JP3191045B2 - 密閉容器のための蓋体 - Google Patents

密閉容器のための蓋体

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JP3191045B2
JP3191045B2 JP06260297A JP6260297A JP3191045B2 JP 3191045 B2 JP3191045 B2 JP 3191045B2 JP 06260297 A JP06260297 A JP 06260297A JP 6260297 A JP6260297 A JP 6260297A JP 3191045 B2 JP3191045 B2 JP 3191045B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、密閉容器の容器本
体に嵌合される蓋体に関し、特に容器本体側に対する嵌
合溝を含む部分を軟質周縁部として、密閉容器として必
要とされる機能を向上させるようにした密閉容器のため
の蓋体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】所謂密閉容器としては、既に種々なもの
が提案されてきており、特に食品の鮮度を保つものとし
て重宝されているものである。ところが、この密閉容器
は、例えば実公平7−32432号公報に指摘されてい
る通り、その容器本体及びこれに嵌合されるべき蓋体が
合成樹脂材料によって形成してあるため、例えば温度変
化によってどちらかが相対的に収縮するものである。こ
のように収縮すると、蓋体と容器本体との間に隙間が生
じ、従来の容器は、その密閉性が低下するという問題を
有していたものである。
【0003】特に、密閉性を向上させようとすると、容
器本体も蓋体も精度良く形成しなければならないし、密
閉性が向上したとすると、今度は蓋体が容器本体にしっ
かりと密着してしまって、その取外しが困難となるだけ
でなく、嵌合操作性(嵌合を容易に行えるようにするこ
と)も悪くなってしまうのである。
【0004】すなわち、この種の密閉容器については、
少なくとも、次のような〜の要望があるのである。
【0005】この種の密閉容器は、例えば食品を密閉
して収納するものであるが、十分な密閉性を有したも
の、特に水分の流通を完全に遮断できる性質・構造のも
のとする必要がある。食品の変化は、その水分の移動に
よって生ずるものだからである。(密閉性の確保)
【0006】この種の密閉容器は、合成樹脂を材料と
して、「型」を利用した成形法を駆使して製造されるも
のである。そうであれば、型成形によるメリットを十分
生かせるようなものとして、成形が容易で製造コストを
安価にすることができるようにしなければならない。
(型成形の容易化)
【0007】この種の密閉容器は、手に持って容器本
体に対する蓋体の嵌合、及びその取り外しを行うもので
あるから、上記の密閉性を確保しながら、嵌合操作を
簡単に行えるようにするとともに、逆に蓋体の取り外し
も簡単に行えるものとしなければならない。(嵌合操作
性の向上)
【0008】この種密閉容器の蓋体は、容器本体側に
嵌合すべき部分が軟質である方が、上記を達成し易い
し、その他の部分は、ある程度の剛性を有していた方が
よい。一部に硬い部分を有していると、の嵌合操作性
が良くなるからである。(物性の二重性)
【0009】上記のように、一つの物で部分的に物
性を変えようとすると、異なる材料を使用して成形する
のが最もよいが、幸い、後述する「コアバック成形法」
が確立されてきている。この「コアバック成形法」を簡
単に適用できる密閉容器となれば、好都合である。(コ
アバック成形法の適用性)
【0010】上記のコアバック成形法を適用した場
合、材料が異なる界面での密着性が問題となる。特に、
蓋体について異種材料を使用して成形した場合、この蓋
体は容器本体に対する嵌合や取り外しを強制的に行わな
ければならないものであるから、その時の引張り力に十
分抗することができて、界面での分離がなされないもの
となっていなければならない。(界面における密着性の
確保)
