JP3189330B2 - 紙の製造法 - Google Patents

紙の製造法

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JP3189330B2
JP3189330B2 JP30727191A JP30727191A JP3189330B2 JP 3189330 B2 JP3189330 B2 JP 3189330B2 JP 30727191 A JP30727191 A JP 30727191A JP 30727191 A JP30727191 A JP 30727191A JP 3189330 B2 JP3189330 B2 JP 3189330B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、紙の製造法に係わり、
さらに詳しくは微細繊維や填料の歩留り及び濾水性を向
上させる添加剤を用いた紙の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】紙の製造工程において、その生産性を高
めるために、抄紙工程のパルプスラリー中の微細繊維や
填料等の歩留り及び濾水性を向上させることが強く要求
されている。また、紙を抄造する際、系外に排出する水
を減少させるために水を循環使用させて、新たに補充す
る清水の使用量を低く抑える目的で製紙用水のクローズ
ド化が進められている。このクローズド化は使用した水
を処理して再使用するので、抄紙工程で紙中に歩留らず
に白水中に残される微細繊維や填料をできる限り少なく
することが重要で、そのためにはこれらの微細繊維や填
料の歩留り率を高くする工夫が施されている。
【0003】従来、このような微細繊維や填料の歩留り
および濾水性を向上させる手段として、高分子量アニオ
ン性ポリアクリルアミド又は高分子量カチオン性ポリア
クリルアミドのような高分子量化合物、ポリアミドエピ
クロルヒドリン樹脂、ポリエチレンイミン、及び高マン
ニッヒ変性ポリアクリルアミド等の高カチオン性ポリマ
ーを添加する方法が知られている。さらに最近、比較的
低分子量のアニオン性ポリアクリルアミドとカチオン性
ポリアクリルアミドを混合して添加する方法(特開昭5
8−60094号公報、特開昭63−12792号公
報)も知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、いずれ
の方法によっても未だ満足しうるような微細繊維や填料
の歩留りおよび濾水性を向上させる効果が得られておら
ず、特に高いpH領域(pH6以上)で抄紙する場合に
はほとんどこれらの効果を示さない。したがって、本発
明の目的は、微細繊維や填料の歩留り及び濾水性を向上
させることができる紙の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するために、分子中にカチオン性基及びアニオン性基
の両方を有しかつカチオン性を示す両性ポリアクリルア
ミド系共重合体と、カチオン性基を有しかつ上記両性ポ
リアクリルアミド系共重合体とは異なるポリマーとして
キトサン、ポリエチレンイミン又は高カチオン性ポリア
クリルアミドを含有する添加物を用いて抄紙することを
特徴とする紙の製造法を提供するものである。
【0006】この際、カチオン性基を有しかつ上記両性
ポリアクリルアミド系重合体とは異なるポリマーがマン
ニッヒ変性ポリアクリルアミド系ポリマーであることも
好ましい。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいて用いられるカチオン性基及びアニオン性基の両方
を有する両性ポリアクリルアミド系共重合体は、そのイ
オン性がカチオン性である
【0008】この両性ポリアクリルアミド系共重合体を
得る方法には、カチオン性単量体、アニオン性単量体及
びアクリルアミド類を共重合させる方法も用いられる。
ここで用いられるカチオン性単量体としては、下記一般
式〔I〕、(II〕、〔III〕で示される化合物が挙
げられ、これらは単独でも用いられるが、各一般式内及
