しかし、図7に示す従来のフライヤー装置1では、供給機構4、移送機構3、及び排出機構6を備えているものなので、装置が大型で重量が大きく、移動させることが困難なものであり、しかも、装置のコストが嵩むという問題がある。
そして、移送機構3の移送籠3aがフライ槽8に貯留されている揚げ油7中に浸漬された状態で固定されているので、この移送籠3a内で移送される食品原料2は、揚げ油7に浸漬された状態で、移送籠3aの供給口3dから排出口3eまで移動することとなり、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまでの時間が比較的長く掛かるという問題がある。
なぜなら、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまで継続して食品原料2を揚げ油7中に浸漬することとすると、食品原料2が揚げ油7によって包囲されているので、食品原料2に含まれる水分の蒸発が揚げ油7によって妨げられ、水分を効率的に蒸発させることができないからである。
そして、食品原料2がフライ製品5に出来上がるまで継続して食品原料2を揚げ油7中に浸漬することとすると、食品原料2から蒸発した水分と入れ替わりに、同量の揚げ油7が食品原料2に吸い込まれることとなる。その結果、フライ製品5が揚げ油7によって湿気たようになり、食感及び味が低下する。
また、図7に示す従来のフライヤー装置1では、移送籠3a内に収容されている食品原料2やフライ製品5が、移送籠3aの内面や、移送スクリュー3cに付着することがあり、そのような食品原料2やフライ製品5は、必ずしも設定された時間で、供給口3dから排出口3eまで移送されて排出されないことがある。その結果、原料2のフライ時間にムラが生じることがあり、均質なフライ製品5を製造することができないことがある。
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、小型、軽量、しかも移動可能であって、製造コストを低減することができ、更に、フライ製品に含まれる揚げ油を少なくして食感及び味が良好で均一であり、フライ製品を比較的短時間で製造することができる小型フライヤー装置を提供することを目的としている。
本考案に係る小型フライヤー装置は、油切り孔を有する開閉可能な保持容器がフライ製品の原料を保持している状態で、その保持容器を減圧又は真空状態のフライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬してフライ製品を製造することができる小型フライヤー装置において、上段部及び下段部を有する移動可能な移動台と、前記移動台の上段部に設けられ、フライ槽本体、及びこのフライ槽本体の上側開口部を開閉自在に密封して閉じることができる槽蓋体を有する前記フライ槽と、前記槽蓋体に設けられ、前記保持容器が取り付けられ、前記槽蓋体が前記フライ槽本体の上側開口部を閉じた状態で前記保持容器を下段位置と上段位置との間を昇降せて、当該保持容器に保持されている原料を前記フライ槽内の揚げ油に浸漬することができると共に、当該保持容器に保持されている原料を前記フライ槽内の揚げ油から引き上げることができる昇降手段と、前記移動台に設けられ、前記フライ槽内を減圧又は真空にするための排気手段と、前記移動台の上段部に設けられ、前記フライ槽本体から取り外した前記槽蓋体を載置するための蓋載置部とを備えていることを特徴とするものである。
この考案に係る小型フライヤー装置によると、フライ槽が移動台の上段部に設けられ、昇降手段が槽蓋体に設けられ、そして、排気手段が移動台に設けられ、蓋載置部が移動台の上段部に設けられているので、小型フライヤー装置を使用するときや片付けるときに、移動台によってこの小型フライヤー装置を所望の場所に簡単に移動させることができる。
そして、この小型フライヤー装置によると、槽蓋体がフライ槽本体の上側開口部を閉じた状態で昇降手段によって保持容器を下段位置に下降させて、保持容器に保持されている原料をフライ槽内に貯留されている揚げ油に浸漬することができる。そして、昇降手段によって保持容器を上段位置に上昇させて、保持容器に保持されている原料を揚げ油から引き上げることができる。これによって、原料又はフライ製品に付着する揚げ油を、原料等から除去することができ、この除去した揚げ油を保持容器の油切り孔から流下させることができる。このようにしてフライ製品を製造することができる。
