JP3314379B2 - レーザパルス発振器 - Google Patents

レーザパルス発振器

Info

Publication number
JP3314379B2
JP3314379B2 JP23572594A JP23572594A JP3314379B2 JP 3314379 B2 JP3314379 B2 JP 3314379B2 JP 23572594 A JP23572594 A JP 23572594A JP 23572594 A JP23572594 A JP 23572594A JP 3314379 B2 JP3314379 B2 JP 3314379B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical
frequency
pulse
modulator
modulation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP23572594A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08101411A (ja
Inventor
正隆 中沢
英二 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Telegraph and Telephone Corp filed Critical Nippon Telegraph and Telephone Corp
Priority to JP23572594A priority Critical patent/JP3314379B2/ja
Publication of JPH08101411A publication Critical patent/JPH08101411A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3314379B2 publication Critical patent/JP3314379B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば、超高速光通信
システムを構築するために必要となる、繰り返し周波数
が高く、かつ、パルス幅が短いレーザパルスである高繰
り返し短パルスを発生させるレーザパルス発振器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、モード同期技術を利用した光ファ
イバレーザにより、高繰り返し光パルスを発生させる研
究が盛んに行われている。以下、図5を参照して、従来
のレーザパルス発振器について説明する。図5は、従来
のレーザパルス発振器の一例の構成を示す図であり、こ
の図において、1は希土類元素を添加した光ファイバ
(以後、希土類添加光ファイバと称す)であり、ループ
状に設けられている。また、2は希土類添加光ファイバ
1を励起するための励起光を発生する励起光源である。
【0003】3は励起光を希土類添加光ファイバ1へ結
合させる光結合器、4は出力光パルスを希土類添加光フ
ァイバ1から取り出す光分岐器、5は希土類添加光ファ
イバ1中の光の進行方向を1方向(図中時計回り)に限
定する光アイソレータ、6は光強度変調器(以後、光変
調器と称す)、7は光フィルタであり、それぞれ、希土
類添加光ファイバ1上に順に設けられている。また、8
はシンセサイザ、9はシンセサイザ8から出力される電
気信号を増幅して光変調器6へ供給する電気増幅器であ
る。
【0004】このような構成において、光パルスは次の
ようにして発生する。希土類添加光ファイバ1を光結合
器3を通して励起光源2により励起すると、希土類添加
光ファイバ1において、光フィルタ7の透過帯域内で、
光アイソレータ5の順方向に連続光の発振が起こる。次
に、シンセサイザ8から出力される電気信号を電気増幅
器9を介して光変調器6に印加する。
【0005】一般に、共振器長をL、光ファイバの屈折
率をn、光速をcとすると、共振器長で決定される周波
数f0 =c/(nL)で変調を加えると、基本波でのモ
ード同期が実現され、安定したパルス列を発生すること
ができる。また、変調周波数をレーザの共振器長で決ま
る基本周波数のq(qは整数)倍、すなわちqf0 =q
c/(nL)に設定すると、基本波のq倍の周波数で発
振する高調波の強制モード同期が実現できる。すなわ
ち、レーザの共振器内にq個の光パルスが等間隔に生成
