JP3189658U - 杖 - Google Patents
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Abstract
【課題】シャフト部のインナーパイプとアウターパイプの密着性を高め、シャフト部の軸と直交方向からの力に対して耐衝撃性に優れた十分な強度を有し、軽量で、耐久性、高い剛性を備え、しかも使用性に優れる杖を提供する。【解決手段】シャフト部4とこのシャフト部4の上端に設けたグリップ部とを有し、前記シャフト部が高強度繊維強化樹脂を用いて形成してあり、このシャフト部が、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分14からなり、互いに隣接するシャフト部分は、一方のシャフト部分の第1連結端部21に、これに対向する他方のシャフト部分の第2連結端部22内へ挿抜可能な小径部9が設けてあり、他端の内部へ他方の連結端部を挿抜可能に構成してある杖7において、上記の挿抜可能な小径部9の外側に、樹脂コーティング層19を形成してある。【選択図】図3
Description
本考案は、視覚障害者用白杖などの杖に関し、さらに詳しくは、シャフト部の軸と直交方向からの力に対して耐衝撃性に優れた十分な強度を有し、軽量で、耐久性と高い剛性を備え、しかもガタツキの発生が抑制された杖に関する。
従来、杖は、ステッキやポールとも称され、視覚障害者や、高齢者等の足の不自由な人のみならず、健常者においてもトレッキングや軽登山等において使用されている。このような杖は、通常、棒状のシャフト部と、シャフト部の上端に形成され使用者にて把持されるグリップ部と、シャフト部の下端に付設された石突きとを備えている。これら従来の杖は、構造的に多少の違いはあるものの、それらの殆どが、木製やアルミニウム合金等の材質から成っている。
しかしながら、例えば視覚障害者が使用する、いわゆる白杖にあっては、長時間に亘って、先端を地面から僅かに持ち上げた状態で使用されることが多く、軽量化が望まれるのに対し、従来の木製の杖にあっては重量が重く、使用者の負担が大きい問題がある。さらにこの木製の杖は強度的にも問題があるうえ、環境の変化によって膨潤と乾燥が繰り返されて、シャフト部に反りが生じたり、表面の塗料が剥がれたりする問題がある。また前記アルミニウム合金製の杖においては、木製の杖に比して軽量化されてはいるものの、長時間の使用には依然として重く、しかも衝撃によって凹みや曲がりが生じ易い問題がある。
一方、最近では、シャフト部を炭素繊維強化樹脂材料にて構成された杖が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。このようなシャフト部を有する杖においては、前記従来の木製やアルミニウム合金製の杖に比べて軽量化されており、反りや腐食の問題が解消されている。
しかしながら、特許文献1に記載の杖においても、従来の木製やアルミニウム合金製等の杖よりも軽量化されたとはいえ、特に視覚障害者等にとっては未だ長時間の使用に耐えうるほど軽量とはいえず、更なる軽量化が望まれている。
また、上記したシャフト部を炭素繊維強化樹脂材料にて構成された杖は、炭素繊維が高引張強度・高弾性率であるので、例えばゴルフシャフトに適用されているように、曲げ弾性率が高いものとなる。しかしながら、炭素繊維は伸びが小さく、無機繊維であるが故のしなやかさが無いことから、シャフト部に対する横方向からの衝撃(曲げ衝撃)に対して折損し易いという欠点がある。そのため、これを用いた杖にあっては、歩行路面や障害物の状況を探るため頻繁にこれらを叩く作業が入るので、その叩いた時の衝撃力が石突きを通してシャフト部に伝搬し、上記の炭素繊維に微小クラック(亀裂)を発生させると推測される。従って、この杖に、人や自転車、その他障害物との接触等による外力が加わったとき、上記の亀裂が発生している部分で容易に破断するという問題がある。そのため、シャフト部の軸と直交する、横方向からの力が加わった場合にも、十分な強度(曲げ剛性)を有する杖の開発が望まれている。
さらに、上記したシャフト部を炭素繊維強化樹脂材料にて構成された杖は、衝撃等を受けて破断するとその断面で激しく損傷し、その破断面から硬い繊維の端部がトゲのように突出する場合がある。その破断位置や損傷程度は、例えば視覚障害者にあっては手探りで確認しなければならないので、その破断面から露出している繊維が使用者の手に刺さる虞がある。このため上記の杖は、衝撃等を受けても容易に破断しないように肉厚を厚くするなどの対策が必要となるが、これでは杖の重量が大きくなる問題がある。また、破断個所が激しく損傷することから、現場での簡易補修が困難であるという補修性の問題もあり、現場において簡易補修可能な杖の開発が望まれていた。
上記の問題点を解消するため、例えばパラ系アラミド繊維とエポキシ樹脂などからなる高強度有機繊維強化樹脂を用いて上記のシャフト部を形成することが考えられる。しかしながら、上記のシャフト部を高強度有機繊維強化樹脂で形成した場合には、耐衝撃性に優れるものの、炭素繊維強化樹脂を用いた場合に比べて剛性が低下することから、例えば杖先での振動等が使用者の手元へ鋭敏に伝わり難い場合がある。これを解消するため高強度有機繊維強化樹脂層を厚く形成して剛性を高めようとすると、シャフト部が太くなり、使用樹脂量が増えて杖の重量が過剰に大きくなる問題がある。