【0011】特に、この種の密閉容器を構成する蓋体
に限ってみてみると、この蓋体を通して容器本体内に収
納した食品の状態が見えれば、保存状態等の確認を外部
から容易に行うことができるから、蓋体の、例えば中心
部は、透明性に優れていれば好都合である。(蓋体の透
明性)
【0012】以上の〜の要望は、容器本体につい
てよりも、むしろ蓋体側の改良によって達成できるもの
と考えられ、蓋体についてこれらの〜の要望を解決
できれば、密閉容器全体の要望の解決になるものと考え
られる。(蓋体改良の重要性)
【0013】ところで、この種の密閉容器は、ポリプロ
ピレン(PPと略称されている)を代表とする合成樹脂
を材料として成形されているものであるが、このPPを
採用しているのは、PPが食品を収納する容器を構成す
るのに適した材料であり、製造技術や品質の画期的進歩
があってその低価格化が進んでいるからである。そし
て、通常単にポリプロピレンという場合には、アイソタ
クチックポリプロピレン(以下、単にIPPと略称す
る)を言うことが多い。つまり、PPは、その立体構造
的にみた場合、一般的なIPP(アイソタクチックポリ
プロピレン)、シンジオタクチックポリプロピレン(以
下、単にSPPと略称する)、及びアタクチックポリプ
ロピレンの3種類のものがあるのである。
【0014】IPPは、固体であるチーグラー・ナッタ
触媒を介在させて製造されるものであるが、カミンスキ
ーによって「メタロセン触媒」が見いだされるに至っ
て、上記SPPの合成が容易になってきた。このメタロ
セン触媒は、トリメチルアルミニウムを加水分解して得
られるメチルアルミノキサンと、メタロセン化合物とを
組み合わせた触媒で、発明者の名をとってカミンスキー
触媒とも言われている。このメタロセン触媒は、溶媒に
可溶であり、活性種の性質が均質なことから均一系触
媒、あるいはシングルサイト触媒ともいわれることもあ
る。
【0015】このメタロセン触媒の中で特定の構造のメ
タロセン化合物を採用すると、SPPを合成することが
できることが知られている。中でも、J.A.Ewen
らによって発表された方法によれば、従来のSPPに比
較して立体規則性が高いものである。
【0016】つまり、このSPPは、密閉容器を製造す
るための材料として、検討の大きな余地を含んでいるも
のと予想される。何故なら、この種の密閉容器は、上述
したように、容器本体の上端開口に蓋体を嵌合して、容
器本体内を密閉状態にするものであって、上記〜の
要望を有したものであるが、これらの要望を満たすため
に、SPPの上記特性は十分利用できるものと考えられ
るからである。
【0017】一方、異なる合成樹脂材料を使用しなが
ら、一つの製品を射出成形する方法として「コアバック
成形法」があるが、この「コアバック成形法」は、所謂
「インサート成形法」とは全く異なって、言わば異種材
料から一つの製品を一つの型で略同時に射出成形する方
法である。すなわち、例えば、硬質本体部と、その周縁
に軟質周縁部を一体化した蓋体を、このコアバック成形
法によって同時形成するには、第一材料によって硬質本
体部を(一次)射出成形しておき、その後に硬質本体部
を形成していた型の一部を後退させること(コアバッ
ク)により空間(キャビティ)を形成、またはこの空間
への樹脂の流動路を形成しておく。このようにして形成
された空間内に、第二材料を注入することにより、軟質
周縁部が硬質本体部の周縁に射出成形(二次)されるの
である。この間、型開きされることはなく、一次射出さ
れたものの一次冷却時間中に二次射出がなされるのであ
り、成形時間を短縮しながら、例えば蓋体を同時に射出
成形するものである。
【0018】そこで、本発明者等は、この種の密閉容器
における軽量化やコスト低減を図りながら、その蓋体の
嵌合操作性や密閉性等を十分なものとするにはどうした
らよいかについて種々検討を重ねてきた結果、要するに
容器本体に嵌合される蓋体に上記SPPを適用すること
が良い結果を生むことに気付き、本発明を完成したので
ある。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この種の密
