JP3186081B2 - 糖応答性高分子複合体 - Google Patents

糖応答性高分子複合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボロン酸基含有高分
子、これを含有する糖応答性高分子複合体および糖応答
薬物放出性高分子複合体に関する。糖応答性高分子複合
体は糖濃度に応じて、薬物の放出を制御する糖尿病治療
システム、糖センサーなどとして利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来より、ポリビニルアルコール水溶液
中にホウ酸を加えることにより、ポリビニルアルコール
がゲル化を起こすという事実は知られている。しかし、
この方法は低分子であるために物質内の拡散あるいは透
過が容易であり、しかも、毒性があるために医療用への
応用には適さなかった。
【0003】また、アガロースゲル中にボロン酸基を導
入したベンゼンボロン酸−架橋アガロースゲル(アミコ
ン社製:マトレックスPBA−30;登録商標)があり、
pH8.5 の緩衝液中においてボロン酸基とシス−ジオー
ル基含有糖類とがコンプレックスを形成することを利用
して、アフィニティークロマト用のゲル担体として用い
られている。しかし、今までのところ、ボロン酸基を有
するポリマーと多価水酸基を有するポリマーとのコンプ
レックス形成、あるいは、解離に基づいて起こるゾル−
ゲル転移に関する報告はなされていない。
【0004】糖尿病に罹った場合、外部からインスリン
を症状に応じて自己注射する必要がある。インスリンの
自己注射の方法は、インスリンの注射量と必要量が一
致しない、操作が煩わしい、低血糖昏睡などの事故
の危険がある、患者自身の強い自己制御力を必要とす
る、等の欠点があった。エス・ダブリュ・キムらは、グ
ルコースセンサ機能と薬物放出機能とを兼ね備えた分子
デバイスとして、高分子膜で作られた容器内にコンカナ
バリンAと糖鎖修飾インスリンとの複合体を埋め込んだ
インスリン放出デバイスを提示している(DIABETES, 32,
499 (1983))。この方法は、前記複合体を腹腔中に埋入
しておくと、パウチ外部のグルコース濃度の上昇に伴い
コンカナバリンAに結合した糖鎖修飾インスリンとグル
コースとの間で交換反応が起こり、糖鎖修飾インスリン
が放出され、グルコース濃度が低下すると、この交換反
応が低下し、インスリン放出も低下するというオートフ
ィードバック機構を有するものである。しかし、この方
法では、極度に毒性の高いコンカナバリンAを用いるた
め、薬剤としての安全性に問題があった。
【0005】このような観点から、必要な時にのみ薬物
放出を行い、正常になると放出が直ちに停止するオート
フィードバック機構を内蔵し、薬剤としての安全性に問
題がないインスリン放出制御デバイス(人口膵臓)の開
発が望まれている。また、医療、食品、発酵プロセスな
どの分野では、糖計測の必要性が増してきており、糖セ
ンサーの開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、広範
囲のpH領域(pH=6〜12)、特にpH6.5 〜8.5
の生体的pH領域での水溶性を有し、糖応答性に優れ、
毒性が低く、成形性、加工性が容易な糖応答性高分子複
合体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、側鎖の置換基
に−C64B(OH)2と下記一般式(I)なる群から選
ばれる置換基とを有する付加系高分子であって、高分子
100 重量%あたり−C64B(OH)2に由来するボロン
0.05〜5重量%、一般式(I)なる群から選ばれる置換
基に由来する窒素を0.5〜25重量%含み、分子量5000〜1
00万であるボロン酸基含有高分子を用いる
【0008】
【化2】
【0009】(R1、R2およびR3は、それぞれ単独で
H、CH3またはC25であり、XはCl、Br、Iまたは
CH3SO3Oである。)発明は、前記ボロン酸基含有
高分子と、この高分子100 重量部に対して10〜3000重量
部の多価水酸基含有高分子とからなる糖応答性高分子複
合体を提供する。さらに本発明は、この高分子複合体と
