JP3190009B2 - 被覆硬質合金 - Google Patents

被覆硬質合金

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、皮膜の密着性に優れ、
結果優れた耐摩耗性を有する被覆硬質合金に関する。
【0002】
【従来の技術】従来はTiN、TiCN等の皮膜が汎用
的かつ一般的であったが、近年、Alを含有させ耐摩耗
性、耐酸化性を向上させる研究がなされ、特公平4−5
3642号公報、特公平5−67705号公報に代表さ
れるようにAlの添加効果を認める事例も種々存在す
る。しかしながら、これらの事例は皮膜にAlを添加す
ることにより、皮膜の耐酸化性、耐摩耗性といった皮膜
そのものの改善が行われたにすぎない。また、TiAl
N皮膜の密着性を改善する方法として、特開平1−25
2304号公報にみられるように、TiN皮膜を下地に
用いることも提案されているが、十分な密着性を得るに
は至っていないのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】最近では、切削を高能
率化する傾向が強く、切削速度ならびに切削送りは増加
する傾向にある。このような場合工具寿命を支配する因
子としては、皮膜の耐摩耗性、耐酸化性よりも皮膜の密
着性が極めて重要なものとなる。前記Alを添加した皮
膜は一般に残留圧縮応力が高く、その結果皮膜の密着性
が十分満足されるものでなく、この様な高能率な切削加
工においては、しばしば皮膜が剥離し工具の寿命、信頼
性を損なう結果となっている。従って、この様な高能率
切削においても、長寿命でかつ安定した切削を実現する
ためには、皮膜の密着性をさらに高める必要がある。一
方、密着性を向上させるために、密着性を劣化させる根
本原因である皮膜の残留圧縮応力そのものを低減させる
研究もなされてはいるが、いまだ十分な効果をみるに至
っていないのが現状である。
【0004】
【課題を解決するための手段】このことは、皮膜に高い
圧縮応力が存在する場合には、皮膜と基体硬質合金の界
面にこの圧縮応力に起因する高い剪断応力が作用し、こ
の剪断応力が皮膜の密着性を損なう要因であり、これを
緩和、もしくは除去することが皮膜の密着性を向上させ
る結果となることを示唆するものである。つまり、高い
圧縮応力を有する皮膜と基体硬質合金の間に比較的軟ら
かい層を介在させることにより、この比較的軟らかい皮
膜が高い圧縮応力に起因して界面に発生する剪断応力を
吸収、緩和したものと考えられる。
【0005】
【本発明の目的】本発明者らは皮膜の密着性を改善すべ
く鋭意研究を重ねた結果、Alを含有する高い圧縮応力
を有する皮膜の下に比較的に軟らかい皮膜を介在させる
ことにより、Alを含有する皮膜の高い圧縮応力は吸収
緩和することにより、皮膜の密着性を著しく改善するこ
とを目的とする。
【0006】
【作用】本発明者らは、この下地として介在させる内層
に対し種々検討した結果Alの含有率の比較的少ないT
iとAlの窒化物、炭窒化物等が極めて密着性の向上に
効果的であり、一般にTiとAlの窒化物、炭窒化物等
においては、Alの含有率が低くなるにしたがい硬さは
軟らかくなる。一方Alの含有率が多くなるにしたがい
圧縮残留応力は増大するが切削性能は向上する傾向にあ
る。従って、この様なAlの含有率の高いTiとAlの
窒化物、炭窒化物等の下地にAlの含有率の比較的低い
TiとAlの窒化物、炭窒化物等を介在させることによ
り切削性能向上のためにコーティングされるAlの含有
率の高いTiとAlの窒化物、炭窒化物層と基体硬質合
金の密着性を著しく向上させることが可能となる。
【0007】また、前述したように、Tiの窒化物等を
下地に用いる事例もあるが、本発明者らの研究によれ
ば、少量のAlを含有させたTiの窒化物等を用いた方
が密着性の向上に対しては格段に優れた効果を発揮する
ことが認められた。これは、基体硬質合金の表面に空気
中に置いておいたときに必ず形成される僅かな酸化層が
存在すると皮膜の密着性は著しく劣化するが、下地とし
て形成される皮膜中にAlが少量存在することによりコ
ーティング開始時に、この酸化層を還元するテルミット
反応が起き酸化層を除去し皮膜の密着性を著しく改善す
る結果をもたらす。これはAlの酸化物は生成自由エネ
ルギーが低く極めて形成されやすいため基体表面の酸化
層の酸素とAlのイオンが反応して皮膜内に酸化物を形
成し、基体表面の酸化層を除去する原理に基くもので
ある。Tiだけの窒化物層等を用いた場合には当然この
反応は起き得ない。
【0008】さらに、これらの皮膜の下により軟らかい
金属層を介在させることにより剪断応力をよりいっそう
緩和させることができる結果を得るに至った。このこと
は、より吸収エネルギーが高く、またヤング率も低く転
位が移動しやすい金属層が歪みエネルギーを吸収するの
により効果的であることに基ずく。この場合、上記下地
として用いるTiとAlの窒化物等の内層と同じ成分の
TiとAlの合金金属層が、内層との密着性において好
ましいものである。尚、この場合のように合金金属層を
下地に用いる場合においても上記テルミット反応が生ず
ることは言うまでもないことである。
【0009】また、剪断応力緩和のために介在させる皮
膜に要求される条件は軟らかいこと、及びテルミット反
応による酸化層の除去だけではなく下地として用いる層
においては、その結晶粒は比較的粗いほうがより応力緩
和に好ましく、またその面粗さは良いほうが密着性その
ものの向上に好ましい結果となることが明らかとなっ
た。この観点において更に研究を加えた結果、硼素の添
加により面粗さが著しく改善されるとともに、結晶粒も
