきは、産業用ロボット1
による組立作業に先行して、距離センサや視覚装置など
によって測定しておく。図4に視覚装置50を使用した
例を示す。ロボットハンド22に視覚装置50を付け、
製品を流動させ、製品が位置決めされるたびに、製品の
作業対象位置を測定する。ここでは、樹脂製品にランプ
5を組み立てる例であるので、樹脂製品のランプ組立穴
の位置を測定する。この測定により、産業用ロボット1
と製品との作業対象位置の相対的な位置のばらつきが測
定できる。製品の作業位置のばらつき(確率密度分布)
の正規分布関数は、図5(a)に示すように、横軸に位
置、縦軸に確率密度を配した座標上で表現される。
【0023】次に、作業が成功する許容範囲を測定す
る。これは、組立、挿入作業の場合、通常、クリアラン
スとされるものであり、例えば、挿入する部品(ランプ
の挿入部)の直径と挿入される穴4の直径の差である。
また、半田付け、接着材塗布などの作業の場合は、材料
がずれても、良品と判定できる範囲である。
【0024】以上の測定が終わると、成功率分布関数を
作成する。成功率分布関数は、上記の製品の作業位置の
ばらつきを示す正規分布関数の一方の端から、他方の端
へ位置をずらしながら、作業が成功する許容範囲2α内
で、正規分布関数を積分することによって、各位置にお
ける成功率を求めることができる。積分の結果を図5
(b)に示す。この結果に基づいて作成した成功率分布
関数を図6に示す。
【0025】次に、図6に示す成功率分布関数を使用
し、探査距離Lを算出する。探査距離Lの算出には、教
示された作業中心点aでの成功率P(a)を測定し、そ
の値を成功率分布関数に当てはめ、成功率が最大となる
点までの距離Lを推定し、それを探査距離Lとする。成
功率は、産業用ロボット1を作動させて組立作業を行
い、その作業の成否に基づいて求める。産業用ロボット
1の組立作業については、後述する。
【0026】なお、成功率分布関数は、簡単化のため
に、作業成功率の分布を一次近似式で表現しても、同様
の効果がある。一次近似式の作り方として、図7に示す
ように、作業の成功率分布において成功率が最大となる
位置と0となる位置とを直線で結んだ関数を成功率分布
関数として用いて、成功率分布の全領域を一次関数で表
現する方法がある。
【0027】しかし、通常の作業者による教示では、図
8に示すように、成功率分布の中心より3σ離れた点を
使用し一次近似式を作成すると、探査距離Lの設定が一
次近似式でも誤差が少なく正確に行える。作業者による
教示は、通常、成功率分布の中心より2σから3σの間
以内で行われることが多いので、この成功率分布の中心
より3σ離れた点までの範囲での近似式の誤差を小さく
するように設定すればよい。
【0028】この一次近似式を用いた場合、成功率分布
の一次近似式Pは、
【数1】
【0029】で表されるため、x=Lを代入すると、探
査距離Lは、
【数2】 従って、ある作業中心点での成功率Pが算出されれば、
上記の数式2により、成功率が算出された作業中心点
と、成功率が最もよい点との距離Lが算出され、この距
離Lを探査距離Lとすることができる。
【0030】次に、以上のとおり探査距離Lが設定され
る探査距離設定プログラムを含み、作業中心点P0の修
正のための学習プログラムの制御動作を図9に基づいて
説明する。初めに、探査距離Lが計算済みか否か判別す
る(ステップS101)。計算されていない場合(N
o)、作業中心点P0で組立作業を行う(ステップS1
02)。組立作業数が、必要サンプル数に達したか否か
判別し(ステップS103)、必要サンプル数に達して
いない場合には(No)、ステップS108へ移行す
る。必要サンプル数に達している場合には(Yes)、
作業中心点P0における成功率T0を計算し(ステップ
S104)、さらに、成功率T0に基づいて探査距離L
を算出し(ステップS105)、1回の作業動作を終了
し、ステップS101へ移行する。
【0031】ステップS101において、探査距離Lが
計算されている場合には(Yes)、作業中心点P0ま
たは探査点P1〜P4で組立作業を行う(ステップS1
06)。この組立作業では、初め作業中心点P0で組立
作業を試みて、成功した場合には他の探査点P1〜P4
での組立作業は行わず、失敗した場合に限って各探査点
P1〜P4で順次組立作業を試み、作業が成功したとき