び一般式相互において2種以上併用することができる。
【0008】一般式〔I〕
【化1】
【0009】(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2
〜4の整数、R1はH又はメチル基、R2、R3、R
4、R5、R6は同一又は異なる低級アルキル基、X
−、Y−は同一又は異なるアニオン性基を示す。)
【0010】一般式〔II〕
【化2】
【0011】(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2
〜4の整数、R7はH又はメチル基、R8、R9は同一
又は異なる低級アルキル基を示す。)
【0012】一般式〔III〕
【化3】
【0013】(但し、式中、Aは酸素又はNH、nは2
〜4の整数、R10はH又はメチル基、R11、R12
は同一又は異なる低級アルキル基、R13は低級アルキ
ル基又はベンジル基、Z−はアニオン性基を示す。)
【0014】上記一般式〔I〕に対応するカチオン性単
量体としては、2−ヒドロキシ−N,N,N,N′,
N′−ペンタメチル−N′−(3−(メタ)アクリロイ
ルアミノプロピル)−1,3−プロパンジアンモニウム
ジクロライド、2−ヒドロキシ−N−ベンジル−N,N
−ジエチル−N′,N′−ジメチル−N′−(2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチル)−1,3−プロパンジ
アンモニウムジブロマイドなどが挙げられる。
【0015】上記一般式〔II〕に属するカチオン性単
量体としては、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メ
タ)アクリルアミドなどが挙げられる。
【0016】また、上記一般式〔III〕に属するカチ
オン性単量体としては、上記一般式〔II〕で示される
カチオン性単量体を適当な4級化剤、例えばアルキルハ
ライド、ジアルキルカーボネート、アルキルトシレー
ト、アルキルメシレート、ジアルキル硫酸、ベンジルハ
ライドなどにより4級化することにより得られ、例えば
N−エチル−N,N−ジメチル−(2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチル)アンモニウムブロマイド、N−ベ
ンジル−N,N−ジメチル−(3−(メタ)アクリロイ
ルアミノプロピル)アンモニウムクロライド等が挙げら
れる。
【0017】さらには、上記のように一般式〔II〕に
属するカチオン性単量体を上記4級化剤により4級化し
てからアクリルアミド類及びアニオン性単量体等と重合
反応を行うのみならず、アクリルアミド類、アニオン性
単量体及び上記一般式〔II〕に属するカチオン性単量
体等を重合反応させる途中又は重合反応後に上記4級化
剤を用いて4級化することもできる。この場合全部を4
級化しても良いが、一部を4級化しても良いことはいう
までもない。
【0018】本発明においては、上記一般式〔I〕、
〔II〕、〔III〕で表されるカチオン性単量体のほ
かに、他のカチオン性単量体を用いることもできる。
【0019】本発明で用いる両性ポリアクリルアミド系
共重合体を上記の単量体の共重合法により得る際に用い
るアニオン性単量体としては、アクリル酸、メタクリル
酸などのα、β−不飽和モノカルボン酸、マレイン酸、
フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などのα、β−不
飽和ジカルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホ
ン酸などの不飽和スルホン酸及びそれらの塩類、例えば
ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げ
られ、これらは1種又は2種以上併用することができ
る。
【0020】本発明で用いる両性ポリアクリルアミド系
共重合体を上記の単量体の共重合体により得る際に用い
るアクリルアミド類としては、アクリルアミド、メタク
リルアミドのほかにN−エチルアクリルアミド、N−メ
チルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミ
ド、N−イソプロピルアクリルアミド等のN置換低級ア
ルキルアクリルアミド等が挙げられ、これらを1種又は
2種以上併用することができる。また、水溶性を阻害し
ない程度に非イオン性単量体であるアクリルニトリ
ル、、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)ア
クリル酸エチルエステル等を併用することができる。
【0021】上記カチオン性単量体は、全単量体に対し
0.5〜20モル%用いられ、好ましくは0.5〜10
モル%である。これが0.5モル%未満ではパルプへの
吸着力が十分でなく、20モル%を越えるときはカルバ
モイル基を供給するアクリルアミド類の量が減少し、そ
のためパルプ繊維との水素結合が十分に行われず、紙力
を低下させることがある。
【0022】上記アニオン性単量体は、全単量体に対し
0.2〜20モル%用いられ、好ましくは0.2〜10
モル%である。これが0.2モル%未満ではカチオン性
基を有するポリマーとイオン的相互作用をするには十分
でなく、20モル%を越えるときはパルプ、特に微細繊
維を過度に分散させてしまい歩留まりを向上させる効果
が十分にみられないことがある。
【0023】上記カチオン性単量体とアニオン性単量体
のモル比は、得られる共重合体がカチオン性を示すもの
用いられる。カチオン性、アニオン性はカチオン化
度、アニオン化度を例えば「コロイド滴定法」(千手諒
一著昭和44年南江堂出版)により測定することによっ
て判別することができる。
【0024】本発明に用いられるカチオン性基を有しか
つ上記両性ポリアクリルアミド系共重合体とは異なるポ
リマーとしては、キトサン、ポリエチレンイミン、高
チオン性ポリアクリルアミドが挙げられる。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】上記高カチオン性ポリアクリルアミドとし
ては、カチオン性単量体とアクリルアミド類を共重合さ
せるか、ポリアクリルアミドのホフマン転移又はマンニ
ッヒ変性により得られる。
【0029】本発明に用いられるマンニッヒ変性ポリア
クリルアミド系共重合体としては、ポリアクリルアミド
系共重合体をホルムアルデヒド及びアミン類を用いてマ
ンニッヒ変性することを特徴とする。
【0030】さらに、上記ポリアクリルアミド系共重合
体成分として、アニオン性単量体を共重合体させたアニ
オン性ポリアクリルアミド系共重合体をホルムアルデヒ
ド及びアミン類を用いてマンニッヒ変性しても良い。ア
ニオン性単量体及びアクリルアミド類としては前記の両
性ポリアクリルアミド系共重合体と同様のものを使用す
ることができる。アニオン性単量体としては、全単量体
に対し20モル%以下、好ましくは12モル%以下なる
範囲が適当である。これが、20モル%を越えるときは
十分な濾水性向上効果が得られないことがある。
【0031】上記マンニッヒ反応に用いられるアミン類
として代表的なものには、ジメチルアミン、ジエチルア
ミンのごとき脂肪族2級アミンがあるが、さらに公知慣
用の1級アミンを併用しても良い。当該マンニッヒ反応
を通してのマンニッヒ変性率としては1モル%以上、好
ましくは、10モル%以上が適当である。これが、1モ
ル%未満では十分な濾水性向上効果が得られない。ここ
において、マンニッヒ変性率とは、アクリルアミド系共
重合体中のアミド基に対して用いられるホルムアルデヒ
ド及びアミン類のモル%数を示すものである。
【0032】本発明で用いる両性ポリアクリルアミド系
共重合体とカチオン性基を有しかつこの両性ポリアクリ
ルアミド系共重合体とは異なるポリマーとの混合比は、
如何なる割合でも良く、好ましくは重量比で99.9:
0.1〜50:50の範囲が適当である。また、両者の
混合はその混合物をパルプに添加する直前に行っても良
いし、予め行っても良い。
【0033】両性ポリアクリルアミド系共重合体とカチ
オン性基を有しかつこの両性ポリアクリルアミド系共重
合体とは異なるポリマーの混合物は、パルプに対して
