JP3199130U - 錠剤成形用臼 - Google Patents

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Abstract

【課題】錠剤成形に際して十分な滑らかさと強度及び耐久性を備え、腐食や錆も発生しない錠剤成形用臼を提供する。【解決手段】不定形な原料材料の集合体を、所定形状に成形して錠剤を形成する臼であって、酸化ジルコニウムを主成分としたジルコニア系セラミックスの粉体を成形して焼成した焼結体から成る。粉体の平均粒子径が0.04〜0.09μmであり、焼成後の焼結体の粒子径が0.2μm以上0.3μm未満に形成されている。粉体は、酸化イットリウムを4.0〜20.0質量%含む。粉体の成形体の焼成温度は、1300〜1400℃である。【選択図】図1

Description

この考案は、薬剤や健康食品等の錠剤を成形する臼であって、セラミックスにより形成された錠剤成形用臼に関する。
従来、粉末や粉体等の原料材料を圧縮して、医薬や健康食品等の錠剤を成形するには、一般に金属製の臼及び同様の材料の上下の杵を装着した打錠機を用いて生産していた。この臼は、成形する錠剤形状に応じた孔部が貫通して形成され、孔部の下方より下杵の先端の成形部を挿入し、原料材料を充填した後、上方より上杵を降下させて、上下杵先端で原料材料を圧縮成形した後、臼から錠剤を押し出して成形していた。この錠剤成形において、上杵は高速で上下動を繰り返し圧縮時には大きな荷重が付加されるので、臼及び杵の材料には、荷重に耐えうる金属材料を用いる必要があり、従来、炭素工具鋼が用いられていた。
しかしながら、錠剤の原料材料に表面活性剤や塩分等を含んでいると、金属製の臼の表面に腐食や錆が発生する場合があった。さらに、生産する錠剤を変更する際は、変更前の原料材料が混入しないように臼及び杵の表面を洗浄する必要がある。この場合、臼や杵の表面粗さによっては、表面に付着した原料材料がきれいに落ちない場合があった。
また、表面性状を滑らかにするためにメッキを形成しても、表面に生じる微細なピンホールから腐食が生じる場合があり、メッキ層の微小片等が剥離して錠剤に混入するおそれもあった。
そこで、特許文献1に開示されているように、錠剤成形に際して腐食や錆を発生しないセラミックス製の臼も提案されている。このセラミック臼は、ジルコニア系セラミックスで形成され、構成する粒子の平均粒子径が、0.3μm以上0.7μm以下の範囲に形成されている。さらに、表面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で0.03μm以上0.07μm以下の範囲にすることが好ましいとされている。
特開2003−10999号公報
上記特許文献1に開示されたセラミック臼の場合、平均粒子径が、0.3μm以上0.7μm以下であり、所望のセラミック臼に必要十分に微細な粒子ではなく、この条件では実際には焼成後の製品の表面粗さを0.03μm以上0.07μm以下の範囲にすることができず、耐久性も従来の金属製の臼と比較して劣るものであった。従って、特許文献1に示されたセラミック臼は、十分な強度及び耐久性が得られず、表面粗さも所望の値が得られず、実用化されるには至らなかったものであった。
この考案は、上記背景技術に鑑みてなされたもので、錠剤成形に際して十分な滑らかさと強度及び耐久性を備え、腐食や錆も発生しない錠剤成形用臼を提供することを目的とする。
この考案は、不定形な原料材料の集合体を、所定形状に成形して錠剤を形成する臼であって、酸化ジルコニウムを主成分としたジルコニア系セラミックスの粉体を成形して焼成した焼結体から成り、前記粉体の平均粒子径が0.04〜0.09μmであり、焼成後の焼結体の粒子径が0.2μm以上0.3μm未満に形成されている錠剤成形用臼である。
前記粉体は、酸化イットリウムを4.0〜20.0質量%含むものである。また、錠剤を成形する成形孔部の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.03〜0.10μmである。
前記酸化ジルコニウムを主成分としたジルコニア系セラミックスの粉体の成形体の焼成温度は、1300〜1400℃である。
前記粉体は、酸化イットリウムを5.2±0.5質量%含み、酸化アルミニウムが0.4質量%以下、二酸化ケイ素が0.02質量%以下の材料であると良い。さらに、成形する錠剤の情報を記録したレーザマーキングによる刻印を表面に有すると良いものである。
この考案の錠剤成形用臼は、耐久性が高く、長期間の使用にも耐え、成形する錠剤の成分による腐食や変質がなく、洗浄も容易なものであり、信頼性及び安全性の高い錠剤成形用臼を形成することができる。さらに、錠剤成形用臼を、コストをかけずに容易に形成することができるものである。
また、生産する錠剤の種類等を変更する品種切替時においても、セラミック臼や成形孔部の表面が平滑なので、周囲に原料材料の付着が少なく、洗浄も容易なため、品種切替の手間も大幅に削減される。さらに、洗浄に対しても腐食や錆のおそれがないため、セラミック臼の管理等も容易に行うことができる。また、表面にレーザマーキング等による刻印を設けることにより、成形する錠剤や薬剤の情報を確実に管理することができ、安全性の高い錠剤成形用臼を提供することができる。
この考案の一実施形態のセラミック臼の平面図(a)、縦断面図(b)である。 この実施形態のセラミック臼を取り付けた打錠機の縦断面図である。 この考案の一実施例のセラミック臼と従来の炭素工具鋼製の臼の、使用前と所定の打錠回数後の表面粗さを測定したグラフである。縦断面図である。
以下、この考案の実施の形態について説明する。図1は、この考案の一実施形態のセラミック臼10を示す。セラミック臼10は、円筒状に形成され、中心部に錠剤の成形を行う空間である成形孔部12が貫通して同心円状に形成されている。セラミック臼10の成形孔部12の上下の開口縁部には、テーパ面14が形成され、後述する杵24,25の挿入を容易にしている。また、セラミック臼10の外周面の中央部には、取付用の凹部16が全周に亘り同心状に形成されている。
