JP3195731B2 - 試料表面に付着した有機物量の分析装置及び方法 - Google Patents

試料表面に付着した有機物量の分析装置及び方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、試料表面に付着し
た有機物量の分析方法に係り、特に、半導体素子や液晶
ディスプレイ(LCD)の製造工程において、半導体基
板やガラス基板などの試料表面に付着する有機物汚染を
定量的に評価する分析法に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子や液晶ディスプレイ(LC
D)の製造工程において、有機物が半導体基板やガラス
基板の上に形成される絶縁膜表面に付着すると、リーク
電流の増大や絶縁耐圧の低下など、半導体素子やLCD
の電気的特性に悪影響を及ぼす。かかる品質の悪化は表
面に付着する雰囲気由来の有機物量と密接な相関がある
ことが知られている。従って、表面に付着する有機物汚
染を定量的に評価する分析法があれば、この汚染の程度
が前述のような半導体素子やLCDの電気的特性の劣化
を生じる限度に達する前に基板表面を洗浄して付着有機
物を除去できるし、洗浄回数も極力減らすことが可能に
なる。
【0003】半導体基板やガラス基板の有機物表面汚染
の評価は、一般的にそれらの表面に付着した有機物量を
X線光電子分光法(XPS)によって測定する方法でな
されている。XPSは、高真空中で測定サンプルに軟X
線を照射して、サンプル表面から脱出する光電子のエネ
ルギーと数をスペクトロメータで計測することにより、
サンプル表面に存在する元素を定性・定量分析する。X
PSによる極微量の表面有機物汚染量の評価では、有機
物汚染量は、表面から深さ数十オングストロームの分析
領域内における全原子数に対する炭素原子数の割合もし
くは、上記分析領域内に存在する既知の元素の原子数に
対する炭素原子数の比で表される。
【0004】一方、固体表面を加熱することによって、
表面吸着成分を分子状態のまま脱離させ分析する、昇温
脱離分析(TDS)という方法がある。例えば、「ウェ
ハ上の吸着分子の分析評価技術(薮本周邦著、シリコン
ウェハ表面のクリーン化技術、(株)リアライズ社(1
995))、p.101〜p.108」に開示されてい
る昇温脱離分析(TDS)によれば、石英ガラス管中に
基板などの試料をセットし、全体を赤外線加熱炉で加熱
し、脱離する成分を質量分析器で検出している。石英ガ
ラス管内部には、管径よりわずかに小さくて軽い円筒状
の強磁性体を入れ、それを外側から磁石で動かすことに
より、真空中で、試料のみの移動を可能にしている。赤
外線加熱炉を、三度にわたり1000℃まで加熱し、デ
ータを取得する。まず、試料を赤外線加熱炉の加熱範囲
にある石英管の一端部の前処理位置に設置し、試料室
を真空に排気する。その状態で、赤外線加熱炉を加熱
し、管壁に付着している成分を脱離させる。試料室が室
温まで下がった後、再び赤外線加熱炉を一定速度で加熱
し、この時、四重極質量分析器で検出される値をバック
グラウンド分とする。最後に、試料を前処理位置から炉
の中央の測定位置に移動して三度目の加熱を行う。この
データから先に測定したバックグラウンド分を差し引い
た値を試料からのみのスペクトルとする。また、四重極
質量分析器をガスクロマトグラフィと質量分析器を組み
合わせたGC−MSと呼ばれる機器で代替してやれば、
より完全な定性定量分析も可能になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のXPSは、半導
体基板やガラス基板表面の有機物汚染の評価法として有
効である。しかしながら、XPSは超高真空中に試料を
入れて測定するため、物理吸着した低分子成分は測定ま
でに真空中に飛散してしまい、評価の対象にならないと
いう欠点がある。つまり、XPSで分析される表面有機
汚染物は、化学吸着成分と高分子量成分である。
【0006】ところで、Siウェハ表面の有機物は、図
6に模式的に示すように、Siウェハ表面に化学吸着し