閉容器における上記実状に鑑みてなされたもので、その
解決しようとする課題は、食品等を保存する密閉容器の
蓋体について、その容器本体に対する嵌合・取外し操作
の容易性等の、上記〜の要望全てを満たすことにあ
る。
【0020】すなわち、本発明の目的とするところは、
軽量化やコスト低減を図りながら、蓋体を構成している
硬質本体部と、その周縁に形成される軟質周縁部との一
体化を確実にすることができ、蓋体の容器本体に対する
嵌合・取外し操作を容易に行うことができて、しかも両
者の密閉性を向上させることのできる密閉容器の蓋体を
提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、本発明の採った手段は、後述する実施の形態の説
明中で使用する符号を付して説明すると、「密閉容器を
構成する容器本体20の開口端縁21に気密的に嵌合さ
れる蓋体10を構成して、この蓋体10の中央部を構成
する硬質本体部11と、この硬質本体部11の周縁に一
体化されて容器本体20の開口端縁21に嵌合される嵌
合溝13を有した軟質周縁部12とからなる蓋体10で
あって、軟質周縁部12を、SEPS(ポリスチレン−
エチレン−プロピレンコポリマー−ポリスチレン)系の
エラストマーに5〜15%の割合でシンジオタクチック
ポリプロピレン(SPP)を添加した合成樹脂材料によ
って形成するとともに、硬質本体部11を、アイソタク
チックポリプロピレン(IPP)に40〜80%のシン
ジオタクチックポリプロピレン(SPP)を添加した合
成樹脂材料によって一体成形したことを特徴とする密閉
容器の蓋体10」である。
【0022】すなわち、この密閉容器を構成する蓋体1
0は、図1〜図3に示すように、密閉容器を構成する容
器本体20の開口端縁21に嵌合されるものであり、特
に図2及び図3に示すように、蓋体10の中央部を構成
する硬質本体部11と、この硬質本体部11の周縁に一
体化されて容器本体20の開口端縁21に嵌合される嵌
合溝13を有した軟質周縁部12とからなるものであ
る。そして、この蓋体10は、硬質本体部11及び軟質
周縁部12を上記のような材料によって形成するととも
に、これらの硬質本体部11及び軟質周縁部12を一体
成形したものである。
【0023】そして、この蓋体10は、上記従来の技術
の欄で述べたように、「コアバック成形法」によって一
体成形したものである。つまり、第一材料によって硬質
本体部11を(一次)射出成形しておき、その後に硬質
本体部11を形成していた型の一部を後退させること
(コアバック)により空間(キャビティ)を形成、また
はこの空間への樹脂の流動路を形成しておく。このよう
にして形成した空間内に第二材料を注入することによ
り、軟質周縁部12を硬質本体部11の周縁に射出成形
(二次)するのである。この間、型開きされることはな
く、一次射出されたものの一次冷却時間中に二次射出が
なされ、当該蓋体10は、成形時間を短縮しながら同時
に射出成形されたものである。
【0024】また、この蓋体10の硬質本体部11は、
IPPに40〜80%のSPPを添加した合成樹脂材料
によって形成する必要がある。その理由は、従来は一般
的なIPPによって形成されていた硬質本体部11を、
嵌合操作性や透明性に優れ、型成形が容易であり、軟質
周縁部12との界面における密着性を向上させたものと
する必要があるからである。
【0025】すなわち、この硬質本体部11は、IPP
に40〜80%のSPPを添加した合成樹脂材料によっ
て形成した結果、その周縁に軟質周縁部12を一体成形
したとき、蓋体10の容器本体20に対する嵌合や取り
外しを容易に行えるようにするために、一定の剛性を有
しながらも、嵌合操作性を確保するための柔軟性を有し
たものとなっているのである。SPPは、IPPに対す
る相溶性が優れ、しかも前述したように、IPPよりも
軟質なものだからである。
【0026】しかも、この硬質本体部11は、これを通
して密閉容器内に収納した食品等が外から容易に視認で
きるようにするために、透明または半透明なものである
