JP3192336U - 空調システム - Google Patents
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Abstract
【課題】建築物の床下空間を利用した空調の実効性を確保した上で安価な空調システムを提供する。【解決手段】長経路送気管部320Hは、2階住居域J3Hにおいて水平に延びた管路端部321の下端開放端側を1階天井157の側に向け、その下方開放端に、送気ファン機構322を備える。送気ファン機構322は、エアー吸引管部310の吸引ファン機構314と協働して第一種機械換気を果たし、制御装置の制御を受けて駆動して熱交換用パイプ300の内部の空気、即ち熱交換用パイプ300により熱交換された空調済み床下空気を長経路送気管部320Hを経て2階住居域J3Hに送気する。1階天井157は、2階住居域J3Hから1階住居域J3に到るガラリ160Hを備え、2階住居域J3Hの住居域内空気は、ガラリ160Hを経て1階住居域J3に流れ込み、その後は、建築物床150のガラリ160を経て床下空間FDに流れ込む。【選択図】図5
Description
本考案は、空調システムに関する。
近年になり、建築物の床下空間を利用した安価な空調システムが種々提案されている(例えば、特許文献1)。この空調システムでは、天井付近で吸引した空気を床下空間のパイプまで導き、蓄熱コンクリートとの熱交換を経た空気を床下空間に放出した後に、床上の家屋室内に導いている。
ところで、特許文献1では、蓄熱コンクリートをその下の床下断熱材にて熱的に遮断しているので、蓄熱コンクリートにより熱交換能力は、当該コンクリートの蓄熱能力、延いては蓄熱コンクリートの容量に依存する。よって、蓄熱コンクリートが熱の吸収と放出を行うとは言え、外気と家屋内の温度の温度差が大きいと、熱交換量が不足してしまい、床下空間のパイプから放出する空気、延いては家屋内に放出する空気による空調が損なわれることが危惧される。また、床下空間の温度は、天井付近を初めとした家屋室内の温度より通常は低い。よって、この床下空間に熱交換済みの空気を放出すると、熱交換済み空気と床下空間の空気とが混じり合い、熱交換済み空気の温度変化を来すことも危惧される。
また、建築物の床下空間は、建築物土台の受けとなる基礎凸部で取り囲まれていると共に、土壌の表面を覆う基礎コンクリートと建築物床で遮られているので、床下空間に日光が入り込むことはほとんどない。このため、床下空間の空気温度は、家屋室内や天井付近の空気温度より低い。よって、この床下空間に特許文献1のようにパイプにて熱交換済みの空気を放出する場合、パイプを通過する空気の温度が高いと、床下空間の空気の温度を高めてしまうことが危惧される。特に、空調システムに冷房要請が高い温暖地域では、天井付近の空気温度が床下空間に比して相当程度高いことが予想されることから、パイプでの熱交換による空気冷却が不足して床下空気を若干とは言え昇温させてしまい、床上の家屋内温度の冷房が進まないことが危惧される。こうしたことから、建築物の床下空間を利用した空調の実効性を確保した上で安価な空調手法が要請されるに到った。
上記した課題の少なくとも一部を達成するために、本考案は、以下の形態として実施することができる。
(1)本考案の一形態によれば、空調システムが提供される。この空調システムは、建築物の空調システムであって、建築物土台の受けとなる基礎凸部で取り囲まれた土壌に埋設され、該土壌との熱交換に用いられる熱交換用パイプと、床下空間への通気孔を備える建築物床の前記床下空間に延びて前記熱交換用パイプと繋がる床下パイプを有し、前記床下空間に存在する床下空気を吸引し、該吸引した床下空気を前記床下パイプを経て前記熱交換用パイプに給気する給気部と、前記熱交換用パイプを通過する間における前記土壌との熱交換を経て空調された空調済み空気の導出対象の建築物内部領域まで前記熱交換用パイプから延びる導出パイプを有し、前記空調済み空気を前記導出パイプを経て前記建築物内部領域に送気する送気部とを備える。
上記形態の空調システムは、土壌に埋設した熱交換用パイプに床下空気を吸引して、床下空気と土壌との熱交換を図る。建築物の土壌は、ほぼ通年を通して23〜25℃程度の温度で安定しており、この土壌温度は、暖房が要請され得る時期における室内温度より高く、冷房が要請され得る時期における室内温度より低い。よって、暖房要請時期には、土壌温度より低い床下空気を土壌との熱交換を経て暖気して建築物内部領域に送気することで暖房を図り、冷房要請時期には、土壌温度より高い床下空気を土壌との熱交換を経て冷やして建築物内部領域に送気することで冷房を図ることができる。こうしたことから、建築物の土壌を上記した特許文献1における蓄熱コンクリートに代用でき、蓄熱コンクリートやその下の床下断熱材が不要となり低コストとなる。また、この形態の空調システムは、床下空気を土壌埋設の熱交換用パイプに吸引して熱交換し、熱交換済みの空調空気を熱交換用パイプから延びる導出パイプを経て建築物内部領域に送気するので、熱交換済み空気と床下空間の空気との混合に起因した熱交換済み空気の温度変化を来さない。この結果、この形態の空調システムによれば、建築物の床下空間を利用した空調の実効性を確保した上で安価な空調手法を提供できる。なお、床下空間の温度は、暖房要請時期と冷房要請時期の両期間において土壌温度と高低の差はあるものの、土壌温度との温度差は、外気温と土壌温度の温度差に比べれば、小さい。よって、土壌温度が外気温に比して低いために熱交換用パイプでの結露が起き得る冷房要請時期であっても、上記形態の空調システムによれば、床下空気の継続した給気と送気により、パイプ内の結露を効果的に抑制して、地中埋設の熱交換用パイプの防カビ性を高めることが可能となる。
(2)上記形態の空調システムにおいて、前記給気部は、前記給気部は、ユーザーによる冷房実行操作がない場合の前記熱交換用パイプへの前記床下空気の給気を、ユーザーによる冷房実行操作がある場合の給気より少量の給気量で継続するようにできる。こうすれば、継続給気に伴う通気音を低減できる。
(3)本考案の他の形態によれば、空調システムが提供される。この空調システムは、建築物の空調システムであって、床下空間への通気孔を備える建築物床の床下で延びる床下敷設パイプと、前記床下空間に存在する床下空気を吸引し、該吸引した床下空気を前記床下敷設パイプに給気する給気部と、前記床下敷設パイプを通過した空気の導出対象の建築物内部領域まで前記床下敷設パイプから延びる導出パイプを有し、前記床下空気を前記導出パイプを経て前記建築物内部領域に送気する送気部とを備える。
上記形態の空調システムは、建築物の床下で延びる床下敷設パイプに床下空気を吸引する。床下敷設パイプに吸引されて当該パイプを通過する床下空気の温度は、冷房空調が要請される時期において、室内温度より低い。よって、冷房要請時期には、室内温度より低い床下空気を床下敷設パイプから延びる導出パイプを経て建築物内部領域に直接送気することで、冷房を図ることができる。しかも、こうした冷房の際に、熱交換済み空気と床下空間の空気との混合に起因した床下空気の昇温を来さない。この結果、この形態の空調システムによれば、建築物の床下空間を利用した冷房空調の実効性を確保した上で安価な空調手法を提供できる。なお、床下空間の温度は、冷房要請時期において外気温より、通常は低い。よって、床下空気が外気温に比して低いために床下敷設パイプでの結露が起き得る冷房要請時期であっても、上記形態の空調システムによれば、床下空気の継続した給気と送気により、パイプ内の結露を効果的に抑制して、床下敷設パイプの防カビ性を高めることが可能となる。
なお、本考案は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、複数の住居域を有する住宅建築物の他、体育館、講演会会場、映画館等の大規模建築物にも適用できる。
以下、本考案の実施の形態について、図面に基づき説明する。図1は本考案の実施形態としての空調システム100を用いた建築物の概要を説明するための説明図、図2は空調システム100の構成と建築物床との関係を説明するための説明図である。