ている成分、物理吸着している低分子量化合物成分と高
分子量化合物成分の3種類に分類される。化学吸着した
成分は下地との結合が極めて強固であるため、有機溶剤
洗浄や真空引きなどでは簡単に除去されないものであっ
て、高温まで加熱してようやく除去できるものと考えら
れる。一方、物理吸着している低分子量有機物は下地と
の強固な結合がないため、周囲雰囲気中の成分との間で
平衡状態になっている可能性が高い。従って、雰囲気中
の有機物濃度が低くなれば、自然に表面から脱離し徐々
に減少するもので、特に超真空中に入れた場合には、す
ぐさま表面から消えて無くなるものと考えられる。ま
た、高分子量付着物は特に強固な結合が基板との間にあ
るわけではないが、分子量が大きいため蒸気圧が極めて
低く、簡単には表面から散逸しないものである。
【0007】このように、従来のXPSで検出できる表
面有機物は、元々付着していた表面有機汚染物から低分
子量有機物を除いた残りのみである。しかし、半導体素
子やLCDの電気的特性の悪化は、表面に付着する有機
物量と密接な相関があるから、元々表面に付着していた
すべての表面有機汚染物を定量的に評価できる分析法が
現在要求されている。
【0008】一方、TDSでは、質量分析器で検出され
たイオン強度のピークの各質量数がどのような化学物質
に対応するかを判定する必要がある。判定にあたって
は、同じ質量数のイオン強度のピークであっても、異な
る温度レベルで検出されるときには物質が異なるため、
相当な化学的知識が要求され、熟練者でなければ判定作
業を行えない。さらに、ガスクロマトグラフィと質量分
析器を組み合わせたGC−MSと呼ばれる分析法を利用
することによって、イオン強度のピークの各質量数がど
のような化学物質に対応するかが明かになっても、その
イオン強度を定量化するためには、各化学物質ごとにイ
オン強度と濃度とを対応させる検量線をあらかじめ標準
サンプルの測定によって作成しておかなければならない
という煩雑さを伴う。このように、TDSは、化学分析
に極めて熟練した者のみができる方法であって、検出さ
れる有機物の種類が多い場合に、各々の検量線を作成す
ることは相当手間がかかり、表面有機汚染物の総量を定
量化することは事実上不可能に近い。
【0009】本発明は、従来の試料表面に付着した有機
物量の測定方法が有する上記問題点に鑑みてなされたも
のであり、半導体基板表面やガラス基板表面などの清浄
度を要求される製品表面を汚染している有機物量を炭素
換算で正確に分析することが可能な新規かつ改良された
試料表面に付着した有機物量の分析方法を提供すること
である。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の第1の観点により構成される試料表面の有
機物量の分析装置は、請求項1に記載のように、気密チ
ャンバ内に収容された試料表面に付着した有機物を活性
化する有機物活性化手段と、気密チャンバ内に所定流量
で少なくとも前記試料表面に二次汚染を生じさせない程
度にまで精製された高純度ガスを導入する高純度ガス供
給手段と、高純度ガス中に含有されるガス状炭化水素類
を触媒燃焼法により二酸化炭素と水に分解する有機物分
解手段と、有機物分解手段の下流にあって高純度ガス中
の二酸化炭素濃度を検出する質量分析計と、質量分析計
により検出された二酸化炭素濃度と高純度ガスの流量と
の関係から試料表面に付着した有機物量を求める演算手
段とを備えている。かかる簡単な構成により、低分子量
有機物を含め元々付着していた表面有機汚染物を炭素換
算で定量化することができる。
【0011】なお、上記分析装置の有機物活性化手段と
しては、請求項2に記載のような、試料の少なくとも評
価表面を加熱して、評価用試料から表面有機汚染物を昇
温脱離する加熱手段や、請求項3に記載のような、試料
の評価表面に対して紫外線を照射して、評価用試料表面
と有機物分子間の結合を切断するエネルギーを付与する
紫外線照射手段や、請求項4に記載のような、紫外線照
射手段と加熱手段とを組み合わせた構成を用いることが
