以下、図面に基づいて本考案に係る握り鋏の実施形態の例を説明する。
<実施形態1>
図1は、本実施形態1に係る握り鋏100を示した図である。図2は、本実施形態1に係る握り鋏100の使用状態を説明するための図である。
まず、握り鋏100の構成について説明する。図1に示すように、握り鋏100は、一対の刃部110a及び110bと、柄部120とを含む。一対の刃部110aと刃部110bとは、互いに対向して形成され、柄部120が、刃部110a及び刃部110bを連結している。
刃部110aは、刃付部111aと刃身部112aとを含み、刃部110bは、刃付部111bと刃身部112bとを含む。
刃部110a及び刃部110bは、先端部及び外縁部を丸めた形状に形成することができる。
刃付部111a及び刃付部111bは、それぞれ刃部110a及び刃部110bの互いに対向する側である内側の内縁部に形成される。刃付部111a及び刃付部111bは、先端側が互いに離間し、先端側の反対側である基端側が互いに一部重なり合うように形成されている。これにより、刃付部111aと刃付部111bとの間には、先端側と基端側との間で、被切断物を挟み込むための挟持空間が形成されている。
柄部120は、弾性(バネ性)を有しており、これにより、柄部120によって連結される一対の刃部110aと110bとが互いに離間する方向に付勢されている。
握り鋏100は、長手方向の幅即ち、刃部110a(110b)の先端部から柄部120までの全体の長さL1が、柄部120の、対向する両端部(刃部との接続部)の間の距離である柄部外形幅L2の1倍〜2倍の範囲内である。
ここで、柄部120は、略半円形状の円弧状に形成することができる。
また、柄部120は、柄部外形幅L2を幅広に形成することができる。例えば、図1に示す柄部外形幅L2は、44mm〜90mmの範囲内とすることができる。
また、握り鋏100は、外縁を略円形状又は略卵形状をなすように形成することができる。
以上のように構成される握り鋏100は、用いられる用途や年齢層によって適宜な大きさにすることができる。例えば、長手方向の幅L1を44mm〜100mmの範囲内とし、柄部外形幅L2を44mm〜65mmの範囲内とすることが好ましい。
次に、握り鋏100の使用状態を説明する。図2(a)に示すように、握り鋏100は掌に握り込んで指全体で被切断物を切断する。具体的には、握り鋏100を親指とその他の指で握り締めるようにして両側から押圧力を加えて、柄部120の弾性に抗して刃部110a及び110bを接近させ、摺動(摺り合せ)させて、挟持空間に挟み込まれた被切断物を切断する。そして、握り締める力を弱めて握り鋏100への押圧力を解除して、刃部110a及び110bを元の状態に復元させる。
以上のように、握り鋏100は、長手方向の幅が、柄部外形幅の1倍〜2倍の範囲内であるため、掌に握り込んで被切断物を切断できるようになり、従来の手先の細かい調整を必要とする握り鋏と異なり、簡単に使用することができる。
また、握り鋏100は、柄部120を略半円形状に形成することで、掌に握り込んで、指全体の動きで被切断物を切断するだけでなく、柄部が掌にさらに馴染んで、例えば、指先の細かい調整ができない人や子供でも使いやすくなっている。
また、握り鋏100は、柄部120を外形幅を幅広に形成し、例えば、略半円形状に形成するため、刃部110a及び110bを幅広に形成することができる。そのため、従来の握り鋏における細長い刃部と異なり、人や物を刺して傷つける確率が低くなり、安全性が高まる。
また、握り鋏100は、柄部120を外形幅を幅広に形成し、例えば、略半円形状に形成するため、全体の長さスペースが緩和され、全体を略円形又は卵形状に形成することができる。これにより、刃付部111a及び111bが略円形状又は略卵形状の外縁に囲まれた領域の内部に位置するようになり、さらに刃付部111a及び111bの先端部が丸めた形状であるため、刃付部に接触する確率が格段に低くなり、安全性がさらに高まる。
さらに、図2(b)に示すように、握り鋏100は掛け止めて使用することもできる。従来の握り鋏と異なり、全体を幅広に形成し、例えば、略円形状又は卵形状に形成するため、両側(両脇)から握り締めるだけで被切断物を切断できるからである。これにより、握り鋏100を台所に(例えば冷蔵庫の脇に)掛け止めておけば、レトルト食品袋や野菜包装袋等に容易に切り込みを入れて破ることができ、利便性が高い。
<実施形態1の変形例1>
図3は、実施形態1の変形例1に係る握り鋏100Aを示した図である。図3(a)は、握り鋏100Aを示した図であり、図3(b)は握り鋏100Aの使用状態を説明するための図である。握り鋏100Aは、指掛部を含む点のみが実施形態1に係る握り鋏100と異なるため、以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
