本考案は、棺や担架等が載せられる棺台において、棺等が載せられる表面部を構成する部材として透明な板状部材を用いるとともに、その透明な板状部材の側面に対して光を照射し、その光を板状部材の下側で反射させて映り込ませることにより、視覚的に高い演出効果を得ようとするものである。以下、本考案の実施の形態を説明する。
まず、本実施形態に係る棺台1を備えた棺搬送車10の全体構成について、図1を用いて説明する。なお、図1は、本実施形態に係る棺搬送車10の内部の構成を模式的に示す平面図である。図1に示すように、棺搬送車10は、棺や担架等を搬送するための霊柩車や寝台車等として用いられるバン型(ワンボックス型)の車両である。なお、図1における左側が棺搬送車10の前側であり、同図における右側が棺搬送車10の後側である。棺搬送車10は、車両の前部の右側に設けられた運転席2と、車両の前部の左側、つまり運転席2の左側に設けられた助手席3とを備える。助手席3の後方には、後方席4を備える。後方席4は、運転席2および助手席3の後方の車内スペース5において、前部の左側に設けられている。
棺搬送車10は、棺や担架等(以下単に「棺」ともいう。)が載せられる棺台1を備える。棺台1は、運転席2より後方の車内スペース5において、運転席2の後方となる右側の部分に設けられている。棺台1は、平面視(上面視)で略矩形状の外形を有し、その長手方向を車両の前後方向(図1における左右方向)に沿わせて設けられている。
棺台1は、長手方向の寸法として、運転席2より後方の車内スペース5において前後方向の略全体にわたる長さを有する。すなわち、運転席2および助手席3の後方の車内スペース5は、平面視で車両の前後方向を長手方向とする略矩形状をなす空間であり、かかる空間の右半分の略全体を占めるように、棺台1が設けられる。そして、棺台1の前部の左側方に、後方席4が位置する。なお、車内スペース5は、例えば、運転席2および助手席3を前から1列目としてこれらの後方に2列目、3列目と2座席ずつ計4席の既存の座席のうち、後方席4以外の座席、つまり2列目の右側の座席、および3列目の左右の2つの座席が取り外されることにより確保される。
棺台1に対する棺(図示略)の積み降ろしは、棺搬送車10の車両の後側に設けられたバックドア6を上方に開いた状態で、車両の後方開口部から行われる。
[棺台の第1実施形態]
以下、第1実施形態に係る棺台1について、図2から図8を用いて説明する。なお、以下の説明では、上述のとおり棺搬送車10に搭載される本実施形態の棺台1において、その長手方向(図2における左右方向)のうち、棺搬送車10の前側となる側(図2において右側)を前側とし、棺搬送車10の後側となる側(同図左側)を後側とする。また、本実施形態の棺台1において、その平面視形状における短手方向(図2における上下方向、図3における左右方向)を幅方向または左右方向とする。また、図3における左右方向が沿う方向を水平方向とし、図3における上下方向を鉛直方向とする。また、図3は、図2におけるA−A矢視断面図であり、図4は、図3におけるB−B矢視断面図である。棺台1は、棺搬送車10の運転席2より後方の車内スペース5にて、後方席4の右側の側方に設けられる(図1参照)。
本実施形態の棺台1は、略矩形厚板状ないし略直方体状の外形を有する土台部20と、土台部20上に設けられ、棺が載せられる上側の部分である表面部30とを有する。また、本実施形態の棺台1は、部分的に移動可能に設けられた棺台レール40を有する。つまり、棺台1は、車両側(棺搬送車10側)に固定された状態で設けられる基部50に対して相対的に移動する部分として棺台レール40を有する。
棺台レール40は、棺台1の長手方向に沿って移動可能な部分である。棺台レール40は、棺台1の幅方向の中間部において所定の幅を有しながら棺台1の長手方向の後側の所定の範囲にわたって設けられている。
本実施形態では、図2および図6に示すように、棺台レール40は、棺台1の幅方向については、棺台1の全幅の略1/3程度の幅寸法を有し、棺台1の長手方向については、棺台1の全長の略3/4程度の長さ寸法を有する。基部50においては、棺台レール40が収容される空間部分を形成する溝部50aが形成されている(図6参照)。溝部50aは、平面視において棺台レール40の外形寸法に沿う形状・寸法を有する。すなわち、棺台レール40は、溝部50aに収納された状態(図2参照)で、棺台1において基部50とともに平面視で略矩形状の外形を形成し、かかる状態から後方に引き出されることで、後方に突出した状態(図6参照)となる。以下、棺台1が備える各部について詳細に説明する。