できる。なお、加熱手段を、請求項5に記載のように、
試料の評価表面の温度を段階的に上昇させることが可能
なように構成すれば、異なる温度レベルごとの表面付着
有機物の脱離量を測定することが可能となる。例えば、
200℃の加熱温度でウェハ表面に元々付着していた有
機汚染物の60%が脱離し、400℃の加熱温度でウェ
ハ表面に元々付着していた有機汚染物の残りの40%が
脱離するといった情報を得ることができる。
【0012】さらに、請求項6に記載のように、気密チ
ャンバの内面を石英ガラスで構成することにより、装置
内面からの不純物ガスの脱気を防止し、分析精度をさら
に向上させることができる。つまり、石英ガラス表面は
走査型電子顕微鏡で観察しても極めて平滑であり、この
平滑面に吸着した表面有機汚染物は昇温脱離やUVオゾ
ン洗浄によって容易に脱離してしまう。石英ガラス表面
のクリーニングを行った後で、評価用基板からの脱ガス
成分のみを精度良く測定することが出来る。一方、これ
ら装置内面を石英ガラスで構成せずに、ガス系一般に使
用されているステンレス鋼で構成した場合、その内表面
を走査型電子顕微鏡で観察すると、加工工程で発生した
と思われるシワ状の凹凸が無数に存在しており、この凹
凸表面に吸着した表面有機汚染物は昇温脱離やUVオゾ
ン洗浄によっても容易には脱離しない。従って評価用基
板からの脱ガス成分を測定する場合にも装置内部の金属
表面から持続的に脱離したガス成分が加わり、評価用基
板からの脱ガス成分の測定に大きな誤差を生じるおそれ
がある。
【0013】また評価用試料の表面から脱離した有機汚
染物のガス成分が混合する気相媒体として使用される高
純度ガスとしては、請求項7に記載のように、窒素ガス
やアルゴンガスなどのような不活性ガスや精製ドライエ
アを使用することができる。なお、本発明による分析精
度を向上させるために、導入される高純度ガスは、少な
くとも前記試料表面に二次汚染を生じさせない程度にま
で精製されている必要があり、例えば、総不純物ガス濃
度が5ppb以下に制御されたものを使用することが可
能である。
【0014】さらに本発明の第2の観点によれば、請求
項8に記載のように、少なくとも前記試料表面に二次汚
染を生じさせない程度にまで精製された高純度ガスが所
定流量で供給される気密チャンバ内に収容された試料表
面に付着した有機物を活性化する工程と、高純度ガス中
に含有されるガス状炭化水素類を触媒燃焼法により二酸
化炭素と水に分解する工程と、高純度ガス中に含有され
る二酸化炭素濃度を検出する工程と、不活性ガスの流量
と二酸化炭素濃度との関係から試料表面に付着した有機
物量を定量化する工程と、から成る試料表面に付着した
有機物の分析方法が提供される。なお、上記方法におい
て、請求項9に記載のように、有機物の活性化は段階的
に行われることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら、
本発明にかかる好適な実施の形態について詳細に説明す
る。
【0016】図1には、試料表面の有機物を活性化する
ために加熱炉を採用した、本発明の実施の第1の形態に
かかる試料表面に付着した有機物の分析装置の概略構成
が示されている。図示の装置において、高純度ガス供給
源102は、窒素ガスボンベ104、マスフローコント
ローラ106、モレキュラシーブズ108から構成され
ており、基板などの試料110が収容された石英ガラス
管112に総不純物ガス濃度が5ppb以下に制御され
た窒素ガスを供給することができる。なお、マスフロー
コントローラ106は窒素ガス流量の測定用の装置、モ
レキュラシーブズ108は窒素ガス中の不純物除去用の
装置である。また、上記実施の形態では、評価用試料を
収納する気密チャンバとして石英ガラス管を使用した例
を示したが、本発明はかかる例に限定されず、アルミニ
ウムやステンレス製のチャンバを使用し、その内壁面に
石英ガラスを貼設した構成を採用することも可能であ
る。
【0017】評価用試料110として、例えば4インチ
のシリコンウェハを使用できる。石英ガラス管112の
