JP3197300B2 - ジメチルアミンボランの製造方法 - Google Patents
ジメチルアミンボランの製造方法Info
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- JP3197300B2 JP3197300B2 JP26440691A JP26440691A JP3197300B2 JP 3197300 B2 JP3197300 B2 JP 3197300B2 JP 26440691 A JP26440691 A JP 26440691A JP 26440691 A JP26440691 A JP 26440691A JP 3197300 B2 JP3197300 B2 JP 3197300B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はジメチルアミンボラン
(以下DMABと記す)の製造方法に関するものであ
る。
(以下DMABと記す)の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ジメチルアミンボランをトリメチルアミ
ン塩酸塩とナトリウムボロハイドライド(NaBH4)を原料
として合成する際に、溶剤としてテトラヒドロフラン
(以下THFと記す)を用いることは良くしられている
(Inorganic Synthesis, Voll.IX10ページ)。しかしな
がら、ジメチルアミンボランをジメチルアミン塩酸塩
((CH3)2NH・HCl)とNaBH4 を原料として、合成する際
に、分散媒として安価なTHFを用いても、反応に長時
間を要し、しかも満足すべき収率で反応が進行しないの
で、従来は高価なジメチルホルムアミド(特公昭61-459
96号) 、またはジメトキシエタン(特公昭61-45997号)
などを分散媒として用いていた。
ン塩酸塩とナトリウムボロハイドライド(NaBH4)を原料
として合成する際に、溶剤としてテトラヒドロフラン
(以下THFと記す)を用いることは良くしられている
(Inorganic Synthesis, Voll.IX10ページ)。しかしな
がら、ジメチルアミンボランをジメチルアミン塩酸塩
((CH3)2NH・HCl)とNaBH4 を原料として、合成する際
に、分散媒として安価なTHFを用いても、反応に長時
間を要し、しかも満足すべき収率で反応が進行しないの
で、従来は高価なジメチルホルムアミド(特公昭61-459
96号) 、またはジメトキシエタン(特公昭61-45997号)
などを分散媒として用いていた。
【0003】さらに今回、ジメチルアミン塩酸塩とNaBH
4 を原料として、溶媒にTHFを用いた場合には、本来
THFに不溶であるジメチルアミン塩酸塩がTHFに溶
解し、生成した粗DMABの純度を大きく低下させてい
ることが本発明者らによって判明した。DMABの純度
を向上させるには、このジメチルアミン塩酸塩を除去す
る精製工程が必要になり、コストアツプの原因となっ
た。
4 を原料として、溶媒にTHFを用いた場合には、本来
THFに不溶であるジメチルアミン塩酸塩がTHFに溶
解し、生成した粗DMABの純度を大きく低下させてい
ることが本発明者らによって判明した。DMABの純度
を向上させるには、このジメチルアミン塩酸塩を除去す
る精製工程が必要になり、コストアツプの原因となっ
た。
【0004】一方、西独特許1618387 には、反応溶剤と
して水と有機溶剤を用いる方法が記載されている。しか
しこの有機溶剤は水に不溶ないし部分可溶のものであ
り、かつ、ジメチルアミン塩酸塩の例示が無い。
して水と有機溶剤を用いる方法が記載されている。しか
しこの有機溶剤は水に不溶ないし部分可溶のものであ
り、かつ、ジメチルアミン塩酸塩の例示が無い。
【0005】
【発明が解決しょうとする課題】本発明は、ジメチルア
ミンボランをジメチルアミン塩酸塩と、NaBH4 を原料と
して合成するに際し、、従来方法より短時間、高収率で
反応を進行させること、及び、精製工程を追加しなくて
も充分に高純度のDMABが得られることを目的として
いる。
ミンボランをジメチルアミン塩酸塩と、NaBH4 を原料と
して合成するに際し、、従来方法より短時間、高収率で
反応を進行させること、及び、精製工程を追加しなくて
も充分に高純度のDMABが得られることを目的として
