JP3188758B2 - 冷却孔付き銅製部品の製造方法 - Google Patents

冷却孔付き銅製部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冷却板や電極として用
いられる冷却孔付き銅製部品に於いて、その冷却孔を任
意の形状に、しかも容易に製作出来る製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】この種の冷却孔付き銅製部品の製造方法
としては、従来から図7に示すように、冷却孔となるべ
き溝3を有する銅板1と銅板2とを、両銅板の接合面4
にろう材を施してろう付けすることにより行われてい
た。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来方法で製造さ
れた冷却孔付き銅製部品は、ろう付けにより接合面4の
全面に渡って充分な接合を行うことが難しく、従って充
分な気密性、水密性を安定して得ることが困難であっ
た。また接合部の強度はろう材の強度により律せられる
ため充分ではなかった。この様な理由から、経済的にも
安定した品質のものを確実に得ることが難しく、コス
ト、歩留りの面でも問題があった。
【0004】本発明は、上記問題を解消し、任意の形状
の冷却孔を有する銅製部品を容易でしかも安定的に製造
することが出来る製造方法を提供することを目的として
いる。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は下記の如き手段を採用するものである。即
ち、図1に示すように複数枚の銅板の中の少なくとも1
枚の銅板1の表面に溝3を形成し、該溝内に、複数個の
分割部材より成りそれを組合わせたときに断面が中空形
となる鋼製管状部材5を配設し、全ての銅板を熱間等方
圧加圧装置により拡散接合して一体化させた後、該鋼製
管状部材5を硫酸溶液中で除去することで冷却孔を形成
する銅製部品の製造方法である。
【0006】なお上記複数個の分割部材より成る鋼製管
状部材5は種々の形状の物が採用出来、例えば2個の分
割部材より成る場合の断面形状を示すと図2〜図6の様
な物がある。
【0007】また、最終的に得られる冷却孔は、必ずし
も一体化した銅製部品の端面で開口する必要はなく、一
体化した銅製部品の表面に開口させることも出来る。こ
の様な場合には、溝を銅板の端まで形成させず途中まで
とし、その溝の始端及び終端の位置に、あるいは該位置
と相対する銅板上の位置に孔をあけることで開口部とす
ることが可能である。
【0008】本発明方法に於いて、溝の内に鋼製管状部
材を配設するのは次の様な理由による。即ち全ての銅板
を熱間等方圧加圧装置により拡散接合する場合に、これ
らの接合強度を充分なものにし、気密性、水密性を確保
するためには、熱間等方圧加圧処理の温度及び圧力を高
くするのがよい。しかし乍ら、これらの条件を高くする
と、冷却孔となるべき溝が処理中に変形、消失してしま
う。これは、熱間等方圧加圧処理時には、全ての銅板は
キャニングされ、溝内は真空とされているからである。
そこで、この様な変形、消失を防止するために、銅板よ
りも高温で強度を有する鋼製管状部材を溝を支えること
を目的として配設するものである。
【0009】また、複数個の分割部材より成る鋼製管状
部材をその断面が中空形としたのは、硫酸により除去す
るときにも、もしこれを断面形状が角状あるいは丸状な
どの棒材あるいは線材とした場合には、その端面からの
みの溶解により除去されることとなり、非常に長時間を
必要とするものに対して、中空管状にすると、その部材
の内面全面から溶解が進行し、部材の肉厚が薄くなって
いくという方向での除去となり、短時間での除去が可能
となるからである。
【0010】さらに、鋼製管状部材を、一体物とせずに
複数個の分割部材より成るものとしたのは、一体物とし
た場合には、銅板に形成した溝に合わせた形状に加工す
るのが困難な場合があるからである。
【0011】鋼製管状部材の除去に硫酸を用いたのは、
塩酸、硝酸などの他の溶液では、部材とともに銅板も溶
解するのに対し、硫酸を用いた場合には、部材のみが溶
解し、銅板は溶解しないという結果が得られたからであ
る。なお、鋼製管状部材を除去するのは、冷却効率を高
めるためである。つまり、鋼製管状部材が残存している
と、銅製部品と冷却媒体との間に熱伝導度の良くない層
が存在することになり、冷却効率が低下することになる
からである。
【0012】
【実施例】以下本発明の実施例について述べる。図1に
示す様に、200mm×200mm、厚さ30mmの銅板1表
面に、深さ及び幅10mmの溝3を形成し、その溝内に、
幅6mm、深さ2mmの凹みを持つ厚さ10mm、幅5mmのオ
ーステナイト系ステンレス鋼製管状部材5を凹みが形成
されている面どうしを合わせて配設し、200mm×20
0mm、厚さ10mmの銅板2と合わせてキャニングした
後、熱間等方圧加圧装置により拡散接合させた。このと
きの熱間等方圧加圧処理条件は、温度700℃、圧力3
00kgf/cm2 、時間2時間である。
【0013】その後、液温70℃の10%硫酸溶液中に
浸漬し、オーステナイト系ステンレス鋼製管状部材を除
去した。この時、部材の溶解速度を速めるために、定量
ポンプを用い、該硫酸溶液を部材内に供給した。その結
果、該部材は、約48時間で除去することが出来た。部
材除去後、一体化した銅板を切断し、断面を観察した結
果、部材のみが完全に除去され、銅板は溶解していない
ことを確認した。また、銅板どうしの接合は、曲げ試験
により充分に接合されていることを確認した。
【0014】
【発明の効果】以上述べて来た如く、本発明方法によれ
ば、冷却孔となるべき溝の形成は、銅板表面に行うので
その形状、大きさは自由に選定することが出来、該溝内
に鋼製管状部材を配設して熱間等方圧加圧装置で拡散接
合するので溝が変形あるいは消失することなく、鋼製管
状部材のみを硫酸にて溶解除去すれば完全な冷却孔が開
いた銅製部品を得ることが出来る。また、銅板どうしの
接合も充分で確実に気密性、水密性を有する冷却孔を得
ることが出来る。
【0015】なお、本発明方法は熱間等方圧加圧処理に
より拡散接合する方法を採用するもので、処理時に於け
る圧力は全方位からかかるため、複雑な形状に対して
も、変形させることなく拡散接合が出来、従って、平坦
な銅製部品のみでなく、わん曲した銅製部品など、複雑
な形状のものも製造出来るという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の概略を示す説明図である。
【図2】本発明方法で用いる鋼製管状部材の断面の一例
を示す説明図である。
【図3】本発明方法で用いる鋼製管状部材の断面の一例
を示す説明図である。
【図4】本発明方法で用いる鋼製管状部材の断面の一例
を示す説明図である。
【図5】本発明方法で用いる鋼製管状部材の断面の一例
を示す説明図である。
【図6】本発明方法で用いる鋼製管状部材の断面の一例
を示す説明図である。
【図7】従来方法の概略を示す説明図である。
【符号の説明】
1 銅板 2 銅板 3 溝 5 鋼製管状部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−133006(JP,A) 特開 昭59−78754(JP,A) 特開 昭61−88942(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B23K 20/00 F28F 3/12

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数枚の銅板の中の少なくとも1枚の銅
    板の表面に溝を形成し、該溝内に、複数個の分割部材よ
    り成りそれを組合わせたときに断面が中空形となる鋼製
    管状部材を設置し、全ての銅板を熱間等方圧加圧装置に
    より拡散接合して一体化させた後、該製管状部材を硫
    酸溶液中で除去することで冷却孔を形成することを特徴
    とする冷却孔付き銅製部品の製造方法。
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