JP3193430B2 - プロピレン系重合体組成物成形体の塗装方法 - Google Patents

プロピレン系重合体組成物成形体の塗装方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はウレタン塗装の前処理と
して行われているトリクロロエタン蒸気処理(以下TC
E処理という。)及びプライマー処理をしなくとも耐候
性、密着性に優れたプロピレン系重合体組成物成形体の
ウレタン塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン系重合体(プロピレン単独重
合体、プロピレン共重合体)は周知のごとく、成形性、
機械的特性、耐熱性、耐溶剤性、耐油性および耐薬品性
が良好であるため、広く工業的に製造され、自動車、電
気器具、電子器具などの工業部品及び日用品として広く
利用されている。
【0003】近年特に自動車外装部品、二輪車部品など
の耐候性を必要とする分野にこのプロピレン系重合体の
組成物の利用が拡大するにともない、従来の耐候処方で
は問題視される傾向が出てきている。
【0004】このことについて、一例として広く利用さ
れている自動車用バンパーについて説明する。
【0005】近年、自動車用バンパーは金属製あるいは
ポリウレタン製のバンパーからプロピレンを主成分とす
るプロピレン系重合体またはプロピレン系重合体を主成
分とする組成物から作られたバンパーが広く利用されて
いる。
【0006】自動車用バンパーはその利用上、特別に耐
候性を有することが要望されているため、バンパー用プ
ロピレン系重合体またはその組成物に紫外線吸収剤、紫
外線安定剤、酸化防止剤などを添加し、耐候性を向上さ
せたものが使われているのが通常である。しかし、実車
で数年を経ると、バンパーの表面にチョーキングやクラ
ック、変色などが発生し、充分にその用途の特性を満足
することには至っていない。
【0007】一方、バンパー等成形体は、この改良とそ
の外観の見栄え(美観性)を兼ねて耐候性を向上させる
ための塗装が行われる。しかしプロピレン系重合体また
はその組成物の成形物にウレタン塗装を行うに当たり、
プロピレン系重合体は分子内に極性基を有さない(いわ
ゆる非極性)ためにポリウレタンとの密着性が良くな
く、そのために前処理としてTCE処理及びプライマー
を下塗りし、ポリウレタン塗料を塗布させることが広く
行われている。
【0008】このような前処理は繁雑で、そのための装
置が必要で高価になるため、プライマー処理の省略化す
る方法が研究され、いくつかの効果のある方法の提案が
なされている。
【0009】例えば特公平3−5420号において
は、オレフィン系重合体、分子中に少なくとも1個の不
飽和結合を有し、かつヒドロキシル基を含有する有機化
合物及び有機過酸化物からなる組成物を加熱混練し、成
形体としたものにイソシアネート基を有する塗料で塗装
する方法;(A)プロピレン重合体とエチレン−プロ
ピレン共重合体ゴムの混合物にヒドロキシル基を有する
不飽和有機化合物を配合して有機過酸化物とともに変性
処理をした変性プロピレン系重合体、(B)エチレン−
プロピレンブロック共重合体、(C)エチレンプロピレ
ン共重合体ゴム及び(D)無機充填材からなる樹脂組成
物(特開昭62−119243号);(A)プロピレ
ン系重合体と、エチレン−プロピレン系共重合体ゴムの
混合物にヒドロキシル基を有する不飽和有機化合物を配
合して有機過酸化物と共に変性処理をした変性プロピレ
ン系共重合体、(B)プロピレン系重合体及び(C)無
機充填材からなる樹脂組成物(特開昭62−20915
0号)などがある。
【0010】しかし、これらの発明には一長一短であっ
て、の発明の成形体は剛性、耐衝撃性、曲げ強さなど
物性上改善すべき点がある。の発明の成形体は外観不
良(フローマーク)が生じ、また塗装性、耐ガソホール
性が低い。の発明の成形体は耐衝撃性に難点があって
改善すべき課題を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は塗装されたプ
ロピレン系重合体が耐衝撃性、剛性、曲げ弾性等のバラ
ンスのとれた機械的性質を有するだけでなく、塗装が容
易であって、得られた塗膜の密着強度が高く、また耐ガ
ソリン性、耐ガソホール性に優れている塗装方法、特に
