JP3197632B2 - 透磁率の測定方法および装置 - Google Patents
透磁率の測定方法および装置Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁性材料の透磁率の測定
に係わり、特に磁束検出コイルおよび磁界検出コイルを
使って透磁率を測定する方法および装置に関する。
に係わり、特に磁束検出コイルおよび磁界検出コイルを
使って透磁率を測定する方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】まず磁束検出コイルおよび磁界検出コイ
ルを使った従来の透磁率測定器における透磁率測定の原
理について説明する。
ルを使った従来の透磁率測定器における透磁率測定の原
理について説明する。
【0003】図7に透磁率測定のための原理的構成を示
す。磁界検出コイル1(以下Hコイルという)と8の字
形状をした磁束検出コイル2(以下Bコイルという)を
近接して配置し、これらのコイルがなす面に垂直に高周
波磁界HO を印加する。また被測定試料3(以下単に試
料という)は上側Bコイル2a内に図示のようにセット
するものとする。
す。磁界検出コイル1(以下Hコイルという)と8の字
形状をした磁束検出コイル2(以下Bコイルという)を
近接して配置し、これらのコイルがなす面に垂直に高周
波磁界HO を印加する。また被測定試料3(以下単に試
料という)は上側Bコイル2a内に図示のようにセット
するものとする。
【0004】いま図7において試料3がない場合を考え
ると、Hコイル1には高周波磁界HO の時間微分HO ’
とHコイル1の断面積SH に比例した起電力VHOが発生
する。Bコイル2にはコイルの上側2aと下側2bに誘
起される起電力が互いに逆相になるため、HO ’と上下
Bコイル2a,2bの面積をそれぞれS1 ,S2 とした
ときの差SO (=S1 −S2 )に比例した起電力VBOが
発生する。
ると、Hコイル1には高周波磁界HO の時間微分HO ’
とHコイル1の断面積SH に比例した起電力VHOが発生
する。Bコイル2にはコイルの上側2aと下側2bに誘
起される起電力が互いに逆相になるため、HO ’と上下
Bコイル2a,2bの面積をそれぞれS1 ,S2 とした
ときの差SO (=S1 −S2 )に比例した起電力VBOが
発生する。
【0005】これらを式で表すと、
【数5】
【数6】 となる。ただしμO は真空の透磁率である。
【0006】次に試料3を上側Bコイル2a内にセット
すると、試料3内の磁界やHコイル1、およびBコイル
2内の磁界は、試料3の磁化によって発生する磁界(減
磁界)が加わってHO でなくなってしまう。図8(a)
に、高周波磁界HO に平行にかつH,B両コイル1,2
のなす面に垂直な面で図7の構成を切った断面図を示
す。
すると、試料3内の磁界やHコイル1、およびBコイル
2内の磁界は、試料3の磁化によって発生する磁界(減
磁界)が加わってHO でなくなってしまう。図8(a)
に、高周波磁界HO に平行にかつH,B両コイル1,2
のなす面に垂直な面で図7の構成を切った断面図を示
す。
【0007】試料3内の磁界HはHO とHdとの合成に
なるが、ここで、H,B両コイル1,2内の減磁界はH
dに等しい、従って両コイル1,2内の磁界もHに等し
いと近似する。この近似により、Hの時間微分をH’,
Hコイル1に発生する起電力をVH 、Bコイル2に発生
する起電力をVB 、試料3の断面積をSS とすると、こ
れらと試料の比透磁率μとの間に
なるが、ここで、H,B両コイル1,2内の減磁界はH
dに等しい、従って両コイル1,2内の磁界もHに等し
いと近似する。この近似により、Hの時間微分をH’,
Hコイル1に発生する起電力をVH 、Bコイル2に発生
する起電力をVB 、試料3の断面積をSS とすると、こ
れらと試料の比透磁率μとの間に
【数7】
【数8】 の関係が成り立つ。以上(1)ないし(4)の式から試
料3の比透磁率μを求めると
料3の比透磁率μを求めると
【数9】 という関係が導かれる。
【0008】以上が従来からの透磁率測定の原理であ
る。ところが厚さ数μm以上の薄膜の測定では上記の
「H,B両コイル1,2内の磁界はHに等しい」とする
近似が成り立たないことが分かってきた。
る。ところが厚さ数μm以上の薄膜の測定では上記の
「H,B両コイル1,2内の磁界はHに等しい」とする
近似が成り立たないことが分かってきた。
【0009】そこで最近、これを改善しようとする方式
