JPH03125962A - pHセンサー - Google Patents

pHセンサー

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Publication number
JPH03125962A
JPH03125962A JP1263086A JP26308689A JPH03125962A JP H03125962 A JPH03125962 A JP H03125962A JP 1263086 A JP1263086 A JP 1263086A JP 26308689 A JP26308689 A JP 26308689A JP H03125962 A JPH03125962 A JP H03125962A
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JP
Japan
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gel
solution
sensor
ultrasonic
reflectance
Prior art date
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Pending
Application number
JP1263086A
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English (en)
Inventor
Yoshinori Tomita
佳紀 富田
Satoshi Yuasa
聡 湯浅
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明はセンサーに関し、更に詳しくはpHを測定する
pHセンサーに関する。
(従来の技術) 従来のpHの測定を主目的としたセンサーは、主に半導
体の抵抗、電位等の変化を測定して換算していた。これ
らのpHセンサーはセンサ一部を測定試料から保護する
目的で、測定試料に不活性且つ不可蝕なフィルムやガラ
ス等でセンサ一部を被うことが多い。その為、感度、応
答速度、不感時間等を犠牲にせざるを得なかった。
これらの影響を少なくする為にフィルムやガラスを極力
薄く加工しているが、加工にかかる手間が多く高価であ
り、且つ薄い為に破損し易ずいという欠点があった。
一方、MITの日中らは、pHの変化によって収縮又は
膨潤を可逆的に起こすゲルについて詳しく述べている。
このゲルの変化をセンサーに応用することは以前から考
えられており、相転移に伴うゲルの収縮又は膨潤といっ
た体積変化や白濁といった視覚的、光学的変化を利用し
てセンシングしようとしていた。
又、従来の音波によるセンシングとしては、ソナーと呼
ばれるものが主に海洋関係の業務に用いられてきた0例
えば、魚群探知器や潜水艦探知器がよく知られている。
しかし、これらのセンサーの目的物は、明らかに液体中
(海中)に存在する魚群等の固体そのものであり、セン
シングの対象は液体ではない。
更には、以上の様なセンサーは超音波探傷器として固体
中(主に金属内)の欠陥を非破壊で調査する目的にも広
く用いられているが、これは断面構造測定を主目的とし
ている。又、最近では、医療用としても超音波の応用が
広がり、例えば、体内の腫瘍の有無の検査にも超音波が
用いられている。これらの音波を用いたセンシングは、
液体内(固体内)に存在する物体(金属内の場合は空間
)の有無や位置の測定が目的の全てであり、上記のケミ
カルセンサーとは異なり、直接、間接を問わず、音波を
伝播する液体自身の測定をするものではない。
超音波を伝播する液体を対象とし、超音波を用いた測定
には、−成分から成る液体の音速の計測等がある。しか
し、これらは静的な測定であり、本発明の様に動的な音
響インピーダンス変化を測定するものではない。
(発明が解決しようとしている問題点)上記のpHセン
サーの問題点として、上述した理由等により、応答速度
が遅い、感度が悪い、不感時間が長い(履歴が残るのが
普通)、可逆性がない(pH試験紙は使い捨て)、加工
が難しく高価である、更には保護膜が薄い為、破損、故
障し易い等の欠点があった。
一方、従来から本発明者等もゲルを用いたセンサーを提
案(例えば、特開昭63−206653公報参照)して
きたが、そのセンシングの手段としては相転移に伴う物
性変化を、例えば、体積変化を物差で測定するとか、白
濁を分光器で測定するといった視覚的或は光学的方法で
捉えていた。
よって、例えば、不透明な液体等は測定不可能或は困難
であった。即ち、測定試料が限定されるという問題点が
あった。
加えて、ゲルの相転移は外部境界面からの物質拡散によ
って起こるので、平衡状態になる迄或は光学的にセンシ
ング可能となる迄にかなりの時間を要した(例えば、1
cmφの球状では平衡状態になる迄凡そ24時間、受光
素子等で測定可能となる迄でも凡そ1分間を要した)、
即ち、応答速度が遅いという問題点もあった。
従って本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し
、応答速度、感度、可逆性、加工性、価格、耐久性等に
優れたpHセンサーを提供することである。
(問題点を解決する為の手段) 上記目的は以下の本発明によって達成される。
即ち、本発明は、pH変化に応じて音響特性が可逆的に
変化する受信部と、前記受信部に音波を送波する手段と
、前記受信部を介して前記音波を受波する手段とを有す
ることを特徴とするpHセンサーである。
(作  用) pH変化に応じて音響特性が変化する受信部としてゲル
を採用することによって、応答速度、感度、可逆性、加
工性、価格、耐久性等に優れたpHセンサーを提供する
ことが出来る。
即ち、本発明ではpH変化により相転移を起こすゲルが
、相転移前後で音波に対する反射率や透過率が変化する
