JP3197223U - 植物育成室用給気パネル - Google Patents

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【課題】植物育成室内に水平層流を形成可能な給気パネルを提供する。【解決手段】植物育成室用給気パネル100は、内部空間へ空気を流入する空気流入口11aを有するパネル本体1と、パネル本体1の表壁11の少なくとも一部を構成し、多数の円形の給気孔2aを有する多孔板2と、多孔板2の裏面に垂設される格子壁3と、格子壁3に区画される風向矯正室と、パネル本体1の内部空間を流入口11aに連通する前室と風向矯正室に連通する給気室とに隔離する隔離壁5と、隔離壁5に設けられ前室と給気室とを連通すべく隔離壁5に設けられる風量調節孔62、及び風量調節孔62の開口面積を調節するダンパー61を有し前室から給気室へ流入する風量を調節する風量調節手段6とを備えている。風量調節手段6が、空気流入口11aから距離の異なる位置に複数設けられている。【選択図】図1

Description

この考案は、育苗等を行う植物育成室へ温湿度等を調節した空気の給気を行う給気パネルに関し、詳細には、植物育成室の壁面に設置して植物育成室内へ水平層流を供給する給気パネルに関する。
本考案者は、かかる給気パネルの開発に取り組んでおり、本考案に先立ち、図8に示すような縦長のスリットを給気孔901とした給気パネル900を試作している。この給気パネル900は、中空の扁平直方体の板状をなし植物育成室の壁面に貼設するもので、空気流入口から内部空間に流入させた空気を室内側となる表壁に設けた給気孔901から噴出して室内に水平層流を形成することを目的とするものである。
ところが、前記試作の給気パネル900を用いてスイカの発芽試験を行ったところ、十分な育成を行うことができず、これは、縦長スリットからなる給気孔901から吹き出される空気がやや下向きに吹き出し、スイカを栽培している土の表面に風が当たって土を乾燥させるためであると判明した。そこで、本考案者は、給気孔を縦長のスリットに代えて円形孔とするとともに、給気パネルの表壁の内面側に空気の給気方向を水平方向に矯正する格子壁を設けることに想到する。
一方、このような給気を行う壁面において給気を水平方向に矯正する上記格子壁と同様の構成が、特許文献1で提案された人工環境装置に採用されている。特許文献1の人工環境装置は、育苗室の天井内に空調室を設け、育苗室の対向する側壁の内側にそれぞれ吹き込み室と吸い込み室を設け、空調室から吹き込み室へ送られた空気は吹き込み室のハニカム構造の壁から育苗室に吹き込まれ、吸い込み室の多孔板構造の壁を通って吸い込まれ、空調室内の通風路を通って再度吹き込み室へと送られて循環されるものである。特許文献1の人工環境装置では、この吹き込み室のハニカム構造の壁が噴き出す空気を水平方向に矯正する。
特開平11−98924号公報
しかし、本考案者の想到した上記の給気パネルや特許文献1の装置では、給気パネル(特許文献1では吹き込み室)へ空気を流入させる流入口からの給気孔までの距離により各給気孔の内側の空気圧が異なるため、各給気孔から吹き出す空気の速度に大小が生じることから速度の大きい空気が速度の小さい空気の方へ傾いて給気が正確に水平に噴出しないという問題が有る。
本考案は上記課題に鑑みてなされたものであり、各給気口からの空気の噴出速度を可及的に一定にして植物育成室内に十分に水平な層流を形成可能な給気パネルの提供を目的とする。
上記課題を解決するためになされた考案は、植物育成室の側壁に設置されて該植物育成室内へ空気を供給する植物育成室用給気パネルであって、内部空間を有する中空の板状をなし該内部空間へ空気を流入する空気流入口を有するパネル本体と、前記パネル本体の表壁の少なくとも一部を構成し多数の円形の給気孔を有する多孔板と、前記多孔板の裏面に垂設される格子壁と、前記格子壁に区画される風向矯正室と、前記パネル本体の内部空間を前記流入口に連通する前室、及び前記風向矯正室に連通する給気室に隔離する隔離壁と、前記隔離壁に設けられ前記前室と前記給気室とを連通すべく前記隔離壁に設けられる風量調節孔、及び前記風量調節孔の開口面積を調節するダンパーを有し前記前室から前記給気室へ流入する風量を調節する風量調節手段とを備え、前記風量調節手段が、前記空気流入口から距離の異なる位置に複数設けられていることを特徴とする。
本考案に係る植物育成室用給気パネルは、このように、パネル本体の内部空間を風向矯正室に連通する給気室と流入口に連通する前室とに隔離すべく隔離壁を設け、空気流入口から流入した空気をいったん前室に取り込んだのち、隔離壁に設けた風量調節孔を通して前室から給気室へ空気を移すことにより、給気室内部の気圧のバラつきを抑制できることから、各給気孔から噴出される空気の速度のバラつきを抑制することができる。
また、前室から給気室へ流入する風量を調節する風量調節手段を、前記空気流入口から距離の異なる位置に複数設けることにより、空気流入口から遠いために風量が大きくなりがちな風量調節手段ほど開口を小さくすることで、給気室内の気圧のバラつきを、さらに抑制することができる。
前記風量調節孔が、円形をなし、前記ダンパーが前記風量調節孔に先端を出入させて前記風量調節孔を通る風量を調節する円錐形ダンパーからなることが好ましい。こうすることで、前室から給気室へ均等に空気を流入させることができる。
また、前記隔壁は、前記表壁に平行な平面壁を有し、前記風量調節孔は、前記平面壁に設けられ、前記円錐形ダンパーは、前記平面壁に垂直に進退することが好ましい。こうすることで、円形の風量調節孔の各部から多孔板までの距離が一定になるため、給気孔と多孔板との間の気圧のバラつきをさらに抑制できる。
以上説明したように、本考案の植物育成室用給気パネルによれば、給気室内の気圧のバラつきを抑制でき、ひいては、給気孔からの空気の噴出速度のバラつきを抑制できるため各給気孔からの空気の噴出速度を可及的に一定にして植物育成室内に十分に水平な層流を形成できる。
本考案の一の実施形態に係る植物育成室用給気パネルの部分断面正面図である。 図1のI‐I線断面図である。 図1のII‐II線断面図である。 図3の(a)風量調節孔周辺の拡大図(b)多孔板、及び格子壁の拡大図である。 図1に示した植物育成室用給気パネルの風量調節手段に用いる円錐形ダンパーの(a)III−III線断面図(b)平面図(c)側面図である。 図1に示した植物育成室用給気パネルの風量調節手段に用いるベルマウスの(a)IV−IV線断面図(b)平面図(c)側面図である。 図1に示した植物育成室用給気パネルを用いた植物育成室の平面図である。 本考案者が本考案に先だって試作した給気パネルである。