図3(a)に示すように、握り鋏100Aは、一対の刃部110a及び110bと、柄部120と、指掛部131Aとを含む。刃部110aは、刃付部111aと刃身部112aとを含み、刃部110bは、刃付部111bと刃身部112bとを含む。
指掛部131Aは、指を掛けて握り鋏100Aを操作するための部分であり、刃部110a及び110bの一方又は双方の刃身部にそれぞれ一つ又は二つ設けられる。一例として、図3に示すように、握り鋏100Aは、刃部110a及び刃部110bにそれぞれ二つの指掛部131Aが設けられる。
ここで、指掛部131Aは、刃部110a及び刃部110bの外縁部から内側に凹んだ凹部であり、指掛部131Aに指を掛けて握り鋏100Aを握り締めることにより、刃付部111a及び111bを摺動させて被切断物を切断する。
例えば、図3(b)に示すように、刃部110bの二つの指掛部131Aのうちの一つに親指を掛け、刃部110aの二つの指掛部131Aにそれぞれ人差し指及び中指を掛けて、握り鋏100Aを操作することができる。刃部110bにおける二つの指掛部131Aは、手の大きさや被切断物の大きさ等によっていずれかを選択して使用することができる。
このように、握り鋏100Aは、指掛部131Aを有することにより、これが位置決め部ないし滑りとめ部となって握り鋏100Aが押圧しやくなり、使いやすくなる。
<実施形態1の変形例2>
図4及び図5は、実施形態1の変形例2に係る握り鋏100Bを説明するための図である。図4(a)は握り鋏100Bの平面図、図4(b)は握り鋏100Bの正面図、図4(c)は握り鋏100Bの左側面図である。また、図5(a)は握り鋏100Bの背面図であり、図5(b)は握り鋏100Bを構成する鋏部材190Bを示した図である。以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
図4及び図5に示すように、握り鋏100Bは、一対の刃部110a及び110bと、柄部120Bとを含む。
柄部120Bは、略半円形状の円弧状に形成されている。柄部120Bは、弾性(バネ性)を有しており、これにより、柄部120Bによって連結されている一対の刃部110aと110bとが互いに離間する方向に付勢されている。
また、図4及び図5に示すように、柄部120Bは、柄部120B本体から延出して刃部110a及び110bの外縁の一部に沿って形成し、刃部110a及び110bの側壁をなす側壁部121A及び側壁部121Bを含む。側壁部121A及び側壁部121Bを含む柄部120Bは、例えば、刃部110a及び110bの刃面と略90°の角度をなすように形成することができる。
握り鋏100Bは、例えば、1枚の金属製部材により一体的に形成される。具体的には、一例として、図5(b)に示すように、厚みが1.0mm〜1.8mmの範囲内である金属製鋏部材190Bにより形成される。
鋏部材190Bは、両端に刃部110a及び110bを有し、中央に刃部110a及び110bを連結する柄部120Bを有する。
そして、鋏部材190Bに対して、柄部120Bと刃部110a及び110bの刃面とが略90°の角度をなし、かつ柄部120B本体が略半円形状をなすように「曲げ加工」が施され、握り鋏100Bが形成される。
以上のように形成された握り鋏100Bは、側壁部121A及び側壁部121Bを有することにより、操作時の掌や指との当接面が広くなり、操作性が向上する。
また、握り鋏100Bは、接続部材等を用いず、一枚の金属製部材により形成されるため、洗浄性の面で優れている。
さらに、従来の部分的に肉厚を変える鍛造技術を用いなくともプレス成形で製造可能となる。
なお、刃部110a及び110bに与える「反り」「ひねり」については、ここでは説明を省略する。
<実施形態1の変形例3>
図6は、実施形態1の変形例3に係る握り鋏100Cを示した図である。図6(a)は握り鋏100Cを示した図であり、図6(b)は作業時における握り鋏100Cを説明するための図である。握り鋏100Cは、スライド部を含む点のみが実施形態1に係る握り鋏100と異なるため、以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
図6に示すように、握り鋏100Cは、一対の刃部110a及び110bと、柄部120と、スライド部150Cとを含む。刃部110aは、刃付部111aと刃身部112aとを含み、刃部110bは、刃付部111bと刃身部112bとを含む。