組立作業を終わる。また、作業の成否については、作業
を行った作業中心点P0または探査点P1〜P4に対応
したレジスタR0〜R4において、作業回数および成功
回数をそれぞれ記憶する。また、作業中心点P0につい
ては、予め決められた所定の組立回数の組立作業が行わ
れる毎に、成功率が算出される。ここでは、成功率は、
作業回数が、例えば、20回、40回、100回と予め
決められた複数の異なる必要サンプル数Nにそれぞれ達
する毎に、各必要サンプル数Nに対応する各成功率を算
出する。
【0032】ステップS106の組立作業の後、ステッ
プS107では、作業中心点P0についての成功率が算
出されている場合については、連続する2つの成功率を
比較する。なお、連続した成功率が算出されていなけれ
ば、ステップS108へ移行する。ステップS107に
おいて、過去の成功率が現在の成功率と等しいか否かを
判別し、連続する2つの成功率に変化が生じた場合には
(No)、ワークのロットの切替え、あるいは作業現場
における温度変化などによって、作業対象の条件が変化
したと考えられるため、異なる条件下での作業回数、成
功回数等の統計データによって算出される成功率に基づ
いて、作業中心点が修正されると、作業不良が増加する
恐れがあるため、各統計データを初期化し(ステップS
111)、1回の作業動作を終了して、ステップS10
1へ移行する。
【0033】ステップS107おいて、連続する2つの
成功率に変化が生じない場合には(Yes)、作業中心
点P0での成功率と、探査点P1〜P4の成功率とに有
意差があるか否かを判定する(ステップS108)。ス
テップS108において、有意差がない場合(No)に
は、1回の作業動作を終了し、ステップS101へ移行
する。ステップS108において、有意差がある場合に
は(Yes)、作業中心点P0の成功率より探査点P1
〜P4の成功率がよいか否か判別する(ステップS10
9)。
【0034】ステップS109おいて、探査点P1〜P
4の成功率より作業中心点P0の成功率がよい場合には
(No)、1回の作業動作を終了して、ステップS10
1へ移行する。ステップS109において、作業中心点
P0の成功率より探査点P1〜P4の成功率がよい場合
には(Yes)、作業中心点P0の成功率より良い成功
率の探査点P1〜P4へ作業中心点を変更し(ステップ
S110)、1回の作業動作を終了して、ステップS1
01へ移行する。
【0035】なお、ステップS108における成功率の
有意差の判定およびステップS109における成功率の
比較は、作業中心点P0における必要サンプル数と同じ
回数の組立作業が各探査点P1〜P4においてそれぞれ
完了した場合に行われる。
【0036】次に、上記の学習プログラムにおいて、成
功率の算出に用いられる必要サンプル数Nと、ステップ
S108、ステップS109においてそれぞれの判定に
用いられる成功率の有意差を判定するための危険率F2
の設定について説明する。ある作業点での成功率は、そ
の作業点で試みられた作業回数と、その作業回数のうち
の成功回数とから計算される。そして、成功率を正確に
計算するためには、組立作業の回数を多くする必要があ
る。ところが、組立作業の回数を増やすと、成功率が低
い場合には、組立不良を増加させる恐れがあるため、単
純に組立回数を増やすことはできない。
【0037】一方、複数の作業点での成功率を比較する
場合、成功率間に大きな差がある場合には、成功率に誤
差が多く含まれていて精度が高くなくても、成功率の有
意差を判定できるが、成功率間の差が小さい場合には、
成功率の誤差の影響を受けるため、成功率の有意差を正
しく判定することはできず、成功率の精度の誤差が小さ
くないと正しい判定はできない。
【0038】従って、成功率を算出するための作業回数
は、成功率の差に応じて設定する必要がある。また、逆
に、成功率の精度は、作業回数によって決まるため、成
功率の有意差検定のための危険率F2は、作業回数に応
じて設定する必要がある。これらの考察に基づき、本実
施例では、成功率を算出するための作業回数としての必
要サンプル数Nと、作業中心点P0と探査点P1〜P4
の成功率の有意差を判定するための有意差検定の危険率
F2を以下のように決定する。
【0039】必要サンプル数Nおよび成功率の有意差を
比較するための危険率F2が適切に設定されている場合