土台部20について説明する。土台部20は、車両側(棺搬送車10側)に固定された状態で設けられる。図3から図5に示すように、土台部20は、棺台1の幅方向の両側の縁部にて棺台1の長手方向に沿って配される一対の第1縦枠材21と、棺台1の幅方向に沿って配され一対の第1縦枠材21間に架け渡された状態で設けられる複数の第1横枠材22とを有する。第1縦枠材21および第1横枠材22は、例えばステンレス鋼等の金属製の部材である。
第1縦枠材21は、図3に示すように、L字状の横断面形状を有する直線状の山形鋼(アングル)であり、棺台1の(土台部20の)長手方向の全長に略一致する長さを有する。第1縦枠材21は、横断面形状のL字における一辺側の帯板状の部分であって水平面に沿う横板部21aと、L字における他辺側の帯板状の部分であって鉛直面に沿う縦板部21bとからなる。一対の第1縦枠材21は、横板部21a側を下側として、土台部20の左右両側において横板部21a同士を左右方向の内側に向けて突き合わせる向き、つまり起立した状態となる縦板部21bの横板部21aが突出する側の板面同士を対向させる向きで設けられ、土台部20の左右両側の縁部を構成する。
第1横枠材22は、略矩形状の横断面形状を有する角パイプであり、棺台1の(土台部20の)幅方向の全長に略一致する長さを有する。第1横枠材22は、その長手方向の両端部を左右の第1縦枠材21の横板部21aに載せた状態で、左右の第1縦枠材21間に架設される。第1横枠材22は、第1縦枠材21に対して溶接やボルト等の締結部材等によって固定される。本実施形態では、土台部20において、6本の第1横枠材22が、土台部20の長手方向に所定の間隔を隔てて設けられており、そのうち棺台1の前後方向の両側の第1横枠材22は、一対の第1縦枠材21の端部間に架設されている(図4、図5参照)。
また、土台部20は、棺台レール40を左右両側から支持するための壁面部を構成する一対の第2縦枠材23を有する。第2縦枠材23は、図3に示すように、L字状の横断面形状を有する直線状の山形鋼(アングル)であり、棺台レール40の長手方向の全長に略一致する長さを有し、棺台1において棺台レール40が設けられる範囲に対応して設けられる。第2縦枠材23は、例えばステンレス鋼等の金属製の部材である。
第2縦枠材23は、横断面形状のL字における一辺側の帯板状の部分であって水平面に沿う横板部23aと、L字における他辺側の帯板状の部分であって垂直面に沿う縦板部23bとからなる。一対の第2縦枠材23は、横板部23a側を下側として、横板部23aを左右方向の外側に突出させる向き、つまり起立した状態となる縦板部23bの横板部23aが突出する側と反対側の板面同士を対向させる向きで設けられる。
このように設けられた左右の第2縦枠材23の縦板部23bが、棺台レール40を左右両側から支持するための壁面部となる。第2縦枠材23は、横板部23aを第1横枠材22上に載せた状態で、第1横枠材22に対して溶接やボルト等の締結部材等によって固定される。本実施形態では、第2縦枠材23は、平面視で6本の第1横枠材22のうち後側の3本の第1横枠材22に対して交差するように設けられている(図5参照)。
一対の第2縦枠材23は、縦板部23b間の間隔(左右方向の寸法)が棺台レール40の幅方向の寸法と略同じとなるように設けられる。また、一対の第2縦枠材23の前端部間には、第2縦枠材23の縦板部23bと略同じ幅寸法の帯板状の部材である前壁部材25が、長手方向を左右方向に向けて、かつ板面を前後方向に向けて架設されている。このように土台部20を構成する部材として設けられる一対の第2縦枠材23(の縦板部23b)と、第2縦枠材23の前端部間に架設される前壁部材25とにより、基部50において棺台レール40を収納する溝部50aが形成される。つまり、溝部50aは、一対の第2縦枠材23(の縦板部23b)および前壁部材25によって左右両側および前側の三方の壁面により形成される。