塗装の前処理として装置的に高価であるばかりでなく、
物質として有害なトリクロルエタンの蒸気処理及びプラ
イマー処理の省略できる塗装方法の開発を目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は(A)分子中に
少なくとも1個の不飽和結合を有し、かつヒドロキシル
基を含有する有機化合物を用いて変性したプロピレン単
独重合体40〜70重量%、(B)キシレン不溶分が5
重量%以下のエチレン−プロピレン共重合体ゴム15〜
40重量%、(C)キシレン可溶分が25重量%以下の
プロピレン系重合体5〜25重量%、(D)無機充填材
2〜40重量%からなる樹脂組成物の成形体の表面に直
接イソシアネート基を有する塗料を塗布することを特徴
とするプロピレン系重合体組成物成形体の塗装方法を開
発することにより上記の課題を解決した。
【0013】以下、本発明を具体的に説明する。 (A)変性プロピレン単独重合体 本発明の変性プロピレン単独重合体はプロピレン単独重
合体をヒドロキシル系化合物及び有機過酸化合物により
処理することによって得られるものであり、その製造方
法については特公平3−5420号公報明細書に詳細に
記載されている。
【0014】(1)プロピレン単独重合体 本発明の変性プロピレン単独重合体を製造するために使
われるプロピレン単独重合体のメルトフローレートは
(JIS K7210に従い、条件14で測定、以下
「MFR」という。)は成形性、得られる組成物の機械
的特性などの点から、通常0.01〜100g/10分
であり、0.01〜80g/10分が好ましく、特に
0.02〜60g/10分のものが好適である。
【0015】(2)ヒドロキシル系化合物 更に、ヒドロキシル系化合物は少なくとも一個の不飽和
結合(二重結合、三重結合)を有し、かつヒドロキシル
基を含有する化合物である。この代表的なものとして
は、二重結合を有するアルコール、三重結合を有するア
ルコール、一価または二価の不飽和カルボン酸と非置換
二価アルコールとのエステル、該不飽和カルボン酸と非
置換多価アルコールとのエステルなどが挙げられる。
【0016】(3)有機過酸化物 有機過酸化物は一般にラジカル重合における開始剤及び
重合体の架橋剤として使われているものであり、1分間
の半減期が100℃以上のものが好ましく、取り分け1
30℃以上のものが好適である。
【0017】(4)混合割合 本発明の変性プロピレン単独重合体を製造するにあた
り、プロピレン単独重合体100重量部に対するヒドロ
キシル系化合物の混合割合は0.1〜50重量部であ
り、0.2〜30重量部が好ましく、特に0.3〜20
重量部が好適である。プロピレン単独重合体100重量
部に対するヒドロキシル系化合物の混合割合が0.1重
量部以下では密着性の改良効果が不十分である。一方、
50重量部以上使用したとしても使用量に応じた密着性
の改良効果が認められず、むしろプロピレン単独重合体
が有する本来の特性が損なわれるために好ましくない。
【0018】また、プロピレン単独重合体100重量部
に対する有機過酸化物の混合割合は0.01〜20重量
部であり、とりわけ0.1〜7重量部が好適である。プ
ロピレン重合体100重量部に対する有機過酸化物の混
合割合が0.01重量部以下では、密着性の改善効果が
低いばかりでなく、混合物の密着強度の耐久性も低下す
る。一方、20重量部以上では該重合体が有する本来の
優れた機械的特性が低下するため、何れの場合でも望ま
しくない。
【0019】(5)変性プロピレン単独重合体の製造方
法 本発明の変性プロピレン単独重合体を製造するには、以
上のプロピレン単独重合体、ヒドロキシル系化合物及び
有機過酸化物を上記の混合割合で処理(加熱)させるこ
とによって製造することができる。この際、プロピレン
単独重合体、ヒドロキシル系化合物及び有機過酸化物を
混合させながら処理しても良いが、あらかじめこれらを
ドライブレンドを混合するか、または比較的低温(ヒド
ロキシル系化合物が反応しない温度)で混練し、得られ
る混合物を加熱させることによって得られる。
【0020】処理を高い温度で実施すると、プロピレン
単独重合体が劣化することがある。しかし、使用される
プロピレン単独重合体とヒドロキシル系化合物とがグラ
