JP3192690B2 - ガスタービン燃焼器の内筒 - Google Patents

ガスタービン燃焼器の内筒

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JP3192690B2 JP20283491A JP20283491A JP3192690B2 JP 3192690 B2 JP3192690 B2 JP 3192690B2 JP 20283491 A JP20283491 A JP 20283491A JP 20283491 A JP20283491 A JP 20283491A JP 3192690 B2 JP3192690 B2 JP 3192690B2
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聡 谷村
勇 内見
邦明 青山
克則 田中
重実 萬代
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二重壁の構成をもつガ
スタービン燃焼器の内筒に関する。
【0002】
【従来の技術】ガスタービン燃焼器の内筒は、高温の燃
焼ガスに直接さらされると共にフレームからの輻射熱を
受け、そのままでは極めて高温となる。
【0003】このため、材料として超耐熱合金板を使用
し、内筒壁にルーバを設けて内筒内面に沿って冷却空気
を流すフィルム冷却が一般に採用され、一部にセラミッ
クス製内筒や金属内筒の内面にセラミックスコーティン
グを施したものもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】 (1) 最近のガスタービンの高温化(タービン入口ガ
ス温度が1300〜1500℃)につれて、前記従来の
フィルム冷却のガスタービン燃焼器の内筒では十分な冷
却効果を得ることが困難となってきた。すなわち、フィ
ルム冷却には大量の冷却空気を必要とし、後述するNO
xを増大させると共に、温度分布が不均一となって熱応
力が過大となり、焼損、クラック発生の原因となって寿
命を短縮させている。 (2) セラミックスは機械的及び熱的衝撃抵抗が低
く、またセラミックスコーティングはセラミックスの熱
膨脹係数が金属母材に比べて著しく小さい。このため、
前記の従来のセラミックス製内筒や金属内筒の内面にセ
ラミックスコーティングを施したものは、いずれも耐久
性と信頼性において、解決しなければならない問題を残
している。
【0005】本発明は、以上の問題点を解決することが
できるガスタービン燃焼器の内筒を提供しようとするも
のである。
【0006】
【課題を解決するための手段】1. 本発明のガスター
ビン燃焼器の内筒は、壁内部に設けられた燃焼ガスの流
れ方向と同方向の複数の空気流溝を有し、前記壁の内・
外両面に設けられ空気吐出穴及び空気吸込穴を形成す
る空気穴が、それぞれ複数の前記空気流溝と連通し且つ
それぞれの空気穴の面積は同空気穴と連通する複数の空
気流溝の合計断よりも大きいことを特徴とする。 2. また本発明のガスタービン燃焼器の内筒は、前記
1の本発明において、前記各空気穴の面積は同空気穴と
連通する複数の空気流溝の合計断面積の2倍よりも大き
ことを特徴とする。 3. また本発明のガスタービン燃焼器の内筒は、前記
又は2の本発明において、前記空気流溝の断面形状は
前記壁の外面に向く側が円弧形状であることを特徴とす
る。
【0007】
【作用】前記1又は2の本発明では、内筒外部の比較的
温度の低い空気は、ガスタービン燃焼器の内筒の壁の外
面に設けられた空気吸込穴から吸入され、空気流溝を経
て、ガスタービン燃焼器内筒の壁の内面に設けられた空
気吐出穴から内面内に流入する。この間下記の作用によ
って効率的な内筒の冷却が行われる。 (1)空気流溝の断面積は、前記の壁の外面と内面に設
けられた空気吸込穴及び空気吐出穴に比べて小さいた
め、同空気流溝内を流れる空気の流速が早くて熱伝達率
が大きく、冷却効率が高い。また、空気穴がそれぞれ複
数の空気流溝と連通しているので、各空気流溝は空気穴
より溝幅が小さく空気の流速が早くなり、冷却効果が高
まる。更に、空気穴内で複数本の空気流溝が等間隔に削
成されているので空気穴周囲の壁の温度は均一となり、
熱応力を小さくすることができ、壁の剛性もほぼ均一に
することができる。また、空気吐出穴及び空気吸込穴を
形成する空気穴が、それぞれ複数の空気流溝と連通して
いるので、空気穴の数を減らすことができ、それだけ加
工量を減らすことができ、製作効率が向上し、経済的に
も優れる。 (2)冷却用の空気を吸込み、また吐出する空気吸込穴
及び空気吐出穴を形成する各空気穴の面積は各空気穴に
連通する空気流溝の合計断面積の2倍よりも大きく流路