外周部には赤外線加熱炉114が設置されており、石英
ガラス管112中にセットされた評価用試料110全体
を加熱し、評価用試料110の表面に付着した有機物を
活性化する。加熱炉114は評価用試料110の温度を
段階的に上昇させる機構を備えている。評価用試料11
0の表面に付着した元素や分子は、試料表面の温度が上
昇するにつれ、活性化され、結合の弱いものから順次脱
離する。ガス供給源102から供給された窒素ガスは、
石英ガラス管112内において評価用試料110表面か
ら活性化され昇温脱離した有機汚染物のガス成分と混合
する。このようにして、加熱炉114により活性化され
昇温脱離したガス状炭化水素類の量は窒素ガス流量と比
較すれば微々たるものである。しかし、本実施の形態に
よれば、触媒燃焼法によって、炭素換算することにより
定量化することが可能である。
【0018】すなわち、上記混合ガス中に含まれるガス
状炭化水素類は、石英ガラス管112の下流に配置され
た反応筒116において触媒燃焼法によって二酸化炭素
と水に分解される。二酸化炭素と水を含んだ窒素ガス
は、反応容器116の下流に配置された大気圧質量分析
計118(Atmospheric Pressure Ionization Mass Spe
ctrometer: APIMS)に導入される。APIMSで質量数
44(二酸化炭素に対応)の相対イオン強度を測定す
る。この相対イオン強度は、予め作成しておいた検量線
を利用して、窒素ガス中の二酸化炭素濃度に換算され
る。APIMSからの放出ガス量はマスフローメータ1
20により測定される。マスフローメータ120の測定
流量とマスフローコントローラ106の測定流量はほぼ
一致するはずである。そして、不図示の演算装置によ
り、窒素ガス中の二酸化炭素濃度と窒素ガスの測定流量
の経時変化を監視し濃度と流量の積を時間について積分
してやれば、評価用基板110から脱離した炭素換算の
有機物の総量が求まる。なお、図3には、APIMSに
よって測定した窒素ガス中の二酸化炭素濃度と相対イオ
ン強度の相関を示す検量線の一例を示す。
【0019】図2は反応筒116の詳細である。有機物
のガス状成分を含む窒素ガスを圧縮器122によって、
途中、ガスフィルタ124、圧力計126、流量計12
8を介して、所定の温度、例えば420℃に加熱した反
応容器130に送気される。そして、反応容器130に
おいて、ガス中に含まれる炭化水素類は、加熱器132
により加熱され、白金またはパラジウムを酸化触媒とし
て、次式(1)に従って、完全に燃焼分解される。な
お、図中134は、温度指示調整警報器である。 2Cnm+(m/2+2n)O2−−→ 2nCO2+mH2O (1) このようにして、炭化水素類を燃焼・分解されたガス
は、フィン付き熱交換器136によって室温まで冷却さ
れ、外部に取り出される。
【0020】なお、図1の本装置を構成する各部材同
士、例えばガス供給源102、石英ガラス管112、反
応筒116、質量分析計118などは、内面を電解研磨
した不純物発生の恐れのないステンレス配管系で接続す
ることが好ましい。
【0021】次に、図1及び図2に示す分析装置の一実
施例について説明する。まず、評価用試料110として
4インチのシリコンウェハの両面を洗浄して、表面の有
機物や自然酸化膜を除去後、約1週間クリーンルーム雰
囲気中に放置した。放置後のウェハを図1の分析法に示
す石英ガラス管112中にセットし、400℃に加熱し
た。1リットル/分の窒素ガスを200分間流しながら
表面付着有機物を脱離したところ、APIMS118で
測定された窒素ガス中の二酸化炭素濃度の平均値は20
0ppbであった。これは2.1×10-5gの炭素がシ
リコンウェハ表面に付着していたことを示す。炭素原子
1個に相当する有機物の占める体積を3オングストロー
ムの立方体と仮定すると、ちょうど12分子層に相当す
る有機物が表面に付着していたことになる。
【0022】なお、評価用試料110を入れる加熱炉1
14が評価用試料110の温度を段階的に上昇させる機