フト重合するために用いられる有機過酸化物が分解する
温度で実施しなければならない。以上のことから使われ
る有機過酸化物の種類によって異なるが、この処理は一
般には160〜300℃(好ましくは170〜280
℃)において実施される。
【0021】前記、ヒドロキシル系化合物及び有機過酸
化物の一般式や代表例並びに混合方法及び処理方法など
については特公平3−5420号公報明細書に詳細に記
載されている。
【0022】(B)エチレン−プロピレン共重合体ゴム 更に、本発明において使用されるエチレン−プロピレン
共重合体ゴムのキシレン不溶分が5重量%以下であり、
2重量%以下が望ましい。キシレン不溶分が5重量%を
越えると、成形体の耐衝撃性が低下する。
【0023】(C)プロピレン系共重合体 また、本発明の組成物としてこの変性プロピレン系重合
体と共に用いられるプロピレン系重合体としては、プロ
ピレン単独重合体、プロピレンを主成分とするエチレン
及び/またはα−オレフィンとのブロック共重合体並び
にプロピレンを主成分とするエチレン及び/またはα−
オレフィンとのランダム共重合体から選ばれる。
【0024】このプロピレン系重合体はキシレン可溶分
が25重量%以下であり、23重量%以下が望ましい。
キシレン可溶分が25重量%を越えると成形体の剛性が
低下する。
【0025】(D)無機充填材 本発明において使われる無機充填材は一般に合成樹脂及
びゴムの分野において広く使われているものである。こ
れらなお無機充填材としては酸素及び水と反応しない無
機化合物であり、混練時及び成形時において分解しない
ものが好んで用いられる。該無機充填材としては、アル
ミニウム、銅、鉄、鉛及びニッケルのごとき金属、これ
らの金属及びマグネシウム、カルシウム、バリウム、亜
鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン、
チタンなどの金属の酸化物、その水和物(水酸化物)、
硫酸塩、炭酸塩、ケイ酸塩のごとき化合物、これらの複
塩並びにこれらの混合物に大別される。該無機充填材の
代表例は特願昭59−8535号明細書に記載されてい
る。これらの無機充填材のうち、粉末状のものはその系
が30ミクロン以下(好適には10ミクロン以下)のも
のが好ましい。また繊維状のものでは、径が1〜500
ミクロン(好適には1〜300ミクロン)であり、長さ
が0.1〜6mm(好適には0.1〜5mm)のものが
望ましい。更に、平板状のものは径が30ミクロン以下
(好適には10ミクロン以下)のものが好ましい。これ
らの無機充填材のうち、特に平板状(フレーク状)のも
のおよび粉末状のものが好適である。好適な無機充填材
としてはタルク、マイカ、シリカ、ガラス繊維、グラフ
ァイトなどが挙げられる。
【0026】(E)組成割合 本発明の組成物中に示す変性プロピレン系重合体の組成
割合は40〜70重量%であり、45〜60重量%が特
に好ましい。組成物中に占める変性プロピレン系重合体
の組成割合が40重量%未満では、得られる組成物がポ
リウレタンとの密着性が良くない。一方、70重量%を
越えて配合したとしても使用量に応じて密着性や耐候性
の改良効果を発揮することができないのみならず、むし
ろ得られる組成物の機械的強度が良くない。
【0027】本発明の組成物中に占めるエチレン−クロ
ロピレン共重合体ゴムの組成割合は15〜40重量%で
あり、20〜40重量%が好ましく、特に20〜35%
が好適である。この組成物中に示すエチレン−プロピレ
ン共重合体ゴムの組成割合が15%重量%未満では得ら
れる組成物の衝撃強度が改善せず、一方、40重量%を
越えると曲げ弾性率が低下し好ましくない。
【0028】また、本発明において得られる組成物中に
占める無機充填材の組成割合は2.0〜40重量%であ
り、2.5〜20重量%が好ましく、特に5.0〜20
重量%が好適である。この組成物中に示す無機充填材の
組成割合が2.0重量%未満では得られる組成物の曲げ
弾性率が改善されない。一方、20重量%を越えると、
組成物の耐衝撃性が良くないばかりでなく、成形時にシ
ルバー及びフローマークの発生の原因になることがあ
る。このシルバーの発生を防止するために組成物の事前
乾燥という手段もあるが、バンパーのごとき大量成形物
を大量生産するにおいては得策でない。