そこで、シャフト部が、高強度有機繊維強化樹脂層と炭素繊維強化樹脂層とを備え、炭素繊維強化樹脂層は、少なくともその外周面に高強度有機繊維強化樹脂層が一体的に積層してあり、内側にガラス繊維強化樹脂層を備える杖を提案した(例えば、特許文献2を参照)。この杖のシャフト部は、中空であり、図3に示すように、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分(14)からなり、互いに隣接するシャフト部分(14)は、一方のシャフト部分(14)の第1連結端部(21)に、これに対向する他方のシャフト部(4)の第2連結端部(アウターパイプ)(22)内へ挿抜可能な小径部(インナーパイプ)(9)を設け、他端の内部へ他方の連結端部を挿抜可能に構成してある。
しかしながら、上記のシャフト部分を連結した杖は、インナーパイプとアウターパイプが各製造規格をクリアーしていても、微妙な誤差によってガタツキが発生することがある。特に白杖にあっては、歩行路面や障害物の状況を探るため頻繁にこれらを叩く作業が入るので、その叩いた時の衝撃力で、アウターパイプの内面がえぐれ(図1を参照)、その結果、インナーパイプとの連結部に隙間が発生し、使用とともにガタツキ発生の頻度が高くなる。
本考案の課題は、上記の問題点を解消し、シャフト部の軸と直交方向からの力に対して耐衝撃性に優れた十分な強度を有し、軽量で、耐久性、高い剛性を備える杖であって、しかもシャフト部のインナーパイプとアウターパイプの密着性が高く、使用時のガタツキを抑制することができる杖を提供することにある。
本考案は上記の課題を解決するために、例えば本考案の実施の形態を示す図1〜図5に基づいて説明すると、次のように構成したものである。
すなわち、本考案は杖に関し、シャフト部(4)とこのシャフト部(4)の上端に設けたグリップ部(1)とを有し、前記シャフト部が高強度繊維強化樹脂を用いて形成してあり、このシャフト部が、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分(14)からなり、互いに隣接するシャフト部分は、一方のシャフト部分の第1連結端部(21)に、これに対向する他方のシャフト部分の第2連結端部(22)内へ挿抜可能な小径部(9)が設けてあり、他端の内部へ他方の連結端部を挿抜可能に構成してある杖(7)において、上記の挿抜可能な小径部(9)の外側に、樹脂コーティング層(19)を形成してあることを特徴とする。
すなわち、本考案は杖に関し、シャフト部(4)とこのシャフト部(4)の上端に設けたグリップ部(1)とを有し、前記シャフト部が高強度繊維強化樹脂を用いて形成してあり、このシャフト部が、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分(14)からなり、互いに隣接するシャフト部分は、一方のシャフト部分の第1連結端部(21)に、これに対向する他方のシャフト部分の第2連結端部(22)内へ挿抜可能な小径部(9)が設けてあり、他端の内部へ他方の連結端部を挿抜可能に構成してある杖(7)において、上記の挿抜可能な小径部(9)の外側に、樹脂コーティング層(19)を形成してあることを特徴とする。
小径部(インナーパイプ)の外側に形成した上記の樹脂コーティング層は、杖の使用によって生じた小径部のえぐれ、或いは、製造時に生じ得る小径部(インナーパイプ)の外径と第2連結端部(アウターパイプ)の内径との微妙なズレ等を修正するので、使用時における杖のガタツキの発生が抑制される。
樹脂コーティング層(19)を形成する樹脂は、製膜時間が短い樹脂であれば、特に限定はされないが、ポリウレタン樹脂は硬化時間が短く、塗膜が弾性を有しており好ましい。樹脂コーティング層(19)は、挿抜可能な小径部の外側に樹脂コーティング剤を塗布した後、塗膜を硬化・乾燥させるだけで、簡単に形成することができる。さらに、樹脂コーティング層(19)の外側に、シリコーングリース等の潤滑層を形成してあると、上記のインナーパイプとアウターパイプとの連結が容易である。
上記のシャフトを構成する高強度有機繊維強化樹脂に用いられる有機繊維は、軽量で且つ高い引張強度を備えており、しかも炭素繊維等の無機繊維に比べて伸度があるので、例えば杖の先端で地面等を叩いても、その衝撃で有機繊維に微小クラックを発生させる虞がない。しかも上記のシャフト部や筒体が軸直交方向から衝撃(曲げ衝撃)を受けても、高強度有機繊維強化樹脂層は破断することなく座屈状に変形し、この衝撃が緩衝される。
上記のシャフト部が備える炭素繊維強化樹脂層は、炭素繊維が有機繊維に比べて弾性率が高いことから高い剛性を備えており、上記の高強度有機繊維強化樹脂層を過剰に厚く形成する必要がない。上記の炭素繊維は、曲げ衝撃に対して折損し易いものの、上記の炭素繊維強化樹脂層はその外周面に高強度有機繊維強化樹脂層が一体的に積層してあるので、シャフト部が軸直交方向から衝撃をうけて炭素繊維が仮に折損しても、炭素繊維強化樹脂層が高強度有機繊維強化樹脂層で保護され、シャフト部は座屈変形するだけで、激しく破断することが防止され、しかも折損した炭素繊維がトゲ状に突出することが防止される。
上記の炭素繊維強化樹脂層は、少なくとも外周面に高強度有機繊維強化樹脂層が一体的に積層してあればよいが、その外周面と内周面とにそれぞれ上記の高強度有機繊維強化樹脂層が一体的に積層してあると、この炭素繊維強化樹脂層が内外の高強度有機繊維強化樹脂層で挟持された状態となり、これらの高強度有機繊維強化樹脂層で一層良好に保護されてシャフト部や筒体の破断が防止され、好ましい。