図示するように、建築物Kは、住人の住居域を複数有する住宅建築物であって、建築物Kの基礎部分に、実施形態としての空調システム100を備え、その制御装置200を、例えば建築物壁面に有する。空調システム100は、図2に詳しく示すように、建築物Kの土間基礎DKの土壌Dの上面に、土壌表面を覆うコンクリート層105と、断熱体107と、熱交換用パイプ300とを有する。
コンクリート層105は、建築物Kの建築物床150との間に床下空間FDを形成し、この床下空間FDの高さ方向間隙Tを50〜300mmの範囲で確保し、その下層への水の浸入回避、下層保護等の機能を果たす。断熱体107は、土壌Dから立ち上がって建築物Kの土台150Dの受けとなる基礎凸部KTに装着され、この基礎凸部KTで取り囲まれた後述の建築物床下領域の断熱を図る。なお、基礎凸部KTは、布基礎として構成されても良いほか、ベタ基礎として構成されても良い。また、断熱体107については、省略してもよい。
熱交換用パイプ300は、土壌Dに所定の埋設深さDLで埋設される塩化ビニル製のパイプであり、内部の空気を土壌Dの熱と熱交換する。熱交換用パイプ300の直径と埋設経路長PLは、建築物Kの居間等の空調済み外気の導出対象の内容積に応じて定められる。熱交換用パイプ300の埋設深さDLや直径、埋設経路長PLについては後述する。本実施形態の建築物Kは、図1に示すように2階建てであり、1階住居域J3と2階住居域J3Hとに別系統で冷暖房空調可能に構成されている。
次に、熱交換用パイプ300の設置の様子について説明する。図3は熱交換用パイプ300の埋設経路を概略的に斜視にて示す説明図、図4は熱交換用パイプ300の埋設経路の様子を概略的に平面視にて示す説明図である。
図示するように、基礎凸部KTは、土間基礎DKを取り囲むと共に、この土間基礎DKを建築物Kの住空間区画に対応して区画し、建築物Kの土台150D(図2参照)を受ける。こうして基礎凸部KTにて区画されて取り囲まれた土間基礎DKは、本実施形態では、図3〜図4に示すように、第1床下領域R1〜第5床下領域R5とされ、第5床下領域R5は、玄関土間DCの土間基礎DKを除く領域とされている。
建築物Kの建築物床150は、本実施形態では、図2に示すように、空調システム100の側から、土台150D、大引151、根太152、床下地材153、フローリング材154を備え、土台150Dに掛け渡された大引151と根太152にて、コンクリート層105の表層との間に床下空間FDを形成する。つまり、大引151や根太152の寸法やその組構造を変えることで、或いはコンクリート層105の厚みを変えることで床下空間FDの間隙Tを種々のものとでき、この間隙Tは、空調システム100の設置箇所での暖房の要請程度、詳しくは暖房温度や頻度等の他、住空間に導出する空調済み空気の空調程度に応じて規定される。
図5は本実施形態の空調システム100において2階住居域J3Hの空調に用いる熱交換用パイプ300の埋設の様子を概略的に縦断面視して示す説明図、図6は本実施形態の空調システム100において1階住居域J3の空調に用いる熱交換用パイプ300の埋設の様子を概略的に縦断面視して示す説明図である。
本実施形態では、1階の最大面積の第3床下領域R3に対応する住空間、例えば、居間と台所が繋がった高内容積の1階住居域J3と、この1階住居域J3の上に当たる2階住居域J3H(図5参照)を、空調システム100の熱交換用パイプ300による空調済み空気の導出対象とした。この1階住居域J3は、縦横が約4mx10mで天井高が約3mの1階住居であり、本実施形態では、この1階住居域J3の空調に用いる熱交換用パイプ300と、2階住居域J3Hの空調に用いる熱交換用パイプ300の両パイプを、土壌Dに埋設した。1階住居域J3の空調に用いる熱交換用パイプ300は、最大面積の第3床下領域R3に対応する1階住居域J3の内容積(120m3)に応じて、パイプ直径を100〜150mmの市販の塩化ビニル製パイプ(例えば、120mm)とし、埋設経路長PLについては、15mとした。熱交換用パイプ300の埋設経路は、土間基礎DKにおいてにおいて任意に設定できる。本実施形態では、1階住居域J3の空調に用いる熱交換用パイプ300を、図3と図4に示すように、第1床下領域R1から第3床下領域R3まで延びるL字状の経路で埋設し、熱交換用パイプ300への給気をエアー吸引管部310により第1床下領域R1における床下空間FDで行い、1階住居域J3への送気(図6参照)は、熱交換用パイプ300からこの1階住居域J3まで延びる短経路送気管部320Lにて行う。熱交換用パイプ300の土壌Dの表面からの埋設深さDL(図2参照)については、これを約100cmとした。こうして土壌Dに埋設された熱交換用パイプ300は、パイプ内に給気済みの空気を、土壌Dとの熱交換を埋設経路長PLに亘って行うことで空調し、その空調済み空気を短経路送気管部320Lを経て1階住居域J3に送り込む(図6参照)。熱交換用パイプ300における空気吸引と空調済み空気の導出、並びに、熱交換用パイプ300の経路勾配の様子については、後述する。
1階天井157(図5参照)により1階住居域J3から区画された2階住居域J3Hの空調に用いる熱交換用パイプ300は、1階住居域J3と同様に住居域内容積に応じたパイプ直径と埋設経路長の塩化ビニル製パイプであり、熱交換用パイプ300の埋設経路は、図3と図4に示すように第3床下領域R3においてコの字状とした。これにより、2階住居域J3Hの内容積に応じ経路長が確保される。熱交換用パイプ300の埋設深さDL(図2参照)については、1階住居域J3と同様であり、こうして土壌Dに埋設された熱交換用パイプ300は、パイプ内に給気済みの空気を、土壌Dとの熱交換を埋設経路長PLに亘って行うことで空調し、その空調済み空気を長経路送気管部320Hを経て2階住居域J3Hに送り込む(図5参照)。なお、第1床下領域R1〜第3床下領域R3以外の床下領域に対応する住居域についても、熱交換用パイプ300を用いた空調済み空気の導出対象としてもよい。また、第1床下領域R1〜第3床下領域R3以外の床下領域において、熱交換用パイプ300を埋設してもよい。
図5に示すように、空調システム100は、2階住居域J3Hの空調用の熱交換用パイプ300を、土壌Dに埋設して備え、この熱交換用パイプ300の両端にエアー吸引管部310と長経路送気管部320Hとを繋げて備える。2階住居域J3Hの空調用の熱交換用パイプ300は、図3や図4に示す第3床下領域R3において土壌Dの内部に延び、コの字状に屈曲したパイプ経路を採る。エアー吸引管部310は、熱交換用パイプ300と同径の塩化ビニル製パイプであって、熱交換用パイプ300の一端において当該パイプと繋がり、土壌Dから建築物Kの床下空間FDにほぼ鉛直に延びる。その上で、エアー吸引管部310は、床下空間FDにおいて建築物床150に沿って水平に延びた管路端部312に、吸引ファン機構314を有する。
吸引ファン機構314は、後述の制御装置200の制御を受けて駆動して床下空間FDに存在する床下空気を吸引し、その吸引した床下空気をエアー吸引管部310を経て熱交換用パイプ300に給気する。吸引ファン機構314の上流側には、図示しない防虫網が配設されているので、虫或いは虫程度のゴミが除去された床下空気が、熱交換用パイプ300に給気される。建築物床150は、1階住居域J3から床下空間FDに到るガラリ160を備え、1階住居域J3の住居域内空気は、ガラリ160を経て床下空間FDに流れ込む。なお、図5や図6では、ガラリ160をエアー吸引管部310の吸引ファン機構314の近傍に示しているが、ガラリ160は、吸引ファン機構314が存在する床下空間FDと1階住居域J3とを隔てる建築物床150のいずれの箇所に配設してもよい。
熱交換用パイプ300は、土壌Dの内部においてコの字状に屈曲したパイプ経路で延びるに当たり、各屈曲経路部を、図3の黒塗りの傾斜記号および図5のパイプ経路で示したように、エアー吸引管部310との繋ぎ箇所である管路末端に向けた下り勾配で土壌Dに埋設される。熱交換用パイプ300は、下り勾配経路の最上部側のパイプ端部に、長経路送気管部320Hを繋げて備える。長経路送気管部320Hは、熱交換用パイプ300と同径の塩化ビニル製パイプであり、建築物床150および1階天井157を貫通して2階住居域J3Hまでほぼ鉛直に延びる。つまり、長経路送気管部320Hは、熱交換用パイプ300を通過する間における土壌Dとの熱交換を経て空調された空調済み空気の導出対象たる2階住居域J3Hまで熱交換用パイプ300から延びる。なお、この長経路送気管部320Hを建築物Kの外壁内に設置し、後述の送気ファン機構322が2階住居域J3Hに露出するようにしてもよい。