が提案されてきた。この方式の磁界に対する考え型を図
8(b)に示す。この方式では新しいパラメータK1を
導入し、「H,B両コイル1,2内の減磁界は試料3内
の減磁界のK1倍である」としてμを求めるものであ
る。
が提案されてきた。この方式の磁界に対する考え型を図
8(b)に示す。この方式では新しいパラメータK1を
導入し、「H,B両コイル1,2内の減磁界は試料3内
の減磁界のK1倍である」としてμを求めるものであ
る。
【0010】これによると、H,B両コイル1,2内の
減磁界はK1・Hdであるから、Hdの時間微分をH
d’として、(3),(4)式は次式の(6),(7)
式に修正される。
減磁界はK1・Hdであるから、Hdの時間微分をH
d’として、(3),(4)式は次式の(6),(7)
式に修正される。
【数10】
【数11】 (1),(2),(6),(7)式から試料3の比透磁
率μは
率μは
【数12】 ただし、
【数13】 となる。
【0011】この方式ではK1を決める必要がある。図
8(c)にK1の決め方についての考え方を示す。図8
(c)に示すように試料3を長さがLの1つの磁気モー
メントとみなして、これによる減磁界を計算して決めて
いる。この他に、減磁界が無視できる程の長い試料の低
周波での測定値、または別の手法で測定した低周波での
測定値を正しいとして、これを標準として決める方法も
提案されている。
8(c)にK1の決め方についての考え方を示す。図8
(c)に示すように試料3を長さがLの1つの磁気モー
メントとみなして、これによる減磁界を計算して決めて
いる。この他に、減磁界が無視できる程の長い試料の低
周波での測定値、または別の手法で測定した低周波での
測定値を正しいとして、これを標準として決める方法も
提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】以上従来技術において
(5)式による方法では、試料の厚みが1μm以下程度
であるならば、減磁界がHO に比べ非常に小さいので問
題ないが、試料の厚みが数μm以上の場合は、前述の指
摘どおり、測定値に誤差を含む。
(5)式による方法では、試料の厚みが1μm以下程度
であるならば、減磁界がHO に比べ非常に小さいので問
題ないが、試料の厚みが数μm以上の場合は、前述の指
摘どおり、測定値に誤差を含む。
【0013】また、(8)式による方法でも問題点が2
つある。その1番目はK1の決め方に関する問題点であ
る。上述した従来方法では、試料を1つの磁気モーメン
トとみなしているから、試料の幅や厚さについては考慮
していない。すなわちK1が試料の厚みや幅の関数にな
らないことである。ほんとうなら試料の厚さや幅によっ
てK1は変わるはずである。したがって(8)式による
方法が成り立つのは試料を1つの磁気モーメントとして
見ることができる範囲であり、試料の長さに比べて幅や
厚さが非常に小さい場合のみに限られる。通常の試料で
は厚さは長さに比べて小さいとすることができても、幅
は小さいとするには無理がある。その結果、試料の幅が
長さにくらべて無視出来ない程度に大きい場合は測定値
に誤差を含むことになる。
つある。その1番目はK1の決め方に関する問題点であ
る。上述した従来方法では、試料を1つの磁気モーメン
トとみなしているから、試料の幅や厚さについては考慮
していない。すなわちK1が試料の厚みや幅の関数にな
らないことである。ほんとうなら試料の厚さや幅によっ
てK1は変わるはずである。したがって(8)式による
方法が成り立つのは試料を1つの磁気モーメントとして
見ることができる範囲であり、試料の長さに比べて幅や
厚さが非常に小さい場合のみに限られる。通常の試料で
は厚さは長さに比べて小さいとすることができても、幅
は小さいとするには無理がある。その結果、試料の幅が
長さにくらべて無視出来ない程度に大きい場合は測定値
に誤差を含むことになる。
【0014】事実、試料の長さが短くなるほど測定値が
小さくなるという報告があって、このため、上述のよう
な方法でK1を決めないで、減磁界が無視できる程度の
長い試料の低周波での測定値、または別の手法で測定し
た低周波での測定値を正しいとして、これを標準として
決める方法が提案されている。しかし、この方法では何
らかの方法でμがわかっている試料、いわゆる標準試料
が必要になる。
小さくなるという報告があって、このため、上述のよう
な方法でK1を決めないで、減磁界が無視できる程度の
長い試料の低周波での測定値、または別の手法で測定し
