JP3199790U - 予作動式流水検知装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイングチャッキ構造の予作動式流水検知装置において、弁体のロック解除後に弁体が急激に開放することによる機器の損傷を防止可能な予作動式流水検知装置を提供する。【解決手段】中空状の本体1の内部に開閉可能に設置された弁体2がスイングチャッキ構造をしており、弁体2を閉止状態に維持可能なロック機構3と、ロック機構3による弁体2の係止および係止解除を制御するピストン機構4と、弁体2の開放による回動動作を検知して信号を出力可能な弁体開放検知機構とを備えており、弁体2は常時においてロック機構3により閉止状態であり火災感知器の作動によってロック機構3と弁体2との係止を解除するピストン機構4の動作を緩慢にする遅延機構を設置する。【選択図】図1
Description
本考案は、予作動式スプリンクラー設備に設置される予作動式流水検知装置に関するものである。
予作動式流水検知装置は、予作動スプリンクラー設備の配管上に設置されるものであり、一次側が水源と接続され二次側にはスプリンクラーヘッドが設置された配管と接続している。予作動式流水検知装置の弁体は常時閉じられており、該弁体はスプリンクラーヘッドの近傍に設置された火災感知器の作動によって開放される。
予作動式流水検知装置の構造の一例として、内部がスイングチャッキ式のものがある(特許文献1参照)。常時において弁体の端はロック手段により係止されて閉止状態に維持されている。火災時において火災感知器の作動によりロック手段の係止を解除して弁体が開放可能な構成となっている。
また特許文献2では、予作動式流水検知装置の二次側と接続している配管上に設置されたスプリンクラーヘッドの作動により、二次側配管内の水が作動したスプリンクラーヘッドから放出され、二次側配管側の水が減少するので一次側から二次側に水を供給可能な子弁を主弁体に設置した予作動式流水検知装置がある。この予作動式流水検知装置は、子弁の回動動作による変位を検出して信号を出力可能な構成となっている。
上記の特許文献1に記載された予作動式流水検知装置では、一次側圧力が10kg/cm2(1MPa)に対して二次側圧力が1kg/cm2(0.1MPa)と低く設定されているので、火災感知器の作動により弁体のロックが解除されて弁体が開放する際に、弁体が急激に開放動作して弁体や弁体の開放動作の軌跡上に配置されている部材が破損してしまうおそれがある。
そこで本考案では、上記問題に鑑み、スイングチャッキ構造の予作動式流水検知装置において、弁体のロック解除後に弁体が急激に開放することによる予作動式流水検知装置および配管上の構成機器の損傷を防止可能な予作動式流水検知装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本考案は以下の予作動式流水検知装置を提供する。
すなわち、中空状の本体の内部に開閉可能に設置された弁体がスイングチャッキ構造をしており、弁体を閉止状態に維持可能なロック機構と、該ロック機構による弁体の係止および係止解除を制御するピストン機構と、弁体の開放による回動動作を検知して信号を出力可能な弁体開放検知機構とを備えており、弁体は常時においてロック機構により閉止状態であり火災感知器の作動によってロック機構と弁体との係止を解除するピストン機構の動作を緩慢にする遅延機構を設置したことを特徴とする予作動式流水検知装置である。
すなわち、中空状の本体の内部に開閉可能に設置された弁体がスイングチャッキ構造をしており、弁体を閉止状態に維持可能なロック機構と、該ロック機構による弁体の係止および係止解除を制御するピストン機構と、弁体の開放による回動動作を検知して信号を出力可能な弁体開放検知機構とを備えており、弁体は常時においてロック機構により閉止状態であり火災感知器の作動によってロック機構と弁体との係止を解除するピストン機構の動作を緩慢にする遅延機構を設置したことを特徴とする予作動式流水検知装置である。
これによれば、本考案の予作動式流水検知装置のロック機構が解除されたときに、本体内の一次側に充填されている流体の圧力が二次側に充填されている流体の圧力よりも高く、この圧力差によって弁体が急激に回動動作するおそれがある。本考案ではピストン機構の動作が緩慢になることでロック機構の動作も緩慢となり、弁体がロック機構に係止されている間、弁体の開放動作を遅延することができる。弁体がロック機構に係止されている間に弁体の微開状態が維持され一次側から二次側へ水が供給されて、一次側と二次側の圧力差を減少させる。これにより弁体が受ける一次側の圧力による力が減少して、弁体開放時の急激な回動動作を緩和することで、弁体の破損やウォータハンマー現象の発生を防止して予作動式流水検知装置内部の破損や、配管上に設置された機器の破損を防止することができる。
前記本考案については、ピストン機構は筒状のチャンバー、チャンバー内を摺動可能なピストン、ピストンに接続されロック機構を押圧可能なロッドから成り、チャンバーは給水口と排水口を有しており、給水口は流水検知装置の一次側に配置された給水源の水を供給可能とし、排水口には電動弁を接続して構成可能である。これによれば、ピストンの動力源として流水検知装置の一次側に充填された水または、その水の給水源を使用することでチャンバー内のピストンを移動させることができ、別途動力源を設けなくて済む。また電動弁の開閉によりチャンバー内の水の排出・充填をすることでピストンの移動を制御することができる。
前記本考案については、ピストンにピストンの外径よりも僅かに小径である外径を有する流水抵抗部を設置して、該流水抵抗部の近傍に設置した排水口を通ってチャンバー内から排出される水量を減少させることができる。これによれば、流水抵抗部によりチャンバー内の水が排水口から外部へ流れ出る水量を制限し、ピストンの動きを緩慢にすることができる。
前記本考案については、排出口に流量制御が可能な電動弁を設置して構成可能である。これによれば電動弁の流量を制御することでピストンの動作を緩慢にすることができる。例えば、電動弁の流量を最初は少ない流量を維持してチャンバー内から外部に排出される水量を制限し、弁体とロック装置の係合が解除された後は電動弁の流量を多くすることができる。