上記のシャフト部は、上記の炭素繊維強化樹脂層と高強度有機繊維強化樹脂層とを、1層ずつ備えていればよく、最も内側にガラス繊維強化樹脂層を備えると、内面の耐摩耗性を良好にできるうえ、このシャフト部を所定長さ等に切断する際、切断端部の内面で繊維がほぐれることを防止でき、この切断端部の形状を良好にできて好ましい。
上記のシャフト部は、特定の断面形状のものに限定されず、異形断面状であってもよいが、真円断面状であるとより好ましい。異形断面状としては、例えば、楕円状、X断面状、Y断面状、T断面状、L断面状、星型断面状、葉形断面状(例えば三つ葉形状、四葉形状、五葉形状等)、その他の多角断面状(例えば三角状、四角状、五角状、六角状等)等であってもよい。
上記のシャフト部は、杖の軽量化の点から、中空に形成され、中空部とその周囲の外殻部とからなるものが好ましい。このシャフト部の軸直交断面において、上記の中空部と前記外殻部との断面積比率は、本考案の効果を妨げない限り特定の値に限定されないが、軸直交方向からの力に対して十分な強度を有し、かつ長時間の使用にも耐えられるほど軽量である点から、その断面積比率は85:15〜56:44が好ましく、さらにより優れた安全性および補修性も有する点から80:20〜60:40であるとより好ましく、75:25〜62:38であると特に好ましい。シャフト部全体に対する中空部の断面積比率が56%未満であると、杖を十分に軽量化できないうえ、シャフト部が硬くなり過ぎて長時間使用すれば疲れやすくなる。一方、シャフト部全体に対する中空部の断面積比率が85%を超えると、杖が軽量になり過ぎ、かつ、軸直交方向からの力に対する強度が十分でなくなる。
即ち上記のシャフト部を、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分から構成し、互いに隣接するシャフト部分の、一方のシャフト部分の第1連結端部に、これに対向する他方のシャフト部の第2連結端部内へ挿抜可能な小径部を設けることで、いわゆる折り畳み式杖にすることができる。このときのシャフト部分の数、即ち折り畳み段数は、特定の値に限定されず、杖の長さと携帯時の寸法とから、例えば5段〜7段など、任意の段数に適宜設定される。
なお、上記の小径部は、シャフト部分とは別々に製造されて、接着剤により接着されていてもよく、シャフト部分の連結端部に一体に形成したものであってもよい。前記の接着剤は、公知の物を使用することができ、特に限定されない。上記の杖は、上記のシャフト部を複数のシャフト部分から構成した折り畳み式の杖の場合は、不使用時に杖を折り畳んでコンパクトにでき、容易に携帯できるので好ましい。
本考案は上記のように構成され作用することから、次の効果を奏する。
(1)他方のシャフト部分の連結端部内へ挿抜可能な小径部の外側に、樹脂コーティング層を形成しているので、使用時における杖のガタツキが抑制される。例えば使用中にガタツキが生じた際には、例えば市販のコーティング剤等を用いて簡単にコーティング層を形成でき、これによりその杖等を継続して使用することができる。
(2)高強度有機繊維強化樹脂層を備えているので、杖の先端で地面や障害物等を叩いても、その衝撃で高強度有機繊維に微小クラックを発生させる虞がなく、耐久性に優れる。
(3)軽量の高強度有機繊維強化樹脂層と高い剛性の炭素繊維強化樹脂層とを組み合わせてあるので、シャフト部は高い強度を備えているうえ、高強度有機繊維強化樹脂層を過剰に厚くする必要がなく、軽量に維持することができる。
(4)軸直交方向から大きな曲げ衝撃を受けても高強度有機繊維強化樹脂層が座屈変形することでその衝撃を緩衝でき、耐衝撃性等の機械的強度において優れた性能を発揮して、シャフト部の破断を良好に防止できる。
(5)軸直交方向から大きな曲げ衝撃を受けて炭素繊維が折損しても、炭素繊維強化樹脂層は外周面に一体化した高強度有機繊維強化樹脂層で保護され、激しく破断することが防止される。また、上記の曲げ衝撃を受けた部位で、折損した炭素繊維がトゲ状に突出することが防止される。この結果、例えば視覚障害者等は、この衝撃をうけて損傷した部位を手探り等で安全に確認することができる。
(2)高強度有機繊維強化樹脂層を備えているので、杖の先端で地面や障害物等を叩いても、その衝撃で高強度有機繊維に微小クラックを発生させる虞がなく、耐久性に優れる。
(3)軽量の高強度有機繊維強化樹脂層と高い剛性の炭素繊維強化樹脂層とを組み合わせてあるので、シャフト部は高い強度を備えているうえ、高強度有機繊維強化樹脂層を過剰に厚くする必要がなく、軽量に維持することができる。
(4)軸直交方向から大きな曲げ衝撃を受けても高強度有機繊維強化樹脂層が座屈変形することでその衝撃を緩衝でき、耐衝撃性等の機械的強度において優れた性能を発揮して、シャフト部の破断を良好に防止できる。
(5)軸直交方向から大きな曲げ衝撃を受けて炭素繊維が折損しても、炭素繊維強化樹脂層は外周面に一体化した高強度有機繊維強化樹脂層で保護され、激しく破断することが防止される。また、上記の曲げ衝撃を受けた部位で、折損した炭素繊維がトゲ状に突出することが防止される。この結果、例えば視覚障害者等は、この衝撃をうけて損傷した部位を手探り等で安全に確認することができる。
