JP3185825B2 - 標準試料 - Google Patents

標準試料

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JP3185825B2
JP3185825B2 JP06064093A JP6064093A JP3185825B2 JP 3185825 B2 JP3185825 B2 JP 3185825B2 JP 06064093 A JP06064093 A JP 06064093A JP 6064093 A JP6064093 A JP 6064093A JP 3185825 B2 JP3185825 B2 JP 3185825B2
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哲也 丸尾
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  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)
  • Electron Tubes For Measurement (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は、二次イオン質量分析
装置の、深さ方向の分解能校正及びイオンビーム誘起拡
散評価に用いて好適な標準試料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、原子質量の精密測定、分子線エピ
タキシ(MBE)等により成膜される薄膜等の化学分
析、有機化合物イオンの原子組成の決定等において、二
次イオン質量分析装置が好適に用いられている。該二次
イオン質量分析装置における通常の分解能評価方法は、
分布がイオン強度の90%になった時点でそのイオンの
元素を含む層が存在すると判定し、10%以下になった
時点でそのイオンの元素を含む層が消失したと判定して
いる。そして、該二次イオン質量分析装置の深さ方向の
分解能を校正する場合、通常、数10オングストローム
から数100オングストロームの厚みを有する異種物質
の層を基板上に交互に積層させた試料を校正用の標準試
料とし、該標準試料のイオン強度分布により校正を行な
っていた。図8及び図9は上記のイオン強度分布の一例
であって、図8はSi層上にW層を積層させた膜におけ
る深さ方向のWとSiのイオン強度分布を示す図であ
り、図9は4nmの厚みのW層とC層とを交互に積層し
た膜における深さ方向のWとCのイオン強度分布を示す
図である。
【0003】また、イオンビーム誘起拡散の評価を行う
場合、前記標準試料を深さ方向にスパッタエッチングし
ながら当該層中の異種物質のイオン強度を測定し、該イ
オン強度から各層中の深さ方向の異種物質の濃度を求め
ることにより評価を行なっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の標準
試料では、該試料中に複数の異種物質の層が存在してい
ることにより、これらの異種物質の層の間の界面近傍で
は、いわゆる界面効果が生じ、分析すべき元素の濃度分
布に対応するイオン強度分布が界面近傍で異常に大きく
なったり、また小さくなったりするという問題点があっ
た。また、ある物質層中に異種物質が存在しているとマ
トリックス効果が生じ、分析すべき元素の濃度分布に対
応するイオン強度分布が存在比以上に大きくなったり、
また小さくなったりするという問題点があった。したが
って、分解能が低下し、上記分析によるイオン濃度分布
と実際の元素の濃度分布とが大幅に異なる場合が多く、
分析結果の信頼度が低下する一因になっていた。
【0005】例えば、図8の場合では、Wイオンの強度
はW層とSi層の界面において約104カウントから1
5カウントへと1桁程度も異常に大きくなり、WとS
iの元素の濃度分布を精度良く求めることができない。
また、図9の場合では、界面効果が現われてWのイオン
強度及びCのイオン強度共に界面で強度が強まり、実際
の層の存在位置から共にずれてしまうことになる。この
結果、双方の元素のピークが同期して検出され、積層膜
にもかかわらずW及びCのいずれもが界面近傍の位置に
ピークを有する分布が得られることとなる。
【0006】また、従来の標準試料では、二次イオン質
量分析において生じるイオンビーム誘起拡散評価を行う
場合、各層中の深さ方向の異種物質の濃度を求めること
はできるが、当該層中の同種物質の濃度変化を求めるこ
とができないという問題点がった。このように、従来の