前記本考案については、ピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態に構成することが可能である。
これによれば、例えば第1段階の動作により弁体の微開状態を維持している間に本体の一次側に充填された流体を二次側に流入させて一次側の圧力と二次側の圧力が略等しくなってから第2段階の動作によって弁体を全開放可能な状態にすることでウォーターハンマー現象の発生を防止して配管上に設置された機器の破損を防止することができる。
これによれば、例えば第1段階の動作により弁体の微開状態を維持している間に本体の一次側に充填された流体を二次側に流入させて一次側の圧力と二次側の圧力が略等しくなってから第2段階の動作によって弁体を全開放可能な状態にすることでウォーターハンマー現象の発生を防止して配管上に設置された機器の破損を防止することができる。
また、上記の第1段階の動作は火災感知器の作動により開始して、第2段階の動作を火災感知器の作動から所定時間が経過した後に動作させることができる。これにより流水検知装置の二次側に接続された二次側配管の容積によって第2段階の動作が開始される時間を任意に設定することができる。あるいは第2段階の動作を流水検知装置の二次側の圧力が所定圧力以上となったときに行うことができる。これ以外に、第2段階の動作を流水検知装置の弁体開放検知機構が弁体の開放を検知した信号の出力によって行うことができる。
前記本考案については、ロッドが接続されたピストンの反対側に、先端がチャンバー外部へ突出した位置検出ロッドを固定接続し、位置検出ロッドの近傍に設置したスイッチ装置のオン・オフ状態により電動弁を開閉制御可能とした。これによれば、位置検出ロッドによりチャンバー内のピストンの位置およびロッドの先端位置が把握可能となり、位置検出ロッドの近傍に設置したスイッチ装置によって電動弁を開閉制御して弁体の微開状態を維持可能とした。
前記本考案については、弁体開放検知機構の一端が弁体と接触して付勢部材により弁体開放方向に付勢されており、弁開時には弁体から離れる方向に変位して、その変位を検知して信号を出力するように構成可能である。
これによれば、弁体の周縁に接触している弁体開放検知機構の破損を防止できる。つまり弁体開放検知機構の一端は弁体の周縁と接触しているので弁体の開放動作の妨げとならず、弁体の開放動作により負荷を受けることがない。また弁体が開放動作する軌跡と弁体開放検知機構の一端が動作する軌跡とが重ならないので、弁体開放検知機構の一端が弁体の回動動作を妨げない。
これによれば、弁体の周縁に接触している弁体開放検知機構の破損を防止できる。つまり弁体開放検知機構の一端は弁体の周縁と接触しているので弁体の開放動作の妨げとならず、弁体の開放動作により負荷を受けることがない。また弁体が開放動作する軌跡と弁体開放検知機構の一端が動作する軌跡とが重ならないので、弁体開放検知機構の一端が弁体の回動動作を妨げない。
前記本考案については、弁体には弁座内部側に延出したスカートを有しており、閉弁状態において弁座内部の流路と突起との間に間隙部が形成されるよう構成することが可能である。
これによれば、火災感知器の作動によってロック機構が解除された後に、本体の二次側に接続されたスプリンクラーヘッドが作動して二次側の流体がスプリンクラーヘッドから放出されて二次側の流体が減圧することにより一次側の流体圧力によって弁体が二次側方向へ押し上げられて開放動作するが、このとき弁体のスカートと弁座内部の流路の間の間隙部によって弁体の開放量が増加される。弁体の開放量が増加すると弁体開放検知機構による弁体の開放検知が容易となり、弁体開放検知機構の構成部品を市販の汎用部材で構成可能となり安価に製造することができる。
これによれば、火災感知器の作動によってロック機構が解除された後に、本体の二次側に接続されたスプリンクラーヘッドが作動して二次側の流体がスプリンクラーヘッドから放出されて二次側の流体が減圧することにより一次側の流体圧力によって弁体が二次側方向へ押し上げられて開放動作するが、このとき弁体のスカートと弁座内部の流路の間の間隙部によって弁体の開放量が増加される。弁体の開放量が増加すると弁体開放検知機構による弁体の開放検知が容易となり、弁体開放検知機構の構成部品を市販の汎用部材で構成可能となり安価に製造することができる。
前記本考案については、ロック機構を弁体の中心に設置して構成可能である。
これによれば、ロック機構に作用するピストン機構の押圧力を弁体の中心に伝えることが可能となり、弁体の中心に力が印加されることで弁体と弁座の間に設置されたシール部材に均等に力が加わり密封性が良好となる。
これによれば、ロック機構に作用するピストン機構の押圧力を弁体の中心に伝えることが可能となり、弁体の中心に力が印加されることで弁体と弁座の間に設置されたシール部材に均等に力が加わり密封性が良好となる。
前記本考案については、停電時にロック機構が解除されるように構成可能である。
これによれば、従来において停電時に火災感知器から予作動式流水検知装置へ信号の受け渡しができなくなった状態で火災が発生すると、火災の熱によりスプリンクラーヘッドが作動しても、予作動式流水検知装置の弁体がロックされているのでスプリンクラーヘッドに水を供給することができずに、火災を延焼させてしまうおそれがあった。本考案の流水検知装置はロック機構が解除された状態において通常の湿式流水検知装置と同じ構成、機能を有するものとなり、停電時に火災が発生した場合はスプリンクラーヘッドの作動によって弁体が開放して一次側から二次側へ水を送ることができる。停電時にロック機構を解除する具体的な構成として、ピストン機構内へ流体を供給・遮断可能な電動弁にスプリングリターン方式のものを用いることで停電時にロック機構が解除されるように構成することができる。
これによれば、従来において停電時に火災感知器から予作動式流水検知装置へ信号の受け渡しができなくなった状態で火災が発生すると、火災の熱によりスプリンクラーヘッドが作動しても、予作動式流水検知装置の弁体がロックされているのでスプリンクラーヘッドに水を供給することができずに、火災を延焼させてしまうおそれがあった。本考案の流水検知装置はロック機構が解除された状態において通常の湿式流水検知装置と同じ構成、機能を有するものとなり、停電時に火災が発生した場合はスプリンクラーヘッドの作動によって弁体が開放して一次側から二次側へ水を送ることができる。停電時にロック機構を解除する具体的な構成として、ピストン機構内へ流体を供給・遮断可能な電動弁にスプリングリターン方式のものを用いることで停電時にロック機構が解除されるように構成することができる。
