JP3189609U - 脱臭構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】廃棄物処理場に堆積された堆積廃棄物から発生する臭気が大気に漏洩することを防止すると共に、効率よく捕集して脱臭する脱臭構造を提供する。【解決手段】脱臭構造10は、廃棄物処理場1に堆積した堆積廃棄物4を上側から覆うと共に水分を保持する保水膜テクスチャ20と、堆積廃棄物4の内部に埋設される有孔管30と、有孔管30を通して吸引された臭気を脱臭するエアーレーション40と、を有する。保水膜テクスチャ20は高分子ポリマーであって、雨水を保持する。【選択図】図1

Description

本考案は、脱臭構造に関する。特に、廃棄物処理場に堆積した堆積廃棄物から発生する臭気を脱臭する場合に用いられて好適である。
廃棄物処理場のうち、例えば管理型最終処分場は、自然の地形を利用したり、地盤を掘削したりして造成された凹状の地盤の内部に廃棄物を埋立て処分する。このような廃棄物処理場では堆積された有機性廃棄物が嫌気性発酵して硫化水素が発生してしまい、臭気が周辺住民の良好な生活環境を破壊してしまう。したがって、臭気が大気に漏洩するのを防止するために、埋立て毎に覆土の実施が義務付けられたり、ガス抜き管の設置が義務付けられたりしている。
例えば、特許文献1には、廃棄物処分場に堆積される廃棄物内に排気管が埋設配管された廃棄物処分場が開示されている。排気管は、処分場の一側部にあって、地盤内に縦に配管されたメイン配管を通じて地表部に配置された気液分離装置、真空吸引ポンプ、廃棄物浄化設備であるバイオリアクタ、活性炭吸着層に接続し、活性炭吸着層を通じて処理された発生ガスを大気に開放している。
また、特許文献1の廃棄物処分場では、廃棄物処分場の上面を、ドーム状をなす軽量屋根膜構造の屋根で覆い、雨水の廃棄物内部への浸透を防止し、系内を外界から隔離することで分解作用に適合した環境に調整している。
特開2000−540号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示された廃棄物処分場では、廃棄物の天端を覆土によって覆うのみであるために、臭気が覆土を通して上空に到ってしまい、臭気を捕集することが困難である。また、ドーム状をなす屋根を設置することで、臭気が大気に漏洩することを防止できるが、屋根が必要となるために設備コストが嵩んでしまう。
本考案は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、廃棄物処理場などに堆積された臭気発生物から発生する臭気が大気に漏洩することを防止すると共に、効率よく捕集して脱臭することを目的とする。
本考案の廃棄物処理場の脱臭構造は、臭気発生物を上側から覆うと共に水分を保持する保水部と、前記臭気発生物の内部に埋設される有孔管と、前記有孔管を通して吸引された臭気を脱臭する脱臭部と、を有することを特徴とする。
また、前記臭気発生物は、廃棄物処理場に堆積する堆積廃棄物であり、前記保水部は、高分子ポリマーであって、雨水を保持することを特徴とする。
また、前記保水部の上下に前記保水部を保護する保護部が積層され、前記有孔管は、前記保水部の下側に積層された前記保護部の直下に埋設されることを特徴とする。
本考案によれば、臭気発生物を上側から覆うと共に水分を保持する保水部を有することにより、臭気を臭気発生物内に閉じ込めることができ、臭気が大気に漏洩することを防止することができる。また、臭気発生物内に閉じ込められた臭気は、臭気発生物の内部に埋設された有孔管を通して吸引されて脱臭部により脱臭されることから、臭気を効率よく捕集して、脱臭することができる。
本実施形態に係る脱臭構造の概略を示す断面図である。 本実施形態に係る脱臭構造の概略を示す平面図である。 本実施形態に係る保持部および有孔管の構成を示す図である。
以下、本考案に係る実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る脱臭構造の概略を示す断面図である。図2は、本実施形態に係る脱臭構造の概略を示す平面図である。
(第1の実施形態)
本実施形態の脱臭構造10は、例えば、山間部などの広大な敷地を利用したり、その一部を凹状に掘削したりすることにより造成される廃棄物処理場1に設置される。廃棄物処理場1の埋立エリア2の底面には遮水シート3が敷設され、埋立エリア2内の堆積廃棄物4から滲出する汚水が地盤に漏洩することを防止している。