た低周波での測定値を正しいとして、これを標準として
決める方法が提案されている。しかし、この方法では何
らかの方法でμがわかっている試料、いわゆる標準試料
が必要になる。
【0015】2番目の問題点は、上述の測定方法では
「H,B両コイル内の減磁界は試料内の減磁界のK1倍
である」と仮定している点である。つまりこれは、H,
B両コイル内の減磁界はすべて等しいとしていることに
なる。
「H,B両コイル内の減磁界は試料内の減磁界のK1倍
である」と仮定している点である。つまりこれは、H,
B両コイル内の減磁界はすべて等しいとしていることに
なる。
【0016】試料内の減磁界は試料の中心に対して対称
になるが、図7に示すように試料3は上側コイル2a内
にセットされるから、上下側Bコイル2a,2bは試料
に対して対称でない。さらにHコイル1と下側Bコイル
2bについても、コイルの配置のしかたや試料のセット
のしかたによっては試料に対して対称にならない場合も
ある。このようにH,B両コイルは試料に対し対称では
ないため、H,B両コイル内の減磁界はすべて等しいと
することは厳密には誤りである。この問題点は(5)式
の場合にもあてはまる。
になるが、図7に示すように試料3は上側コイル2a内
にセットされるから、上下側Bコイル2a,2bは試料
に対して対称でない。さらにHコイル1と下側Bコイル
2bについても、コイルの配置のしかたや試料のセット
のしかたによっては試料に対して対称にならない場合も
ある。このようにH,B両コイルは試料に対し対称では
ないため、H,B両コイル内の減磁界はすべて等しいと
することは厳密には誤りである。この問題点は(5)式
の場合にもあてはまる。
【0017】本発明の目的は、上述の従来技術の問題点
を解決し、さらにμの分かっている標準試料を使用する
ことなく透磁率を正確に測定する方法および装置を提供
することにある。
を解決し、さらにμの分かっている標準試料を使用する
ことなく透磁率を正確に測定する方法および装置を提供
することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明透磁率の測定方法は、磁束検出コイルと、磁
界検出コイルとを用い、被測定試料の透磁率を測定する
にあたり、被測定試料内の平均減磁界、磁界検出コイル
内の平均減磁界、および磁束検出コイルを構成する上側
磁束検出コイルおよび下側磁束検出コイル内のそれぞれ
の平均減磁界が、それぞれHd、K1・Hd、K2・K
1・HdおよびK3・K1・Hdであるとし、磁界検出
コイルに発生する起電力VH が、
に、本発明透磁率の測定方法は、磁束検出コイルと、磁
界検出コイルとを用い、被測定試料の透磁率を測定する
にあたり、被測定試料内の平均減磁界、磁界検出コイル
内の平均減磁界、および磁束検出コイルを構成する上側
磁束検出コイルおよび下側磁束検出コイル内のそれぞれ
の平均減磁界が、それぞれHd、K1・Hd、K2・K
1・HdおよびK3・K1・Hdであるとし、磁界検出
コイルに発生する起電力VH が、
【数14】 ただし、μO は真空の透磁率、SH は磁界検出コイルの
断面積、およびHO は印加高周波磁界であり、また磁束
検出コイルに発生する起電力VB が、
断面積、およびHO は印加高周波磁界であり、また磁束
検出コイルに発生する起電力VB が、
【数15】 ただし、μは被測定試料の比透磁率、SS は被測定試料
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側磁束検出コイルの断面積であることから、これら両関
係式にもとづいて被測定試料の透磁率を導出するように
したことを特徴とするものであり、
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側磁束検出コイルの断面積であることから、これら両関
係式にもとづいて被測定試料の透磁率を導出するように
したことを特徴とするものであり、
【0019】また、本発明透磁率の測定装置は、被測定
試料内の平均減磁界がHdであるとし、コイル内の平均
減磁界がK1・Kdであるとし、コイルに発生する起電
力VH が [数14] ただし、μO は真空の透磁率、SH はコイルの断面積、
およびHo は印加高周波磁界である磁界検出コイルと、
上側コイルと下側コイルからなり、上側コイル内の平均
減磁界がK2・K1・Hdであるとし、下側コイル内の
平均減磁界がK3・K1・Hdであるとし、上側コイル
と下側コイルからなるコイルに発生する起電力が [数15] ただし、μは被測定試料の比透磁率、Ss は被測定試料
