JP3192971B2 - 紙幣識別方法 - Google Patents

紙幣識別方法

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  • Inspection Of Paper Currency And Valuable Securities (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は紙幣や有価証券等の
紙葉類の識別方法に係り、特に識別される紙葉類の各種
汚れによる識別精度への影響を抑制し、高精度で且つ高
速判定のできる識別方法に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明に先行する技術として特開昭60
−215293号公報がある。当該公報には紙幣を複数
のゾーンに分け、各ゾーン毎の検出データを前記各ゾー
ンに対して予め定められている基準データと比較し、前
記各ゾーンにおける比較結果に基づいて前記紙幣を識別
する紙幣識別方法において、前記紙幣の表裏、向き及び
識別時の位置ずれに対応してゾーンを複数個設定すると
共に、紙幣1枚に対して前記各ゾーンのデータを総計
し、その総計値に対する比率値で基準パターンデータと
して記憶しておき、前記検出データの総和値を求めると
共に、この総和値に対する比率値を検出パターンデータ
として計算し、前記検出パターンデータが前記基準パタ
ーンデータの許容値範囲内にあるか否かを判断し、前記
各ゾーン毎に前記基準パターンデータと前記検出パター
ンデータとの差の絶対値を距離計算して総計し、この距
離計算の総計値が許容値よりも小さいか否かを判断して
紙幣の識別を行うことを特徴とする識別方法が開示され
ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の
技術においては、汚れ、歪み、その他の理由による識別
のバラツキを許容してしてしまうため、偽券を真券と誤
認してしまう問題があり、識別精度の低下原因となって
いた。
【0004】本発明は、このような従来の方法による問
題点を解決するために成されたものであり、汚れ、歪み
等の影響を受けることなく、精度良く且つ高速に紙葉類
の識別を行う方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明方法では、波長の異
なる複数個の光源により得られた被識別紙葉類の画像か
ら真券、偽券を判定する粗精度識別ステップと、該粗精
度識別ステップにて真券と判定された被識別紙葉類の画
像データに対して、搬送ずれやレベル調整等の処理を施
すとともに、該被識別紙葉類の画像のデータの変動成分
を予め作成しておいたデータ変動成分推定モデルにより
推定し、その合致度合により識別誤差を予測しこの予測
誤差を用いて真券、偽券の判定を行う中精度判定ステッ
プと、該中精度判定ステップにて真券と判定された画像
データに対して、マスクを用いたマッチング処理を施
し、得られたマッチング度により真券、偽券の判定を行
う高精度判定ステップとを用いる。
【0006】また、前記マスクを複数個設け、夫々のマ
スクを用いて高精度判定ステップを複数回繰り返すこと
により真券、偽券の判定を行うステップを用いる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明の紙葉類識別方法をそ
の一実施形態について、図面に基づき詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、紙葉類として特に紙幣を
用いている。
【0008】図1は本実施例の基本アルゴリズムを示す
フローチャートである。同図において紙幣の投入によっ
てプログラムが開始されると、紙幣の光学センサによる
多値の濃淡データが取込まれる(ステップS1)。
【0009】取込まれた濃淡データはその一部について
3金種、4方向の基準波形とのマッチングを施され、結
果として得られたマッチング度を用いて金種及び投入方
向の判定がなされる(ステップS2)。
【0010】こうして得られた判定結果を用いて前記濃
淡データを表方向で且つ正立方向のデータに変換する。
【0011】次にステップS3の粗精度識別処理を行
う。この処理は被識別紙幣に波長の異なる二つの光源か
らの光を照射して夫々画像データを得、これらの画像デ
ータの輝度の差や比率を算出し、これら算出値の値と予
め定めた閾値との比較から、真券、偽券を判定する処理
である。
【0012】以上の処理を経てステップS4で偽券と粗