また、昇降手段によって、保持容器に保持されている原料を、フライ槽内に貯留されている揚げ油に1回又は2回以上繰り返して浸漬してフライ製品を製造することができる。このように、原料をフライ槽内に貯留されている揚げ油に2回以上浸漬することを繰り返してフライ製品を製造することによって、原料に含まれる水分を効率よく比較的短時間で蒸発させることができる。その結果、フライ製品を比較的短時間で製造することができる。
更に、フライ槽内を排気手段によって減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料を揚げることができ、比較的低温で原料に含まれる水分を蒸発させて取り出すことができる。これによって、例えば原料に含まれる栄養成分が失われることを抑制できると共に、揚げ油の空気との接触による酸化を防止でき、更に、フライ製品の製造に必要とされるエネルギの消費量を低減することができる。また、フライ槽内を減圧又は真空にすることによって、揚げ油で加熱された保持容器内の原料を揚げ油から引き上げたときに、原料内に含まれる水分を効果的に取り出して乾燥させることができる。
そして、フライ槽本体から取り外した槽蓋体を蓋載置部に載置することができる。つまり、出来上がったフライ製品をフライ槽から取り出すときに、槽蓋体をフライ槽本体から取り外して蓋載置部に載置することによって、この槽蓋体に設けられている昇降手段、この昇降手段に取り付けられている保持容器、及びこの保持容器に収容されているフライ製品をフライ槽から一体の状態で取り外すことができる。
これによって、フライ槽本体から取り外した槽蓋体、昇降手段、及び保持容器を載置するためのスペースを、この小型フライヤー装置を配置しているスペース以外に予め確保しておく必要がなく、この小型フライヤー装置上でフライ槽本体から保持容器等を取り出すことができる。そして、この保持容器を開けることによって、フライ製品を保持容器から取り出すことができる。
この考案に係る小型フライヤー装置において、前記保持容器は、容器本体と、この容器本体に対して着脱自在に取り付けられる容器蓋部とを有し、前記昇降手段は、前記槽蓋体の貫通孔に気密性を確保した状態で貫通し、この貫通孔を上下方向に摺動自在に設けられている棒状部を有し、この棒状部の下端部に前記保持容器の前記容器蓋部が取り付けられているものとするとよい。
この昇降手段によると、槽蓋体の貫通孔に気密性を確保した状態で貫通する棒状部を、この貫通孔に対して上下方向に摺動させることによって、棒状部の下端部に取り付けられている保持容器をフライ槽内の揚げ油に浸漬することができると共に、保持容器に保持されている原料をフライ槽内の揚げ油から引き上げることができる。
そして、棒状部の下端部に保持容器の容器蓋部が取り付けられ、この容器蓋部に対して容器本体が着脱自在に取り付けられているので、容器蓋部を棒状部の下端部から取り外すことなく、容器本体を容器蓋部から取り外すことができる。そして、この取り外した容器本体内に収容されているフライ製品を取り出すことができるので、フライ製品を取り出すときの作業性が良い。
同様に、フライ製品の原料を容器本体に詰め込んで、この容器本体を、棒状部の下端部に取り付けられている容器蓋部に取り付けることができる。これによって、フライ製品の原料を保持容器に詰め込んで、フライ製品の製造の準備をするときの作業性が良い。
この考案に係る小型フライヤー装置において、前記排気手段は、前記フライ槽に接続され、前記フライ槽内の空気を排気するための排気管と、前記排気管に設けられ、排気される空気に含まれる水蒸気の流速を減速するための減速タンクと、前記減速タンクよりも下流側の前記排気管に設けられている真空タンクと、前記真空タンクよりも下流側の前記排気管に設けられている真空ポンプと、前記真空ポンプよりも下流側の前記排気管に設けられ、排気を冷却するための冷却部とを有し、前記真空タンク、前記真空ポンプ、及び前記冷却部は、前記移動台の下段部に設けられているものとするとよい。
この排気手段によると、真空ポンプが作動することによって、フライ槽内の空気を減速タンク、真空タンク、及び冷却部に通して大気中に放出することができる。これによって、フライ槽内を減圧又は真空にすることができる。
そして、減速タンクによると、フライ槽内から取り出される空気に含まれる水蒸気の流速を減速させることができ、空気に含まれている水蒸気を空気から分離することができる。そして、この分離して液化した水蒸気を減速タンク内に貯留することができる。これによって、水蒸気が真空ポンプ及び冷却部を通って大気中に放出されることを抑制することができ、適正な作業環境を確保することができる。
また、真空タンクによると、減圧又は真空にされたフライ槽内の圧力の安定化を図ることができ、フライ製品の品質の向上及び均一化を図ることができる。