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側コイルの断面積である磁束検出コイルとを具えてなる
ことを特徴とするものである。
試料内の平均減磁界がHdであるとし、コイル内の平均
減磁界がK1・Kdであるとし、コイルに発生する起電
力VH が [数14] ただし、μO は真空の透磁率、SH はコイルの断面積、
およびHo は印加高周波磁界である磁界検出コイルと、
上側コイルと下側コイルからなり、上側コイル内の平均
減磁界がK2・K1・Hdであるとし、下側コイル内の
平均減磁界がK3・K1・Hdであるとし、上側コイル
と下側コイルからなるコイルに発生する起電力が [数15] ただし、μは被測定試料の比透磁率、Ss は被測定試料
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側コイルの断面積である磁束検出コイルとを具えてなる
ことを特徴とするものである。
【0020】
【実施例】以下に添付図面を参照して実施例により本発
明を詳細に説明する。図1(a)は本発明に使用する計
算式を導出するための基本的な考え方を示している。本
発明では、H,B両コイル1,2内の減磁界がすべて異
なっていると考え、試料の上側Bコイル2a面とクロス
する断面における平均減磁界をHdとし、Hコイル1内
の平均減磁界をK1・Hd、上側Bコイル2a内の平均
減磁界をK2・K1・Hd、下側Bコイル2b内の平均
減磁界をK3・K1・Hdとして、Bコイル2に誘起す
る電圧を示す(7)式を次の(10)式に修正する。
明を詳細に説明する。図1(a)は本発明に使用する計
算式を導出するための基本的な考え方を示している。本
発明では、H,B両コイル1,2内の減磁界がすべて異
なっていると考え、試料の上側Bコイル2a面とクロス
する断面における平均減磁界をHdとし、Hコイル1内
の平均減磁界をK1・Hd、上側Bコイル2a内の平均
減磁界をK2・K1・Hd、下側Bコイル2b内の平均
減磁界をK3・K1・Hdとして、Bコイル2に誘起す
る電圧を示す(7)式を次の(10)式に修正する。
【0021】
【数16】 (1),(2),(6),(10)式から試料3の比透
磁率μは
磁率μは
【数17】 ただし、
【数18】
【数19】 となる。
【0022】次にK1,K2およびK3の求め方につい
て説明する。本発明では、磁界を薄い直方体形状をした
試料に印加したとき、試料の磁化によって発生する減磁
界を、試料の磁化が印加した磁界に垂直な2つの面にの
み発生し、かつ2つの面の磁化の符号は逆であり、かつ
それぞれの面での分布は一様であるとして計算する。実
際には以下の手順を得てK1,K2およびK3を求め
る。
て説明する。本発明では、磁界を薄い直方体形状をした
試料に印加したとき、試料の磁化によって発生する減磁
界を、試料の磁化が印加した磁界に垂直な2つの面にの
み発生し、かつ2つの面の磁化の符号は逆であり、かつ
それぞれの面での分布は一様であるとして計算する。実
際には以下の手順を得てK1,K2およびK3を求め
る。
【0023】図1(b)に示すように、試料3の長さを
L、幅をW、厚さをdとし、座標原点を試料中心にと
り、x軸を長さ方向、y軸を厚さ方向、z軸を幅方向に
とる。高周波磁界HO をx軸方向に印加したとき、試料
3のx=±L/2の面のみに表面磁化が生じ、それ以外
の面には磁化は生じない。ここで磁化がx=±L/2の
面に一様に分布しているとしてそれぞれの面密度を+ρ
および−ρとする。このとき、試料3の磁化による任意
の点(x,y,z)における減磁界のx成分Hx(x,
y,z)は次の(13)式で与えられる。
L、幅をW、厚さをdとし、座標原点を試料中心にと
り、x軸を長さ方向、y軸を厚さ方向、z軸を幅方向に
とる。高周波磁界HO をx軸方向に印加したとき、試料
3のx=±L/2の面のみに表面磁化が生じ、それ以外
の面には磁化は生じない。ここで磁化がx=±L/2の
面に一様に分布しているとしてそれぞれの面密度を+ρ
および−ρとする。このとき、試料3の磁化による任意
の点(x,y,z)における減磁界のx成分Hx(x,
y,z)は次の(13)式で与えられる。
【数20】 この積分は解析的に解くことができ、次式となる。
【0024】
【数21】 ここで関数Fの3つの変数をA,B,Cで表すと
【数22】 であり、ここに
【数23】
【数24】 である。なお、ABS(A)はAの絶対値、SGN
