JP3192046B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP3192046B2
JP3192046B2 JP14105694A JP14105694A JP3192046B2 JP 3192046 B2 JP3192046 B2 JP 3192046B2 JP 14105694 A JP14105694 A JP 14105694A JP 14105694 A JP14105694 A JP 14105694A JP 3192046 B2 JP3192046 B2 JP 3192046B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は磁気ディスクや光磁気デ
ィスク等の磁気記録媒体に関し、特に表面の耐久性を高
めた高信頼性の磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に磁気記録媒体に対して情報を記録
し、或いは再生するために、記録再生を行うため磁気ヘ
ッドを磁気記録媒体の表面に沿って移動させる必要があ
る。このため、磁気ディスク等では磁気ディスクを磁気
ヘッドに対して回転させているが、この際には磁気ヘッ
ドを磁気ディスクの表面に対して微小寸法だけ離すこと
が行われている。即ち、近年において、コンタクト・ス
タート・ストップ方式と称されるものは、磁気ヘッドと
磁気ディスク表面との間に空気層のギャップを形成し、
この空気層ギャップが存在する状態で情報の記録再生を
行っている。
【0003】この空気層ギャップは、近年における磁気
ディスクでの記録容量の大容量化の要請によって低減さ
れる傾向にあり、空気層ギャップが0.02〜0.04
μmのニアコンタクト領域、或いは0.02μm以下の
コンタクト領域における記録再生方式の検討がなされて
いる。
【0004】このように領域では、磁気ディスクの表面
の平坦性等によって、実質的には磁気ヘッドが磁気ディ
スクの表面に接触された状態とも言えるものであり、こ
の接触によって磁気ヘッドと磁気ディスク表面との間に
摩擦が発生し、磁気ディスク表面が摩耗される等して耐
久性が低下されるおそれがある。このため、従来では表
面に潤滑膜が形成されている。図5はその一例の断面図
であり、基板41の表面に誘電体保護膜42が形成さ
れ、その上に磁気記録膜43が形成され、その上に誘電
体保護膜44が形成される。そして、その最上層に有機
潤滑膜45が形成されている。この有機潤滑膜45とし
ては、一般的に次式に示すパーフルオロポリエーテルが
用いられる。 −CF2 〔(CF2 CF2 O)m(CF2 O)n〕CF
2
【0005】しかしながら、このような有機潤滑膜45
の構成では、磁気ヘッドと磁気ディスクが接触された際
の摩擦によって有機潤滑膜45が摩耗され、その耐久性
が低下されるという問題がある。このようなことから、
従来では有機潤滑膜以外の素材で形成したものが提案さ
れている。
【0006】例えば、特開昭59−56224号公報に
は、潤滑膜として無機物と有機物との混合物で構成した
ものが記載されており、無機物としては、AuやPb等
の金属や、PbO,SiO等の酸化物、BNやSiN等
の窒化物、MoS2 等の硫化物が用いられる。有機物と
しては、高級エステル脂肪酸、高級アルコール等が用い
られる。この公報に記載のものでは、損傷し難く、しか
も良好な潤滑性の寿命を長くすることが可能であること
が記載されている。
【0007】また、同様に特開昭61−123015号
公報では、磁気記録媒体の固体潤滑層として、MoSi
2 ,Pb,C,テフロン系樹脂の単体又は混合体等で構
成されることが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者の検討によれば、これらの従来の潤滑膜では、磁気ヘ
ッドとの物理的に接触による摩耗に対して多少の効果は
得られるものの、磁気ヘッドとの摩擦により発生する熱
が原因とされる潤滑膜の劣化を有効に防止することが難
しく、潤滑膜の耐久性の点で十分満足する程度には至っ
ておらず、磁気記録媒体の信頼性を高めることが難しい
という問題がある。特に、有機潤滑膜の分割劣化現象
は、磁気ヘッドと磁気記録媒体の表面の摩擦により発生
する熱の温度上昇が、ある臨界点を越えたときに有機潤