必要があるが、そのために、この硬質本体部11は、I
PPにSPPを添加した合成樹脂材料によって形成した
のである。SPPは、IPPに対する相溶性が優れ、し
かも前述したように、IPPよりも透明性に優れたもの
だからである。
【0027】また、SPPは、IPPよりも低い金型温
度で成形する為、成形後のひけやそり等の外観不良を極
力発生させることがないことによって透明性に優れたも
のとすることができるのである。これにより、その分成
形が容易となっているのである。
【0028】さらに、この硬質本体部11を構成するた
めの材料を、IPPにSPPを添加したものを採用した
のは、次に述べる軟質周縁部12を、当該硬質本体部1
1の周縁に同時型成形してその界面における密着性を向
上させるために、軟質周縁部12を構成する樹脂材料と
の相溶性がよいことが必要だからである。
【0029】以上のような、この硬質本体部11の、密
閉容器を構成するためのものとしての各種物性を向上さ
せるためには、上述したように、この硬質本体部11
を、IPPに40〜80%のSPPを添加した合成樹脂
材料によって形成する必要があるのである。その理由
は、SPPのIPPに対する添加割合が40%よりも低
いと、上述した各物性を十分なものとすることができな
いからである。また、SPPのIPPに対する添加割合
が80%よりも多いと、比較的高価であるSPPを大量
に使用することになって、製造コストを増大させるだけ
でなく、上記物性の実質的な向上を図ることができない
からである。
【0030】一方、この蓋体10の軟質周縁部12は、
SEPS系のエラストマーにSPPを、重量比で5〜1
5%添加したものであり、これにより、蓋体10の軟質
周縁部12を、硬質本体部11に対して軟質のものとし
たのである。軟質周縁部12が軟質のものであれば、そ
の嵌合溝13による容器本体20の開口端縁21に対す
る嵌合操作は勿論、取外し操作も容易に行えるととも
に、蓋体10の容器本体20に対する密閉性も向上して
いるのである。何故なら、軟質周縁部12が軟質のもの
であると、嵌合溝13を含む軟質周縁部12の変形が容
易となり、かつその復元性も良くなるため、密閉する際
の操作性が高くなって確実に密閉状態を維持できるので
ある。
【0031】このような嵌合溝13を含む軟質周縁部1
2を軟質なものとするために、この軟質周縁部12を構
成するための合成樹脂材料は、SEPS系のエラストマ
ー85〜95%に対して、5〜15%のSPPを含有さ
せた、エラストマーを主体とする材料によって構成する
ことが好ましい。その理由は、エラストマーの含有量が
85%より少ないと、必要とする柔軟性を蓋体10の軟
質周縁部12に付与することができないからであり、エ
ラストマーの含有量が95%より多いと、容器本体20
の開口端縁21に嵌合されるべき嵌合溝13を含む軟質
周縁部12が必要とする剛性を確保することができない
だけでなく、蓋体10を高価なものとしてしまうからで
ある。
【0032】この種のエラストマーとしてはSEPSを
採用することが好ましい。その理由は、エラストマーの
ベースポリマーとしてSEPSタイプのものを使用すれ
ば、二重結合を有していないベースポリマーを採用する
ということになり、耐候性や耐熱性に優れているだけで
なく、「臭い」が少ないものとなり、例えば食品を収納
するための密閉容器とするのに適しているためである。
【0033】なお、この種のエラストマーとして、エチ
レンプロピレンゴム、エチレンとプロピレンとをチグラ
ー触媒の存在下で重合したゴム状物も採用される。ま
た、この軟質周縁部12に着色して不透明なものとする
ために、物性を損なわない程度顔料を加えたり、このエ
ラストマー内にタルクやシリカを混入するようにして実
施してもよい。エラストマー内にタルクやシリカを混入
するするのは、この軟質周縁部12について、逆に硬度
を上げたり、当該軟質周縁部12を含む密閉容器をゴミ
として燃焼させる際の熱量を抑えるためである。
【0034】以上のように、蓋体10の硬質本体部11
や軟質周縁部12を構成している樹脂材料中に、SPP
を添加することが必要であるが、その第1の理由は、次