長経路送気管部320Hは、2階住居域J3Hにおいて水平に延びた管路端部321の下端開放端側を1階天井157の側に向け、その下方開放端に、送気ファン機構322を備える。送気ファン機構322は、エアー吸引管部310の吸引ファン機構314と協働して第一種機械換気を果たし、後述の制御装置200の制御を受けて駆動して熱交換用パイプ300の内部の空気、即ち熱交換用パイプ300により熱交換された空調済み床下空気を長経路送気管部320Hを経て2階住居域J3Hに送気する。1階天井157は、2階住居域J3Hから1階住居域J3に到るガラリ160Hを備え、2階住居域J3Hの住居域内空気は、ガラリ160Hを経て1階住居域J3に流れ込み、その後は、建築物床150のガラリ160を経て床下空間FDに流れ込む。なお、図5や図6では、ガラリ160Hを長経路送気管部320Hの送気ファン機構322に対向して示しているが、ガラリ160Hは、1階天井157のいずれの箇所に配設してもよい。
図6に示すように、空調システム100は、1階住居域J3の空調用の熱交換用パイプ300を、土壌Dに埋設して備え、この熱交換用パイプ300の両端にエアー吸引管部310と短経路送気管部320Lとを繋げて備える。1階住居域J3の空調用の熱交換用パイプ300は、図3や図4に示すように第1床下領域R1〜第3床下領域R3に掛けて土壌Dの内部に延び、L字状に屈曲したパイプ経路を採る。エアー吸引管部310は、既述したように熱交換用パイプ300との一端において繋がり、土壌Dから建築物Kの床下空間FDにほぼ鉛直に延び、既述した吸引ファン機構314にて、床下空間FDの床下空気を熱交換用パイプ300に給気する。防虫網を有する点も既述した通りである。建築物床150のガラリ160についても、2階住居域J3Hの空調用の構成と同様である。
1階住居域J3の空調用の熱交換用パイプ300は、土壌Dの内部においてL字状に屈曲したパイプ経路で延びるに当たり、各屈曲経路部を、図3の黒塗りの傾斜記号および図6のパイプ経路で示したように、エアー吸引管部310との繋ぎ箇所である管路末端に向けた下り勾配で土壌Dに埋設される。この他、熱交換用パイプ300は、下り勾配経路の最上部側のパイプ端部に、短経路送気管部320Lを繋げて備える。短経路送気管部320Lにあっては、熱交換用パイプ300と同径の塩化ビニル製パイプであり、建築物床150を貫通して1階住居域J3までほぼ鉛直に延びる。なお、この短経路送気管部320Lを建築物Kの外壁内に設置し、送気ファン機構322が1階住居域J3に露出するようにしてもよい。
短経路送気管部320Lは、長経路送気管部320Hと同様に、1階住居域J3において水平に延びた管路端部321の下端開放端側を建築物床150の側に向け、その下方開放端に、既述した送気ファン機構322を備え、当該ファイン機構により、熱交換用パイプ300の内部の空気(空調済み床下空気)を1階住居域J3に送気する。なお、1階住居域J3の空調用の熱交換用パイプ300は、図4に示す第1床下領域R1と第2床下領域R2を区画する基礎凸部KTと、第2床下領域R2と第3床下領域R3を区画する基礎凸部KTを貫通して、土壌Dの内部に延び、L字状に屈曲したパイプ経路を採る。
上記したパイプ配設により、本実施形態の空調システム100は、床下空間FDの床下空気を熱交換用パイプ300にエアー吸引管部310を経て給気した上で、熱交換用パイプ300を通過した空調済み床下空気を短経路送気管部320L或いは長経路送気管部320Hを経て、1階住居域J3や2階住居域J3Hに送気する。そして、本実施形態の空調システム100は、こうした給送気を行うに当たり、その風量が60m3/h程度で、風速が2.2m/sec程度の小風量・低風速にて床下空気が給送気されるよう、吸引ファン機構314と送気ファン機構322を制御装置200により駆動制御する。
本実施形態の空調システム100は、送気ファン機構322における送気風量を制限する。図7は送気ファン機構322における送風量制限の様子を概略的に示す説明図である。図示するように、送気ファン機構322は、送気ファンの送気下流側にシャッター323を備える。このシャッター323は、送気ファン下流の送気流路に対して進退可能に送気ファン機構322に組み込まれ、流路面積を絞る。本実施形態の空調システム100は、上記したように小風量・低風速で床下空気の給送気を行うことと相まって、シャッター323による流路面積の制限により、送気の際の異音発生を抑制できる。
上記した熱交換用パイプ300と、エアー吸引管部310と、長経路送気管部320Hおよび短経路送気管部320Lは、パイプ内壁に防カビ被膜308を有する。この防カビ被膜308は、防カビ性の薬剤、例えばイミダゾール系やピリジン系の防カビ性薬剤をパイプ内壁に塗布等して形成される。なお、本実施形態の空調システム100は、後述するように高い防カビ性を発揮することから、防カビ被膜308については、これを省略したり、薄膜化してもよい。
制御装置200は、CPU、ROM、RAM等の論理演算回路を備える制御部202と、メモリ部204と、I/O部206と、報知部209等を有する。メモリ部204は、各種のプログラムやデーター等を記憶する。I/O部206は、ユーザーにて操作される操作盤250(図1参照)と接続され、信号入力を図る。制御装置200の制御部202は、吸引ファン機構314等を含む空調システム100の全体の制御を担う。報知部209は、ファンの駆動に異常が起きたような場合に、その旨をランプ等にて点灯して報知する。
次に、上記した制御装置200の制御部202による空調システム100の運転モードについて説明する。図8は空調システム100の冷暖房運転の運転モードを決定するフローチャートである。
この運転モード決定ルーチンは、所定時間(例えば、24時間)ごとに制御部202にて繰り返され、その都度に、空調システム100の運転モードが決定される。まず、制御部202は、季節情報を読み込む(ステップS100)。この場合の季節情報としては、制御部202が備えるタイマーに基づいた日時情報や外気温推移、湿度推移等の気象情報があり、制御部202は、暖房要請の有無、或いは冷房要請の有無を判定できるに足りる気象情報を読み込む。例えば、タイマーに基づいた日時と、建築物Kが属する地方自治体において通常、冷暖房が要請され始める時期とを対比することで、制御部202は、現時点での暖房要請の有無や冷房要請の有無を判定できる。この他、暦で定めた冬期から春先まで、或いは日付で定めた期間、外気温が所定温度を下回るようになってから所定温度を上回るように推移する期間を暖房要請期間とし、これらを規定する気象情報を読み込む。冷房要請期間についても同様である。なお、気象情報については、気象庁等が公表済みの各種情報を図示しない公衆回線から入手できる。建築物Kに備え付けた外気温センサーや湿度センサーから入手した建築物周辺の外気温推移・湿度推移を季節情報として読み取るようにしてもよい。
次いで、制御部202は、読み込んだ気象情報に基づいて暖房要請があるか否かを判定し(ステップS110)、暖房要請があれば、空調システム100の運転モードを暖房運転モードに決定し(ステップS120)、一旦、本ルーチンを終了する。このステップS120で決定した暖房運転モードでの運転では、制御部202は、吸引ファン機構314や送気ファン機構322を、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう駆動制御すると共に、暖房のON/OFFスイッチ操作によりファンのON/OFFもなされる。暖房運転モード運転はユーザーによる暖房要請がなされる時期の運転であり、こうした時期では、土壌Dは、外気温や1階住居域J3、2階住居域J3Hの家屋内温度より高い23〜25℃程度の温度で安定している。よって、ユーザーが暖房スイッチをONとして暖房実行を所望すれば、熱交換用パイプ300にて土壌Dの熱と熱交換されて暖められた暖房済み床下空気を1階住居域J3等に送り出し、住居域の暖房がなされる。この際の風量は、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう吸引ファン機構314等が制御部202に駆動制御されて、規定される。
