JPH0769058B2 - ガスタ−ビンの燃焼器冷却構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ガスタービンの燃焼器内筒の構造に関する。

産業用及び航空機用のガスタービンにおいて、その燃焼
器の冷却構造の従来例として、第７及び８図に示すよう
なものがある。

この燃焼器（内筒）１は、内径が上流から下流に至るに
従って逐次大きくなる複数個の円筒２〜６が互いに隣接
する端部で重ね合わされた部分の隙間に、冷却空気を取
入れるための隔壁、すなわち波状のルーバ（Louver）７
が挿入されている。

第７図においては、例えば円筒の数が５個の場合を示し
ており、このうち円筒２及び３を例にとると、ルーバ６
は円筒３の内壁面及び円筒２の外壁面の夫々に当接する
部分Ａ及びＢにて接合されることによって、円筒２と円
筒３とが一体構造とされている。そして、他の円筒４〜
６においても、おなじ手段であるルーバ６が夫々の端部
の隙間に夫々連続して接合されることにより、一つの内
筒からなる燃焼器１が形成される。

そして、第８図に示すように、この燃焼器内に導入され
る外部からの冷却空気（大気）が、ルーバ７と各円筒２
〜６とで囲まれて形成された冷却空気通路Ｃ及びＤを介
して、燃焼器１内部の下流側に向けて流れることによっ
て、各円筒２〜６の下流側の内壁面が冷却されている。
この冷却方式は公知の技術とされ、一般的にはフィルム
冷却方式と呼称されている。

一方、燃焼器１内で燃焼を行うために供される燃料は、
燃焼器１の上流側すなわち円筒１に設けられた噴射ノズ
ル８からこの燃焼器（内筒）内に噴射され、主として円
筒２及び３の円周上の適当な位置に、複数個開口した１
次空気供給口９及び10から流入する１次空気と混合し
て、燃焼が行なわれている。

更に、燃焼器１の下流側すなわち主として円筒６の円周
上にも開口した複数の２次空気供給口11から流入する２
次空気との再混合により、この燃焼器の後流側に接続し
ているタービン（図示せず）入口で適切な燃焼ガス温度
に維持されるように、そのガス温度が下げられる。

発明が解決しようとする問題点 以上述べた従来のガスタービンの燃焼器の冷却構造は、
しかし、次のような問題点があった。

最近のガスタービンの出力増大に伴って、その燃焼器出
口ガス温度の上昇のために、燃焼器をなす内筒のメタル
温度が上昇する傾向にある。

しかして、この高温に対応させて、入手しうる希少で高
価な超耐熱合金板を採用しても、従来の冷却方式（フィ
ルム冷却）を施す場合には燃焼器内筒の全長にわたり、
平均的に冷却されずに、各円筒２〜６の下流側では高温
となり、一方これらのルーバ７を設けている上流側付近
では低温となり過ぎる傾向がかなり強かった。

従ってこれらの円筒２〜７の壁面においては、焼損、ク
ラックの発生及び寿命の低下等を避けることができなく
なった。

問題点を解決するための手段 本発明は、このような従来の問題点を解決するために、
逐次内径が大きくなる複数個の円筒の互いに隣接する端
部を接続して一つの内筒を形成するガスタービンの燃焼
器において、これら円筒夫々を外側筒及び内側筒を重ね
合わさせた二重構造として、この外側筒の内壁面に前記
燃焼器内筒の軸線方向に対して平行に伸びる多数の内溝
を設けるとともに、更にこれらの内溝夫々の同一軸線上
に沿って、前記各外側筒上流側及び各内側筒下流側の夫
々端部付近の円周方向に、前記内溝の幅よりも大きな径
を有する多数の連通口を千鳥状に穿設したものである。

作用 このような手段によれば、燃焼器内筒をなす各円筒夫々
を外側筒及び内側筒を重ね合わせた二重構造として、こ
の外側筒には内溝を設け、かつこの内溝の同一軸線上に
沿って、外側筒の上流側及び内側筒の下流側の夫々端部
付近の円周方向に、連通口を設けるので、この内溝内に
冷却空気を流動させることができる。

実施例 以下、第１〜６図を参照して、本発明による、ガスター
ビンの燃焼器冷却構造の一実施例について詳述する。な
お、これらの図において、第７及び８図に示したものと
同一の部分には同一の符号を付して、その詳細な説明は
省略する。