また、土台部20は、平面視で第1横枠材22に重なるように第1横枠材22の上側に設けられる複数の第2横枠材24を有する。第2横枠材24は、略矩形状の横断面形状を有するとともに第1横枠材22と略同じ幅寸法を有する角パイプであり、第1横枠材22に沿って配される。第2横枠材24は、例えばステンレス鋼等の金属製の部材である。
第2横枠材24は、前後方向について棺台レール40が設けられる範囲においては、左右方向について棺台レール40が設けられる範囲の外側の部分に設けられる。具体的には、第2横枠材24は、第1横枠材22の中間部を除く左右の両側の部分に重なるように、各第1横枠材22に対して2本設けられている。詳細には、第2横枠材24は、第1縦枠材21の縦板部21bと第2縦枠材23の縦板部23bとの間に挟まれるように、かつ左右方向の内側の端部を第2縦枠材23の横板部23a上に載せた状態で設けられている。第2横枠材24は、第1縦枠材21の縦板部21bと第2縦枠材23の縦板部23bとの間の間隔に応じた長さを有し、第1縦枠材21および第2縦枠材23に対して溶接やボルト等の締結部材等によって固定される。また、棺台レール40が設けられる範囲よりも前側の部分においては、本実施形態の土台部20が備える前側の3本の第1横枠材22上に設けられる第2横枠材24は、第1横枠材22と一致する長さを有し、各第1横枠材22に対して1本設けられている。
以上のような土台部20を備える棺台1においては、前端部、つまり奥側の端部に、棺台1に乗せられた棺が前方へ移動することを規制する突当て板26が設けられている。突当て板26は、棺台1における棺の載置面よりも上側に突出する板状の部分であり、棺台1の前端部において棺台1の幅方向の全体にわたって設けられている。突当て板26は、例えば、土台部20の前端部において左右方向に沿って配されるL字状の山形鋼の一部によって構成される。
また、土台部20の幅方向の両側、つまり左右両側には、棺台1に載せられる棺の左右方向のずれを規制するためのガイド壁27が設けられている。ガイド壁27は、土台部20の左右両側の縁に沿って立設された板状の部分であり、棺台1における棺の載置面よりも上側に突出する。本実施形態では、ガイド壁27は、第1縦枠材21の縦板部21bの上端部によって構成されている。
次に、棺台レール40の詳細について説明する。上述のとおり棺台レール40は、土台部20を構成する一対の第2縦枠材23の縦板部23b間に支持された状態で設けられる。棺台レール40は、複数の支持部材等によって構成される本体部41と、本体部41に支持される複数のローラ42とを有する。
本体部41は、左右一対のガイド溝フレーム43と、一対のガイド溝フレーム43間に架け渡された状態で設けられる複数の架設板44とを含む。ガイド溝フレーム43は、C字状あるいはコ字状の横断面形状を有する直線状の溝形鋼により構成されており、棺台レール40の長手方向の略全長に一致する長さを有する。ガイド溝フレーム43は、横断面形状において、互いに平行な2辺をなす帯板状の部分である側面部43a,43bと、これら側面部43a,43bの一側の端部同士を繋ぐ帯板状の部分である底面部43cとからなる。そして、一対のガイド溝フレーム43は、底面部43c側を左右方向の内側に向けて、つまり横断面形状のC字形状あるいはコ字形状の開放側を左右方向の外側に向けるように設けられ、棺台レール40の左右両側の縁部を構成する。
ローラ42は、棺台1を構成する表面部30の上面である表面30aに対して上端部を突出させた状態で設けられる。ローラ42は、長手方向を回転軸方向とする円柱状ないし棒状の部材であり、回転軸方向を左右方向として左右のガイド溝フレーム43の底面部43c間に架設された状態で図示せぬ軸支部によって回転自在に支持されている。
本実施形態の棺台レール40においては、5本のローラ42が、棺台レール40の長手方向に適宜間隔をあけて設けられている。このように設けられるローラ42は、棺台1上に載せられた棺の底面に接触し、棺台1上における棺の長手方向に沿う移動をスムーズなものとして棺の搬入・搬出を補助する。