ステップS110で暖房要請がないと否定判定すると、制御部202は、ステップS100で読み込んだ気象情報に基づいて冷房要請の有無を判定する(ステップS130)。ここで冷房要請があると肯定判定すれば、制御部202は、空調システム100の運転モードを冷房運転モードに決定し(ステップS140)、一旦、本ルーチンを終了する。このステップS140で決定した冷房運転モードでの運転はユーザーによる冷房要請がなされる時期の運転であり、こうした時期であっても、土壌Dは、外気温や1階住居域J3、2階住居域J3Hの家屋内温度より低い23〜25℃程度の温度で安定している。よって、ユーザーが冷房スイッチをONとして冷房実行を所望すれば、熱交換用パイプ300にて土壌Dの熱と熱交換されて冷やされた冷房済み床下空気を1階住居域J3等に送り出し、住居域の冷房がなされる。この際の風量は、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう吸引ファン機構314等が制御部202に駆動制御されて、規定される。この際、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、ユーザーが冷房スイッチをONとしている期間において、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。ユーザーは、就寝時或いは外出の際に、冷房スイッチをOFFとすることが有り得る。ステップS140の冷房運転モードでは、こうした冷房スイッチOFFの期間において、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、ユーザーによる設定風量の1/2〜1/4程度の風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。つまり、ステップS140の冷房運転モードでは、ステップS130にて冷房要請があるとされた期間において、熱交換用パイプ300への床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合であっても継続すると共に、その際の床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がある場合の給気より少量の給気量で継続することになる。
その一方、ステップS130で冷房要請はないと否定判定した状況は、ステップS110での暖房要請なしとの否定判定に続くものであることから、暖房要請期間から冷房要請期間ヘの推移期間、または、この逆の推移期間となる。換言すれば、冷暖房が共に要請されないことが多い5月〜7月初旬までの期間や9月下旬〜11月までの期間は、往々にして、ステップS130で冷房要請はないと否定判定される。なお、建築物Kの建築地域によって、これら期間は異なる。
制御部202は、ステップS130で冷房要請はないと否定判定すると、ステップS100で読込済みの季節情報の内の外気温推移や湿度推移、場合によっては建築物床150に設けた図示しない床温センサーから得た床温推移に基づいて、熱交換用パイプ300におけるカビの生育の可能性の有無を判定する(ステップS150)。ここで否定判定すれば、制御部202は、何の処理も行うことなく本ルーチンを一旦、終了する。これにより、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、常時停止となる。
制御部202は、ステップS150での肯定判定を受けて、空調システム100の運転モードを防カビ運転モードに決定し(ステップS160)、一旦、本ルーチンを終了する。このステップS160で決定した防カビ運転モードでの運転では、吸引ファン機構314と送気ファン機構322については、冷房運転モード或いは暖房運転モードにおいてユーザーによる設定風量の1/2〜1/4程度の風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。つまり、ステップS160の防カビ運転モードでは、暖房要請期間から冷房要請期間に推移する期間、或いは冷房要請期間から暖房要請期間に推移する期間において、熱交換用パイプ300への床下空気の給気を冷暖房時の給気より少量の給気量で継続することになる。なお、熱交換用パイプ300におけるカビの生育の可能性は、外気温推移や湿度推移、或いは床温センサーから得た床温推移に基づいて予め実験的に規定できるので、その規定した外気温推移等に基づき、カビの生育可能性を判定できる。
以上説明したように、建築物Kが備える本実施形態の空調システム100は、土壌Dの熱との熱交換を図るよう土壌Dに埋設した熱交換用パイプ300に、エアー吸引管部310を経て床下空間FDの床下空気を給気する。その上で、暖房要請があると判定すると(ステップS110)、この暖房要請期間において、室内温度より高い温度の土壌Dに埋設済みの熱交換用パイプ300により、パイプ内に給気済み床下空気を土壌Dとの熱交換を経て暖める。こうして暖めた床下空気を暖気として短経路送気管部320L、長経路送気管部320Hを経て1階住居域J3や2階住居域J3Hに導いて、これら住居域を暖房する(ステップS120)。
本実施形態の空調システム100は、冷房要請があると判定すると(ステップS130)、この冷房要請期間において、室内温度より低い温度の土壌Dに埋設済みの熱交換用パイプ300により、パイプ内に給気済み床下空気を土壌Dとの熱交換を経て冷やす。こうして冷やした床下空気を冷気として短経路送気管部320L、長経路送気管部320Hを経て1階住居域J3や2階住居域J3Hに導いて、これら住居域を冷房する(ステップS140)。こうしたことから、建築物の土壌Dを冷暖房用の蓄熱を図る蓄熱コンクリートに代用でき、蓄熱コンクリートやその下の床下断熱材が不要となり低コストとなる。
このようにして冷暖房を図るに当たり、本実施形態の空調システム100は、熱交換用パイプ300を介した土壌Dとの熱交換の対象となる空気を、建築物床150とコンクリート層105との間の床下空間FDの床下空気とする(図5、図6参照)。その上で、この床下空気を土壌埋設の熱交換用パイプ300に吸引して熱交換し、熱交換済みの空調空気を熱交換用パイプ300から延びる短経路送気管部320L、長経路送気管部320Hを経て1階住居域J3や2階住居域J3Hに送気するので、熱交換済み空気と床下空間FDの空気との混合に起因した熱交換済み空気の温度変化を来さない。この結果、本実施形態の空調システム100によれば、建築物の床下空間FDを利用した空調の実効性を確保した上で安価な構成とできる。
本実施形態の空調システム100は、既述したように床下空間FDの空気を熱交換の対象とし、この床下空気の温度は、暖房要請時期と冷房要請時期の両期間において土壌温度と高低の差はあるものの、土壌温度との温度差は、外気温と土壌温度の温度差に比べれば、小さい。よって、本実施形態の空調システム100によれば、土壌温度が外気温や室内温度より低いために熱交換用パイプ300での結露が起き得る冷房要請期間であっても、床下空気の継続した給気と送気により、パイプ内の結露をより効果的に抑制して、地中埋設の熱交換用パイプ300の防カビ性を高めることができる。
本実施形態の空調システム100では、ステップS140での冷房運転モードにより、冷房要請期間においては、熱交換用パイプ300への床下空気の給気を継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100によれば、冷房要請期間においては、継続した熱交換用パイプ300への床下空気の通気により、高い実効性でパイプ内結露を抑制でき、熱交換用パイプ300の防カビ性をより確実に高めることができる。