0.01〜4%、好ましくは0.05〜2%添加して使
用される。
【0034】添加場所としては、ミキシングチェスト、
マシーンチェスト、ヘッドボックス、ファンポンプ付
近、スクリーン付近、白水ピット等が挙げられが、特に
制限はなく、一般には、マシーンチェスト、ヘッドボッ
クス、ファンポンプ付近、スクリーン付近が適当であ
る。
【0035】抄紙系のpHについては、上記した従来技
術(特開昭58−60094号公報、特開昭63−12
792号公報)の添加剤では酸性領域(pH6.0未
満)の場合は、微細繊維や填料の歩留り及び濾水性向上
効果は不十分であり、酸性領域以外(pH6.0以上)
では全くこれらの効果を示さなかったが、本発明に用い
る上記混合物を含有する添加剤はpH4.0〜9.0、
好ましくはpH4.5〜7.5の広い範囲で有効に使用
することができる。
【0036】また、本発明に係わる上記混合物からなる
添加剤を使用する抄紙系では、他の製紙用添加剤を加え
ても良い。併用できる製紙用添加剤としては、溶液ロジ
ンサイズ剤、ロジンエマルジョンサイズ剤等のロジン系
サイズ剤、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コ
ハク酸、カチオン性スチレン系ポリマー等の中性サイズ
剤、カチオン化澱粉系の紙力剤、消泡剤、染料、硫酸バ
ンド等が挙げられる。
【0037】また、本発明に係わる添加剤は全ての紙あ
るいは板紙の抄造の際に用いることができ、具体的には
酸性あるいは中性印刷筆記用紙、酸性あるいは中性コー
ト原紙、酸性あるいは中性PPC用紙・感熱紙原紙等の
情報用紙、酸性あるいは中性純白ロール紙・両更クラフ
ト紙等の包装用紙、酸性あるいは中性ライナー、罐詰ラ
イナー、酸性あるいは中性中芯原紙・紙管原紙・白板紙
・石膏ボード原紙等の板紙の抄造の際に使用できる。
【0038】上記種々の紙あるいは板紙を抄造するに当
たっては、パルプ原料としては、クラフトパルプあるい
はサルファイトパルプ等の晒あるいは未晒化学パルプ、
砕木パルプ、機械パルプあるいはサーモメカニカルパル
プ等の晒あるいは未晒高収率パルプ、新聞古紙、段ボー
ル古紙あるいは脱墨古紙等の古紙パルプのいずれも使用
することができる。
【0039】また、填料、染料等の添加剤も各々の紙種
に要求される物性を発揮するために、必要に応じて使用
しても良い。填料としては、硫酸アルミニウム、ポリ塩
化アルミニウム、クレー、タルク、カオリン、酸化チタ
ン、重質あるいは軽質炭酸カルシウム等が挙げられ、こ
れらは単独又は併用される。
【0040】
【作用】カチオン性を示す両性ポリアクリルアミド系共
重合体と、カチオン性基を有しかつこの両性ポリアクリ
ルアミド系共重合体とは異なるポリマーとしてキトサ
ン、ポリエチレンイミン又は高カチオン性ポリアクリル
アミドを併用することにより、両者のイオン的相互作用
により微細繊維、填料、パルプ繊維との相互関係も強ま
るので、微細繊維や填料の歩留り及び濾水性の向上に顕
著な効果を奏するものと考えられるが詳細は明らかでな
い。なお、本発明はこの考えによって何等不利な制限を
受けるものではない。
【0041】
【実施例】次に本発明の実施例を説明するが、本発明は
これらの実施例のみに限定されるものではない。本実施
例及び比較例の紙の製造法を実施するにあたり、次のよ
うに両性ポリアクリルアミド系共重合体水溶液(Aシリ
ーズ、aシリーズ)及びカチオン性基を有するポリマー
水溶液(Bシリーズ)を調製した。
【0042】共重合体水溶液A−1の製造 攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備え
た1リットルの4つ口フラスコに水663.1g、50
%アクリルアミド水溶液243.2g、N−ベンジル−
N,N−ジメチル−(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アンモニウムクロライドの80%水溶液19.16
g、イタコン酸4.68g、2%次亜リン酸ナトリウム
水溶液12.95gを仕込み、次いで5%過硫酸アンモ