の通りである。軟質周縁部12は、硬質本体部11の周
縁に「コアバック成形法」によって一体成形しなければ
ならないし、軟質周縁部12を構成する主材は、硬質本
体部11側の主材であるIPPとは異なったSEPSで
あるから、軟質周縁部12及び硬質本体部11を構成す
る材料間の相溶性を高くしなければならない。そのよう
な要求に対して、SPPは、前述したように、IPPと
は勿論、他の合成樹脂に対する相溶性が優れているか
ら、嵌合操作性も必要になる蓋体10を構成する材料と
しては、非常に優れた作用を発揮するのである。
【0035】また、蓋体10の硬質本体部11や軟質周
縁部12を構成している樹脂材料中にSPPを添加する
ことが好ましい第2の理由は、このSPPは、密閉容器
に対する以上の要求に応えながら、密閉容器の軽量化、
型成形の容易化を図ることができるだけでなく、材料が
互いに異なる硬質本体部11と軟質周縁部12との界面
での密着性を十分なものとすることができるからであ
る。
【0036】さらに、蓋体10の硬質本体部11や軟質
周縁部12を構成している樹脂材料中にSPPを添加す
ることが好ましい第3の理由は、このSPPは、マイナ
ス10℃までの低温度に対しても、その柔軟性に変化が
ないものであり、この耐低温性が他のIPPやSEPS
系のエラストマーに対しても働き、結果として、当該蓋
体10の耐低温性を向上させるからである。換言すれ
ば、この蓋体10を有する密閉容器を、冷凍庫内のマイ
ナス2〜10℃程度の低温雰囲気に曝した後、これを取
り出した直後に、容器本体20から蓋体10を取り外し
ても、この蓋体10が割れたり変形したりすることは全
くないのである。
【0037】以上のように構成した本発明に係る蓋体1
0の作用についてまとめてみると、次の通りである。
【0038】本発明に係る蓋体10を採用した密閉容
器は、例えば食品を密閉して収納するものであるが、上
述したように十分な密閉性を有したものとなっており、
特に水分の流通を完全に遮断できる性質・構造のものな
っているのである。
【0039】密閉容器のための本発明に係る蓋体10
は、合成樹脂を材料として、「型」を利用した成形法を
駆使して製造可能であり、型成形によるメリットを十分
生かすことができて、成形を容易に行え、製造コストが
安価となる。
【0040】本発明に係る蓋体10を採用した密閉容
器は、手に持って容器本体20に対する蓋体10の嵌
合、及びその取り外しを行う際に、上記の密閉性を確
保しながら嵌合操作が簡単に行え、逆に蓋体10の取り
外しも簡単に行えるのである。
【0041】本発明に係る蓋体10は、容器本体20
側に嵌合すべき部分が軟質であるから、上記を達成
し、その他の部分を、ある程度の剛性を有したものとし
て、の嵌合操作性が良くなる。
【0042】上記のように、一つの物で部分的に物
性を変えようとすると、異なる材料を使用して成形する
のが最もよいが、本発明に係る蓋体10は、異なる材料
を使用して、「コアバック成形法」の適用が簡単に行え
る。
【0043】本発明に係る蓋体10は、容器本体20
に対する嵌合や取り外しを強制的に行わなければならな
いものであるが、その時の引張力に十分抗するものであ
り、界面での分離がなされないものとなっている。
【0044】特に、本発明に係る蓋体10を通して容
器本体20内に収納した食品の状態がよく見え、その保
存状態等の確認を外部から容易に行える。
【0045】
【発明の実施の形態】次に、以上のように構成した本発
明を、図面に示した実施の形態である密閉容器について
説明すると、次の通りである。図1〜図3には、本発明
に係る密閉容器が示してあるが、図1は、上側半分を底
面とした密閉容器の平面図を示すものであり、図2は、
左側半分を断面とした密閉容器の正面図を示し、図3は
図2の要部拡大断面図である。
【0046】この密閉容器の容器本体20は、ポリプロ
ピレン等の合成樹脂材料により一体成形したもので、そ
の全体を比較的硬質なものとしてあり、蓋体10が嵌合
されるべき開口端縁21の剛性を十分なものとしたもの
である。また、この容器本体20の側面は、図2及び図
