JP3193993B2 - 外壁エクスパンションジョイント - Google Patents

外壁エクスパンションジョイント

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JP3193993B2 JP9433397A JP9433397A JP3193993B2 JP 3193993 B2 JP3193993 B2 JP 3193993B2 JP 9433397 A JP9433397 A JP 9433397A JP 9433397 A JP9433397 A JP 9433397A JP 3193993 B2 JP3193993 B2 JP 3193993B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、隣り合わせに建
てられた2つの建物の外壁間の隙間をパネルにより遮へ
いするジョイントであって、地震発生時に該パネルの損
壊を防止するようにした外壁エクスパンションジョイン
トに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、地震時に隣り合う両建物外壁が、
室内外方向または左右方向において、互に反対方向に揺
れた場合に対応できる外壁エクスパンションジョイント
として、一方の建物外壁にパネルの一側端部を上下方向
の回転中心をもつヒンジにより揺動開閉自在に軸支し、
上記パネルの他側端部を他方の建物外壁の室外がわ凹部
に当接すると共に該当接面を室外がわ程上記ヒンジから
遠ざかる傾斜面に形成し、このようなパネルをバネによ
り常時室内方向に弾発した構造をとり、地震発生時に、
上記パネルのヒンジを中心とする揺動、パネル他側端部
の傾斜面におけるスライドによって両建物外壁間の変位
を吸収させようとするものが知られている(特開平6−
129024)。
【0003】しかし、上記の従来ジョイントでは、上記
パネルの他側端部と他方の建物外壁との傾斜面がバネに
より圧接しているため、地震発生時に、特に左右方向に
おける建物間隙を縮小する揺れにおいて上記パネルと建
物外壁の傾斜面が相当激しく衝突し、しかる後傾斜面に
沿ったスライドを行うこととなり、この衝突によりパネ
ルおよび建物外壁に変形や破損を与える危険があり、特
にパネルや外壁にガラスを使用した場合にその危険が大
きく、実際上ガラスの使用は困難となる欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本願請求項の発明
は、地震発生時にパネルと建物外壁との衝突を回避し、
それらの安全を確保すると共にパネルおよび建物外壁に
ガラスの使用を実現することを課題とする。
【0005】本願請求項の発明は、上記請求項1の
題に加え、地震発生時に上記パネルを積極的に解放し
て、さらにパネルの安全を確保することを課題とし、
【0006】本願請求項の発明は、上記請求項の課
題に加え、上下の揺れに対してパネルの上下方向の回転
中心をもつ枢軸を確実に保持することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決のため、
本願請求項1の発明は、隣り合う建物の外壁間隙におい
て、パネルの一側端部を一方の建物外壁に上下方向の回
転中心をもつ枢軸により揺動開閉自在に支持すると共
に、該パネルの他側端部を他方の建物外壁の室外がわに
位置させ、上記パネルの他側端部と他方の建物外壁と
を、上記パネル他側端部および他方の建物外壁にそれぞ
れ係合溝を、その溝口を互にほぼ同一横方向へ向けて設
けると共に、上記両係合溝に連結部材を係脱自在に係合
して両者を連結し且つ地震により該連結部材を上記係合
から離脱させて上記連結を解除するようにして、地震に
より連結解除可能に連結した、外壁エクスパンションジ
ョイントに構成し、
【0008】
【0009】本願請求項の発明は、上記パネルの室内
がわに設けた弾性材により該パネルに常時解放方向へ付
勢し、該付勢により上記連結手段の連結解除時に該パネ
ルが解放するようにした、請求項1に記載の外壁エクス
パンションジョイントに構成し、
【0010】さらに本願請求項の発明は、上記パネル
を支持する枢軸が、該パネルの下端部を受支する短軸