スライド部150Cは、一対の刃部110a及び110bにそれぞれ設けられ、作業時に刃部110a及び110bの摺動範囲を制限する。
図6に示すように、具体的には、スライド部150Cは、刃部110aに設けられるスライドピン151Cと、刃部110bに設けられる貫通孔であるスライド溝部152Cとを含む。スライド溝部152Cは、刃部110bの基端部に設けられ、作業時にスライドピン151Cを刃付部111bに近い開始端から反対側の終止端へ案内する。
スライドピン151Cは、スライド溝部152Cに対応して、刃部110aの基端部に設けられ、スライド溝部152Cに沿って摺動可能な状態でスライド溝部152Cに差し込まれている。
握り鋏100Cは、切断作業前の状態では、図6(a)に示すように、刃付部111a及び刃付部111bの先端部が開き、刃付部111a及び刃付部111bの基端部が重なり合って、被切断物を挟み込むための挟持空間が形成されている。この状態では、スライドピン151Cは、スライド溝部152Cの開始端に位置している。
切断作業中は、握り鋏100Cにかかる押圧力により、図6(b)に示すように、刃部110aと刃部110bが対向して摺動して、刃付部111a及び刃付部111bが摺動し、刃付部111a及び刃付部111bの先端部が閉じられる。この状態では、スライドピン151Cは、スライド溝部152Cの終止端に位置する。言い換えれば、握り鋏100Cにかかる押圧力により、スライドピン151Cは、スライド溝部152Cの開始端から終止端へスライド(摺動)し、終止端に当接して静止する。
そして、握り鋏100Cへの押圧力を解除すると、柄部120の弾性により、スライドピン151Cは、スライド溝部152Cの終止端から開始端にスライド(摺動)し、開始端に当接して静止する。これにより、刃部110a及び110bが、図6(a)の切断前の状態に復元し、次の作業を始めることができる。
以上のように、握り鋏100Cは、さらに、スライド部150Cを有することにより、例えば硬いものを切った際に、勢いで、刃部が過度に摺動し刃付部が使用者の対向側の指に接触して傷をつけることを防止することができる。
<実施形態1の変形例4>
図7は、実施形態1の変形例4に係る握り鋏100Dを示した図である。以下では実施形態1と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。また、本変形例に係るスライド部150Dは、実施形態1の変形例3に係るスライド部150Cと同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
図7に示すように、握り鋏100Dは、一対の刃部110A及び110Bと、柄部120と、スライド部150Dと、台座部160Dとを含む。
一対の刃部110Aと刃部110Bとは、互いに対向して形成され、柄部120が、刃部110A及び刃部110Bを連結している。刃部110Aは、刃付部111Aと刃身部112Bとを含み、刃部110Bは、刃付部111Bと刃身部112Bとを含む。
刃部110Aは、先端部及び外縁部を丸めた形状に形成され、刃部110Bは、刃部110Aより幅が狭く、尖った形状に形成される。
刃付部111A及び刃付部111Bは、それぞれ刃部110A及び刃部110Bの互いに対向する側である内側の内縁部に形成される。刃付部111A及び刃付部111Bは、先端側が互いに離間し、先端側の反対側である基端側が互いに一部重なり合うように形成されている。これにより、刃付部111Aと刃付部111Bとの間には、先端側と基端側との間で、被切断物を挟み込むための挟持空間が形成されている。
図7に示すように、台座部160Dは、刃部110A及び刃部110Bの刃面と略90°の角度をなすように、刃部110Aの外縁の一部及び柄部120の一部に沿って形成される。
なお、台座部160Dは、刃部及び柄部と一体的に形成されてもよいし、別体に形成された後、握り鋏100Dに取り付けられてもよい。
以上のように、握り鋏100Dは、台座部160Dを有することにより、設置面に設置された状態でも、被切断物を切断することができる。そのため、指による操作ではなく、掌で刃部110B及び柄部120の一方又は双方を押すだけで、切断作業を行うことができる。また、スライド部が設けられているため、例え掌だけで操作しても、押す力が大きすぎで刃付部が手に接触したり、押す角度によって刃部110Aと刃部110Bとの重なり合い(交差)が外れたりすることもない。
このように、握り鋏100Dは、掌に握り込んで指全体で操作できるだけでなく、設置面に設置して掌で押すだけで操作することができ、利便性がさらに高くなる。
<実施形態2>