更に、冷却部によると、フライ槽内から取り出された空気(排気)を冷却して、空気に含まれている水蒸気を液化させて空気から分離することができ、この液化した水蒸気を冷却部内に貯留することができる。これによって、水蒸気が大気中に放出されることを抑制することができ、適正な作業環境を確保することができる。
そして、真空タンク、真空ポンプ、及び冷却部は、移動台の下段部に設けられているので、作業者がフライ製品の製造作業を行う際に、これらが作業の邪魔にならないし、これら重量物を移動台の下段部に配置することによって、この小型フライヤー装置の重心を低くすることができ、小型フライヤー装置の安定性の向上を図ることができる。
この考案に係る小型フライヤー装置において、前記フライ槽の前記槽蓋体は、前記フライ槽本体内に収容されている前記保持容器を目で確認できるように透明材料で形成されているものとするとよい。
このようにすると、フライ槽本体の上側開口部が槽蓋体によって閉じられている状態で、フライ槽本体内の保持容器がフライ槽内の揚げ油に浸漬されていること、及び揚げ油から引き上げられていることを作業者が目で見て確認することができる。これによって、フライ製品の品質の向上及び均一化を図ることができる。
この考案に係る小型フライヤー装置において、前記フライ槽本体に設けられ、当該フライ槽本体に貯留されている揚げ油を加熱するための電気ヒータと、前記移動台の上段部に設けられ、前記電気ヒータを電気的に制御するための操作制御部とを備えるものとするとよい。
この操作制御部によると、電気ヒータを電気的に制御して、フライ槽本体に貯留されている揚げ油の温度が設定温度となるように温度管理することができる。この設定温度は、作業者が操作制御部を操作して設定することができる。
また、操作制御部は、移動台の上段部に設けられているので、作業者がフライ製品の製造作業を行う際に、作業者が操作制御部を操作するのに作業性が良い。そして、軽量である操作制御部を移動台の上段部に配置することによって、この小型フライヤー装置の重心が高くならないようにすることができ、小型フライヤー装置の安定性の向上を図ることができる。
この考案に係る小型フライヤー装置において、前記移動台が台車であるものとするとよい。
このようにすると、台車によって小型フライヤー装置を移動させることができる。
この考案に係る小型フライヤー装置によると、小型、軽量、しかも移動可能であって、製造コストを低減することができる小型フライヤー装置を提供することができる。
以下、本考案に係る小型フライヤー装置の一実施形態を、図1〜図5を参照して説明する。この小型フライヤー装置11は、例えばスライスしたバナナ、パパイヤ、ポテトや、天ぷら、コロッケ、即席麺、スナック菓子等の食品を含む原料12を、揚げ油7で揚げてフライ製品13を製造することができるものであり、図1に示すように、フライ槽14を備えている。このフライ槽14内には、揚げ油7が貯留されており、この揚げ油7は、このフライ槽14に設けられている電気ヒータ15によって加熱されるようになっている。
そして、フライ槽14には、図1に示すように、排気装置(真空ポンプ23を含む排気手段)16が接続しており、この排気装置16によってフライ槽14内の圧力が減圧又は真空にされている。
この小型フライヤー装置11は、図1の正面方向から見た拡大縦断面図に示すように、フライ槽14、保持容器17、昇降機構(昇降手段)19、蓋載置部18、排気装置16、操作制御部20、及び台車21(移動台)を備えている。
台車21は、図1及び図2に示すように、横長の略直方体状の枠体部21aで形成され、この枠体部21aの上面に板状部材が設けられている。この板状部材によって上段部21cが形成されている。そして、枠体部21aの下面に板状部材が設けられ、この板状部材によって下段部21dが形成されている。また、枠体部21aの下面には、複数の例えば4つの車輪21bが設けられている。
そして、図1に示すように、台車21の上段部21cにフライ槽14、蓋載置部18及び操作制御部20が設けられ、台車21の下段部21dに真空タンク22、真空ポンプ23及び冷却部24が設けられている。
フライ槽14は、図1及び図2に示すように、フライ槽本体14a、及びこのフライ槽本体14aの上側開口部14bを開閉自在に密封して閉じることができる槽蓋体14cを有している。このフライ槽本体14aは、円筒状体の側壁を有し、底部が形成されている。このフライ槽本体14aに揚げ油7が貯留されている。