【0029】(F)組成物の製造、成形方法 本発明の組成物を製造するには、前記変性プロピレン単
独重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム及び無機
充填材を前記の組成割合の範囲内になるように、通常実
施されている混合方法を適用して均一になるように混合
すれば良い。この際、同時に全組成成分を混合しても良
く、組成成分の一部をあらかじめ混合し、いわゆるマス
ターバッチを製造し、このマスターバッチと残りの組成
成分を混合しても良い。この際、オレフィン系重合体に
一般に配合(添加)されている熱、酸素または紫外線に
対する安定材、金属劣化防止剤、可塑剤、難燃化材、滑
剤、充填材、着色材、帯電防止剤及び電気的特性改良材
のごとき添加材を、組成物の物性が本質的に損なわれな
い範囲で組成物の使用目的に応じて配合しても良い。
【0030】このようにして得られる組成物は、通常ペ
レット状に成形され、それぞれの熱可塑性樹脂の分野に
おいて一般に行われている射出成形法、押出成形法など
の成形方法によって所望の成形物に製造されている。
【0031】前記の組成物を製造する際に溶融混練する
場合でも、成形する場合でも、重合体の融点よりも高い
温度であるが、熱分解しない温度であり、一般には18
0〜300℃(好適には、190〜250℃)で実施さ
れる。
【0032】オレフィン系重合体はポリウレタンと接着
性が極めて悪いためにオレフィン系重合体またはその組
成物の成形物にポリウレタン塗料を塗布する場合、あら
かじめ成形物にウレタン系塗料を塗布することができる
(プライマーを使用すると、一層密着性が向上する。)
【0033】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に詳しく説
明する。なお、実施例及び比較例において、曲げ弾性率
はASTM D790に従って測定し、アイゾット衝撃
強度(ノッチ付)はASTM D256に従い、温度が
−40℃において測定した。更に耐熱変形温度はAST
M D648に従って測定した。また、塗膜密着強度は
厚さが2mmの130×130mmの平板を成形し、家
庭用合成洗剤(花王(株)製、商品名ママレモン)で洗
浄、水洗、乾燥(80℃、10分間)後、その面に直接
ウレタン塗料ホワイト(日本ビーケミカル(株)製、商
品名R271)を日本ビーケミカル(株)の指定仕様に
基づいて塗装したものを用い、10mm間隔に切り、あ
らかじめ一部強制的に剥離し、その後引張試験機を使っ
て引張速度が50mm/分の条件下で塗膜の180度剥
離強度を測定することによって求めた。更に、耐ガソホ
ール性試験については、前記平板にウレタン塗料メタリ
ック(日本ビーケミカル(株)製、商品名R255)及
びウレタン塗料クリヤー(日本ビーケミカル(株)製、
商品名R266)を前記と同様に塗布した各試料を等し
く断面が出るように30×65mmの短冊状に切断した
ものをガソホール(ガソリン90容量%、エチルアルコ
ール10容量%)に室温において浸漬し、浸漬時間と剥
離時間の状態を観察して測定した。
【0034】表2の耐ガソホール性試験欄において、○
はこの試験後において、塗膜のふくれ、剥れが全く認め
られないことを示し、△は若干のふくれ、剥れが認めら
れたものを、×はふくれ、剥れの可成りないしほぼ完全
に認められたものをそれぞれ示す。
【0035】なお実施例及び比較例において使った変性
プロピレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体
ゴム、プロピレン系重合体及びタルクの製造方法、種類
などを下記に示す。
【0036】[(A)変性プロピレン単独重合体]変性
プロピレン単独重合体としてMFRが0.5g/10分
であるプロピレン単独重合体に4重量部の2−ヒドロキ
シエチルメタアクリレート及び1.0重量部のジクミル
パーオキサイドをあらかじめヘンシェルミキサーを使っ
て5分間ドライブレンドを行った。得られた混合物をベ
ント付き押出機(径65mm、シリンダー温度160〜
200℃)を使って混練させることによって得られたも
の(以下「変性PP」という。)を使用した。
【0037】[(B)エチレンプロピレン共重合体ゴ
ム]エチレンプロピレン共重合体ゴムとしてプロピレン
の共重合割合が38重量%で、キシレン不溶分0.05