と、該パネルの上端から上方へ突出する長軸とからな
り、上記長軸を、建物躯体に固定された軸受部材に少く
とも上下方向に摺動自在に支持させた、請求項1または
2に記載の外壁エクスパンションジョイントに構成して
ある。
【0011】上記各請求項における「パネル」とは、ガ
ラス板、ガラス嵌めこみ障子、金属板、コンクリート板
等種々のものを含む。
【0012】また、上記請求項における「弾性材」に
は、鋼材トーションバー、コイルバネ、板バネ、その他
種々のものを含む。以下図面を参照して本願発明の実施
例について説明する。
【0013】
【実施例】図1において、2つの建物(A)、(B)が
互に間隙(d)をあけて隣り合わせに建てられ、各建物
(A)、(B)の外壁面は、嵌め殺しガラス(1a)
…、(1b)…、突き出しガラス障子(2a)…、(2
b)…、および嵌め殺しアルミパネル(3a)…、(3
b)…によりそれぞれ構成してあり、これら両建物
(A)、(B)の間隙(d)における一部すなわち嵌め
殺しガラス(1a)、(1b)間に本願発明の外壁エク
スパンションジョイントを設けてある。
【0014】上記外壁エクスパンションジョイント
(4)は、上記建物の間隙(d)を遮へいするパネルと
してガラス嵌めこみ障子(5)を使用し、該ガラス障子
(5)は、左右縦框(6)、(7)および上下横框
(8)、(9)からなる框枠にガラス(10)を嵌めこ
んだもので、その縦框(6)、(7)は、図2、5に示
すように横断面においてガラス嵌め溝を有する本体(1
1)、(12)の室内がわ側面に、該ガラス嵌め溝と同
方向に開口するコ字状のパネルがわ係合溝部(13)、
(14)を突設してあり、他の上下横框(8)、(9)
も上記縦框(6)、(7)と同一の横断面形状である。
【0015】一方、上記両建物(A)、(B)外壁の間
隙(d)がわ端部に、上記縦框(6)、(7)の係合溝
部(13)、(14)に対応する位置に、横断面コ字状
の溝部であって、その一側部に横断面矩形C形のタイト
材嵌め溝部(17)、(18)を突設された外壁がわ係
合溝部(15)、(16)を、その係合溝の溝口を上記
障子(4)の対応する係合溝部(13)、(14)の溝
口とそれぞれ同方向へ向けると共に、タイト材嵌め溝
(17)、(18)を障子(4)の対応する係合溝部
(13)、(14)の各側面に向けた状態で、それぞれ
固定してある。
【0016】上記のようなパネルがわ係合溝部(1
3)、(14)および外壁がわ係合溝部(15)、(1
6)の各溝内に、それら係合溝部の全長に及ぶ長さで、
横断面矩形C形のゴム等柔軟弾性材からなるパッキング
(19)…をそれぞれ挿入保持させると共に、上記外壁
がわ係合溝部(15)、(16)のタイト材嵌め溝(1
7)、(18)に、該嵌め溝全長に及ぶ長さのゴム等柔
軟弾性材からなる水密タイト材(20)、(20)を嵌
めつけてある。
【0017】上記のようなガラス障子(5)の左縦框
(6)を上記外壁がわ係合溝部(15)の室外がわに位
置させると共に、右縦框(7)を上下方向に回転中心を
もつ枢軸により揺動開閉自在に軸支してある。
【0018】上記ガラス障子(5)の揺動開閉軸支構造
は次のようである。上記障子(5)の下位の建物間隙
(d)を遮へいすべく取りつけられたパネル(21)上
に、上記障子の右縦框(7)に対応する位置に図4のよ
うに短軸のピボット軸(22)を突設すると共に、下框
(9)の上記ピボット軸(22)に対応する位置にピボ
ット受け(23)を固定し、該ピボット受け(23)を
ピボット軸(22)に回転自在に支持させてピボットヒ
ンジを構成し、一方上記障子(5)の上框(8)上面
に、図3のように上記ピボット受け(23)の軸心線延
長上に長軸(24)を突設し、この長軸(24)を、建
物躯体に固定されたファスナー(25)、(26)を介
してボルト(27)、ナット(28)により水平に固定
された軸受板(29)に回転自在かつ軸方向摺動自在に
支持させてある。
【0019】上記軸受板(29)の軸孔(30)は、本
例では図8のように左右方向の長孔に形成してある。
【0020】上記パネルがわ係合溝部(13)、(1
4)および外壁がわ係合溝部(15)、(16)を用い