いる。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するため、鋭意研究を行い、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明のジメチルアミンボランの製造方
法は、ジメチルアミン塩酸塩とNaBH4 を原料として合成
する際に、水を7〜40wt%混合したTHFを溶剤として
用いることを特徴とする方法である。
を解決するため、鋭意研究を行い、本発明を完成するに
至った。即ち、本発明のジメチルアミンボランの製造方
法は、ジメチルアミン塩酸塩とNaBH4 を原料として合成
する際に、水を7〜40wt%混合したTHFを溶剤として
用いることを特徴とする方法である。
【0007】以下本発明について更に詳細に説明する。
本発明の反応は以下の反応式で表される。
本発明の反応は以下の反応式で表される。
【0008】
【化1】 (CH3)2NH・HCl +NaBH4 →(CH3)2NH・BH3 +NaCl+H2 即ち、ジメチルアミン塩酸塩とNaBH4 を反応させて、ジ
メチルアミンボランを製造し、塩化ナトリウムと水素を
副生する反応である。
メチルアミンボランを製造し、塩化ナトリウムと水素を
副生する反応である。
【0009】THFを溶媒に用いた場合を説明すればジ
メチルアミン塩酸塩は不溶、NaBH4 は難溶であるから両
者の懸濁液を攪拌して反応を進行させる。反応終了後生
成したDMABはTHFに易溶なので、不溶な副生NaC
l、未反応原料の粉末を濾別して、DMABのTHF溶
液を得る。THFを濃縮除去すれば精製前の粗DMAB
が得られる。原料のNaBH4 、(CH3)2NH・HCl は粉体で使
用するが、水を含んでいても良い。ただし、その場合の
水の量は後述するTHF中に含まれる水の量に合算す
る。(CH3)2NH・HCl に対するNaBH4 のモル比 NaBH4/(C
H3)2NH・HCl は一般にはNaBH4 が分解し易いので過剰に
もちいるが、程度がわずかであれば逆にしてもかまわな
い。具体的にはモル比は0.9 〜1.4 の範囲が挙げられ
る。
メチルアミン塩酸塩は不溶、NaBH4 は難溶であるから両
者の懸濁液を攪拌して反応を進行させる。反応終了後生
成したDMABはTHFに易溶なので、不溶な副生NaC
l、未反応原料の粉末を濾別して、DMABのTHF溶
液を得る。THFを濃縮除去すれば精製前の粗DMAB
が得られる。原料のNaBH4 、(CH3)2NH・HCl は粉体で使
用するが、水を含んでいても良い。ただし、その場合の
水の量は後述するTHF中に含まれる水の量に合算す
る。(CH3)2NH・HCl に対するNaBH4 のモル比 NaBH4/(C
H3)2NH・HCl は一般にはNaBH4 が分解し易いので過剰に
もちいるが、程度がわずかであれば逆にしてもかまわな
い。具体的にはモル比は0.9 〜1.4 の範囲が挙げられ
る。
【0010】本発明では水を7 〜40wt%混合したTHF
を溶剤として用いるが、この場合はモル比1.2 以上で有
れば、生成したDMABに混入するジメチルアミン塩酸
塩が無視し得る程度に少なくなり、精製工程が不要にな
る。しかしモル比を余りに大きくすることは、未反応の
NaBH4 がふえてNaBH4 から見た収率を低下させるので好
ましくない。好ましい範囲は1.2 〜1.4 の範囲である。
を溶剤として用いるが、この場合はモル比1.2 以上で有
れば、生成したDMABに混入するジメチルアミン塩酸
塩が無視し得る程度に少なくなり、精製工程が不要にな
る。しかしモル比を余りに大きくすることは、未反応の
NaBH4 がふえてNaBH4 から見た収率を低下させるので好
ましくない。好ましい範囲は1.2 〜1.4 の範囲である。
【0011】一方、従来から行われている公知の方法で
あるTHFを溶剤として用いた場合には、上記の現象は
無く、NaBH4 を大過剰に用いても生成したDMAB中の
ジメチルアミン塩酸塩は僅かしか減少しない。その決か
として精製工程を省くことは出来ない。
あるTHFを溶剤として用いた場合には、上記の現象は
無く、NaBH4 を大過剰に用いても生成したDMAB中の
ジメチルアミン塩酸塩は僅かしか減少しない。その決か
として精製工程を省くことは出来ない。
【0012】反応時に混合する順序は、どちらでも大差
はないが、NaBH4 は水を吸収すると本反応の環境下では
分解し易いので、ジメチルアミン塩酸塩の懸濁液にNaBH
