JP4298326B2 - センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、化学物質、特に血液中、唾液中又は尿中の生体関連物質を迅速かつ簡便に測定することのできるセンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、幾つかの化学物質を定量できるバイオセンサが実用化されている(特許文献1、特許文献2参照)。そのうち最も広く使われているのは、グルコースセンサである。グルコースセンサの主な用途は医療用途であり、糖尿病患者の診断に広く用いられている。血糖値の測定は糖尿病の診断に非常に重要であるため、ディスポーザブル血糖値センサを装着できる携帯型血糖測定器が既に実用化され、これは一般のユーザーも容易に入手することができるものである。ディスポーザブル血糖値センサとしては主に光学的なものと電気化学的なものとが実用化されている。光学的なものは、酵素反応の前後での反応・生成物の吸光度を測定することによる。また、電気化学的なものとしては、例えば、下記式に示す反応で生成する過酸化水素を測定し、グルコース濃度を求めるものが挙げられる。
【0003】
【化1】
【0004】
電気化学的な血糖値センサとしては、妨害物質の影響を低減するために、電極との電子移動を仲介するメディエータを用いるものも開発されている。これらは、半導体関連技術を用いることにより、微小で安価なセンサチップとともに提供されている。
【0005】
今後、このようなバイオセンサの需要はますます増大することが予想されるが、これに伴い、より安価に入手可能なものが求められると予想される。上記の市販されている携帯型血糖値測定器では、血糖値を測定するための上記ディスポーザブルバイオセンサの他、この信号を増幅して処理するためのアンプが必要である。センサチップ自体は比較的安価に入手することができるが、アンプは必ずしもそうではない。このため、アンプを必要とせず、チップだけで機能するものが得られれば、全体として格段の低価格化が実現でき、例えば血糖のみならず尿糖の測定等にも気軽に使えるようになると思われる。
【0006】
化学センサ、バイオセンサは、医療、環境、食品等の多くの分野で用いられており、その重要性は今後ますます高まりつつある。このうち、特に医療関係では、ヘルスケア、在宅医療の関係で、今後ますますその需要が増大するものと思われる。当該分野では、特に一般家庭のユーザーが、例えば血糖値又は尿糖値を測定するために、煩雑な操作を必要とせずに簡便に使用でき、しかも安価に入手できることが求められる。同様のことは、環境、食品分野でも要求されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2003−14687号公報
【特許文献2】
特開平10−262645号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、化学物質、特に血液中、唾液中又は尿中の生体関連物質を迅速かつ簡便に測定することのできるセンサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくとも、pH変化に対して体積が変化するゲルと、ダイヤフラムと、色素溶液が注入された流路を有する部材とからなるpHセンサであって、前記ゲルと前記色素溶液とは前記ダイヤフラムにより隔てられており、前記色素溶液は前記ゲルの体積変化に対応して前記流路内を移動するセンサである。
【0010】
本発明者は、(1)グルコースのような生体関連物質に応答するゲル(バイオケモメカニカルゲル)の体積変化を、(2)微小流路内の色素溶液の液柱の変化に変換するために、(1)のゲルと(2)の色素溶液とを、(3)ダイヤフラム(隔壁)を使用して分離し、ゲルの体積変化がそのまま色素溶液の液柱の変化として現れるようにすることにより、簡便かつ安価でありながら、充分な精度を有するセンサを実現し、本発明の完成に至った。
以下に本発明を詳述する。
【0011】
本発明のセンサは、少なくとも、pH変化に対して体積が変化するゲルと、ダイヤフラムと、色素溶液が注入された流路を有する部材とからなるpHセンサである。