(A)およびSGN(C)はそれぞれAおよびCの符号
を表す。
(A)およびSGN(C)はそれぞれAおよびCの符号
を表す。
【0025】次に(10)式に使用されるHdは試料3
が上側Bコイル2a面とクロスする面における(14)
式の平均値である。平均値を計算するためには(14)
式を積分すればよいが、実際的な方法としては試料内の
複数点において(14)式により求めた値の平均値で近
似した。この場合点数が多いほど真の平均値に近づく
が、試料の幅方向に10点程の平均値をとれば十分近似
できる。
が上側Bコイル2a面とクロスする面における(14)
式の平均値である。平均値を計算するためには(14)
式を積分すればよいが、実際的な方法としては試料内の
複数点において(14)式により求めた値の平均値で近
似した。この場合点数が多いほど真の平均値に近づく
が、試料の幅方向に10点程の平均値をとれば十分近似
できる。
【0026】同様に(6)、(10)式に使用される
H,B両コイル1,2内の減磁界も(14)式の平均値
である。これについても各コイルのZ軸、Y軸方向にそ
れぞれ10点程で10点×10点の計100点程(1
4)式の値の平均をとって求めればよい。
H,B両コイル1,2内の減磁界も(14)式の平均値
である。これについても各コイルのZ軸、Y軸方向にそ
れぞれ10点程で10点×10点の計100点程(1
4)式の値の平均をとって求めればよい。
【0027】以上の方法により、試料3内の平均減磁界
Hd、Hコイル1内の平均減磁界HdH 、上側Bコイル
2a内の平均減磁界Hd1 、および下側Bコイル2b内
の平均減磁界Hd2 はそれぞれ次のような式で表され
る。
Hd、Hコイル1内の平均減磁界HdH 、上側Bコイル
2a内の平均減磁界Hd1 、および下側Bコイル2b内
の平均減磁界Hd2 はそれぞれ次のような式で表され
る。
【0028】
【数25】 従って
【数26】 のようにK1,K2,K3が求められる。このように、
磁化の面密度ρが未知でもK1,K2,K3はρに無関
係な値になるため、あえてρを計算する必要はない。
磁化の面密度ρが未知でもK1,K2,K3はρに無関
係な値になるため、あえてρを計算する必要はない。
【0029】以上K1,K2およびK3の求め方を説明
してきたが、これらから計算した試料および各コイル内
の平均減磁界を用いて、従来技術のようにそれぞれの平
均減磁界がすべて等しいとして測定した透磁率を補正す
る方法で正確な透磁率を測定してもよい((10)式を
用いる測定方法を直接法と呼ぶとすれば、この方法によ
る測定方法は間接法である。)
してきたが、これらから計算した試料および各コイル内
の平均減磁界を用いて、従来技術のようにそれぞれの平
均減磁界がすべて等しいとして測定した透磁率を補正す
る方法で正確な透磁率を測定してもよい((10)式を
用いる測定方法を直接法と呼ぶとすれば、この方法によ
る測定方法は間接法である。)
【0030】次に本発明の効果を裏づけるため、次のよ
うな実験を行った。図2は、図1と同様Hコイル1、B
コイル2、試料3の配置図であるが、とくにH,Bコイ
ル1,2と試料3の位置関係を示し、ここに試料はセン
ダスト薄膜であり、その大きさは厚さ5μm、長さ10
mm、幅5mmである。試料3の中心と上側Bコイル2
a面とのずれを4通りに変えてμの実数部μ’およびμ
の虚数部μ”を、従来方法である(5)式および本発明
方法である(11)式を使ってそれぞれ測定した。この
実験では試料3とH,Bコイル1,2との相対位置を変
えて透磁率を測定するだけであるから、真の透磁率はす
べて同じであり、測定結果が正しければすべて同じ測定
結果になるはずである。
うな実験を行った。図2は、図1と同様Hコイル1、B
コイル2、試料3の配置図であるが、とくにH,Bコイ
ル1,2と試料3の位置関係を示し、ここに試料はセン
ダスト薄膜であり、その大きさは厚さ5μm、長さ10
mm、幅5mmである。試料3の中心と上側Bコイル2
a面とのずれを4通りに変えてμの実数部μ’およびμ
の虚数部μ”を、従来方法である(5)式および本発明
方法である(11)式を使ってそれぞれ測定した。この
実験では試料3とH,Bコイル1,2との相対位置を変
えて透磁率を測定するだけであるから、真の透磁率はす
べて同じであり、測定結果が正しければすべて同じ測定
結果になるはずである。
【0031】図3から図6は測定結果を示し、横軸は5
00kHzから120MHzまでの周波数である。図3
はずれを0mm、図4はずれを2mm、図5はずれを3