図8〜図11は、実施形態2に係る握り鋏200を説明するための図である。図8(a)は握り鋏200の平面図、図8(b)は握り鋏200の正面図、図8(c)は握り鋏200のA−A線断面図である。また、図9は握り鋏200の塗装保護段差部を説明するための図、図10は握り鋏200の規制部を説明するための図、図11は握り鋏200を構成する鋏部材290を説明するための図である。
まず、握り鋏200の構成について説明する。図8に示すように、握り鋏200は、一対の刃部210a及び210bと、柄部220と、規制部240とを含む。一対の刃部210aと刃部210bとは、互いに対向して形成され、柄部220が、刃部210a及び210bを連結している。
刃部210aは、刃付部211aと刃身部212aとを含み、刃部210bは、刃付部211bと刃身部212bとを含む。
刃部210a及び刃部210bは、先端部及び外縁部を丸めた形状に形成されている。また、後述するように、柄部220は略半円形状の円弧状に形成されている。また、握り鋏200は、全体が外縁を略円形状又は略卵形状をなすように形成されている。
刃付部211a及び刃付部211bは、それぞれ刃部210a及び刃部210bの互いに対向する側である内側の内縁部に形成される。刃付部211a及び刃付部211bは、先端側が互いに離間し、先端側の反対側である基端側が互いに一部重なり合うように形成されている。これにより、刃付部211aと刃付部211bとの間には、先端側と基端側との間で、被切断物を挟み込むための挟持空間が形成されている。
また、刃部210a及び刃部210bは、刃付部211aと刃身部212aとの境目及び刃付部211bと刃身部212bとの境目にそれぞれ、刃身部の後述する塗装面を保護するための塗装保護段差部213a及び塗装保護段差部213bを有する。
具体的には、例えば、図8(c)及び図9に示すように、刃面に直交する断面視において、塗装保護段差部213aは、刃身部212aから刃付部211aを押し下げるように形成され、塗装保護段差部213bは、刃身部212bから刃付部211bを押し上げるように形成されている。これにより、刃身部212aは刃付部211aより高く、刃身部212bは刃付部211bより低くなり、それぞれ段差が生じている。この段差の大きさは、塗装面の厚みに応じて決めることができ、例えば0.3mmとすることができる。
また、刃部210a及び刃部210bは、刃面に直交する断面視において、柄部220の幅方向の中央方向に、刃部210a及び210bをそれぞれ押し寄せる中央押寄段差部214a及び214bを有する。
具体的には、中央押寄段差部214aは、後述する柄部220の側壁部221aと接続する刃部210aの外縁部に設けられ、接続部分における側壁部221a側から刃部210aを、刃面に直交する断面視において、柄部220の幅方向の中央方向に押し寄せるように形成され、中央押寄段差部214bは、後述する柄部220の側壁部221bと接続する刃部210bの外縁部に設けられ、接続部分における側壁部221b側から刃部210bを、刃面に直交する断面視において、柄部220の幅方向の中央方向に押し寄せるように形成されている。
柄部220は、略半円形状の円弧状に形成されている。柄部220は弾性(バネ性)を有しており、これにより、柄部220によって連結されている一対の刃部210aと210bとが互いに離間する方向に付勢されている。
また、柄部220は、柄部220本体から延出して刃部210a及び210bの外縁の一部に沿って形成し、刃部210a及び210bの側壁をなす側壁部221a及び側壁部221bを含む。側壁部221a及び側壁部221bを含む柄部220は、例えば、刃部210a及び210bの刃面と略90°の角度をなすように形成することができる。
握り鋏200は、図9に示すように、刃付部211a、211b及び塗装保護段差部213a、213b以外の部分、即ち刃身部212a及び刃身部212b、柄部220が塗装される。前述のように、塗装保護段差部213a及び213bを有することにより、刃身部212aは刃付部211aより高く、刃身部212bは刃付部211bより低くなり、それぞれ段差が生じているため、刃付部211a及び刃付部211bのすりあわせによって塗装面が剥がれることを防止することができる。これにより、よりカラフルな握り鋏が可能となる。
規制部240は、一対の刃部210a及び210bにそれぞれ設けられ、作業時には刃部210a及び210bの過度なすりあわせ(過度な摺動)を規制し、収納時には刃部210a及び210bを刃付部211a、211bを含む内縁部が互いに重なり合った状態で保持する。
