JP3191843B2 - レーザパルス発振器 - Google Patents

レーザパルス発振器

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JP3191843B2 JP14825194A JP14825194A JP3191843B2 JP 3191843 B2 JP3191843 B2 JP 3191843B2 JP 14825194 A JP14825194 A JP 14825194A JP 14825194 A JP14825194 A JP 14825194A JP 3191843 B2 JP3191843 B2 JP 3191843B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、超高速光通信
システムを構築するために必要となる繰り返し周波数の
高いレーザパルスを、安定に発生させるレーザパルス発
振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、モード同期技術を利用した光ファ
イバレーザにより、繰り返し周波数の高いレーザパルス
を発生させる研究が盛んに行われている。図4は、従来
のレーザパルス発振器の構成図の一例である。図におい
て、1は希土類元素を添加した光ファイバ(以下希土類
添加光ファイバと記す)、2は希土類添加光ファイバを
励起するための励起光源、3は励起光を希土類添加光フ
ァイバに結合させる光結合器、4は出力を取り出す光分
岐器、5は光の進行方向を1方向に制限する光アイソレ
ータ、6は光変調器、7は光フィルタ、8はシンセサイ
ザ、9は電気増幅器である。
【0003】このレーザパルス発振器において、繰り返
し周波数の高い光パルスは次のようにして発生する。希
土類添加光ファイバ1を光結合器3を通して励起光源2
で励起すると、光フィルタ7の透過帯域内で、光アイソ
レータ5の順方向に連続光の発振が起こる。次に、シン
セサイザ8から出力される電気信号を電気増幅器9を通
して、光強度変調器6に印加する。一般に、共振器長
(このレーザパルス発振器のループ長さ)をL、光ファ
イバの屈折率をn、光速をcとすると、共振器長で決ま
る基本周波数f0 =c/(nL)で変調を加えた場合、
基本周波数f0でのモード同期が実現され、安定な光パ
ルス列が発生できる。
【0004】また、変調周波数をレーザの共振器長で決
まる基本周波数f0のq倍、qf0=qc/(nL)(q
は整数)に設定すると、基本波のq倍の周波数で発振す
る高調波の強制モード同期が実現できる。すなわち、レ
ーザの共振器内にq個の光パルスが等間隔に作られ、高
次の変調周波数に一致した繰り返しをもつ光パルス列が
発生する。この光パルス列は、光分岐器4を通して出力
される。例えば、レーザの共振器長が200mであると
き、共振器長で決まる基本周波数f0は1MHzである
が、変調周波数を、q=10000とし、10GHzに
設定すると、10GHzの繰り返しをもつ光パルス列が
発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のレーザパルス発振器においては、レーザ共振器内
の温度変動により共振器長が変動し、その結果として基
本波が時間とともに変化する。その一方、印加する高次
変調信号の繰り返しは一定値に設定されるので、両者の
繰り返しが一致せず、長時間にわたって安定に光パルス
列を発生させることが困難であった。
【0006】ここで、レーザ共振器内の温度がΔtだけ
変化した場合を考える。温度がΔtだけ変化すると、光
ファイバ長はΔLだけ変化する。この場合、ΔLは次の
式で与えられる。 ΔL/L=αΔt (1) ただし、Lは温度変動以前のレーザの共振器長、αは光
ファイバの線膨張率である。温度変動により、レーザの
共振器長が変化すると、共振器長で決まる基本周波数f
0が変化する。この場合、変調周波数は基本周波数f0
q倍に一致しなくなり、光パルスの波形が歪み高調波モ
ード同期が実現できなくなる。周波数f(=qf0 )を
温度変動以前の変調周波数とすると、周波数変動Δfは
次の式で与えられる。 Δf/f=Δt/L=αΔt (2) 温度が変化したとき、高調波モード同期を達成するには
変調周波数をΔfだけ変化させることが必要となる。周
波数変動Δfは変調周波数fが大きくなるほど、すなわ
ち、qの値が大きくなるほど大きくなる。つまり、高次
の高調波モード同期ほど、温度変動による周波数の絶対
変化量が大きくなり、長期間にわたって安定に光パルス