このセラミック臼10は、図2に示すように、打錠機20の定盤部22に埋設され、凹部16に固定部材18が当接して固定されている。打錠機20には、上下に棒状の杵24,25が対向して設けられ、上側の杵24は打錠機20の上杵挿通部26に保持され、下側の杵25は、打錠機20の下杵挿通部28に挿通されている。各杵24,25は、図示しない駆動装置により、打錠時に上下動可能に設けられている。
セラミック臼10は、全体がジルコニア系セラミックスで形成されており、全体の寸法は所要の剛性を確保できるように、例えば上下面の外径を約30mm、高さを約22mmに設定されている。ジルコニア系セラミックスは、酸化ジルコニウム(ZrO2)を主成分とし、酸化イットリウム(Y2O3)を4.0〜20.0質量%、好ましくは5.2±0.5質量%含み、酸化アルミニウム(Al2O3)を0.4質量%以下、二酸化ケイ素(SiO2)0.02質量%以下、酸化鉄(Fe2O3)0.01質量%以下含むものである。ジルコニア系セラミックスは、それ自他は白色であるが、必要に応じて青色又は黒色に形成する場合、必要な微量の顔料を含んでいる。これらの成分からなるセラミックス粒子は、原料のジルコニア粉末の平均粒子径が0.04〜0.09μmの材料粉末である。この微粒子の材料粉末は、取扱が容易なように、数十μmの顆粒状に形成されている。
セラミック臼10の形成は、上述の材料粉末を成形して、その成形体を焼成し、セラミックス臼10を形成する。焼成温度は、約1300〜1400℃が好ましく、より好ましくは1300〜1350℃で焼成することにより焼結体粒子径が0.2〜0.3μm未満に形成される。
このように形成したセラミック臼10の表面、特に成形孔部12内表面は、新品状体で中心線平均粗さ(Ra)が0.03〜0.15μm、好ましくは、0.03〜0.10μm、より好ましくは、0.03〜0.07μmに設定される。
この実施形態のセラミックス臼10の使用方法は、セラミック臼10と、杵24,25を対向するように組み合わせて、一組みにして打錠機20に装着する。杵25の先端部をセラミック臼10の成形孔部12内の下部に所要寸法挿入する。この状態で、セラミックス臼10の成形孔部12内に、成形する薬剤や健康食品の粉末や粉体、ゲル状体等の原料材料を充填する。この後、杵24を下降させ、成形孔部12内へ挿入すると共に、杵25をさらに僅かに上昇させ、セラミック臼10内で原料材料を圧縮成形する。この圧縮成形の際、セラミック臼10には、上下方向の圧縮荷重を受けて原料材料が外方へ膨れようとするため、臼10の成形孔部12内には、その表面の法線方向に外方へ向かう荷重を受ける。しかし、セラミック臼10自体は定盤部22に保持されているとともに、荷重も一様な方向なので、割れ等の不具合は生じない。圧縮成形後、上下の杵24,25を上昇させて、セラミック臼10の成形孔部12内から成形した錠剤を取り出す。以降、上記内容を繰り返して、錠剤を連続して成形する。
なお、この実施形態のセラミック臼10は、材料がセラミックスであるため、その端面にQRコード(登録商標)をレーザマーキングにより容易に刻印することができる。これにより、成形する錠剤や薬剤の情報を確実に記録し管理することができ、安全性も高いものとすることができる。
この実施形態のセラミック臼10は、表面が緻密且つ平滑で耐摩耗性も高く、錠剤等の原料材料が成形孔部12の表面に対して腐食や錆を発生させることがない。従って、原料材料に塩分等を含んでいても、セラミック臼10自体には腐食等の表面変化は発生せず、洗浄によっても腐食等は生じない。また、セラミック臼10の成形孔部12の内壁には、杵24,25が摺動することによる表面の擦れがあるが、セラミック臼10は、表面性状が滑らかで、平滑である上、寸法精度も高く摺動性も良いので、原料材料の噛み込みやカケ等は発生せず、耐久性も高く、長期間の打錠後の表面性状も滑らかで良好なものである。
圧縮成形後の錠剤の取り出しも、成形孔部12の内周面は平滑であり、錠剤の離型性が良好である。錠剤の成形は、数万回以上の繰り返しで打錠が行われるが、セラミック臼10の成形孔部12の内周は、所要硬度を確保して耐摩耗性があるため、接触による削れもなく安定した生産が可能である。さらに、従来のメッキした臼、杵のようにメッキ層が剥離するおそれもないため、成形された錠剤の安全性も高く、メンテナンス性も良い。
また、生産する錠剤の種類等を変更する品種切替時においても、セラミック臼10や成形孔部12の表面が平滑なので、周囲に原料材料の付着が少なく、洗浄も容易なため、品種切替の手間も大幅に削減される。さらに、洗浄に対しても腐食や錆のおそれがないため、セラミック臼10の管理等も容易に行える。
このセラミック臼10は、安全性も高く、発がん性物質、生殖毒性、皮膚や呼吸器に対する毒性、特定臓器に対する毒性等がなく、極めて高い安全性を有する。さらに、放射線の放射量は、α線が0.336mBq/cm2、β線が0.50Bq/g以下、γ線が0.02Bq/g以下である。
なお、この考案は、上記実施形態に限定されるものではなく、セラミックス臼の色や大きさ、成形孔部の径等は適宜設定することができる。
次に、この考案のセラミック臼10と従来の炭素工具鋼から成る金属臼とを比較した結果を図3に示す。図3には、白色のセラミック臼(YSZ)と、青色のセラミック臼(YSZ)の2種類と、炭素工具鋼(SKD11)にクロムメッキした臼とを用いて、生薬のセンナ粉末の打錠成形を行い、打錠前の新品と打錠を62145回行った後のものの、臼の成形孔部の内表面の表面粗さ(Ra)を測定した平均値である。
図示するように、白色及び青色のセラミック臼では、打錠後の表面粗さの増加がほとんどなく、6万回以上の打錠後でも表面粗さは、白色セラミック臼では0.07μm程度、青色のセラミック臼では0.09μm程度に収まっている。これに対して、炭素工具鋼の臼では、打錠後の表面粗さが、0.38μmに粗くなっていることが分かった。
10 セラミック臼
12 成形孔部
14 テーパ面
16 凹部
20 打錠機
24,25 杵