本体部41を構成する架設板44は、矩形板状の部材であり、同じく本体部41を構成するガイド溝フレーム43間において、水平面をなしながら複数のローラ42の間の隙間を適宜の範囲で塞ぐように設けられている。複数の架設板44の一部には、棺台1に載せられた棺が後方へ移動することを規制する所定の後側ストッパ(図示略)を支持するためのストッパ支持孔44aが、前後方向(棺台レール40の長手方向)に所定の間隔を隔てて複数設けられている。本実施形態では、左右方向の中央の位置に9箇所のストッパ支持孔44aが前後方向に沿って一列に並ぶように設けられている。
ストッパ支持孔44aに支持される後側ストッパは、ストッパ支持孔44aに差し込まれる部分と、棺台1上に載せられた棺の後端面に接触する支持面を形成する部分とを有する。このような構成によれば、棺台1上に載せられる棺のサイズに応じて、後側ストッパを差し込むストッパ支持孔44aの選択により、棺の後端の支持位置が調整される。このようにストッパ支持孔44aに差し込まれる後側ストッパは、棺台1の前端に設けられた突当て板26とともに、棺台1上に載せられた棺の前後方向の移動を規制するストッパとして機能する。
棺台レール40は、棺台1に対する棺の積み降ろしに際して、後方(図2において左方)に引き出されるように、水平方向にスライド移動するように設けられている。棺台レール40は、所定のレール構造によって移動可能に支持される。
具体的には、図3に示すように、棺台レール40は、ガイド溝フレーム43をガイドレールとして、このガイド溝フレーム43の溝内に位置する複数のガイドローラ45によって、一対の第2縦枠材23の縦板部23b間において、棺台1の長手方向に沿って水平に移動可能に支持されている。
ガイドローラ45は、円盤状の部材であり、第2縦枠材23の縦板部23bに対して、左右方向(棺台1の幅方向)を回転軸方向とするように、縦板部23bを貫通する軸支部45aによって回転自在に支持されている。ガイドローラ45は、棺台レール40を構成するガイド溝フレーム43の上側の側面部43aの内側(下側)の面に接触した状態で、棺台レール40を支持する。また、図示は省略するが、一部のガイドローラ45は、ガイド溝フレーム43の下側の側面部43bの内側(上側)の面に接触した状態で、棺台レール40を支持する。つまり、ガイドローラ45は、ガイド溝フレーム43に対して上側の側面部43aの下側の面、または下側の側面部43bの上側の面に接触した状態で、棺台レール40の移動にともない回転する。このように、棺台レール40を支持するガイドローラ45として、ガイド溝フレーム43の上側の側面部43aに接触するものと下側の側面部43bに接触するものとを設けることにより、棺台レール40のガタツキを防止することが可能となる。
本実施形態では、ガイドローラ45としては、同軸位置に設けられる左右一対のガイドローラ45が、棺台1の長さ方向に適宜間隔を隔てて9組配設されている。これら9組のガイドローラ45のうちの一部の組が、ガイド溝フレーム43の上側の側面部43aに接触する軸位置に支持され、残りの組が、ガイド溝フレーム43の下側の側面部43bに接触する軸位置に支持される。
また、棺台レール40には、図3に示すように、ガイド溝フレーム43を介したガイドローラ45による支持を補助するための補助ガイドローラ46が設けられている。補助ガイドローラ46は、円盤状の部材であり、ガイド溝フレーム43の下側の側面部43bに対して、上下方向を回転軸方向とするように側面部43bを貫通する軸支部46aによって回転自在に支持されている。
補助ガイドローラ46は、土台部20を構成する第2縦枠材23の縦板部23bの内側の(横板部23aが折れ曲がる側と反対側の)壁面に接触した状態となる。つまり、補助ガイドローラ46は、第2縦枠材23の縦板部23bの内側の壁面に接触した状態で、棺台レール40の移動にともない回転する。補助ガイドローラ46は、例えば、棺台レール40の長手方向についての位置を共通とする左右一対を組として、棺台レール40の長手方向に適宜間隔を隔てて複数組設けられる。