そして、このフライ槽本体14aに電気ヒータ15が設けられている。この電気ヒータ15は、フライ槽本体14aに貯留されている揚げ油7を加熱するためのものである。そして、この電気ヒータ15は、操作制御部20によって電気的に制御されるようになっている。また、この操作制御部20によると、フライ槽本体14aに貯留されている揚げ油7の温度が設定温度となるように制御することができるようになっている。
槽蓋体14cは、円板状に形成され、フライ槽本体14aの上側開口部14bを形成する上側開口縁部上に載置された状態で、この槽蓋体14cの外周部の下面と、当該上側開口縁部の上面との間の隙間が、当該上側開口縁部に装着されている円環状のシール部材27によって密封された状態となる。そして、この密封強度は、フライ槽14内の圧力が排気装置16によって減圧又は真空にされることによって増大される。
また、槽蓋体14cは、フライ槽本体14a内に収容されている保持容器17を目で見て確認できるように透明材料で形成されている。
昇降機構19は、図1に示すように、槽蓋体14cに設けられ、保持容器17が着脱自在に取り付けられ、槽蓋体14cがフライ槽本体14aの上側開口部14bを閉じた状態で保持容器17を下段位置(図1の実線で示す状態)と上段位置(図1のニ点鎖線で示す状態)との間を昇降せて、保持容器17に保持されている原料12をフライ槽14内の揚げ油7に浸漬することができると共に、保持容器17に保持されている原料12をフライ槽14内の揚げ油7から引き上げることができるものである。
この昇降機構19は、槽蓋体14cの貫通孔28に気密性を確保した状態で貫通し、この貫通孔28を上下方向に摺動自在に設けられている棒状部29を有し、この棒状部29の下端部に保持容器17の容器蓋部17aがねじ止めによって固定して取り付けられている。そして、この容器蓋部17aに保持容器17の容器本体17bが着脱自在に取り付けられている。
次に、図1等に示す昇降機構19によって、保持容器17を下段位置(図1の実線で示す状態)と上段位置(図1のニ点鎖線で示す状態)とに保持する構成及び作用について説明する。
まず、図1の実線で示すように、保持容器17が下段位置(保持容器17の全体が揚げ油7に浸漬した状態)にあるときは、棒状部29に設けた上側係止凸部30が支持部31の上端部に設けられているスライド部31aの上面に当接して、棒状部29が下段位置よりも下方に移動しないように支持部31によって保持されている。この支持部31は、容器蓋部17aの上面にねじ止めされている。
次に、図1のニ点鎖線で示すように、保持容器17が上段位置(保持容器17の全体が揚げ油7から引き上げられた状態)にあるときは、図3に示すように、棒状部29に設けた下側係止凸部32が支持部31のスライド部31aの上面に当接して、棒状部29が上段位置よりも下方に移動しないように支持部31によって保持されている。
なお、上側係止凸部30及び下側係止凸部32は、棒状部29にねじ止めされており、それらの棒状部29に対する取付け位置を調節することができる。そして、例えば図1に示す上段位置にある保持容器17を下段位置に下降させるときは、支持部31のスライド部31aを後退方向にスライドさせればよい。
次に、図1に示す槽蓋体14cの貫通孔28に気密性を確保した状態で棒状部29が貫通する構成及び作用について説明する。槽蓋体14cの中心位置に貫通孔28が形成され、この貫通孔28に棒状部29を上下方向に案内するための円筒状の案内部33が取り付けられている。そして、この案内部33の内孔に棒状部29が挿通された状態で、この案内部33の内孔の内周面と、棒状部29の外周面との間の隙間が、当該内孔の内周面に装着されている円環状のシール部材によって密封された状態となっている。
また、図1に示すように、棒状部29の上端部には、把手34が設けられており、作業者は、この把手34を把持して棒状部29を上下方向に移動させることによって保持容器17を上段位置及び下段位置に移動させることができる。
更に、図1に示すように、槽蓋体14cの上面には、2つの把手35が取り付けられており、作業者は、この把手35を把持して槽蓋体14cをフライ槽本体14a上及び蓋載置部18上に移動させて載置することができる。
そして、蓋載置部18は、図1及び図2に示すように、操作制御部20の上部に設けられ、槽蓋体14cをその上に載置するための2本の水平部18aを有している。この2本の水平部18aは、それぞれの先端部がフライ槽14に向かうように形成されている。これによって、槽蓋体14cをフライ槽本体14a上又は蓋載置部18上に移動させて載置するときに、蓋載置部18が昇降機構19の棒状部29の移動の邪魔にならないようにすることができる。