され、高次の変調周波数に一致した繰り返し周波数を有
するパルス列が発生する。
【0006】すなわち、図1に示す構成のレーザパルス
発振器では、光分岐器4から、高次の変調周波数に一致
した繰り返し周波数を有するパルス列が出力される。例
えば、レーザの共振器長が200mであるとき、共振器
長で決まる基本周波数は1MHzであるが、q=100
00とし、変調周波数を10GHzに設定すると、10
GHzの繰り返し周波数を有する光パルス列が出力され
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のレーザ
パルス発振器においては、発生する光パルスのパルス幅
は変調周波数に依存する。すなわち、変調周波数を決定
すると、その変調周波数によって制限されたパルス幅の
光パルスが発生される。一般に、強制モード同期レーザ
において発生する光パルスのパルス幅τは次式で表され
る(H. A. Hause,"Waves and fields in optoelectroni
cs", Prentice-hall series in solid state physical
electronics, p.267参照)。
【数1】
【0008】ただし、(1)式において、αgg はレ
ーザ媒質の利得、αmm は変調の深さ、ωM は変調周
波数、ωg は利得帯域を表す。(1)式から明らかなよ
うに、パルス幅は1/(ωM1/2 に比例する。したが
って、発生する光パルスのパルス幅を短くするには、ω
M を高くする必要がある。例えば、変調周波数を10G
Hzとしたときに発生する光パルスのパルス幅をτとす
ると、変調周波数をさらに2倍の20GHzとしたとき
に発生する光パルスのパルス幅は、τの1/2 1/ 2 倍と
なる。
【0009】ここで、出力光パルスのパルス幅と変調周
波数との関係について、図6および図7を参照して説明
する。図6は変調周波数が10GHzであるときの変調
波形と発生する光パルスの様子を示す図である。この図
の例では、10GHzの変調を加えることにより、繰り
返し周波数が10GHz、かつ、パルス幅がτの光パル
スが発生している。一般に、変調波形は、cos(ωMt)の
形で表され、これをt=0の近傍で展開すると、
【数2】 となる。
【0010】発生する光パルスのパルス幅を短くするに
は、正弦波で表される変調波形の強度が最大となるとこ
ろ(すなわち、t=0の近傍)の曲率を小さくする必要
があり、そのためには、図7に示すように、変調周波数
ωM を大きくする必要がある。図7は変調周波数が20
GHzであるときの変調波形と発生する光パルスの様子
を示す図である。この図に示すように、変調周波数が2
倍になると、変調波形の強度が最大となるところの曲率
が小さくなり、発生する光パルスのパルス幅は、10G
Hzのときのパルス幅より1/21/2 倍となる。すなわ
ち、変調周波数を20GHzとしたときには、パルス幅
がτ/21/2 の光パルスが発生する。
【0011】上述したように、従来のレーザパルス発振
器で強制モード同期を行なった場合、光変調器を駆動す
る変調周波数によって制限されたパルス幅を有する光パ
ルスが発生するが、パルス幅を短くしようとすると変調
周波数を高くする必要があり、必然的に、発生する光パ
ルスの繰り返し周波数が大となってしまう。したがっ
て、ある特定の低い繰り返し周波数で、パルス幅がさら
に短い光パルス(すなわち、デューティ比の大なる光パ
ルス)を発生させることは困難であった。本発明は、上
述した事情に鑑みて為されたものであり、高調波強制モ
ード同期において、ある特定の繰り返し周波数の短パル
スを容易に発生させることができるレーザパルス発振器
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載のレーザパルス発振器は、励起光を結
合するための光結合器と光パルスを出力するための光分
岐器とが介挿された光ループからなり、高調波モード同
期により、前記光ループのループ長に対応した基本周波
数の整数倍の繰り返し周波数の光パルスを前記光分岐器
から出力するレーザパルス発振器において、前記光ルー
プ上に設けられ、変調周波数が前記基本周波数の整数倍
となるよう設定された1台目の変調器と、前記光ループ
上に設けられ、変調周波数が前記1台目の変調器の変調
周波数の整数倍となるよう設定された2台目の変調器と
を具備し、前記1台目の変調器の変調周波数と一致する