前記本考案については、本体の二次側に充填される流体を負圧として構成可能である。
これによれば、本考案の流水検知装置はピストン機構の動作を緩慢にすることが可能であり弁体開放時に急激に弁体が開放されることを防止できるので本体の二次側が負圧の場合でもウォーターハンマー現象の発生を防止して配管上に設置された機器の破損を防ぐことができる。
これによれば、本考案の流水検知装置はピストン機構の動作を緩慢にすることが可能であり弁体開放時に急激に弁体が開放されることを防止できるので本体の二次側が負圧の場合でもウォーターハンマー現象の発生を防止して配管上に設置された機器の破損を防ぐことができる。
上記に説明したように本考案によれば、スイングチャッキ構造の予作動式流水検知装置において、弁体の急激な開放動作による予作動式流水検知装置の破損および配管上に設置された機器の破損を防止可能な予作動式流水検知装置を実現することができる。
第1実施形態(図1〜図6)
本考案の予作動式流水検知装置A1は、本体1、弁体2、ロック機構3、ピストン機構4、弁体開放検知機構5から構成される。
本考案の予作動式流水検知装置A1は、本体1、弁体2、ロック機構3、ピストン機構4、弁体開放検知機構5から構成される。
本体1は中空状であり、上下の端には配管と接続するためのフランジ11が形成されている。本体1の内部はスイングチャッキ構造となっており、内部の隔壁12によって一次側Iと二次側IIに仕切られており、隔壁12には穴13が穿設されている。穴13には円筒形状のシートリング14が設置されており、シートリング14の一端側に弁体2が載置され、弁体2が載置される面が弁座15となっている。本体1の二次側IIには、二次側II内の流体を外部に排出するための排水弁16が設置されている。
弁体2は円板形状をしており弁座15の上に回動自在に載置されている。弁体2の回動軸21は二次側IIに設置されており、回動軸21が設置された側と反対の側にロック機構3およびピストン機構4が配置されている。
弁体2において弁座15と接触する面の内側には、シートリング14の内側へ延出したスカート22が形成されている。スカート22は弁体2にボルト22Aによって固定設置されており、スカート22の一次側I方向の端はやや先細りとなるテーパー状に形成されている。スカート22の側面とシートリング14の内側との間には間隙部23が形成される。間隙部23は弁体2の開放量を増加する作用を有している。
具体的に説明すると、二次側IIの末端に接続された後述するスプリンクラーヘッド62の近傍に設置されている火災感知器64が作動するとロック機構3が解除され弁体2が開放可能な状態となる。弁体2は一次側I内の流体圧力と二次側II内の流体圧力が作用しており、ロック機構3が作用している状態では一次側Iの圧力が二次側IIの圧力よりも高く設定してあるので、ロック機構3が解除された直後においては一次側Iの圧力により弁体2が開放して一次側Iの流体が二次側IIへ供給される。
やがて一次側Iの圧力と二次側IIの圧力は同圧となり弁体2は弁座15に着座する。その後に、スプリンクラーヘッド62が火災の熱によって作動すると二次側IIの圧力が減少するので一次側I内の流体圧力によって弁体2は弁座15から離れて開放する。そのとき一次側Iから二次側IIへ供給される水量は作動しているスプリンクラーヘッド62から放水される水量しか通過しないので、スカート22と間隙部23により水が通過できる面積を絞ることで弁体2の開放(回動)量を増加することができる。
弁体2の開放量を増加させたことで、弁体開放検知機構5に用いられるスイッチ装置56は汎用の安価なものを使用することが可能となる。また弁体2の開放量が大きいことにより、弁体開放検出範囲を広く設定することができるので、弁体開放検知性能が安定しており信頼性が高い弁体開放検知機構5を安価に製造することが可能となる。
ロック機構3は弁体2を係止して閉止状態を維持するものであり、「く」の字型をしている。ロック機構3は弁体2の近傍に設置され、ロック状態時にはロック機構3の中間の屈曲部に形成された爪部31が弁体2の周縁と係合している。爪部31が接触している弁体2の周縁は回動軸21から最も離れた位置となっており、これにより小さな力で弁体2の開放を阻止することができる。従って後述するピストン機構4がロック機構3に及ぼす力も小さなもので済みピストン機構4の小型化につながる。
ロック機構3の下端側には回動軸32が設置されており回動自在である。ロック機構の上端側はピストン機構4が作用する。ロック機構3にはトーションバネ33が設置されており、トーションバネ33によりロック機構3は弁体2と離れる方向に付勢されている。トーションバネ33はロック状態が解除された際にロック機構3を弁体2から離して係合状態を解除させる作用を有する。
ピストン機構4はロック機構3のロック状態とロック解除状態を制御するものであり、本体1の外部に設置された円筒型のチャンバー41とチャンバー41の内部を摺動可能なピストン42、ピストン42に設置されたロッド43を有している。
チャンバー41には一次側Iと接続している給水管44が設置されている。給水管44上には逆止弁44Aが設置されており、チャンバー41内の水が一次側Iに流れることを防止している。また、チャンバー41には排水管45が接続されており、排水管45上には電動弁EVが設置されている。給水管44にはオリフィス46が設置されており、チャンバー41内に流入する水量を制限している。
ピストン42にはロッド43が固定設置されている。ロッド43の先端は本体1の内部に突出しておりロック機構3の上端を押圧している。ピストン42はチャンバー41内に水を充填・排出することで図中左右に摺動可能である。ピストン42の動作制御について説明すると、弁体2をロック状態にするときには電動弁EVを閉止して給水管44から一次側Iの水をチャンバー41内に充填させることでピストン42を図中右側に移動させてロック機構3の上端を押圧することで爪部31が弁体2の周縁を押圧して弁体2の閉止状態を維持する。ロック状態を解除するときには電動弁EVを開放してチャンバー41内の水を排水管45を通じて外部に排出する。するとチャンバー41内の水の圧力が低下するのでロック機構3を介して弁体2の周縁に作用する押圧力が低下して、一次側Iの水の圧力によって弁体2は二次側IIの方向に押し上げられ弁体2が開放する。