4 を添加する順序が好ましい。反応時に使用する溶剤と
して水を混合したTHFを用いることかが本発明の特徴
である。THFに対する水の割合は7wt%から40wt%の
範囲である。
はないが、NaBH4 は水を吸収すると本反応の環境下では
分解し易いので、ジメチルアミン塩酸塩の懸濁液にNaBH
4 を添加する順序が好ましい。反応時に使用する溶剤と
して水を混合したTHFを用いることかが本発明の特徴
である。THFに対する水の割合は7wt%から40wt%の
範囲である。
【0013】無水のTHFを用いて反応を行うと、反応
に長時間を要するばかりでなく、収率は低く、かつその
再現性に大きなバラツキがある。更に本発明者は反応で
生成したDMABの中に本来THFに不溶で混入する筈
のないジメチルアミン塩酸塩が数%混入していて、DM
ABの純度を低下させていることを発見した。
に長時間を要するばかりでなく、収率は低く、かつその
再現性に大きなバラツキがある。更に本発明者は反応で
生成したDMABの中に本来THFに不溶で混入する筈
のないジメチルアミン塩酸塩が数%混入していて、DM
ABの純度を低下させていることを発見した。
【0014】THFに水を混合した場合でも水が7wt%
未満では、反応時間は長く、収率は低く、その再現性が
不良である点はそのまま変わらずに、ジメチルアミン塩
酸塩は10〜20wt%と無水のTHFの場合に比べて2〜4
倍も混入することが明らかになった。
未満では、反応時間は長く、収率は低く、その再現性が
不良である点はそのまま変わらずに、ジメチルアミン塩
酸塩は10〜20wt%と無水のTHFの場合に比べて2〜4
倍も混入することが明らかになった。
【0015】しかし本発明の特許請求の範囲である7wt
%から40wt%の範囲では驚くべきことに反応時間は短
く、収率は高く、また収率の再現性は良好にと一変す
る。更に、ジメチルアミン塩酸塩の混入量も大幅に低下
し、SBHとジメチルアミン塩酸塩の適当なモル比、具
体的には1.2 〜1.3 の場合には、生成したDMAB中の
ジメチルアミン塩酸塩の量は殆ど無視しうるほどに低下
し、精製工程を不要にすることができる。
%から40wt%の範囲では驚くべきことに反応時間は短
く、収率は高く、また収率の再現性は良好にと一変す
る。更に、ジメチルアミン塩酸塩の混入量も大幅に低下
し、SBHとジメチルアミン塩酸塩の適当なモル比、具
体的には1.2 〜1.3 の場合には、生成したDMAB中の
ジメチルアミン塩酸塩の量は殆ど無視しうるほどに低下
し、精製工程を不要にすることができる。
【0016】一方、無水THFを溶剤にした場合には副
生するNaClは粒子が非常に細かく、濾過に長時間を要
し、粒子間に吸収されているDMABを含有するTHF
を溶出させるために、多量の洗浄用のTHFを必要とす
る。
生するNaClは粒子が非常に細かく、濾過に長時間を要
し、粒子間に吸収されているDMABを含有するTHF
を溶出させるために、多量の洗浄用のTHFを必要とす
る。
【0017】本発明の方法により水を7〜40wt%混合し
たTHFを溶剤に用いる場合は、副生するNaClの粒子は
大きく、そのために濾過は非常に短時間ですみ、かつ洗
浄用のTHFの量も大幅に減少できる。しかし水を50wt
%以上添加した場合は、収率が低下するばかりでなく、
副生したNaClや未反応原料が泥状になって濾別が困難に
なるので好ましくない。
たTHFを溶剤に用いる場合は、副生するNaClの粒子は
大きく、そのために濾過は非常に短時間ですみ、かつ洗
浄用のTHFの量も大幅に減少できる。しかし水を50wt
%以上添加した場合は、収率が低下するばかりでなく、
副生したNaClや未反応原料が泥状になって濾別が困難に
なるので好ましくない。
【0018】反応時の原料の濃度は、THFに対してジ
メチルアミン塩酸塩を10wt%〜40wt%懸濁させることが
好ましい。濃度をより濃くしても、攪拌が困難になる
し、より薄くしてもTHFの損失が大きくなり、利点は
無い。
メチルアミン塩酸塩を10wt%〜40wt%懸濁させることが
好ましい。濃度をより濃くしても、攪拌が困難になる
し、より薄くしてもTHFの損失が大きくなり、利点は
無い。
【0019】本発明のTHFの代わりにトルエン等の芳
香族炭化水素やn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素を用い
