JP3191454B2 - 圧空および/または真空成形用シートおよびこれを用いた成形品の製造方法 - Google Patents

圧空および/または真空成形用シートおよびこれを用いた成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐候性、成形性に優れ
たアクリルシロップを伸張性フィルムに包みこんだ圧空
および/または真空成形用シートであって、深絞り成形
やアンダーカット成形にも利用可能な成形材料に関する
ものである。本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートは、浴槽等の住宅機材、建材、工業部品、電気部
品、車両部品等の種々の分野に使用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、不飽和ポリエステル樹脂の代わり
にアクリル樹脂をマトリックスとするFRPが、その耐
候性、無色透明性、軽量性等に優れていることから着目
されている。例えば、特開昭57-31912号公報には、アク
リルシロップを離型性フィルムに包んで熟成した後に、
SMC(Sheet Molding Compound) およびBMC(Bulk
Molding Compound)に適用する発明が、また特開昭62-14
6930 号公報には多価ビニルポリエーテル樹脂とアクリ
ル系樹脂とビニルモノマーからなるSMC、BMC用成
形材料が開示されている。
【0003】一方、圧空および/または真空成形法と
は、図1に示すように、圧空および/または真空にする
ことによって下部の金型に成形材料シートを接触させて
賦形させる成形方法であり、SMCやBMC法に比べ、
金型が下部しか要らないのでコスト低減となる、複
雑な形(例えば深絞りやアンダーカット型等)であって
も簡単に作成できる、熟練作業者が不要、作業環境
が良好、等の長所を有するために脚光を浴びている。
【0004】しかしながら、特開昭57-31912号公報の発
明は成形用材料を脱泡等の目的で離型性フィルムに包ん
で熟成するものであって、成形時には離型性フィルムを
除去しており、圧空および/または真空成形法への応用
は考えられていない。また、特開昭62-146930 号公報に
ついても圧空および/または真空成形法への応用は考え
られていないため、モノマー臭気の問題が生じると考え
られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
事情に基づいて成されたものであって、圧空および/ま
たは真空成形用に使用可能な(メタ)アクリル系樹脂材
料シートを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の圧空および/ま
たは真空成形用シートは、カルボキシル基および/また
はヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー
(1) ならびに一官能(メタ)アクリル系モノマーを主成
分とするモノマー成分(2) からなるアクリルシロップ
(A) と、多価金属酸化物、多価金属水酸化物および多価
イソシアネートから選ばれる1種以上の増粘剤(B) を含
むコンパウンドを、必要に応じて強化繊維を配合してか
ら伸張性フィルム(C) で包みこんだものであるところに
第一の要旨を有する。
【0007】また繊維強化型複合材料の片面もしくは両
面に上記コンパウンドをゲルコート層として積層してか
ら伸張性フィルム(C) で包んで圧空および/または真空
成形用シートとすること、および上記コンパウンドに強
化繊維を配合して得た繊維強化型複合材料にさらに上記
コンパウンドをゲルコート層として積層してから伸張性
フィルム(C) で包み込んで圧空および/または真空成形
用シートとすることも本発明の要旨である。これら圧空
および/または真空成形用シートは特に深絞り成形品お
よびアンダーカット型成形品を製造するのに有用であ
る。
【0008】
【作用】本発明は、臭気の強いアクリルシロップを伸張
性フィルムと組み合わせることによって、初めて圧空お
よび/または真空成形用途に適用可能としたものであ
る。本発明の圧空および/または真空成形用シートを用
いれば、臭気発生の心配をすることなく環境に対して無
害な状態で、高性能なアクリル樹脂成形品、特に強化繊
維で補強されたアクリル系FRP成形品を、数々の長所
を有する圧空および/または真空成形法で製造すること
ができる。以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】まず、本発明における圧空および/または
真空成形用シートの主たる構成成分は、 (1) カルボキシル基および/またはヒドロキシル基を有
する(メタ)アクリル系ポリマー (2) 一官能(メタ)アクリル系モノマーを主成分とする
モノマー成分とからなるアクリルシロップ(A) と、多価
金属酸化物、多価金属水酸化物および多価イソシアネー
トから選ばれる1種以上の増粘剤(B) であり、上記(A),
(B) にラジカル重合開始剤等を配合して得られるコンパ
ウンドを伸張性フィルム(C) で包みこむことによって圧
空および/または真空成形用シートが形成される。
【0010】(1) のカルボキシル基および/またはヒド
ロキシル基を有する(メタ)アクリル系ポリマーとは、
(メタ)アクリレートを主成分とするもので、この(メ
タ)アクリレートにカルボキシル基を有するビニルモノ