繰り返し周波数の光パルスを前記光分岐器を介して出力
することを特徴としている。
【0013】また、請求項2記載のレーザパルス発振器
は、請求項1記載のものにおいて、受光素子および狭帯
域フィルターを有し、前記光分岐器から出力される光パ
ルスの分岐光を受光して前記基本周波数の整数倍となる
周波数の正弦波信号を抽出する抽出手段を備え、前記1
台目の変調器の変調周波数が前記正弦波信号の周波数に
なるとともに、前記2台目の変調器の変調周波数が前記
正弦波信号の周波数の整数倍の周波数となるよう閉ルー
プを構成したことを特徴としている。さらに、請求項3
記載のレーザパルス発振器は、請求項1または2記載の
ものにおいて、前記光ループに分散値が負の光ファイバ
を挿入し、光ソリトンを生成するようにしたことを特徴
としている。
【0014】
【作用】請求項1記載のレーザパルス発振器によれば、
光ループ中の光は、1台目および2台目の変調器により
変調される。ここで、前記1台目の変調器の変調周波数
は前記基本周波数の整数倍となるよう設定されており、
前記2台目の変調器の変調周波数は前記1台目の変調器
の変調周波数の整数倍となるよう設定されている。
【0015】このため、光ループ上に設けられた光分岐
器から出力される光パルスは、前記1台目の変調器の変
調波形において強度が最大になる各点と、前記1台目の
変調器の変調波形と前記2台目の変調器の変調波形とを
合成した変調波形において強度が最大になる各点とが一
致する各点で立ち上がったパルスとなる。したがって、
前記光分岐器から出力される光パルスの周波数は、前記
1台目の変調器の変調周波数と一致する。
【0016】また、前記合成した変調波形において強度
が最大になる点近傍における曲率は、前記1台目の変調
器の変調波形において強度が最大になる点近傍における
曲率より小となる。したがって、両変調波形がともに最
大となる点は、前記基本周波数の整数倍の周波数となる
従来の変調波形の対応する点よりも狭い範囲となる。し
たがって、繰り返し周波数が同一であれば、従来のもの
よりもパルス幅が狭い光パルスが出力されることにな
る。
【0017】また、請求項2記載のレーザパルス発振器
によれば、抽出手段が前記光分岐器から出力される光パ
ルスの分岐光を受光して前記基本周波数の整数倍となる
周波数の正弦波信号を抽出する。また、前記1台目の変
調器の変調周波数が前記正弦波信号の周波数になるとと
もに、前記2台目の変調器の変調周波数が前記正弦波信
号の周波数の整数倍の周波数となるよう閉ループが構成
されているため、請求項1記載のものと同様に、前記光
分岐器から出力される光パルスの周波数は、前記1台目
の変調器の変調周波数に一致する。また、繰り返し周波
数が同一であれば、従来のものよりもパルス幅が狭い光
パルスが出力されることになる。さらに、請求項3記載
のレーザパルス発振器によれば、前記光ループに分散値
が負の光ファイバを挿入し、光ソリトンを生成するよう
にしたため、さらにパルス幅が狭い光パルスが安定して
出力される。
【0018】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て説明する。図1は本発明の第1の実施例によるレーザ
パルス発振器の構成を示す図であり、この図において、
図5の各部と共通する部分には同一の符号を付し、その
説明を省略する。図1に示すレーザパルス発振器におい
て、希土類添加光ファイバ1としては、例えば、エルビ
ウム添加光ファイバが用いられる。この場合、レーザの
発振波長は1.5μm帯となる。また、励起光源2とし
ては、半導体レーザを用いることができる。
【0019】希土類添加光ファイバ1上には、励起光源
2が発生する励起光を希土類添加光ファイバ1へ結合さ
せる光結合器3、光変調器(2台目の変調器)10、出
力光パルスを取り出す光分岐器4、光の進行方向を1方
向(図中時計回り)に限定する光アイソレータ5、光変
調器(1台目の変調器)6、所定の透過帯域を有する光
フィルタ7が、それぞれ、図中時計回りに順に設けられ
ている。なお、光変調器としては、例えば、ニオブ酸リ
チウム(LiNbO3 )製のマッハツェンダ型強度変調
器等を用いることができる。
【0020】さらに、図1に示すレーザパルス発振器
は、シンセサイザ8、電気増幅器9,9、および周波数
変換器11を有し、シンセサイザ8から出力される電気
信号が、一方の電気増幅器9を介して光変調器6へ供給
されるとともに、同電気信号が周波数変換器11および