本実施形態の空調システム100では、ステップS140での冷房運転モードにより、冷房要請期間における熱交換用パイプ300への床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合であっても継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100によれば、熱交換用パイプ300の防カビ性の実効性をより高めることができる。
本実施形態の空調システム100では、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合における熱交換用パイプ300への床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がある場合の給気より少量(1/2〜1/4)の給気量で継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100によれば、継続給気に伴う通気音を低減できる。これに加え、本実施形態の空調システム100によれば、送気ファン機構322の送気ファンの送気下流側にシャッター323を設けて流路面積を絞るので、通常の冷房運転モードにおいても風量が60m3/h程度で風速が2.2m/sec程度の小風量・低風速で床下空気の給送気を行うことと相まって、送気の際の異音発生を抑制できる。
次に、他の実施形態について説明する。図9は他の実施形態の空調システム100を概略的に縦断面視して示す説明図である。この実施形態の空調システム100は、熱交換用パイプ300とエアー吸引管部310との繋ぎ箇所近傍にメンテナンスホールMHを有する。このメンテナンスホールMHは、コンクリート層105の表層から土壌Dまで延び、通常は、ホールキャップHCにて塞がれている。建築物床150には、ホールキャップHCに重ねて図示しない貫通孔が形成され、当該貫通孔も蓋にて通常は塞がれている。この貫通孔と蓋体は、図示の都合上示されていない。そして、この空調システム100は、熱交換用パイプ300からメンテナンスホールMHまでドレンパイプ301を延ばし、当該パイプをスクリューキャップ301cにて塞いでいる。この実施形態の空調システム100によれば、長期に亘るユーザーの不在等により、仮に熱交換用パイプ300において結露が発生して熱交換用パイプ300に水が貯まっても、その水をメンテナンスホールMHに延びたドレンパイプ301から排出できる。
図10は本考案のまた別の実施形態としての空調システム100Aを用いた建築物の概要を説明するための説明図、図2は空調システム100Aの構成と建築物床との関係を説明するための説明図である。
図示するように、建築物Kは、住人の住居域を複数有する住宅建築物であって、建築物Kの基礎部分に、実施形態としての空調システム100Aを備え、その制御装置200を、例えば建築物壁面に有する。空調システム100Aは、図2に詳しく示すように、建築物Kの土間基礎DKの土壌Dの上面に、土壌表面を覆うコンクリート層105と、断熱体107と、床下敷設パイプ300Aとを有する。
コンクリート層105は、建築物Kの建築物床150との間に床下空間FDを形成し、この床下空間FDの高さ方向間隙Tを300A〜600mmの範囲で確保し、その下層への水の浸入回避、下層保護等の機能を果たす。建築物Kが既設の建築物であれば、床下空間FDの高さ方向間隙Tは既存建築物固有の間隙となるが、往々にして上記範囲の間隔となる。これは、既存建築物においては、床下でのメンテナンスのため、上記した程度の間隙が確保されているからである。
断熱体107は、土壌Dから立ち上がって建築物Kの土台150Dの受けとなる基礎凸部KTに装着され、この基礎凸部KTで取り囲まれた後述の建築物床下領域の断熱を図る。なお、基礎凸部KTは、布基礎として構成されても良いほか、ベタ基礎として構成されても良い。また、断熱体107については、省略してもよい。
床下敷設パイプ300Aは、塩化ビニル製のパイプであり、床下空間FDにおいてコンクリート層105の上面に敷設される。なお、この床下敷設パイプ300Aは、コンクリート層105との接触箇所において、内部の空気をコンクリート層105の熱と熱交換可能である。床下敷設パイプ300Aの直径と敷設経路長PLは、建築物Kの居間等の空調済み外気の導出対象の内容積に応じて定められる。床下敷設パイプ300Aの直径や敷設経路、敷設経路長PLについては後述する。本実施形態の建築物Kは、図1に示すように2階建てであり、1階住居域J3と2階住居域J3Hとに別系統で冷房空調可能に構成されている。
この床下敷設パイプ300Aは、その敷設箇所が床下空間FDにおけるコンクリート層105の上である点で既述した実施形態の熱交換用パイプ300と相違するものの、その敷設経路や勾配は、図3〜図4で説明した熱交換用パイプ300と同じとできる。
図12は本実施形態の空調システム100Aにおいて2階住居域J3Hの空調に用いる床下敷設パイプ300Aの敷設の様子を概略的に縦断面視して示す説明図、図13は本実施形態の空調システム100Aにおいて1階住居域J3の空調に用いる床下敷設パイプ300Aの敷設の様子を概略的に縦断面視して示す説明図である。
本実施形態では、1階の最大面積の第3床下領域R3に対応する住空間、例えば、居間と台所が繋がった高内容積の1階住居域J3と、この1階住居域J3の上に当たる2階住居域J3H(図5参照)を、空調システム100Aの床下敷設パイプ300Aによる空気の導出対象とした。この1階住居域J3は、縦横が約4mx10mで天井高が約3mの1階住居であり、本実施形態では、この1階住居域J3の空調に用いる床下敷設パイプ300Aと、2階住居域J3Hの空調に用いる床下敷設パイプ300Aの両パイプを、別系統でコンクリート層105に敷設した。1階住居域J3の空調に用いる床下敷設パイプ300Aは、最大面積の第3床下領域R3に対応する1階住居域J3の内容積(120m3)に応じて、パイプ直径を100A〜150mmの市販の塩化ビニル製パイプ(例えば、120mm)とし、敷設経路長PLについては、15mとした。床下敷設パイプ300Aの敷設経路は、土間基礎DKにおいてにおいて任意に設定できる。本実施形態では、1階住居域J3の空調に用いる床下敷設パイプ300Aを、図3と図4に示すように、第1床下領域R1から第3床下領域R3まで延びるL字状の経路とし、床下敷設パイプ300Aへの給気をエアー吸引管部310により第1床下領域R1における床下空間FDで行い、1階住居域J3への送気(図13参照)は、床下敷設パイプ300Aからこの1階住居域J3まで延びる短経路送気管部320Lにて行う。床下敷設パイプ300Aが基礎凸部KTと交差する箇所では、この基礎凸部KTにパイプ貫通孔を設けるようにした。こうして敷設された床下敷設パイプ300Aは、パイプ内に給気済みの空気を、短経路送気管部320Lを経て1階住居域J3に送り込む(図13参照)。この場合、床下敷設パイプ300Aは、その敷設経路に亘ってコンクリート層105と接するようにもできるので、その範囲において、パイプ内空気をコンクリート層105にて冷やすことも可能である。床下敷設パイプ300Aにおける空気吸引と空気の導出、並びに、床下敷設パイプ300Aの経路勾配の様子については、後述する。
1階天井157(図12参照)により1階住居域J3から区画された2階住居域J3Hの空調に用いる床下敷設パイプ300Aは、1階住居域J3と同様に住居域内容積に応じたパイプ直径と敷設経路長の塩化ビニル製パイプであり、床下敷設パイプ300Aの敷設経路は、図3と図4に示すように第3床下領域R3においてコの字状とした。これにより、2階住居域J3Hの内容積に応じ経路長が確保される。2階住居域J3Hの空調に用いる床下敷設パイプ300Aにあっても、パイプ内に給気済みの空気を、長経路送気管部320Hを経て2階住居域J3Hに送り込む(図12参照)。なお、第1床下領域R1〜第3床下領域R3以外の床下領域に対応する住居域についても、床下敷設パイプ300Aを用いた空気の導出対象としてもよい。また、第1床下領域R1〜第3床下領域R3以外の床下領域において、床下敷設パイプ300Aをコンクリート層105に敷設してもよい。