図8及び図10に示すように、具体的には、刃部210bに規制部である規制ピン241が設けられ、刃部210aに規制部であるピン受け部242が設けられている。規制ピン241は、刃部210bの基端部に設けられる。
ピン受け部242は、規制ピン241に対応して、刃部210aの基端部に設けられる。ピン受け部242は、規制ピン241に当接して刃部の過度なすりあわせ(過度な摺動)を規制するピン当接部243と、規制ピン241を掛止して内縁部が重なり合った状態で刃部を保持するピン掛止部245と、規制ピン241をピン当接部243からピン掛止部245に案内するピンガイド部244を含む。
一例として、図8(b)に示すように、規制ピン241は円形状に形成される。ピン受け部242は、ピンガイド部244を頂点とする突起状に形成され、規制ピン241に近く円弧状に形成された肩部がピン当接部243を構成し、規制ピン241に遠く略U字形状に形成された肩部がピン掛止部245を構成する。ピン当接部243、ピンガイド部244及びピン掛止部245はそれぞれ丸みを帯びており、例えば、規制ピン241は直径を2.2mmに形成し、ピン当接部243は丸みrが1.8mm、ピンガイド部244は丸みrが0.4mm、ピン掛止部245は丸みrが1.25mmに形成することができる。
握り鋏200は、切断作業前の状態では、図10(a)に示すように、刃付部211a及び刃付部211bの先端部が開き、刃付部211a及び刃付部211bの基端部が重なり合って、被切断物を挟み込むための挟持空間が形成されている。この状態では、規制ピン241とピン受け部242とは離れた位置にある。
切断作業中は、握り鋏200にかかる押圧力により、図10(b)に示すように、刃部210aと刃部210bが対向して摺動して、刃付部211a及び刃付部211bが摺動し、刃付部211a及び刃付部211bの先端部が閉じられる。この状態では、規制ピン241はピン受け部242のピン当接部243に当接して、対向方向への摺動が規制される。
そして、次の切断作業を始める場合には、握り鋏200への押圧力を解除する。そうすると、柄部220の弾性により、刃部210a及び210bが、図10(a)の切断前の状態に復元し、次の作業を始めることができる。
一方、切断作業が終了し、握り鋏200を収納する場合には、握り鋏200にさらに押圧力を加える。そうすると、図10(c)に示すように、規制ピン241が、ピン受け部242のピンガイド部244に案内されて、ピン受け部242のピン掛止部245に掛止される。この状態では、刃付部211aを含む刃部210aの内縁部と刃付部211bを含む刃部210bの内縁部とが完全に重なり合った状態(以下「収納状態」という。)で保持される。
握り鋏200は、長手方向の幅即ち、刃部210a(210b)の先端部から柄部220までの全体の長さL1が、柄部220の、対向する両端部(刃部との接続部)の間の距離である柄部外形幅L2の1倍〜2倍の範囲内である。
また、柄部220は、柄部外形幅を幅広に形成することができる。例えば、図8(b)に示す柄部220の外形幅L2は、44mm〜90mmの範囲内とすることができる。
以上のように構成される握り鋏200は、用いられる用途や年齢層によって適宜な大きさに形成することができる。例えば、長手方向の幅L1を44mm〜100mmの範囲内とし、柄部外形幅L2を44mm〜65mmの範囲内とすることが好ましい。一例として、長手方向の幅L1を84mmとし、柄部外形幅L2を55mmとすることができる。
握り鋏200は、例えば、1枚の金属製部材により一体的に形成される。具体的には、例えば、厚みが1.0mm〜1.8mmの範囲内である金属製鋏部材290により形成される。
図11に示すように、鋏部材290は、両端に刃部210a及び210bを有し、中央に刃部210a及び210bを連結する柄部220を有する。
そして、鋏部材290に対して、柄部220と刃部210a及び210bの刃面とが略90°の角度をなし、かつ柄部220本体が略半円形状をなすように「曲げ加工」が施され、握り鋏200が形成される。
以上のように、握り鋏200は、長手方向の幅が、柄部外形幅の1倍〜2倍の範囲内であるため、掌に握り込んで被切断物を切断できるようになり、従来の手先の細かい調整を必要とする握り鋏と異なり、簡単に使用することができる。また、柄部220(腰バネ)を略半円形状に形成することで、柄部が掌にさらに馴染んで、指先の細かい調整ができない人や子供でも使いやすくなっている。また、刃部210a及び210bを幅広に形成することができるため、従来の握り鋏における細長い刃部と異なり、人や物を刺して傷つける確率が低くなり、安全性が高い。また、全体の長さスペースも緩和され、全体を略円形又は卵形状に形成することができ、刃付部が略円形状又は卵形状の外縁に囲まれた領域の内部に位置するとともに、刃付部の先端部が丸めた形状であるため、刃付部に接触する確率が格段に低くなり、安全性がさらに高くなる。