列を得ることが困難である。
【0007】例えば、上記の従来のレーザパルス発振器
において、共振器内の温度が0.01度変化した場合、
L=200m、f=10GHz、α=10-5とすると、
(1)、(2)式よりΔL=20μm、Δf=1kHz
になる。つまり、僅かな温度変動で、大きな周波数変動
が生じ、光パルスの波形は劣化する。安定な光パルス列
を得るためには、変調周波数をΔfだけ変化させ、1
0.0001GHzにする必要がある。また、これを実
現するためには、共振器の長さを自動的に調整するアク
ティブな負帰還回路を必要とする。
【0008】また、高調波モード同期においては、共振
器長で決まる基本周波数f0のq倍で変調をかけている
ため、qが大きくなると基本周波数f0によって決まる
縦モードのスペクトル成分を完全に抑制することが難し
くなる。例えば、f0 =1MHz、f=10GHzと
し、従来のレーザパルス発振器で高調波モード同期を行
った場合の光スペクトルを図5に示す。図において、強
度が最も強い成分が10GHz毎にあるが、それ以外に
も基本周波数f0 で決まる弱い縦モードのスペクトル成
分がある。この変調周波数以外の縦モードのスペクトル
成分は抑制されていないため、変調周波数と共振器長と
のずれが発生するとともに、レーザの発振を不安定に
し、光パルスを安定に発生させることを困難にする。
【0009】以上のように、従来の技術では高調波モー
ド同期を行った場合、繰り返し周波数の高い光パルス列
は発生するものの、共振器内の温度変動により短時間で
パルス波形が劣化し、繰り返し周波数の高い光パルス列
を長時間にわたって安定に発生させることは困難であっ
た。また、光変調を行うための高安定なシンセサイザを
必要とした。
【0010】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、高調波モード同期において、高周波のシンセ
サイザやアクティブな負帰還回路を必要とせず、繰り返
し周波数の高い光パルス列を長時間にわたって極めて安
定に発生させるレーザパルス発振器を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のレーザパ
ルス発振器は、上記課題を解決するために、光変調器を
含んだループにより構成され、該ループのループ長に対
応した基本周波数の整数倍の繰り返し周波数のレーザパ
ルスを出力するレーザパルス発振器において、前記ルー
プから得られるレーザパルスを電気信号に変換する受光
素子と、該電気信号から前記基本周波数の整数倍の周波
数のクロック信号を抽出する狭帯域フィルタとを有し、
該クロック信号を変調信号として前記光変調器に供給す
ることを特徴とする。
【0012】請求項2記載のレーザパルス発振器は、請
求項1記載のレーザパルス発振器において、ループ内に
光パルス圧縮用光ファイバを含むことを特徴とする。
【0013】
【作用】請求項1記載のレーザパルス発振器によれば、
受光素子は、任意に繰り返し周波数が変動しているレー
ザパルスを電気信号に変換する。狭帯域フィルタは、こ
の電気信号から前記基本周波数の整数倍の周波数のクロ
ック信号を抽出する。そして、ループ内の光変調器は、
このクロック信号を変調信号としてレーザパルスを強度
変調する。これによって、温度変動により共振器長が変
化してレーザパルスの繰り返し周波数が変化しても、レ
ーザパルスの繰り返しに追随した周波数で最適に光変調
器を駆動することができる。したがって、温度変動によ
るレーザパルス波形の劣化がなく、長時間にわたって安
定にレーザパルスの発振が継続する。
【0014】請求項2記載のレーザパルス発振器によれ
ば、光ソリトンの効果を用いて発生するレーザパルスの
パルス幅を短くすることができる。
【0015】
【実施例】以下、図1ないし図3を参照して、本発明に
よるレーザパルス発振器の一実施例について詳細に説明
する。ただし、図4に示した構成と同一部分には同一符
号を付した。図1は本実施例のレーザパルス発振器の構
成を示す図である。図において、レーザパルス発振器
は、希土類添加光ファイバ1、希土類添加光ファイバ1
を励起するための励起光源2、励起光を希土類添加光フ
ァイバ1に結合させる光結合器3、出力を取り出す光分
岐器4、光の進行方向を1方向に制限する光アイソレー
タ5、光変調器6、光フィルタ7、光分岐器10、クロ
ック抽出器11、移相器12、および電気増幅器9から
構成される。
【0016】クロック抽出器11は、入力されたレーザ
パルスを電気信号に変換する受光素子と、中心通過周波