3に示したように、その開口端縁21が僅かに外方に拡
開するように形成してあり、これによっても蓋体10と
の密閉性を向上させたものである。なお、この容器本体
20の底部下面には、複数の脚部22が一体的に形成し
てあり、これらの脚部22によって当該容器本体20の
底面が机上等に密着しないようにしてある。
【0047】さて、蓋体10であるが、実施形態のもの
では、その軟質周縁部12と硬質本体部11を、所謂
「コアバック成形法」によって、異なる材料を時間差を
設けて射出成形することにより一体化したものである。
【0048】この蓋体10をコアバック成形法によって
形成するには、IPP(透明または半透明である)にS
PPを添加した材料によって硬質本体部11を(一次)
射出成形しておき、その後に、硬質本体部11を形成し
ていた型の一部を後退させること(コアバック)により
空間(軟質周縁部12のためのキャビティ)を形成、ま
たはこの空間への樹脂の流動路を形成するのである。そ
して、この空間内に、スチレン−イソプレン系ブロック
共重合体の水添物(SEPS)系のエラストマー、ある
いはこれにSPPを5〜15%混入した合成樹脂材料を
注入することにより、射出成形(二次)を行うことによ
りなされる。この間、型開きされることはなく、一次射
出されたものの一次冷却時間中に二次射出がなされるの
であり、成形時間を短縮しながら、軟質周縁部12の硬
質本体部11に対する密着性を確保しているものであ
る。
【0049】本実施形態における軟質周縁部12の合成
樹脂材料としては、水添SISブロックコポリマーを水
添したエラストマー(SEPS)に、重量比で12.5
%のSPPを入れたものを採用している。このように、
軟質周縁部12の主材としてエラストマーのベースポリ
マーとしてSEPSタイプのものを使用しており、この
ベースポリマーは二重結合を有していないため、この蓋
体10の軟質周縁部12は、耐候性や耐熱性に優れてい
るだけでなく、「臭い」が少ないものとなり、例えば食
品を収納するための密閉容器として適している。
【0050】また、以上のようなエラストマーにSPP
を混在させた合成樹脂材料によって形成した軟質周縁部
12の硬度を、デュロメータによって、JIS−K−7
215の基準の下に測定してみたところ、A93であ
り、硬質本体部11の硬度は、ロックウェル硬度計によ
ってJIS−K−7202号によって測定したところ、
その硬度はR57であった。なお、この軟質周縁部12
を、従来と同様に、低密度ポリエチレン100%によっ
て形成しておき、上記JIS−K−7215の基準の下
でデュロメータによる硬度を測定したところその硬度は
A98であった。
【0051】つまり、本発明に係る蓋体10の軟質周縁
部12の硬度と、硬質本体部11の硬度との間に硬度差
を設けることにより、密閉する際には、硬度の高い硬質
本体部11を強く押圧することができるという操作性を
向上させる意味があり、硬質本体部11より軟質周縁部
12の硬度を低くすることは、容器本体20の開口端縁
21に対する嵌合・取外し操作を従来品より行い易く
し、かつ密閉性を向上させるという意味がある。
【0052】ところで、この蓋体10を、図1に示した
ような略長方形のものに形成した場合に、その大部分は
透明または半透明の材料によって形成した硬質本体部1
1であるから、この硬質本体部11を通して容器本体2
0内を視認することができるだけでなく、硬質本体部1
1の周囲には着色された軟質周縁部12を存在させるこ
とができるから、この軟質周縁部12によってその内側
は見えない。すなわちこの蓋体10は、着色された軟質
周縁部12が硬質本体部11の周囲に存在しているとい
うデザイン上でも優れたものとなっているだけでなく、
もし蓋体10と容器本体20との間に物が挟っていたと
しても、これを軟質周縁部12が外部からは見えなくし
ているのであり、使用時における全体の見栄えをよくす
るものである。
【0053】勿論、この蓋体10の軟質周縁部12に
は、図2及び図3に示したように、断面略逆U字状の嵌
合溝13が形成してあるが、この嵌合溝13内に容器本