さらに、塗装保護段差部213a及び213bを有することにより、刃身部212aが刃付部211aより高く、刃身部212bが刃付部211bより低くなってそれぞれ段差が生じているため、刃付部211a及び刃付部211bの摺動によって塗装面が剥がれることを防止することができる。そのため、従来の金属色の握り鋏と異なるカラフルな握り鋏を実現することができる。
また、中央押寄段差部214a及び214bを有することにより、刃部210a及び刃部210bが刃面に直交する断面視において柄部220の幅方向の中央方向に寄せられ、操作性が向上する。
また、規制部240を有することにより、刃部の過度な摺動が抑制されるため、刃部が指に接触して傷つけることを防止することができ、安全性が高まる。また、刃付部が収納状態で掛止(ロック)されるため、収納時や携帯時の安全性も高まる。
また、握り鋏200は、接続部材等を用いず、一枚の金属製部材により形成されるため、洗浄性の面で優れている。
なお、刃部210a及び210bに与える「反り」「ひねり」については、ここでは説明を省略する。
<実施形態2の変形例1>
図12は、実施形態2の変形例1に係る握り鋏200Aを示した図である。図12(a)は握り鋏200Aの平面図、図12(b)は握り鋏200Aの正面図、図12(c)は握り鋏200AのA−A線端面図である。図13は、実施形態2の変形例1に係る握り鋏200Aの柄部220Aを構成する柄部材291A説明するための図であり、図13(a)は正面図で、図13(b)は左側面図である。
実施形態2に係る握り鋏200は、1枚の部材により一体的に構成されるのに対して、本変形例に係る握り鋏200Aは、1対の刃部が柄部と別体に形成された後に柄部に取り付けられて構成される。以下では実施形態2と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。なお、以下に説明する握り鋏200Aは、規制部を含まないが、握り鋏200のように規制部を含むように構成されてもよい。
まず、握り鋏200Aの全体の構成について説明する。図12に示すように、握り鋏200Aは、一対の刃部210A及び210Bと、柄部220Aとを含む。一対の刃部210Aと210Bとは、互いに対向して形成され、柄部220Aが、刃部210A及び210Bを連結している。
刃部210Aは、刃付部211Aと刃身部212Aとを含み、刃部210Bは刃付部211Bと刃身部212Bとを含む。刃部210A及び刃部210Bは、先端部及び外縁部を丸めた形状に形成されている。刃付部211A、211B及び刃身部212A、212Bは、後述する中央押寄段差部が柄部に形成される点を除き、前述の握り鋏200の刃付部211a、211b及び刃身部212a、212bと同様であるため、その説明を省略する。
また、刃部210A、210Bも、さらに、それぞれ塗装保護段差部213a、213bを有する。塗装保護段差部213a、213bについても、その説明を省略する。
柄部220Aは、略半円形状の円弧状に形成される。柄部220Aは弾性(バネ性)を有しており、これにより、柄部220Aによって連結されている上記刃部210Aと210Bとが互いに離間する方向に付勢される。
また、柄部220Aは、柄部220A本体から延出して形成し、刃部210A及び210Bの側壁をなす側壁部221A及び側壁部221Bを含む。
また、柄部220Aは、両端部に刃部210A及び刃部210Bを柄部220Aに取り付けて支持するための支持部222A及び支持部222Bを有する。
また、柄部220Aは、側壁部221Aと支持部222Aとの間及び側壁部221Bと支持部222Bとの間にそれぞれ、刃面に直交する断面視において、柄部220Aの幅方向の中央方向に、刃部220A及び刃部220Bを押し寄せる中央押寄段差部223A及び223Bを有する。
具体的には、中央押寄段差部223Aは、側壁部221A側から支持部222Aを、刃面に直交する断面視において、柄部220Aの幅方向の中央方向に押し寄せるように形成され、中央押寄段差部223Bは、側壁部221B側から支持部222Bを、刃面に直交する断面視において、柄部220Aの幅方向の中央方向に押し寄せるように形成されている。
言い換えれば、中央押寄段差部223A及び223Bは、それぞれ側壁部221A及び221Bから延出するように形成され、支持部222A及び222Bは、それぞれ中央押寄段差部223A及び223Bから延出するように形成されている。また、支持部222A及び222Bの支持面と柄部220A本体とはそれぞれ略90°の角度をなしている。