Claims (6)

  1. 不定形な原料材料の集合体を、所定形状に成形して錠剤を形成する臼であって、酸化ジルコニウム(ZrO2)を主成分としたジルコニア系セラミックスの粉体を成形して焼成した焼結体から成り、前記粉体の平均粒子径が0.04〜0.09μmであり、焼成後の焼結体の粒子径が0.2μm以上0.3μm未満に形成されていることを特徴とする錠剤成形用臼。
  2. 前記粉体は、酸化イットリウム(Y2O3)を4.0〜20.0質量%含む請求項1記載の錠剤成形用臼。
  3. 錠剤を成形する成形孔部の表面の中心線平均粗さが0.03〜0.10μmである請求項1又は2記載の錠剤成形用臼。
  4. 前記粉体の成形体の焼成温度は、1300〜1400℃である請求項1又は2記載の錠剤成形用臼。
  5. 前記粉体は、酸化イットリウム(Y2O3)を5.2±0.5質量%含み、酸化アルミニウム(Al2O3)が0.4質量%以下、二酸化ケイ素(SiO2)が0.02質量%以下酸化鉄(Fe2O3)が0.01質量%以下である請求項2記載の錠剤成形用臼。
  6. 成形する錠剤の情報を記録したレーザマーキングによる刻印を表面に有する請求項1又は2記載の錠剤成形用臼。
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