現象を利用するものである。
(好ましい実施態様) 次に好ましい実施態様を挙げて本発明を更に詳しく説明
する。
本発明に用いるゲルを構成するポリマーは、ポリビニル
アルコールやポリアクリルアミド、ポリアクリル酸等及
びそれらの混合物や共重合物を金属、金属塩、重合性架
橋剤等で架橋させた架橋高分子ある0本発明に用いるゲ
ルはこれらのポリマーを溶媒で膨潤させたものである。
本発明に用いるゲルの好ましい性質としては、ゲルを取
り囲むゲル外、或はゲル内の溶液や溶媒のpH変化に応
じて相転移を起こし、ゲル内の溶液や溶媒を放出して膜
膨潤を起こして収縮したり、逆に周囲の溶液又は溶媒を
吸収して(再)膨潤したりすることである。
従来この様な性質を持つゲルを産業上利用しようと種々
試みられてきたが、従来は、ゲルの相転移に伴う体積変
化や白濁といった視覚的変化或は粘性変化といったレオ
ロジー的なものを単に利用するに過ぎなかった。
これらのゲルは相転移に伴い、架橋高分子の網目の中に
溶液や溶媒が出入りすることにより、体積が凡そ1千倍
にも変化することが知られている。
本発明者等は鋭意研究の結果、ゲルに送波された音波の
反射率や透過率が、ゲルの収縮又は膨潤によるゲル内の
高分子濃度、高分子の密度、比重及び/あるいはゲル内
の音速の変化によって変化することを見い出した。
即ち、ゲルの収縮又は膨潤時の比重の大小関係は、ゲル
を構成する溶液や溶媒及びポリマー自身の比重により決
まる。一方、収縮時と膨潤時におけるゲル内での音速を
測定した結果、収縮時の方が音速が速くなることも見い
出した。
本発明者等は上記実験の結果、音響インピーダンスと呼
ばれる密度ρと音速Cとの積2が、ゲルの相転移の前後
で大きく変化することを見い出すに至った。
更には、本発明で扱うゲルの大きさはたかだか、凡そ数
十センチから数ミリ(特別な場合には数μm)であるの
で、測定する音波の波長も同じ位が好ましい、このこと
と、ゲルの密度や音速等と合わせ考えた結果、ゲルの測
定にはいわゆる超音波と呼ばれる領域が好ましいことが
判明した。
よって、本発明ではこの様な性質を持つゲルに超音波を
送波し、その反射率や透過率を測定することにより、ゲ
ルの周囲のpHを検出するpHセンサーが提供される。
尚、あくまでも、本発明に必要なゲルの性質とは、音響
インピーダンスを変化させることであり、ゲルの明確な
相転移は必ずしも必要ではな(、連続的な転移でもよい
。しかし、一般にセンサーとしてはシャープな立ち上り
が好ましいことが多いので、以下では不連続な相転移を
するゲルを例として説明する。
更には、膨潤時のゲルと溶液や溶媒或は測定試料溶液と
の音響インピーダンスが近似していることが望ましい、
つまり、膨潤時にはゲル内の成分は殆ど溶媒であり、ポ
リマー濃度が低い、つまり膨潤比が大きいことが望まし
い、これは測定上この様にすれば、SN比を大きく取る
ことができ、結果としてpHセンサー感度を向上できる
ことになるからである(後で詳述する)。
更に、超音波でモニタするということは広義には振動を
測定するという点でレオロジー測定と共通する部分もあ
る。しかるに、前述した如(本発明において使用するの
は数キロヘルツから数十メガヘルツという高周波の超音
波である。
よって、以前からゲルに対して行われてきたレオロジー
測定とは、その目的も手段も結果も異なるものであるこ
とは言う迄もない。
ついでに述べるならば、従来でも超音波によって高分子
フィルム等を検出することは勿論可能であった。しかし
、本発明の特徴はその存在を検出することが目的ではな
(、ゲルと超音波との相互作用の変化(差)をモニタし
て周囲の環境を測定することにある。よってゲルは高分
子から構成されてはいるが、超音波に対する状態が可逆
的に変化するという点において前記従来例とは明らかに
異なる。
本発明を更に詳述する。
本発明に用い得るゲルとは、前述した如(測定試料の状
態によって相転移を起こしてゲル内の密度や音速が変化
するものであればよい。ゲルとしてはポリビニルアルコ
ールやポリアクリル酸等の金属塩架橋ゲルでも構わない
が、より好ましくは分子架橋と呼ばれる架橋構造を持つ
ポリマーゲルが好ましい。
分子架橋ゲルの入手方法は、例えば、(メタ)アクリル
アミドやそれらの誘導体を生モノマーとして、必要に応
じてカルボキシル基を持つアクリル酸やアミノ基を持つ
アリールアミン等を混合し、分子架橋剤としてメチレン
ビスアクリルアミドやジビニルベンゼン等を主モノマー
に対して数%加える。
これらにラジカル開始剤を添加し、適当な溶媒を用いて
モノマー溶液を調製し、熱や光或はレドックス剤を用い
て重合を開始させる。重合時に用いる溶媒としては、前
記モノマーや添加物、混合物等を溶解するもので、且つ
必要に応じて生成ポリマーを溶解するものを選択する。
一般に用いられる溶媒としては、例えば、純水、食塩水
等の無機塩水溶液やアルコール、炭化水素、ケトン、エ
ーテル、エステル、芳香族炭化水素、クロロフォルム等
の有機溶媒或はこれらの混合溶媒であるが、モノマ一種
やポリマ一種或はセンシングする測定試料溶液等により
適宜選択する。但し、例えば、アクリルアミドの様に固
相でも重合するものについては、特に溶液や溶媒を必要
としない。
重合反応終了後、ポリマーを膨潤させる溶液や溶媒とし
ては、モノマー溶液として用いた溶液や溶媒と同じでも
よいが、一般には測定試料溶液と共通にするのが好まし
い。例えば、測定溶液が水溶液ならば、膨潤させる溶媒
、溶液としては純水或は何等かの塩の水溶液が好ましい
。勿論、ポリマーを十分に膨潤させる溶液や溶媒である
ことが第一条件である。
本発明に用いるゲルを構成するポリマー単独の比重は、
はぼ1.0である(殆どのものが0.9から1.2の間
である)。一方、このポリマーを膨潤させる溶液や溶媒
の比重がポリマーより大きいか小さいかによって、膨潤