以下、適宜図面を用いながら本考案の実施形態について詳述する。ただし、本考案の植物育成室用給気パネルは、下記の実施形態に限られるものではない。
図1乃至図3は、本考案の一の実施形態に係る植物育成室用給気パネル100を示す。植物育成室用給気パネル100は、中空の板状をなすパネル本体1と、パネル本体1の表壁11の一部を構成する多孔板2と、多孔板2の裏面に垂設される格子壁3と、パネル本体1の内部空間4を前室41と給気室42(図2、図3参照)に仕切る隔離壁5と、隔離壁5に設けられて前室41から給気室42へ流入する空気の風量を調節する風量調節手段6とを備えている。
尚、以下の説明において、植物育成室用給気パネル100を植物育成室Aに設置した際に、鉛直方向、水平方向となる方向を、それぞれ植物育成室用給気パネル100の鉛直方向、水平方向とする。
パネル本体1は、図4に示すように、硬質ウレタンを鋼板によりサンドイッチしたサンドイッチ鋼板により形成される。パネル本体1は、図1に示したように、扁平直方体の箱型をなし、表壁11、裏壁12、上壁13、左壁14、右壁15及び下壁16を備えている。パネル本体1の表壁11の上部には、天井裏の空調機A1(図7参照)からの空気を流送する丸ダクトA3に連結する流入口11aが設けられている。表壁11は、矩形の開口部11bを有する枠部111と、開口部11bを塞ぐ多孔板2とを備えている。
多孔板2は、鋼板にパンチングにより多数の円形孔2aを設けた矩形のパンチングボードの四方の端辺を折り曲げて扁平の箱型に形成され、当該多数の円形孔2aが給気孔2aとなる。多孔板2は、図4(a)に示すように、裏面に重ねた格子壁3とともに、パネル本体1の開口部111aを外側から塞いで、外周部をタッピングネジ21によりパネル本体1の枠部111に固定されている。また、多孔板2は、後述する風量調節手段6のボルト65を回動させるための4個のボルト操作用孔2bを備えている(図4参照)。ボルト操作用孔2bは、通常はキャップ7により塞がれており、ボルト65を操作するときにキャップ7を外してボルト65を操作する。尚、図2、図3では、ボルト操作用孔2b、及びキャップ7は省略している。
格子壁3は、縦横に井桁状に交差する多数の帯板31により構成され、帯板31の幅方向が格子壁3の厚み方向をなし、多孔壁2に対し帯板31の幅方向が垂直となるよう多孔壁2の裏面に貼設されている。格子壁3は、内部に縦横の帯板31により区切られた多数の略四角柱の風向矯正室32を備えている。ただし、格子壁は、本実施形態のように、縦横に交差するものに限らず、風向矯正室を取り囲む壁が多孔板2に対し垂直であれば、例えばハニカム構造など、風向矯正室が四角柱以外の多角柱や円柱等に形成されるものも含む。格子壁3は、金属により形成してもよいし樹脂により形成してもよい。
隔離壁5は、図2に示すように、表壁11に平行な平面壁51と、この平面壁51の四方を囲む側壁52とを備えている。隔離壁5は、1つの開口部11b(1つの多孔板2)に対し1つずつ設けられ、パネル本体1の表壁11と裏壁12の間において、パネル本体1の内部空間を風向矯正室32に連通する3つの給気室41と1つの前室42とに隔離する。給気室41は、隔離壁5と表壁11により、略扁平の直方体状の空間に形成されている。
隔離壁5の平面壁51には、風量調節手段6が鉛直方向に4つ並べて設けられている。
風量調節手段6は、隔離壁5の平面壁51に設けられた円形の風量調節孔62と、円錐形ダンパー61とからなる。風量調節孔62は、平面壁51に設けられた円形孔51aに挿通されたベルマウス62により構成されている。円錐形ダンパー61は、パネル本体1の裏壁12に垂設されたフランジ付ナット64とフランジ付ナット64に螺合するボルト65により裏壁12に連結され、ボルト65を回動することにより風量調節孔62に対し出入して、風量調節孔62を通して前室41から給気室42へ流入する風量を調節する。
次に、上述した構成を有する植物育成室用給気パネル100の使用方法、及び作用・効果について説明する。
図7は、本考案に係る植物育成室用給気パネル100を備えた植物育成室Aを示している。図7中、左側の壁面には、給気パネル100が5枚、右側の壁面には3枚配設されている。給気パネル100の前側に設けられた多段の育成棚B上で、植物Pが育成されている。植物育成室Aは、天井裏に設けた空調機A1から、角ダクトA2、丸ダクトA3、A4を介して給気パネル100に空気を供給するよう構成されている。
丸ダクトA4から流入口11aへ送られた空気は給気パネル100の前室41に流入したのち、4個の風量調節手段6の風量調節孔62を介して、給気室42に流入する。この際、4個の風量調節孔62の開口量を全て同じにすると、流入口11aから遠い風量調節孔62ほど風量が大きくなるため、ボルト65を回動させて、流入口13aから遠い風量調節手段6ほど風量調節孔62の開口が小さくなるよう円錐形ダンパー61を進退させ、各風量調節孔62から給気室42へ流入する風量が概ね等しくなるよう調節する。
このように、各風量調節孔62から給気室42へ流入する風量を等しくすることで、給気室42内部の気圧のバラつきを抑制でき、ひいては、各給気孔2aから植物育成室Aへ吸気される風量のバラつきが抑制される。すると、風量の多い給気孔2aから噴出された空気が風量の弱い給気孔2aの方へ傾斜する現象が抑制される。
こうして、給気孔2aから噴出される空気がより正確に水平層流を形成し、空気が植物を育成している土に当たりにくくなるため、土が乾燥することを抑制できる。
本考案の植物育成室用給気パネルは、上記の実施の形態に限られるものではなく、例えば、上記の実施形態では、1つの給気パネルに、多孔板2、格子壁3、隔離壁5及び4個の風量調節手段6からなる組み合わせが、1組だけ設けられたが、この組み合わせを、1つのパネルにつき複数設けることもできる。また、1つの給気室に設けられる風量調節手段は、複数あれば4個でなくともよい。風量調節手段は、円錐形ダンパー以外のダンパーを用いることもできる。前室を複数に分割することもできるし、流入口は2つに限らず1つでも3つ以上でもよい。
100 植物育成室用給気パネル
1 パネル本体
11 表壁
11a 空気流入口
2 多孔板
2a 給気孔
3 格子壁
32 風向矯正室
4 内部空間
41 前室
42 給気室
5 隔離壁
51 平面壁
6 風量調節手段
61 風量調節孔
62 円錐形ダンパー(ダンパー)
A 植物育成室