本実施形態の脱臭構造10は、保水部としての保水膜テクスチャ20と、有孔管30と、脱臭部としてエアーレーション40と、を有している。
図3は、本実施形態に係る保水膜テクスチャ20および有孔管30の構成を示す図であり、図2のI−I線で切断した断面図である。保水膜テクスチャ20は、堆積廃棄物4の上側から堆積廃棄物4の全面を覆うように敷設される。保水膜テクスチャ20は高分子ポリマーなどにより形成され、廃棄物処理場1に降った雨水、すなわち水分を保持することができる。
水分を保持した保水膜テクスチャ20は、堆積廃棄物4の全面を覆う蓋の機能を担う。すなわち、堆積廃棄物4から発生した硫化水素ガスやその他の腐敗臭などの臭気は、水分を保持した保水膜テクスチャ20を透過することができないために、保水膜テクスチャ20内の隙間や堆積廃棄物4内に閉じ込められる。したがって、臭気が大気に漏洩することを防止することができる。
なお、保水膜テクスチャ20は適度な水分保持能力を有し、所定の保水量を保持するように形成されている。したがって、所定の保水量を超えた雨水は、保水膜テクスチャ20を透過して、堆積廃棄物4内に浸透する。保水膜テクスチャ20の水分保持能力は、寡少であっても過度であっても本来の機能を発揮することができない。例えば、寡少な水分保持能力の場合には、臭気が保水膜テクスチャ20を透過してしまい大気への漏洩を防止することができない。逆に、過度な水分保持能力の場合には、保水膜テクスチャ20よりも上側が水浸しになり、廃棄物処理場1の機能を発揮することができない。保水膜テクスチャ20を適度な水分保持能力にするには、保水膜テクスチャ20の厚みを調整したり、高分子ポリマーの配合量を調整したりすることで実現することができる。本実施形態では、保水膜テクスチャ20の厚みを10mmに設定している。
なお、保水膜テクスチャ20が所定の保水量を超えた雨水を堆積廃棄物4内に浸透させることで、堆積廃棄物4内に浸透した雨水は、堆積廃棄物4の発酵分解作用を促進させることができる。堆積廃棄物4の発酵分解作用を促進させることで、堆積廃棄物4を早期に安定化させることができる。
また、本実施形態では、保水膜テクスチャ20の上側および下側に保水膜テクスチャ20を保護する保護部としての土壌21、22が積層される。上側の土壌21は、重機が走行するときに保水膜テクスチャ20と接しないようにして、保水膜テクスチャ20の破損を防止する。下側の土壌22は、堆積廃棄物4が保水膜テクスチャ20と直接、接しないようにして、保水膜テクスチャ20の破損を防止する。なお、ここでは、保護部として土壌21、22を用いる場合について説明したが、この場合に限られず無機系の廃棄物などであってもよい。
有孔管30は、堆積廃棄物4の内部であって、保水膜テクスチャ20の下側、より具体的には土壌22の下側に埋設される。有孔管30内は臭気が流れる流路として機能する。図2に示すように、有孔管30は、埋立エリア2の全面に亘って埋設され、一端(下流側の端部)が、後述する吸引ブロワ41を介してエアーレーション40に接続される。
有孔管30には、長手方向の所定のピッチで有孔管30の内外を貫通する孔31が形成される。有孔管30は孔31を通して堆積廃棄物4内に閉じ込められた臭気を有孔管30の内部に導き入れる。本実施形態では、有孔管30の外径をφ100mm、孔31の孔径をφ7mm、孔31のピッチを33.9mmに設定している。なお、孔31は、有孔管30の長手方向に沿って一列、形成する場合に限られず、複数列を形成してもよい。
なお、本実施形態の有孔管30は、土壌22の直下に埋設されている。土壌22の直下は、保水膜テクスチャ20によって閉じ込められた臭気が多く充満しているために、有孔管30内に効率よく臭気を捕集することができる。
エアーレーション40は、埋立エリア2に近接した位置に配置され、吸引ブロワ41を介して有孔管30に接続されている。エアーレーション40は、吸引ブロワ41によって有孔管30から吸引された臭気を脱臭して、大気に放出する。
次に、上述したように構成される脱臭構造10によって臭気が脱臭されるまでの流れについて説明する。廃棄物処理場1に降った雨水は、土壌21を通過して保水膜テクスチャ20に浸透する。保水膜テクスチャ20は、雨水を臭気が透過しない所定の保水量まで保持する。したがって、堆積廃棄物4から発生した硫化水素ガスやその他の腐敗臭などの臭気は、保水膜テクスチャ20を透過して大気に漏洩することなく、保水膜テクスチャ20内の隙間や堆積廃棄物4内に閉じ込められる。