長経路送気管部320Hおよび短経路送気管部320Lは、パイプ直径が60mm程度の市販の塩化ビニル製パイプであり、建築物Kの外壁や内壁に埋設設置できるほか、1階から2階に掛けての上下水道管路ダクト、電気配線ダクト等に設置される。なお、上記の両送気管部を家屋内壁に適宜なカバーで覆って家屋内壁コーナー部などに配設してもよい。
図12に示すように、空調システム100Aは、2階住居域J3Hの空調用の床下敷設パイプ300Aの両端にエアー吸引管部310と長経路送気管部320Hとを繋げて備える。2階住居域J3Hの空調用の床下敷設パイプ300Aは、図3や図4に示す第3床下領域R3において延び、コの字状に屈曲したパイプ経路を採る。エアー吸引管部310は、床下敷設パイプ300Aと同径もしくは既述した径の塩化ビニル製パイプであって、床下敷設パイプ300Aの一端において当該パイプと繋がり、土壌Dから建築物Kの床下空間FDにほぼ鉛直に延びる。その上で、エアー吸引管部310は、床下空間FDにおいて建築物床150に沿って水平に延びた管路端部312に、吸引ファン機構314を有する。
吸引ファン機構314は、後述の制御装置200の制御を受けて駆動して床下空間FDに存在する床下空気を吸引し、その吸引した床下空気をエアー吸引管部310を経て床下敷設パイプ300Aに給気する。吸引ファン機構314の上流側には、図示しない防虫網が配設されているので、虫或いは虫程度のゴミが除去された床下空気が、床下敷設パイプ300Aに給気される。建築物床150は、1階住居域J3から床下空間FDに到るガラリ160を備え、1階住居域J3の住居域内空気は、ガラリ160を経て床下空間FDに流れ込む。なお、図12や図13では、ガラリ160をエアー吸引管部310の吸引ファン機構314の近傍に示しているが、ガラリ160は、吸引ファン機構314が存在する床下空間FDと1階住居域J3とを隔てる建築物床150のいずれの箇所に配設してもよい。
床下敷設パイプ300Aは、コの字状に屈曲したパイプ経路で延びるに当たり、各屈曲経路部を、図3の黒塗りの傾斜記号および図12のパイプ経路で示したように、エアー吸引管部310との繋ぎ箇所である管路末端に向けた下り勾配で敷設される。床下敷設パイプ300Aは、下り勾配経路の最上部側のパイプ端部に、長経路送気管部320Hを繋げて備える。長経路送気管部320Hは、床下敷設パイプ300Aと同径もしくは既述した径の塩化ビニル製パイプであり、建築物床150および1階天井157を貫通して2階住居域J3Hまでほぼ鉛直に延びる。つまり、長経路送気管部320Hは、床下敷設パイプ300Aを通過した床下空気の導出対象たる2階住居域J3Hまで床下敷設パイプ300Aから延びる。なお、この長経路送気管部320Hを建築物Kの外壁内に設置し、後述の送気ファン機構322が2階住居域J3Hに露出するようにしてもよい。
長経路送気管部320Hは、2階住居域J3Hにおいて水平に延びた管路端部321の下端開放端側を1階天井157の側に向け、その下方開放端に、送気ファン機構322を備える。送気ファン機構322は、エアー吸引管部310の吸引ファン機構314と協働して第一種機械換気を果たし、後述の制御装置200の制御を受けて駆動して床下敷設パイプ300Aの内部の空気、即ち床下敷設パイプ300Aに給気された床下空気を長経路送気管部320Hを経て2階住居域J3Hに送気する。1階天井157は、2階住居域J3Hから1階住居域J3に到るガラリ160Hを備え、2階住居域J3Hの住居域内空気は、ガラリ160Hを経て1階住居域J3に流れ込み、その後は、建築物床150のガラリ160を経て床下空間FDに流れ込む。なお、図12や図13では、ガラリ160Hを長経路送気管部320Hの送気ファン機構322に対向して示しているが、ガラリ160Hは、1階天井157のいずれの箇所に配設してもよい。
図13に示すように、空調システム100Aは、1階住居域J3の空調用の床下敷設パイプ300Aの両端にエアー吸引管部310と短経路送気管部320Lとを繋げて備える。1階住居域J3の空調用の床下敷設パイプ300Aは、図3や図4に示すように第1床下領域R1〜第3床下領域R3に掛けて延び、L字状に屈曲したパイプ経路を採る。エアー吸引管部310は、既述したように床下敷設パイプ300Aとの一端において繋がり、土壌Dから建築物Kの床下空間FDにほぼ鉛直に延び、既述した吸引ファン機構314にて、床下空間FDの床下空気を床下敷設パイプ300Aに給気する。防虫網を有する点も既述した通りである。建築物床150のガラリ160についても、2階住居域J3Hの空調用の構成と同様である。
1階住居域J3の空調用の床下敷設パイプ300Aは、L字状に屈曲したパイプ経路で延びるに当たり、各屈曲経路部を、図3の黒塗りの傾斜記号および図13のパイプ経路で示したように、エアー吸引管部310との繋ぎ箇所である管路末端に向けた下り勾配で敷設される。この他、床下敷設パイプ300Aは、下り勾配経路の最上部側のパイプ端部に、短経路送気管部320Lを繋げて備える。短経路送気管部320Lにあっては、床下敷設パイプ300Aと同径もしくは既述した径の塩化ビニル製パイプであり、建築物床150を貫通して1階住居域J3までほぼ鉛直に延びる。なお、この短経路送気管部320Lを建築物Kの外壁内に設置し、送気ファン機構322が1階住居域J3に露出するようにしてもよい。
短経路送気管部320Lは、長経路送気管部320Hと同様に、1階住居域J3において水平に延びた管路端部321の下端開放端側を建築物床150の側に向け、その下方開放端に、既述した送気ファン機構322を備え、当該ファイン機構により、床下敷設パイプ300Aに給気した床下空気を1階住居域J3に送気する。なお、1階住居域J3の空調用の床下敷設パイプ300Aは、図4に示す第1床下領域R1と第2床下領域R2を区画する基礎凸部KTと、第2床下領域R2と第3床下領域R3を区画する基礎凸部KTを貫通して延び、L字状に屈曲したパイプ経路を採る。
上記したパイプ敷設により、本実施形態の空調システム100Aは、床下空間FDの床下空気を床下敷設パイプ300Aにエアー吸引管部310を経て給気した上で、床下敷設パイプ300Aを通過した床下空気を短経路送気管部320L或いは長経路送気管部320Hを経て、1階住居域J3や2階住居域J3Hに送気する。そして、本実施形態の空調システム100Aは、こうした給送気を行うに当たり、その風量が60m3/h程度で、風速が2.2m/sec程度の小風量・低風速にて床下空気が給送気されるよう、吸引ファン機構314と送気ファン機構322を制御装置200により駆動制御する。
本実施形態の空調システム100Aは、既述した空調システム100と同様、送気ファン機構322における送気風量を制限する。本実施形態の空調システム100Aは、上記したように小風量・低風速で床下空気の給送気を行うことと相まって、シャッター323による流路面積の制限により、送気の際の異音発生を抑制できる。
上記した床下敷設パイプ300Aと、エアー吸引管部310と、長経路送気管部320Hおよび短経路送気管部320Lは、パイプ内壁に防カビ被膜308を有する。この防カビ被膜308は、防カビ性の薬剤、例えばイミダゾール系やピリジン系の防カビ性薬剤をパイプ内壁に塗布等して形成される。なお、本実施形態の空調システム100Aは、後述するように高い防カビ性を発揮することから、防カビ被膜308については、これを省略したり、薄膜化してもよい。
制御装置200は、CPU、ROM、RAM等の論理演算回路を備える制御部202と、メモリ部204と、I/O部206と、報知部209等を有する。メモリ部204は、各種のプログラムやデーター等を記憶する。I/O部206は、ユーザーにて操作される操作盤250A(図10参照)と接続され、信号入力を図る。制御装置200の制御部202は、吸引ファン機構314等を含む空調システム100Aの全体の制御を担う。報知部209は、ファンの駆動に異常が起きたような場合に、その旨をランプ等にて点灯して報知する。
次に、上記した制御装置200の制御部202による空調システム100Aの運転モードについて説明する。図14は空調システム100Aの冷房運転の運転モードを決定するフローチャートである。