数が10GHzに設定された狭帯域フィルタ、およびこ
の狭帯域フィルタの出力を増幅する電気増幅器から構成
されている。ここで、本実施例のレーザパルス発振器の
ループ長は、基本周波数f0が1MHzとなるように設
定されている。また、クロック抽出器11は、基本周波
数f0の10000倍、つまり、繰り返し周波数が10
GHzのレーザパルスを出力するように、狭帯域フィル
タの中心通過周波数が10GHzに設定されている。
【0017】移相器12は、クロック抽出器11の出力
信号の位相を調整する。電気増幅器9は、移相器12の
出力信号を増幅し、光変調器6に供給する。光変調器6
は、強度変調器であり、例えば、ニオブ酸リチウム製の
マッハツェンダ型強度変調器などを用いることができ
る。つまり、本実施例のレーザパルス発振器では、図1
の点線で示すように、クロック抽出器11から光変調器
6まで閉ループを構成する。希土類添加光ファイバ1と
してエルビウム添加光ファイバを用いると、レーザの発
振波長は1.5μm帯となる。励起光源2としては、半
導体レーザを用いることができる。
【0018】次に、上記構成のレーザパルス発振器にお
ける繰り返し周波数の高い光パルス列の発生について説
明する。希土類添加光ファイバ1を光結合器を通して励
起光源2で励起すると、光フィルタ7の透過帯域内で、
光アイソレータ5の順方向に連続的なレーザ光の発振が
起こる。このレーザ光を光分岐器4を通して取り出し、
さらに光分岐器10で分け、その一部をクロック抽出器
11に入力する。クロック抽出器11は、10GHz付
近の縦モードによるクロック信号を抽出する。このクロ
ック信号は、移相器12において位相調整され、電気増
幅器9によって増幅された後、変調信号として光変調器
6に供給される。光変調器6は、このクロック信号によ
ってレーザ光を強度変調してレーザパルスを出力する。
【0019】ここで、共振器のループ長によって決まる
基本周波数f0のq倍に一致しない10GHz付近の縦
モードによるクロック信号は、安定な光パルス列を発生
できないため、クロック抽出過程において消滅する。し
かし、基本周波数f0のq倍に一致したクロック信号
は、変調周波数と光パルスの繰り返しが完全に一致する
ため、安定な光パルスの発振が徐々に強められる。これ
が繰り返されると、最初は雑音的であった基本周波数f
0のq倍に一致したある1つの10GHz付近のクロッ
ク信号だけが残る。すなわち、余分な縦モードを抑制し
た1つのクロック信号だけで光変調器6を駆動するよう
になり、10GHzの高調波モード同期が達成される。
【0020】このとき、例えば、図2に示すように、希
土類添加光ファイバ1と光分岐器4の間に光パルス圧縮
用光ファイバ13を挿入することにより、光ソリトンの
効果を用いて発生する光パルスのパルス幅を短くでき
る。ここで、光ソリトンについて説明する。光ソリトン
とは光ファイバの負の分散によるパルス幅の広がりと、
自己位相変調効果によるパルス幅の圧縮とがつりあうこ
とにより発生する安定な光パルスであり、光ファイバ中
を波形をかえることなく伝搬するという特徴をもってい
る。N=1の標準ソリトンを作るのに必要なピーク強度
N=1は次の式で与えられる。 PN=1=0.776πλ32|D|/π2cn2τ2 (3) ここでDは光ファイバの波長λにおける群速度分散、c
は光速、n2 は非線形屈折率、τはパルス幅、wは光フ
ァイバのスポットサイズの大きさである。
【0021】すなわち、光パルス圧縮用光ファイバ13
の群速度分散Dを負にすることによって光ソリトンを発
生させ、パルス幅が広がらない光パルスを得ることがで
きる。例えば、群速度分散D=−3ps/km/nm、
パルス幅τ=3ps、スポットサイズの大きさw=3μ
m、波長λ=1.55μmとすると標準光ソリトンを作
るのに必要なピーク強度は(3)式より約290mWと
なる。光パルスの繰り返しを10GHzとすると、共振
器内の平均強度は約8.7mWになる。この程度の強度
は本実施例によるレーザパルス発振器内で容易に発生で
きる。つまり、光パルス圧縮用光ファイバ13として、
波長1.55μmにおける分散値が−3ps/km/n
mである分散シフトファイバを用いることにより、10
GHzの繰り返しで、パルス幅が3psである光パルス
列を安定に発生できる。この光力パルスの繰り返し周波
数を変化させるには、クロック抽出器11で抽出される
クロック信号の周波数を変えればよい。
【0022】本実施例のレーザパルス発振器において
は、温度変動により共振器長が変化し、光パルスの繰り
返しが変化しても、光パルスの繰り返しに同期したクロ