面積が大きいため、この部分での空気の流速は遅くなっ
て熱伝達率が小さくなり、該部で局部的に内筒の壁が冷
却されることなく、局部的な熱応力の発生が抑えられ
る。 (3)ガスタービン燃焼器の内筒の壁の内面に設けられ
た空気吐出穴から吐出される空気は燃焼ガスと同じ方向
に流れるため、冷却用空気の速度エネルギーの損失が少
なく、この空気流量を減少させることができる。
【0008】更に、前記の発明では、前記1又は2
本発明において、空気流溝の断面形状が外面に向く側が
円弧形状としており、このような形状でも上記(1)と
同様な効果が得られるものである
【0009】
【実施例】本発明の第1の実施例を、図1ないし図3に
よって説明する。
【0010】内面の全面にほぼ等しい間隔をおいて燃焼
ガスの流れ方向と同じ方向に複数の長く断面がほぼ正方
形の空気流溝1が削成された外側板2と、溝が設けられ
ていない内側板3を接合面Cで接合させて、ガスタービ
ン燃焼器の二重壁内筒が形成されている。前記接合は、
一般に加熱と加圧によって熱間圧接し、接合部に永久変
形を与えて接合境界を消失させる液相拡散接合によって
行われる。
【0011】外側板2には空気流溝1の複数個に連通
し、空気流溝1の溝幅よりも十分に径の大きい円形の空
気吸込穴4が、また、内側板3には空気流溝1の複数個
に連通し、空気流溝1の溝幅より十分に径の大きく、前
記空気吸込穴4と同様な形状と大きさをもつ空気吐出穴
5が、いずれも千鳥または碁盤状に分散させて多数個削
穿されている。図1及び図2中、矢印は冷却空気及び燃
焼ガスの流れ方向を示す。
【0012】前記外側板2と内側板3は、ハステロイー
X,トミロイ,SUS材等の耐熱性ある同じ材質によっ
て構成される。また、前記空気吸込穴4と前記空気吐出
穴5の面積は、これらの穴が連通する空気流溝1の断面
積(これらの穴が複数の空気流溝1に連通するときには
その合計の断面積)の2倍より大きくなるように設定さ
れている。
【0013】以上のように構成された本実施例では、ガ
スタービン燃焼器の内筒外部の比較的温度の低い空気
は、外側板2に設けられた空気吸込穴4から吸入されて
空気流溝1内へ流入し、同空気流溝1内を流れて内側板
3に設けられた空気吐出穴5から内筒内へ吐出される。
また、空気穴がそれぞれ複数の空気流溝と連通している
ので、各空気流溝は空気穴より溝幅が小さく空気の流速
が早くなり、冷却効果が高まる。更に、空気穴内で複数
本の空気流溝が等間隔に削成されているので空気穴周囲
の壁の温度は均一となり、熱応力を小さくすることがで
き、壁の剛性もほぼ均一にすることができる。また、空
気吐出穴及び空気吸込穴を形成する空気穴が、それぞれ
複数の空気流溝と連通しているので、空気穴の数を減ら
すことができ、それだけ加工量を減らすことができ、製
作効率が向上し、経済的にも優れる。
【0014】前記空気流溝1の断面積は、空気吸込穴4
と空気吐出穴5の面積より小さいために、同空気流溝1
内を流れる空気の流速は早く、これによって熱伝達率が
大きくなり冷却効果を高めることができる。
【0015】前記空気流溝1は、内筒壁の全面に複数
個、ほぼ等間隔に削成されているために、内筒壁の温度
は均一となり、熱応力を極めて小さくすることができ
る。
【0016】また、前記のように冷却用の空気を吸込む
空気吸込穴4とこれを吐出する空気吐出穴5の流路面積
が大きいために、この部分での空気の流速が遅く、これ
によって熱伝達率は小さくなり、該部で内筒壁が局所的
に冷却されることがなく、局所的な熱応力の発生を抑え
ることができる。
【0017】更に、前記空気吸込穴4と空気吐出穴5が
千鳥又は基盤状に分散して多数設けられていることによ
って、内筒壁の温度は均一となると共に、内筒壁の剛性
もほぼ均一にすることができ、かつ、その強度を高くす
ることができる。
【0018】また更に、燃焼ガス流れと同じ方向に空気
流溝1内を流れた空気が、空気吐出穴5から吐出され燃
焼ガスと同じ方向へ流れるために、この冷却用の空気の
速度エネルギーの損失を少なくすることができ、少ない
空気流量で効果的な冷却を行なうことができる。これに
加えて、この冷却用の空気を削減することによって、一
次燃焼空気量を増加することができ、これによって、一
次燃焼機の温度を低下させ、NOxの発生を抑えること
ができる。
【0019】従来のガスタービン燃焼器においては、ガ
スタービン入口のガス温度が1150℃の場合、内筒壁
の温度を800℃程度にするためには、燃焼器に供給さ
れる空気量に対して48%の冷却用空気を必要としてい
たが、本実施例では、ガスタービン入口のガス温度12
50℃の場合、燃焼器に供給される空気量に対して35
%の冷却用空気を供給することによって、内筒壁の温度
を720℃程度とすることができた。