水溶性薬物からなる糖応答薬物放出性高分子複合体を提
供する。
【0010】本発明の−C6H4B(OH)2と一般式(I)なる
群から選ばれる置換基とを有する高分子は、ボロン酸基
含有モノマーとアミノ基含有モノマーとこれらのモノマ
ーと共重合可能なモノマーとの共重合体である。ボロン
酸基含有モノマーとしては、置換基に−C6H4B(OH)2を有
するモノマーであり、たとえば、3−アクリロイルアミ
ノベンゼンボロン酸、3−メタクリロイルアミノベンゼ
ンボロン酸、4−ビニルベンゼンボロン酸などが挙げら
れる。
【0011】アミノ基含有モノマーとしては、前記一般
式(I)なる群から選ばれる置換基を有するモノマーで
あり、たとえば、ビニルベンジルアミン、アミノスチレ
ン、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビ
ニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、N−メチル−
2−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、
N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,
N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、N,N
−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミ
ノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル
メタクリレート、アクリルアミド、N−メチルアクリル
アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−エチル
アクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N
−t−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノ
プロピルアクリルアミド各種四級塩、N,N−ジメチル
アミノプロピルメタクリルアミド各種四級塩、N,N−
ジメチルアミノエチルアクリレート各種四級塩、ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート各種四級塩、N,N−ジ
エチルアミノエチルアクリレート各種四級塩、N,N−
ジエチルアミノエチルメタクリレート各種四級塩などが
挙げられる。
【0012】ボロン酸基含有モノマーと共重合可能なモ
ノマーは、たとえば、アクリロイルモルホリン、アクリ
ル酸、各種アルキルアクリレート、メタクリル酸、各種
アルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタク
リレート、N−ビニルピロリドン、メタクリル酸モノグ
リセロール、アクリロニトリル、スチレン、各種マクロ
モノマーなどである。
【0013】本発明のボロン酸基含有高分子の分子量は
5000〜100万で、好ましくは1万〜50万、さらに好まし
くは1万〜30万である。分子量が5000より小さいと多価
水酸基含有高分子とコンプレックス形成による高分子複
合体がゲル状態とならず、糖に対する応答性が認められ
ない。また、分子量が100 万より大きくなると水溶性が
低くなり、水溶液とした場合粘性が高くなり糖に対する
応答性が低くなるので好ましくない。
【0014】本発明のボロン酸基含有高分子に含まれる
−C6H4B(OH)2 (フェニルボロン酸基)に由来するボロン
含量(B/P)は、ボロン酸高分子100 重量%あたり0.
05〜5重量%、好ましくは0.1 〜3.0 重量%、さらに好
ましくは0.1 〜2.5 重量%が好ましい。0.05重量%より
少ないと多価水酸基含有高分子とのコンプレックス形成
が起こらず、5重量%を超えると疎水性になり水溶性が
低下する。
【0015】またボロン酸基含有高分子に含まれるアミ
ノ基に由来する窒素含量(N/P)は、ボロン酸基含有
高分子100 重量%あたり0.05〜25重量%、好ましくは0.