標準試料では、二次イオン質量分析装置の分解能の精度
を向上させることが困難であった。
【0007】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、二次イオン質量分析装置の分解能の校正の
精度を向上させることができ、したがって、分解能の精
度を向上させることができ、イオンビーム誘起拡散評価
を可能にすることができる標準試料を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は次の様な標準試料を採用した。すなわち、
基板上に、金属単体からなる同位体を主成分とする物質
層を複数積層させた構造とし、この積層構造の隣合う層
に含まれる前記同位体は質量が互いに異なることを特徴
としている。
【0009】
【作用】本発明の標準試料では、金属単体からなる同位
を主成分とする物質層を複数積層させた構造とし、こ
の積層構造の隣合う層に含まれる前記同位体は質量が互
いに異なることにより、該標準試料を二次イオン質量分
析装置の分解能の校正に適用すると、物質層の化学的性
質が全く同一であるから界面効果及びマトリックス効果
が消失し、異常な二次イオン強度の増減がなくなり、精
度の良い二次イオン強度分布を測定することが可能にな
る。したがって、該二次イオン強度分布と同位体の積層
厚みを比較することにより、二次イオン質量分析装置の
深さ方向の分解能を正確に求めることができる。
【0010】また、該標準試料を深さ方向にスパッタエ
ッチングしながらイオン強度を測定する場合、第1の物
質層をスパッタエッチングする際に、次の層である第2
の物質層に含まれるイオンが検出される。このイオンは
第2の物質層から第1の物質層へ拡散したものであるか
ら、このイオンの検出位置を求めることにより、このイ
オンの第1の物質層における拡散の度合を知ることがで
き、イオンビーム誘起拡散を評価することができる。
【0011】また、第1の物質層のエッチング終了後、
第2の物質層をエッチングする際に該第2の物質層中の
第1の物質層のイオンを検出することにより、エッチン
グの際に第1の物質層のイオンが第2の物質層へ拡散す
る度合を知ることができ、エッチングによるノックオン
効果の程度を知ることができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明に係る標準試料の各実施例につ
いて図に基づき説明する。 実施例1 スパッタ法により、Si基板上に厚み20nmの58Ni
層と62Ni層を交互に3層づつ積層させた積層膜を成膜
し、標準試料とした。図1は該標準試料を二次イオン質
量分析した場合のイオン強度分布を示す図である。ここ
では、イオン照射に10keVのO2+を用い、エッチン
グしながら58Ni層と62Ni層各2層づつの深さ方向の
イオン強度分布を求めた。
【0013】この測定結果では、界面効果やマトリック
ス効果による異常なカウント数の増減がなくなり、強度
分布が層の界面において急峻になっている。また、従来
の異種物質の積層膜にみられるような、2種の物質から
の異種イオンの強度分布の同期は観測されなかった。以
上により、二次イオン質量分析装置の深さ方向の分解能
を、58Ni層と62Ni層のイオン強度分布の立ち上がり
及び立ち下がりを基に校正し評価することができた。
【0014】実施例2 上記実施例1と同様に、Si基板上に厚み20nmの
182W,184W,186Wを主成分とする3成分W層と厚み
20nmの183Wを主成分とする183W層を交互に3層づ
つ積層させた積層膜を成膜し、標準試料とした。図2は
該標準試料を二次イオン質量分析した場合のイオン強度
分布を示す図である。ここでは、イオン照射、エッチン
グ等の諸条件は上記実施例1と同様とした。
【0015】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなくなり、強度分布が層の界面において急
峻になっている。また、従来の異種物質の積層膜にみら
れるような、2種の物質からの異種イオンの強度分布の
同期は観測されなかった。以上により、二次イオン質量
分析装置の深さ方向の分解能を、3成分W層と18 3W層
のイオン強度分布の立ち上がり及び立ち下がりを基に校
正し評価することができた。
【0016】実施例3 上記実施例1と同様に、Si基板上に厚み20nmの
120Sn,118Snを主成分とする2成分Sn層と厚み2
0nmの119Snを主成分とする119Sn層を交互に3層