構を備えることによって、異なる温度レベルにおける表
面有機汚染物の脱離量を測定することも可能である。例
えば、200℃の加熱温度でウェハ表面に元々付着して
いた有機汚染物の60%が脱離し、400℃の加熱温度
でウェハ表面に元々付着していた有機汚染物の残り40
%が脱離するといった情報を得ることができる。なお、
本実施例において評価用基板であるシリコンウェハの温
度を200℃,400℃,600℃と段階的に上げて同
様の測定を行ったが、200℃の脱離量は元々の付着量
の60%、400℃の脱離量は元々の付着量の40%、
600℃の脱離量はゼロであった。これは、ウェハ表面
を400℃まで加熱すれば、表面有機汚染物は完全に脱
離することを示している。この情報は製造プロセスで極
めて有用である。シリコンウェハの熱酸化膜形成プロセ
スを例にとると、400℃でアニーリングを行って酸化
膜を形成する高温プロセスでは酸化膜中に炭素が残存す
ることはないが、200℃でアニーリングを行った酸化
膜を形成する低温プロセスでは酸化膜中に40%の炭素
が残存して品質不良の原因となりうる。
【0023】図4には、本発明にかかる試料表面に付着
した有機物量の分析装置の実施の第2の形態について説
明する。なお、図4に示す実施の第2の形態では、図1
に示す分析装置の石英管112と加熱炉114の代わり
に紫外線オゾン洗浄装置150を使用するとともに、窒
素ガス源104の代わりに精製ドライエア源152を使
用して、試料表面から離脱した有機物が混合する気相媒
体としてドライエアを使用している。かかる点を除き、
この実施の第2の形態の基本的な構成および機能は、実
施の第1の形態とほぼ同様なので、同じ構成及び機能を
有する構成要素については、同一の番号を付することに
より重複説明を省略する。
【0024】紫外線オゾン洗浄装置は、内面が石英ガラ
スで構成された金属製、例えばステンレス製の気密チャ
ンバ154と、その気密チャンバ154内に設置され
て、不図示の電気ヒータを内蔵した石英ステージ156
と、この石英ステージ156上に載置される評価用基板
158に対向するように気密チャンバ154の上方に設
置される紫外線灯160とから構成されている。
【0025】ところで、試料表面に付着あるいは化学結
合した有機汚染物質を除去するためには、分子間の結合
あるいは基板表面と有機物分子間の結合を切断しなけれ
ばならない。紫外線オゾン洗浄とは、この炭素化合物の
化学結合を切断するのに要するエネルギーを紫外線で与
え、さらに、オゾンの生成あるいは分解時に生じる原子
状活性酸素[O]の強力な酸化力を効率よく組み合わせ
ることにより、高分子化合物を酸化分解して低分子化合
物とし、さらにH2O,CO2,NOXなどの気体にまで
酸化して揮発除去する技術である。
【0026】有機化合物の代表的な結合エネルギーを図
5に示すが、例えばC−C結合では347.7KJ/m
ol、C−H結合では413.4KJ/molの結合エ
ネルギーを持つ。電磁波の持つエネルギーEは、その光
の波長λとつぎの式の関係がある。 E=hc/λ ……………… (1) ここで、 h=プランクの定数[6.626×10-34
J・sec] c=光速[2.998×108m/sec]
【0027】例えば、低圧水銀灯の主波長である25
3.7nmの紫外線の持つエネルギーは471.5KJ
/molとなり、C−C結合やC−H結合を切断するこ
とが可能となる。低圧水銀灯の発光スペクトルである2
53.7nmや184.9nmの紫外線を使えば炭素化
合物を分解できるが、分解によって生成した物質は化学
的に活性であり、放置すればまた新たな結合を始め、基
板表面から除去しにくくなる。そこで、化学結合を切断
すると同時に速やかに、分解によって生成した物質を揮
発除去する工程が必要になる。
【0028】この揮発除去工程を行うために、紫外線オ
ゾン洗浄ではオゾンの持つ強力な酸化作用が利用され
る。すなわち、オゾンにより紫外線によって分解された
有機物を酸化してCO2やH2Oに変えて気化飛散させ
ることができる。外部よりオゾンを供給しても良いが、
