JP3188066U - フロアスペーサ - Google Patents
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Abstract
Description
このため、自動車の床面に敷設され、乗員の足元の平坦性を確保するフロアスペーサは、軽量である硬質発泡プラスチック製のものが広く使用されている。
例えば、特許文献1には、材料として硬質発泡プラスチックを用いた、フロアスペーサ(床部)及び衝撃吸収部材(足元傾斜部)を有する自動車用フロアスペーサの技術が開示されている。この技術によれば、底面側にハニカム構造、スリット構造又は突起構造を有する衝撃吸収部材が、突起及び嵌合部を介してフロアスペーサと一体化されており、乗員の足元周りの安全性向上と軽量化を両立することができる。
なお、上記のようなフロアスペーサと衝撃吸収部材は、通常、別々に製造され、嵌合や接着などによる方法で一体化される。
また、フロアスペーサと衝撃吸収部材を別々に製造すると、金型のイニシャルコストが増加したり、衝撃吸収部材をフロアスペーサに嵌合させるための加工が必要となり、製造コストが増加することがあった。
すなわち、このような自動車用フロアスペーサは、乗員の足元周りの安全性向上と軽量化の両立を可能としているものの、異音や製造コストについて、改善の余地が残っていた。
例えば、特許文献2には、フロアスペーサ部(床部)と衝撃吸収部(足元傾斜部)の境界部に仕切り板を配置した状態で原料を充填したのち、仕切り板を退去させ、その後加熱膨張させ、フロアスペーサ部と衝撃吸収部とを一体成形する、自動車用フロアスペーサの製造方法が開示されている。
なお、特許文献3〜6にも、床部と足元傾斜部を一体成形する技術が開示されている。
したがって、成形品の破損を防止し、生産性などを向上させることが要望されていた。
したがって、品質を向上させることが要望されていた。
図1において、本実施形態のフロアスペーサ1は、上面21が略平坦な床部2と、この床部2から前方(車両前方側)に立ち上がる足元傾斜部3とを有している。このフロアスペーサ1は、一体成形された合成樹脂発泡体であり、自動車などの車両の乗員座席(図示せず)の足元を形成する位置に敷設される。
なお、車両の乗員座席の足元を形成する位置とは、車両の座席に座った人の足元と対応する位置といった意味である。
また、車両は、通常、自動車などであるが、フロアスペーサ1は、電車、飛行機又はボートなどの乗り物にも適用できる。
床部2及び足元傾斜部3の材料は、発泡ポリスチレン樹脂、発泡スチレン/アクリロニトリル樹脂、発泡ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂にスチレン単量体を含浸重合してなる複合樹脂を基材樹脂とする発泡ポリスチレン/ポリオレフィン複合樹脂などの合成樹脂発泡体である。
また、床部2及び足元傾斜部3の材料や発泡倍率は、求められる性能などに応じて、適宜、それぞれ設定される。たとえば、前記の材料の中から異なる種類が選定されたり、発泡倍率の異なる材料が用いられる。
なお、一般的に、密度が低いと衝撃吸収性能や剛性が低下し、また、密度が高すぎても衝撃吸収性能が低下し、かつ、経済的にも不利になる。
また、足元傾斜部3の密度を床部2の密度より高くする製造方法として、たとえば、特許文献2に記載された製造方法を用いることができる。
床部2は、平面視平板形状であり、本実施形態では、上面21がほぼ平坦であり、また、車両前方側の下面に緩やかな斜面が形成されている。
なお、上面21は、全面が平坦である必要はなく、大部分又は一部が平坦であればよい。また、床部2の下面には、軽量化や、車両本体の凸部を避けるための凹部が形成されていてもよい。
また、床部2と足元傾斜部3との境界は、通常、床部2の上面21と足元傾斜部本体30の上面とが交差する付近を通る上下方向に沿った仮想平面(図示せず)であるが、特に、限定されるものではない。
また、図1(b)において、上面21に対して垂直な仮想線として、垂直線22を図示してある。
足元傾斜部3は、足元傾斜部本体30、縦リブ31及び車両後方側凸部33などを有している。この足元傾斜部3は、乗員座席の足元前方の、斜め上方に傾斜した車両本体の床面(図示せず)と当接する。
足元傾斜部本体30は、平板形状であり、床部2から車両前方側かつ斜め上方に向かって傾斜している。また、足元傾斜部本体30は、下面に、車両前後方向に沿って五つの縦リブ31、及び、車両後方側凸部33が形成されている。なお、本実施形態では、足元傾斜部本体30は、上面21に対して、角度θ0(たとえば、θ0=約35°(図1参照))で傾斜している。