刃部210A及び刃部210Bは、接合部224においてリベット接合やポイント溶接等によってそれぞれ支持部222A及び支持部222Bに取り付けることができる。また、ネジで取り付けてもできる。接合部224の数や位置は支持部の形状等によって適宜決めることができ、ここでは、支持部222A及び支持部222Bにそれぞれ二つの接合部224が設けられるものとする。
次に、柄部220Aを構成する柄部材の一例である柄部材291Aについて説明する。図13(a)は、柄部材291Aの正面図であり、図13(b)は柄部材291Aの左側面図である。
図13に示すように、柄部材291Aは概ね帯状の部材である。また、柄部材291Aの両端部にはそれぞれ板状の支持部222A及び222Bが同一側に形成されている。柄部材291Aは、支持部222A及び222Bが互いに対向するように「曲げ加工」が施され、柄部220Aが形成される。
以上のように、握り鋏200Aは、1対の刃部及び柄部を別体に形成された後組み立てる構成となっているため、刃部のみを取り替えることができ、利便性が高くなる。
また、握り鋏200Aは、刃部を金属製の部材により形成し、柄部は樹脂製の部材により形成するなど、異なる部材で構成することもできる。例えば、柄部を、肉厚を厚くし、最初から湾曲して形成するようにした、樹脂製の柄部材により構成することもできる。
<実施形態3>
図14は、実施形態3に係る握り鋏300を示した図である。図15は、実施形態3に係る握り鋏300の使用状態を説明するための図である。
図14に示すように、握り鋏300は、一対の刃部310a及び310bと、柄部320と、指掛部331a及び331bとを含む。一対の刃部310aと310bとは、互いに対向して形成され、柄部320が、刃部310a及び310bを連結している。
刃部310aは、刃付部311aと刃身部312aとを含み、刃部310bは、刃付部311bと刃身部312bとを含む。
刃付部311a及び311bは、それぞれ刃部310a及び刃部310bの互いに対向する側である内側の内縁部に形成される。刃付部311a及び311bは、互いに重なり合うように形成されている。
柄部320は、略半円形状の円弧状に形成されている。柄部320は弾性(バネ性)を有しており、柄部320と接続している一対の刃部310aと310bとは、互いに重なり合うように付勢されている。
指掛部は、指を掛けて握り鋏300を操作するための部分であり、刃部310a及び310bに一つずつ設けられている。具体的には、例えば、刃部310bには略U字形状の指掛部331bが設けられ、刃部310aには、挿通孔である指掛部331aが設けられる。
握り鋏300は、長手方向の幅即ち、刃部310a(310b)の先端部から柄部320までの全体の長さL1が、柄部320の、対向する両端部(刃部との接続部)の間の距離である柄部外形幅L2の1倍〜2倍の範囲内である。
また、柄部320は、柄部外形幅を幅広に形成することができる。例えば、図14に示す柄部320の外形幅L2は、44mm〜90mmの範囲内とすることができる。
以上のように構成される握り鋏300は、用いられる用途や年齢層によって適宜な大きさにすることができる。例えば、長手方向の幅L1を44mm〜100mmの範囲内とし、柄部外形幅L2を44mm〜65mmの範囲内とすることが好ましい。
次に、握り鋏300の使用状態を説明する。前述のように、握り鋏300は、一対の刃部310a及び310bのそれぞれの刃付部311a及び311bが互いに重なり合うように形成されている。そのため、まず、使用者は、柄部320の弾性に逆らって刃部310a及び310bを離間させて、挟持空間を形成する必要がある。具体的には、図15に示すように、まず、指掛部331bに親指を掛け、指掛部331aに人差し指を掛けて、親指とその他の指を開くようにして重なり合っている刃付部311a及び311bを離間させて、挟持空間を形成する。次いで、挟持空間に被切断物を挟み込んで切断する。そして、指掛部331a及び331bにかけた力を弱めて、刃付部311a及び311bを離間させる力を解除して、刃部310a及び310bを元の状態に復元させる。
以上のように、握り鋏300は、長手方向の幅が、柄部外形幅の1倍〜2倍の範囲内であるため、掌に握り込んで被切断物を切断できるようになり、従来の手先の細かい調整を必要とする握り鋏と異なり、簡単に使用することができる。また、握り鋏300は、柄部320(腰バネ)を略半円形状に形成することで、柄部が掌にさらに馴染んで、指先の細かい調整ができない人や子供でも使いやすくなっている。また、刃部310a及び310bを幅広に形成することができるため、従来の握り鋏における細長い刃部と異なり、人や物を刺して傷つける確率が低くなり、安全性が高い。