他方の電気変換器9を介して光変調器10へ供給される
よう構成されている。なお、上記周波数変換器11は、
入力信号の周波数を整数倍(ただし、「整数倍」におけ
る整数とは、1以上の整数を意味する)して出力する機
能を有する。
【0021】以下、上述した構成のレーザパルス発振器
における光パルスの発生過程について説明する。希土類
添加光ファイバ1を光結合器3を介して励起光源2によ
り励起すると、光フィルタ7の透過帯域内で、光アイソ
レータ5の順方向に連続光の発振が起こる。次に、シン
セサイザ8から出力される電気信号を、一方の電気増幅
器9を介して光変調器6に、および、周波数変換器11
および他方の電気増幅器9を介して光変調器10に印加
する。このとき、光変調器10を駆動する信号の周波数
(変調周波数)は、周波数変換器11によって光変調器
6の変調周波数の整数倍に設定されている。ここで、光
変調器6の変調周波数をω1 、光変調器10の変調周波
数をω2 とする。ただしω2 はω1 の整数倍(ω2 =p
ω1 、pは1以上の整数)である。
【0022】光変調器6の変調波形はCOS(ω1
t)、光変調器10の変調波形はCOS(ω2 t)で表
されるため、光変調器6,10の両方が駆動されると、
変調波形は、次式で示すように、各光変調器6,10の
変調波形の積で表される。
【数3】
【0023】この場合、共振器内で2つの変調をかけて
いるため、それぞれの変調波形の強度が最大となる点が
重なるときに系全体の透過率が最大となり、その時点に
おいて光パルスが発生する。この発生周波数はω1 であ
り、発生する光パルスの繰り返しは周波数ω1 となる。
ここで、(3)式をt=0の近傍で展開すると、ω2
pω1 であることから次式が得られる。
【数4】
【0024】(4)式を(2)式と比較すると、変調周
波数ωM が(p2 +1)1/2 ω1 になったのと同じ形を
している。すなわち、pを大きくすることにより合成し
た変調波形の強度が最大となることろ(t=0の近傍)
の曲率が、一つの光変調器を変調周波数ω1 で駆動した
場合に比べて小さくなり、発生する光パルスのパルス幅
は短くなる。このときのパルス幅τは次式で与えられ
る。
【数5】
【0025】したがって、光変調器6,10をそれぞれ
変調周波数ω1 ,ω2 で駆動させたときに発生する光パ
ルスのパルス幅は、変調周波数ω1 で一つの光変調器を
駆動した場合に発生する光パルスのパルス幅に比較し
て、1/(p2 +1)1/4 倍となる。このように、上述
したレーザパルス発振器によれば、発生する光パルスの
繰り返し周波数をω1 に固定したまま、従来の技術では
繰り返し周波数をω1 より大きくしなければ得ることが
できなかった短いパルス幅の光パルスを発生することが
できる。
【0026】ここで、例えば、ω1 =ω2 =10GHz
とし、各光変調器6,10の両方を駆動した場合に発生
する光パルスのパルス幅について、図1および図2を参
照して考察する(この場合、p=1に相当するため、周
波数変換器11は不要である)。なお、図2は、上記条
件下で発生する各種波形を示す図である。図2から明か
なように、発生する光パルスの繰り返し周波数は、それ
ぞれの変調波形の強度が最大となる点が重なる周期によ
り決定される。したがって、ここでは、10GHzとな
る。光変調器6(1台目の変調器)の変調波形と、光変
調器10(2台目の変調器)の変調波形とを合成した変
調波形をt=0の近傍で展開したものは、(4)式にお
いてp=1とすることにより、次式で表される。
【数6】
【0027】上記(6)式から、合成した変調波形の強
度が最大となるところ(t=0の近傍)の曲率が小さく
なることが分かる。また、発生する光パルスのパルス幅
は、曲率が小さくなるにつれて短くなる。したがって、
光パルスのパルス幅は、10GHzで一つの光変調器を
駆動した場合に発生するパルス幅に比較して、1/2
1/4 倍となる。すなわち、従来、10GHzの繰り返し
周波数で得ることができなかった短いパルス幅の光パル
スを発生することができる。
【0028】次に、本発明の第2の実施例について説明
する。図3は第2の実施例によるレーザパルス発振器の
構成例を示す図であり、この図において、図1と共通す
る部分については同一の符号を付し、その説明を省略す
る。図3において、12は光分岐器であり、光分岐器4
から出力されるレーザ出力(光パルス)を分岐する。1
3は光受光素子、狭帯域電気フィルタ、および電気増幅