させたゲルの比重がポリマーより大きくなるか小さくな
る。
しかるに、本発明ではポリマー単独で占めていた体積に
比べて、ゲルが遥かに大きく膨潤する(アクリルアミド
を主成分とするゲルの中には千倍にも膨潤するものがあ
る)場合には、一定体積内のポリマーの濃度(密度)が
低く、つまり殆ど溶液や溶媒であり、よって比重は膨潤
時には溶液や溶媒と殆ど同じであるとみなすことができ
る。
更に、収縮時にはゲルは(少なくとも局所的には)殆ど
の溶媒を放出するとみなせるので、ゲルの比重はそれを
構成するポリマー単独の比重と近似できる。
従って、膨潤時と収縮時とで比重に大きな差を得ようと
するならば、膨潤比の大きな溶液や溶媒で、且つポリマ
ーの比重との差の大きい溶液や溶媒を用いればよいこと
が分かった。
一方、ゲル内での音速を測定したところ、音速は膨潤時
にはゲルを構成するポリマ一種によらず、ゲルを膨潤さ
せている溶液や溶媒内とほぼ同じであった。収縮時には
逆にその溶液や溶媒の種類によらず、ゲルを構成するポ
リマーとほぼ同じ音速となった。これは前述した比重と
同様の理由、即ち膨潤時にはゲルは殆ど溶液や溶媒で、
収縮時には殆どポリマーで構成されていることによるも
のである。
よって、本発明では膨潤と収縮におけるゲルのこの性質
の違いをセンサーとして応用することに特徴がある0本
発明者等は鋭意研究の結果、このゲルの性質の違いを検
出する最も有効な手段は音波による反射率或は透過率を
測定すること、特に数キロヘルツから数十メガヘルツの
周波数領域の音波、いわゆる超音波による測定が好まし
いことを見出した。
本発明でいう、超音波とは1人間が聞くことを目的とし
ない音波1という広義の意味であり人間に聞こえること
もある。音波は物質の振動に伴い発生するものであるが
、本発明者等が本発明で対象としている超音波はその振
動周波数が数キロヘルツから数十メガヘルツにあるもの
を指す。
よって、前述した様に一般のレオロジー測定に用いる振
動周波数の様な更に低周波のいわゆる音とか揺れ等は含
まない。何故ならば、本発明で測定及び検出するゲルは
、本発明者等の測定では膨潤状態でも収縮状態でも、そ
の中での音速は約i、oooから3,000m/sであ
り、且つゲルの大きさはたかだか数十センチから数μm
の範囲である(これよりゲルが大きくなると形を維持す
ることが難しくなるし、これより小さいゲルは作製が困
難である)。
更には100メガヘルツより高周波になると、水中での
減衰が大きくなり測定上の制限が大きくなる。よってゲ
ルの状態を検出するのに最もふされしいのはいわゆる超
音波の領域である。例えば1周波数fが15キロヘルツ
の超音波の水中での波長は、25℃の蒸留水の音速が約
1,500m/sであるから λ=C/fより ん=10cm1 周波数でか15メガヘルツではえ=100μmである。
よって、数キロヘルツから数十メガヘルツの(超)音波
でゲルを観察することは妥当である。且つ、超音波は魚
群探知器や潜水艦探知器に用いられていることから分か
る様に液体中での減衰が小さいという特徴も併せ持つ。
これに対し音波と異なり、電波や光、X線等といった電
磁波は液体中では減衰が大きく、一般にはゲルの様なも
のを、しかも溶液や溶媒中で測定するのには適当でない
ことは常識である。
密度ρと音速Cとの積は音響インピーダンスと呼ばれ、
超音波の測定では重要な因子である(以下、音響インピ
ーダンスを記号Zで表す)。
即ち、超音波の反射は光の屈折と同様、異なる音響イン
ピーダンスの境界で起こるからである。
ここで異なる音響インピーダンスZ1とZ、とを持つ2
つの媒質の境界における入射波の強度に対する反射波の
強度(音圧ではない)の比を示す反射率Irは以下の様
に記述される(透過率は1−Irで表される)。
第1図で示した様に、超音波が境界の平面に斜めに入射
する場合には、Z、なる音響インピーダンスを持つ媒質
1から22なる音響インピーダンスを持つ媒質2への超
音波の入射角がθ1、透過波の屈折角がθ、で表される
とき、その反射率Irは で表される。
超音波が2つの媒質の境界の平面に垂直に入射するとき
には、θ1=θ、=0として で表される。
第2図で示した様にゲルが有限の厚さ2の時には、ゲル
内の音速なん3とすると、 で表される。
ここで、溶液や溶媒、測定試料溶液(以下測定液と略す
)の音響インピーダンスをZlとし、ゲルの収縮状態の
音響インピーダンスを28、膨潤状態の音響インピーダ
ンスをZ、として、測定液から収縮状態のゲルへ入射し
た場合の超音波の反射率をIr、測定液から膨潤状態の
ゲルへ入射した場合なIr’とするとpHセンサーとし
て感度を良くする為には、Irをなるべく大きく、Ir
’をなるべく小さ(、且つIrとIr’との比(Ir 
/I r’)を太き(すればよい。
その為には、目安としてZlとZ、の差を大き(、Z、
とZ、どの差を小さくすればよい、殆どのポリマー及び
ポリマーを膨潤させる溶液や溶媒は比重にはさほど大き
な差がないので、ゲルの膨潤時と収縮時とで音速の差を
大きくすることが有効である。
一般には溶液や溶媒とポリマーとの音速には大きな差が
ある。よって、膨潤状態のゲルから完全に脱溶媒させて
ゲルを構成するものが殆どポリマーという収縮状態にす
れば、反射率に大きな変化が現われる。
本発明のセンサーの基本的な構造及び動作を第3図以下
を参照して説明する。
第3図(a)から(d)はゲルを用いたセンサーの1例
である。1は測定容器、2は測定溶液、3は超音波の送
受波器、4は超音波の波面、5は膨潤状態のゲルを表す
1の測定容器は円柱や四角柱のバイブ状で測定溶液2を
フローしながら連続的に測定したり、或はビーカー状の
底のある容器で測定溶液を注入し溜めて測定する等、目
的用途に応じて変えても構わない。
2の測定溶液は、第3図(a)では、ゲルに相転移を起
こさせるだけの水素イオン濃度若しくは水酸イオン濃度
を含まず、ゲルの周囲を通過したり、ゲルの中を拡散す