また、棺台レール40の本体部41においては、後端面41aが形成されており、この後端面41aに、棺台レール40を引き出したり押し戻したりするための取手47が設けられている。また、棺台レール40は、基部50の溝部50aに収納された状態(図2参照)、および後端部を基部50よりも後方に突出させるように引き出された状態(図6参照)の各状態で、図示せぬロック機構によりロック(位置が固定)されるように構成されている。そして、各ロック機構は、収納された状態の棺台レール40を引き出す際には、取手47の横に付設された解除ボタン48によりロックが解除され、引き出された状態の棺台レール40を押し戻す際には、棺台レール40の後端面41aに設けられた解除操作部49の操作によりロックが解除されるように構成されている。
以上のような構成の棺台レール40を備える棺台1によれば、棺台レール40の前後方向の移動、およびローラ42の回転によって、棺を滑らせながら、棺台1に対する棺の積み降ろし作業が行われる。
また、本実施形態の棺台1においては、棺台レール40の前方における所定の位置に、棺台レール40のローラ42と同様に棺台1上に載せられた棺の底面に接触して棺の搬入・搬出を補助するローラ28が設けられている。つまり、ローラ28は、移動部である棺台レール40に対して車両側に固定された部分である基部50に設けられている。ローラ28は、棺台レール40のローラ42と同様に、長手方向を回転軸方向とする円柱状ないし棒状の部材であり、棺台1の表面30aに対して上端部を突出させた状態で設けられる。本実施形態では、1つのローラ28が設けられている。
ローラ28は、土台部20において棺台レール40を支持する左右の第2縦枠材23に対して後側に連設される一対の支持フレーム29間に架設された状態で図示せぬ軸支部によって回転自在に支持されている(図5参照)。支持フレーム29は、第2縦枠材23と同様にL字状の横断面形状を有する直線状の山形鋼であり、起立した状態となる帯板状の部分同士を対向させる向きに設けられ、その互いに対向する板状部分間に、ローラ28を回転自在に支持する。
以上のように、本実施形態の棺台1は、棺台1上に載せられる棺の底面に接触するローラとして、棺台レール40に設けられる5本のローラ42、及び基部50に設けられる1本のローラ28の合計6本のローラを有する。これら6本のローラの上端は、所定の仮想平面に位置し、この仮想平面の高さ位置が、棺台1における棺の載置面の高さ位置となる。
以上のように、本実施形態の棺台1は、棺搬送車10側に固定された状態で設けられる基部50と、基部50に対してレール構造によって水平方向にスライド移動可能に設けられた移動部としての棺台レール40とを有し、棺台レール40が溝部50aに収納された状態で、基部50および棺台レール40によって平面視で略矩形状の外形をなす。そして、棺台レール40は、略矩形状である棺台1の平面視外形における短手方向の中間部において所定の幅を有しながら棺台1の平面視外形の長手方向の中途部までの範囲を占めるように設けられるとともに、水平方向のスライド移動によって棺台1の平面視外形の長手方向の一側(後側)から突出するように設けられている。
このような構成を備える棺台1においては、表面部30のうち基部50の部分は、図2に示すように、棺台レール40の左右両側の部分であって前後方向を長手方向とする矩形状の部分である左右側部30xと、棺台レール40よりも前側の部分であって矩形状の部分である前部30yとを有し、これら左右側部30xおよび前部30yにより平面視でU字形状ないしコ字形状をなす。このような形状をなす基部50の表面部30は、その平面視形状に沿う複数の板状部材あるいはシート状部材の積層構造(以下「表面部積層構造」という。)により構成されている。つまり、本実施形態の棺台1において、表面部積層構造は、平面視で前後方向を長手方向とする長方形状の外形をなす棺台レール40を除いた、平面視でU字形状ないしコ字形状となる部分の表面部30を構成する。
棺台1が備える表面部積層構造について説明する。表面部積層構造は、下から順に、積層合板31、化粧板32、透明板33が積層された構造である。これらの積層合板31、化粧板32、および透明板33は、平面視で相重なるように略同じ平面視形状および寸法を有する。具体的には、積層合板31、化粧板32、および透明板33は、基部50の表面部30の平面視形状に沿うように、左右側部30xおよび前部30yのそれぞれに対応する部分を有し、平面視でU字状ないしコ字状をなす形状を有する。積層合板31、化粧板32、および透明板33は、例えばこれらを板厚方向に貫通するボルト等の締結具53等によって積層された状態で互いに固定される(図3参照)。