マーおよび/またはヒドロキシル基を有するビニルモノ
マーを共重合させたものである。(メタ)アクリレート
としては、メチルメタクリレートが好ましいが、メチル
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシ
ル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アク
リレート類を使用することもでき、1種または2種以上
を使用する。
【0011】カルボキシル基を有するビニルモノマーと
しては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不
飽和モノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸等の不飽和ジカルボン酸、これら不飽和ジカルボン酸
のハーフエステル化物等が挙げられ、ヒドロキシル基を
有するビニルモノマーとしては、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレ
ート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が利
用でき、これらの1種または2種以上を(メタ)アクリ
レートに共重合することができる。
【0012】また(メタ)アクリレートや上記ビニルモ
ノマーと共に、その他のモノマーとして、スチレン、ビ
ニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、
酢酸ビニル等のモノマーを共重合させて(メタ)アクリ
ル系ポリマー(1) を作成してもよい。
【0013】上記(メタ)アクリル系ポリマー(1) は、
カルボキシル基を含有するときには酸価が5〜100 とな
るように、ヒドロキシル基を含有するときには水酸価が
5〜100 となるように、また両官能基共含有する場合に
は酸価と水酸価を合わせて5〜100 とすることが好まし
い。重合方法は公知の溶液、塊状、乳化重合法を用いる
ことができる。(メタ)アクリル系ポリマー(1) の適正
分子量は重量平均分子量で5万〜100 万、より好ましく
は10万〜50万であり、数平均分子量は2万〜20万、より
好ましくは4万〜15万である。
【0014】上記(メタ)アクリル系ポリマー(1) は、
(2) の一官能(メタ)アクリル系モノマーを主成分とす
るモノマー成分と混合されてアクリルシロップ(A) を構
成する。アクリルシロップ(A) としての粘度は25℃で0.
5 〜100 ポイズ(以下Pと略す)、より好ましくは1〜
10Pが適している。(2) のモノマー成分中、主成分とな
るのは分子中に重合性不飽和基を1個有する一官能の
(メタ)アクリル系モノマーであり、前記(メタ)アク
リル系ポリマー(1) の主成分モノマーとして例示した
(メタ)アクリレート類を挙げることができる。また前
記カルボキシル基もしくはヒドロキシル基を含有するビ
ニルモノマー、あるいはその他のモノマーとして例示し
たモノマー種を1種以上混合して、モノマー成分(2) と
することができる。ただし、後述の増粘剤と(メタ)ア
クリル系ポリマー(1) との反応を阻害しないように、モ
ノマー成分(2) 中のカルボキシル基もしくはヒドロキシ
ル基は(メタ)アクリルポリマー(1) 中のそれら官能基
量より少なくする方が好ましい。
【0015】モノマー成分(2) としては、前述の一官能
(メタ)アクリル系モノマーに加えて、架橋性の多官能
モノマーを併用することもできる。多官能モノマーとし
ては、分子中に重合性不飽和基を2個以上有する化合物
であれば特に制限なく、エチレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジビ
ニルベンゼン等が挙げられ、これらの1種または2種以
上を用いることができる。
【0016】ここで、(2) のモノマー成分中の一官能モ
ノマーと多官能モノマー成分の比は、100 :0 〜80:20
(重量%)が好ましい。ただ成形後の材料を熱硬化型樹
脂用途として用いる場合には、架橋性の多官能モノマー
の存在が好ましく、一官能モノマーと多官能モノマーの
比を97:3 〜80:20(重量%)とするとよい。
【0017】上記(メタ)アクリル系ポリマー(1) とモ
ノマー成分(2) とを混合し、アクリルシロップ(A) が構
成されるが、本発明における好ましい混合比は、(メ
タ)アクリル系ポリマー(1) 対モノマー成分(2) が40:
60〜10:90(重量部)であり、より好ましくは20:80〜
10:90(重量部)である。
【0018】このアクリルシロップ(A) には増粘剤(B)
が配合され、成形材料としての粘度が調整される。増粘
剤(B) としては、カルボキシル基に作用するMgO、C
aO等の多価金属酸化物、またはMg(OH)2 、Ca
(OH)2 等の多価金属水酸化物と、ヒドロキシル基に
作用するp−フェニレンジイソシアネート、2,4−あ
るいは2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)、
1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレン
ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソ
シアネート(MDI)、トリジンジイソシアネート、イ
ソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイ
ソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシ
アネート等の多価イソシアネート化合物を使用すること
ができる。
【0019】すなわち、アクリルシロップ(A) 中の(メ
タ)アクリル系ポリマー(1) としてカルボキシル基を導
入したものを用いたときには、増粘剤には多価金属酸化
物または多価金属水酸化物を用いるのであり、アクリル
シロップ(A) 100 重量部に対し 0.2〜5重量部使用すれ
ば良い。また、アクリルシロップ(A) 中の(メタ)アク
リル系ポリマー(1) としてヒドロキシル基を導入したも
のを用いたときには、前記多価イソシアネート化合物を
用いればよく、1〜20重量部(対アクリルシロップ100
重量部)が適量である。さらに、アクリルシロップ(A)
中の(メタ)アクリル系ポリマー(1) がカルボキシル基
とヒドロキシル基の両者を導入したものである場合は、
多価金属酸化物または多価金属水酸化物と多価イソシア
ネート化合物を適宜混合して使用すると良い。増粘は、
アクリルシロップ(A) と増粘剤(B) を撹拌混合すること
で達成され、増粘後のコンパウンドの粘度は5万〜100
万P、より好ましくは10万〜50万Pが適している。
【0020】このように構成されたコンパウンドには、
モノマー成分を重合させるための硬化剤としてラジカル
重合開始剤が配合される。硬化剤としては、例えばベン
ゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエ
ート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパ
ーオキサイド等の有機過酸化物、2,2−アゾビスイソ
ブチロニトリル、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル
−4−メトキシバレロニトリル等のアゾ系開始剤、ベン
ゾイン、ベンジルジメチルケタール等の光重合開始剤等
を使用することができる。適切な使用量はアクリルシロ
ップ(A) 100 重量部に対し、0.2 〜5重量部である。
【0021】アクリルシロップ(A) に硬化剤および増粘
剤(B) を配合したコンパウンドを伸張性フィルム(C) で
包むことによって、本発明における基本的な圧空および
/または真空成形用シートを形成することができる。こ
こで伸張性フィルム(C) とは、少なくとも、縦・横の両
方向に各々50%以上伸びるフィルムのことであり、本発
明では熱可塑性でアクリルシロップ(A) に侵されない素
材、例えばナイロン、ビニロン、ポリビニルアルコー
ル、ポリプロピレン、ポリエチレン等のフィルムが好ま
しく使用できる。より好ましい伸び率は、縦・横共に 1
00%以上で、フィルムの厚みは5〜 500μmが適してお
り、より好ましくは10〜 100μmである。
【0022】本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートは、上記伸張性フィルム上に前記コンパウンドを必
要に応じて強化繊維と複合してシート状に延ばし、その
上にさらに伸張性フィルムを載せることにより作成する
ことができる。
【0023】本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートの第2の構成は、上述の増粘剤と硬化剤を含んだア
クリルシロップコンパウンドをゲルコート層として繊維
強化マトリックス樹脂層上に設けてから伸張性フィルム
で包んだ圧空および/または真空成形用シートであっ
て、この場合のマトリックス樹脂層は、圧空および/ま
たは真空成形に使用可能な繊維強化型複合材料であれば
特に限定されない。例えば、従来公知のFRPに用いら
れる不飽和ポリエステル樹脂や、ビニルエステル樹脂、
エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、公知の
アクリルシロップ等に強化繊維を複合したものが挙げら
れる。特に上述の本発明に係るアクリルシロップコンパ
ウンドに強化繊維を複合したものが、圧空および/また
は真空成形における良好な成形性や優れた性能をもつ成
形品を形成し得る点から前記マトリックス樹脂層に好ま
しく使用される。
【0024】複合される強化繊維としては、ガラス、炭
素、金属、セラミックス等の無機繊維や、アラミド、ポ
リエステルをはじめとする種々の有機繊維等が利用で
き、素材は特に限定されないが、形態としては、 0.1〜
100mm 、より好ましくは 0.5〜50mm程度のチョップドス
トランドが好ましい。クロスタイプのものは、圧空およ
び/または真空成形時にマトリックス樹脂の伸びに対応
できないことがあり、使用できないわけではないがあま
り好ましくない。
【0025】強化繊維の量は、前記アクリルシロップコ
ンパウンドや複合材料用樹脂 100重量部に対して10〜 1
00重量部が適しており、より好ましい配合量は20〜70重
量部である。
【0026】公知の方法で前記コンパウンドや樹脂と強
化繊維とを混合した後、シート状に形成し、この繊維強
化マトリックス樹脂層の片面もしくは両面に前記アクリ
ルシロップコンパウンドをゲルコート層として積層し、
この積層体を前記伸張性フィルムで挟むことによって、
本発明の圧空および/または真空成形用シートが作成さ