る。この測定溶液によってゲルが収縮することはな(膨
潤状態を保つ、尚、超音波では気泡を雑音として検出す
るので、測定容器1に注入或は流入するときは気泡の入
らない様な配慮が必要である。
3の超音波送受波器は一般には送波器と受波器とが一体
となっていて、送波と受波を一定時間ごとに切り替えて
使うことが多い、しかし送波器と受波器とが一体になっ
ておらず、連続的に送波及び受波するタイプでもよい、
ここで、前述の超音波の入射波及び反射波はゲル側から
みた表現であり、超音波送受波器側からの送波が入射波
に、受渡が反射波或は透過波に相当する。
送波器に対する受渡器の位置によって反射波と透過波の
どちらを検出するかが決まる。尚、反射波をエコーと呼
ぶことが多い。
4の超音波はパルスで送波するのが一般的であり、測定
対象物の大きさや媒質の音速、超音波の周波数等により
パルス幅を決定したり、更には減衰を考慮して周波数を
決定する。
5のゲルは膨潤状態を示すものであり、その内部は溶媒
が拡散してゲルは十分膨潤している。肉眼や手で触る等
すればゲルと溶媒との境界は明らかであるが、前述した
如(、超音波の反射や透過でゲルの境界や存在を検出す
ることは出来ないか、或は出来ても反射率が低(て電気
的ノイズとの区別が困難である。
ゲルの作製例としては、アクリルアミド0.5g1メチ
レンビスアクリルアミド0.013mgを蒸留水10m
℃に溶解し窒素で溶存酸素を置換する。これにテトラメ
チルエチレンジアミンをlOμi及び過硫酸アンモニウ
ム1mgを添加して1時間静置するとゲルが出来る。
ゲル化の前の溶液状の時に、空の測定容器1内で型に嵌
めて成形すると、ゲルが測定容器1の器壁に接着され、
第3図の如(ゲルが測定容器内に形成される。更に接着
強度が必要な場合にはシアノアクリレート系の接着剤を
用いることも出来る。
尚、測定溶液のpHの測定範囲によって、アクリル酸や
アクリルアミンを数モル%共重合させる。第3図(b)
、(c)、(d)は測定溶液のpHが第3図(a)の測
定溶液と異なり、ゲルが相転移を起こし収縮した状態を
示す。
次に第3図(a)から第3図(d)迄を使ってセンサー
としての動作を説明する。
第3図(b)〜(c)〜(d)の様にpHに比例して連
続的に体積変化或は高分子濃度変化を起こすゲルもあれ
ば、pHがある一定以上になった途端に第3図(a)の
状態からいきなり第3図(d)の状態へ転移するゲルも
ある。又、同じゲルでもpHの変化が緩やかな時には連
続的に転移を起こし、pH変化が急な時には不連続に相
転移を起こす場合もある。
第3図(b)は第3図(a)よりゲル高分子濃度、高分
子密度が高くなり、その分だけゲルの厚さが薄(なって
いる、ゲルの厚さの変化に伴い測定溶液との境界面も若
干移動するが超音波の反射、透過に影響を及ぼすことは
ない。
更に高分子濃度、高分子密度が高くなると第3図(C)
、第3図(d)の如(5ゲルの厚さが薄くなっていく、
ゲル内の高分子の重量や分子量は常に一定に保たれ、そ
の分布とか濃度、密度が変化するだけである。超音波が
ゲルと測定液との界面に垂直に入射するとして、超音波
の入射波に対する反射波の強度比を表す反射率に注目す
ると、ゲル内の高分子濃度、密度の変化に伴い、比重ρ
が(この場合には一例として)太き(なり、音速Cも大
きくなり、よって第3図(b)から第3図(d)へと音
響インピーダンスZも太き(なる。
測定溶液2の音響インピーダンスもpH変化に伴い第3
図(a)から第3図(d)へと少し変化するが、ゲルに
比べるとその変化量が遥かに小さいのである範囲で一定
とみなし、Z、で表す。
第3図(a)の状態での音響インピーダンスZ3は、ゲ
ルの外部の測定溶液と殆ど同じなので反射率Irはゼロ
に等しい。第3図(b)から第3図(d)へとゲルが相
転移を起こすに従い、音響インピーダンスZ!は測定液
のZIとの差が大きくなるので反射率Ir’は太き(な
る、この反射率の差を超音波受波器で測定することによ
り、測定溶液の状態について、pHがある値以上である
ということを検出出来る。具体的には、例えば、アクリ
ル酸を共重合してメチレンビスアクリルアミドで架橋し
たポリアクリルアミドを純水で膨潤させたゲルは、膨潤
時の密度が、凡そ1.0g/cm”で、音速が凡そ1,
500m/sであった。よって音響インピーダンスは1
.5X10’N−8−m−3となる。
一方、収縮状態では比重は凡そ1.5、音速が凡そ2,
000m/sになるので音響インピーダンスは3.0×
10106N−8−に変化する。
これにより超音波がゲルと測定溶液との界面に対して垂
直に入射するとして反射率を計算する。
先ず、測定溶液が純水の時(密度1.0g/cm3、音
速1,500m/s、音響インピーダンス1.5×11
06N−8−3)、反射率はゼロなので、ゲルと測定溶
液の界面で反射せずに透過する。このまま超音波は直進
し、測定容器の他端で反射しく一般には測定容器はガラ
スや金属であり、超音波を反射する)、送波器と一体に
なっている受渡器に戻って来る。前述した如く、超音波
はパルスで発信(発振)していて、例えば、15メガヘ
ルツの周波数の時に10波分送波するのに要する時間は
約0.7μ秒間、純水中でのパルス長は凡そ1mmであ
る。
よって、膨潤時のゲルの厚さが1÷2mmつまり500
μm以上であれば、ゲルからの反射と測定容器からの反
射とを時間的に区別出来る。即ち、例えば、第3図で測
定容器が直径3mmで(ゲルが膨潤状態で1.5mmの
厚さがあったとすれば)測定容器の他端でパルスの先頭
が反射して受渡器に戻ってくる迄に最低4μ秒間かかる
よって送受波器を送波器として0.7μ秒間使い、その
後4μ秒間迄を受波器として使えば、ゲルからの反射波
だけを検出出来る。測定溶液が純水から3重量%の食塩
水に代わると、密度は1.021 g/cm” 、音速
は1,513m/sなので、音響インピーダンスは1.