て同様の合成を行っても殆ど反応は進行しない。完全に
相溶性のあとTHFと水の組み合わせでのみ本発明の効
果は得られる。
香族炭化水素やn−ヘキサン等の脂肪族炭化水素を用い
て同様の合成を行っても殆ど反応は進行しない。完全に
相溶性のあとTHFと水の組み合わせでのみ本発明の効
果は得られる。
【0020】次に反応についての説明をすると、ジメチ
ルアミンボランは70℃以上でさらに水素を放出して、ジ
メチルアミノボランに分解するので、反応温度はできる
だけ低い方が良い。0〜30℃で行うことが好ましい。
ルアミンボランは70℃以上でさらに水素を放出して、ジ
メチルアミノボランに分解するので、反応温度はできる
だけ低い方が良い。0〜30℃で行うことが好ましい。
【0021】攪拌は、通常の攪拌方法、例えば櫂型、プ
ロペラ型等の攪拌翼を用いた攪拌で良く特に制限は無い
が、懸濁液であるから高速攪拌、ホモジナイザー等は好
ましい。反応の終点は水素の発生の停止によって判断す
ることが出来る。反応終了後は、濾過して固体である副
生NaClと未反応原料を濾別し、生成したDMABのTH
F溶液を得る。
ロペラ型等の攪拌翼を用いた攪拌で良く特に制限は無い
が、懸濁液であるから高速攪拌、ホモジナイザー等は好
ましい。反応の終点は水素の発生の停止によって判断す
ることが出来る。反応終了後は、濾過して固体である副
生NaClと未反応原料を濾別し、生成したDMABのTH
F溶液を得る。
【0022】これを常圧または減圧下でTHFを除去し
て粗DMABの結晶を得る。さらに必要に応じて蒸留、
再結晶等の精製を行い、スプレードライヤーや貧溶媒を
用いて適当な大きさに造粒しても良い。
て粗DMABの結晶を得る。さらに必要に応じて蒸留、
再結晶等の精製を行い、スプレードライヤーや貧溶媒を
用いて適当な大きさに造粒しても良い。
【0023】THFに混合した水は大部分副生したNaCl
や未反応原料に吸着されて、濾過時に除去される。しか
し一部はDMABのTHF溶液に溶解し、濃縮時にTH
Fと共に回収される。この水を含んだTHFは脱水して
も良い。またそのまま再使用しても良いが、その場合含
有される水の量だけ、初期に混合する水の量を少なくす
れば良い。
や未反応原料に吸着されて、濾過時に除去される。しか
し一部はDMABのTHF溶液に溶解し、濃縮時にTH
Fと共に回収される。この水を含んだTHFは脱水して
も良い。またそのまま再使用しても良いが、その場合含
有される水の量だけ、初期に混合する水の量を少なくす
れば良い。
【0024】本発明の方法における機構は次のようなも
のであると思われる。反応初期にTHF中の水は、懸濁
しているジメチルアミン塩酸塩の表面に吸着される。そ
して反応進行中に生成する副生NaClの沈着による膜形成
を防止する。その結果反応は円滑に進行する。次いで反
応の進行と共にジメチルアミン塩酸塩が消失するとそこ
に吸着されていた水は一旦もとのTHFに戻り、次いで
副生NaClの表面に働いて微細な結晶を大きな結晶に変化
させる。
のであると思われる。反応初期にTHF中の水は、懸濁
しているジメチルアミン塩酸塩の表面に吸着される。そ
して反応進行中に生成する副生NaClの沈着による膜形成
を防止する。その結果反応は円滑に進行する。次いで反
応の進行と共にジメチルアミン塩酸塩が消失するとそこ
に吸着されていた水は一旦もとのTHFに戻り、次いで
副生NaClの表面に働いて微細な結晶を大きな結晶に変化
させる。
【0025】水は絶えずジメチルアミン塩酸塩表面とT
HF中に存在し、ジメチルアミン塩酸塩の表面に副生Na
Clの膜が形成されるのを阻止するので、 NaBH4を過剰に
添加した効果が充分発揮されて、モル比1.2以上では、
粗DMABに残存するジメチルアミン塩酸塩の量が殆ど
無く成ってしまう。
HF中に存在し、ジメチルアミン塩酸塩の表面に副生Na
Clの膜が形成されるのを阻止するので、 NaBH4を過剰に
添加した効果が充分発揮されて、モル比1.2以上では、
粗DMABに残存するジメチルアミン塩酸塩の量が殆ど
無く成ってしまう。
【0026】しかしながら、水の効果は上記の説明で完
全に説明されるものではなく、もっと複雑で未解決の部
分が含まれている。即ち、水の効果は水の混合量に比例
して発現されるものではない。例えば、収率の再現性は
水の混合量7wt%から突然良好になる。又粗DMAB中
のジメチルアミン塩酸塩の量は水の混合量5wt%程度で