以下、図面に基づいて本考案を具体的に説明する。
図2に示すように、この考案の実施形態の杖(7)は、シャフト部(4)と、このシャフト部(4)の上端に設けたグリップ部(1)と、シャフト部(4)の下端に固設した石突き(6)とを有している。
図2に示すように、この考案の実施形態の杖(7)は、シャフト部(4)と、このシャフト部(4)の上端に設けたグリップ部(1)と、シャフト部(4)の下端に固設した石突き(6)とを有している。
図2(b)に示すように、上記のシャフト部(4)は、高強度有機繊維強化樹脂層(31)と炭素繊維強化樹脂層(32)とガラス繊維強化樹脂層(33)とを備えている。
即ち、上記の炭素繊維強化樹脂層(32)は、その外周面に高強度有機繊維強化樹脂層(31)が一体的に積層してあり、該炭素繊維強化樹脂層(32)の内周面に筒状のガラス繊維強化樹脂層(33)が一体的に積層してある。
上記の高強度有機繊維強化樹脂層(31)の外周面には、表示層として白色の反射テープや赤色表示テープを貼着することができる。また、この表示層の外側を耐摩耗性透明樹脂層で覆うこともできる。この耐摩耗性透明樹脂層は、表示層を効果的に保護できる、耐摩耗性や耐水性等に優れたものであればよく、特定の材質のものに限定されない。
上記のシャフト部(4)の軸直交断面における、中空部(17)とその周囲の外殻部(18)との断面積比率は特定の比率に限定されないが、軸方向と直交方向からの力に対して十分な強度と剛性を有し、且つ長時間の使用に耐えられるほど軽量である点から、通常、85:15〜56:44の範囲で、より好ましくは80:20〜60:40の範囲内で、さらに好ましくは75:25〜62:38の範囲内で、適宜設定される。
上記のシャフト部(4)は、例えば杖(7)の使用者に自転車がぶつかった場合など、軸直交方向に衝撃を受けた場合にも、容易に破断せぬように、その軸直交方向の力に対する耐衝撃性は10J以上の衝撃吸収エネルギーのものが好ましく、安全性および補修性により優れる点から15J以上のものがより好ましい。なおこの耐衝撃性は、インストロン社の落錘型衝撃試験機(製品名:落錘型衝撃試験機 Dynatup(登録商標)9200シリーズ)等を用いて、JIS K 7055に記載の三点曲げ落錘試験法に準じて測定できる。
上記のシャフト部(4)を構成する高強度有機繊維強化樹脂層(31)は、公知の方法によって製造できる。即ち、例えばパラ系アラミド繊維などの高強度有機繊維に、エポキシ樹脂などの樹脂を含浸させて所定の円筒状に成形し、これを例えば、室温〜130℃程度で加熱して樹脂を硬化させた後、所定の長さに切断することで製造される。上記の炭素繊維強化樹脂層(32)やガラス繊維強化樹脂層(33)も同様に製造される。
なお、上記の高強度有機繊維強化樹脂層(31)を構成する有機繊維は、引張強度など機械的強度などが高い有機繊維であればよく、特定の材質のものに限定されない。例えば超高分子量ポリエチレン繊維、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ヘテロ環高性能繊維、ポリアセタール繊維など、任意のものを単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また上記の炭素繊維強化樹脂層(32)を構成する炭素繊維としては、例えばポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。また上記のガラス繊維強化樹脂層(33)を構成するガラス繊維としては、例えば含アルカリガラス繊維、無アルカリガラス繊維、低誘電ガラス繊維等が挙げられる。但し本考案に用いる有機繊維や炭素繊維、ガラス繊維は、これらのものに限定されない。
なお、上記の超高分子量ポリエチレン繊維とは、超高分子量ポリエチレンからなる繊維をいい、(公序良俗違反につき、不掲載)等の市販品を用いてもよい。
上記の全芳香族ポリアミド繊維としては、例えば、アラミド繊維等が挙げられる。アラミド繊維としては、パラ系アラミド繊維が好ましい。前記パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(公序良俗違反につき、不掲載)又はコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(公序良俗違反につき、不掲載)等が挙げられる。
上記の全芳香族ポリエステル繊維としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリエステル、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステル、又はパラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステルからなる繊維等が挙げられる。全芳香族ポリエステル繊維は、公知又はそれに準ずる方法で製造でき、また、例えば(公序良俗違反につき、不掲載)等の市販品を用いることもできる。
前記ヘテロ環高性能繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)繊維、又はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等が挙げられる。ヘテロ環高性能繊維は、公知又はそれに準ずる方法で製造でき、また、例えば(公序良俗違反につき、不掲載)等のPBO繊維等を用いることもできる。