滑膜の分解劣化が誘発されることが原因であることが判
明した。
【0009】
【発明の目的】本発明の目的は、耐久性を格段に改善す
ることが可能な潤滑膜を有する磁気記録媒体を提供する
ことにある。特に、本発明の目的は、磁気ヘッドとの摩
擦により発生する熱に対する耐久性を改善した磁気記録
媒体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気記録媒体
は、基板上に誘電体保護膜、磁気記録膜、誘電体保護膜
を積層し、その表面に金属潤滑膜を形成したことを特徴
とする。ここで、金属潤滑膜をCu−Pb系合金で形成
する。この場合、Pbは10ないし20重量%含まれる
ことが好ましいまた、金属潤滑膜の膜厚を5μm以上
とすることが好ましい。
【0011】
【作用】金属潤滑膜を金属で形成することにより、有機
潤滑膜、酸化金属潤滑膜、その他の金属反応物からなる
潤滑膜に比較して高温に対する耐久性を高め、磁気ヘッ
ドとの摩擦により発生する熱に対しても耐久性を高め、
記録媒体の信頼性を向上する。
【0012】特に、金属潤滑膜をCu−Pb系合金で形
成し、かつPbを10ないし20重量%含むことによ
り、所望の潤滑性を得る一方で、潤滑膜に十分な強度を
得ることができる。また、金属潤滑膜の膜厚を5μm以
上とすることで、摩耗が生じた場合でも、長期間にわた
って所望の潤滑性を強度を確保してその耐久性を高める
ことが可能となる。
【0013】
【実施例】次に、本発明にかかる磁気記録媒体の構成を
図面を参照して説明する。図1は本発明の磁気記録媒体
の断面図であり、基板11の表面に順次誘電体保護膜1
2、磁気記録膜13、誘電体保護膜14が形成され、最
上層に金属潤滑膜15が形成されている。
【0014】前記基板11は、アクリル樹脂、ポリカー
ボネート樹脂等のプラスチック、ガラス、ガラス上に溝
付き樹脂を形成した基板、或いはアルミニウム系合金基
板等が用いられる。
【0015】誘電体保護膜12,14は、SiO、Al
2 3 ,AlN,ZnS,SiN,TaO等が用いられ
る。
【0016】磁気記録膜13は、TbFe,TbCo,
TbFeCo,GdFeCo,GdTbCo,DyFe
Co,NdFeCo,PtCo,MnBi,MnCuB
i,CoCr等が用いられる。また、これらには、T
i,Cr,Ta,Ni,Pt,Nbを少量添加してもよ
い。
【0017】金属潤滑膜15は、Cu−Pb系合金膜
用いられる。この場合、Cu−Pb系合金膜では、図2
に示すように、Pbの割合が少ないと所期の潤滑性が得
られず、逆にPbの割合が多いと強度保持体として機能
するCuの量が低下されて強度低下を招く。したがっ
て、これらの潤滑性と強度保持性とは相反する特性を有
しており、本発明者の検討によれば、これらの特性を共
に満足し得る範囲として、Cu−Pb系合金中にPbを
10ないし20重量%を含むことが好ましい。
【0018】また、金属潤滑膜15の膜厚は、5μm以
上に形成する。これは、記録再生磁気ヘッドと磁気記録
媒体とが接触し、金属潤滑膜の摩耗を生じさせた場合で
も、少なくとも5年相当程度では金属潤滑膜が摩耗によ
って除去されることを防止して、その耐久性と信頼性を
確保するためのものである。
【0019】(実施例1)図3は本発明を磁気ディスク
に適用した実施例1の断面図であり、円形をしたガラス
基板21をスパッタ装置内に設置し、予め200℃に加
熱する。3×10-7Torr以下に真空排気後、Arと
2 との混合ガスを導入して2×10-3Torrとし、
5Nの純度のSiターゲットを反応性スパッタリングす
ることにより、誘電体保護膜22を1000Åの厚さに
形成する。続いて、スパッタ装置内にArガスを導入し
てCo−Cr合金とTaのターゲットを共にスパッタす
ることにより、磁気記録膜23を500Åの厚さに形成
する。
【0020】次に、スパッタ装置内にArとN2 の混合
ガスを導入して2×10-3Torrとし、5Nの純度の
Siターゲットを反応性スパッタリングすることによ
り、誘電体保護膜24を200Åの厚さに形成する。続
いて、スパッタ装置内にArガスを導入してCuPb金
属ターゲットをスパッタリングすることにより、100
0Åの厚さの金属潤滑膜25を形成する。この金属潤滑
膜25は、分析したところ、Cu82Pb18(重量%)の
