JP3200349U - 顎位矯正器具 - Google Patents

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【課題】快適に使用しながら、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができ、ひいては身体の状態を改善することが可能な顎位矯正器具を提供する。【解決手段】顎位矯正器具1は、上顎の歯列に配置される係止部材10と、係止部材が設けられ、かつ上顎の歯列に固定される固定部材20とを備えている。係止部材は、上顎の前歯T1aの後方のみに配置され、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に下顎の前歯の先端部を係止することにより、下顎の前歯を上顎の前歯における前後方向の同一位置に誘導する。【選択図】図1

Description

本考案は、咬合の際に下顎の歯列が上顎の歯列より後方に位置する不正咬合の修正又は治療に用いられる顎位矯正器具に関するものである。
現代人は、従来に比べ柔らかいものを食するようになり、咀嚼の回数・頻度が大きく減少したため、咀嚼の際に動作する下顎が発達することなくむしろ退化する傾向にある。このため、現代人は、下顎が上顎に対し後退する傾向にあり、咬合の際に下顎の歯列が上顎の歯列より後方に位置する不正咬合の状態の者が多い。このような不正咬合は、その状態が継続すると身体の姿勢やバランスが悪くなって、肩凝り・腰痛・ひざ痛・鼻づまり等を招いていた。
そこで、従来より、特許文献1に示すように、上顎及び下顎の少なくとも一方に取り付けられるプレートと、前記上顎の左側の歯及び前記下顎の左側の歯の間に挟まれる左側弾性部材と、前記上顎の右側の歯及び前記下顎の右側の歯の間に挟まれる右側弾性部材とを備え、前記プレートは、前記左側弾性部材及び前記右側弾性部材より前方で前記下顎の前歯に接触する前歯接触部を有し、前記前歯接触部は、前記下顎の前記前歯に接触している状態で前側ほど上側になるように傾斜していることを特徴とする顎位矯正装置が知られていた。
これによれば、上顎及び下顎が閉じられてプレートの前歯接触部に下顎の前歯が接触すると、前歯接触部の傾斜によって下顎の前歯を適正な位置に矯正することができる。
特開2008−183126号
しかしながら、特許文献1の顎位矯正装置は、前歯接触部が上顎の第1番歯から第3番歯までの広範囲にわたって配置され、しかもプレートが使用者の口蓋に広く接触するため、使用者が違和感を覚えたり、食事の際に邪魔になるといった問題があった。
本考案は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、使用者が快適に使用しながら、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができ、ひいては使用者の身体の状態を改善することが可能な顎位矯正器具を提供することを目的とする。
本考案は、上記目的を達成するために、上顎の歯列に配置される係止部材と、該係止部材が設けられ、かつ上顎の歯列に固定される固定部材とを備えた顎位矯正器具である。前記係止部材は、上顎の前歯の後方のみに配置され、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に下顎の前歯の先端部を係止することにより、下顎の前歯を上顎の前歯における前後方向の同一位置に誘導することを特徴とする。なお、前歯とは、第1番歯から第2番歯までの歯のことをいう。また、同一位置とは、下顎の前歯と上顎の前歯が完全に一致する場合に限定されるものではなく、下顎の前歯が上顎の前歯より若干後方に位置する場合も含まれる。
これによれば、係止部材が上顎の前歯の後方のみに配置されているため、使用者が快適に使用しながら、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。
また、前記係止部材は、底部において前斜め上方に傾斜する傾斜面を有し、下顎の前歯を前記傾斜面上において前斜め上方に向けて摺動させるのが好ましい。これによれば、下顎の前歯を適正な位置に自然に誘導することができる。
また、前記係止部材は、前歯の第1番歯の後方のみに配置されるのが好ましい。これによれば、使用者がより快適に使用することができる。
また、前記固定部材は、前方端部に係止部材が設けられるとともに、後方端部が上顎の第3番歯から第7番歯の歯列に固定される金属片からなるものや、上顎の歯列を覆う態様のマウスピースからなるものが挙げられる。これによれば、顎位矯正器具が使用者の口蓋にほとんどあるいは全く接触しないため、使用者は顎位矯正器具を装着した状態でも違和感を覚えることなく、また快適に食事をすることができる。
本考案によれば、係止部材が上顎の前歯の後方のみに配置されているため、使用者が快適に使用しながら、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。
よって、使用者の身体のバランスが取り易くなって身体の緊張が解けるとともに身体の姿勢が改善され、延いては肩凝り・首筋の凝り・腰痛・ひざ痛・頭痛・鼻づまり等の症状を改善することが可能となる。
第1の実施形態に係る顎位矯正器具の装着状態を示す底面図である。 図1の顎位矯正器具の装着状態を示す断面図である。 第2の実施形態に係る顎位矯正器具を示す平面図である。