粗くなる傾向にあり皮膜全体の密着性向上に対しより好
ましい結果をもたらすことが確認された。次に、数値を
限定した理由を述べる。
【0010】外層においては、Alの含有率は25%を
下まわると、Alの添加効果が認められず皮膜の耐摩耗
性並びに耐酸化性は向上せず、75%を越えて含有させ
るとAlNとしての特性に近ずき硬さが低下し皮膜の耐
摩耗性を損なう結果となるため、Ti/Al比は75/
25から25/75とした。内層においては、Alの含
有率が2%を下まわるとテルミット反応の効果が少な
く、25%を越えて含有させると圧縮残留応力が高くな
り外層の密着性改善に対する効果が減少するため、Ti
/Al比は 95/5から75/25とした。また、こ
の介在させる内層の厚さは0.05μ以下であると応力
緩和つまり皮膜の密着性の改善に効果がなく、5μを越
えると元来Al含有率の少ないTiとAlの窒化物層等
は耐摩耗性、耐酸化性が悪いため皮膜全体の耐摩耗性、
耐酸化性を損なう結果となるため0.05μから5μと
した。
【0011】また介在させるTiとAlの合金金属層の
厚さは5nm以下では同様に応力緩和つまり皮膜の密着
性の改善に効果がなく、500nmを越えると切削中に
この合金金属層内で塑性変形が発生し、反対に皮膜の密
着性を損なう結果となるため、5nmから500nmと
した。以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明する。
【0012】
【実施例】小型アークイオンプレーティング装置を用い
表1に示す条件において本発明例、比較例のコーティン
グを行いコーティッド超硬エンドミルを試作した。
【0013】
【表1】
【0014】硼素はターゲット金属の中に添加して皮膜
に添加した。また炭素はアセチレンガスを用い添加し
た。この場合外層の膜厚は2.0μに統一した。得られ
たエンドミルで以下の切削諸元にて切削テストを行い、
剥離が発生するまで切削を行った。逃げ面もしくはすく
い面に幅で0.05mm以上の皮膜剥離が発生した時点
の切削長を表1に併記した。切削諸元として、エンドミ
ルは外径φ8mm、6枚刃を用い、被削材はSKD11
(HRC60)、切削速度は40m/min、送り量
0.05mm/刃、軸方向切り込み量12mm、径方向
切り込み量0.8mm、切削油なしで行った。
【0015】表1より明らかなように、Al含有率の少
ないTiとAlの窒化物、炭窒化物層等を下地として介
在させたエンドミルは皮膜の密着性が良好でHRC60
の極めて硬い鋼の切削においても安定な切削を実現する
ものである。
【0016】表2に示すコーテュング条件でP40超硬
インサートに本発明例と比較例のコーティングを行い次
の切削条件にてフライス切削を行い皮膜が剥離するまで
の切削長を求めた。この場合、外層の皮膜の厚さは3.
0μに統一した。切削諸元として、スローアゥエイチッ
プは、SEE42TN型を用い、被削材はSKD61
(HRC42)、切削速度は160m/min、送り量
は0.1mm/刃、切り込み量は2mmで実施した。表
2に剥離発生(欠損)に至るまでの切削長を併記する。
【0017】
【表2】
【0018】表2より明らかなように、Alの含有率の
少ないTiとAlの窒化物層や炭窒化物層等を介在させ
たインサートは皮膜の密着性が良好で HRC42位の
高硬度の鋼のミーリング加工においても極めて安定した
切削を実現するものである。
【0019】次に、表3に示すコーティング条件にてP
40超硬合金に本発明例、並びに比較例に示すコーティ
ングを行い、表2に示した切削評価を行った。本実施例
においても、外層の膜厚は3.0μとした。また合金金
属のコーティングにおいては、窒素ガスの導入を止めて
行った。
【0020】
【表3】
【0021】表3に皮膜に剥離が発生し、欠損に至る寿
命までの切削長を併記したが、合金金属層を介在させる
ことにより、いっそうの寿命の向上が認められることが
明らかである。
【0022】
【発明の効果】上記で説明した如く、切削の高能率化に
対し一刃あたりの送り量が0.4mmを越えるような重
断続切削においても、皮膜の剥離は抑制され、安定した
切削加工の実現が可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 14/00 - 14/58 C23C 16/00 - 16/56 B23B 27/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Ti/Alの原子比率が75/25から2
    5/75のTiとAlの窒化物、炭窒化物、炭窒酸化
    物、窒硼化物、炭窒硼化物の一種以上からなる外層を
    オンプレーティングで被覆した被覆硬質合金であって、
    前記外層と基体硬質合金の間に前記外層の密着性向上層
    としてTi/Alの原子比率が98/2から75/25
    のTiとAlの窒化物、炭窒化物、窒硼化物、炭窒硼化
    物より選ばれた一種の内層を介在させ、且つ、前記外層
    のAl比率を前記内層のAl比率より多くしたことを特
    徴とする被覆硬質合金。
  2. 【請求項2】請求項1記載の被覆硬質合金において、
    内層の層厚が0.05μmから5μmであることを特
    徴とする被覆硬質合金。
  3. 【請求項3】請求項1および2記載の被覆硬質合金にお
    いて、前記基体硬質合金と前記内層の間に層厚で5nm
    から500nmの前記内層と同じ原子比率のTiとAl
    の金属合金層を介在させたことを特徴とする被覆硬質合
    金。
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