前記ポリアセタール繊維としては、例えば、(公序良俗違反につき、不掲載)等の市販品を用いることもできる。
また高強度有機繊維や炭素繊維、ガラス繊維に含浸される樹脂としては、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、エポキシ樹脂のほか、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。又、熱可塑性樹脂も挙げられる。これらの樹脂は単独で、または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
前記エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSのジグリシジルエーテル化合物またはその高分子量同族体、フェノールノボラック型ポリグリシジルエーテルまたはクレゾールノボラック型ポリグリシジルエーテル類等が挙げられる。さらにこれらのハロゲン化誘導体も使用できる。さらに合成過程で、ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS等のフェノール類をこれらのグリシジルエーテルと反応させて得られた芳香族系エポキシ樹脂等を使用してもよく、また脂肪族系エポキシ樹脂を使用してもよい。エポキシ樹脂は本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、公知の製造方法により得ることができ、市販品を用いてもよい。
前記不飽和ポリエステル樹脂としては、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、公知の方法により製造されるものを用いることができ、市販品を用いてもよい。例えば、多価アルコールからなるアルコール成分と、α、β−不飽和多価カルボン酸類と、飽和多価カルボン酸類および芳香族多価カルボン酸類からなる酸成分とを用いて公知の製造方法により得ることができる。ビニルエステル樹脂も本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、公知の方法により製造されるものを用いることができ、市販品を用いてもよい。
前記熱可塑性樹脂としては、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、スチレン系熱可塑性樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル系熱可塑性樹脂、ポリウレタン系熱可塑性樹脂、ポリエステル系熱可塑性樹脂、ポリイミド系熱可塑性樹脂等の熱可塑性樹脂を用いてもよいが、ポリオレフィン系熱可塑性樹脂が好ましい。前記ポリオレフィン系熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)等のポリオレフィン系熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、エチレン・プロピレンゴム(EPDM)、スチレン・ブタジエン共重合系合成ゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)等の合成樹脂も使用できる。
上記の各層における繊維と樹脂の含有比率は、本考案の効果を妨げない限り特定の値に限定されず、有機繊維や樹脂の種類、成形寸法によっても異なるが、軽量で、且つ充分な曲げ剛性など所望の強度を確保でき、かつ長時間の使用にも耐えられるほど軽量で、破断し難く安全性や補修性に優れる観点から、重量比で80:20〜60:40の範囲内に設定され、より好ましくは75:25〜65:35の範囲内に設定され、さらに好ましくは70:30〜67:33の範囲内に設定される。樹脂含浸量が高すぎると適切な強度を容易に維持することができず、また、樹脂含浸量が低すぎると成形品として形態をなさず、成したとしても、適切な強度が得られないからである。ここで、上記の「適切な強度」とは、本考案の効果を合わせ持つための強度を意味する。
上記の杖(7)の重量と強度は、杖(7)の太さや上記の外殻部(18)の肉厚、各繊維強化樹脂層(31・32・33)の繊維と樹脂との使用比率や肉厚のほか、樹脂の種類等によっても異なる。しかし、高強度有機繊維は炭素繊維に比べて比重が小さいので、炭素繊維強化樹脂層(32)を少なくし、高強度有機繊維樹脂層(31)を多くすることで、軽量で強度の高い杖(7)が得られる。この場合、シャフト部(4)の比重は、特定の値に限定されないが、1.30〜1.45であると好ましく、シャフト部(4)の軸直交方向の力に対しても十分な曲げ剛性を有し、かつ長時間の使用にも耐えられるほど軽量である点から1.32〜1.37であるとより好ましく、1.33〜1.36であると特に好ましい。
上記のグリップ部(1)はI字形に形成してあり、必要に応じて、任意の部位に繋ぎ手材(2)やストラップ(3)等を付設してある。ただし本考案では後述のように、このグリップ部(1)をT字形など他の形状に形成したものであってもよい。このグリップ部(1)の長さや太さは、使用者が確りと把持できる寸法に、適宜設定される。