都合の良いことに紫外線オゾン洗浄で使用される低圧水
銀灯の紫外線はオゾン生成につぎのような役割を果た
す。
【0029】酸素ガス成分O2は200nm以下の極短
波長光を吸収して原子状活性酸素[O]およびオゾンを
発生する。 λ<200nm O2 → 2[O] …(2) [O]+O2 → O3 …(3) 生成したオゾンは、255nm近傍の紫外線を吸収して
分解し、原子状活性酸素および酸素を発生する。一部は
再びオゾンとなり再分解する。 λ〜250nm O3 → [O]+O2 …(4) [O]+O2 → O3 …(5)
【0030】これらのオゾンの生成あるいは分解時に生
じる原子状活性酸素は、非常に強力な酸化剤として有機
物の結合を切断し、さらに解離された元素を炭酸ガスと
水などの揮発性物質に変える働きをする。これらの役割
に要する紫外線のスペクトルが、手軽に入手できる低圧
紫外線灯の発光スペクトル184.9nmおよび25
3.7nmとほぼ一致することは、紫外線オゾン洗浄に
身近な光源を利用できることを意味する。従って、図4
に示す紫外線オゾン洗浄装置150において、低圧紫外
線灯160より紫外線を、評価用試料158の表面に照
射することにより、評価用試料158の表面有機物汚染
物を効果的に脱離させることができる。なお、紫外線オ
ゾン洗浄によって表面有機汚染物を脱離する場合でも、
評価用試料158を加熱した方が脱離しやすいため、評
価用試料158は石英ステージ156に内蔵された電気
ヒータにより段階的に例えば200℃にまで加熱され
る。この実施の第2形態においても、表面付着有機物量
の測定結果から、実施の第1形態の場合とほとんど同様
の効果を得ることができた。
【0031】以上、添付図面を参照しながら本発明にか
かる試料表面に付着した有機物量の分析装置及び方法の
好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる
例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれ
ば、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範疇におい
て各種の変更および修正に想到することは明らかであ
り、それらについても本発明の技術的範囲に属するもの
と了解される。
【0032】例えば、上記実施の形態では、評価用試料
として4インチのシリコンウェハを使用したが、本発明
はかかる例に限定されず、各種寸法のウェハやLCD用
ガラス基板などの試料も表面有機物汚染を評価するため
に使用することができることは言うまでもない。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
半導体基板表面やガラス基板表面などのように清浄度を
要求される製品表面を汚染している有機物を、紫外線オ
ゾン洗浄装置や加熱装置などにより活性化し、それによ
って生じたガス状炭化水素類を触媒燃焼法により二酸化
炭素と水に分離することにより、表面有機物汚染量を炭
素換算で正確に分析し、評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる試料表面に付着した有機物量の
分析装置の実施の第1形態の概略構成を示す構成図であ
る。
【図2】図1に示す分析装置の構成のうち、触媒燃焼法
による反応筒の概略構成を示す構成図である。
【図3】窒素ガス中の二酸化炭素濃度と相対イオン強度
の相関を示すグラフである。
【図4】本発明にかかる試料表面に付着した有機物量の
分析装置の実施の第2形態の概略構成を示す構成図であ
る。
【図5】有機化合物の代表的な結合エネルギーを示す表
である。
【図6】シリコンウェハの有機汚染物の様子を示す模式
図である。
【符号の説明】