1 〜20重量%、さらに好ましくは0.5 〜15重量%が好ま
しい。0.05重量%より少ないとボロン酸基含有高分子の
pH6.5 〜8.5 の生体的pH領域における糖応答性が低
下し、5重量%を超えると高分子複合体にした時、糖応
答性が低下するので好ましくない。
【0016】さらにボロン酸基含有高分子において、B
/P:N/P比は、1:150 〜1:0.1 、好ましくは、
1:100 〜1:0.5 、さらに好ましくは、1:60〜1:
1である。B/P=1に対してN/Pが0.1 より少ない
とpH6.5 〜8.5 の生体的pH領域における糖応答性が
低下しN/Pが150 より多いと糖応答性がほとんど認ら
れない。
【0017】本発明に用いることのできる多価水酸基含
有高分子は、たとえば重合度100 〜10000 のポリビニル
アルコール、ポリ酢酸ビニルを部分加水分解した高分
子、酢酸ビニルをモノマー単位として含む共重合体を加
水分解した高分子、多糖類、多価水酸基を有するモノマ
ーの単独重合体あるいは共重合体、不飽和カルボン酸単
独重合体あるいは共重合体のカルボキシル基を多価水酸
基と一級アミノ基を有する化合物とアミド化反応させた
高分子、一級アミノ基を含む高分子をカルボキシル基と
多価水酸基とを有する化合物とアミド化反応させた高分
子などである。
【0018】多糖類は、たとえば、ガラクトマンナン、
プルラン、デキストラン、アミロースなどである。多価
水酸基を有するモノマーは、たとえば、メタクリル酸モ
ノグリセロール、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メ
チル]アクルアミドなどである。不飽和カルボン酸は、
たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メ
タコン酸、フマル酸、無水マレイン酸などである。多価
水酸基と一級アミノ基を有する化合物は、たとえば、ト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタンなどである。一
級アミノ基を含む高分子のモノマー単位は、たとえばア
ミノスチレン、ビニルベンジルアミン、蛋白質などであ
る。カルボキシル基と多価水酸基とを有する化合物は、
たとえば、プロトカテキュ酸、ガリック酸、トリシン、
2,2−(ジヒドロキシメチル)プロピオン酸などであ
る。
【0019】本発明の複合体に用いる高分子は、通常用
いられる公知のラジカル重合法、たとえば、溶液、塊
状、乳化、懸濁重合などによって製造することができ
る。本発明の糖応答性高分子複合体は、ボロン酸基含有
高分子100 重量部に対して10〜3000重量部の多価水酸基
含有高分子とからなる。前記以外の配合比では、糖応答
性高分子複合体のゲル形成が不十分となるので好ましく
ない。
【0020】本発明の糖応答性高分子複合体は水系の媒
体中、あるいは、50%以下の有機溶媒を含む水系の媒体
中、望ましくはリン酸緩衝液、リン酸生理緩衝液、グッ
ド緩衝液(ヘペス緩衝液、モプス緩衝液など)を用いる
ことによって、糖応答性高分子複合体となる。本発明の
糖応答性高分子複合体は、0.1 mg/dl以上の糖、たとえ
ば、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノ
ース、アルジトール(マンニトール、ガラクシトール、
グリシドールなど)などの存在下で糖応答性を示す。
【0021】糖応答薬物放出性高分子複合体は、前記糖
応答性高分子複合体に水溶性薬物を混合することで得る
ことができる。水溶性薬物は、たとえば、インスリン、
グルカゴン、ソマトスタチン、公知の水溶性色素などで
ある。糖応答薬物放出性高分子複合体は、市販の透析膜
や半透膜に入れるかあるいはマイクロカプセル化するこ
とにより用いられる。
【0022】
【発明の効果】本発明のボロン酸高分子は、広範囲のp
H領域(pH=6〜12)において水溶性を有し、低毒性
であり、しかも様々な形態に調製することが可能である
ため、信頼性、安全性、取扱容易性等に優れたものであ
る。本発明の高分子複合体は、生体的pH領域(pH=
6.5 〜8.5 )において、糖応答性を有する。糖応答性と
は、糖濃度の上昇に伴い、ボロン酸基とアミノ基を含有
する高分子と多価水酸基を含有する高分子鎖の解離が起
こり、一方、糖濃度が低下するとこの高分子鎖間の解離
が低下することである。
【0023】本発明の糖応答薬物放出性高分子複合体
は、糖濃度に応答して薬物の放出を制御することができ
る。糖応答薬物放出性高分子複合体の水溶性薬物とし
て、インスリンを用いることにより、血糖値の増加に伴
いインシュリンを放出し、血糖値が低下するとインスリ