mm、図6はずれを4mmにしてそれぞれ測定したもの
である。これら測定結果から、従来方法の(5)式を使
った測定結果はずれが大きくなるほど低周波数領域の
μ’が減少し、また周波数特性も変化していくのがわか
る。
00kHzから120MHzまでの周波数である。図3
はずれを0mm、図4はずれを2mm、図5はずれを3
mm、図6はずれを4mmにしてそれぞれ測定したもの
である。これら測定結果から、従来方法の(5)式を使
った測定結果はずれが大きくなるほど低周波数領域の
μ’が減少し、また周波数特性も変化していくのがわか
る。
【0032】従来方法の(8)式を使った測定結果につ
いては示していないが、長さ10mm、幅5mmの試料
を1つの磁気モーメントとして近似することは現実的で
ないから、これによっては正しい測定結果がえられると
は考えられない。一方、本発明の(11)式を使った測
定結果はずれ量が異なってもμ’,μ”とも殆ど変化し
ていない。つまり正しい測定ができたことの証拠であ
る。
いては示していないが、長さ10mm、幅5mmの試料
を1つの磁気モーメントとして近似することは現実的で
ないから、これによっては正しい測定結果がえられると
は考えられない。一方、本発明の(11)式を使った測
定結果はずれ量が異なってもμ’,μ”とも殆ど変化し
ていない。つまり正しい測定ができたことの証拠であ
る。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、H,B両コイル内の減
磁界がすべて異なっているという前提で測定し、従来方
法で用いられている近似を全く使わないでμを求めるよ
うにしているため、きわめて精度のよい測定結果が得ら
れる。また本発明では、K1,K2,K3を解析式から
求めているため標準試料は不要となる利点もある。
磁界がすべて異なっているという前提で測定し、従来方
法で用いられている近似を全く使わないでμを求めるよ
うにしているため、きわめて精度のよい測定結果が得ら
れる。また本発明では、K1,K2,K3を解析式から
求めているため標準試料は不要となる利点もある。
【図1】 (a)は本発明に使用する計算式を導出する
ための基本的な考え方を示し、磁束および磁界検出コイ
ルと被測定試料との位置関係を示す図、(b)は被測定
試料の磁化により発生する減磁界を求める図。
ための基本的な考え方を示し、磁束および磁界検出コイ
ルと被測定試料との位置関係を示す図、(b)は被測定
試料の磁化により発生する減磁界を求める図。
【図2】 検出コイルと被測定試料の位置関係を、被測
定試料の中心と上側磁束コイルとのずれに着目して示す
図。
定試料の中心と上側磁束コイルとのずれに着目して示す
図。
【図3】 被測定試料の中心と上側磁束コイルとのずれ
を0mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
を0mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
【図4】 被測定試料の中心と上側磁束コイルとのずれ
を2mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
を2mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
【図5】 被測定試料の中心と上側磁束コイルとのずれ
を3mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
を3mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
【図6】 被測定試料の中心と上側磁束コイルとのずれ
を4mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
を4mmにした時の従来技術による測定結果と本発明に
よる測定結果を示す図。
【図7】 透磁率測定のための原理的構成を示す図。
【図8】 (a),(b)は従来の透磁率測定に使用す
る計算式を導出する考え方を示し、磁束および磁界検出
コイルと被測定試料との位置関係を示す図、(c)は被
測定試料を1つの磁気モーメントと見なして磁化により
発生する減磁界を求める図。
る計算式を導出する考え方を示し、磁束および磁界検出
コイルと被測定試料との位置関係を示す図、(c)は被
測定試料を1つの磁気モーメントと見なして磁化により
発生する減磁界を求める図。