54X10’N−8−m−3で純水と比較して若干変化
する。
一方、収縮状態のゲルは音響インピーダンスが3.0X
IO’ N−s−m−”と大幅に変化するのでゲルの界
面での反射率は前記(2)式より17%となる。上記の
測定容器及びゲルの大きさで超音波の反射波の先頭が受
渡器に戻ってくる迄の時間は、送波器からゲルの界面迄
の距離が1.5mmなので2μ秒間かかる。ゲルの界面
からの反射波パルスが全部戻って来る迄には2.7μ秒
間かかるが、前述した様に透過波が測定容器の他端で反
射して戻って来るのは4μ秒間以降なので収縮状態のゲ
ルからの反射と明らかに区別出来る。
一方、反射波の強度或はセンサーとしての感度は以下の
様にして求められる。一般には装置の入力電力や電歪素
子に実際にかかる電力或は超音波としての出力及びその
指向性利得等の各段階での効率等により、実際の送波や
反射波の強度は変化する。
入力電力を100Wとすると、先ずパルスジェネレータ
における減衰により送波器の電歪素子に到達したときに
は凡そSW位になる。電歪素子で振動に変換される時に
は、摩擦等により更に減衰し凡そ2Wになる。この超音
波が無指向性に拡散したとすれば送波器を中心とした半
径10mmの球面上での強さは2/(4πXIO”)W
/mm”である。
いま、指向性の高い送波器を用いて、指向性利得が10
0であるとすると、指向性軸上の送波器から10mmの
場所では無指向性の100倍のパワーとなるので200
/(4zx 10” )W/mm”である、この10m
mの距離を基準として、パワーは距離の自乗に反比例す
る。更に、伝播媒質による吸収減衰、散乱減衰があり、
加えて本発明の特徴であるゲルによる反射に伴う減衰が
ある、これに対し本発明では吸収及び散乱による減衰の
小さな媒質を用い、且つ装置構成上媒質の厚さを小さく
出来る0例えば、測定溶液が水溶液である場合、その吸
収減衰は凡そ1dB/cm以下であり、且つ前述の例に
示した様に測定溶液2の中を超音波が通る距離が1.5
mmであるときには、測定溶液による吸収は殆どゼロで
あると近似して構わない(純水で0.1dB/cm、3
wt%食塩水で1dB/cm)、散乱も同様に無視出来
る。よって反射による減衰のみを考えて入射波に対する
反射波の強度の比をIr或はIr’で表した。
本発明ではこの反射率が可逆的に変化するという他に例
のない材料を用いて、これをpHセンサーとして応用す
ることを特徴とする。この反射率の変化による超音波反
射波のレベル変化を受波器で受波し増幅する。この受渡
器の性能及びその後の増幅の手法等によっては超音波の
反射波がかなり弱くてもセンシングは可能となる。
よって本発明ではゲルを用いたことにより反射率が10
−6以上あればよいとした。この反射率は大きいほど好
ましいのは常識であり、特殊な増幅手段を用いずに検出
出来る一般的な反射率としては101程度が望ましい0
本発明で使用するゲルがこの反射率を満足することは前
述した通りである。尚、媒質である測定溶液による吸収
、散乱が少なくても、ゲルによる(特に収縮状態の)吸
収、散乱は大きくなるはずである。
しかるに本発明の特徴の1つは、このゲルの収縮層がわ
ずか数μmで強い反射を起こす(後で詳述)ことにあり
、よってその厚さに依存するゲルの吸収及び散乱は反射
に比べると殆ど無視出来ると考えてよい。反射波も拡散
減衰及び媒質による吸収があるが前記同様の計算で算出
出来る。
本発明の特徴であるゲルについて、その収縮状態での測
定溶液との境界面における反射率Irを101以上、よ
り好ましくは101以上に限定する。これより低い反射
率ではSN比が悪(なる等の理由によりゲルを用いたメ
リットが失われるからである0反射率が10−6のとき
レベル変化分として一60dB1反射率が101のとき
一20dBとなる。この変化分を加算した値がマイクロ
フォンの感度や測定系内の騒音、電気的なノイズ等より
優位な差があればよい、当然のことながら、超音波送受
波器とゲル或は測定溶液等の位置関係や効率等によりこ
の程度の反射ではノイズレベルの方が大きくて実際には
測定出来ないこともある。しかしながらベストなコンデ
イションでは生体材料の様に反射率10−’でも測定が
十分可能である。
尚、透過率はゲルが膨潤しているときに大きく、収縮す
ると透過率(1−Ir)が減少する。
前記反射率の限定を透過率に換算すると(吸収がないと
仮定して)、膨潤状態のゲルを超音波が透過してくる時
の強度を100%として99.9999%、より好まし
くは99%位、即ち10−’より好ましくは10””位
の変動があることが望ましい。
よって、反射率が小さいときには、透過率の変化分も小
さいので、例えば、超音波顕微鏡の様な微小な変化を検
出出来る装置が必要となる0反射率の場合には反射波の
絶対値が問題となったが、透過率では変動分を検出する
ので受波器の回路も異なる。
上記の例ではゲルが完全に脱水収縮したと仮定したが、
完全脱水しな(でもよいことを以下で述べる。受渡器の
感度が反射率1%でよいとすると、前記(3)式で反射
率を1%、測定溶液(上の例では食塩水)のZ、が1.