次に、図1に示す保持容器17について説明する。この保持容器17は、フライ製品13の原料12を入れて保持することができ、そして、出来上がったフライ製品13を作業者が取り出すことができるものである。そして、この保持容器17は、容器本体17bと、この容器本体17bに対して着脱自在に取り付けられる容器蓋部17aとを有している。
この容器本体17bは、図1及び図2に示すように、円筒状の側壁を有し、底部が形成されている。
容器蓋部17aは、容器本体17bの上側開口部を開閉できるように円板状に形成されている。そして、この容器蓋部17aには、例えば複数の係合具17cが設けられている。これら各係合具17cは、容器本体17bに対して係脱自在であり、容器本体17bを工具なしで簡単に容器蓋部17aに対して取付け(閉状態)及び取外し(閉状態)をすることができる。
また、図1に示す保持容器17の容器本体17b及び容器蓋部17aには、多数の比較的小さい油切り孔(図示せず)が形成されている。この油切り孔は、フライ槽14内の揚げ油7を保持容器17に対して流出入させるためのものである。
排気装置16は、図1に示すように、排気管36、減速タンク37、真空タンク22、真空ポンプ23、及び冷却部24を有している。
排気管36は、フライ槽14のフライ槽本体14aの側壁の揚げ油7の液面よりも上側に設けられている排気口38に接続され、フライ槽14内の空気を排気するためのものである。
減速タンク37は、排気管36に設けられ、排気される空気に含まれる水蒸気の流速を減速するためのものである。この減速タンク37は、図1及び図5に示すように、有底の略円筒形に形成され、その中心線が水平方向となるように設けられている。図5に表れている第1バルブ39を閉じることによって、フライ槽14を密閉することができる。そして、第2バルブ40を開けることによって、フライ槽14内の空気を真空ポンプ23によって排出することができる。また、第2バルブ40を閉じて、第1バルブ39を開けることによって、フライ槽14内に空気を流入させることができ、槽蓋体14cを開けることができる。更に、減速タンク37の下部には、減速タンク37内のドレンを排水するためのドレン管が設けられ、このドレン管には第3バルブ41が設けられている。
図6は、減速タンク37の他の例を示している。この図6に示す減速タンク37は、図5に示す減速タンク37をその中心線が鉛直方向となるように設けたものである。これ以外の第1〜第3バルブ39〜41等は、図5に示すものと同等であり、同一の図面符号で示す。この図6に示すように、減速タンク37をその中心線が鉛直方向となるように設けると、減速タンク37の排気の下側入口37aと上側出口37bの落差を大きくすることができる。これによって、排気される空気に含まれる水蒸気の流速を効果的に減速することができ、空気に含まれている水蒸気を空気から効率よく分離することができる。
真空タンク22は、減速タンク37よりも下流側の排気管36に設けられ、真空ポンプ23は、真空タンク22よりも下流側の排気管36に設けられている。この真空ポンプ23は、電動モータ42によって駆動される。
冷却部24は、真空ポンプ23よりも下流側の排気管36に設けられ、排気を冷却するためのものである。この冷却部24は、排気が通過する冷却タンク24aと、この冷却タンク24a内を通過する排気を冷却するための冷却水管24bとが設けられている。冷却タンク24aの表面には、冷却水管24bの入口と出口が設けられている。これら真空タンク22、真空ポンプ23、電動モータ42、及び冷却部24は、台車21の下段部21dに設けられている。
なお、図1に示す真空タンク22の下部には、真空タンク22内のドレンを排水するためのドレン管が設けられ、このドレン管にはバルブ43が設けられている。そして、冷却タンク24aの下部には、冷却タンク24a内のドレンを排水するためのドレン管が設けられ、このドレン管にはバルブ44が設けられている。
次に、上記のように構成された小型フライヤー装置11の作用を説明する。この小型フライヤー装置11によると、図1に示すように、フライ槽14が台車21の上段部21cに設けられ、昇降機構19が槽蓋体14cに設けられ、そして、排気装置16が台車21の上段部21c及び下段部21dに設けられ、蓋載置部18が台車21の上段部21cに設けられているので、小型フライヤー装置11を使用するときや片付けるときに、台車21によってこの小型フライヤー装置11を所望の場所に簡単に移動させることができる。