ピストン42には「遅延機構」として流水抵抗部42Aが固定設置されており、該流水抵抗部42Aは円柱形状をしており外径はピストン42の外径より僅かに小径に形成されている。流水抵抗部42Aの外周近傍にチャンバー41の排水口が設置されており排水口には前述の排水管45が接続されている。チャンバー41内の水は流水抵抗部42Aの外周とチャンバー41の間の僅かな隙間によって排水口へ流出する水量を制限している。つまり、流水抵抗部42Aの外周近傍にチャンバー41の排水口が設置されているので、チャンバー41内の水は前述の隙間を通過した僅かな水量しか排出口から流出させることができない。
チャンバー41内の水を排出してピストン42が図中左側に移動すると、ピストン42に固定設置されている流水抵抗部42Aも左側に移動する。ピストン42と流水抵抗部42Aの間には空間42Bが設けられており、ピストン42が左側に移動して流水抵抗部42Aと排水口が離れると、排水口への流れを妨げるものが無くなりチャンバー41内の水をより多く排出可能となる。この段階で弁体2とロック装置3の係合が解除される。
ピストン42の移動により流水抵抗部42Aと空間42Bが可変オリフィスとして機能し、チャンバー41内の水を排水口から流出する際の水量を変化させることができる。つまり流水抵抗部42Aの外周と排水口が近接しているときには排出口から流出する水量は少なく、流水抵抗部42Aの外周と排水口が離れると排出口から流出する水量を多くすることができる。これにより流水抵抗部42Aの外周と排水口が近接しているときにはピストン42の動きを緩慢にすることができる。
電動弁EVは停電時に開放状態となるものを用いると、停電時に予作動式流水検知装置A1を湿式流水検知装置として機能させることができる。具体的に説明すると、停電時にチャンバー41内の水を排出してロック解除状態とすることで弁体2が開閉可能な状態となり、特開2011−255058号公報や特開2011−152182号公報に記載された湿式流水検知装置と同じ機構・機能を有する。電動弁EVとして例えば停電時にはバネの力により開放状態になるスプリングリターン式の電動弁を用いてもよい。または通電時に閉弁する電磁弁を用いることも可能である。
弁体開放検知機構5は図2および図3に示すように本体1の外部の背面に設置される。ピストン機構4の近傍に弁体開放検知機構5を設置するスペースがあればピストン機構4の近傍に設置することも可能である。弁体開放検知機構5の検知棒51は弁体2の周縁に形成された突出部24の下面と接触している。この検知棒51の突出部24と接触している側の先端は鍔状に形成されたフランジ52となっている。
検知棒51は弁体開放検知機構5内に回動軸53を有しており図3において上下方向に揺動可能である。検知棒51のフランジ52は弁体開放検知機構5内の付勢部材である圧縮バネ54によって弁体2の開放方向つまり図1において上方に付勢されている。従って弁体2が開放動作すると圧縮バネ54の作用により検知棒51のフランジ52は図中上方へ回動動作する。一方、検知棒51の弁体開放検知機構5内部に配置された側の端55も下方へ回動変位する。検知棒51の端55の近傍に配置されたスイッチ装置56は、端55により係止されていたスイッチ押圧片57が開放されスイッチ装置56側に移動する。スイッチ押圧片57は図示しない遅延装置によりゆっくりスイッチ装置56側に移動してスイッチ装置56をオン状態として外部に信号が出力される。遅延装置の作用により検知棒51が回動動作してから数秒〜数十秒経過後にスイッチ装置56がオン状態になる。
回動変位した検知棒51は図3の二点鎖線で示すように、本体1の内部と弁体開放検知機構5の間の貫通穴17の端に係留されており、弁体2が開放した後で閉止状態に戻るときには貫通穴17の端に係留されている検知棒51のフランジ52が弁体2の突出部24と係合するので、弁体2が弁座15に着座する際には検知棒51も元の状態に戻ることができる。尚、弁体開放検知機構5の詳しい内部構造は特開特開2011−152182号公報に記載されているので上記以外の部分の説明は省略する。
上記に説明した流水検知機構5の検知棒51は二次側IIに設置されているが、これに限らず一次側Iに設置することも可能である。この場合、検知棒51の先端をスカート22に接触させて弁体開放方向に付勢させて構成することができる。上記を含む流水検知機構の変形例として国際公開番号WO2010/147112号に記載されているものを本考案に適用することが可能である。
続いて第1実施形態の予作動式流水検知装置A1の動作について説明する。
予作動式流水検知装置A1は予作動式スプリンクラー設備の配管上に設置される。図4に示すように予作動式流水検知装置A1の一次側Iは貯水槽WやポンプPが設置された一次側配管61と接続され、二次側IIは末端にスプリンクラーヘッド62が設置された二次側配管63と接続している。一次側配管61および二次側配管63には貯水槽からポンプPで汲み上げた水が充填されている。ここで、一次側配管61内の水の圧力よりも二次側配管63内の水の圧力は低く設定されている。場合によっては二次側配管63内の水の圧力を負圧とすることも可能である。
予作動式流水検知装置A1は予作動式スプリンクラー設備の配管上に設置される。図4に示すように予作動式流水検知装置A1の一次側Iは貯水槽WやポンプPが設置された一次側配管61と接続され、二次側IIは末端にスプリンクラーヘッド62が設置された二次側配管63と接続している。一次側配管61および二次側配管63には貯水槽からポンプPで汲み上げた水が充填されている。ここで、一次側配管61内の水の圧力よりも二次側配管63内の水の圧力は低く設定されている。場合によっては二次側配管63内の水の圧力を負圧とすることも可能である。
スプリンクラーヘッド62の近傍には火災感知器64が設置されており、火災感知器64は予作動制御盤65と電気的に接続され、予作動制御盤65は電動弁EVと電気的に接続されている。図1に示すように電動弁EVは平時において閉止状態となっており、チャンバー41内には一次側Iから給水管44を通じて水が供給され、ピストン42が図中右側に移動した状態となる。