積層合板31は、例えば、木製の単板が積層・接着されたいわゆる単板積層材である。積層合板31の厚さは、例えば12mm程度である。積層合板31は、棺台1の土台部20を構成する複数の第2横枠材24上に載置固定された状態で設けられる。
透明板33は、例えば、透明な強化アクリル板である。透明板33の厚さは、積層合板31よりも薄く、例えば5mm程度である。透明板33は、積層合板31上に化粧板32を介して設けられる。
本実施形態の棺台1において、透明板33は、棺が載せられる上側の表面部30を構成するとともに、所定の水平面として表面部30の表面30aをなす透明板部を構成する部材である。なお、透明板33としては、所望の強度を有する透明な板状部材であれば、強化アクリル板に限定されることなく、他の樹脂材料や強化ガラス等からなる板状部材であってもよい。
化粧板32は、積層合板31と透明板33との間に介装される。化粧板32は、例えば、フェノール樹脂等の基材の表面に、高圧メラミン層や、アルミ・ステンレス・銅等の金属箔を積層した高圧メラミン化粧板やメタル化粧板等と称されるものである。化粧板32は、高圧メラミン層や金属箔が積層された表面側を反射面32aとし、その反射面32a側を上側(透明板33側)として設けられる。反射面32aは、金属面や鏡面等として形成される。化粧板32の厚さは、積層合板31および透明板33よりも薄く、例えば1mm程度である。化粧板32は、例えば、透明板33の下側の面に接着剤等によって張り付けられて設けられる。
また、表面部積層構造には、上述したように棺台レール40の前方に設けられるローラ28を棺台1の表面側に露出させるための開口部30tが形成されている。開口部30tは、表面部積層構造を構成する積層合板31、化粧板32、および透明板33の各板におけるローラ28の配置に対応する位置に形成された開口により形成される。
以上のように積層合板31、化粧板32、および透明板33の3層からなる表面部積層構造は、棺台レール40が収納される溝部50aの周囲、および棺台1の左右方向の両外側において、土台部20を構成する部材との間に所定の隙間を形成する。具体的には次のとおりである。
表面部積層構造は、棺台レール40が収納される溝部50aの周囲における隙間として、溝部50aを形成する第2縦枠材23の縦板部23bの上端部、および前壁部材25の上端部との間に隙間51を形成する(図3参照)。この隙間51は、溝部50aの平面視形状に沿うように配された帯板状の板状部材であるフラットバー52により上側から覆われている。フラットバー52は、その一部が表面部積層構造の上面、つまり表面部30の表面30aとなる透明板33の上面33aに重なるように設けられており、表面部積層構造を貫通する締結具53により表面部積層構造に固定されている。
また、表面部積層構造は、その左右両側の側面30sに対向する第1縦枠材21の縦板部21bの内側面21cとの間に隙間を形成する。かかる隙間は、被覆材54によって上側から覆われることで、棺台1の長手方向の全体に渡る縁部空間55を形成する。被覆材54は、L字状の横断面形状を有する直線状の山形鋼(アングル)であり、棺台1の(土台部20の)長手方向の全長に略一致する長さを有する。被覆材54は、例えばプラスチック等の樹脂製やステンレス鋼等の金属製の部材である。
被覆材54は、横断面形状のL字における一辺側の帯板状の部分であって水平面に沿う横板部54aと、L字における他辺側の帯板状の部分であって鉛直面に沿う縦板部54bとからなる。被覆材54は、横板部54a側を下側として、縦板部54bを第1縦枠材21の縦板部21bの内側面21cに沿わせた状態で、表面部積層構造の側面30sと第1縦枠材21の内側面21cとの間の隙間を上側から覆う。被覆材54は、縦板部54bの部分が第1縦枠材21の縦板部21bの部分に対してボルト等の締結具56等によって固定されることで、第1縦枠材21に支持される。
