JP3199147U - 断熱屋根構造 - Google Patents

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哲夫 野田
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Abstract

【課題】断熱性能をより一層向上させた断熱屋根構造を提供する。【解決手段】母屋材に固着要素で固着された波板スレート2上に、突出部4aと凹部4bを適宜ピッチで連続して形成したカバールーフ4を、波板スレートの上方膨出部分に突出部の下面を合わせてカバールーフを重合し、波板スレートを通して、母屋材に固着要素で固着し、波板スレートをカバールーフの間に空気保留部6を形成してあることとし、波板スレートは繊維強化セメント板で成形され、隣接の重合は半山重ねまたは一山半重ねとしてあることとする。【選択図】図1

Description

本考案は断熱屋根構造、主として倉庫等の非住宅建造物における断熱屋根構造に関する。
従来、倉庫等の非住宅建造物の屋根は繊維強化セメント板による波板スレート(厚さ6.3mm)を用いた単体構造が一般的で、雨露の防除を優先した簡易なものとなっている。また、近時は鋼板それもガルバリウム鋼板(厚さ0.5mm以上)が使用され、これが主流ともなっている。
しかしながら、この従来の波板スレートや鋼板製の屋根の単体での断熱性はその効果を期待できるものではなかった。即ち、気温21℃でレフランプ100Whによる40分放熱試験によると、屋根の裏面温度は波板スレート単体の場合、64.5℃、鋼板(ガルバリウム鋼板)単体の場合でも48.5℃ともなってしまう。
出願人は、本願考案について、先行する技術文献を調査したが、格別に本願考案と関連し、類似すると思われる文献は発見できなかった。
本願考案が解決しようとする問題点は、従来の波板スレートや鋼板製の単体屋根の構造では断熱性が非常に悪いものとなっており、建造物内の温度も著しく高温となってしまっていたという点である。
上記した問題点を解決するために、本考案に係る断熱屋根構造は、母材C鋼材に固着要素で固着された波板スレート上に、突出部と凹部を適宜ピッチで連続して形成したカバールーフを、波板スレートの上方膨出部分に前記突出部の下面を合わせてカバールーフを重合し、前記波板スレートを通して、母材C鋼材に固着要素で固着し、波板スレートをカバールーフの間に空気保留部を形成してあることを特徴としている。
また、本考案に係る断熱屋根構造は、前記した波板スレートは繊維強化セメント板で成形され、隣接の重合は半山重ねまたは一山半重ねとしてあることを特徴とし、前記したカバールーフの山間ピッチの横サイズは波板スレートの山間ピッチの横サイズと同値としてあることを特徴としている。
さらに、本考案に係る断熱屋根構造は、前記した波板スレートとカバールーフは、少なくともその一方の裏面に断熱材を備えていることを特徴とし、前記した断熱材は、波板スレートにあってはウレタンの貼設とし、カバールーフの場合はポリエチレンフォームあるいは硬質ポリウレタンの貼設としてあることを特徴としている。そして、前記した波板スレートとカバールーフは、基材どうしの重合による空気保留部形成による複合断熱性が基本であり、より一層の断熱性を向上するため、その一方の裏面に各種断熱材を備えることによって高度な断熱性能が実現されることを特徴としている。
本考案に係る断熱屋根構造は上記のように構成されている。そのため、波板スレートを鋼板の二重構造とすることで、その各屋根板材間に空気保留部が形成され、この空気保留部(空気層)によって断熱効果が得られ、加えて、その空気保留部における空気の流れ(通気)によっても、この断熱性はさらに向上する。
また、各屋根板材あるいは一方に断熱材を付加することで、この断熱性は一層顕著となり、多様な断熱の需要に対応することが可能なものとなる。
本考案を実施した断熱屋根構造を示す正面図(半山重ね)である。 カバールーフを示す正面図である。 本考案を実施した別の断熱屋根構造を示す正面図(一山半重ね)である。 断熱材を設けたカバールーフを示す正面図である。 断熱材を設けた波板スレートを示す正面図である。 屋根材の時間経過による裏面温度を示すグラフである。
図面として示し、実施例で説明したように構成したことで実現した。
次に、本考案の好ましい実施例を図面を参照して説明する。図中1は母屋材としてのC形鋼を示している。また、図中2、2‥は繊維強化セメント板による波板スレートであり、この波板スレート2、2‥は横方向の山間ピッチが130mm、厚さが6.3mmで横方向に弧状とした凹凸が所定ピッチで連続している。そして、この波板スレート2は連続する波の凸部分の二つ置きに上方からフックボルト3、3‥、あるいはビスによってC形鋼1に固着されている。
また、この波板スレート2、2‥の横方向における連敷は、端部を半山重ね(図1参照)、あるいは一山半重ね(標準工法、図3参照)とする。この重合連敷状態はどちらの方式によっても本考案の効果は同等となり、自在に選択することができる。