次に、エアーレーション40および吸引ブロワ41を駆動させる。吸引ブロワ41を駆動させることで有孔管30の内部が負圧になるために、有孔管30では堆積廃棄物4内に閉じ込められた臭気を有孔管30の周囲から順に孔31を通して捕集する。このとき、有孔管30は臭気が多く充満している位置、すなわち土壌22の直下に埋設されていることから効率よく臭気を捕集することができる。有孔管30により捕集された臭気は、吸引ブロワ41に吸引されることでエアーレーション40に送出される。エアーレーション40に送出された臭気は、脱臭された後に大気に放出される。
このようにして本実施形態の脱臭構造10によれば、水分を保持する保水膜テクスチャ20により堆積廃棄物4を上側から覆うことから臭気を堆積廃棄物4内に閉じ込めることができ、臭気が大気に漏洩することを防止することができる。また、本実施形態では、雨水を利用するために屋根を設置する必要がないことから廃棄物処理場1での設備コストを削減することができる。
なお、上述した実施形態の脱臭構造10では堆積廃棄物4から発生した硫化水素やその他の腐敗臭などの臭気を捕集する場合について説明したが、臭気に加えて堆積廃棄物4から発生するメタンガス類を捕集することもできる。有孔管30により捕集されたメタンガス類は、吸引ブロワ41に吸引され、図示しない分解装置に送出される。分解装置では、メタンガス類を無害なものとして大気に放出する。
また、上述した実施形態では、脱臭構造10を廃棄物処理場1で用いる場合について説明したが、廃棄物を発酵させる発酵槽で用いてもよい。すなわち、発酵槽内に堆積された廃棄物を上述した保水膜テクスチャ20で上側から覆うことで、発酵により発生する臭気を発酵槽内に閉じ込めることができる。このように廃棄物の発酵に用いることで、発酵促進に寄与する温度管理と水分調整および臭気の分散防止に大きく寄与することができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態の脱臭構造10は廃棄物処理場1で用いられ、臭気発生物を堆積廃棄物4とする場合について説明した。本実施形態では、脱臭構造10を食品の発酵に用いる場合について説明する。
この場合、発酵室内(あるいは発酵槽)に堆積された食品を上述した保水膜テクスチャ20で上側から覆うことで、発酵により発生する臭気を発酵室内に閉じ込めることができる。更に、保水膜テクスチャ20を用いることで、発酵に必要な水分および温度の調整を容易に行うことができる。また、多種の雑菌から食品を保護することができる。
以上、本考案を種々の実施形態と共に説明したが、本考案はこれらの実施形態にのみ限定されるものではなく、本考案の範囲内で変更などが可能であり、上述した実施形態を適時組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施形態の保水膜テクスチャ20は堆積廃棄物4の全面を単一で覆う大きさである必要はなく、複数の保水膜テクスチャ20を並べて敷設することで堆積廃棄物4の全面を覆ってもよい。
また、保水膜テクスチャ20は一層から構成される場合に限られず、多層から構成されていてもよい。多層で構成する場合には、例えば層ごとに高分子ポリマーの配合量を変更することができる。例えば、上側の一層目を保水に適した層にし、二層目を臭気の捕集に適した層で構成してもよい。
1:廃棄物処理場 2:埋立エリア 3:遮水シート 10:脱臭構造 20:保水膜テクスチャ(保水部)21、22:土壌(保護部) 30:有孔管 31:孔 40:エアーレーション(脱臭部) 41:吸引ブロワ

Claims (3)

  1. 臭気発生物を上側から覆うと共に水分を保持する保水部と、
    前記臭気発生物の内部に埋設される有孔管と、
    前記有孔管を通して吸引された臭気を脱臭する脱臭部と、を有することを特徴とする脱臭構造。
  2. 前記臭気発生物は、廃棄物処理場に堆積する堆積廃棄物であり、
    前記保水部は、高分子ポリマーであって、雨水を保持することを特徴とする請求項1に記載の脱臭構造。
  3. 前記保水部の上下に前記保水部を保護する保護部が積層され、
    前記有孔管は、前記保水部の下側に積層された前記保護部の直下に埋設されることを特徴とする請求項2に記載の脱臭構造。
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