そして、この小型フライヤー装置11によると、槽蓋体14cがフライ槽本体14aの上側開口部14bを閉じた状態で、作業者が昇降機構19の棒状部29を下方向に移動させることによって、保持容器17を下段位置(図1の実線で示す状態)に下降させることができる。これによって、保持容器17に保持されている原料12をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に浸漬することができる。
そして、作業者が昇降機構19の棒状部29を上方向に移動させることによって、保持容器17を上段位置(図1のニ点鎖線で示す状態)に上昇させることができる。これによって、保持容器17に保持されている原料12を揚げ油7から引き上げることができる。その結果、原料12又はフライ製品13に付着する揚げ油7を、原料12等から除去することができ、この除去した揚げ油7を保持容器17の油切り孔から流下させることができる。このようにしてフライ製品13を製造することができる。
また、作業者が昇降機構19の棒状部29を上下方向に移動させることによって、保持容器17に保持されている原料12を、フライ槽14内に貯留されている揚げ油7に1回又は2回以上繰り返して浸漬してフライ製品13を製造することができる。このように、原料12をフライ槽14内に貯留されている揚げ油7に2回以上浸漬することを繰り返してフライ製品13を製造することによって、原料12に含まれる水分を効率よく比較的短時間で蒸発させることができる。その結果、フライ製品13を比較的短時間で製造することができる。
更に、フライ槽14内を排気装置16によって減圧又は真空にして、この減圧又は真空状態で原料12を揚げることができ、比較的低温で原料12に含まれる水分を蒸発させて取り出すことができる。これによって、例えば原料12に含まれる栄養成分が失われることを抑制できると共に、揚げ油7の空気との接触による酸化を防止でき、更に、フライ製品13の製造に必要とされるエネルギの消費量を低減することができる。また、フライ槽14内を減圧又は真空にすることによって、揚げ油7で加熱された保持容器17内の原料12を揚げ油7から引き上げたときに、原料12内に含まれる水分を効果的に取り出して乾燥させることができる。
そして、図3に示すように、作業者は、フライ槽本体14aから取り外した槽蓋体14cを蓋載置部18に載置することができる。つまり、例えば出来上がったフライ製品13をフライ槽14から取り出すときに、槽蓋体14cをフライ槽本体14aから取り外して蓋載置部18に載置することによって、この槽蓋体14cに設けられている昇降機構19、この昇降機構19に着脱自在に取り付けられている保持容器17、及びこの保持容器17に収容されているフライ製品13をフライ槽14から一体の状態で取り外すことができる。
これによって、フライ槽本体14aから取り外した槽蓋体14c、昇降機構19、及び保持容器17を載置するためのスペースを、この小型フライヤー装置11を配置しているスペース以外に予め確保しておく必要がなく、この小型フライヤー装置11上でフライ槽本体14aから保持容器17等を取り出すことができる。そして、この保持容器17の容器本体17bを昇降機構19の棒状部29の下部に取り付けられている容器蓋部17aから取り外すことによって、フライ製品13を保持容器17から取り出すことができる。
上記のように、図1に示す小型フライヤー装置11によると、小型、軽量、しかも移動可能であって、製造コストを低減することができる小型フライヤー装置11を提供することができる。
そして、図1に示すこの昇降機構19によると、作業者は、槽蓋体14cの貫通孔28を気密状態で貫通する棒状部29を、この貫通孔28に対して上下方向に摺動させることによって、棒状部29の下端部に取り付けられている保持容器17をフライ槽14内の揚げ油7に浸漬することができると共に、保持容器17に保持されている原料12をフライ槽14内の揚げ油7から引き上げることができる。
そして、棒状部29の下端部に保持容器17の容器蓋部17aが取り付けられ、この容器蓋部17aに対して容器本体17bが着脱自在に取り付けられているので、容器蓋部17aを棒状部29の下端部から取り外すことなく、容器本体17bを容器蓋部17aから取り外すことができる。そして、この取り外した容器本体17b内に収容されているフライ製品13を取り出すことができるので、フライ製品13を取り出すときの作業性が良い。
同様に、フライ製品13の原料12を容器本体17bに詰め込んで、この容器本体17bを、棒状部29の下端部に取り付けられている容器蓋部17aに取り付けることができる。これによって、フライ製品13の原料12を保持容器17に詰め込んで、フライ製品13の製造の準備をするときの作業性が良い。