53X10’ N・s”m−”としてZ2を逆算すると
、1.87X10’N−s−m−”となる、よって、擬
収縮状態のゲルの比重を1,2とすると(完全収縮状態
では1.5とした)、音速は1,560m/sであり、
実測データからこの条件を満足するゲルは多く存在する
ことを確認した。尚、反射率が落ちてもパルスの戻って
来る迄の時間には影響が及ばないのは言う迄もない。
第3図はゲルが均一に収縮する場合を図示したものであ
るが、第4図はゲルが接液面から不均一に収縮していく
場合を例示したものである。第4図(b)において、6
はゲルの収縮状態を示す。
ゲルの収縮状態の部分6では第3図と同様、高分子濃度
、高分子密度が高くなり厚さが薄くなる。
第4図は第3図と異なり、収縮部分がゲルと測定溶液と
の界面近傍だけで、残りの部分は膨潤状態のままである
。但し、この状態は非平衡状態であり、この収縮部分は
次第にゲルの内部に迄拡散していき、最終的には第3図
と同様、均一に収縮したゲルとなる。
本発明のpHセンサーの長所は、この様な不拘−且つ非
平衡状態でも超音波で測定し、測定溶液の状態を検出出
来ることにある。
第4図(b)に図示した様に、相転移を起こしたゲルの
収縮部分の厚さを2とすると、J2が波長と同じ位の時
には、前記(3)式で示した様に、厚さβに対して反射
率Irは周期的に変化することが分かる0例えば、超音
波の周波数を15メガヘルツ、収縮状態のゲル内での音
速Cが3Km/Sとすると、ゲル内での波長λ2は20
0μmである。前記(3)式より、βが2nX50μm
(nは自然数)のときは反射率はゼロであり、βが(2
n−1)X50μmのとき反射率が最大値をとる。
具体的には、例えば、測定溶液の音速が1.5Km/s
で比重が1.0のとき、音響インピーダンス2.は1−
5 ×10 ’ N−s−m−”s前記の収縮ゲルの比
重が1.0とすると音響インピーダンスZ2は3.0×
1106N−8−弓である。
これから、収縮状態のゲルからの反射率Ir’を計算す
ると、最大反射率は収縮状態のゲルの厚さβが50μm
の時に36%となる。
即ち、膨潤ゲルの大きさに関わらず、その接液界面から
50μmの厚さ迄のゲルが相転移により完全に脱溶媒し
て収縮すれば、超音波の反射による信号は最大強度とな
る。
より現実的には、最大強度迄反射率が上がらな(でも、
超音波の反射波を測定、検出することは装置上、十分可
能である。
一般には反射率は10−6以上、SN比を考慮してより
好ましくは1O−2以上であればよい。
体積膨潤比が1,000倍とすると、厚さ方向には10
倍膨潤するので、前述の計算例で、収縮状態のゲルの厚
さが50μmとなる為には、膨潤状態では500μmの
ゲルに相当する。
水の自己拡散係数が2.14x10−’cm” /5(
25℃)なので、500μmの厚さ迄拡散して収縮、膨
潤する為には、計算上凡そ5.4秒間を要する。しかし
、上記の様に50ILm迄収縮層が広がらなくても、例
えば、2が25μmの時には、拡散時間2.7秒間で反
射率Ir’は22%であり、一般的な受渡器の感度から
考えれば十分な反射率で、測定及び検出が可能である。
尚、この反射率は厚さρに対して周期性を持つことは先
程述べた通りであり、例えば、上記のゲルでは収縮層が
広がり50umのときに最大反射率を示し、100μm
のときに反射率がゼロになり、150μmとなった時に
再び最大反射率となる。
この様に本発明の特徴の1つは、ゲルの相転移が均一で
な(とも(かえって不均一な方カリ測定対象物の検出を
高感度に行えることにある。例えば、受渡器の検出限界
が反射率で1%とすると、上記のゲルの例で収縮ゲルの
厚さ2が4.27μmであればよい、更には、反射率で
10%とすると、2は14μmであればよい、この厚さ
βを水が拡散するのに要する時間はβが4.27μmの
とき50μ秒間以下、βが14μmのとき150μ秒間
である。これらの計算及び実験結果から、本発明のpH
センサーは従来のものと比較して、遥かに高速且つ高感
度である。
同時に、相転移を起こす部分が1表面から数μm〜数百
μmで済むということは、その履歴の回復(本発明のゲ
ルの場合には収縮したゲルが周囲の溶液や溶媒を吸収し
て再膨潤すること)も速いということであり、よってセ
ンシングが不可能な不感時間も短くなる。
従来、ゲルを用いたpHセンサーかい(っか提案されて
きたが、その実現を妨げていた理由の1つは膨潤又は収
縮にかかる時間が、溶液や溶媒の拡散速度に依存してい
てセンシング及び回復の速度が遅いことにあった。その
主な原因はゲルの膨潤又は収縮を視覚的、光学的に捉え
ようとして、完全に白濁する迄或は体積が明らかに変化
する迄ゲル全体な相転移させたことによる。
本発明では超音波でゲルの表面(界面)の微妙な変化を
検出出来、高感度、高速及び不感時間の短いpHセンサ
ーを得た。
本発明のpHセンサーの特徴はゲルと超音波送受波器を
用いたことにあり、それらの配置やゲルの形状等は比較
的自由である。超音波送受波器には上記例の様な反射型
の他に受波器8が送波器7と独立して存在し、対象物を
挾む透過型もある。
本発明では反射型、透過型のどちらでもよいことは上述
した通りである。
第5図に図示した如く、ゲル及び超音波送波器及び受波
器を配置した透過率の変化によるセンシング例を説明す