102 高純度ガス供給源 104 窒素ガスボンベ 106 マスフローコントローラ 108 モレキュラシーブズ 110 評価用試料 112 石英ガラス管 114 赤外線加熱炉 116 反応筒 118 大気圧質量分析計(APIMS) 120 マスフローメータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−83808(JP,A) 特開 昭60−143767(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/62 - 27/70 G01N 31/00 - 31/12 H01J 49/00 - 49/48 H01L 21/66 JICSTファイル(JOIS)

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料表面に付着した有機物量の分析装置
    において、 気密チャンバ内に収容された試料表面に付着した有機物
    活性化する有機物活性化手段と、 前記気密チャンバ内に所定流量で少なくとも前記試料表
    面に二次汚染を生じさせない程度にまで精製された高純
    度ガスを導入する高純度ガス供給手段と、 前記高純度ガス中に含有されるガス状炭化水素類を触媒
    燃焼法により二酸化炭素と水に分解する有機物分解手段
    と、 前記有機物分解手段の下流にあって、前記高純度ガス中
    の二酸化炭素濃度を検出する質量分析計と、 前記質量分析計により検出された二酸化炭素濃度と前記
    高純度ガスの流量との関係から試料表面に付着した有機
    物量を求める演算手段と、 を備えたことを特徴とする、試料表面に付着した有機物
    量の分析装置。
  2. 【請求項2】 前記有機物活性化手段は、前記試料の少
    なくとも評価表面を加熱する加熱手段であることを特徴
    とする、請求項1に記載の試料表面に付着した有機物量
    の分析装置。
  3. 【請求項3】 前記有機物活性化手段は、前記試料の評
    価表面に対して紫外線を照射する紫外線照射手段である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の試料表面に付着し
    た有機物量の分析装置。
  4. 【請求項4】 前記有機物活性化手段は、前記試料の評
    価表面に対して紫外線を照射する紫外線照射手段と、前
    記試料の少なくとも評価表面を加熱する加熱手段とを備
    えていることを特徴とする、請求項1に記載の試料表面
    に付着した有機物量の分析装置。
  5. 【請求項5】 前記加熱手段は、前記試料の評価表面の
    温度を段階的に上昇させることが可能であることを特徴
    とする、請求項2または4に記載の試料表面に付着した
    有機物量の分析装置。
  6. 【請求項6】 前記気密チャンバの内面は石英ガラスで
    構成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいず
    れかに記載の試料表面に付着した有機物の分析装置。
  7. 【請求項7】 前記高純度ガスは、不活性ガスまたは精
    製ドライエアであることを特徴とする、請求項1〜6の
    いずれかに記載の試料表面に付着した有機物の分析装
    置。
  8. 【請求項8】 試料表面に付着した有機物量を分析する
    にあたり、 少なくとも前記試料表面に二次汚染を生じさせない程度
    にまで精製された高純度ガスが所定流量で供給される気
    密チャンバ内に収容された試料表面に付着した有機物を
    活性化する工程と、 前記高純度ガス中に含有されるガス状炭化水素類を触媒
    燃焼法により二酸化炭素と水に分解する工程と、 前記高純度ガス中に含有される二酸化炭素濃度を検出す
    る工程と、 前記高純度ガスの流量と二酸化炭素濃度との関係から試
    料表面に付着した有機物量を定量化する工程と、 から成ることを特徴とする試料表面に付着した有機物の
    分析方法。
  9. 【請求項9】 前記有機物の活性化は段階的に行われる
    ことを特徴とする、請求項8に記載の試料表面に付着し
    た有機物の分析方法。
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