体20側の開口端縁21が嵌入されることになるのであ
る。この嵌合溝13の周囲は、前述した硬度を有する合
成樹脂材料によって形成されている軟質周縁部12なの
であるから、当該蓋体10の容器本体20に対する嵌合
性が良好でかつ密閉性も良いものであることは前述した
通りである。
【0054】本実施形態の嵌合溝13は、図3に示した
ように、その中心線L1が前述した容器本体20の開口
端縁21の傾斜方向に合わせて上方外側に傾斜させてあ
り、かつ、その外側内面(容器本体20の開口端縁21
の外側面が当たる面)を、開口端縁21の上端からの垂
線L2に対して内方に傾斜させてある。また、この嵌合
溝13を形成している軟質周縁部12の外側部分を、図
3に示したように他の部分よりも肉厚のものとしてあ
る。以上の結果、一部に指掛け14が一体化してある軟
質周縁部12の外周縁は、これを成形後に僅かに内方に
縮むことにあり、開口端縁21に対する密着をより向上
させることになるのである。
【0055】以上のように構成した蓋体10の、密閉性
試験及び引張強度試験を行ったところ、次の通りとなっ
た。
【0056】・密閉性試験 蓋体10の硬質本体部11を、70重量%のSPPと、
30重量%のIPPとによって形成し、軟質周縁部12
を、90重量%のSEPS系のエラストマーと10重量
%のSPPとによって形成し、密閉容器としての製品重
量が、次の表1に示すものを製作した。これらの各容器
本体20内に水をそれぞれ80%入れ、密閉容器を縦長
に置いて、13時間経過後、及び24時間経過後の水漏
れ量を測定したところ、次の表1の通りとなった。
【0057】
【表1】
【0058】以上の表1の通り、本発明に係る蓋体10
を採用した密閉容器では、水漏れが殆どないことが理解
できる。なお、3つの製品について異常値が見られる
が、これはしっかりと嵌合されていなかったことに起因
するものと考えられ、本発明の蓋体10における欠陥で
はないと考えられる。
【0059】・引張強度試験 表2に示す組成の蓋体10を形成して、その各辺の中央
部より、図4に示したA、B、C及びDの4箇所の試験
片を切り出して、引張強度試験を行ったところ表2の右
欄に示す結果を得た。この引張強度試験は、JIS−K
−7113の「プラスチックの引張強度試験方法」に則
って行ったものである。
【0060】この場合の具体的試験条件は、試験機とし
て「オートグラフAG−20KNE」(〓島津製作所社
製)を採用し、 温度;23℃ 試験速度;50mm/分 試験片の幅と厚み;26mm×1.5mm チャック間距離;40mm であった。
【0061】
【表2】
【0062】そして、各蓋体10の4箇所の試験片の試
験によって破断したときの状態をみると、次の表3の通
りであった。
【表3】
【0063】以上の表2及び表3の結果から、硬質本体
部11をIPPのみで作成し、軟質本体部12をSEP
S系のエラストマーのみで作成したものよりも、どちら
かにSPPを混入した方が引張強度が上がり、特に、硬
質本体部11にSPPを60%混入し、軟質本体部12
にSPPを10%混入したものが、全く混入しなかった
ものに対して17%の強度アップが見られた。
【0064】
【発明の効果】以上、詳述した通り、本発明において
は、上記の実施の形態で例示した如く、「密閉容器を構
成する容器本体20の開口端縁21に気密的に嵌合され
る蓋体10を構成して、この蓋体10の中央部を構成す
る硬質本体部11と、この硬質本体部11の周縁に一体
化されて容器本体20の開口端縁21に嵌合される嵌合
溝13を有した軟質周縁部12とからなる蓋体10であ
って、軟質周縁部12を、SEPS系のエラストマーに
5〜15%の割合でシンジオタクチックポリプロピレン
(SPP)を添加した合成樹脂材料によって形成すると
ともに、硬質本体部11を、アイソタクチックポリプロ
ピレン(IPP)に40〜80%のシンジオタクチック
ポリプロピレン(SPP)を添加した合成樹脂材料によ
って一体成形したこと」にその構成上の特徴があり、こ
れにより、軽量化やコスト低減を図りながら、蓋体を構
成している硬質本体部と、その周縁に形成される軟質周