る。
透過波で観測する時も、基本的にはゲルの相転移に伴う
音響インピーダンスの変化を利用する。
ゲルが膨潤状態での超音波送波器強度(N圧)をIt、
ゲルが収縮したときの強度をIt”とした時の変化率 
 Δ= (It−Ito)/ztを検出すればよい。
透過の時に特に問題になるのは吸収や散乱であるが、前
述した如く、膨潤状態では吸収、散乱は殆どなく、主に
界面での反射だけを考慮すればよい。
更に、ゲルの形状等が比較的自由である一例としてゲル
が粒状であり、且つ超音波送受波器に対して流動性を持
つ場合の例を第6図をもって説明する。
例えば、ゲル9が数mmから数μmの粒状であり、超音
波送受波器に至る少し前に測定溶液に混合して流す場合
を考える。超音波による検出は測定液の流速や粒状ゲル
の揺らぎ等に対して遥かに短時間なので、前述の塊状の
ゲルとの違いは、ゲルの密度(頻度)低下による反射波
の減少とその場所である。
粒状で測定液に混合してpHセンサーに流すと、ゲルが
pHセンサーの近傍迄来るのを避けられない、これによ
り超音波が発振中に一部が反射してくるので、送波器と
受渡器が一体になっていて時間分割して使い分けている
場合には送波器として使っている間の反射波の強度が無
駄になってしまう。
よってその分を捨てるか、或は送波器とは別に受波器を
設けて送波中でも受波が出来る様な構成にする(透過で
測定すれば問題はない)。
一方、ゲルを粒とすると、いわゆるバルク状態と比較す
れば、どうしても密度(頻度)が低下するし散乱による
ロスも大きくなる。これを補う為には、ゲル粒の個数を
多くすればよいが、現実には凝集やコスト等の問題があ
り無限には増やせない、その分だけ反射波の強度が低下
するのはやむをえない。その代わり、小さい粒の方が測
定溶液内の因子に対する応答性がよ(、且つ粒を使い捨
てに出来るので履歴も問題にならない。粒の様な小さい
反射体からの反射は、例えば、半径2mmの剛球が均一
な媒質中に単独に存在する場合の反射損失は約60dB
である。よってゲルからの反射損失は凡そ70〜90d
B位と考えてよい。これらを加味してpHセンサー内の
各部品の配置や距離或はセンシング時間等を適宜決定す
る。
尚、ゲルの収縮はバルクの時と同様、表面から数μm程
度で十分な反射強度を与える。よって、バルクより拡散
が速やかに行われるので、更に高速・高感度なpHセン
サーとなる。
(実施例) 次に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。
実施例1 第7図すにおいて内径の直径3mmのアルミニウムバイ
ブ11の内壁に超音波送受波器3を設置した。超音波送
受波器30対向する位置にゲルを注入する為の枠10(
第7図a)を1.5mmの高さとなる様に設けた。
N−イソプロピルアクリルアミド50mg、アクリル酸
0.8mg、N、N’−メチレンビスアクリルアミド1
.3mgを蒸留水1mβに溶解し、窒素ガスで30分間
バブリングした。これを水冷しテトラメチルエチレンジ
アミンを6μC1続いて硫酸アンモニウムを1mg添加
して、アルミパイプ内の枠に素早(注ぎ、窒素雰囲気下
で1時間静置した。
これをpHセンサーとして、バイブ内に温度制御した塩
酸とクエン酸ナトリウムを混合した溶液(20℃)を流
して超音波の反射波を測定した。
中心周波数15メガヘルツで20dB、帯域幅15メガ
ヘルツの水晶圧電トランスジューサを超音波発振器とし
て用いた。666ナノ秒、10波分を送波し、その後4
マイクロ秒間迄を上記超音波トランスジューサで受波し
電圧に逆変換した。
これを10マイクロ秒間毎に10回繰り返して。
その平均を反射波の強度とした。
pHが5.6以上のとき、超音波の反射波は観測されず
、徐々にpHを下げて行き、pHが5.6以下の混合液
を流した時に超音波の反射が観測された。よって、この
pHセンサーはpHが5.6以上か5.6以下を区別す
ることが可能である。
一般的注意として、超音波では気泡を雑音として検知す
るため、測定溶液内に泡が立たない様にpHセンサー内
に注ぐときには配慮を要する。
比較例1 実施例1において、ゲルを設置しないものを比較例とし
て用意した。このものは測定溶液の状態にかかわらず1
.超音波反射波に変動がな(、且つ反射波の強度も弱く
、ノイズとの分離が困難であった。以下のどの実施例に
おいてもゲルを用いない場合には有効な検出は不可能で
あった。
実施例2 実施例1において、N−イソプロピルアクリルアミドの
代わりにアクリルアミド50mgを用いて同様のゲルを
作製し、pHセンサーとした。このゲルはpHが5.5
以下で収縮し、それ以上では膨潤するものであった。
このpHセンサーはpHが5.6以上がそれ以下かを検
出するものである。
アクリル酸以外でもメタクリル酸とかクロトン酸等を共
重合させると各々、pH5,4、pH5,3を検出出来
るpHセンサーが得られた。また、アクリル酸の代わり
に、メタクリル酸2−ジメチルアミノエチルエステルを
アクリル酸と同モル%共重合させるとpHが8.6前後
で変化するセンサーとなった。
これらのゲルを第8図の様に、厚さ0.2mmのアクリ
ル板12に1cm間隔で固定し、アクリル板を移動して
超音波送受波器に対向するゲルからの反射波を測定し、
その時の測定溶液のpHをセンシングした。