ニウム水溶液4.11gを加え、窒素ガス導入下80℃
に昇温し、重合反応を完了させた。かくして得られた重
合体は不揮発分15.5%、25℃ブルックフィールド
粘度7200cps、pH4.3の透明な水溶液であ
り、後述する「コロイド滴定法」によりイオン性を測定
したところ、0.2meq/gのカチオン化度を示し
た。これを共重合体水溶液A−1とする。なお、これら
の測定値は表1に示す。
【0043】共重合体水溶液A−2〜A−4、a−6及
びB−5の製造 表1記載の構成単量体成分の配合にて、共重合体A−1
を得たと同様の重合反応を行い共重合体水溶液A−2〜
A−4、a−6、B−5を得た。これらについても共重
合体A−1と同様に測定した結果を表1に示す。なお、
同程度の粘度を得るために連鎖移動剤の量を適宜変えて
行った。表中略号は以下のとおりである。
【0044】カチオン性単量体 x1:N−ベンジル−N,N−ジメチル−(2−メタク
リロイルオキシエチル)アンモニウムクロライド x2:N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド x3:2−ヒドロキシ−N,N,N−トリエチル−
N′,N′−ジメチル−N′−3−(アクリロイルアミ
ノプロピル)−1,3−プロパンジアンモニウムジブロ
マイド アニオン性単量体 y1:イタコン酸 y2:アクリル酸 アクリルアミド類 z1:アクリルアミド z2:メタクリルアミド
【0045】共重合体水溶液A−5の製造 共重合体水溶液A−2〜A−4と同様にして共重合体A
−5を製造し、これについても上記と同様に測定した結
果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】高カチオン性ポリマー水溶液B−1の製造 攪拌機、温度計、還流冷却管及び窒素ガス導入管を備え
た1リットルの4つ口フラスコに30%イタコン酸水溶
液を8.58g、50%アクリルアミド水溶液137.
93g、イソプロピルアルコール10.84g及び水3
45.56gを採取して仕込み、次いで30%水酸化ナ
トリウムでpHを4.0に調整してから窒素ガスを系内
に通じて酸素を追い出しながら、反応溶液の温度を65
℃まで昇温した。次いで攪拌を継続させつつ重合開始剤
としての5%過硫酸アンモニウム水溶液2.28gを加
えて重合反応を進め、同温度に保持しつつ、1時間後及
び2時間後にそれぞれ5%過硫酸アンモニウム水溶液
1.14gづつ追加した。重合開始から5時間後にして
不揮発分14.0%で25℃ブルックフィールド粘度5
100cps、pH4.2の安定なアクリルアミド系共
重合体の水溶液を得た。しかる後、この重合体水溶液を
40℃まで冷却し、攪拌を継続しつつ59%ジメチルア
ミン水溶液を43.65gと37%ホルマリン水溶液を
36.32gを加えさらにpH調整のため30%水酸化
ナトリウム水溶液を5.29g加えてpHを10.7に
してから40℃で2時間保持して不揮発分が15.0%
で粘度が6500cpsかつpH10.5なる安定なマ
ンニッヒ反応物を得た。以下にこれを高カチオン性ポリ
マー水溶液B−1と略記する。
【0048】高カチオン性ポリマー水溶液B−2〜B−
4の製造 表2記載の構成単量体成分の配合にて、高カチオン性ポ
リマー水溶液B−1を得たと同様な重合反応を行い高カ
チオン性ポリマー水溶液B−2〜B−4を得た。これら
についても高カチオン性ポリマー水溶液B−1と同様に
測定した結果を表1に示す。なお、同程度の粘度を得る
ために連鎖移動剤の量を適宜変えて行った。
【0049】
【表2】
【0050】イオン性の測定 「コロイド滴定法」(千手諒一著、昭和44年南江堂出
版)にしたがって行う。 (原理)トルイジンブルー(TB)は塩基性色素であ
り、アミノ基を有する正コロイドには吸着されないが、
負コロイドには直ちに吸着されて赤紫色に変化する(こ
の現象をmeta−chromasyという)。この現
象を利用して、例えば両性共重合体水溶液にTBを加
え、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)の希薄溶液を