一方、4はカバールーフを示しており、このカバールーフ4は建築外装材として流通している塗装亜鉛系めっき鋼板及び亜鉛系めっき鋼板で不燃材料として認定されている鋼板である(参考JIS番号;JISG3302、JISG3312、JISG3314、JISG3317、JISG3318、JISG3321、JISG3322、JISG3323)。このカバールーフ4は横方向の山間ピッチが130mmとされ、全体で650mmとなり前記した波板スレート2そのものの上にカバーして一体的に仕上げられるように簡易性を図っている。即ち、波板スレート2の凸部上にカバールーフ4の凸部の下部が適合される。また、厚さは0.4mm、0.5mm、0.6mmか、それ以上とされている。
このカバールーフ4は、頂面を平坦とし、両面側をテーパ状とした突部4aとその突部4a、4a間の凹部4bが連続して形成されているもので、前記したように突部(山)4a、4a間のピッチ寸法は波板スレート2の凸部(山)間ピッチと合せた同一寸法となり、このカバールーフ4の突部4aの下面拡開部分が波板スレート2の凸部上に適応し、カバースレート4の凹部4bが波板スレート2の凸部間の凹部上面と対応する。
このカバールーフ4は横方向にあって両端縁が突部4aの外側となる側面が途中でカットされたものと、凹部4bから突部4aへ連続する傾斜面が途中でカットされたものとがあり、そのカットされた部分を相互に接続することで横方向に連続するカバールーフ4の全体が形成される。
また、このカバールーフ4は前記したフックボルト3、3‥が波板スレート2に押し付けられた部位を外して、突部4aの頂面から専用ビス(六角ステンキャップビス)5、5‥により、波板スレート2の凸部を貫通してC形鋼1へ固着される。
かかる波板スレート2とカバールーフ4との重合によって、波板スレート2とカバールーフ4との間には空気保留部(空気層)6が形成される。この空気保留部6の存在によって、一次的機能として、この空気保留部6自体による断熱性が向上され、二次的機能として、この空気保留部6における通風換気による空気の対流によって一層の断熱性向上が図られる。
さらに、波板スレート2やカバールーフ4の裏面に断熱材を貼装することで、この断熱効果はさらに増大される。図4として示すのはカバールーフ4の裏面に断熱材7を一面に貼装した状態であり、この場合の断熱材7としては、ポリエチレンフォームもしくは硬質ポリウレタンが使用される。
図5として示すのは波板スレート2の裏面一面に断熱材8、この場合はウレタンを貼装した状態である。この断熱材7を貼装したカバールーフ4と断熱材8を貼装した波板スレート2は、両者とも断熱材を貼装してもよいが、いずれか一方のみでも断熱効果を増大させることができる。
ここで、波板スレート(表1やグラフでは大波スレート)、カバールーフ(表1やグラフではガルバリウム生地)の各々単体と両者の重合した二重屋根構造(本考案の断熱屋根構造)での温度上昇方式試験結果を表1及び図6のグラフとして示す。この表1や図6のグラフから明確なように、本願に係る断熱屋根構造では温度上昇が外気よりわずか3.9度にとどまり、各々の単体と比べ大きな断熱効果があることが解る。
Figure 0003199147
この試験は熱源から110mm離した位置に屋根材を設置し、その屋根材の裏面にサーミスタを設置して5分毎に屋根材の裏面温度を測定し記録した。
本考案の実施例は上記のように構成されている。この断熱屋根構造は倉庫等の非住宅建造物を対象とはしているが、一般住宅にも勿論使用可能であり、既設の波板スレート屋根にカバールーフを重合させることも、新規に波板スレートとカバールーフをセット商品とし、新設させることも可能である。加えて、カバールーフの素材を実施例中に記載したものの他、グラス繊維強化プラスチック(FRP)、ポリカーボネートとすることもできる。
1 C形鋼
2 波板スレート
3 フックボルト
4 カバールーフ
4a 突部
4b 凹部
5 専用ビス
6 空気保留部
7,8 断熱材
上記した問題点を解決するために、本考案に係る断熱屋根構造は、母屋材に固着要素で固着された波板スレート上に、突出部と凹部を適宜ピッチで連続して形成したカバールーフを、波板スレートの上方膨出部分に前記突出部の下面を合わせてカバールーフを重合し、前記波板スレートを通して、母屋材に固着要素で固着し、波板スレートをカバールーフの間に空気保留部を形成してあることを特徴としている。

Claims (5)

  1. 母材C鋼材に固着要素で固着された波板スレート上に、突出部と凹部を適宜ピッチで連続して形成したカバールーフを、波板スレートの上方膨出部分に前記突出部の下面を合わせてカバールーフを重合し、前記波板スレートを通して、母材C鋼材に固着要素で固着し、波板スレートをカバールーフの間に空気保留部を形成してあることを特徴とする断熱屋根構造。
  2. 前記した波板スレートは繊維強化セメント板で成形され、隣接の重合は半山重ねまたは一山半重ねとしてあることを特徴とする請求項1に記載の断熱屋根構造。
  3. 前記したカバールーフの山間ピッチの横サイズは波板スレートの山間ピッチの横サイズと同値としてあることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱屋根構造。
  4. 前記した波板スレートとカバールーフは、少なくともその一方の裏面に断熱材を備えていることを特徴とする請求項1から3のうち1項に記載の断熱屋根構造。
  5. 前記した断熱材は、波板スレートにあってはウレタンの貼設とし、カバールーフの場合はポリエチレンフォームあるいは硬質ポリウレタンの貼設としてあることを特徴とする請求項4に記載の断熱屋根構造。
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