判定された被識別紙幣は、そのまま偽券として確定され
る。
【0013】一方前記ステップS4で真券と判断された
被識別紙幣はステップS5の中精度識別処理ルーチンに
入る。このルーチンでは搬送ずれ修正処理、レベル合わ
せ処理、不規則成分抽出処理、不規則成分予測処理、予
測誤差算出処理、予測誤差の閾値判定に識別処等が行わ
れる。
【0014】この結果はステップS6の精判定処理へ受
け継がれ、ここで前回真券と判定された被識別紙幣の真
偽が判定される。そして偽券と判定されればこれが確定
され、真券と判定されればさらにステップS7の高精度
識別処理ルーチンに入る。このルーチンではマスクを用
いたマッチング度算出処理と、算出されたマッチング度
の閾値との比較による判定での高精度識別等が行われ
る。
【0015】この結果はステップS8の高精度判定処理
に受け継がれ、ここで前回真券と判定された被識別紙幣
の真偽が判定される。そして偽券と判定されればこれが
確定され、真券と判定されればこれが確定される。
【0016】次に前記図1のフローチャートの細部につ
いて説明する。3金種、4方向の判定処理は例えば次の
ようにして行われる。
【0017】即ち図2のフローチャート及び図3の概念
図に示すように、ステップS1において紙幣識別機(図
示せず)に被識別紙幣が、投入されるとLED(波長の
異なる二つの発光ダイオード)と受光素子とからなるイ
メージセンサ(ラインセンサ)によって紙幣表面の画像
のデータが縦軸を輝度値、横軸を位置情報(ポイント)
とした2つの波形データの形で得られる(図3a)参
照。
【0018】金種・方向判定での演算に用いるデータの
ポイント数は、金種、方向判定に用いるだけであるの
で、紙幣の全ポイントである必要はなく、最低限金種、
方向判定に必要なポイント数でよい。
【0019】ステップS21において、前記得られた波
形データ(紙幣データ)の内波長1の光によるものは、
事前に真券から前記イメージセンサによって得ておいた
3金種、4方向(図3では1金種、4方向の場合で表右
A、表左B、裏右C、裏左Dを示す)の方向別基準波形
データと夫々比較され(ステップS22)、前記最低限
必要な各ポイント毎の差分の二乗和が計算される(図3
b参照)。
【0020】次に得られた各方向の差分二乗和(マッチ
ング度)を比較し、ステップS23にてその値が最小と
なる方向別基準波形データの方向を紙幣の投入方向と判
定する(図3c参照)。
【0021】ステップS3の粗精度識別処理は前記イメ
ージセンサとして、波長2の光を用いて得た画像データ
と前記波長1の光を用いて得た画像データとからその輝
度値の差あるいは比率を算出し、この算出値と予め定め
ておいた閾値とを比較し、真券、偽券の判定(ステップ
S4)を大まかに行う処理である。
【0022】また、ステップS5の中精度識別処理は大
きく分けて被識別紙幣の搬送ずれ修正処理と、真偽識別
処理に分けられる。
【0023】搬送ずれ修正処理は図4に示すようにステ
ップS51でずれ幅K(演算用)をセットする。このず
れ幅Kは搬送ずれが起こり得る最小のずれ幅値から最大
のずれ幅までの間の値であり、最小値から始める。
【0024】そしてステップS52で搬送されてきた紙
幣の入力信号をセットしたKだけずらしたデータを作成
する。
【0025】次にステップS53で前記ステップS52
で作成されたKだけずらしたデータの内、対象とする複
数箇所のデータを抽出する。
【0026】ステップS54では前記抽出されたデータ
と基準波形の対応するデータとの差分の絶対値累計を算
出する。
【0027】ステップS55で得られた累計値が最小で
あれば、その時のKの値を算出されたずれ幅として一時
的に記録する。
【0028】以上の操作をKの最小値から最大値まで繰
り返す。このようにすることにより、Kの値が最小値か
ら最大値の間で変化するたびに基準波形との差分の累計
値が得られ、最小の累計値となるKの値がその都度更新
されていく。
【0029】そして、最終的に残ったKの値を目的とす
る搬送ずれ幅とすることにより、正確に搬送ずれ値が求
められる。
【0030】尚、一層の正確さが要求される場合には、
前記ステップS54にて差分の絶対値累計を算出する代
わりに、差分の二乗累計を算出し(ステップS54
1)、この値が最小のものを目的とするずれ幅として確
定することも可能である。
【0031】前記ステップS53の複数箇所のデータの
抽出は、図5に示すような方法によってなされる。即
ち、ステップS531で汚れや破れのない紙幣(完封