重量%、MFRが1.0g/10分であるエチレン−プ
ロピレン共重合体ゴム(以下、「EP」という。)を用
いた。
【0038】[(C)プロピレン系重合体]プロピレン
系重合体として、キシレン可溶分2.5重量%、MFR
が15g/10分であるプロピレン単独重合体(以下、
「PP」という。]を用いた。
【0039】[(D)無機充填材]無機充填材として平
均粒径が2.0μmであるタルクを使用した。
【0040】(実施例1〜4,比較例1〜2)表1に配
合量が示されている変性クロロピレン単独重合体、プロ
ピレン系重合体、エチレンプロピレン共重合体ゴム、プ
ロピレン系重合体、及びタルクをあらかじめ5分間ヘン
シェルミキサーを使ってドライブレンドを行った。得ら
れた各混合物を二軸押出機(径30mm)を用い、樹脂
温度が200℃において混練しながらペレット状組成物
(MFRを表2に示す。)を製造した。
【0041】このようにして得られた各ペレットを樹脂
温度が210℃において射出成形し、アイゾット衝撃強
度、曲げ弾性率、塗膜密着強度及び耐ガソホール性また
は観察するための試片を製造した。次いで、これらの測
定及び観察を行った。それらの結果を表2に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】本発明で規定する、本質的に変性プロピ
レン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、
プロピレン系共重合体、無機充填材からなる樹脂組成物
成形体に直接イソシアネート基を有する塗料(いわゆる
ウレタン系塗料)を塗布する塗装方法により得られた塗
装物は、前処理として一般に行われている毒性の高いト
リクロルエタンの蒸気によるTCE処理及び高価なシラ
ンカップリング剤などのカップリング剤を用いたプライ
マー処理の双方を行わなくとも、ウレタン系塗料による
塗装ができ、かつその塗膜はプロピレン系重合体に強く
密着し、耐候性、密着性、耐ガソホール性に優れた塗膜
が形成される。
【0045】またこの樹脂組成物は適度の剛性を有し、
耐衝撃性、曲げ弾性率など物性的にも極めてバランスの
とれた機械的性質を有しているため、本発明の塗装方法
により得られた塗装成形物は、塗装品であっても大きく
コストダウンできたため、耐候性、美観性が要求される
自動車、電気器具、電子器具等の工業部品、日用品、な
どの分野に広く応用できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 23/16 C08L 23/16 23/26 23/26 (72)発明者 小林 博 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 伊藤 一男 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 高田 富夫 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3−2昭和 電工株式会社川崎樹脂研究所内 (56)参考文献 特開 平2−265931(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 7/02 B05D 5/00 B05D 7/24 302 C08K 3/00 C08L 23/10 C08L 23/16 C08L 23/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分子中に少なくとも1個の不飽和結
    合を有し、かつヒドロキシル基を含有する有機化合物を
    用いて変性したプロピレン単独重合体40〜70重量
    %、(B)キシレン不溶分が5重量%以下のエチレン−
    プロピレン共重合体ゴム15〜40重量%、(C)キシ
    レン可溶分が25重量%以下のプロピレン系重合体5〜
    25重量%、(D)無機充填材2〜40重量%からなる
    樹脂組成物の成形体の表面に直接イソシアネート基を有
    する塗料を塗布することを特徴とするプロピレン系重合
    体組成物成形体の塗装方法。
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