器からなるクロック抽出器(抽出手段)であり、光分岐
器12から出力される2つの光パルスの一方から特定の
周波数の正弦波であるクロック信号を抽出して出力す
る。
【0029】14,14はそれぞれ、各光変調器6,1
0へ供給する電気信号の位相を調整する位相器であり、
一方の位相器14は、クロック抽出器13で抽出された
クロック信号の位相を調整し、一方の電気増幅器9を介
して光変調器6へ供給する。また、他方の位相器14
は、クロック抽出器13で抽出されたクロック信号を周
波数変換器11で周波数変換して得られる電気信号の位
相を調整し、他方の電気増幅器9を介して光変調器10
へ供給する。
【0030】次に、上述した構成のレーザパルス発振器
が、光パルスを出力する過程について説明する。まず、
レーザの出力が光分岐器4を介して取り出され、この出
力(光パルス)が、さらに光分岐器12で分岐される。
そして、光分岐器12の一方の出力がクロック抽出器1
3に入力され、ここで、特定の周波数の正弦波であるク
ロック信号が抽出される。
【0031】このクロック信号は、一方の位相器14で
位相調整された後に、一方の電気増幅器9で増幅されて
光変調器6に印加される。また、クロック抽出器13で
抽出されたクロック信号は、周波数変換器11で周波数
が整数倍され、他方の位相器14および他方の電気増幅
器9を介して光変調器10に印加される。すなわち、図
3中点線で示すように、レーザ出力の受光から各光変調
器6,10へのクロック信号の印加まで、閉ループが構
成されることになる。共振器内では、クロック信号に同
期した周波数で光が強度変調されるが、もともとこの光
はレーザから放出された信号であるため、常に最適に変
調されることになる。
【0032】ここで、例えば、10GHzのクロック抽
出器をクロック抽出器13として用いるとともに、各光
変調器6,10を両方とも10GHzで駆動する場合を
考える。基本周波数の整数倍に一致しない10GHz付
近の周波数のクロック信号は、安定したパルス列を発生
できないため、クロック抽出過程において消滅するが、
基本周波数の整数倍に一致したクロック信号は、変調周
波数と光パルスの繰り返し周波数とが完全に一致するた
め、安定したパルス発振が徐々に強められる。
【0033】このような動作が繰り返されると、最初は
雑音的であった、基本周波数の整数倍に一致したある1
つのクロック信号(周波数は10GHz付近)だけが残
る。すなわち、1つのクロック信号だけで、各光変調器
6,10を駆動するようになり、10GHzの高調波モ
ード同期が達成される。この場合に得られる光パルスの
繰り返し周波数は10GHzであり、従来より短いパル
ス幅の光パルスを発生できることになる。
【0034】このとき得られる光パルスのパルス幅は、
前述した第1の実施例により得られる光パルスのパルス
幅と同一である。第1の実施例と同様に、光変調器6を
変調周波数ω1 で、光変調器10を変調周波数ω2 で駆
動したときに発生する光パルスのパルス幅は、(5)式
により与えられるため、従来よりパルス幅が短い光パル
スが得られる。
【0035】また、第2の実施例によるレーザパルス発
振器においては、温度変動により共振器長が変化し、光
パルスの繰り返しが変化しても、光パルスの繰り返し周
波数に同期したクロック信号で変調を行うため、変調周
波数と光パルスの繰り返し周波数との間にズレが生じな
い。すなわち、温度変動によって光パルスの波形が劣化
することがない。したがって、長時間にわたって安定に
パルス発振が継続する。さらに、高精度なシンセサイザ
や共振器安定化のためのアクティブな負帰還回路が不要
となるため、経済的な利点も大きい。
【0036】また、第2の実施例によるレーザパルス発
振器において、例えば、図4に示すように、光変調器1
0とレーザ出力を取り出す光分岐器4との間に、光パル
ス圧縮用光ファイバ15を挿入することにより、光ソリ
トンの効果を用いて、発生する光パルスのパルス幅をさ
らに短くすることができる。ここで、光ソリトンについ
て説明する。光ソリトンとは、光ファイバの負の分散に
よるパルス幅の広がりと、自己位相変調効果によるパル
ス幅の圧縮とがつりあうことにより発生する安定した光
パルスであり、波形が歪むことなく光ファイバ中を伝播
するという特徴を有する。
【0037】N=1の標準ソリトンを生成するのに必要
なピーク強度PN=1 は次式で与えられる。
【数7】 ただし、(7)式において、Dは光ファイバの波長λに