さらに、従来の握り鋏と異なり、握り鋏300は、刃付部311a及び311bが互いに重なり合うように形成されている。そのため、刃付部に接触する確率が格段に低くなり、安全性がさらに高くなる。
<実施形態3の変形例1>
図16は、実施形態3の変形例1に係る握り鋏300Aを示した図である。以下では実施形態3と共通する部分については同じ符号を用いてその説明を省略し、異なる点を説明する。
図16に示すように、握り鋏300Aは、一対の刃部310A及び310Bと、柄部320Aと、指掛部332a、332b及び指掛部333a、333bとを含む。一対の刃部310Aと310Bとは、互いに対向して形成され、柄部320Aが、刃部310A及び310Bを連結している。
刃部310Aは、刃付部311Aと刃身部312Aとを含み、刃部310Bは、刃付部311Bと刃身部312Bとを含む。
刃付部311A及び311Bは、それぞれ刃部310A及び刃部310Bの互いに対向する側である内側の内縁部に形成される。刃付部311A及び311Bは、互いに重なり合うように形成されている。
刃付部311A及び311Bは、握り鋏300A本体とは別体に構成されている。すなわち、握り鋏300Aは、一対の刃付部311A及び311Bをそれぞれ構成する一対の金属製部材と、刃付部311A及び311Bを除く握り鋏本体を構成する部材とから構成される。
例えば、刃付部311A及び311Bは、金属製の部材により構成し、接合部314Aにおいてリベット接合やポイント溶接等によってそれぞれ、握り鋏300A本体の刃身部312A及び312Bに取り付けることができる。接合部314Aの数や位置は刃付部や刃身部の大きさや形状等によって適宜決めることができ、ここでは、刃身部312A及び312Bにそれぞれ3つの接続部314Aが設けられるものとする。
握り鋏300A本体は、刃付部と異なる部材で構成することができる。例えば、握り鋏300A本体を樹脂材料により一体的に成形して樹脂部材により構成することができる。
柄部320Aは、弾性(バネ性)を有しており、柄部320Aと接続している一対の刃部310Aと310Bとは、互いに重なり合うように付勢されている。
また、柄部320Aには、収納時にフック等に引っ掛けるため、止め穴としての貫通孔325Aが設けられている。
握り鋏300Aは、複数の指掛部、即ち指掛部332a、332b及び指掛部333a、333bを有する。指掛部332a及び332bは、刃部310a及び332bのそれぞれに形成された挿通孔である。すなわち、握り鋏300Aにおいて、二つの指掛部332a及び332bはともに挿通孔として形成されている。
また、指掛部332a及び332bには、その内周にそれぞれ指掛リング334a及び334bが装着又は接合されている。指掛リング334a及び334bには、弾性のある合成樹脂、例えばシリコン等の材質を用いることができる。
また、柄部320Aにも指掛部333a及び333bが設けられている。指掛部333a及び333bは、柄部320Aの外縁部から内側に凹んだ凹部であり、握り鋏300Aを操作する際に、指を掛けることができる。
以上のように、握り鋏300Aは、一対の刃付部と握り鋏本体とを別体に形成した後組み立てる構成となっているため、刃付部のみを取り替えることができ、利便性が高くなる。
また、握り鋏300Aは、柄部320Aにも指掛部333a及び333bを設けることにより、操作時に指を掛けることができ、操作性がよくなる。また、指掛部333a及び333bが、柄部320Aとび刃部310a及び310bとの間に凹部として形成されているため、柄部320Aのバネ性が高められる。また、指掛リング334a及び334bを有することにより、使用者が指掛部332a及び332bに指を挿入して握り鋏300Aを操作する際に指を擦って傷めることを防止することができる。
以上、本考案に係る握り鋏の実施形態について説明したが、これらは本考案の実施形態の一例に過ぎず、本考案はこれらに限定されるものではない。本考案には、以上の各実施形態を組み合わせた形態や、様々な変形例が含まれる。例えば、実施形態1に係る握り鋏が塗装保護段差部や中央押寄段差部を有してもよいし、規制部を有してもよい。また、実施形態2に係る握り鋏が規制部の代わりにスライド部を有してもよい。
また、図示していないが、上記握り鋏の柄部や刃部の外縁部に糸や、動物の皮、植物の皮(藤の皮)等を巻いてもよい。また、シリコン等の弾性材で覆ってもよい。これにより、操作時の滑り止めを防止できると同時に、手の感触も向上する。