には、上記の産業用ロボット1の作業動作の応答性が良
く、その結果、作業中心点P0が実際に成功率が高くな
る最適点(成功率分布の中心点)の移動変化に追従し
て、作業中心点P0と実際に成功率が高くなる最適点と
のずれの距離Mが小さく保たれるはずである。従って、
作業全体としての成功率を高くするためには、この距離
Mを小さくできるように、必要サンプル数Nおよび危険
率F2が設定できればよい。そこで、ここでは、作業対
象位置としてのワークのばらつきが、ワークのロット変
動周期や気温変化周期などを有することから周期的変化
をするものとみなし、例えば、図10に示すようなサイ
ン関数で表されると仮定し、評価関数は、組立1回当た
りの距離Mを1周期の組立回数で積分した量として、評
価関数が最小になるような必要サンプル数Nおよび危険
率F2の組み合わせを決定する。
【0040】実際には、シミュレーションにおいて、必
要サンプル数Nおよび危険率F2を幾つか変化させたも
のを組み合わせ、その組み合わせのうち評価関数が最小
のものを使用し決定する。シミュレーション条件を以下
のとおり設定した時の結果を図11に示す。 サイン関数の振幅 ワークの標準偏差 3σ 周期 200個 この場合、決定される各値は、必要サンプル数Nは10
0以下、危険率F1は1%、危険率F2は10%以下で
ある。なお、危険率F1は、統計データを初期化する必
要性を判定するための危険率であり、上記の制御動作プ
ログラムのステップS107で用いられるものである
る。
【0041】以上のようにして決定した必要サンプル数
Nおよび危険率F2を用いた産業用ロボット1における
作業結果を図12に示す。学習効果によって、最も適し
た位置に向かって作業中心点が修正されていることが分
かる。本実施例における効果を図13に示す。図から明
らかなとおり、応答性が優れているため、ずれの量が確
実に減少し、また、累積失敗回数も減少する。
【0042】図15に本発明の第2実施例を示す。第2
実施例は、ねじ101によって基体102に基板103
を締めつけるものであり、ねじ締めドライバ104が所
定のトルク範囲になった場合に作業の成功を判別し、そ
れ以外は不成功とするトルクセンサ105を用いてい
る。なお、106はねじ101およびねじ締めドライバ
を、基体102のねじ締め位置に案内するガイドであ
る。
【0043】図16、図17に本発明の第3、第4実施
例をそれぞれ示す。これらの実施例は、集積回路部品1
11を基板112の各穴113内に挿入するもので、平
面位置に加え、回転方向を加えた6個の探査点について
作業の成功率が最適な点を探求する。114は作業の合
否を判定するセンサである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す産業用ロボットの機能構
成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例を示す産業用ロボットの作業説
明のための図である。
【図3】本発明の実施例を示す産業用ロボットの探査点
を示す図である。
【図4】本発明における探査距離の設定のための産業用
ロボットと製品との作業対象位置の相対的な位置のばら
つきを測定するための視覚装置の説明図である。
【図5】(a)は本発明における探査距離の設定のため
の製品の作業位置のばらつき(確率密度分布)を示す
図、(b)は(a)についての積分結果を示す図であ
る。
【図6】図5の製品の作業位置のばらつき(確率密度分
布)に基づいて作成した成功率分布関数を示す図であ
る。
【図7】図6の成功率分布の全領域を一次近似式を用い
て近似させた一次関数を表現した図である。
【図8】図6の成功率分布を成功率分布の中心より3σ
離れた点を使用した一次近似式で表現した一次関数を示
す図である。
【図9】本発明の実施例を示す産業用ロボットの動作プ
ログラムを示すフローチャートである。
【図10】本実施例における必要サンプル数Nと危険率
F2を決定するために用いたシミュレーションにおける
成功率分布の中心の移動軌跡と作業中心点の追従軌跡と
の関係を示す図。
【図11】本実施例における必要サンプル数Nと危険率
F2を決定するために用いたシミュレーションの結果を
示す図である。
【図12】本発明により決定された探査距離に基づいて
