JP3200643U - 顎位矯正器具 - Google Patents

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【課題】下顎の顎位を適正な位置に矯正することができ、ひいては使用者の身体の状態を改善することが可能な顎位矯正器具を提供する。【解決手段】顎位矯正器具は、下顎の歯列に配置される係合部材10と、係合部材10が設けられ、かつ下顎の歯列に固定される固定部材20とを備える。係合部材10は、下顎の一方側の第4番歯T4bの上方に配置された第1の突出部11と、下顎の他方側の第4番歯T4bの上方に配置された第2の突出部12とからなる。上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、第1の突出部11が、上顎の第4番歯の下面と係合するとともに、第2の突出部12が、上顎の第4番歯の下面と係合することにより、下顎の両側の第4番歯T4b,T4bを上顎の第4番歯における前後方向の同一位置に誘導する。【選択図】図1

Description

本考案は、下顎の顎位を適正な位置に矯正する顎位矯正器具に関するものである。
現代人は、従来に比べ柔らかいものを食するようになり、咀嚼の回数・頻度が大きく減少したため、咀嚼の際に動作する下顎が発達することなくむしろ退化する傾向にある。このため、現代人は、下顎が切端咬合より後退する傾向にあり、咬合の際に下顎の歯列が上顎の歯列より後方に位置する状態の者が多い。このような場合、日常生活に支障がない普通咬合であったとしても、その状態が継続すると身体の姿勢やバランスが悪くなって、肩凝り・腰痛・ひざ痛・鼻づまり・目まい等を招く場合があった。
そこで、従来より、特許文献1に示すように、上顎及び下顎の少なくとも一方に取り付けられるプレートと、前記上顎の左側の歯及び前記下顎の左側の歯の間に挟まれる左側弾性部材と、前記上顎の右側の歯及び前記下顎の右側の歯の間に挟まれる右側弾性部材とを備え、前記プレートは、前記左側弾性部材及び前記右側弾性部材より前方で前記下顎の前歯に接触する前歯接触部を有し、前記前歯接触部は、前記下顎の前記前歯に接触している状態で前側ほど上側になるように傾斜していることを特徴とする顎位矯正装置が知られていた。
これによれば、上顎及び下顎が閉じられてプレートの前歯接触部に下顎の前歯が接触すると、前歯接触部の傾斜によって下顎の顎位を矯正することができる。
特開2008−183126号
しかしながら、特許文献1の顎位矯正装置は、前歯付近において下顎の顎位を矯正するため、矯正力が下顎全体に伝達されない虞があり、下顎の顎位を適正な位置に矯正しにくい場合があった。
本考案は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができ、ひいては使用者の身体の状態を改善することが可能な顎位矯正器具を提供することを目的とする。
本考案は、上記目的を達成するために、下顎の歯列に配置される係合部材と、該係合部材が設けられ、かつ下顎の歯列に固定される固定部材とを備えた顎位矯正器具であって、前記係合部材は、下顎の一方側の小臼歯の上方に配置された第1の突出部と、下顎の他方側の小臼歯の上方に配置された第2の突出部とからなる。上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、前記第1の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合するとともに、前記第2の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合することにより、下顎の両側の小臼歯を対応する上顎の小臼歯における前後方向の同一位置に誘導する。なお、「一方側」とは使用者にとっての身体の右側又は左側をいい、「他方側」とは使用者にとっての身体の左側又は右側をいい、「小臼歯」とは、第4番歯又は第5番歯のことをいう。また、「対応する上顎の歯」とは、突出部が設けられた下顎の歯と同一側かつ同一番目の上顎の歯をいい、例えば、下顎の一方側の第4番歯に第1の突出部が設けられた場合において、「対応する上顎の小臼歯」とは、上顎の一方側の第4番歯をいう。
これによれば、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、第1の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合するとともに、第2の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合することにより、下顎の両側の小臼歯を対応する上顎の小臼歯における前後方向の同一位置に誘導するため、矯正力が下顎全体に効果的に伝達され、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。