て、障子(5)を外壁がわに連結する連結材(31)
は、特に図5に示すように横断面において2つの係合片
(32)、(32)を平行に突出し、突出先端部を若干
広幅のカギ状に形成した、本例ではアルミ合金製のもの
で、上記係合溝部とほぼ同長にしてある。
【0021】連結するには、まず上記障子(5)の左右
の係合溝部(13)、(14)の各側面を、外壁がわ係
合溝部(15)、(16)のタイト材(20)、(2
0)に圧接した状態で、上記連結材(31)、(31)
の各係合片(32)(32)、…を上記係合溝部(1
3)(15)、(14)(16)の各パッキング(1
9)(19)、…内にそれぞれ圧入する。それにより障
子(5)が両隣りの外壁ガラス(1a)、(1b)より
も室外がわに位置して建物間隙(d)を水密に閉塞する
状態に連結することとなる。その場合上記連結材(3
1)は、その係合片(32)、(32)がパッキング
(19)、(19)により弾性的に挾持されている状態
であるから、隣り合う建物(A)、(B)が室内外方向
または左右方向において互に反対方向に揺れたときは、
該連結材(31)の係合片(32)、(32)の一方ま
たは両方が係合溝部から離脱して連結を解除し、それに
より該障子(5)の安全を保つ。
【0022】上記連結を解除された障子(5)の安全を
さらに確実に保つため障子開放装置が設けられている。
図6、7において、障子(5)の上框(8)におけるほ
ぼ中央位置に適宜左右幅を有する受動板(33)をネジ
(34)…により垂直に突設し、一方躯体の梁(35)
に長箱状のバネケース(36)をボルト(37)、ナッ
ト(38)により垂直に固定し、該バネケース(36)
内において鋼棒からなるトーションバー(39)の一端
部を屈曲してケース(36)の上端近くに固定すると共
に、バー下端部をケース(36)の下端壁を回転自在に
貫通してケース外に突出し、突出端部にアーム(40)
の一端部を水平に固着し、このアーム(40)の他端部
に軸(41)により回転自在に取りつけたコロ(42)
を上記受動板(33)に室内がわから当接してある。こ
の場合上記コロ(42)は、障子(5)の連結時にトー
ションバー(39)に捩れを与えた状態で上記受動板
(33)に圧接し、かつアーム(40)を図7のように
障子(5)面に対し斜めに位置させる関係にあり、それ
により障子(5)に室外方向へ揺動開放すべく弾性的に
付勢し、障子(5)の連結が解かれた時にその付勢によ
り障子(5)が開くようにしてある。
【0023】なお、図3および図6において、障子
(5)の室外がわ上面に張設されている天板(43)は
ゴム等の屈撓自在の弾性板で、障子(5)の開放時に適
宜屈撓して障子(5)の開閉を許容する。障子(5)の
下框(9)がわにも上記障子開放装置と実質的に同一の
ものが設けられている。
【0024】上例の作用を次に説明する。障子(5)が
連結材(31)、(31)により外壁がわに連結された
図2の状態において、地震発生により両建物(A)、
(B)が図9(イ)に示すように左右方向において互に
間隔(d)を(d1)に短縮する方向へ揺れたときは、
左側の連結材(31)が外壁がわ係合溝部(15)に係
合したまま障子(5)の左縦框(6)がわ係合溝部(1
3)から離脱して障子(5)を建物外壁と衝突すること
のない安全状態に保持するが、その際上記連結材(3
1)の連結解除により上記トーションバー(39)の弾
発力によりアーム(40)、コロ(42)および受動板
(33)を介して障子(5)を室外がわへ開放し、それ
により障子(5)を他の部材と衝突することのないさら
に安全な状態におく。
【0025】また、両建物(A)、(B)が間隔(d)
を(d2)に拡大する方向に揺れたときは、図9(ロ)
のように左側の連結材(31)が障子(5)の係合溝部
(13)に係合したまま外壁がわ係合溝部(15)から
離脱し、それと共にトーションバー(39)により障子
(5)を開放させる。
【0026】次に、両建物(A)、(B)が図10
(イ)または(ロ)に示すように室内外方向において互
に反対方向に揺れたときは、左側の連結材(31)が例
えば外壁がわ係合溝部(15)に係合したまま障子
(5)がわ係合溝部(13)から離脱して連結を解除
し、それと共にトーションバー(39)により障子