しかして、本発明によれば、第１〜３図に示すように、
逐次内径が大きくなる複数個の円筒３〜６夫々は、外側
筒12及び内側筒13が重ね合わされた二重構造とされてい
る。

そして、この外側筒の内壁面には燃焼器（内筒）１の軸
線方向に対して平行に伸びる断面が矩形状の多数の内溝
14が機械的手段等（図示せず）により設けられている。

更に、第４〜５図に示すように、これらの内溝夫々の同
一軸線上に沿って、各外側筒12上流側（第４図参照）及
び各内側筒13下流側（第５図参照）の夫々端部付近の円
周方向には、内溝14の幅よりも十分大きな径を有する多
数の冷却空気の連通口15及び16が千鳥状に穿設される。
なお、これらの連通口の内径は好適には少なくとも内溝
14の幅よりも２倍以上の大きさが望まれる。

そして、第６図に示すように、このような構造とされ
た、各円筒部３〜６の隣接する端部においては、内径の
小さい側の円筒（例えば円筒３）の外側筒12と内径の大
きい側の円筒（例えば円筒４）の内側筒13とが円周溶接
17されても良い。また、これらの外側筒12と内側筒13と
が、夫々燃焼器（内筒）１の軸線方向に対しても平行に
延長され、該延長部（図示せず）にて接合されても良
い。この結果、一つの内筒からなる燃焼器１が形成され
ることとなる。なお、円筒２内においては、通常、燃焼
によるその壁面への加熱温度が他の円筒３〜６に比べて
高くないので、連通口15及び16が必ずしも設けられなく
とも良い。

以上のような構成により、燃焼器１の外部から段階的に
導入される冷却空気は、第２図に示す各円筒３〜６の外
側筒12の連通口15から流入し、更に外側筒12の多数の内
溝14を上流側から下流側へ通過した後、第３図に示す内
側筒13の連通口16を経て、燃焼器１内に放出することと
なる。

このような冷却空気流れの過程において、内溝14内に冷
却空気を流動させることにより、燃焼器１内で高温燃焼
ガスに曝される各内側筒13を十分に冷却するばかりか、
同時に内側筒１の連通口16から冷却空気を燃焼器１内に
放出することにより、フィルム冷却の作用をも相乗的に
行うことができる。

以上のように空気冷却及びフィルム冷却を各円筒３〜６
の区間毎にて行うことにより、従って、総体的には燃焼
器（内筒）１の軸線方向全長にわたって、均一な冷却を
効率的に行うことができる。

発明の効果 以上詳述したように、本考案によれば、燃焼器内筒の軸
線方向全長にわたって空気冷却及びフィルム冷却による
均一な冷却を行うことができるため、よってガスタービ
ンの出力増大によ高温化に伴う、燃焼器内の焼損、クラ
ックの発生及び寿命等の重大な問題を十分かつ確実に低
減又は解消することができる。

しかも、この燃焼器の向上の結果、高温ガスタービンの
系内全体の信頼性及び性能を増大させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるガスタービンの燃焼器冷却構造の
一例を示す要部縦断面図、第２図は第１図の主に外側筒
側を示すII−II線斜視図、第３図は第１図の主に内側筒
側を示すII−II線斜視図、第４図は第２図のIV−IV線縦
断面図、第５図は第３図のＶ−Ｖ線縦断面図、第６図は
その燃焼器内筒の全体を示す組立概観図、第７図は従来
のガスタービの燃焼器冷却構造を示す組立概観図、第８
図は第７図のルーバの接合部分の一部を示すVIII−VIII
線断面図である。 １……燃焼器（内筒）、２〜６……円筒、12……外側
筒、13……内側筒、14……内溝、15,16……連通口。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】逐次内径が大きくなる複数個の円筒の互い
   に隣接する端部を接続して一つの内筒を形成するガスタ
   ービンの燃焼器において、これら円筒夫々を外側筒及び
   内側筒を重ね合わせた二重構造として、この外側筒の内
   壁面に前記燃焼器内筒の軸線方向に対して平行に伸びる
   多数の内溝を設けるとともに、更にこれらの内溝夫々の
   同一軸線上に沿って、前記各外側筒上流側及び各内側筒
   下流側の夫々端部付近の円周方向に、前記内溝の幅より
   も大きな径を有する多数の連通口を千鳥状に穿設してな
   るガスタービンの燃焼器冷却構造。