ピストン42に固定設置されたロッド43の先端はロック機構3を押圧している。図1においてロック機構3は回動軸32を中心に時計回り方向へ押圧されている。それによりロック機構3の中間に形成された爪部31が弁体2の周縁部を押圧して弁体2の開放を阻止している。
火災が発生すると、スプリンクラーヘッド62の近傍に設置された火災感知器64が作動する。火災感知器64の作動信号は予作動制御盤65に出力され、予作動制御盤65は電動弁EVへ開放信号を出力する。電動弁EVが開放するとチャンバー41内の水が流水抵抗部42Aとチャンバー41の内周面の間を通過して排水口から排水管45を通って外部へ流出してチャンバー41内の圧力が低下する。
チャンバー41内の圧力低下によりピストン42をロック機構3側に押圧する力が減少して、ピストン42がロッド43の先端からロック機構3を押圧する力よりも、弁体2の一次側Iから作用する水の圧力による力が上回り、ロック機構3は反時計回りに回動するとともにピストン42は図中左側に移動を始める。チャンバー41内の水は流水抵抗部42Aの外周とチャンバー41の間の僅かな隙間を通過して排水口から排水管45へ流出する。このとき、流水抵抗部42Aによってチャンバー41内の排水が妨げられ、チャンバー41から排水管45には少量しか水が流出しないのでピストン42はゆっくり動作する。
ピストン42の移動によりロッド43の先端は図中左側へ移動する。またロック機構3もトーションバネ33によって回動軸32を中心に回動してロッド43と接触している上端側が図中左へ移動する。一方、弁体2は一次側I内の水の圧力によって二次側IIの方向に押圧されているので、ロック機構3の回動変位により弁体2も回動軸21を支点として爪部31との係合状態を維持しながら僅かに開放する(図5参照)。この僅かな弁体2の開放により一次側Iの水が二次側II内に流入して、二次側II内の圧力が上昇する。
この間にもチャンバー41内の水が少量ずつ排水され続けており、チャンバー41内の水が排出されピストン42が図中左側に移動を続けると、やがてロック機構3の爪部31と弁体2の周縁の係合状態は解除され弁体2が開放する。
弁体2は一次側Iの水の圧力により二次側IIへ押され弁体2が全開放して一次側Iの水が二次側IIへ流入する(図6参照)。やがて一次側Iと二次側IIの水の圧力が略等しくなり、弁体2は自重によって弁座15に着座する。このロック装置3が解除され弁体2が閉止している状態において予作動式流水検知装置A1は一般の湿式流水検知装置と同じ機能・作用を行うことができる。
火災感知器64の作動後にスプリンクラーヘッド62が火災の熱によって作動すると、作動したスプリンクラーヘッド62から二次側配管63内の水が放出されるので二次側配管63および二次側II内の水の圧力は減少する。
二次側IIの水の圧力減少により、弁体2に一次側Iから作用する水の圧力による力が二次側IIから作用する力を上回り、弁体2が開放動作する。このとき一次側Iから二次側IIへ供給される水量は作動しているスプリンクラーヘッド62から放水される水量しか通過しないので、弁体2は閉止位置から5〜10°程度開いた状態となる。
この弁体2の開放による変位量を弁体開放検知機構5が検出して流水信号を出力する。具体的には図3にて二点鎖線で示すように検知棒51を付勢する圧縮バネ54が回動軸53を中心としてフランジ52側の端を図中上方に回動させる。また、スイッチ装置56側の端55を図中下方に回動させる。
ここで検知棒51は弁体2の開放方向と離れる方向に回動する。具体的に説明すると、図2に示すように検知棒51の回動軸53は弁体2の回動軸21から略90°回転させた位置関係となっており、弁体2と検知棒51の回動方向が異なっている。これにより弁体2の開放動作の軌跡と検知棒51の回動動作の軌跡とは交わらないので、弁体2が急激に開放動作した場合に検知棒51が弁体2の動作によって損傷することや過負荷を受けることを防止できる。
スイッチ装置56側の端55の回動によりスイッチ装置56がオン状態となり、管理人室に設置されている受信盤に流水信号を出力して、館内の人々に火災が発生したことを報知することができる。また一方では、ポンプPが連続運転を開始して貯水槽Wから汲み上げた水を作動したスプリンクラーヘッド62から連続的に放出して室内へ散布し、火災を消し止めることができる。
上記に説明した第1実施形態において、「遅延機構」として電動弁EVを流量制御が可能なものを設置するとピストン42の動作を緩慢にすることができる。例えば、電動弁EVの流量を火災感知器64が作動した直後は少ない流量を維持してチャンバー41から外部に排出される水量を制限することでピストン42の動きを緩慢にさせて弁体2とロック装置3の係合状態をある程度の時間維持することができる。弁体2とロック装置3の係合が解除された後は電動弁EVの流量を多くしてチャンバー41内の水を外部に排出することができる。火災感知器64が作動した直後の電動弁EVの流量は二次側配管63の容積にあわせて調節可能である。
第2実施形態(図7〜図9)
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態はピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態に構成したものである。より具体的にはピストンの動作をスイッチ装置によって検出して電動弁の開閉制御を行うことでピストンの移動を制御可能にしたものである。
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第2実施形態はピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態に構成したものである。より具体的にはピストンの動作をスイッチ装置によって検出して電動弁の開閉制御を行うことでピストンの移動を制御可能にしたものである。