このグリップ部(1)に用いる樹脂材料としては、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂(例えば6ナイロン、66ナイロン、MCナイロン等のナイロン樹脂等)、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、さらに繊維で補強した樹脂を用いてもよい。特に上記のグリップ部(1)を、例えば炭素繊維強化樹脂や、高強度有機繊維強化樹脂を用いて形成すると、軽量でありながら高い強度を備えることができ、しかも安価に実施できて好ましい。
図2に示すように、上記のシャフト部(4)の下端には、前記の石突き(6)が装着してある。この石突き(6)は、例えば高強度有機繊維強化樹脂など耐摩耗性と耐衝撃強度に優れた材料を用いて円柱形に形成してある。なお、本考案で用いる石突き(6)は、本考案の効果を妨げない限り特定の形状に限定されないが、路面の溝および階段の滑り止めへの引っかかりがない点から円柱形または円錐台形が好ましく、円柱形が特に好ましい。
上記の石突き(6)の太さと長さは、本考案の効果を妨げない範囲で適宜設定することができ、例えば外径は、上記のシャフト部(4)の外径よりも大形に形成して、路面に配置された溝蓋の格子などへ容易に嵌り込まない大きさに設定してある。また、この石突き(6)の外表面は滑らかな曲面に形成してあり、路面や階段等の段差部や障害物等へ引っ掛かりにくいようにしてある。
上記の石突き(6)の上端には装着穴が凹設してあり、この装着穴に上記のシャフト部(4)の下端を内嵌して、接着剤または両面テープ等でかしめて固定してある。この石突き(6)は、摩耗あるいは破損した際には取り換え可能である。
上記のシャフト部分(14)は、図2(c)に示すように、軸直交断面が真円の中空円筒状に形成してあり、図2(b)に示すように、炭素繊維強化樹脂層(32)と、その外周面に一体に形成した高強度有機繊維強化樹脂層(31)とを備え、さらにその内側にガラス繊維強化樹脂層(33)を備えている。
本考案の杖は、折り畳み式杖にした場合、図2に示すように、上記のシャフト部(4)は互いに連結・分離可能な複数の、例えば5つのシャフト部分(14)からなり、シャフト部分(14)同士の連結部分に、ゴム製リング等の緩衝材を介在させることで、連結部分の密着性を高めている。このゴム製リングは、摩耗あるいは破損した際には取り換え可能である。
図3に示すように、上記の互いに隣接するシャフト部分(14)は、一方のシャフト部分(14)の第1連結端部(21)に、小径部としてインナーパイプ(9)が固設してあり、このインナーパイプの外側に樹脂コーティング層(19)を形成している。インナーパイプ(9)内に、シャフト部分(14)同士を接続しているゴム紐(8)が挿通してある。
上記の第1連結端部(21)から外方へ突出させたインナーパイプ(9)の突出長さは、特定の寸法に限定されず、シャフト部分(14)同士を確りと連結できる長さがあればよく、例えば30〜50mm程度に設定される。なお上記のゴム紐(8)は、シャフト部分(14)同士を容易に分離・連結できる弾力性や伸縮性を備えておればよく、材質や太さは特に限定されず、公知のものを使用することができる。
上記の樹脂コーティング層(19)を形成する樹脂は、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン尿素樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド変性シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられる。コーティング層は、上記の樹脂、或いは上記の樹脂を溶媒に溶解させたコーティング剤を、刷毛塗り、吹付塗り、浸漬塗り等の方法で塗布し、乾燥することにより、形成することができる。
上記の樹脂の中でも、コーティング層の耐水性及び耐熱性に優れている点より、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましい。特にポリウレタン樹脂は、塗膜の弾性に優れているうえに、ポリウレタン樹脂に硬化剤を配合した1液型、或いは、ポリウレタン樹脂と硬化剤とを使用時に混合する2液型のコーティング剤を、上記の方法で塗布し、1日程度乾燥するだけでコーティング層を短時間で形成することができ、しかも安価に実施できて好ましい。
上記のポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリカーボネートウレタン樹脂等が挙げられる。特に2液型のアクリルウレタン樹脂は、扱い易く、コーティング層が透明で外観も良好である。
樹脂コーティング層(19)の厚さは、杖(7)の太さや上記の第2連結端部(アウターパイプ)(22)の内径および小径部(インナーパイプ)の外径のズレの程度や、小径部のえぐれの状態等によっても異なる。小径部のえぐれた表面が、平滑な面になるよう樹脂コーティング層を形成し、第2連結端部(22)との嵌合状態を勘案しながら厚さを調節することが好ましい。
樹脂コーティング層の外側に形成する潤滑層は、必要に応じて形成することができ、例えば市販のシリコーングリース等の潤滑剤を塗布することで形成することができる。この潤滑層を形成することで、インナーパイプの挿抜を容易にすることができる。