このpi−tセンサーにより、pHが5.3から5.6
迄の間及び8.6の間なら、測定溶液のpHがいくつ以
上いくつ以下であるかが分かり、実施例1より正確にp
Hを測定出来た。
実施例3 第5図に図示した如く、ゲル、超音波送波器及び受波器
を配置して、超音波の透過率の変化によるセンシング例
を説明する。
透過波で観測する時も、基本的にはゲルの相転移に伴う
音響インピーダンスの変化を利用する。
ゲルが膨潤状態での超音波透過波の強度をIt、ゲルが
収縮したときの強度をIt’とした時の変化率 Δ=It’/It を検出すればよいことは前述した。
実施例1と同様の材質及び大きさ測定容器を用いて、透
過法でpHに対する透過率も測定したところ、実施例1
と同様、pH5,6で透過率に大きな変化が見られた。
よってこれをpHセンサーとして用いると実施例1と同
様、測定溶液がpH5,6以下が以上かを見分けること
が出来た。
実施例4 ゲルが粒状であり、且つ超音波送受波器に対して流動性
を持つ場合を例示する。
実施例1と同様の組成のゲルを平均粒径1mmの粒とし
、このゲル粒が約100個/ m itの割合で存在す
る純水膨潤ゲル溶液を用意した。
pHセンサーとじては、直径10mmの熔融石英管内に
送波器と受波器が一体型の超音波送受波器を設置した。
純水膨潤ゲル溶液を測定溶液に対して、体積で1/10
の割合で混合して、1分間後にpHセンサー内に注入し
た。測定溶液のpHが5.6以下の時、比較として用意
した純水膨潤ゲルを添加しないか、或は純水のみを添加
した測定溶液と比較して、明らかに強い反射波を検知し
た。pHが5.6以上のときは比較サンプルと同程度の
弱い反射強度であった。
実施例5 第9図の様に測定容器1の内面をゲル4で被覆すると、
超音波送受波器3は直接測定溶液2に接することがな(
、且つ超音波は測定溶液内を伝播することなく、ゲル内
のみを往復して受波器に反射波が戻って来る。よってゲ
ルが超音波送受波器の保護を兼ね、且つ測定溶液による
音響インピーダンスの変化にも影響を受けないpHセン
サーとすることが出来た。
(発明の効果) 以上の通り本発明によれば、 (1)超音波はゲルの収縮が表面から数μmでも検出可
能なので高感度・高速且つ不感時間が短い。
(2)ゲルが測定溶液と直接に接するので高感度・高速
である(pHメータの様に測定溶液との間にガラスがな
いから)。
(3)超音波で検出するので不透明な試料でも検出可能
である。
(4)超音波送受波器とゲル(及びパルスジェネレータ
と増幅器)という簡単な装置構成から成りpHセンサー
として安価であり且つ故障に強い。
(5)可逆性があるので繰り返し測定が出来る。
(6)電磁波と違って自然界には超音波のノイズに相当
するものがないか、あっても測定系に伝播・混入しない
のでノイズに強い。
という効果を奏するpHセンサーが提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は超音波の反射及び透過を説明する為
の図である。第1図では超音波の波長に対して無限の厚
さを持つ媒質間での反射及び透過を、第2図では媒質1
内に有限の厚さ1の媒質2が存在する時の反射及び透過
を表す。 第3図から第6図は本発明の原理及び動作を説明する為
の図である。第3図ではゲルが均一に収縮する時の様子
を、第4図ではゲルが表面から不均一に収縮する様子を
模式的に表す、第5図は透過型のpHセンサーの配置・
構成を説明する図である。第6図はゲルが粒状で且つ流
動性のある場合を表す。 第7図から第9図は本発明の詳細な説明する為の図であ
る。第7図(a)は本発明のゲルを形成する枠で、第7
図(b)は超音波送受波器をゲルに対向して設置したp
Hセンサーを表す。第8図は相転移温度の異なるゲルを
立方体として切り出し、これをアクリルの板上に一定間
隔で接着したpHセンサーを表す。第9図は測定容器内
の円周にゲルを形成したpHセンサーの図である。 7:超音波送波器  8:超音波受波器9:粒状ゲル 
  10ニゲル形成用の枠11ニアルミニウムバイブ 12ニアクリル板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)pH変化に応じて音響特性が可逆的に変化する受
    信部と、前記受信部に音波を送波する手段と、前記受信
    部を介して前記音波を受波する手段とを有することを特
    徴とするpHセンサー。
  2. (2)該受信部がゲルにより構成されている請求項1に
    記載のpHセンサー。
  3. (3)ゲルがpH変化に応じて比重変化、高分子濃度変
    化及び高分子密度変化起こす請求項2に記載のセンサー
  4. (4)ゲルがpH変化に応じて相転位を起こす請求項2
    に記載のpHセンサー。
  5. (5)音波の中心周波数が1キロヘルツから100メガ
    ヘルツである請求項1に記載のpHセンサー。
JP1263086A 1989-10-11 1989-10-11 pHセンサー Pending JPH03125962A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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