図7に示す予作動式流水検知装置A2は、ピストン42からチャンバー41の外部に突出して設けられた位置検出ロッド48が設けられている。位置検出ロッド48はピストン42に固定設置されており、ピストン42と一緒に移動する。位置検出ロッド48の先端には段部49が形成されており、段部49の近傍にはリミットスイッチS1が設置されている。リミットスイッチS1、電動弁EV、火災感知器64は予作動制御盤65と電気的に接続されており、リミットスイッチS1と火災感知器64の状態により電動弁EVの開閉制御が可能となっている。
位置検出ロッド48によりチャンバー41内のピストン42の位置およびロッド43の先端位置が把握可能となり、位置検出ロッド48の近傍に設置したリミットスイッチS1によって電動弁EVを制御して弁体2の微開状態を維持することができる。
図7に示す平時において、リミットスイッチS1は段部49とは接触しておらず、オフ状態となっている。火災が発生して火災感知器64が作動すると火災感知器64の信号は予作動制御盤65に入力され、予作動制御盤65から電動弁EVに開放信号が送られる。
電動弁EVが開放すると、排水管45からチャンバー41内の水が排出される。これによりピストン42が図中左側へ移動する。ピストン42に固定設置された位置検出ロッド48も同様に左側に移動し、位置検出ロッド48の先端の段部49が移動する。段部49の移動によりリミットスイッチS1はオン状態となる。このとき、ロック機構3の爪部31は弁体2と係合した状態にある(図8参照)。
リミットスイッチS1の信号を受けた予作動制御盤65は電動弁EVに閉止信号を送り、電動弁EVが閉止する。電動弁EVの閉止によりチャンバー41内には水が充填され、ピストン42は図中右に移動する。ロック機構3により弁体2は弁座に着座する方向に回動する。ピストン42の右方向への移動により、リミットスイッチS1が再びオフ状態となる。リミットスイッチS1の信号を受けた予作動制御盤65は電動弁EVに開放信号を送り、電動弁EVが開放して、ピストン42は図中左へ移動する。
上記の動作を火災感知器64の作動信号を受けてから所定時間繰り返した後に、リミットスイッチS1の状態にかかわらず予作動制御盤65から電動弁EVを開放する信号を出力する。これにより図9のようにピストン42はチャンバー41の左端へ移動し、ロック機構3と弁体2の係合が解除されて弁体2が開放する。
上記においては、火災感知器64の作動信号を受けてから所定時間経過後に弁体2とロック機構3の係合を解除したが、これに限らず、火災感知器64の作動信号を受けてから二次側配管63内の圧力値が所定値以上となった場合に弁体2とロック機構3の係合を解除することも可能である。あるいは、弁体開放検知機構5のスイッチ装置56がオン状態となり信号を出力した際に弁体2とロック機構3の係合を解除することもできる。
第3実施形態(図10〜図12)
次に第3実施形態の予作動式流水検知装置A3について説明する。第3実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第3実施形態はピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態に構成したものであり、より具体的にはピストンと、ピストン近傍に設置したディスクの動作によりピストン機構の動作を2段階で行うものである。
次に第3実施形態の予作動式流水検知装置A3について説明する。第3実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第3実施形態はピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態に構成したものであり、より具体的にはピストンと、ピストン近傍に設置したディスクの動作によりピストン機構の動作を2段階で行うものである。
第3実施形態においてピストン機構の構成以外は第1実施形態と構成が同じである。第3実施形態のピストン機構7は本体1の外部に設置された円筒型のチャンバー71を有しており、チャンバー71の内部には段71Aが形成され、この段71Aを境にチャンバー71のロック機構3側を大径部とし、反対側を小径部とする。ピストン42は小径部側に配置され、大径部内にはロッド43が通過可能な穴を有するディスク72が配置されている。ディスク72の外径寸法はチャンバー71の大径部の内径より僅かに小さく、ディスク72は大径部内を摺動可能である。
チャンバー71には給水管73A、73Bおよび排水管74A、74Bが接続されており、それによりチャンバー71内へ一次側Iの水を供給・遮断することができる。排水管73A、74Aは排水管45Aに接続されている。チャンバー71内に配置されたピストン42とディスク72は、一次側Iの水の供給・遮断によりチャンバー71内を移動させることができる。
給水管73Aと排水管74Aはチャンバー71の大径部側に接続されている。給水管73Aには電動弁V1が接続されており、チャンバー71の大径部側へ一次側Iの水を給水・遮断することでディスク72の移動を制御することができる。排水管74Aには逆止弁75が設置されており、排水管74Aからチャンバー71の大径部内への流体の流入を阻止している。
同様に給水管73Bと排水管74Bはチャンバー71の小径部側に接続されている。排水管74Bは前述のとおり排水管45に接続されており、排水管45には電動弁V2が接続されており、電動弁V2を開放すると排水管73B、74Bを通じてチャンバー71内の流体を排水管45から外部へ排出することがができる。また、排水管45と74A、74Bの合流点付近にはエアチャンバー76が設置されている。
電動弁V1、V2は第1実施形態の電動弁EVと同様なものを使用することができ、火災感知器64とは予作動制御盤65を介して電気的に接続されている。
ここで、火災時におけるピストン42とディスク71の動作について説明する。尚、予作動式流水検知装置A2は、図4に示す第1実施形態の予作動式流水検知装置A1と同様の配管系統に接続した状態として説明する。
平時において予作動式流水検知装置A2は図7に示すように、弁体2はロック機構3により開放を阻止されたロック状態となっている。チャンバー71の小径部側には一次側Iの水が充填されており、電動弁V1、V2が閉止状態にある。ピストン42に固定接続されたロッド43の先端はロック機構3を押圧しており、これ以上ピストン42はディスク72側(チャンバー71の大径部側)に移動できない状態にある。