上記のインナーパイプ(9)は、上記のシャフト部分(14)の内径と略等しい外径に形成してあり、対面する他方のシャフト部分(14)の第2連結端部(22)内へ挿抜可能に構成してある。この実施形態では、シャフト部分(14)とは別体に形成したインナーパイプ(9)の一端を、上記の第1連結端部(21)内に、公知の接着剤により固定してある。上記の第2連結端部(22)内へ、このインナーパイプ(9)の一端を挿入することで、シャフト部分(14)同士が連結され、インナーパイプ(9)の一端を抜きとることでシャフト部分(14)同士が分離される。
なお、上記の連結端部など杖(7)の一部に応力が集中することを防止するため、応力が集中し易い連結部分、特に石付きに最も近い連結部分をジョイントカバーで外側から確りと補強して、機械的強度を高めることもでき、応力集中による杖(7)の破損とこれに伴う使用者の転倒の虞を低減し安全に杖を用いることができる。
上記の実施形態では、いわゆるI字形のグリップ部(1)を用いた杖(7)についてそれぞれ説明した。しかし本考案では、例えば、図5に示す変形例のように、別体に形成した他の形状のグリップ部(1)を備えたものであってもよい。例えば図5は、グリップを屈曲させた、いわゆるくの字形のグリップを示しており、シャフト部(44)の上端にこのグリップ部(41)を延設してある。
以下、実施例および比較例を用いて本考案を更に具体的に説明するが、本考案は以下の実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
図2及び図3に示す折り畳み式杖として、市販の白杖(商品名;MyCane(登録商標)、シャフト長さ125cm)を用いて試験した。
アウターパイプは、内側から順に、1層のガラス繊維エポキシ樹脂プリプレグと、1層の炭素繊維エポキシ樹脂プリプレグと、1層のパラ系アラミド繊維エポキシ樹脂プリプレグとを順に積層して全体を一体化させ、加熱硬化させたもので形成した。
インナーパイプは、パラ系アラミド繊維強化エポキシ樹脂層で形成した。
グリップは、外径12mm、内径10mm、長さ25cmの(炭素繊維/アラミド繊維)強化エポキシ樹脂製中空管の外周面上にゴムを被覆した。
図2及び図3に示す折り畳み式杖として、市販の白杖(商品名;MyCane(登録商標)、シャフト長さ125cm)を用いて試験した。
アウターパイプは、内側から順に、1層のガラス繊維エポキシ樹脂プリプレグと、1層の炭素繊維エポキシ樹脂プリプレグと、1層のパラ系アラミド繊維エポキシ樹脂プリプレグとを順に積層して全体を一体化させ、加熱硬化させたもので形成した。
インナーパイプは、パラ系アラミド繊維強化エポキシ樹脂層で形成した。
グリップは、外径12mm、内径10mm、長さ25cmの(炭素繊維/アラミド繊維)強化エポキシ樹脂製中空管の外周面上にゴムを被覆した。
この白杖のシャフトのアウターパイプ外径は13.10mm、内径は10.00mm、インナーパイプ外径は9.94mm、内径は6.95mmであった。
上記の白杖のインナーパイプの周囲に、ウレタン樹脂溶液を刷毛塗りした後、常温で1日放置することで、樹脂コーティング層を形成した。なお、ウレタン樹脂溶液としては、2液型ポリウレタン樹脂(商品名「ネオウレタンクリヤー」、株式会社ナガシマ)を用意し、備えつけのカップでA液:B液=1:1(容量比)を正確に計量し良く混ぜ合せたものを使用した。
(比較例1)
実施例1の折り畳み式杖と同じ構成の杖であって、樹脂コーティング層を形成していない白杖を試験した。
実施例1の折り畳み式杖と同じ構成の杖であって、樹脂コーティング層を形成していない白杖を試験した。
この白杖のシャフトのアウターパイプ外径は13.00mm、内径は10.01mm、インナーパイプ外径は9.96mm、内径は7.00mmであった。
〔ガタツキ強制試験〕
連結した杖のグリップ部分を持って5回振る動作と、この杖を折り畳む動作とを、500回繰り返し行い、100回毎にガタツキの程度を判定した。折り畳み速度は約20分/100回とした。なお、ガタツキの評価基準は次の通りである。
0:ガタツキなし
1:極わずかにガタツク
2:わずかにガタツク
3:ガタツク
4:かなりガタツク
5:非常にガタツク
連結した杖のグリップ部分を持って5回振る動作と、この杖を折り畳む動作とを、500回繰り返し行い、100回毎にガタツキの程度を判定した。折り畳み速度は約20分/100回とした。なお、ガタツキの評価基準は次の通りである。
0:ガタツキなし
1:極わずかにガタツク
2:わずかにガタツク
3:ガタツク
4:かなりガタツク
5:非常にガタツク
評価結果を表1に示す。
表1の結果から明らかなように、樹脂コーティング層を形成していない比較例1の白杖は、ガタツキが大きかった。これに対し実施例1の白杖は、ガタツキが無かった。
上記の実施形態で説明した杖は、本考案の技術的思想を具体化するために例示したものであり、各部の形状や寸法、積層数などをこの実施形態のものに限定するものではなく、本考案の実用新案登録請求の範囲内において種々の変更を加え得るものである。
本考案の杖は、視覚障害者用白杖のほか、登山、スキー等のスポーツ用または通常歩行用の杖として有用である。また、本考案の杖は、使用者の肉体的負担を軽減でき、特に高齢者、年少者、視覚障害者に対しても効果は大きく、自立支援を促進し、要介護者の社会参加および労働生産力の向上のためにも有用である。
1 グリップ部
4 シャフト部