したがって、棺台1の表面部30において左右両外側の辺部に沿う縁部空間55を形成する面には、表面部積層構造の外側の側面30sと、第1縦枠材21の縦板部21bの内側面21cと、被覆材54の横板部54aの下側面54cと、複数の第2横枠材24の上面24aとが含まれる(図7参照)。ただし、第2横枠材24の上面24aは、縁部空間55に対して棺台1の長手方向について複数箇所で部分的に面する。
以上のように棺台1の表面側の左右両外側に設けられた縁部空間55内に、LED(Light Emitting Diode)ライト60が設けられている。LEDライト60としては、縁部空間55の長手方向の全体にわたって適宜間隔を隔てて配置される複数の光源が設けられる。
LEDライト60は、縁部空間55に面する表面部積層構造の外側の側面30s、特に側面30sを形成する透明板33の側面33sに向けて光を照射するように設けられる。LEDライト60は、縁部空間55に面する被覆材54の下側面54cや第1縦枠材21の内側面21cに対して例えばボルト等の締結具を用いた方法等の適宜の方法によって固定されることで、縁部空間55内において所定の位置に支持される。LEDライト60は、図示せぬ所定の電源から電気の供給を受けて点灯する。
このように表面部積層構造の左右両外側において形成される縁部空間55に設けられるLEDライト60が、本実施形態の棺台1において、透明板33の側方に設けられ、透明板33の側面33sに向けて光を照射する光源部である。
本実施形態では、光源部であるLEDライト60として、帯状の基材61に複数の光源62が配設されたテープライト(LEDテープライト)が用いられている。LEDテープライトは、例えば、一または複数のLEDが装着された数ミリ角のLEDチップ(光源62)が、幅1cm程度のテープ状の基盤である基材61に所定のピッチで多数配設され、電源に接続されるリード線が所定の位置に設けられた構造を有する。このようなLEDテープライトが、縁部空間55内において、その長手方向(棺台1の長手方向)の略全範囲にわたって、光の照射面側を表面部積層構造の側面30s側に向けて、光源62を透明板33の側面33sに対向させるように設けられている。なお、LEDライト60としては、LEDテープライトに限らず、表面部積層構造を構成する透明板33の側方において配設される複数のLED等の光源であってもよい。
また、本実施形態では、LEDライト60は、表面部積層構造の左右外側の側方に設けられているが、これに限定されず、例えば、棺台レール40が収納される溝部50aの周囲に沿うように隙間51内に設けられたり、表面積層構造の前側あるいは後側の辺部に沿うように適宜空間を形成してその空間内に設けられたりしてもよい。つまり、LEDライト60は、表面部積層構造を構成する透明板33の左右両外側、内側(溝部50aの形状に沿う側)、前側、後側の少なくともいずれかの側面に向けて光を照射することができる適宜の位置に設けられる。
以上のような構成を備える本実施形態の棺台1において得られる作用・効果について説明する。本実施形態の棺台1において、LEDライト60が点灯されると、透明板33の側面33sから入射したLEDライト60の光は、透明板33内を透過・屈折して化粧板32の反射面32aにより反射されて反射面32aに映り込んだ状態となる。これにより、図8に示すように、基部50の表面部30においては、LEDライト60の各光源が映り込んだ反射像60a(図において白抜き部分で示す)が形成されるとともに、表面部30の表面30aつまり透明板33の上面33aが全体的に光る状態が得られる。かかる状態によれば、棺台1の表面部30において深さ方向(下向きの方向)に奥行きがあるような視覚的な効果が得られる。
このように、本実施形態の棺台1においては、表面部積層構造を構成する化粧板32は、透明板部としての透明板33の下側に設けられ、透明板33を透過したLEDライト60からの光を反射させる反射面32aを形成する反射面部として機能する。
以上のような構成を備える本実施形態の棺台1によれば、比較的シンプルな構成でコストをあまりかけることなく、棺台1および棺台1が搭載された車両内(棺搬送車10内)において視覚的に高い演出効果を得ることができる。特に、棺台1が霊柩車としての棺搬送車10に搭載される場合、LEDライト60が映り込んだ反射像60aや透明板33の上面33a(表面部30の表面30a)の全体的な発光等による光と闇の視覚的な効果によって、死者を弔う際に相応しい荘厳で幻想的な雰囲気を演出することが可能となる。