また、第1の突出部および/または第2の突出部は、下顎の小臼歯の第4番歯の上方に配置されているのが好ましい。これによれば、下顎の顎位をより効果的に適正な位置に矯正することができる。
また、係合部材は、下顎の一方側の大臼歯の上方に配置された第3の突出部をさらに備え、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、第3の突出部が、上顎の一方側の大臼歯の下面と係合するのが好ましい。なお、「大臼歯」とは、第6番歯から第8番歯までのいずれかの歯のことをいう。これによれば、下顎の歯列が、第1の突出部、第2の突出部および第3の突出部の3点で上顎の歯列と係合するため、下顎の顎位をより安定的に適正な位置に矯正することができる。なお、下顎が切端咬合より後方に後退している普通咬合の場合、第3の突出部は下顎の右側の大臼歯の上方に配置されるのが好ましい。また、下顎が切端咬合より前方に出ている反対咬合の場合、第3の突出部は下顎の左側の大臼歯の上方に配置されるのが好ましい。
また、第3の突出部および/または第4の突出部は、下顎の大臼歯の第7番歯の上方に配置されているのが好ましい。これによれば、下顎の顎位をより一層効果的に適正な位置に矯正することができる。
また、第1の突出部は、上面が第2の突出部および第3の突出部の上面より高い位置に配置されるのが好ましい。これによれば、下顎の顎位をさらに効果的に適正な位置に矯正することができる。
また、固定部材は、下顎の歯列を覆う態様のマウスピースからなるのが好ましい。これによれば、固定部材も使用者の口腔底に接触しないため、使用者は顎位矯正器具を装着した状態でも違和感や不快感を覚えることなく、また快適に食事をすることができる。
本考案によれば、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、第1の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合するとともに、第2の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合することにより、下顎の両側の小臼歯を対応する上顎の小臼歯における前後方向の同一位置に誘導するため、矯正力が下顎全体に効果的に伝達され、下顎の顎位を効果的に適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。
また、係合部材が使用者の口腔底に全く接触しないため、使用者は顎位矯正器具を装着した状態でも違和感や不快感を覚えることなく、また快適に食事をすることができる。
また、係合部材が下顎の前後方向の中央部に配置されるため、第三者に係合部材が視認されることを防止することができる。
よって、使用者の身体のバランスが取り易くなって身体の緊張が解けるとともに身体の姿勢が改善され、延いては肩凝り・首筋の凝り・腰痛・ひざ痛・頭痛・鼻づまり・目まい等の症状を改善することが可能となる。
第1の実施形態に係る顎位矯正器具の装着状態を示す平面図である。 図1の顎位矯正器具の断面図である。
次に、本考案に係る顎位矯正器具について図1〜図2を参照しつつ説明する。
顎位矯正器具1は、図1に示すように、下顎が切端咬合より後方に後退している普通咬合の場合に用いられる顎位矯正器具であって、下顎の歯列に配置される係合部材10と、該係合部材10が設けられ、かつ下顎の歯列に固定される固定部材20とを備えている。なお、本明細書において、「前」とは口内からの口唇側の方向、「後」とは口内からの咽喉側の方向を表し、第N番歯とは第1番歯T1a、T1bから後側に向かって数えたN番目の歯のことを表す。また、「小臼歯」とは、第4番歯又は第5番歯をいい、「大臼歯」とは、第6番歯から第8番歯までのいずれかの歯をいうものとする。
前記係合部材10は、図1に示すように、下顎の右側の第4番歯T4bの上方に配置された第1の突出部11と、下顎の左側の第4番歯T4bの上方に配置された第2の突出部12からなる。この第1の突出部11および第2の突出部12は、下顎の第4番歯T4bの上方の全面に亘って設けられてもよいし、下顎の第4番歯T4bの上方の一部に亘って設けられてもよい。なお、第1の突出部11は、上面が第2の突出部12の上面より0.1mm高い位置、かつ第3の突出部12の上面より0.3mm高い位置に配置されている。