おける群速度分散、cは光速、n2 は非線形屈折率、τ
はパルス幅、wは光ファイバのスポットサイズの大きさ
である。
【0038】すなわち、光パルス圧縮用光ファイバ15
の群速度分散を負にすることによって光ソリトンを発生
させ、パルス幅が広がらない短パルスを得ることができ
る。例えば、群速度分散D=−1ps/km/nm、パ
ルス幅τ=2ps、スポットサイズの大きさw=3μ
m、波長λ=1.55μmとすると、標準ソリトンを生
成するのに必要なピーク強度は、(7)式より約216
mWとなる。光パルスの繰り返し周波数を10GHzと
すると、共振器内の平均強度は約4.3mWになる。こ
の程度の強度は、第1および第2の実施例によるレーザ
パルス発振器内で容易に発生できる。
【0039】すなわち、光パルス圧縮用光ファイバ15
として、1.55μm波長帯における分散値が−1ps
/km/nmである分散シフトファイバを用いるととも
に、光変調器6,10それぞれの変調周波数を10GH
zとすることにより、繰り返し周波数が10GHz、か
つ、パルス幅が2psである短パルスを安定して発生す
ることができる。上記条件にいおて、変調周波数が10
GHzの光変調器を1台だけ用いた場合に得られる光パ
ルスのパルス幅は、3.0〜2.7ps程度である。す
なわち、2台の光変調器6,10を用いることにより、
従来の技術では発生できなかった、繰り返し周波数が1
0GHz、かつ、パルス幅が2psの光パルスを容易に
発生することができる。
【0040】さらに、発生する光パルスの雑音を除去ま
たは低減することができるという特徴もある。光パルス
の雑音には、希土類添加光ファイバ1から発生する自然
放出光雑音と光ソリトンを形成しない散逸波(非ソリト
ン成分)とがある。自然放出光雑音と非ソリトン成分
は、それぞれ、時間的に一様な強度を有する連続光であ
る。
【0041】これらの雑音は、図4において、まず、光
変調器6を通ることにより、パルス状に変調される。こ
のとき、変調後の信号における谷の部分は光強度が弱く
なるため、雑音が減少することになる。こうしてパルス
状に変調された雑音は、共振器内の光ファイバを伝播す
る間に光ファイバの群速度分散によって広がり、再び連
続的になる。こうして連続的になった雑音は光変調器1
0を通ることによって再びパルス状になり、上述した場
合と同様に雑音の光強度が弱くなる。
【0042】このような処理が繰り返されることによ
り、光パルスの雑音が除去されるのである。以上説明し
たように、2台の光変調器6,10を用いることによ
り、パルス幅が短い光パルスを発生することができるだ
けでなく、雑音が除去されたS/N比の高い光パルスを
発生することができるという利点がある。なお、上述し
た第1および第2の実施例においては、繰り返し周波数
が10GHzの光パルスを発生する場合を中心にして各
レーザパルス発振器の動作について説明したが、もちろ
ん、各レーザパルス発振器は、10GHz以外の繰り返
し周波数の光パルスを得るために用いることもできる。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光ループ中の光は、1台目および2台目の変調器により
変調される。前記1台目の変調器の変調周波数は基本周
波数の整数倍となるよう設定されており、前記2台目の
変調器の変調周波数は前記1台目の変調器の変調周波数
の整数倍となるよう設定されているため、光分岐器から
出力される光パルスの周波数は、前記1台目の変調器の
変調周波数と一致する。
【0044】また、前記合成した変調波形において強度
が最大になる点近傍における曲率は、前記1台目の変調
器の変調波形において強度が最大になる点近傍における
曲率より小となる。したがって、両変調波形がともに最
大となる点は、前記基本周波数の整数倍の周波数となる
従来の変調波形の対応する点よりも狭い範囲となる。し
たがって、繰り返し周波数が同一であれば、従来のもの
よりもパルス幅が狭い光パルスを出力することができる
という効果がある。
【0045】また、前記光分岐器から出力される光パル
スから抽出される正弦波信号の周波数(前記基本周波数
の整数倍の周波数)が前記1台目の変調器の変調周波数
となり、かつ、前記正弦波信号の周波数の整数倍の周波
数が前記2台目の変調器の変調周波数となるよう閉ルー
プが構成されているため、パルス幅が狭い光パルスを安
定して出力することができるという効果がある(請求項