【0020】なお、前記第1の実施例では、ガスタービ
ン燃焼器の内筒壁の全面に空気流溝1,空気吸込穴4及
び空気吐出穴5を設けているが、これらを内筒壁の温度
の高い場所に部分的に設けるようにしてもよい。また、
空気流溝の断面形状も、前記第1の実施例ではほぼ正方
形としているが、これに限られるものではなく、また、
空気吸込穴と空気吐出穴の形状も円形以外の形状とする
ことができる。また更に、前記空気吸込穴と空気吐出穴
の間の距離は、燃焼ガスと内筒外の空気の温度と圧力、
空気流溝の幅とピッチ等を考慮して、冷却用の空気流量
が最小となるように選定される。
【0021】本発明の第2の実施例を、図4及び図5に
よって説明する。本実施例は、前記第1の実施例におい
て、外側板2の外面の空気流溝1の中間の位置に、燃焼
ガスの流れ方向と同じ方向へ延びる複数の長い冷却フィ
ン6が削成されている。
【0022】本実施例では、冷却フィン6を外側板2の
外面に燃焼ガスの流れ方向と同じ方向に設けたことによ
って、外側板2の熱伝達面が増大する。従って、燃焼ガ
ス温度tg 、内筒外の空気温度ta ,内外側板2,3の
温度tm のとき、 冷却効率ηc =tg −tm /tg −ta で表わされる冷却効率は、第1の実施例よりも向上(図
2及び図3に示される構成では約6%向上)することに
なる。
【0023】なお、本第2の実施例では、冷却フィン6
を隣接する空気流溝1の中間に設けているが、その位置
はこれに限られず、任意の位置に設けるようにすること
ができる。
【0024】
【発明の効果】請求項1又はに記載された本発明によ
れば、ガスタービン燃焼器の内筒の冷却を少ない空気流
量で効率的に行うことができ、損傷事故が発生するおそ
れがなくなって寿命の大幅な延長が期待でき、高温ガス
タービンの信頼性を大きく向上させることができる。ま
た、冷却空気流量が減少した分燃焼用空気量を増加させ
ることができ、フレームを有する一次燃焼域の温度を低
下させて、公害をもたらすNOx の発生を減少させるこ
とができる。
【0025】請求項に記載された本発明によれば、前
記請求項1又は2に記載された本発明において、空気流
溝の断面形状が外面に向く側が円弧形状としており、こ
のような形状でもガスタービン燃焼器の内筒の冷却を効
果的に行うことができ、上記請求項1又は2と同様な効
果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の展開斜視破断図であ
る。
【図2】図1のA方向断面図である。
【図3】図1のB方向断面図である。
【図4】本発明の第2の実施例の縦断正面図である。
【図5】同第2の実施例の縦断側面図である。
【符号の説明】 1 空気流溝 2 外側板 3 内側板 4 空気吸込穴 5 空気吐出穴 6 冷却フィン C 接合面
フロントページの続き (72)発明者 青山 邦明 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 田中 克則 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂製作所内 (72)発明者 萬代 重実 兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−243631(JP,A) 特開 昭63−135719(JP,A) 特開 昭56−37425(JP,A) 実開 昭61−84379(JP,U) 特公 昭31−3202(JP,B1)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 壁内部に設けられた燃焼ガスの流れ方向
    と同方向の複数の空気流溝を有し、前記壁の内・外両面
    に設けられ空気吐出穴及び空気吸込穴を形成する空気
    穴が、それぞれ複数の前記空気流溝と連通し且つそれぞ
    れの空気穴の面積は同空気穴と連通する複数の空気流溝
    の合計断面積よりも大きいことを特徴とするガスタービ
    ン燃焼器の内筒。
  2. 【請求項2】 前記各空気穴の面積は同空気穴と連通す
    る複数の空気流溝の合計断面積の2倍よりも大きいこと
    を特徴とする請求項1記載のガスタービン燃焼器の内
    筒。
  3. 【請求項3】 前記空気流溝の断面形状は前記壁の外面
    に向く側が円弧形状であることを特徴とする請求項1又
    は2記載のガスタービン燃焼器の内筒。
JP20283491A 1991-08-13 1991-08-13 ガスタービン燃焼器の内筒 Expired - Lifetime JP3192690B2 (ja)

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