上記pH変化に対して体積が変化するゲルとは、水とポリマーとからなり、ポリマーの網目状構造体中に水を取り込んでなるものであり、pH変化に応じて、水を取り込んで膨潤し、水を放出して収縮するゲルである。上記ゲルを構成するポリマーとしては、例えば、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸との共重合体、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸と1−ビニルイミダゾールとの共重合体等が挙げられる。上記N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸との共重合体からなるゲルは、中性領域で膨潤状態にあり、酸性領域で収縮し、一方、上記N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸と1−ビニルイミダゾールとの共重合体からなるゲルは、中性領域で収縮状態にあり、酸性領域、アルカリ性領域で膨潤する。上記水としてはポリマーの膨潤、収縮を妨げない物質が溶解されていてもよい。例えば、純水や公知の緩衝液等が挙げられる。
【0012】
上記ダイヤフラムは、上記ゲルと色素溶液とを隔て、上記ゲルの膨張収縮を色素溶液に伝える作用を有するものである。上記ダイヤフラムとしては、弾性を有する膜が好適に用いられ、例えば、シリコーンゴム膜、ポリウレタン膜等が挙げられる。なかでも、シリコーンゴム膜が好適に用いられる。
【0013】
上記色素溶液としては特に限定されず、肉眼による検知が容易なように着色されているものであればいずれのものであってもよい。上記色素溶液としては、全体が着色されていなくとも、水相の先端に油相が添付され先端の油相のみが着色されているようなものであってもよい。
【0014】
本発明のセンサは、pH変化に対して体積が変化するゲルにpH変化を伴う反応を触媒する生体素子を含有させて、バイオセンサとしてもよい。上記生体素子としては特に限定されず、例えば、酵素、微生物、抗原・抗体、レセプター、イオノフォア、プロトンポンプ、生体膜、人工生体素子等が用いられる(例えば、「バイオセンサー(軽部征夫監修、株式会社シーエムシー出版発行、2002年5月27日普及版第一刷発行)」参照)。
上記微生物として、硝化菌を使用した場合は、アンモニアセンサが得られ、大腸菌を使用した場合は、グルタミン酸センサが得られる。
【0015】
上記酵素としては、測定対象物質がグルコースである場合はグルコースオキシダーゼ等が用いられるが、この場合更に、グルコースオキシダーゼとグルコノラクトナーゼとが併用されることが好ましい。グルコースオキシダーゼとグルコノラクトナーゼとが併用されることにより、D−グルコノ−δ−ラクトンからD−グルコン酸への加水分解反応がより促進される。
測定対象物質が尿素である場合はウレアーゼが用いられる。尿素がウレアーゼに触媒されてアンモニアが生じpHが上昇し、ゲルの体積変化が引き起こる。
バイオセンサに詳しい者であれば周知のごとく、グルコースセンサを基礎として、グルコースまたはグルコース前駆体を生成する種々の生体反応物質もしくは生体活性を測ることもできる。例えば、本発明のグルコースセンサに水溶性デンプンとα−グルコシダーゼを包括固定化した膜を積層すると、α−アミラーゼ活性センサを構成できる。
pHを変化させる生体酵素反応やグルコースまたはグルコース前駆体を生成する生体酵素反応はこのほかにも多数知られている(「Springer Handbook of Enzymes(全25巻)、シュプリンガー出版」参照)。
【0016】
上記生体素子として抗原や抗体を選ぶときには、酵素修飾した抗体によるサンドイッチ法で、生体素子にpH変化またはグルコース生成を起こさせる機能を持たせることができ、任意の抗体もしくは抗原を検出することができる。
【0017】