券)から基本代表波形を作成する。
【0032】ステップS532で先の搬送ずれ幅算出の
時と同じように、ずれ幅Kをセットしてずらした基本代
表波形を作成する。
【0033】ステップS533でこのずらした基本代表
波形と元の基本代表波形との各位置に対する差分値(絶
対値)を記録する。
【0034】そして以上の操作をKの値を最小値から最
大値まで変化させて、逐次差分値を記録していき、ステ
ップS534で各位置における差分値の最小値を算出す
る。
【0035】最後にステップS535で得られた差分値
の最小値が大きいものから順に複数個選択してこのポイ
ントをデータを抽出すべき複数箇所とする。
【0036】尚図5の右半分に途中の波形の概念図を、
左半分に複数箇所の選定のステップの概念図を示す。
【0037】搬送ずれ修正処理の後、被識別紙幣の取込
画像のレベル調整を行い、更にこの画像から汚れ成分等
の不規則成分による識別誤差を低減する処理に移る。
【0038】この処理は例えば自己(AR)回帰モデル
を用いて行われる。即ち図6〜8に示すように本処理方
法は事前処理と紙幣投入時処理とに大きく分けられ、夫
々図7、図8にそのフローチャートを示している。
【0039】事前処理は紙幣のセンサ入力データの変動
成分推定モデル学習により作成する処理であり、図7に
開示されているように、まずステップS151にて複数
枚の真券(新札)をセンサして紙幣上のイメージや文字
等の輝度や濃度のセンサ信号を得、各センサ信号から基
準データとしての基準波形(例えば平均値データ波形)
を得る。
【0040】次にステップS152で前記基準波形を用
いて前記真券のデータから汚れや、歪み等の変動成分を
各真券毎に抽出する。
【0041】そしてステップS153にて抽出された変
動成分のデータを周期的時系列信号とみなして、自己回
帰モデルとしての式を使い、
【0042】
【数1】 で表わされるある時間での汚れの式の係数a1、a2、
・・・、apを求めることを言う。
【0043】この場合の学習データは、紙幣を何枚か並
べて入力したときの汚れ成分の時系列信号データに匹敵
する。
【0044】こうして作成された汚れ成分の周期的時系
列信号はステップS4において自己回帰分析の手法によ
り学習され、学習の結果紙幣1枚分の汚れの変動成分の
推定モデルが作成される。
【0045】このようにして事前処理を行った後、実際
に紙幣が投入された際の真偽判定を行う投入時処理に移
る。
【0046】紙幣投入処理では、まずステップ251で
投入された紙幣からのセンサ信号を入力する。
【0047】次にステップS252で入力された信号と
前記基準波形との差分を取って変動成分としての汚れ、
歪み成分の抽出を行う。
【0048】ステップS253では前記ステップS25
2で得られた汚れ、歪み成分のデータに基づき、前記推
定モデルを用いた汚れの推定を自己回帰モデルの手法で
行い、予測値を算出する。
【0049】ここで、推定の方法について説明すると、
前記事前処理により推定モデルが得られているので、前
記数1と入力された紙幣の汚れ成分データにより自己回
帰分析の推定モデルから予測される汚れ成分を算出する
(ステップS253)。
【0050】こうして得られた入力紙幣の変動成分とし
ての汚れの波形と、推定モデルの変動成分波形から、そ
の予測誤差をステップ254にて算出し、この結果から
入力紙幣が予め定めておいた予測誤差の範囲に入ってい
る場合には、真券と判断し、それ以外は偽券と判定する
(ステップS255)。
【0051】このようにして中精度識別処理及び精判定
の成された被識別紙幣のうち、偽券と判定されたものは
偽券が確定し、真券と判定されたものは更に高精度識別
処理へと進む。
【0052】高精度識別処理は真券から得られた基準波
形と被識別紙幣の波形とを前記各ポイント毎に逐次マッ
チング処理し、そのマッチング度(差分二乗和)を算出
するに際し、マスクを用意してこれにより被識別紙幣の
ある特定部分(紙幣識別の特徴となる部分)の高精度な
真偽識別を行う処理である。
【0053】この場合のマスクは図9及び図10に示す
ように、任意の特定部分のマッチングを行うための複数
個のマスクを用意し、これらのマスクを段階的に用いて
多段階の高精度識別処理を施す(ステップS71)が望
ましい。
【0054】そしてある段階で真券と判定された被識別
紙幣データについて、次の段階におけるマスクによるマ
ッチング度算出を行い、これを順次進めて(ステップS
711、S712、S811、S812)行くことにな
る。
【0055】ここでの処理による真偽の判定もマッチン