この運転モード決定ルーチンは、所定時間(例えば、24時間)ごとに制御部202にて繰り返され、その都度に、空調システム100Aの運転モードが決定される。まず、制御部202は、季節情報を読み込む(ステップS100A)。この場合の季節情報としては、制御部202が備えるタイマーに基づいた日時情報や外気温推移、湿度推移等の気象情報があり、制御部202は、暖房要請の有無、或いは冷房要請の有無を判定できるに足りる気象情報を読み込む。例えば、タイマーに基づいた日時と、建築物Kが属する地方自治体において通常、冷房が要請され始める時期とを対比することで、制御部202は、現時点での暖房要請の有無や冷房要請の有無を判定できる。この他、暦で定めた冬期から春先まで、或いは日付で定めた期間、外気温が所定温度を下回るようになってから所定温度を上回るように推移する期間を暖房要請期間とし、これらを規定する気象情報を読み込む。冷房要請期間についても同様である。なお、気象情報については、気象庁等が公表済みの各種情報を図示しない公衆回線から入手できる。建築物Kに備え付けた外気温センサーや湿度センサーから入手した建築物周辺の外気温推移・湿度推移を季節情報として読み取るようにしてもよい。
次いで、制御部202は、読み込んだ気象情報に基づいて暖房要請があるか否かを判定し(ステップS110)、暖房要請があれば、空調システム100Aの運転モードを暖房支援運転モードに決定し(ステップS120)、一旦、本ルーチンを終了する。本実施形態の空調システム100Aは、冷房要請が高い温暖地域での冷房の実効性を高めることを主目的とすることから、空調システム100Aでのみ建築物Kの暖房を総て賄うことを想定していない。つまり、温暖地域では、暖房要請はあるものの、建築物Kの住居域暖房は、個別に設けたエアコンや簡易なヒーターで賄われるので、ステップS120の暖房支援運転モードでは、こうしてなされる暖房を床下空気の送気により支援する。このステップS120で決定した暖房支援運転モードでの運転では、制御部202は、吸引ファン機構314や送気ファン機構322を、通常想定される風量の1/4程度の風量に対応するよう、駆動制御する。つまり、ステップS120の暖房支援運転モードでは、温暖地域での建築物Kの暖房を賄うエアコンやヒーターによる暖房に支障を来さない程度の少量の給気量で、床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を行い、少量の空気を低風量で1階住居域J3などに送気する。なお、ステップS120の暖房支援運転モードでは、床下空気の給気と送気を止めてもよい。
ステップS110で暖房要請がないと否定判定すると、制御部202は、ステップS100Aで読み込んだ気象情報に基づいて冷房要請の有無を判定する(ステップS130)。ここで冷房要請があると肯定判定すれば、制御部202は、空調システム100Aの運転モードを冷房運転モードに決定し(ステップS140)、一旦、本ルーチンを終了する。このステップS140で決定した冷房運転モードでの運転はユーザーによる冷房要請がなされる時期の運転であり、こうした時期であっても、日光が入り込むことのない床下空間FDの床下空気は、建築物Kの天井付近や1階住居域J3および2階住居域J3Hの空気温度より低い。よって、ユーザーが冷房スイッチをONとして冷房実行を所望すれば、1階住居域J3や2階住居域J3Hより低い温度の床下空気を、床下敷設パイプ300Aに給気して1階住居域J3等に送り出し、住居域の冷房がなされる。この際の風量は、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう吸引ファン機構314等が制御部202に駆動制御されて、規定される。この際、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、ユーザーが冷房スイッチをONとしている期間において、操作盤250にてユーザーが設定した設定風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。ユーザーは、就寝時或いは外出の際に、冷房スイッチをOFFとすることが有り得る。ステップS140の冷房運転モードでは、こうした冷房スイッチOFFの期間において、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、ユーザーによる設定風量の1/2〜1/4程度の風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。つまり、ステップS140の冷房運転モードでは、ステップS130にて冷房要請があるとされた期間において、床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合であっても継続すると共に、その際の床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がある場合の給気より少量の給気量で継続することになる。
その一方、ステップS130で冷房要請はないと否定判定した状況は、ステップS110での暖房要請なしとの否定判定に続くものであることから、暖房要請期間から冷房要請期間ヘの推移期間、または、この逆の推移期間となる。換言すれば、冷暖房が共に要請されないことが多い5月〜7月初旬までの期間や9月下旬〜11月までの期間は、往々にして、ステップS130で冷房要請はないと否定判定される。なお、建築物Kの建築地域によって、これら期間は異なる。
制御部202は、ステップS130で冷房要請はないと否定判定すると、ステップS100Aで読込済みの季節情報の内の外気温推移や湿度推移、場合によっては建築物床150に設けた図示しない床温センサーから得た床温推移に基づいて、床下敷設パイプ300Aにおけるカビの生育の可能性の有無を判定する(ステップS150)。ここで否定判定すれば、制御部202は、何の処理も行うことなく本ルーチンを一旦、終了する。これにより、吸引ファン機構314や送気ファン機構322は、常時停止となる。
制御部202は、ステップS150での肯定判定を受けて、空調システム100Aの運転モードを防カビ運転モードに決定し(ステップS160)、一旦、本ルーチンを終了する。このステップS160で決定した防カビ運転モードでの運転では、吸引ファン機構314と送気ファン機構322については、冷房運転モードにおいてユーザーによる設定風量の1/2〜1/4程度の風量に対応するよう、制御部202に駆動制御される。つまり、ステップS160の防カビ運転モードでは、暖房要請期間から冷房要請期間に推移する期間、或いは冷房要請期間から暖房要請期間に推移する期間において、床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を冷房時の給気より少量の給気量で継続することになる。なお、床下敷設パイプ300Aにおけるカビの生育の可能性は、外気温推移や湿度推移、或いは床温センサーから得た床温推移に基づいて予め実験的に規定できるので、その規定した外気温推移等に基づき、カビの生育可能性を判定できる。
以上説明したように、建築物Kが備える本実施形態の空調システム100Aは、土間基礎DKにおけるコンクリート層105に敷設されて床下空間FDに延びる床下敷設パイプ300Aに、エアー吸引管部310を経て床下空間FDの床下空気を給気する。その上で、冷房要請があると判定すると(ステップS130)、この冷房要請期間において、室内温度より低い温度の床下空間FDの床下空気を床下敷設パイプ300Aに吸引し、その吸引した床下空気を、冷気として短経路送気管部320L、長経路送気管部320Hを経て1階住居域J3や2階住居域J3Hに導いて、これら住居域を冷房する(ステップS140)。こうしたことから、建築物の冷房を図るに当たり、本実施形態の空調システム100Aは、熱交換済み空気と床下空間FDの空気との混合に起因した熱交換済み空気の温度変化を来さない。この結果、本実施形態の空調システム100Aによれば、建築物の床下空間FDを利用した冷房空調の実効性を確保した上で安価な構成とできる。