探査を行って作業中心点を修正した場合の組立成功率の
変化を示す図である。
【図13】本発明によって作業中心点を修正した場合の
作業中心点と成功率が最もよい点(目標位置)とのずれ
の変化と、組立作業の失敗率の変化を示した図である。
【図14】本発明の第2実施例における作業を示す図で
ある。
【図15】本発明の第3実施例における作業を示す図で
ある。
【図16】本発明の第4実施例における作業を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 産業用ロボット 10 ロボット制御回路 20 作業遂行部 P0 作業中心点 P1〜P4 探査点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G05B 19/18 - 19/46 B25J 3/00 - 3/10 B25J 9/10 - 9/22 B25J 13/00 - 13/08 B25J 19/02 - 19/06

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 作業対象に作業を行うロボットの機構部
    分からなる作業遂行部と、 該作業遂行部に前記作業を行うべき位置である作業中心
    点を設定する手段と、 該作業中心点に基づいて前記作業遂行部の動作を制御す
    る制御手段とを備えるロボットの制御装置であって、 設定される前記作業中心点を記憶する手段、記憶されて
    いる前記作業中心点に向けて前記作業遂行部を移動させ
    て前記作業を行わせる作業命令手段、前記作業中心点で
    の前記作業の成功回数を作業回数で割った前記作業の成
    功率を把握する作業判定手段、前記作業中心点での成功
    率に基づいて前記作業中心点の周辺の予め設定された複
    数の探査点に向けて前記作業遂行部を移動させて前記作
    業を行わせる探査命令手段、前記各探査点での前記作業
    の良否をそれぞれ判定して各探査点での前記作業の成功
    回数を作業回数で割った成功率を把握する探査判定手
    段、前記作業中心点での成功率と、前記各探査点での成
    功率との間に有意差があり、かつ、前記探査点での成功
    率の方が前記作業中心点での作業の成功率よりも大きい
    時にその探査点を特定し、前記作業中心点を該探査点に
    修正する修正手段を有する産業用ロボットにおいて、 前記作業中心点での成功率測定する際の作業回数と前記
    有意差検定の危険率を、前記作業中心点と作業成功率の
    分布の中心位置との距離が最小になるように設定したこ
    とを特徴とする産業用ロボット。
  2. 【請求項2】 前記作業中心点を修正するために、作業
    成功率測定中に、前記作業中心点での成功率に変化があ
    った場合に、作業成功率測定データを初期化し、再度初
    めから作業成功率を測定することを特徴とする請求項1
    記載の産業用ロボット。
  3. 【請求項3】 前記作業中心点での所定の作業回数で測
    定された成功率を2回以上測定し、その成功率に有意差
    を伴って成功率に差がある場合に前記作業中心点での成
    功率の変化を検出し、作業成功率測定データを初期化を
    特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
  4. 【請求項4】 前記作業成功率の分布の中心を周期的に
    移動させた場合に、前記修正手段により修正される前記
    作業中心点と作業成功率の分布の中心位置との距離が最
    小になるように前記成功率の有意差検定の危険率を設定
    したことを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
  5. 【請求項5】 前記作業成功率の分布の中心を周期的に
    移動させた場合に、前記修正手段により修正される前記
    作業中心点と作業成功率の分布の中心位置との距離が最
    小になるように前記作業中心点での成功率測定する際の
    作業回数と前記成功率の有意差検定の危険率とを設定し
    たことを特徴とする請求項3記載の産業用ロボット。
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