グ度の値と予め定めた厳格な閾値との比較によるもので
よい。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上の説明のように粗精度識別
処理、中精度識別処理及び高精度識別処理の3段階で紙
幣の真偽を判定するので、粗判定により簡単に識別でき
る偽券を高速に識別し、中精度判定により識別難易度が
中程度の偽券を識別し、さらに高精度判定により識別難
易度が高い偽券を精度よく識別できる効果が期待でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紙葉類識別方法の一実施方法を示すフ
ローチャートである。
【図2】金種・方向判定処理のフローチャートである。
【図3】金種・方向判定処理の概念図である。
【図4】搬送ずれ幅算出方法を説明するフローチャート
である。
【図5】入力データから複数箇所のデータを選択する方
法を説明するフローチャートである。
【図6】汚れ等の不規則成分による予測処理の概念図で
ある。
【図7】事前処理のフローチャートである。
【図8】紙幣投入時処理のフローチャートである。
【図9】本発明の紙葉類識別方法の他の実施方法を示す
フローチャートである。
【図10】多段階高精度判定のフローチャート及びマス
クの概念図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−180239(JP,A) 特開 平2−108186(JP,A) 特開 昭61−16390(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G07D 7/00 - 7/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 波長の異なる複数個の光源により得られ
    た被識別紙葉類の画像から真券、偽券を判定する粗精度
    識別ステップと、 該粗精度識別ステップにて真券と判定された被識別紙葉
    類の画像データに対して、搬送ずれやレベル調整等の処
    理を施すとともに、該被識別紙葉類の画像のデータの変
    動成分を予め作成しておいたデータ変動成分推定モデル
    により推定し、その合致度合により識別誤差を予測しこ
    の予測誤差を用いて真券、偽券の判定を行う中精度判定
    ステップと、 該中精度判定ステップにて真券と判定された画像データ
    に対して、マスクを用いたマッチング処理を施し、得ら
    れたマッチング度により真券、偽券の判定を行う高精度
    判定ステップと、よりなる紙葉類識別方法。
  2. 【請求項2】 前記マスクを複数個設け、夫々のマスク
    を用いて高精度判定ステップを複数回繰り返すことによ
    り真券、偽券の判定を行うことを特徴とする請求項1記
    載の紙葉類識別方法。
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US09/101,299 US6157895A (en) 1996-01-25 1997-01-22 Method of judging truth of paper type and method of judging direction in which paper type is fed
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PCT/JP1997/000131 WO1997027566A1 (fr) 1996-01-25 1997-01-22 Procede d'examen de feuilles et de billets etc., permettant de detecter les contrefaçons et procede d'estimation de leur sens d'insertion
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DE69734646T DE69734646T2 (de) 1996-01-25 1997-01-22 Verfahren zur fälschungsbeurteilung von bögen, banknoten usw., und verfahren zur beurteilung ihrer einführungsrichtung
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