本発明のセンサにおいては、上記ゲルと上記色素溶液とは上記ダイヤフラムにより隔てられており、上記色素溶液は上記ゲルの体積変化に対応して上記流路内を移動する構造を有する。このような構造を有することにより、pH変化に対する上記ゲルの体積変化を色素溶液の液柱の変化に変換して検知することができる。即ち、本発明のセンサでは、測定対象物質に起因するpH変化に応じて上記ゲルの体積が変化すると、その体積変化が、上記ダイヤフラムを介して色素溶液に伝わり、色素溶液が流路を移動することにより、測定対象物質の存在や濃度を肉眼により検知することが可能となる。
本発明のセンサは、複数の異なる測定対象物質を測定するバイオセンサを並列的に並べた集積型センサであってもよい。
【0018】
本発明のセンサの1実施形態としては、例えば、図2に示すものが挙げられる。図2に示された実施形態は、試料添加孔7が形成された基板、上記ゲル5が嵌入された基板、上記ダイヤフラム6が形成された基板、及び、液溜まり3とそれに繋がる流路4とが形成され色素溶液8が上記液溜まり3に充填された基板がこの順に積層され、かつ、上記試料添加孔7、上記ゲル5、上記ダイヤフラム6、及び、上記液溜まり3が同一直線上に配置された構造を有する。この形態のセンサでは、試料添加孔から試料を添加すると、試料のpHに応してゲルが膨潤又は収縮し、これに対応してダイヤフラム6が押し上げられるか又は押し上げられていたダイヤフラム6が平坦に戻ることにより色素溶液が流路内を移動する。この色素溶液の移動距離又は移動速度を測定することにより試料中の測定対象物質を検知し、その濃度を算出することができる。
【0019】
上記のとおり、本発明のセンサは、簡便かつ安価な化学センサ、バイオセンサを実現するための新原理・構造を有するものである。本発明のセンサは、簡便な構造を有し、安価であるので、一括大量生産することが可能であり、ディスポーザブルセンサとして使用することができる。
本発明のセンサは、医療、環境、食品等の多くの分野で用いることができ、特に医療関係では、ヘルスケア、在宅医療において、例えば、血糖値や尿糖値等を測定するために、一般家庭のユーザーでも煩雑な操作を必要とせずに簡便に使用でき、しかも安価に入手することができる。
【0020】
【実施例】
以下に、図面に示す実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
図1は実施例1におけるセンサの作製工程を示す図であり、図2は実施例1で作製されるセンサの分解図であり、図3は実施例1で作製されるセンサの動作原理を示した図であり、図4は実施例1で作製されるゲルの体積変化(a)と液柱の長さの変化を示した図(b)であり、図5は実施例1で作製されるセンサの検量線を示した図である。
【0022】
[実施例1]
(容器と流路の形成)
(1)基板洗浄
7740ガラス基板1(3インチ、500μm厚)を、加熱した31%過酸化水素:29%アンモニア:純水=1:1:4溶液中、及び、加熱した純水中で洗浄し、乾燥させる。
(2)ポリイミド層の形成
厚膜フォトレジスト2(MicroChem社製、SU−8)の密着性を高めるため、ガラス基板1上にポリイミド層を形成する。ポリイミドプレポリマー(東芝ケミカル社製、CT−4700)を500rpmで30秒、続けて6000rpmで30秒スピンコーティングする。オーブン80℃で15分間ベーク後、マスクアライナーで90秒間露光する。
【0023】
(3)厚膜フォトレジスト層の形成
ポリイミド層を形成したガラス基板1の上に、厚膜フォトレジスト2(SU−8)をスピンコーティングする。その後、95℃で遮光して5時間ベーキングする。
(4)露光、現像
液溜まり3と流路4のパターンを描いたフォトマスクを通し、マスクアライナーで30分露光する。露光後、現像、リンスを行う。これにより、色素溶液8を充填する液溜まり3と流路4とが完成する(図1(a))。
(5)ダイシング
ガラス基板1をダイシングソーでチップ状にダイシングし、8mm×28mmの大きさに切断する。
【0024】
(ゲル封入部、ダイヤフラム形成部の形成)
(6)基板の切断
厚さ0.5mmと0.3mmのアクリル板を、ダイシングソーで8mm×28mmの大きさに切断しチップを得る。
(7)ダイヤフラム形成部の形成
工程(6)で得られた厚さ0.3mmのチップに、電動ドリルで直径4mm程度の貫通孔をあけダイヤフラム形成部を形成する。ダイヤフラム形成部の位置は液溜まり3部分(円形の部分)と重なるようにする。