<第1の実施形態>
次に、本考案に係る顎位矯正器具の第1の実施形態について図1〜図2を参照しつつ説明する。
顎位矯正器具1は、図1に示すように、咬合の際に下顎の歯列が上顎の歯列より後方に位置する不正咬合の修正又は治療に用いられる顎位矯正器具であって、上顎の前歯の後方に配置される係止部材10と、係止部材10が設けられ、かつ上顎の歯列に固定される固定部材20を備えている。なお、本明細書において、「前」とは口内からの口唇側の方向、「後」とは口内からの咽喉側の方向を表し、第1番歯T1a、T1bとは、左右一対の中切歯を表すものとする。また、第N番歯とは第1番歯T1a、T1bから後側に向かって数えたN番目の歯のことを表す。
前記係止部材10は、図1、図2に示すように、上顎の前歯の第1番歯T1a、T1aの後方のみに配置される断面略三角形の部材であって、左右方向の長さが使用者の第1番歯T1a、T1aの横幅に相当する長さに形成され、高さが使用者の第1番歯T1a、T1aを超えない長さに形成されている。なお、係止部材10は、中央部がなるべく顔の正中線に一致するように調整されている。
この前記係止部材10は、底部101の前側において前斜め上方に直線的に傾斜する傾斜面101aを有しており、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に、この傾斜面101aにより下顎の第1番歯T1bの先端部を係止する。具体的には、図2(a)に示すように、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合されていない状態から、上顎の第1番歯T1a、T1aと下顎の第1番歯T1b、T1bが次第に近接すると、上顎の第1番歯T1a、T1aの後方のみに配置された係止部材10が傾斜面101aにより下顎の第1番歯T1b、T1bの先端部を係止する。そして、図2(b)に示すように、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合された状態になると、係止部材10が、下顎の第1番歯T1b、T1bを傾斜面101a上において前斜め上方に向けて摺動させることにより、下顎の第1番歯T1b、T1bを上顎の第1番歯T1a、T1aにおける前後方向の同一位置に自然に誘導する。
なお、傾斜面101aの傾斜角度は、使用者の上顎と下顎の歯列の形状や咬み合わせの状態に応じて適宜選択される。これによれば、係止部材10は、下顎の第1番歯T1bを傾斜面101a上において前斜め上方に向けてスムーズに摺動させることができる。
また、係止部材10は、歯冠材料に用いられる合成樹脂よりなるものであり、例えば常温重合レジンよりなる。常温重合レジンは、2剤混合型の合成樹脂であり、ポリメチルメタクリレート等を含有する粉体材料と、メタクリル酸メチル等を含有する液体材料とを混合させて硬化させることにより、形状が形成されるものであるため、係止部材10を上顎の第1番歯T1aの形状に応じて簡単に成形することができる。また、係止部材10は、表面部を随時付加又は削除することにより、その形状を調整することができる。
前記固定部材20は、前方端部に係止部材10が設けられるとともに、後方端部が上顎の第3番歯T3aから第7番歯T7aの歯列に固定されるステンレス等の金属片からなる。このため、適正な位置での咀嚼訓練のため顎位矯正器具1を継続して使用した場合であっても、固定部材20が破損する虞がない。この固定部材20は、図1に示すように、前方端部から後方端部に向かって分かれて延びる平面視略V字状のビーム部201と、後方端部においてビーム部201の両端部に設けられた外嵌部202を備えている。
具体的には、前記ビーム部201は、前方に平板状の接続部201aを備え、接続部201aにおいて係止部材10の後部に接続されている。また、ビーム部201は、接続部201aから後方に延びる2本の直線部201bを備え、2本の直線部201bは後方に向かうに従い互いの距離が次第に大きくなる態様で離間している。このため、ビーム部201が口蓋を広い範囲で覆うことなく、ビーム部201の内側において口蓋を下方に開放する空間が形成されるため、使用者は空間内で舌を自由に動かすことができ、顎位矯正装置1を装着した状態で違和感を覚えることがなく、また快適に食事をすることができる。なお、好ましくは、前記ビーム部201は、口蓋の80%以上の範囲を覆わず、より好ましくは、口蓋の90%以上の範囲を覆わない。
前記外嵌部202は、上顎の第5番歯T5aと第6番歯T6aに外嵌される部分であって、長さ方向に開口端を有し上顎の第5番歯T5aに外嵌される第1のC字状部202aと、長さ方向に開口端を有し上顎の第6番歯T6aに外嵌される第2のC字状部202bとが背中合わせに接続された形状をしている。これによれば、外嵌部202は、C字状部202a,202bのC字の端部が容易に離間・近接するため、歯科医または使用者が上顎の第5番歯T5aと第6番歯T6aから容易に脱着することができる。
次に、顎位矯正器具の使用方法について、図2を参照して説明する。
まず、歯科医または使用者が、固定部材20の外嵌部202を上顎の第5番歯T5aと第6番歯T6aに外嵌することにより、係止部材10を上顎の第1番歯T1a、T1aの後方に配置する。このときビーム部201は口蓋に軽く接触した状態となるが、ビーム部201の内側において口蓋を下方に開放する空間が形成される。