火災が発生して火災感知器64が作動すると、火災感知器64の信号が予作動制御盤65に出力され、予作動制御盤65から電動弁V1の開放信号が出力される。開放信号により電動弁V1は開放され、チャンバー71の大径部内に一次側Iの水が供給される。
すると、ディスク72には一次側Iから供給された水の圧力が加わる。ディスク72の外径はピストン42の外径より大きいので、ディスク72に作用する一次側Iの水の圧力による力がピストン42に作用する一次側Iの水の圧力による力を上回り、ディスク72がピストン42側(小径部側)に移動してチャンバー71内の段71Aに係止される。このときディスク72の移動により排水管74Bが接続されている側のチャンバー71内の水の一部がエアチャンバー76内に流れ込む。
ピストン42の移動によって、ロック機構3はトーションバネ33の作用によって反時計回りに回動する。これにより弁体2は僅かに開放するので一次側Iの水が二次側II内に流入して、二次側II内の圧力が上昇する。火災感知器64が作動してディスク72が移動することにより弁体2が僅かに開放した微開状態に保持する動作が第1段階の動作である(図8参照)。
これにより、一次側Iと二次側IIの水の圧力差を緩和して弁体2が一次側Iの水の圧力から受ける開放側への力を小さくし、弁体2が急激に開放することを防止できる。
第1段階の状態から所定時間維持した後、または二次側IIの水の圧力値が所定値以上となるまで維持した後に、第2段階の動作により弁体2を全開放可能にするために電動弁V2を開放する。
電動弁V2の開放によりチャンバー71に充填されている水が排水管45を通り外部に排出される。弁体2は一次側Iの水の圧力により二次側IIの方向へ力を受けており、ピストン42はロッド43とロック機構3を介して弁体2によって押圧され、ディスク72から離れる方向に移動する。
ピストン42の移動により、ロック機構3と弁体2のロック状態は解除され、弁体2が開閉可能な状態となる(図9参照)。このとき一次側Iの水の圧力と二次側IIの水の圧力との間に圧力差がある場合、弁体2が開放動作して一次側Iから二次側IIへ水が供給される。この後に一次側Iと二次側IIの水の圧力が等しくなると弁体2は自重によって弁座15に着座する。このロック装置3が解除され弁体2が閉止している状態において予作動式流水検知装置A2は一般の湿式流水検知装置と同じ機能・作用を行うことができる。
これより後のスプリンクラーヘッド62が作動した場合の動作は第1実施形態と同様である。
第4実施形態(図13〜図15)
次に第4実施形態の予作動式流水検知装置A4について説明する。第4実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第4実施形態はロック機構を弁体上に設置したものである。
次に第4実施形態の予作動式流水検知装置A4について説明する。第4実施形態では第1実施形態と構成が同じ箇所には同符号を付して詳細な説明は省略する。第4実施形態はロック機構を弁体上に設置したものである。
図13〜図15に示す第4実施形態において、本体1、弁体2、弁体開放検知機構5は第1実施形態と同様な構成である。ロック機構3は弁体2の中心に設置されており、ピストン機構4は弁体2の回動軸21側に配置されている。
ロック機構3は棒状であり、弁体2の中心に固定設置されている。弁体2の中心と、ロック機構3の中心軸が同軸となるように配置されており、さらに端面が弁座15であり筒状をしたシートリング14の中心軸とロック機構3の中心軸が同軸となるように設置されている。これによりロッド43の押圧力がロック機構3を介して弁体2の中心に伝わり、弁体2の弁座15との当接面に均等に押圧力が加わるので弁体2と弁座15の間に設置されたOリング25の潰し量が均一になり密封性がよくなる。
ロック機構3の側面側からピストン機構4のロッド43の先端が作用している。ピストン機構4は弁体2の回動軸21側に配置されており、これにより弁体2が開放状態のときにもロック機構3をロッド43により押圧して弁体2を開放状態から閉止状態にすることができ、弁体2の開閉制御が可能となる。
ピストン機構4には、チャンバー41内に圧縮バネBを設置することができる。圧縮バネBはチャンバー41の本体1側の壁面とピストン42の間に設置されており、弁体2が閉止した状態においてばピストン42により押圧され、圧縮された状態となっている(図13、図14に「圧縮バネB」は図示せず)。チャンバー41内の水が排出されると圧縮バネBはピストン42を図中右側へ付勢して弁体2の閉止状態の解除を促す作用を有している。これにより一次側Iと二次側IIの圧力差が少ない場合に、弁体2の開放を促すことができる。
ピストン機構4の遅延機構として、電動弁EVを流量制御が可能なものを設置する。これにより火災感知器64が作動した直後は電動弁EVの流量を、オリフィス46を通過してチャンバー41内に供給される水量より僅かに多い流量とし、チャンバー41内の水の排出量を少なくしてピストン42の動作を緩慢にして、弁体2の開放量を少なくする。そして火災感知器64の作動から所定時間が経過した後に電動弁EVの流量を増加させ、チャンバー41内への供給量よりも排出量を多くしてピストン42を図中右側へ移動させ、弁体2を全開放可能な状態とすることができる。
上記においては、火災感知器64の作動信号を受けてから所定時間経過後にチャンバー41内の水の排出量を増加させたが、これに限らず、火災感知器64の作動信号を受けてから二次側配管63内の圧力値が所定値以上となった場合にチャンバー41内の水の排出量を増加することも可能である。あるいは、弁体開放検知機構5のスイッチ装置56がオン状態となり信号を出力した際にチャンバー41内の水の排出量を増加することもできる。
弁体2を全開放可能な状態とした後に、電動弁EVを閉止するとチャンバー41内に一次側Iの水が充填され、ピストン42が図中左側へ移動してロッド43が棒状のロック機構3を押圧して弁体2を閉止状態に戻すことができる。
本考案の予作動式流水検知装置は、上記では二次側配管に水が充填されている湿式予作動スプリンクラー設備に設置した実施形態を説明したが、これに限らず二次側配管内の水を真空引きして負圧に維持した負圧予作動スプリンクラー設備に設置することも可能である。さらに、二次側配管に空気や不燃ガスを充填した乾式予作動スプリンクラー設備に設置することも可能である。