(8)ゲル封入部の形成
工程(6)で得られた厚さ0.5mmのチップに、電動ドリルで直径2mm程度の貫通孔をあけゲル封入部9を形成する。ゲル封入部9の位置は工程(7)におけると同様である。
【0025】
(9)チップの固定
工程(7)でダイヤフラム形成部が形成されたチップをポリビニルアルコール(PVA)を塗ったプラスチックシートに置く。それをドライオーブン(80℃)中で乾燥させて、プラスチックシート上にチップを固定する。
(10)ダイヤフラムの形成
ダイヤフラム形成部にシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE3475T)を滴下し、3000rpmで10秒間スピンコーティングする。これにより、ダイヤフラム形成部にダイヤフラム6が形成される(図1(b))。
【0026】
(流路部との張り合わせ)
(11)接着剤の塗布
工程(10)でダイヤフラム6が形成されたチップの裏面全体にシリコーンゴム(信越化学工業社製、KE−42−TS)を滴下し、2000rpmで10秒間スピンコーティングする。
(12)接着
流路4を形成したガラス基板1を工程(11)で得られたチップに貼り付ける。このとき流路4がつぶれないようにする(図1(c))。
【0027】
(13)PVA層の除去
シリコーンゴムが固まったら、プラスチックシートのついた上記チップを水に浸漬し、プラスチックシートをはがす。これにより、ダイヤフラム形成部にシリコーンゴム薄膜が形成される。
(14)シリコーンゴムの塗布
形成したシリコーンゴム薄膜の強度を高めるため、もう一度シリコーンゴム(KE3475T)を滴下し、4000rpmで5秒間スピンコーティングする。
(15)アクリル基板接着
工程(8)で得られたチップ(図1(d))を工程(14)で得られたチップ上に乗せ、接着する。
【0028】
(ゲルの作製)
(16)ゲル前駆体溶液の調製
50mlビーカーに純水40mlを満たし、そこに、モノマーであるN−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を3.57g、アクリル酸(AAc)を253mg、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド(MBAAm)を67.5mg、促進剤としてテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)を250μl加え、よく攪拌する。このゲル前駆体溶液を窒素置換し、溶存酸素を取り除く。
(17)酵素溶液の調製
酵素(グルコースオキシダーゼ)を5mg(800unit)とり、500μlの純水に溶かす。
【0029】
(18)前駆体溶液の冷却
工程(17)で調製した酵素溶液に工程(16)で調製したゲル前駆体溶液を500μl加え、全体で1mlの溶液とする。少し攪拌した後、0℃で10分程冷却する。
(19)ゲル化
重合開始剤として、ペルオキソニ硫酸アンモニウム(APS)1mgを加え、更に0℃で20分程冷却する。これによりゲル化が進行する。得られたゲルは50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.0)中に浸漬し、冷蔵庫(4℃)で保存する。
【0030】
(試料添加孔の形成)
(20)厚さ0.3mmのアクリル板のチップに電動ドリルで直径0.6mmの貫通孔を10〜16個あけ、試料添加孔7を形成する。試料添加孔7の形成位置はゲル封入部9と重なるようにする。
【0031】
(ゲルの封入)
(21)工程(19)で得られたゲルを直径2mm、厚さ1mmに切り、ゲル封入部9に入れ、工程(20)で試料添加孔7を形成したアクリル板を接着する(図1(e(試料添加孔側))、(f(流路側)))。その後、流路4に色素溶液8を充填する(図1(g))。
以上の工程により、グルコースセンサが完成する(図2)。なお、本実施例では、センサ本体を機械加工により形成したが、同様のものは、ホットエンボス、射出成形等の技術を用いて作ることもできる。
【0032】
本実施例でゲル5に固定したグルコースオキシダーゼ(GOD)は、下記式に示すグルコースの酸化反応に触媒作用をおよぼす酵素である。