1 磁界検出(H)コイル 2 磁束検出(B)コイル 2a 上側磁束検出(B)コイル 2b 下側磁束検出(B)コイル 3 測定試料
Claims (2)
- 【請求項1】 磁束検出コイルと、磁界検出コイルとを
用い、被測定試料の透磁率を測定するにあたり、被測定
試料内の平均減磁界、磁界検出コイル内の平均減磁界、
および磁束検出コイルを構成する上側磁束検出コイルお
よび下側磁束検出コイル内のそれぞれの平均減磁界が、
それぞれHd、K1・Hd、K2・K1・HdおよびK
3・K1・Hdであるとし、 磁界検出コイルに発生する起電力VH が、 【数1】 ただし、μO は真空の透磁率、SH は磁界検出コイルの
断面積、およびHO は印加高周波磁界であり、 また磁束検出コイルに発生する起電力VB が、 【数2】 ただし、μは被測定試料の比透磁率、SS は被測定試料
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側磁束検出コイルの断面積であることから、これら両関
係式にもとづいて被測定試料の透磁率を導出するように
したことを特徴とする透磁率の測定方法。 - 【請求項2】 被測定試料内の平均減磁界がHdである
とし、 コイル内の平均減磁界がK1・Kdであるとし、 コイルに発生する起電力VH が 【数3】 ただし、μO は真空の透磁率、SH はコイルの断面積、
およびHo は印加高周波磁界である磁界検出コイルと、 上側コイルと下側コイルからなり、 上側コイル内の平均減磁界がK2・K1・Hdであると
し、 下側コイル内の平均減磁界がK3・K1・Hdであると
し、 上側コイルと下側コイルからなるコイルに発生する起電
力が 【数4】 ただし、μは被測定試料の比透磁率、Ss は被測定試料
の断面積、またS1 およびS2 はそれぞれ上側および下
側コイルの断面積である磁束検出コイルとを具えてなる
ことを特徴とする透磁率の測定装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31354092A JP3197632B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 透磁率の測定方法および装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31354092A JP3197632B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 透磁率の測定方法および装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06160502A JPH06160502A (ja) | 1994-06-07 |
JP3197632B2 true JP3197632B2 (ja) | 2001-08-13 |
Family
ID=18042553
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31354092A Expired - Fee Related JP3197632B2 (ja) | 1992-11-24 | 1992-11-24 | 透磁率の測定方法および装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3197632B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
FR2892521B1 (fr) * | 2005-10-24 | 2008-01-04 | Commissariat Energie Atomique | Systeme de mesure de permeabilite magnetique et echantillon de reference utilise dans celui-ci |
CN103645450B (zh) * | 2013-12-18 | 2017-01-25 | 中国人民解放军国防科学技术大学 | 一种利用时间分辨荧光光谱表征物质磁效应的方法和装置 |
-
1992
- 1992-11-24 JP JP31354092A patent/JP3197632B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06160502A (ja) | 1994-06-07 |
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