2)。さらに、前記光ループに分散値が負の光ファイバ
を挿入し、光ソリトンを生成するようにしたため、パル
ス幅がより狭い光パルスを安定して出力することができ
るという効果がある(請求項3)。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例によるレーザパルス発振
器の構成例を示す図である。
【図2】同レーザパルス発振器における変調波形および
光パルスの様子を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施例によるレーザパルス発振
器の構成例を示す図である。
【図4】同レーザパルス発振器の他の構成例を示す図で
ある。
【図5】従来のレーザパルス発振器の構成例を示す図で
ある。
【図6】同レーザパルス発振器における変調波形および
光パルスの様子を示す図である。
【図7】同レーザパルス発振器における変調波形および
光パルスの様子を示す図である。
【符号の説明】
1…希土類添加光ファイバ、2…励起光源、3…光結合
器、4…光分岐器、5…光アイソレータ、6…光変調器
(1台目の変調器)、7…光フィルタ、8…シンセサイ
ザ、9…電気増幅器、10…光変調器(2台目の変調
器)、11…周波数変換器、12…光分岐器、13…ク
ロック抽出器(抽出手段)、14…位相器、15…光パ
ルス圧縮用光ファイバ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H04B 10/02 H04B 9/00 W 10/28 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/35 H01S 3/00 - 3/30 H04B 10/02 H04B 10/28 JICSTファイル(JOIS)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励起光を結合するための光結合器と光パ
    ルスを出力するための光分岐器とが介挿された光ループ
    からなり、高調波モード同期により、前記光ループのル
    ープ長に対応した基本周波数の整数倍の繰り返し周波数
    の光パルスを前記光分岐器から出力するレーザパルス発
    振器において、 前記光ループ上に設けられ、変調周波数が前記基本周波
    数の整数倍となるよう設定された1台目の変調器と、 前記光ループ上に設けられ、変調周波数が前記1台目の
    変調器の変調周波数の整数倍となるよう設定された2台
    目の変調器とを具備し、 前記1台目の変調器の変調周波数と一致する繰り返し周
    波数の光パルスを前記光分岐器を介して出力することを
    特徴とするレーザパルス発振器。
  2. 【請求項2】 受光素子および狭帯域フィルターを有
    し、前記光分岐器から出力される光パルスの分岐光を受
    光して前記基本周波数の整数倍となる周波数の正弦波信
    号を抽出する抽出手段を備え、 前記1台目の変調器の変調周波数が前記正弦波信号の周
    波数になるとともに、前記2台目の変調器の変調周波数
    が前記正弦波信号の周波数の整数倍の周波数となるよう
    閉ループを構成したことを特徴とする請求項1記載のレ
    ーザパルス発振器。
  3. 【請求項3】 前記光ループに分散値が負の光ファイバ
    を挿入し、光ソリトンを生成するようにしたことを特徴
    とする請求項1または2記載のレーザパルス発振器。
JP23572594A 1994-09-29 1994-09-29 レーザパルス発振器 Expired - Lifetime JP3314379B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23572594A JP3314379B2 (ja) 1994-09-29 1994-09-29 レーザパルス発振器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23572594A JP3314379B2 (ja) 1994-09-29 1994-09-29 レーザパルス発振器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08101411A JPH08101411A (ja) 1996-04-16
JP3314379B2 true JP3314379B2 (ja) 2002-08-12