【0033】
【化2】
【0034】
GODを包括固定化したゲル5がグルコース溶液にふれると、グルコースがゲル5内に浸透し、上記のような反応をおこす。そして、ゲル5内にグルコン酸が生じて溶媒のpHを下げる。そのことにより、解離していた高分子鎖のカルボキシル基がプロトン化される。このとき、NIPAAm鎖間の疎水性相互作用による引力が支配的になり、ゲル5が収縮する。
【0035】
中性の状態で膨潤させておいたゲル5をグルコースを含むサンプル溶液に接触させると、上記の反応によりゲル5は収縮し、この際、押し上げられていたシリコーンゴムからなるダイヤフラム6は平坦な元の形に戻ろうとする。この変化は流路4内の色素溶液8の液柱の変化としてとらえることができるため、この変化からグルコース濃度を求めることができる(図3)。なお、ここでは温度を一定にコントロールする必要があるが、これを行うには、センサのゲル5付近を手でつまみ、人間の体温を利用する等の手段が採りうる。
【0036】
ゲル5の収縮挙動(図4(a))は、忠実に流路4中の液柱の変化としてとらえることができる(図4(b))。最終的な収縮率はどの濃度に対しても同様であるため、これをグルコース濃度の指標とすることはできない。しかし、過渡状態においては、その変化率の明瞭な差が認められるため、時間を定めて液柱の長さを測定すれば、これからグルコース濃度を求めることができる。測定時間を定め、液柱の変化をグルコース濃度に対してプロットすると、図5のような検量線が得られる。このセンサでは、検量線が時間によって変化するというと特徴を有するが、測定時間をあらかじめ定めておけば、問題なく定量ができる。また、その時間を選ぶことにより、ある特定の濃度範囲だけを感度良く測ることもできる。図5に検量線を示した例では、mMオーダーの濃度を測定するのであれば、1分程度の時間で充分である。また、10分程度の時間をかければ、0.2mM程度の濃度も検出することができる。
【0037】
実施例1で作製されたセンサは1チップ分のバイオセンサであるが、実際には1枚の基板上に多数のバイオセンサを一括して作製することも可能である(実施例2以降についても同様)。
【0038】
[実施例2]
ゲルとして、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸と1−ビニルイミダゾールとの共重合体からなるゲルを使用すること以外は、実施例1と同様にしてセンサ本体を作製する。
(ゲルの作製)
(1)ゲル前駆体溶液の調製
純水溶媒1mlに対し、NIPAAm154mg、AAc7mg、1−ビニルイミダゾール(VI)18.4mg、MBAAm6.6mg、TMEDA9.36μl、を加え攪拌する。モル組成比は、NIPAAm:AAc:VI=14:1:2である。
(2)酵素溶液の調製
酵素(ウレアーゼ)を5mgとり、500μlの純水に溶かす。
【0039】
(3)酵素含有ゲル前駆体溶液の調製
工程(2)で調製した酵素溶液に工程(1)で調製したゲル前駆体溶液を500μl加え、全体で1mlの溶液とする。
(4)脱気
工程(3)で得られた酵素含有ゲル前駆体溶液を窒素でバブリングすることにより、溶存酸素を減らし、架橋しやすくする。脱気は約30分間行う。
(5)冷却
0℃の氷水につけ、30分程度おく。
(6)ゲル化
酵素含有ゲル前駆体溶液が冷えたら、APSを1mg/mlの割合で加え、そのまま0℃で1時間程度ゲル化させる。
【0040】
ゲルが得られたら、実施例1と同様にしてセンサ本体に封入する。このゲル5は、中性領域で収縮状態にあり、酸性領域、アルカリ性領域で膨潤することを特徴とする。このゲル5を尿素に接触させると、ここで生成するアンモニアにより、ゲル5中のpHが上昇する。これに伴い、ゲル5は膨潤し、液柱は伸びるため、この変化を測定することにより尿素濃度を求めることができる。実施例1で用いたグルコースオキシダーゼを用いても同様のセンサを作ることができる。ただ、この場合、グルコースに応答する液柱の変化は実施例1と逆になる。
【0041】
[実施例3]
本発明のセンサの用途によっては、応答時間をより速くしたい場合がある。実施例1に示した酵素反応では、D−グルコノ−δ−ラクトンからD−グルコン酸への加水分解が律速になっているため、この反応を速くすることにより応答時間を速くすることができる。