(5)を開放させる。
【0027】このほか上記図9と図10との複合した各
種の揺れにおいても、上例に準じて連結材(31)の連
結解除および障子(5)の開放を行って障子を安全に保
つ。地震がおさまったら、上記障子(5)を閉止し、上
記連結材(31)を元の状態に係合して連結する。
【0028】
【発明の効果】本願請求項の発明よれば、地震発生時
に連結手段の連結解除により、パネル他側端部を他方の
建物外壁の室外がわに位置させた状態で、該パネルを両
建物の反対方向の揺れに影響されないフリーの状態にお
くことができるから、パネルと建物外壁との衝突の危険
を除くことができ、それに伴いパネルおよび建物外壁に
ガラスの使用を可能にするのである。
【0029】本願請求項の発明よれば、上記請求項
の発明の効果に加え、地震発生時に上記連結手段の連結
が解除されると、パネルを弾性材により積極的に解放さ
せ、それによりパネルを他の部材から遠く離間させてパ
ネルおよび他の部材のさらなる安全を確保することがで
きるのである。
【0030】本願請求項の発明よれば、上記請求項1
または2の発明の効果に加え、地震発生時において建物
の上下の揺れが生じても、パネル上端から上方へ突出す
る長軸と軸受部材との軸支状態を維持し、パネルの枢軸
支持を常に確保することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】2つの建物のエクスパンションジョイント部分
の正面図である。
【図2】図1のII−II線一部省略拡大断面図であ
る。
【図3】図2のIII−III線に沿う障子の上部軸支
構造の断面図である。
【図4】同上障子の下部軸支構造の断面図である。
【図5】連結材と係合溝部の解除の略線図である。
【図6】図2のVI−VI線に沿う障子開放装置の縮小
断面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う同上略線断面図
である。
【図8】図3における軸受板の一部省略平面図である。
【図9】(イ)、(ロ)両建物が左右方向において互に
反対方向に揺れたときの連結解除状態の略線平面図であ
る。
【図10】(イ)、(ロ)両建物が室内外方向において
互に反対方向に揺れたときの同上略線平面図である。
【符号の説明】
A、B 建物 1a、1b 嵌め殺しガラス d 建物の間隙 4 外壁エクスパンションジョイント 5 ガラス嵌めこみ障子 13、15 係合溝部 20 水密タイト材 22 ピボット軸 24 長軸 29 軸受板 31 連結材 32 係合片 39 トーションバー

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 隣り合う建物の外壁間隙において、 パネルの一側端部を一方の建物外壁に上下方向の回転中
    心をもつ枢軸により揺動開閉自在に支持すると共に、該
    パネルの他側端部を他方の建物外壁の室外がわに位置さ
    せ、 上記パネルの他側端部と他方の建物外壁とを、上記パネ
    ル他側端部および他方の建物外壁にそれぞれ係合溝を、
    その溝口を互にほぼ同一横方向へ向けて設けると共に、
    上記両係合溝に連結部材を係脱自在に係合して両者を連
    結し且つ地震により該連結部材を上記係合から離脱させ
    て上記連結を解除するようにして、地震により連結解除
    可能に連結した、 外壁エクスパンションジョイント。
  2. 【請求項2】 上記パネルの室内がわに設けた弾性材に
    より該パネルに常時解放方向へ付勢し、該付勢により上
    記連結手段の連結解除時に該パネルが解放するようにし
    た、 請求項1に記載の外壁エクスパンションジョイント。
  3. 【請求項3】 上記パネルを支持する枢軸が、該パネル
    の下端部を受支する短軸と、該パネルの上端から上方へ
    突出する長軸とからなり、上記長軸を、建物躯体に固定
    された軸受部材に少くとも上下方向に摺動自在に支持さ
    せた、 請求項1または2に記載の外壁エクスパンションジョイ
    ント。
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