縁部との一体化を確実にすることができ、蓋体の容器本
体に対する嵌合・取外し操作を容易に行うことができ
て、しかも両者の密閉性を向上させることのできる密閉
容器の蓋体10を提供することがでるのである。
【0065】すなわち、本発明に係る蓋体10によれ
ば、少なくとも次のような優れた効果を発揮することが
できるのである。
【0066】(密閉性の確保)本発明に係る蓋体10
を採用した密閉容器は、例えば食品を密閉して収納する
ものであるが、上述したように十分な密閉性を有したも
のとなっており、特に水分の流通を完全に遮断できる性
質・構造のものとすることができるのである。 (型成形の容易化)密閉容器のための本発明に係る蓋
体10は、合成樹脂を材料として、「型」を利用した成
形法を駆使して製造することができ、型成形によるメリ
ットを十分生かすことができて、成形が容易で製造コス
トを安価にすることができる。 (嵌合操作性の向上)本発明に係る蓋体10を採用し
た密閉容器は、手に持って容器本体20に対する蓋体1
0の嵌合、及びその取り外しを行う際に、上記の密閉
性を確保しながら、嵌合操作を簡単に行うことができる
とともに、逆に蓋体10の取り外しも簡単に行えるので
ある。 (物性の二重性)本発明に係る蓋体10は、容器本体
20側に嵌合すべき部分が軟質であるから、上記を達
成することができ、その他の部分を、ある程度の剛性を
有したものとして、の嵌合操作性を良くすることがで
きる。 (コアバック成形法の適用性)上記のように、一つ
の物で部分的に物性を変えようとすると、異なる材料を
使用して成形するのが最もよいが、本発明に係る蓋体1
0は、「コアバック成形法」を簡単に適用することがで
きる。 (界面における密着性の確保)本発明に係る蓋体10
は、容器本体20に対する嵌合や取り外しを強制的に行
わなければならないものであるが、その時の引張力に十
分抗することができて、界面での分離がなされないもの
となっている。 (蓋体の透明性)特に、本発明に係る蓋体10を通し
て容器本体20内に収納した食品の状態がよく見え、そ
の保存状態等の確認を外部から容易に行うことができる
のである。
【図面の簡単な説明】
【図1】上側半分に容器本体の底面を示し、下側半分に
本発明に係る蓋体を示した密閉容器の平面図である。
【図2】左側半分を断面とした密閉容器の正面図であ
る。
【図3】図2の要部拡大断面図である。
【図4】試験片の種類と蓋体からの切り出し位置を示す
平面図である。
【符号の説明】
10 蓋体 11 硬質本体部 12 軟質周縁部 13 嵌合溝 14 指掛け 20 容器本体 21 開口端縁 22 脚部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−52327(JP,A) 特開 平7−304877(JP,A) 特開 平3−212380(JP,A) 特開 平5−97164(JP,A) 実開 昭50−65802(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B65D 43/06 B65D 81/24 C08J 5/00 CES

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 密閉容器を構成する容器本体の開口端縁
    に気密的に嵌合される蓋体を構成して、この蓋体の中央
    部を構成する硬質本体部と、この硬質本体部の周縁に一
    体化されて前記容器本体の開口端縁に嵌合される嵌合溝
    を有した軟質周縁部とからなる蓋体であって、 前記軟質周縁部を、SEPS系のエラストマーに5〜1
    5%の割合でシンジオタクチックポリプロピレンを添加
    した合成樹脂材料によって形成するとともに、 前記硬質本体部を、アイソタクチックポリプロピレンに
    40〜80%のシンジオタクチックポリプロピレンを添
    加した合成樹脂材料によって一体成形したことを特徴と
    する密閉容器の蓋体。
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