無水の場合の数倍に達して後、急速に減少する。
全に説明されるものではなく、もっと複雑で未解決の部
分が含まれている。即ち、水の効果は水の混合量に比例
して発現されるものではない。例えば、収率の再現性は
水の混合量7wt%から突然良好になる。又粗DMAB中
のジメチルアミン塩酸塩の量は水の混合量5wt%程度で
無水の場合の数倍に達して後、急速に減少する。
【0027】本発明者らは上記のTHF中の水の予想外
な効果、即ち水を少量加えると悪い収率は変わらず、か
えって純度が悪化すること、一方水を多量に加えると水
のため NaBH4が分解されるのか収率が悪化する点に迷わ
されることなく、THFに添加する水の量が適当な範囲
において驚くべき効果を上げることを発見し、本発明を
完成したのである。
な効果、即ち水を少量加えると悪い収率は変わらず、か
えって純度が悪化すること、一方水を多量に加えると水
のため NaBH4が分解されるのか収率が悪化する点に迷わ
されることなく、THFに添加する水の量が適当な範囲
において驚くべき効果を上げることを発見し、本発明を
完成したのである。
【0028】
【実施例】以下、本発明を実施例により、更に具体的に
説明するが、本発明の範囲はそれによって限定されるも
のではない。
説明するが、本発明の範囲はそれによって限定されるも
のではない。
【0029】実施例1 500 mlの四つ口フラスコに撹拌機、玉入り冷却管、温度
計を装着し、内部を窒素置換する。水22.6 gをTHF10
0.5 g に溶解して四つ口フラスコに装入した。(水/T
HF=22.5%) ついでジメチルアミン塩酸塩37.7 g(0.4
63モル) を装入し、撹拌しつつ5℃に冷却した。ついで
粉末のNaBH44 19.2 g(0.509 モル、 NaBH4/ジメチルア
ミン塩酸塩・モル比=1/1)を系内を15℃以下に保ち
つつ1.5 時間にわたって分割装入し、その後20℃で2時
間そのまま撹拌した。次にガラスフィルターを用いて濾
過を行い反応残渣とDMABのTHF溶液を分離した。
反応残渣は無水のTHFで洗浄し、このTHFは濾過後
はじめのDMABのTHF溶液に加えた。次にその溶液
を50℃以下で減圧濃縮し、最後に10℃に冷却した。
計を装着し、内部を窒素置換する。水22.6 gをTHF10
0.5 g に溶解して四つ口フラスコに装入した。(水/T
HF=22.5%) ついでジメチルアミン塩酸塩37.7 g(0.4
63モル) を装入し、撹拌しつつ5℃に冷却した。ついで
粉末のNaBH44 19.2 g(0.509 モル、 NaBH4/ジメチルア
ミン塩酸塩・モル比=1/1)を系内を15℃以下に保ち
つつ1.5 時間にわたって分割装入し、その後20℃で2時
間そのまま撹拌した。次にガラスフィルターを用いて濾
過を行い反応残渣とDMABのTHF溶液を分離した。
反応残渣は無水のTHFで洗浄し、このTHFは濾過後
はじめのDMABのTHF溶液に加えた。次にその溶液
を50℃以下で減圧濃縮し、最後に10℃に冷却した。
【0030】得られた粗DMABは白色結晶であり、純
度は96%、残留塩素分は1.5 %であった。また収率は74
%(対ジメチルアミン塩酸塩)であった。この収率の再
現性は非常に良く、繰り返し実験を行っても常に実験誤
差の範囲内で一致した。尚、塩素分は粗DMAB中の全
塩素量を硝酸銀法で測定した値であって、大部分はジメ
チルアミン塩酸塩であると思われる。
度は96%、残留塩素分は1.5 %であった。また収率は74
%(対ジメチルアミン塩酸塩)であった。この収率の再
現性は非常に良く、繰り返し実験を行っても常に実験誤
差の範囲内で一致した。尚、塩素分は粗DMAB中の全
塩素量を硝酸銀法で測定した値であって、大部分はジメ
チルアミン塩酸塩であると思われる。
【0031】比較例1 実施例1と同様にして、水を無添加でDMABの合成実
験を行い無色透明の結晶が得られた。収率は48%(対ジ
メチルアミン塩酸塩)であった。純度は95.0%であり、
残留する塩素分は1.2 wt%であった。また以上を5回繰
り返し実験した結果の収率は32%、38%、45%、59%、
66%と大きくばらつき、平均収率は50%であった。又反
応時間を実施例1の場合の合計3.5 時間を2倍の7時間
に延長したが収率は平均して5%増加しただけであっ
た。
験を行い無色透明の結晶が得られた。収率は48%(対ジ