ック信号で変調を行うため、変調周波数と光パルスの繰
り返しの間にずれが生じない。したがって、従来の技術
と違い、温度変動によって光パルスの波形が劣化しない
特徴をもつ。ただし、光パルスの繰り返しは共振器長の
変動に応じてわずかに変化している。すなわち、本実施
例のレーザパルス発振器は、共振器内の温度変動に依存
せず常に高調波モード同期が維持され、長時間にわたっ
て安定な繰り返し周波数の高い光パルス列を発生させる
ことができる。さらに従来必要とした高精度なシンセサ
イザや共振器の安定化のためのアクティブな負帰還回路
が不要となるため、経済的な利点も大きい。
【0023】また、高調波モード同期を行う際に、レー
ザの発振繰り返し周波数と変調器へ印加する変調周波数
がいつも完全に一致しているので、変調周波数以外の余
分な縦モードを完全に抑制できる。例えば、f0 =1M
Hz,f=10GHzとして、高調波モード同期を行っ
た場合の電気スペクトルを図3に示す。図においては、
10GHzの変調周波数成分だけが存在している。この
ように、変調周波数以外の余分な縦モードが完全に抑制
できるため、安定した高調波モード同期が実現でき、繰
り返し周波数の高い極めて安定な光パルス列を発生でき
る。
【0024】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、高調波モード同期により繰り返し周波数の高い光パ
ルス列を発生させるレーザパルス発振器において、従来
必要としていた高精度なシンセサイザを必要とすること
なく、レーザの出力の一部から繰り返し周波数に対応す
る正弦波のクロック信号を抽出し、その周波数により光
変調器を駆動することにより、長時間にわたって極めて
安定な繰り返し周波数の高い光パルス列を発生できる。
また、レーザ共振器内に光パルス圧縮用光ファイバを挿
入することによって、パルス幅の短い光パルスをさらに
安定に発生することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザパルス発振器の第1の構成例を
示す図である。
【図2】本発明のレーザパルス発振器の第2の構成例を
示す図である。
【図3】本発明のレーザパルス発振器における電気スペ
クトルの様子を示す図である。
【図4】従来のレーザパルス発振器の構成を示す図であ
る。
【図5】従来のレーザパルス発振器における光スペクト
ルの様子を示す図である。
【符号の説明】
1 希土類添加光ファイバ 2 希土類添加光ファイバを励起するための励起光源 3 励起光を希土類添加光ファイバに結合させる光結合
器 4 出力を取り出す光分岐器 5 光の進行方向を1方向に制限する光アイソレータ 6 光変調器 7 光フィルタ 8 シンセサイザ 9 電気増幅器 10 光分岐器 11 クロック抽出器 12 移相器 13 光パルス圧縮用光ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04B 10/152 (56)参考文献 特開 平6−120602(JP,A) 特開 昭48−16591(JP,A) 特開 昭50−55291(JP,A) 特開 平6−141002(JP,A) 特開 平4−357892(JP,A) 特公 昭47−40155(JP,B1) 特公 昭47−37797(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01S 3/00 - 3/30 H04B 10/04 H04B 10/06 H04B 10/142 H04B 10/152 JICSTファイル(JOIS)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光変調器を含んだループにより構成さ
    れ、該ループのループ長に対応した基本周波数の整数倍
    の繰り返し周波数のレーザパルスを出力するレーザパル
    ス発振器において、 前記ループから得られるレーザパルスを電気信号に変換
    する受光素子と、該電気信号から前記基本周波数の整数
    倍の周波数のクロック信号を抽出する狭帯域フィルタと
    を有し、 該クロック信号を変調信号として前記光変調器に供給す
    ることを特徴とするレーザパルス発振器。
  2. 【請求項2】 前記ループ内に光パルス圧縮用光ファイ
    バを含むことを特徴とする請求項1記載のレーザパルス
    発振器
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