また、前記第1の突出部11は、上顎の右側の第4番歯T4aの下面に沿う形状に形成されている。このため、第1の突出部11は、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、上顎の右側の第4番歯T4aの下面と係合する。
同様に、前記第2の突出部12は、上顎の左側の第4番歯T4aの下面に沿う形状に形成されている。このため、第2の突出部12は、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、上顎の左側の第4番歯T4aの下面と係合する。
また、本実施形態では、係合部材10は、下顎の右側の第7番歯T7bの上方に配置された第3の突出部13をさらに備えている。この第3の突出部13は、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、上顎の右側の第7番歯T7aの下面と係合する。このため、下顎の歯列は、第1の突出部、第2の突出部および第3の突出部の3点で上顎の歯列と係合する。
また、前記第1の突出部11、第2の突出部12および第3の突出部13は、それぞれ下顎の右側の第4番歯T4bの上方、下顎の左側の第4番歯T4bの上方、下顎の右側の第7番歯T7bの上方に配置されているため、係合部材10は、使用者の口腔底に全く接触しない。
また、前記第1の突出部11、第2の突出部12および第3の突出部13は、歯冠材料に用いられる合成樹脂よりなるものであり、例えば常温重合レジンよりなる。常温重合レジンは、2剤混合型の合成樹脂であり、ポリメチルメタクリレート等を含有する粉体材料と、メタクリル酸メチル等を含有する液体材料とを混合させて硬化させることにより形成されるものであるため、係合部材10を上顎の第4番歯T4a、下顎の第4番歯T4b、上顎の第7番歯T7a、下顎の第7番歯T7bの形状に応じて簡単に成形することができる。また、第1の突出部11、第2の突出部12および第3の突出部13は、表面部を随時付加又は削除することにより、その形状を調整することができる。
前記固定部材20は、下顎の歯列を全体に亘って覆う態様のマウスピースからなり、第1の突出部11が下顎の右側の第4番歯T4aを覆う部分に設けられ、第2の突出部12が左側の第4番歯T4aを覆う部分に設けられ、第3の突出部13が右側の第7番歯T7aを覆う部分に設けられている。このため、固定部材20は使用者の口腔底に全く接触しない。
また、前記固定部材20は、透明な合成樹脂で形成されている。このため、固定部材20が第三者に視認されることを防止することができる。また、適正な位置での咀嚼訓練のため顎位矯正器具1を継続して使用した場合であっても、固定部材20が破損する虞がない。
次に、顎位矯正器具の使用方法について、図2を参照して説明する。
まず、歯科医または使用者が、固定部材20を下顎の歯列の第1番歯T1b〜第7番歯T7bに外嵌することにより、係合部材10の第1の突出部11が下顎の右側の第4番歯T4bの上方に配置され、第2の突出部12が下顎の左側の第4番歯T4bの上方に配置され、第3の突出部13が下顎の右側の第7番歯T7bの上方に配置される。
そして、図2(a)に示すように、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合されていない状態から、上顎と下顎が次第に近接し、第1の突出部11が上顎の右側の第4番歯T4aの下面に接触するとともに、第2の突出部12が上顎の左側の第4番歯T4aの下面に接触し、第3の突出部13が上顎の右側の第7番歯T7aの下面に接触する。
そして、図2(b)に示すように、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合された状態において、第1の突出部11が上顎の右側の第4番歯T4aの下面上を前方向に移動して該下面と係合するとともに、第2の突出部12が上顎の左側の第4番歯T4aの下面上を前方向に移動して該下面と係合し、第3の突出部13が上顎の右側の第7番歯T7aの下面上を前方向に移動して該下面と係合する。
上記考案によれば、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、前記第1の突出部11が、上顎の右側の第4番歯T4aの下面と係合するとともに、前記第2の突出部12が、上顎の左側の第4番歯T4aの下面と係合することにより、下顎の両側の第4番歯T4bを上顎の第4番歯T4aにおける前後方向の同一位置に誘導するため、矯正力が下顎全体に効果的に伝達され、下顎の顎位を効果的に適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。なお、この顎位矯正器具1は、使用者が当該器具を装着しない場合であっても、下顎の顎位を適正な位置に保った状態で咬合することができるようになるまで継続して使用される。