Claims (3)

  1. 植物育成室の側壁に設置されて該植物育成室内へ空気を供給する植物育成室用給気パネルであって、
    内部空間を有する中空の板状をなし該内部空間へ空気を流入する空気流入口を有するパネル本体と、
    前記パネル本体の表壁の少なくとも一部を構成し多数の円形の給気孔を有する多孔板と、
    前記多孔板の裏面に垂設される格子壁と、
    前記格子壁に区画される風向矯正室と、
    前記パネル本体の内部空間を前記流入口に連通する前室、及び前記風向矯正室に連通する給気室に隔離する隔離壁と、
    前記隔離壁に設けられ前記前室と前記給気室とを連通すべく前記隔離壁に設けられる風量調節孔、及び前記風量調節孔の開口面積を調節するダンパーを有し前記前室から前記給気室へ流入する風量を調節する風量調節手段と
    を備え、
    前記風量調節手段が、前記空気流入口から距離の異なる位置に複数設けられていることを特徴とする植物育成室用給気パネル。
  2. 前記風量調節孔が、円形をなし、前記ダンパーが前記風量調節孔に先端を出入させて前記風量調節孔を通る風量を調節する円錐形ダンパーからなる請求項1に記載の植物育成室用給気パネル。
  3. 前記隔壁は、前記表壁に平行な平面壁を有し、前記風量調節孔は、前記平面壁に設けられ、前記円錐形ダンパーは、前記平面壁に垂直に進退する請求項2に記載の植物育成室用給気パネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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