そして、図2(a)に示すように、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合されていない状態から、上顎の第1番歯T1a、T1aと下顎の第1番歯T1b、T1bが次第に近接すると、上顎の第1番歯T1a、T1aの後方のみに配置された係止部材10が傾斜面101aにより下顎の第1番歯T1b、T1bの先端部を係止する。
そして、図2(b)に示す上顎の歯列と下顎の歯列が咬合された状態において、係止部材10が、下顎の第1番歯T1b、T1bを傾斜面101a上において前斜め上方に向けて摺動させることにより、下顎の第1番歯T1b、T1bを上顎の第1番歯T1a、T1aにおける前後方向の同一位置に自然に誘導する。
このため、使用者が快適に使用しながら、下顎の顎位を適正な位置に矯正することができる。また、継続して使用することにより、適正な位置での咀嚼訓練を行うことができる。さらに、下顎の顎位を適正な位置に矯正すると口腔内の容積が増加するため、鼻が通り易くなり口呼吸を鼻呼吸に導くことができる。なお、この顎位矯正器具1は、使用者が当該器具を装着しない場合であっても、下顎の顎位を適正な位置に保った状態で咬合することができるようになるまで継続して使用される。
よって、使用者の身体のバランスが取り易くなって身体の緊張が解けるとともに身体の姿勢が改善され、延いては肩凝り・首筋の凝り・腰痛・ひざ痛・頭痛・鼻づまり等の症状を改善することが可能となる。
<第2の実施形態>
次に、本考案に係る顎位矯正器具の第2の実施形態について図3を参照しつつ説明する。なお、以下では上記の実施形態と異なる構成についてのみ説明することとし、同一の構成については説明を省略して同一の符号を付すこととする。
本実施形態の固定部材20は、上顎の歯列を全体に亘って覆う態様のマウスピースからなり、上顎の第1番歯T1a、T1aを覆う部分に係止部材10が設けられている。このため、ビーム部201の内側において口蓋を下方に開放するより大きな空間が形成されるため、使用者は空間内で舌をより自由に動かすことができる。
また、固定部材20は、透明な合成樹脂で形成されている。このため、第三者に固定部材20が視認されることを防止することができ、第三者に不快感を与えたり、第三者に矯正の事実を知られることを防止することが可能となる。
なお、上記実施形態では、係止部材10は、傾斜面101aが直線的に傾斜している場合について説明したが、曲線的に傾斜していてもよいし、段階的に傾斜していてもよい。
また、係止部材10は、上顎の前歯の第1番歯T1a、T1aの後方のみに配置される場合について説明したが、上顎の前歯の第1番歯T1a、T1aおよび第2番歯T2a、T2aの後方のみに配置されてもよい。
また、固定部材20は、外嵌部202が、上顎の第5番歯T5aと第6番歯T6aに外嵌される場合について説明したが、第3番歯T3aから第7番歯T7aまでのその他の歯に外嵌されてもよい。
また、固定部材20は、係止部材10を上顎の歯列に外嵌により固定する場合について説明したが、その他の方法により固定されてもよい。
また、固定部材20は、上顎の歯列に2点で固定される場合について説明したが、その他の数の点で上顎の歯列に固定されてもよい。
以上、図面を参照して本考案の実施形態を説明したが、本考案は、図示した実施形態のものに限定されない。図示された実施形態に対して、本考案と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
1…顎位矯正器具
10…係止部材
101…底部
101a…傾斜面
20…固定部材
201…ビーム部
201a…接続部
201b…直線部
202…外嵌部
202a…第1のC字状部
202b…第2のC字状部
T1a…上顎の第1番歯
T2a…上顎の第2番歯
T3a…上顎の第3番歯
T5a…上顎の第5番歯
T6a…上顎の第6番歯
T7a…上顎の第7番歯
T1b…下顎の第1番歯

Claims (5)

  1. 上顎の歯列に配置される係止部材と、該係止部材が設けられ、かつ上顎の歯列に固定される固定部材とを備えた顎位矯正器具であって、
    前記係止部材は、上顎の前歯の後方のみに配置され、上顎の歯列と下顎の歯列が咬合される際に下顎の前歯の先端部を係止することにより、下顎の前歯を上顎の前歯における前後方向の同一位置に誘導することを特徴とする顎位矯正器具。
  2. 前記係止部材は、底部において前斜め上方に傾斜する傾斜面を有し、下顎の前歯を前記傾斜面上において前斜め上方に向けて摺動させる請求項1に記載の顎位矯正器具。
  3. 前記係止部材は、前歯の第1番歯の後方のみに配置される請求項1または請求項2に記載の顎位矯正器具。
  4. 前記固定部材は、前方端部に係止部材が設けられるとともに、後方端部が上顎の第3番歯から第7番歯の歯列に固定される金属片からなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の顎位矯正器具。
  5. 前記固定部材は、上顎の歯列を覆う態様のマウスピースからなる請求項1から請求項3のいずれかに記載の顎位矯正器具。
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