また、本実施形態の棺台1においては、LEDライト60は、帯状の基材61に複数の光源62が配設されたテープライトであり、透明板33の側面33sに対向するように設けられている。このような構成を採用することにより、安価で簡単な構成によって、透明板33の側面33sに沿って複数の光源を所定の間隔で配設することが容易に可能となる。また、LEDテープライトとして、例えば、複数の光源62を所定のタイミングで点滅させたり経時的に光を変色させたりといった発光の制御が可能なものを採用することで、より高い演出効果を得ることができる。この場合、LEDテープライトのリード線が上記のような発光の制御を行うための制御部および電源部に接続されることになる。
また、本実施形態の棺台1は、上述したように透明板33により表面部30が構成される基部50と、基部50に対してスライド移動可能に設けられた移動部としての棺台レール40とを有するとともに、基部50および(溝部50aに収納された状態の)棺台レール40によって平面視で略矩形状の外形をなす。そして、棺台レール40が、棺台1の略矩形状の平面視外形における短手方向の中間部において所定の幅を有しながら同平面視外形の長手方向の中途部までの範囲を占めるように設けられている。
このような構成によれば、例えば棺台レールが棺台の長手方向の略全体の範囲にわたって設けられている構成と比べて、基部50における表面部30の表面30aの面積を大きくすることが可能となる。つまり、棺台レール40が棺台1の前端から表面部30の前部30yを隔てた位置から後側に設けられているため、上記構成と比べて、前部30yが存在する分、表面部30の表面30aの面積が大きくなる。これにより、上述したような視覚的な効果を発揮する部分を広くすることができるので、棺台1全体としてより高い演出効果を得ることが可能となる。
[棺台の第2実施形態]
棺台の第2実施形態について、図9および図10を用いて説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については同一の符号を用いて適宜説明を省略する。なお、図10(a)は本実施形態に係る表面部積層構造の分解斜視図であり、同図(b)は本実施形態に係る棺台の作用についての説明図である。
図9および図10に示すように、本実施形態の棺台においては、透明板33と化粧板32との間に、所定の模様81が描かれた装飾部材80が介装されている。装飾部材80は、模様81が描かれた面が上側(透明板33側)となるように設けられる。
装飾部材80は、例えば、一側の面に模様81が描かれたステッカー等のシート状の部材であり、化粧板32の上側の面である反射面32aに張り付けられて設けられる。装飾部材80は、表面部積層構造の全体においてLEDライト60からの光の化粧板32の反射面32aへの映り込みを妨げることがないように設けられる。したがって、装飾部材80としては、模様81以外の部分が透明なものや、模様81の形状に沿ったシート形状のものや、模様81の部分においても光を透過させるもの等が適宜採用される。
このように表面部積層構造において透明板33と化粧板32との間に装飾部材80が介装された構成によれば、図10(b)に示すように、LEDライト60からの光によって反射像60aが形成されるとともに透明板33が全体的に光ることで、透明板33の表面部に模様81を浮かび上がらせることができる。これにより、外観意匠性の向上を図ることができ、より高い演出効果を得ることができる。ここで、例えば、装飾部材80として、模様81を蛍光塗料や発光塗料等によって形成したものを採用することで、LEDライト60からの光の作用によって模様81を際立たせることが可能となり、さらに高い演出効果が期待できる。
なお、上述した実施形態に係る棺台1は、車両側に固定される基部50に対して移動可能な棺台レール40を備える構成であるが、これに限定されず、棺台レール40を備えない構成であってもよい。この場合、棺台の表面部30を構成する表面部積層構造は、棺台の全体的な平面視形状と同様に略矩形状の平面視形状をなすことになる。