れる。あるいは、伸張性フィルム上に必要に応じてアク
リルシロップコンパウンドをゲルコート層として形成
し、このゲルコート層上に公知の方法で前記コンパウン
ドや樹脂と強化繊維との混合層を積層し、さらに前記伸
張性フィルム上に必要に応じて前記アクリルシロップコ
ンパウンドをゲルコート層として形成したものを積層す
ることによっても、繊維強化型複合材料の片面もしくは
両面にゲルコート層を有する圧空および/または真空成
形用シートを作成することができ、シート作成法は特に
限定されない。
【0027】本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートに使用されるアクリルシロップコンパウンドまたは
複合材料用樹脂中には、必要に応じて充填剤を添加する
ことができる。このような充填剤としては、炭酸カルシ
ウム、タルク、クレー、シリカ、アルミナ、石英、ケイ
酸カルシウムや水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム等が挙げられ、アクリルシロップまたは複合材料用樹
脂100 重量部に対して50〜400 重量部使用することがで
きる。
【0028】本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートを成形する方法としては、該シートの片面から空気
圧等で加圧して反対側の成形型面に沿うよう押しつけて
賦形する圧空成形、該シートの片面を真空吸引して成形
型面に沿うよう吸着させて賦形する真空成形、圧空成形
と真空成形を同時に行なう圧空・真空成形等がある。賦
形された圧空および/または真空成形用シートを硬化さ
せる方法は、樹脂の種類に応じて適宜選択され、加熱硬
化、光硬化、常温硬化等の方法を採用できる。
【0029】本発明の圧空および/または真空成形用シ
ートは伸張性に優れたフィルムと成形性に優れた樹脂で
構成されているので、深絞り成形やアンダーカット型成
形に適用しても肉厚のばらつきのない優れた成形品を得
ることができる。
【0030】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。また、「部」「%」と
あるのは特に記載のない場合はすべて「重量部」「重量
%」を示す。
【0031】実施例1 2リットルのセパラブルフラスコにメタクリル酸メチル
1266.7g、メタクリル酸80.0g、チオクレゾール0.33
g、アゾビスイソブチロニトリル0.33gを仕込み、窒素
置換した後80℃で重合させた。粘度が約60P(25℃)に
達した所でメタクリル酸メチル 666.7gを一気に添加し
急冷して反応を停止させた。このアクリルシロップは、
25℃での粘度が3P、酸価が25、固形分濃度が15%であ
り、シロップ中のメタクリルポリマーの数平均分子量は
5万、重量平均分子量は23万、酸価は78であった。
【0032】得られたアクリルシロップ100 部に対しt
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本
油脂製:パーブチルO)1部と酸化マグネシウム1.5 部
を添加し、ビニロンフィルム(クラレ製、厚み50μm:
伸び率 450%)上にチョップドストランドマット(日東
紡製:MC450 )と共に積層した。さらにその上にもう
一枚ビニロンフィルムをかぶせてから含浸脱泡し、ガラ
ス含有率35%、厚み約2mmに調整し、40℃で1時間熟成
して本発明の成形用シートを作成した。得られたシート
を、排気口のついた圧空成形用金型に上から3kg/cm2
圧空をかけて賦型し、100 ℃で20分間成形した。金型の
形状は深さ8cm、コーナー部の最小半径が5R、最大面
積伸び率が100 %となる箱型のものを用いた。得られた
成形品は肉厚の部分的バラツキも小さく、またサンシャ
インウェザーメーターによる 500時間の促進耐候試験後
も良好な光沢を示し、変色、チョーキングも殆ど見られ
なかった。
【0033】実施例2 2リットルのセパラブルフラスコにメタクリル酸メチル
1266.7g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル66.7g、
アゾビスイソブチロニトリル0.33gを仕込み、実施例1
と同様の条件で重合して、アクリルシロップを得た。こ
のアクリルシロップは25℃での粘度が 3.2P、水酸価が
15、固形分濃度が15%であり、シロップ中のメタクリル
ポリマーの数平均分子量は5万、重量平均分子量は30
万、水酸価は20であった。得られたアクリルシロップ10
0 部に対し、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエート1部とヘキサメチレンジイソシアネート(日本
ポリウレタン製:コロネート2094)10部を添加し、実施
例1と同様にして本発明の成形用シートを作成した。
【0034】得られたシートを真空吸引口のついた真空
成形用金型に、上から2kg/ cm2の圧空をかけると共に
真空吸引口から750 mmHgで吸引して賦型し、100 ℃で20
分間成形した。金型の形状は実施例1で使用したものと
同様の箱型のものを用いた。得られた成形品の促進耐候
試験を行なったが、 500時間後も良好な光沢を示し、変
色、チョーキングも殆ど見られなかった。また成形品の
肉厚分布も小さかった。
【0035】実施例3 実施例1で合成したアクリルシロップ100 部に対し、t