また、下顎の歯列が、前記第1の突出部11、第2の突出部12および第3の突出部13の3点で上顎の歯列と係合するため、下顎の顎位をより安定的に適正な位置に矯正することができる。
さらに、前記第3の突出部13は、下顎の大臼歯の第7番歯の上方に配置されているため、下顎の顎位をより一層効果的に適正な位置に矯正することができる。
さらにまた、前記第1の突出部11は、上面が前記第2の突出部12および第3の突出部の上面より高い位置に配置されるため、下顎の顎位をさらに効果的に適正な位置に矯正することができる。
また、前記係合部材10および前記固定部材20が使用者の口腔底に全く接触しないため、使用者は顎位矯正器具1を装着した状態でも違和感や不快感を覚えることなく、また快適に食事をすることができる。
また、前記係合部材10が下顎の前後方向の中央部に配置されるため、第三者に係合部材10が視認されることを防止することができる。
よって、使用者の身体のバランスが取り易くなって身体の緊張が解けるとともに身体の姿勢が改善され、延いては肩凝り・首筋の凝り・腰痛・ひざ痛・頭痛・鼻づまり等の症状を改善することが可能となる。
なお、上記実施形態において、前記第1の突出部11および前記第2の突出部12は、下顎の第4番歯T4bの上方に配置される場合について説明したが、下顎の第5番歯T5bの上方に配置されてもよい。
また、前記第3の突出部13および前記第4の突出部14は、下顎の第7番歯T7bの上方に配置される場合について説明したが、下顎の第6番歯T6bの上方、又は下顎の第8番歯T8bの上方に配置されてもよい。
また、前記固定部材20は、下顎の歯列を全体に亘って覆う態様のマウスピースからなり場合について説明したが、下顎の歯列に固定される金属片からなるものであってもよい。
また、下顎が切端咬合より後方に後退している普通咬合の場合について説明したが、下顎が切端咬合より前方に出ている反対咬合の場合に本器具を使用してもよい。この場合、第1の突出部11は下顎の左側の第4番歯T4b、第2の突出部12は下顎の右側の第4番歯T4b、第3の突出部13は下顎の左側の第7番歯T7bの上方にそれぞれ配置される。
以上、図面を参照して本考案の実施形態を説明したが、本考案は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本考案と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1…顎位矯正器具
10…係合部材
11…第1の突出部
12…第2の突出部
13…第3の突出部
20…固定部材
T4a…上顎の第4番歯
T7a…上顎の第7番歯
T4b…下顎の第4番歯
T5b…下顎の第5番歯
T6b…下顎の第6番歯
T7b…下顎の第7番歯
T8b…下顎の第8番歯

Claims (6)

  1. 下顎の歯列に配置される係合部材と、該係合部材が設けられ、かつ下顎の歯列に固定される固定部材とを備えた顎位矯正器具であって、
    前記係合部材は、下顎の一方側の小臼歯の上方に配置された第1の突出部と、下顎の他方側の小臼歯の上方に配置された第2の突出部とからなり、
    上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、前記第1の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合するとともに、前記第2の突出部が、対応する上顎の小臼歯の下面と係合することにより、下顎の両側の小臼歯を対応する上顎の小臼歯における前後方向の同一位置に誘導することを特徴とする顎位矯正器具。
  2. 前記第1の突出部および/または第2の突出部は、下顎の小臼歯の第4番歯の上方に配置されている請求項1に記載の顎位矯正器具。
  3. 前記係合部材は、下顎の一方側の大臼歯の上方に配置された第3の突出部をさらに備え、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、前記第3の突出部が、対応する上顎の大臼歯の下面と係合する請求項1又は請求項2に記載の顎位矯正器具。
  4. 前記第3の突出部は、下顎の大臼歯の第7番歯の上方に配置されている請求項3に記載の顎位矯正器具。
  5. 前記第1の突出部は、上面が前記第2の突出部および前記第3の突出部の上面より高い位置に配置される請求項3または請求項4に記載の顎位矯正器具。
  6. 前記固定部材は、下顎の歯列を覆う態様のマウスピースからなる請求項1から請求項5のいずれかに記載の顎位矯正器具。
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