また、図1に示すこの排気装置16によると、真空ポンプ23が作動することによって、フライ槽14内の空気を減速タンク37、真空タンク22、及び冷却部24に通して大気中に放出することができる。これによって、フライ槽14内を減圧又は真空にすることができる。
そして、減速タンク37によると、フライ槽14内から取り出される空気に含まれる水蒸気の流速を減速させることができ、空気に含まれている水蒸気を空気から分離することができる。そして、この分離して液化した水蒸気を減速タンク37内に貯留することができる。これによって、水蒸気が真空ポンプ23及び冷却部24を通って大気中に放出されることを抑制することができ、適正な作業環境を確保することができる。
また、真空タンク22によると、減圧又は真空にされたフライ槽14内の圧力の安定化を図ることができ、フライ製品13の品質の向上及び均一化を図ることができる。
更に、冷却部24によると、フライ槽14内から取り出された空気(排気)を冷却して、空気に含まれている水蒸気を液化させて空気から分離することができ、この液化した水蒸気を冷却部24内に貯留することができる。これによって、水蒸気が大気中に放出されることを抑制することができ、適正な作業環境を確保することができる。
そして、真空タンク22、真空ポンプ23、及び冷却部24は、台車21の下段部21dに設けられているので、作業者がフライ製品13の製造作業を行う際に、これらが作業の邪魔にならないし、これら重量物を台車21の下段部21dに配置することによって、この小型フライヤー装置11の重心を低くすることができ、小型フライヤー装置11の安定性の向上を図ることができる。
また、図1に示す槽蓋体14cは、フライ槽本体14a内に収容されている保持容器17を目で見て確認できるように透明材料で形成されているので、フライ槽本体14aの上側開口部14bが槽蓋体14cによって閉じられている状態で、フライ槽本体14a内の保持容器17がフライ槽14内の揚げ油7に浸漬されていること、及び揚げ油7から引き上げられていることを作業者が目で見て確認することができる。これによって、フライ製品13の品質の向上及び均一化を図ることができる。
更に、図1に示す操作制御部20によると、電気ヒータ15を電気的に制御して、フライ槽本体14aに貯留されている揚げ油7の温度が設定温度となるように温度管理することができる。この設定温度は、作業者が操作制御部20を操作して設定することができる。
そして、操作制御部20は、台車21の上段部21cに設けられているので、作業者がフライ製品13の製造作業を行う際に、作業者が操作制御部20を操作するのに作業性が良い。そして、軽量である操作制御部20を台車21の上段部21cに配置することによって、この小型フライヤー装置11の重心が高くならないようにすることができ、小型フライヤー装置11の安定性の向上を図ることができる。
ただし、上記実施形態では、図1に示す昇降機構19の棒状部29の把手34を作業者が手で把持して上下方向に移動させることによって、保持容器17を上段位置及び下段位置に昇降移動させるようにしたが、これに代えて、棒状部29を電気モータ等のアクチュエータを使用して上下方向に移動させることによって、保持容器17を上段位置及び下段位置に昇降移動させるようにしてもよい。このアクチュエータは、操作制御部20によって制御され、所定のシーケンス制御又はプログラムに従って、保持容器17内の原料12を揚げ油7によって加熱するように設定することができる。
そして、上記実施形態では、フライ槽14内を減圧又は真空にして、減圧又は真空下でフライ処理をしたが、これに代えて、外気圧下でフライ処理をしてもよい。
また、上記実施形態では、図3に示す保持容器17の容器蓋部17aを昇降機構19の棒状部29の下端部に設け、作業者がこの容器蓋部17aに対して容器本体17bを簡単に着脱できるようにして、原料12やフライ製品13を保持容器17に対して出し入れできるようにしたが、これに代えて、作業者が保持容器17を昇降機構19の棒状部29の下端部に対して簡単に着脱できるようにして、保持容器17を棒状部29の下端部から取り外した状態で、作業者がこの保持容器17の容器蓋部17aを開けて原料12やフライ製品13を保持容器17に対して出し入れできるようにしてもよい。
更に、上記実施形態では、図1に示すように、移動台として台車21を例に挙げたが、台車21以外の移動台としてもよい。例えば車輪21b付きの載台に載せて移動させることが可能な移動台としてもよい。