−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1部と
酸化マグネシウム1.7 部を添加し混合した。この混合物
をすばやくビニロンフィルム上へドクターナイフで約1
mmの厚みで均一になるように塗布し、40℃で1時間放置
して増粘を行ないゲルコート層を形成した。ゲルコート
層がタックフリーになった状態で、この上に実施例1で
合成したアクリルシロップ100 部、t−ブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサノエート1部および酸化マグネシ
ウム1.5 部を混合して得たコンパウンドをチョップドス
トランドマット(日東紡製:MC450 )と共に積層して
繊維強化型複合材料からなる層を形成した。次いでこの
上にもう一枚ビニロンフィルムをかぶせてから含浸脱泡
し、複合材料層をガラス含有率35%、厚み約2mmに調整
し、さらに40℃で1時間熟成し、本発明のゲルコート付
き成形用シートを得た。
【0036】得られたシートを実施例2に記した金型を
用いて、真空吸引口から750 mmHgで吸引して賦型し、10
0 ℃で20分間成形すると、非常にガラス目の少ない成形
品が得られた。成形品の断面を調べたところ、繊維強化
型複合材料層、ゲルコート層ともに肉厚の分布は極めて
小さく、また促進耐候試験の結果、 500時間後も良好な
光沢を示し、変色、チョーキングも殆ど見られなかっ
た。
【0037】実施例4 実施例1と同様の方法でアクリルシロップの合成、およ
び成形用シートの作成を行なった。このシートを実施例
1で用いたものよりもさらに深絞りである最大面積伸び
率200 %の金型を用いて、実施例1と同条件で成形し
た。成形品の断面を調べたところ、肉厚の部分的バラツ
キは極めて小さく、また表面性も良好であった。
【0038】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されているの
で、臭気・毒性を有するアクリルモノマーを気散させる
ことなく、良好な作業環境下でアクリルシロップの成形
作業が可能になった。このため、耐候性、無色透明性、
軽量性に優れたアクリル系FRP成形品を提供すること
ができる。また、本発明の圧空および/または真空成形
用シートは伸張性に優れたフィルムと成形性に優れた樹
脂で構成されているので、深絞り成形やアンダーカット
型成形に適用しても肉厚のばらつきのない優れた成形品
を得ることができる。また成形硬化時に、アクリル樹脂
特有の可塑化現象により、常に型面に密着して成形され
ることになり、表面にガラス目の見られない成形品を得
ることもできる。従って浴槽等の住宅機材、建材、工業
部品、電気部品、車両部品等の種々の分野に使用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧空および/または真空成形法の工程を示す説
明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−197707(JP,A) 特開 昭49−51363(JP,A) 特表 平5−502269(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B29C 51/00 - 51/46

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基および/またはヒドロキ
    シル基を有する(メタ)アクリル系ポリマー(1) 、なら
    びに一官能(メタ)アクリル系モノマーを主成分とする
    モノマー成分(2) からなるアクリルシロップ(A) と、多
    価金属酸化物、多価金属水酸化物および多価イソシアネ
    ートから選ばれる1種以上の増粘剤(B) を含むコンパウ
    ンドを伸張性フィルム(C) で包んだものであることを特
    徴とする圧空および/または真空成形用シート。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のコンパウンドに強化繊
    維を配合して得られた繊維強化型複合材料を伸張性フィ
    ルム(C) で包んだものであることを特徴とする圧空およ
    び/または真空成形用シート。
  3. 【請求項3】 繊維強化型複合材料の片面もしくは両面
    に、請求項1に記載のコンパウンドがゲルコート層とし
    て積層されたものを、伸張性フィルム(C) で包んだもの
    であることを特徴とする圧空および/または真空成形用
    シート。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の繊維強化型複合材料が
    請求項1記載のコンパウンドに強化繊維を複合したもの
    である請求項3に記載の圧空および/または真空成形用
    シート。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の圧空お
    よび/または真空成形用シートを用いることを特徴とす
    る深絞り成形品の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の圧空お
    よび/または真空成形用シートを用いることを特徴とす
    るアンダーカット型成形品の製造方法。
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