メチルアミン塩酸塩)であった。純度は95.0%であり、
残留する塩素分は1.2 wt%であった。また以上を5回繰
り返し実験した結果の収率は32%、38%、45%、59%、
66%と大きくばらつき、平均収率は50%であった。又反
応時間を実施例1の場合の合計3.5 時間を2倍の7時間
に延長したが収率は平均して5%増加しただけであっ
た。
【0032】実施例2、3、4、5及び比較例2、3、
4 実施例1と同様の装置と方法を用いて、THFに添加
し、溶解させる水の量の影響を検討した。結果を表1に
まとめた。水の添加量が7wt%以上になると、急激に収
率のバラつきがなくなり非常に良い再現性を示すように
なる。又収率も大幅に向上する。水の添加量が50wt%を
越えると、反応終了後の濾過残渣(副生NaCl、未反応原
料等)が液状になり、濾過による分離が出来なくなり、
操作が複雑になる。また液相の中では NaBH4が分解し易
いためか収率が急激に低下する。即ち水の添加量は7〜
40wt%の範囲が好ましいことが明らかである。
4 実施例1と同様の装置と方法を用いて、THFに添加
し、溶解させる水の量の影響を検討した。結果を表1に
まとめた。水の添加量が7wt%以上になると、急激に収
率のバラつきがなくなり非常に良い再現性を示すように
なる。又収率も大幅に向上する。水の添加量が50wt%を
越えると、反応終了後の濾過残渣(副生NaCl、未反応原
料等)が液状になり、濾過による分離が出来なくなり、
操作が複雑になる。また液相の中では NaBH4が分解し易
いためか収率が急激に低下する。即ち水の添加量は7〜
40wt%の範囲が好ましいことが明らかである。
【0033】実施例6 実施例1と同様に500 mlの四つ口フラスコに攪拌機、玉
入り冷却管、温度計を装着し内部を窒素置換する。水 1
4.5gをTHF132gに混合して四つ口フラスコに装入した
(水/THF=10%)。次いでジメチルアミン塩酸塩4
9.4g (0.606 モル)を装入し、攪拌しつつ5 ℃に冷却
した。次に粉末の NaBH427.5g(0.727 モル、 NaBH4/ジ
メチルアミン塩酸塩 モル比=1/2)を2時間にわた
って系内ヲ10℃以下に保ちつつ分割装入した。水素の発
生が弱まると、徐々に室温に戻して1 時間そのまま攪拌
した。しかる後、ガラスフィルターを用いて濾過を行
い、反応残渣とDMABのTHF溶液を分離した。反応
残渣は無水のTHFで洗浄し、濾過後このTHFは初め
のDMABのTHF溶液に加えた。次いでその溶液を50
℃以下で減圧濃縮し、最後に10℃に冷却した。
入り冷却管、温度計を装着し内部を窒素置換する。水 1
4.5gをTHF132gに混合して四つ口フラスコに装入した
(水/THF=10%)。次いでジメチルアミン塩酸塩4
9.4g (0.606 モル)を装入し、攪拌しつつ5 ℃に冷却
した。次に粉末の NaBH427.5g(0.727 モル、 NaBH4/ジ
メチルアミン塩酸塩 モル比=1/2)を2時間にわた
って系内ヲ10℃以下に保ちつつ分割装入した。水素の発
生が弱まると、徐々に室温に戻して1 時間そのまま攪拌
した。しかる後、ガラスフィルターを用いて濾過を行
い、反応残渣とDMABのTHF溶液を分離した。反応
残渣は無水のTHFで洗浄し、濾過後このTHFは初め
のDMABのTHF溶液に加えた。次いでその溶液を50
℃以下で減圧濃縮し、最後に10℃に冷却した。
【0034】得られた粗DMABは、白色結晶であっ
た。収率は、84%(対DMAB)であり、残留塩素分は
0.07%であり殆ど無視し得る量であった。
た。収率は、84%(対DMAB)であり、残留塩素分は
0.07%であり殆ど無視し得る量であった。
【0035】実施例7、8、9 実施例6と同様の装置と方法で行ったが NaBH4とジメチ
ルアミン塩酸塩のモル比を1.3 、1.4 、1.5 と3条件に
変えて行った。結果はまとめて表2で示す。モル比1.2
以上で粗DMABに残留する塩素分(大部分はジメチル
アミン塩酸塩とおもわれる)は急激に減少し、実用上問
題なくなり、純度も大きく向上してこれ以上の精製は不
要になる。しかしながら、モル比を1.5 以上にして即ち
NaBH4 を余りに多く使用すると対 NaBH4での収率が低下
するし、未反応の NaBH4も増加し、反応残と処理も複雑
になってくるので好ましくない。
ルアミン塩酸塩のモル比を1.3 、1.4 、1.5 と3条件に