ン放出が止まるようなオートフィードバック機構を有す
る糖尿病治療用の製剤あるいは、人工膵臓として利用で
きる。本複合体を用いることにより、長期間投与を必要
とする患者に対して、毎回注射などを繰り返す必要がな
くなり、医師及び患者に対して煩雑さと苦痛を軽減する
ことができる。
【0024】また、糖応答薬物放出性高分子複合体の水
溶性薬物として色素を用いることにより、複合体から遊
離してくる色素を定量することによって糖センサーとし
て用いることができる。
【0025】
【実施例】次に実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。本発明の糖応答性高分子複合体は、ボロン酸基と
アミノ基を含有する高分子(ボロン酸基含有高分子)鎖
と多価水酸基含有高分子鎖のコンプレックス形成と解離
を利用したものであるので、高分子鎖のコンプレックス
形成と解離を調べる必要がある。本発明においてはコン
プレックス形成に伴う可視光の透過度の変化を調べるこ
とによりこれを評価した。
【0026】[実施例1] ボロン酸基とアミノ基を含
有する高分子(ボロン酸基含有高分子)の合成。 表1〜3に示した配合量でボロン酸基含有モノマー、ア
ミノ基含有モノマーおよびこれらと共重合可能なモノマ
ーと開始剤とを溶媒に溶かし、脱気封管中45℃にて0.5
時間重合させた。重合後、得られた高分子の貧溶媒で3
回再沈澱を行い精製した後、乾燥させた。
【0027】分子量は水系の静的光散乱法で測定した。
高分子に含まれるボロン酸含有量(B/P)の定量は原
子吸光によって、アミノ基及びアミド基に由来する窒素
含有量(N/P)は酸塩基滴定と元素分析によって行っ
た。表1〜3に前記各種モノマーの配合量、得られた高
分子の分子量、(B/P)と(N/P)およびpH6〜
12における水溶液への溶解性を示した。表中、モノマー
の配合量において、例えば「B1-2.5」はB1のモノマーを
2.5mol%配合したことを示すものである。
【0028】尚、表中の略号は次の化合物を示す。 B1;3−アクリロイルアノベンゼンボロン酸 B2;3−メタクリロイルアミノベンゼンボロン酸 N1;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド N2;N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミ
ド N3;N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート N4;4−ビニルピリジン N5;N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド
塩化メチル4級塩 N6;アクリルアミド N7;N,N−ジメチルアクリルアミド C1;N−ビニルピロリドン C2;アクリロイルモルホリン C3;ポリエチレングリコールモノメタクリレート(n
=9)。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】多価水酸基含有高分子の合成 [参考例1−1]N−[トリス(ヒドロキシメチル)メ
チル]アクルアミド 10mol%とN,N−ジメチルアクリ
ルアミド 90mol%とを、溶媒にジメチルスルホキシド、
開始剤にt−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエ
ート(0.025mol/l)を用い、脱気封管中50℃で1時間重合
し、エタノール/ジエチルエーテル系で3回再沈澱を行
ない精製した後、乾燥させた。得られた高分子の分子量
は150000であった。
【0033】[参考例1−2]アクリル酸 50mol%と
N,N−ジメチルアクリルアミド 50mol%とを溶媒に蒸
留水、開始剤に過硫酸アンモニウムを用い、脱気封管中
50℃で1時間重合し、アクリル酸共重合体を得た。この
共重合体を、アクリル酸のカルボキシル基と当モルのト
リス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとを蒸留水中で
1−エチル−3−(3−メチルアミノプロピル)カルボ
ジイミドを用いてアミド反応させ、精製した後、乾燥さ
せた。得られた高分子の分子量は223,000 であった。
【0034】[実施例2]表4〜7に示すように実施例
1で得られたボロン酸基とアミノ基を含有する高分子
と、多価水酸基を含む高分子とを、それぞれ2%緩衝液
溶液とした後、2mlずつ混合し、高分子複合体を得た。
この時、高分子複合体は白色のエラストリック(ゴム弾
性を有するような状態)なゲル状物となった。
【0035】この複合体に最終的に 500mg/dl となるよ