センサ本体は実施例1又は2と同様にして作製し、酵素としてグルコースオキシダーゼの他に、グルコノラクトナーゼも固定する。この酵素は、実施例1に示した反応で、D−グルコノ−δ−ラクトンからD−グルコン酸への加水分解を触媒する。
【0042】
[実施例4]
実施例1にしたがって、センサの本体を作製する。ただし、このとき、ゲル5を収容する容器を複数形成し、それぞれの容器から流路4を1本ずつ延ばす。実施例1と同様にして酵素を含むゲル5を作製する。ここでは実施例1で用いたグルコースオキシダーゼのようなpH変化を引き起こす幾つかの酵素を含むゲル5を別々に用意する。これを実施例1のような容器を幾つか並べた基板上の各ゲル封入部内に入れ、実施例1〜3の要領で異なる物質を測定するセンサを複数個形成する。例えば、ゲル5を1箇所に集め、ここにサンプルを滴下することで、これらのセンサを同時に動作させることもできる。
【0043】
上記の各実施例に示すように、ダイヤフラム構造を用いてゲルの体積変化を液柱の長さの変化に置き換えることができる。ゲルは非常に安価に作ることができ、またこれを収容する容器もプラスチック製で充分であるため、センサ自体の低価格化も容易に実現できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明のセンサは、簡便な構造を有し、安価に一括大量生産することが可能であるので、ディスポーザブルセンサとして使用することができる。本発明のセンサは、化学物質、特に血液中、唾液中又は尿中の生体関連物質を迅速かつ簡便に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1によるセンサの作製工程を示す図である。
【図2】実施例1で作製されるセンサの分解図である。
【図3】実施例1で作製されるセンサの動作原理を示す図である。
【図4】実施例1で作製されるゲルの体積変化(a)と液柱の長さの変化を示す図(b)である。
【図5】実施例1で作製されるセンサの検量線を示す図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板
2 厚膜フォトレジスト
3 液溜まり
4 流路
5 ゲル
6 ダイヤフラム
7 試料添加孔
8 色素溶液
9 ゲル封入部
Claims (7)
- 少なくとも、pH変化に対して体積が変化するゲルと、ダイヤフラムと、色素溶液が注入された流路を有する部材とからなるpHセンサであって、
前記ゲルと前記色素溶液とは前記ダイヤフラムにより隔てられており、前記色素溶液は前記ゲルの体積変化に対応して前記流路内を移動することを特徴とするセンサ。 - ゲルは、水と、N−イソプロピルアクリルアミドとアクリル酸との共重合体とからなることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- ゲルにpH変化を伴う反応を触媒する生体素子が含有されているバイオセンサであることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- pH変化を伴う反応を触媒する生体素子は、グルコースオキシダーゼであることを特徴とする請求項3記載のセンサ。
- pH変化を伴う反応を触媒する生体素子は、グルコースオキシダーゼ及びグルコノラクトナーゼであることを特徴とする請求項3記載のセンサ。
- 複数の異なる測定対象物質を測定するセンサを並列的に並べた集積型センサであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のセンサ。
- 試料添加孔が形成された基板、pH変化に対して体積が変化するゲルが嵌入された基板、ダイヤフラムが形成された基板及び、液溜まりとそれに繋がる流路とが形成され前記液溜まりに色素溶液が充填された基板がこの順に積層され、かつ、試料添加孔、ゲル、ダイヤフラム及び、液溜まりが同一直線上に配置されてなることを特徴とするセンサ。
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