7 杖
8 ゴム紐
9 小径部(インナーパイプ)
14 シャフト部分
17 中空部
18 外殻部
19 樹脂コーティング層
21 第1連結端部
22 第2連結端部
31 高強度有機繊維強化樹脂層
32 炭素繊維強化樹脂層
33 ガラス繊維強化樹脂層
41 グリップ部
44 シャフト部
4 シャフト部
7 杖
8 ゴム紐
9 小径部(インナーパイプ)
14 シャフト部分
17 中空部
18 外殻部
19 樹脂コーティング層
21 第1連結端部
22 第2連結端部
31 高強度有機繊維強化樹脂層
32 炭素繊維強化樹脂層
33 ガラス繊維強化樹脂層
41 グリップ部
44 シャフト部
なお、上記の超高分子量ポリエチレン繊維とは、超高分子量ポリエチレンからなる繊維をいい、市販品を用いてもよい。
上記の全芳香族ポリアミド繊維としては、例えば、アラミド繊維等が挙げられる。アラミド繊維としては、パラ系アラミド繊維が好ましい。前記パラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維又はコポリパラフェニレン−3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維等が挙げられる。
上記の全芳香族ポリエステル繊維としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸の自己縮合ポリエステル、テレフタル酸とハイドロキノンからなるポリエステル、又はパラヒドロキシ安息香酸と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなるポリエステルからなる繊維等が挙げられる。全芳香族ポリエステル繊維は、公知又はそれに準ずる方法で製造でき、市販品を用いることもできる。
前記ヘテロ環高性能繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンベンゾビスチアゾール(PBZT)繊維、又はポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維等が挙げられる。ヘテロ環高性能繊維は、公知又はそれに準ずる方法で製造でき、市販品を用いることもできる。
前記ポリアセタール繊維としては、市販品を用いることもできる。
このグリップ部(1)に用いる樹脂材料としては、本考案の効果を妨げない限り特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂や、ポリアミド樹脂(例えば6ナイロン、66ナイロン、MCナイロン(登録商標)等のナイロン樹脂等)、アクリル樹脂、ABS樹脂、ポリオレフィン樹脂(例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等)、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等が挙げられ、さらに繊維で補強した樹脂を用いてもよい。特に上記のグリップ部(1)を、例えば炭素繊維強化樹脂や、高強度有機繊維強化樹脂を用いて形成すると、軽量でありながら高い強度を備えることができ、しかも安価に実施できて好ましい。
Claims (8)
- シャフト部(4)とこのシャフト部(4)の上端に設けたグリップ部(1)とを有し、前記シャフト部が高強度繊維強化樹脂を用いて形成してあり、このシャフト部が、互いに連結・分離可能な複数のシャフト部分(14)からなり、互いに隣接するシャフト部分は、一方のシャフト部分の第1連結端部(21)に、これに対向する他方のシャフト部分の第2連結端部(22)内へ挿抜可能な小径部(9)が設けてあり、他端の内部へ他方の連結端部を挿抜可能に構成してある杖(7)において、上記の挿抜可能な小径部(9)の外側に、樹脂コーティング層(19)を形成してあることを特徴とする杖。
- 上記の樹脂コーティング層(19)を形成する樹脂は、ポリウレタン樹脂である、請求項1に記載の杖。
- 上記の樹脂コーティング層(19)の外側に、潤滑層を形成してある、請求項1または2に記載の杖。
- 上記の小径部(9)は、高強度有機繊維強化樹脂を用いて形成してある、請求項1〜3のいずれかに記載の杖。
- 上記のシャフト部(4)は、高強度有機繊維強化樹脂層(31)と炭素繊維強化樹脂層(32)とを備えており、
上記の炭素繊維強化樹脂層(32)は、少なくともその外周面に上記の高強度有機繊維強化樹脂層(31)が一体的に積層してある、請求項1〜4のいずれかに記載の杖。 - 上記のシャフト部(4)は、最も内側にガラス繊維強化樹脂層(33)を備える、請求項5に記載の杖。
- 上記のシャフト部(4)が中空であり、このシャフト部(4)の軸直交断面において、中空部とその周囲の外殻部との断面積比率が85:15〜56:44である、請求項1〜6のいずれかに記載の杖。
- シャフト部分(14)の数は、5〜7である、請求項1〜7のいずれかに記載の杖。
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JP2016015997A (ja) * | 2014-07-04 | 2016-02-01 | ブライト・ソレイルズ株式会社 | 歩行補助具 |
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