うに糖溶液を加えると、コンプレックスの解離が起こり
白く濁っていたものが透明に変化する。このときの時間
経過による 500nmの可視光の透過率の変化を測定した。
使用したボロン酸基とアミノ基を含有する高分子、多価
水酸基を含む高分子、糖および可視光の透過率の変化の
結果を表4〜6に示した。
【0036】[比較例2]表8に示すように参考例1で
合成した高分子と多価水酸基を含む高分子とをそれぞれ
2%の緩衝液溶液とした後、混合し、高分子複合体を得
た。ここで得られた高分子複合体は実施例2のように凝
集したゲルとはならず、溶液状態のままであった。
【0037】使用した参考例1で合成した高分子と多価
水酸基を含む高分子を表7にまとめて示した。尚、表4
〜8中の略号は次の化合物を示す。 PVA;ポリビニルアルコール PVA1;分子量88000 PVA2;分子量25500 PVA3;分子量5200 PBS; pH7.4-リン酸生理緩衝液 HEPES;pH7.4-ヘペス緩衝液 MOPS ;pH7.4-モプス緩衝液。
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【表7】
【0042】
【表8】
【0043】[実施例3−1]実施例2−1において緩
衝液として 0.5mg/ml の牛インスリン(シグマ社製)を
含むpH7.4 のリン酸生理緩衝液を用いて糖応答薬物放
出性高分子複合体を作成した。得られた糖応答薬物放出
性高分子複合体をティーバックに入れ、500mg/dlのグル
コースを含むpH7.4 のリン酸生理緩衝液20mlに入れ
て、放出されるインスリンの濃度を274nm のUV吸収に
よって測定したところ、91μg/mlであった。
【0044】[実施例3−2]実施例3−1においてイ
ンスリンの代わりに色素蛋白であるミオグロビンを使用
して、放出される3.36mg/ml のミオグロビン溶液の濃度
を500nm の可視光吸収によって測定した。100 分後にお
いて放出されたミオグロビン濃度は0.02mMであった。
【0045】[実施例3−3]実施例3−1において、
インスリンの代わりに0.174mg/mlのシアノコバラミン
(ビタミンB12) に変えて、シアノコバラミンの放出量
を278nm のUV吸収によって測定した。10分後において
放出されたシアノコバラミン濃度は0.08mMであった。
【0046】[比較例3−1]比較例2−1において得
られた高分子複合体をティーバックに入れ、pH7.4の
リン酸生理緩衝液20mlに入れて、放出されるインスリン
の濃度を274 nmのUV吸収によって測定しところ、12μ
g/mlであった。 [比較例3−2]比較例3−1においてインスリンの代
わりにミオグロビンを使用して、放出されるミオグロビ
ンの濃度を500nm の可視光吸収によって測定したとこ
ろ、0.005mM であった。
【0047】[比較例3−3]実施例3−3において糖
応答薬物放出性高分子複合体のティーバックを、pH7.
4 のリン酸緩衝液20mlに入れて放出されるシアノコバラ
ミンの濃度を測定したところ、0.015mM であった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 茂 千葉県柏市西原1−16−16 (72)発明者 久光 一誠 東京都北区王子6−2 公務員住宅6− 404 (56)参考文献 Methods Enzymol, 155(1987)(米)p.433−448 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 43/00 C08F 230/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】側鎖の置換基に−C64B(OH)2と下記
    一般式(I)なる群から選ばれる置換基とを有する付加
    高分子であって、高分子100 重量%あたり−C64
    (OH)2に由来するボロン0.05〜5重量%、一般式
    (I)なる群から選ばれる置換基に由来する窒素を0.5
    〜25重量%含み、分子量5000〜100万であるボロン酸基
    含有高分子と、この高分子100重量部に対して10〜3000
    重量部の多価水酸基含有高分子とからなる糖応答性高分
    子複合体。 【化1】 (R1、R2およびR3は、それぞれ単独でH、CH3また
    はC25であり、XはCl、Br、IまたはCH3SO3Oで
    ある。)
  2. 【請求項2】請求項記載の糖応答性高分子複合体と水
    溶性薬物からなる糖応答薬物放出性高分子複合体。
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