本実施形態の空調システム100Aでは、1階住居域J3や2階住居域J3Hの冷房空調のために導く空気を床下空間FDの床下空気とし、この床下空気の温度は、冷房要請時期において外気温より低い。よって、本実施形態の空調システム100Aによれば、外気温より低いために床下敷設パイプ300Aでの結露が起き得る冷房要請期間であっても、床下空気の継続した給気と送気により、パイプ内の結露をより効果的に抑制して、床下敷設パイプ300Aの防カビ性を高めることができる。
本実施形態の空調システム100Aでは、ステップS140での冷房運転モードにより、冷房要請期間においては、床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100Aによれば、冷房要請期間においては、継続した床下敷設パイプ300Aへの床下空気の通気により、高い実効性でパイプ内結露を抑制でき、床下敷設パイプ300Aの防カビ性をより確実に高めることができる。
本実施形態の空調システム100Aでは、ステップS140での冷房運転モードにより、冷房要請期間における床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合であっても継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100Aによれば、床下敷設パイプ300Aの防カビ性の実効性をより高めることができる。
本実施形態の空調システム100Aでは、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がない場合における床下敷設パイプ300Aへの床下空気の給気を、ユーザーによる冷房スイッチのオン操作がある場合の給気より少量(1/2〜1/4)の給気量で継続するようにした。よって、本実施形態の空調システム100Aによれば、継続給気に伴う通気音を低減できる。これに加え、本実施形態の空調システム100Aによれば、送気ファン機構322の送気ファンの送気下流側にシャッター323を設けて流路面積を絞るので、通常の冷房運転モードにおいても風量が60m3/h程度で風速が2.2m/sec程度の小風量・低風速で床下空気の給送気を行うことと相まって、送気の際の異音発生を抑制できる。
次に、他の実施形態について説明する。図15は他の実施形態の空調システム100Aを概略的に縦断面視して示す説明図である。この実施形態の空調システム100Aは、床下敷設パイプ300Aとエアー吸引管部310との繋ぎ箇所近傍にメンテナンスエリアHCを有する。このメンテナンスエリアHCは、コンクリート層105の表層において凹所とされ、空調システム100Aは、床下敷設パイプ300AからメンテナンスエリアHCまでドレンパイプ301を延ばし、当該パイプをスクリューキャップ301cにて塞いでいる。この実施形態の空調システム100Aによれば、長期に亘るユーザーの不在等により、仮に床下敷設パイプ300Aにおいて結露が発生して床下敷設パイプ300Aに水が貯まっても、その水をメンテナンスエリアHCに延びたドレンパイプ301から排出できる。
本考案は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、考案の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、或いは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
上記した実施形態では、空調システム100を、住人の住居域を複数有する住宅や事務所等の建築物Kに適用したが、保育園や学校等の体育館や公民館といった住居域を有しない住居外建築物に適用してもよい。このような住居外建築物に適用する場合には、当該建築物の内容積に応じて熱交換用パイプ300の直径や埋設経路長PLを規定するほか、住居外建築物に求められる換気の度合いに応じて規定してもよい。例えば、住居該建築物の内部の空気の半分を1時間に一度換気することが求められる換気度合いであれば、この換気度合いをも考慮して、熱交換用パイプ300の直径や埋設経路長PLを規定すればよい。また、3階建ての建築物Kにも適用できる。
上記した実施形態では、熱交換用パイプ300を傾斜を持たせて土壌Dに埋設したが、パイプ経路に亘って水平に熱交換用パイプ300を埋設してもよい。
100、100A…空調システム
105…コンクリート層
107…断熱体
150…建築物床
150D…土台
151…大引
152…根太
153…床下地材
154…フローリング材
157…1階天井
160…ガラリ
160H…ガラリ
200…制御装置
202…制御部
204…メモリ部
206…I/O部
209…報知部
250、250A…操作盤
300…熱交換用パイプ
300A…床下敷設パイプ
301…ドレンパイプ
301c…スクリューキャップ
308…防カビ被膜
310…エアー吸引管部
312…管路端部
314…吸引ファン機構
320H…長経路送気管部
320L…短経路送気管部
321…管路端部
322…送気ファン機構
323…シャッター
K…建築物
D…土壌
T…間隙
R1〜R5…第1〜第5床下領域
DC…玄関土間
J3…1階住居域
J3H…2階住居域
HC…ホールキャップ
FD…床下空間
MH…メンテナンスホール
DK…土間基礎
DL…埋設深さ
PL…埋設経路長
KT…基礎凸部
105…コンクリート層
107…断熱体
150…建築物床
150D…土台
151…大引
152…根太
153…床下地材
154…フローリング材
157…1階天井
160…ガラリ
160H…ガラリ
200…制御装置
202…制御部
204…メモリ部
206…I/O部
209…報知部
250、250A…操作盤
300…熱交換用パイプ
300A…床下敷設パイプ
301…ドレンパイプ
301c…スクリューキャップ
308…防カビ被膜
310…エアー吸引管部
312…管路端部
314…吸引ファン機構
320H…長経路送気管部
320L…短経路送気管部
321…管路端部
322…送気ファン機構
323…シャッター
K…建築物
D…土壌
T…間隙
R1〜R5…第1〜第5床下領域
DC…玄関土間
J3…1階住居域
J3H…2階住居域
HC…ホールキャップ
FD…床下空間
MH…メンテナンスホール
DK…土間基礎
DL…埋設深さ
PL…埋設経路長
KT…基礎凸部
Claims (2)
- 建築物の空調システムであって、
建築物土台の受けとなる基礎凸部で取り囲まれた土壌に埋設され、該土壌との熱交換に用いられる熱交換用パイプと、
床下空間への通気孔を備える建築物床の前記床下空間に延びて前記熱交換用パイプと繋がる床下パイプを有し、前記床下空間に存在する床下空気を吸引し、該吸引した床下空気を前記床下パイプを経て前記熱交換用パイプに給気する給気部と、
前記熱交換用パイプを通過する間における前記土壌との熱交換を経て空調された空調済み空気の導出対象の建築物内部領域まで前記熱交換用パイプから延びる導出パイプを有し、前記空調済み空気を前記導出パイプを経て前記建築物内部領域に送気する送気部とを備える、空調システム。 - 建築物の空調システムであって、
床下空間への通気孔を備える建築物床の床下で延びる床下敷設パイプと、
前記床下空間に存在する床下空気を吸引し、該吸引した床下空気を前記床下敷設パイプに給気する給気部と、
前記床下敷設パイプを通過した空気の導出対象の建築物内部領域まで前記床下敷設パイプから延びる導出パイプを有し、前記床下空気を前記導出パイプを経て前記建築物内部領域に送気する送気部とを備える、空調システム。
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JP2014002792U JP3192336U (ja) | 2014-05-29 | 2014-05-29 | 空調システム |
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- 2014-05-29 JP JP2014002792U patent/JP3192336U/ja not_active Expired - Lifetime
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