滴下すると、PVSKはカチオン性基と優先的に反応し
てはじめはTBの変色はないが、当量点を過ぎると過剰
のPVSKはTBと結合し、溶液は青から赤紫色に変化
する。TBを指示薬にすることによりPVSKの消費量
からカチオン化度を算出できる。
【0051】(方法) (1)カチオン化度の測定 試料(固形分として0.05〜0.15g)を100
mlメスフラスコに精秤し、標線までイオン交換水を加
える。この試料水溶液10mlをホールピベットにて
50mlビーカーにとる。ビーカーをマグネットスタ
ーラーの上に置き、回転子を入れて静かに攪拌する。
TB水溶液を2〜3滴加えると、青(sky blu
e)を呈するが、ビーカー内にN/500 PVSK
を10mlビューレットより滴下すると、当量点近くで
沈澱が生じ、液が白濁する。さらにPVSKを滴下
し、液相が青色から赤紫色に変化したらPVSKの滴下
を止めてビューレットの目盛を読む。
【0052】(2)アニオン化度の測定 前項のと同様に調製した試料水溶液10ml及びN/
200 メチルグリコールキトサン5mlをホールピペ
ットにて50mlビーカーにとり、前項の〜までの
操作を同様に行う。ブランクテストとしてN/200
メチルグリコールキトサン(またはその他の4級カチオ
ンポリマー)5mlをホールピペットにて50mlビー
カーにとり、前項の〜の操作を同様に繰り返す。
【0053】(計算)次の式によりカチオン化度又はア
ニオン化度を計算する。
【0054】
【数1】
【0055】
【数2】
【0056】式中、V:N/500 PVSK水溶液の
滴定量(ml) S:試料採取量(g) N:試料固形分(%) V0:ブランク(N/200 メチルグリコールキトサ
ンのみ)の滴定量(ml)
【0057】実施例1 カナディアンスタンダードフリーネス(CSF)400
mlの段ボール古紙パルプ1%スラリーに、対パルプ固
形分比当たり(以下同様)2%の硫酸バンドを添加し
た。次いで両性ポリアクリルアミド系共重合体水溶液の
Aシリーズと、カチオン性基を有しこのAシリーズの両
性ポリアクリルアミド系共重合体水溶液とは異なるBシ
リーズのポリマー水溶液又は既存品を予め混合(プレミ
ックス)して表3の通り添加した。この時のパルプスラ
リーはpH5.0であった。このパルプスラリーについ
て濾水性及び歩留りの評価を行った。その結果を表3に
示す。表3中、No.7、8、10(「ポリマー水溶液
等」としてそれぞれ「K-557H」、「P-700F」、「Cato
F」を使用) 及びNo.11(「共重合体水溶液」とし
て「A−5」(表1でイオン化度がマイナス、すなわち
アニオン性のもの)を使用)は参考例を示す。
【0058】濾水性の評価は、JIS P8121に準
じて行った。この濾水性をCSF(ml)で表示する。
また、歩留りについては、白水の透過率によって評価を
行った。この白水の透過率をT.M(%)で表示する。 白水の透過率:TAPPI PAPERMAKERS
CONFERENCEP171(1985)に記載され
ているModifiedHercules Dynam
ic DrainageTesterと同様の装置(直
径約7.5cmの容器にパルプスラリーを注ぎ、攪拌
下、マットを形成しないように下部から空気を送り、攪
拌及び送気を停止すると同時に濾過される構造を有す
る)を用いてパルプスラリー500mlを容器に注ぎ濾
液50mlを採取し、620nmにおける濾過率を測定
し、ファーストパスリテンションの指標とした。すなわ
ち濾過率が高いほど、濾液が清澄であることを示し、微
細繊維や填料の歩留りが高いことを示すものである。
【0059】
【表3】
【0060】表3中、K557Hはカイメン557H
(ディック・ハーキュレス(株)製)、キトサンはキミ
ツキトサン(LLW)(君津化学(株)製)、P−70
0FはエピノックスP−700(ディック・ハーキュレ
ス(株)製)、Cato Fはカチオン化澱粉(王子ナ
ショナル(株)製)である。
【0061】比較例1 実施例1のpH5.0に調整された段ボール古紙パルプ
を用いて、両性ポリアクリルアミド系共重合体水溶液の