これらの予作動式スプリンクラー設備に本考案の予作動式流水検知装置を設置することで、火災感知器が作動して弁体のロック状態が解除された際に、弁体の開放動作を緩慢または段階的に開放させることで弁体が急激に開放動作することを防止できる。これにより流水検知装置に配備されている弁体開放検知機構の破損や配管上に配置されている機器の破損を防止することができる。
A1 第1実施形態の予作動式流水検知装置
A2 第2実施形態の予作動式流水検知装置
A3 第3実施形態の予作動式流水検知装置
A4 第4実施形態の予作動式流水検知装置
1 本体
2 弁体
3 ロック機構
4 ピストン機構
5 弁体開放検知機構
11 フランジ
12 隔壁
14 シートリング
15 弁座
16 排水弁
21 弁体の回動軸
22 スカート部
23 間隙部
24 突出部
31 爪部
32 ロック機構の回動軸
33 トーションバネ
41、71 チャンバー
42 ピストン
42A 流水抵抗部
43 ロッド
44、73A、73B 給水管
45、74A、74B 排水管
46 オリフィス
48 位置検出ロッド
49 段部
51 検知棒
52 フランジ
53 検知棒の回動軸
54 バネ
56 スイッチ装置
57 スイッチ押圧片
61 一次側配管
62 スプリンクラーヘッド
63 二次側配管
64 火災感知器
65 予作動制御盤
72 ディスク
EV、V1、V2 電動弁
A2 第2実施形態の予作動式流水検知装置
A3 第3実施形態の予作動式流水検知装置
A4 第4実施形態の予作動式流水検知装置
1 本体
2 弁体
3 ロック機構
4 ピストン機構
5 弁体開放検知機構
11 フランジ
12 隔壁
14 シートリング
15 弁座
16 排水弁
21 弁体の回動軸
22 スカート部
23 間隙部
24 突出部
31 爪部
32 ロック機構の回動軸
33 トーションバネ
41、71 チャンバー
42 ピストン
42A 流水抵抗部
43 ロッド
44、73A、73B 給水管
45、74A、74B 排水管
46 オリフィス
48 位置検出ロッド
49 段部
51 検知棒
52 フランジ
53 検知棒の回動軸
54 バネ
56 スイッチ装置
57 スイッチ押圧片
61 一次側配管
62 スプリンクラーヘッド
63 二次側配管
64 火災感知器
65 予作動制御盤
72 ディスク
EV、V1、V2 電動弁
Claims (16)
- 中空状の本体の内部に開閉可能に設置された弁体がスイングチャッキ構造をしており、弁体を閉止状態に維持可能なロック機構と、該ロック機構による弁体の係止および係止解除を制御するピストン機構と、弁体の開放による回動動作を検知して信号を出力可能な弁体開放検知機構とを備えており、
弁体は常時においてロック機構により閉止状態であり火災感知器の作動によってロック機構と弁体との係止を解除するピストン機構の動作を緩慢にする遅延機構を設置したことを特徴とする予作動式流水検知装置。 - ピストン機構は筒状のチャンバー、チャンバー内を摺動可能なピストン、ピストンに接続されロック機構を押圧可能なロッドから成り、チャンバーは給水口と排水口を有しており、給水口は流水検知装置の一次側に配置された給水源の水を供給可能とし、排水口には電動弁が接続されている請求項1記載の予作動式流水検知装置。
- ピストンにピストンの外径よりも僅かに小径である外径を有する流水抵抗部を設置して、該流水抵抗部の近傍に設置した排水口を通ってチャンバー内から排出される水量を減少させた請求項1または請求項2記載の予作動式流水検知装置。
- 排出口に流量制御が可能な電動弁を設置した請求項1〜請求項3の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- ピストン機構の動作を2段階で行い、第1段階の動作で弁体を微開状態に保ち、第2段階の動作で弁体を全開放可能な状態にする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 第1段階の動作は火災感知器の作動により行われる請求項5記載の予作動式流水検知装置。
- 第2段階の動作は火災感知器が作動してから所定の時間を経過後に行われる請求項5または請求項6記載の予作動式流水検知装置。
- 第2段階の動作は流水検知装置の二次側の圧力が所定圧力値以上になったときに行われる請求項5または請求項6記載の予作動式流水検知装置。
- 第2段階の動作は弁体開放検知機構が弁体の開放を検知した信号の出力によって行われる請求項5または請求項6記載の予作動式流水検知装置。
- ロッドが接続されたピストンの反対側に、先端がチャンバー外部へ突出した位置検出ロッドを固定接続し、位置検出ロッドの近傍に設置したスイッチ装置のオン・オフ状態により電動弁を開閉制御可能とする請求項1〜請求項9の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 弁体開放検知機構の一端が弁体と接触して付勢部材により弁体開放方向に付勢されており、弁開時には弁体から離れる方向に変位して、その変位を検知して信号を出力する請求項1〜請求項10の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 弁体には弁座内部側に延出したスカートを有しており、閉弁状態において弁座内部の流路とスカートとの間に間隙部が形成されている請求項1〜請求項11の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 弁体開放検知機構の一端は弁体が開放した際には弁体と離れる方向に変位する請求項1〜請求項12の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- ロック機構が弁体の中心に設置される請求項1〜13の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 停電時にロック機構が解除される請求項1〜請求項14の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
- 本体の二次側に充填される流体を負圧とした請求項1〜請求項15の何れか1項記載の予作動式流水検知装置。
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