ここで、足元傾斜部3は、車両前方側が開口し、かつ、一対の縦リブ31及び車両後方側凸部33で囲まれたスペース32を有している。これにより、足元傾斜部3は、軽量化されるとともに、優れた衝撃吸収性を発現する。
なお、縦リブ31の数量、形成される位置及び形状などは、上記に限定されるものではない。
なお、上記の側面331は、縦リブ31間のスペース32の車両後方側に形成された側面である。
このようにすると、たとえば、図2に示すように、水平方向に可動型410を移動させて離形する場合、側面331と対応する賦形面401が、水平方向に対して角度θ1で傾斜する。そして、スチーム加熱工程で発生するスチーム凝縮水(図示せず)が、賦形面401に滞留しなくなる。さらに、スペース32の車両前方側が開口していることにより、スペース32の前方側と対応する金型の賦型面が傾斜するため、スチーム凝縮水が金型により滞留しにくくなるので、安定して品質を向上させることができる。したがって、スチーム凝縮水の滞留によって、次回の成形においてビーズ充填性が低下して充填不良が発生し、外観不良、融着低下、密度バラツキなどが発生するといった不具合を防止することができる。また、金型温度の低下を抑制できるので、次回の成形において熱量が不足して外観不良や融着低下などが発生しやすくなるといった不具合を防止することができ、品質を向上させることができる。
このようにすると、スチーム凝縮水がより確実に賦形面401から落下するので、より安定して品質を向上させることができる。かかる観点から、側面331を、床部2の上面21の垂直線22に対して、5〜30度の角度で車両後方側に開いた面とすることがより好ましい。
なお、本実施形態では、縦リブ31の車両前方側のリブ側面311が、上面21に対してほぼ垂直となっているが、車両後方側の側面331と同様に傾斜させてもよい。このようにすると、リブ側面311と対応する賦形面からスチーム凝縮水が落下するので、品質を向上させることができる。
また、本実施形態の縦リブ31は、車両後方側の端部が車両後方側凸部33とつながっており、車両後方側にリブ側面を有しない構造である。
また、スチーム凝縮水の金型への滞留に起因する品質低下を回避し、品質を向上させることができ、経済性などを向上させることができる。
図3において、本実施形態のフロアスペーサ1aは、上述した第一実施形態のフロアスペーサ1と比べると、車両前方側凸部34を有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、フロアスペーサ1とほぼ同様としてある。
したがって、図3において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
さらに、車両前方側凸部34は、上面21に対して平行な仮想面と車両後方側の側面341との角度が、θ2(θ2=約90°)であり、車両幅方向に対する垂直断面(B−B断面)の形状が、ほぼ平行四辺形形状である。
図4において、本実施形態のフロアスペーサ1bは、上述した第二実施形態のフロアスペーサ1aと比べると、先端部35及び車両前方側凸部34bを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、フロアスペーサ1aとほぼ同様としてある。
したがって、図4において、図3と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
さらに、車両前方側凸部34bは、上面21に対して平行な仮想面と側面車両後方側の側面341との角度が、θ2(θ2=約90°)であり、車両幅方向に対する垂直断面(C−C断面)の形状が、ほぼ直角三角形形状である。
図5において、本実施形態のフロアスペーサ1cは、上述した第一実施形態のフロアスペーサ1と比べると、縦リブ31の代わりに、縦リブ31cを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、フロアスペーサ1とほぼ同様としてある。
したがって、図5において、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
床部2は、上述したように、平面視平板形状であり、上面21がほぼ平坦であり、また、車両前方側の下面に緩やかな斜面が形成されている。さらに、本実施形態では、床部2と足元傾斜部3cとの境界を、床部2の上面21と足元傾斜部本体30の上面とが交差する付近と、床部2の下面と足元傾斜部本体30の下面とが交差する付近とを通る傾斜した仮想平面(図示せず)としてある。