Aシリーズ、アニオン性ポリアクリルアミド製品の既存
品、カチオン性基を有し上記Aシリーズの両性ポリアク
リルアミド系共重合体水溶液とは異なるBシリーズのポ
リマー水溶液及び既存品を単独、別々(別添)、及びプ
レミックスにて表4の通り添加した。このパルプスラリ
ーについて実施例1と同様に濾水性及び歩留りの評価を
行った。その結果を表4に示す。
【0062】
【表4】
【0063】表4中、PS117はポリストロン117
(荒川化学工業(株)製アニオン性ポリアクリルアミ
ド)、PS696はポリストロン696(荒川化学工業
(株)製両性マンニッヒ変性ポリアクリルアミド)であ
る。
【0064】実施例2 CSF450mlの未晒クラフトパルプ1%スラリー
に、対パルプ固型分比当たり0.5%の硫酸バンドを添
加した。次いで両性ポリアクリルアミド系共重合体水溶
液A−1と、カチオン性基を有しこのA−1の両性ポリ
アクリルアミド系共重合体水溶液とは異なるB−1のポ
リマー水溶液をプレミックスして表5の通り添加した。
この時のパルプスラリーはpH7.0であった。このパ
ルプスラリーについて実施例1と同様に濾水性及び歩留
りの評価を行った。その結果を表5に示す。
【0065】比較例2 実施例2のpH7.0に調整された未晒クラフトパルプ
を用いて、両性ポリアクリルアミド系共重合体水溶液の
A−1、アニオン性ポリアクリルアミド製品の既存品、
カチオン性基を有するB−1のポリマー水溶液及び既存
品を単独、別々(別添)、及びプレミックスにて表6の
通り添加した。このパルプスラリーについて実施例1と
同様に濾水性及び歩留りの評価を行った。その結果を表
6に示す。
【0066】表3〜6より両性ポリアクリルアミド系共
重合体とカチオン性基を有しかつこの両性ポリアクリル
アミド系共重合体とは異なるポリマーの混合物は、これ
らの単独もしくは併用(別添)に比べ濾水性を著しく向
上させることがてきることがわかる。
【0067】
【発明の効果】以上のように、分子中にカチオン性基、
アニオン性基の両方を有しカチオン性を示す両性ポリア
クリルアミド系共重合体と、カチオン性基を有しかつこ
の両性ポリアクリルアミド系共重合体とは異なるポリマ
ーとしてキトサン、ポリエチレンイミン又は高カチオン
性ポリアクリルアミドとの混合物を含有する添加剤を用
いて抄紙することにより、従来得られなかった微細繊維
や填料の高い歩留り、及び優れた濾水性が得られ、特に
両性ポリアクリルアミド系共重合体にカチオン性を示す
ものを用いたことによりこれらの効果は一層顕著とな
り、製紙工業上極めて有意義であり、その工業的効果は
多大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 弘美 千葉県市原市八幡海岸通17番地2ディッ ク・ハーキュレス株式会社研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−12792(JP,A) 特開 昭63−295794(JP,A) 特公 平2−52040(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21H 17/00 - 27/42

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子中にカチオン性基及びアニオン性基
    の両方を有しかつカチオン性を示す両性ポリアクリルア
    ミド系共重合体と、カチオン性基を有しかつ上記両性ポ
    リアクリルアミド系共重合体とは異なるポリマーとして
    キトサン、ポリエチレンイミン又は高カチオン性ポリア
    クリルアミドを含有する添加物を用いて抄紙することを
    特徴とする紙の製造法。
  2. 【請求項2】 カチオン性基を有しかつ上記両性ポリア
    クリルアミド系共重合体とは異なるポリマーがマンニッ
    ヒ変性ポリアクリルアミド系ポリマーである請求項1記
    載の紙の製造法。
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