Family

ID=16990308

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23572594A Expired - Lifetime JP3314379B2 (ja) 1994-09-29 1994-09-29 レーザパルス発振器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3314379B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6885683B1 (en) 2000-05-23 2005-04-26 Imra America, Inc. Modular, high energy, widely-tunable ultrafast fiber source
US6954575B2 (en) * 2001-03-16 2005-10-11 Imra America, Inc. Single-polarization high power fiber lasers and amplifiers
JP5495506B2 (ja) * 2008-05-13 2014-05-21 キヤノン株式会社 レーザ装置および光断層画像撮像装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08101411A (ja) 1996-04-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5064752B2 (ja) 光パルス列発生器
US6476959B2 (en) Optical pulse synthesis using brillouin selective sideband amplification
KR100204590B1 (ko) 광섬유 레이저 및 그를 이용한 조화 모드록킹 방법
Sefler Frequency comb generation by four-wave mixing and the role of fiber dispersion
CN108153000B (zh) 一种谱线间隔等于光纤布里渊频移的光频梳发生器
US6957019B2 (en) Stabilized optical pulse generator
JP3939541B2 (ja) 光クロック位相同期ループ回路
JPH1074999A (ja) レーザパルス発振器
JP3204476B2 (ja) 駆動周波数混合型モード同期レーザ装置
JP3191843B2 (ja) レーザパルス発振器
JP3314379B2 (ja) レーザパルス発振器
JP3580488B2 (ja) 周波数シフト帰還型モード同期レーザ及び周波数シフト帰還型再生モード同期レーザ。
JPH09139536A (ja) レーザパルス発振器
JP3331554B2 (ja) レーザパルス発振器
JP3011286B2 (ja) モード同期光ファイバレーザ装置
JP3306743B2 (ja) レーザパルス発振器
JPH08160475A (ja) 超高速光ソリトンパルス発生装置
JPH03214123A (ja) 光ソリトン発生方法およびソリトン伝送方法
JP3092757B2 (ja) 光パルスレーザの分周同期信号発生装置
JP3306745B2 (ja) レーザパルス発振器
JPH11121845A (ja) モード同期レーザ光源
JP3249732B2 (ja) 光パルス発生装置
Abramov et al. Generation of Radiation with a Tunable Comb Spectrum in Ring Fiber Cavities Based on Active Photonic Crystal Structures
JPH09230292A (ja) 光変調器
CN114389698A (zh) 一种微波信号的产生装置及方法

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090607

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090607

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100607

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100607

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110607

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120607

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130607

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140607

Year of fee payment: 12

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term