組成であった。
【0021】このようにして作製した磁気記録媒体をコ
ンタクト領域において記録再生試験を行ったが、金属潤
滑膜25の熱による劣化は観察されなかった。また、十
分な強度が得られており、結果として耐久性を大幅に改
善することが確認できた。
【0022】(実施例2)この実施例2では、広義の磁
気記録媒体である光磁気ディスクに適用した例を示し、
図4はその断面図である。円形をしたガラス基板31を
スパッタ装置内に設置し、3×10-7Torr以下に真
空排気後、Arガスを導入して基板の表面を略10Å程
度スパッタエッチングし、ひき続きArとN2の混合ガ
スを導入して3.5×10-3Torrとし、5Nの純度
のシリコンターゲットを反応性スパッリングすることに
より1000Å厚の誘電体保護膜32を形成する。続い
て、スパッタ装置内にArガスを導入してTbFeCo
Crのターゲットをスパッタリングすることにより、3
50Åの光磁気記録膜33を形成する。
【0023】次に、スパッタ装置内にArとN2 の混合
ガスを導入して3.5×10-3Torrとし、5Nの純
度のシリコンターゲットを反応性スパッタリングするこ
とにより、800Å厚の誘電体保護膜34を形成する。
続いて、Arガスを導入してCuPb合金ターゲットを
スパッタリングすることにより、5μm厚の金属潤滑膜
35を形成する。
【0024】このようにして作製した光磁気記録媒体を
磁界変調オーバライト記録再生方式を用いて記録再生し
たところ、スイッチング磁界を発生する磁界発生源が媒
体面上を摺動しても、金属潤滑膜35の熱による劣化は
観察されず、かつ強度的にも充分なものが得られ、耐久
性が改善されたことが確認された。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、基板上に
誘電体保護膜、磁気記録膜、誘電体保護膜を積層する磁
気記録媒体の表面に金属潤滑膜を形成しているので、有
機潤滑膜、酸化金属潤滑膜、その他の金属反応物からな
る潤滑膜に比較して高温に対する耐久性を高め、磁気ヘ
ッドとの摩擦により発生する熱に対しても耐久性を高
め、記録媒体の信頼性を向上することができる効果があ
る。
【0029】特に、金属潤滑膜をCu−Pb系合金で形
成し、かつこの場合Pbを10ないし20重量%含むこ
とにより、所望の潤滑性を得る一方で、潤滑膜に十分な
強度を得ることができる。また、金属潤滑膜の膜厚を5
μm以上とすることで、摩耗が生じた場合でも、長期間
にわたって所望の潤滑性強度を確保してその耐久性を
高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気記録媒体の基本構造の断面図であ
る。
【図2】本発明におけるCu−Pbの組成と潤滑性及び
強度の相関を示す図である。
【図3】本発明の実施例1の断面図である。
【図4】本発明の実施例2,3の断面図である。
【図5】従来の磁気記録媒体の一例の断面図である。
【符号の説明】
11,21,31,41 基板 12,22,32,42, 誘電体保護膜 13,23,33,43 記録膜 14,24,34,44 誘電体保護膜 15,25,35,45 金属潤滑膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 5/62 - 5/82 G11B 11/00 - 13/06

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に誘電体保護膜、磁気記録膜、誘
    電体保護膜を積層し、その表面に潤滑膜を有する磁気記
    録媒体において、前記潤滑膜はCuを主成分とし、Pb
    を10ないし20重量%含むCu−Pb系合金で形成し
    たことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 金属潤滑膜の膜厚を5μm以上としてな
    請求項1に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS62219320A (ja) * 1986-03-20 1987-09-26 Seiko Epson Corp 磁気記憶体

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