足元傾斜部3cは、足元傾斜部本体30及び縦リブ31cなどを有している。
この足元傾斜部3cは、車両前方側及び車両後方側が開口し、かつ、一対の縦リブ31cで囲まれたスペース32cを有している。これにより、足元傾斜部3は、軽量化されるとともに、優れた衝撃吸収性を発現する。
また、足元傾斜部3cは、車両前方側及び車両後方側が開口しており、縦リブ31c間のスペース32cは、車両後方側に、たとえば側面331のような側面を有しない構造であり、かつ、車両前方側に、たとえば側面341のような側面を有しない構造である。
なお、縦リブ31cの数量や形成される位置などは、上記に限定されるものではない。
ここで、好ましくは、リブ側面312が、床部2の上面21と略平行であるとよい。なお、リブ側面312は、床部2の車両前方側の下面に形成された緩やかな斜面と同一平面となっており、上面21と略平行である。
このようにすると、たとえば、車両後方側凸部33を有する場合より、構造が単純化され、金型費用の低減を図ることができ、経済性などをさらに向上させることができる。なお、縦リブ31cの車両後方側を曲面とすることにより、リブ側面312を有しない構造としてもよい。
このようにすると、たとえば、図6に示すように、水平方向に可動型410cを移動させて離形する場合、リブ側面311cと対応する賦形面402が、水平方向に対して角度θ3で傾斜する。そして、スチーム加熱工程で発生するスチーム凝縮水(図示せず)が、賦形面402に滞留しなくなる。したがって、スチーム凝縮水の滞留によって、次回の成形においてビーズ充填性が低下して充填不良が発生し、外観不良、融着低下、密度バラツキなどが発生するといった不具合を防止することができる。また、金型温度の低下を抑制できるので、次回の成形において熱量が不足して外観不良や融着低下などが発生しやすくなるといった不具合を防止することができ、品質を向上させることができる。
このようにすると、スチーム凝縮水がより確実に賦形面402から落下するので、より安定して品質を向上させることができる。かかる観点から、側面331cを、床部2の上面21の垂直線22に対して、5〜30度の角度で車両後方側に開いた面とすることがより好ましい。
図7において、本実施形態のフロアスペーサ1dは、上述した第四実施形態のフロアスペーサ1dと比べると、縦リブ31dを有する点などが相違する。なお、本実施形態の他の構成は、フロアスペーサ1cとほぼ同様としてある。
したがって、図7において、図5と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
例えば、縦リブ及び足元傾斜部などの構造は、上述した実施形態に限定されるものではない。また、縦リブ間に、隣り合う縦リブどうしを橋渡しする横リブ(図示しない)を設けてもよい。横リブを設ける場合には、横リブの車両前方側の面を床部の上面の垂直線に対して車両後方側に開いた面とし、横リブの車両後方側の面を床部の上面に対して垂直又はほぼ垂直な面とするとこが好ましい。
2 床部
3、3a、3b、3c、3d 足元傾斜部
21 上面
22 垂直線
30 足元傾斜部本体
31、31b、31c、31d 縦リブ
32、32a、32d スペース
33 車両後方側凸部
34、34b 車両前方側凸部
35 先端部
331、341 側面
311、311c、312 リブ側面
410、410c 可動型
420、420c 固定型
401、402 賦形面
Claims (3)
- 車両の乗員座席の足元を形成する位置に敷設される合成樹脂発泡成形体からなるフロアスペーサにおいて、
該フロアスペーサは、上面が略平坦な床部と該床部から前方に立ち上がる足元傾斜部とが一体に成形されてなるとともに、前記足元傾斜部の下面側には、複数列の縦リブが形成されており、
前記縦リブ間のスペースの車両後方側に、側面を有しない、あるいは、前記床部の上面の垂直線に対して車両後方側に開いた側面を有しており、
前記縦リブ間のスペースの車両前方側に、側面を有しない、あるいは、前記床部の上面に対して垂直又はほぼ垂直な側面を有することを特徴とするフロアスペーサ。 - 前記縦リブ間のスペースの車両前方側に、側面を有さず、かつ、
前記縦リブの車両前方側に、リブ側面を有しない、あるいは、前記床部の上面の垂直線に対して後方側に開いたリブ側面を有することを特徴とする請求項1記載のフロアスペーサ。 - 前記縦リブの車両後方側に、リブ側面を有しない、あるいは、前記床部の上面と略平行なリブ側面を有することを特徴とする請求項2に記載のフロアスペーサ。
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