変えて行った。結果はまとめて表2で示す。モル比1.2
以上で粗DMABに残留する塩素分(大部分はジメチル
アミン塩酸塩とおもわれる)は急激に減少し、実用上問
題なくなり、純度も大きく向上してこれ以上の精製は不
要になる。しかしながら、モル比を1.5 以上にして即ち
NaBH4 を余りに多く使用すると対 NaBH4での収率が低下
するし、未反応の NaBH4も増加し、反応残と処理も複雑
になってくるので好ましくない。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明の方法によれば、従来公知の方法
である無水のTHFを用いた合成反応に比較して、以下
の如き利点を有する。 (1) 反応時間を短縮出来る。 (2) 収率が向上する。 (3) 収率の再現性が良くなる。 (4) 粗DMABに混入するジメチルアミン塩酸塩の量が
減少する。 (5) 特定の「SBH/ジメチルアミン塩酸塩」のモル比
において混入するジメチルアミン塩酸塩量を殆ど無くす
ることが出来、その結果後続の精製工程を不要にするこ
とが出来る。 (6) 反応時副生するNaClの粒子径を大きくすることが出
来て、濾過洗浄を非常に容易に行うことが出来るように
なる。 従って、工業的に極めて有利な方法である。
である無水のTHFを用いた合成反応に比較して、以下
の如き利点を有する。 (1) 反応時間を短縮出来る。 (2) 収率が向上する。 (3) 収率の再現性が良くなる。 (4) 粗DMABに混入するジメチルアミン塩酸塩の量が
減少する。 (5) 特定の「SBH/ジメチルアミン塩酸塩」のモル比
において混入するジメチルアミン塩酸塩量を殆ど無くす
ることが出来、その結果後続の精製工程を不要にするこ
とが出来る。 (6) 反応時副生するNaClの粒子径を大きくすることが出
来て、濾過洗浄を非常に容易に行うことが出来るように
なる。 従って、工業的に極めて有利な方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−5490(JP,A) 特開 昭56−158792(JP,A) 特開 昭60−149593(JP,A) 特開 平3−271294(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07F 5/02
Claims (2)
- 【請求項1】ジメチルアミン塩酸塩とナトリウムボロハ
イドライドを反応させてジメチルアミンボランを得る方
法において、反応溶剤として、水を7〜40wt%添加した
テトラヒドロフランを用いることを特徴とするジメチル
アミンボランの製造方法。 - 【請求項2】請求項1の方法において、ナトリウムボロ
ハイドライドのジメチルアミンボラン塩酸塩に対するモ
ル比を1.2 〜1.4 とすることを特徴とするジメチルアミ
ンボランの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26440691A JP3197300B2 (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ジメチルアミンボランの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0597866A JPH0597866A (ja) | 1993-04-20 |
JP3197300B2 true JP3197300B2 (ja) | 2001-08-13 |
Family
ID=17402721
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26440691A Expired - Fee Related JP3197300B2 (ja) | 1991-10-14 | 1991-10-14 | ジメチルアミンボランの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3197300B2 (ja) |
-
1991
- 1991-10-14 JP JP26440691A patent/JP3197300B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0597866A (ja) | 1993-04-20 |
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