づつ積層させた積層膜を成膜し、標準試料とした。図3
は該標準試料を二次イオン質量分析した場合のイオン強
度分布を示す図である。ここでは、イオン照射、エッチ
ング等の諸条件は上記実施例1と同様とした。
【0017】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなくなり、強度分布が層の界面において急
峻になっている。また、従来の異種物質の積層膜にみら
れるような、2種の物質からの異種イオンの強度分布の
同期は観測されなかった。以上により、二次イオン質量
分析装置の深さ方向の分解能を、2成分Sn層と119
n層のイオン強度分布の立ち上がり及び立ち下がりを基
に校正し評価することができた。
【0018】実施例4 上記実施例1と同様に、Si基板上に厚み20nmの56
Fe層と57Fe層を交互に3層づつ積層させた積層膜を
成膜し、標準試料とした。図4は該標準試料を二次イオ
ン質量分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
ここでは、イオン照射、エッチング等の諸条件は上記実
施例1と同様とした。
【0019】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなくなり、強度分布が層の界面において急
峻になっている。また、従来の異種物質の積層膜にみら
れるような、2種の物質からの異種イオンの強度分布の
同期は観測されなかった。以上により、二次イオン質量
分析装置の深さ方向の分解能を、56Fe層と57Fe層の
イオン強度分布の立ち上がり及び立ち下がりを基に校正
し評価することができた。
【0020】実施例5 スパッタ法により、Si基板上に厚み10nmの102
u層と98Ru層を交互に3層づつ積層させ、さらに厚み
200nmの102Ru層と98Ru層を2層づつ交互に積
層させた積層膜を成膜し、標準試料とした。図5は該標
準試料を二次イオン質量分析した場合のイオン強度分布
を示す図である。ここでは、イオン照射、エッチング等
の諸条件は上記実施例1と同様とした。
【0021】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなくなり、強度分布が層の界面において急
峻になっている。また、従来の異種物質の積層膜にみら
れるような、2種の物質からの異種イオンの強度分布の
同期は観測されなかった。以上により、二次イオン質量
分析装置の深さ方向の分解能を、102Ru層と98Ru層
のイオン強度分布の立ち上がり及び立ち下がりを基に校
正し評価することができた。
【0022】実施例6 スパッタ法により、Si基板上に厚み10nmの92Mo
層と96Mo層と98Mo層を順次積層させ、再度この操作
を繰り返し、2周期構造の積層膜を成膜し、標準試料と
した。図6は該標準試料を二次イオン質量分析した場合
のイオン強度分布を示す図である。ここでは、イオン照
射、エッチング等の諸条件は上記実施例1と同様とし
た。
【0023】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなくなり、強度分布が層の界面において急
峻になっている。また、従来の異種物質の積層膜にみら
れるような、3種の物質からの異種イオンの強度分布の
同期は観測されなかった。以上により、二次イオン質量
分析装置の深さ方向の分解能を、92Mo層と96Mo層と
98Mo層のイオン強度分布の立ち上がり及び立ち下がり
を基に校正し評価することができた。
【0024】実施例7 スパッタ法により、Si基板上に厚み20nmの182
層と184W層と182W層を順次積層させた積層膜を成膜
し、標準試料とした。図7は該標準試料を二次イオン質
量分析した場合のイオン強度分布を示す図である。ここ
では、イオン照射、エッチング等の諸条件は上記実施例
1と同様とした。
【0025】この測定結果においても上記実施例1と同
様に、界面効果やマトリックス効果による異常なカウン
ト数の増減がなく、また、184W層のイオン強度分布曲
線の裾野が広がっているのが明瞭に観測された。以上に
より、イオンビーム誘起拡散を評価することができた。
【0026】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の標準試料に
よれば、基板上に、金属単体からなる同位体を主成分と
する物質層を複数積層させた構造とし、この積層構造の
隣合う層に含まれる前記同位体は質量が互いに異なる
で、界面効果及びマトリックス効果を消失させることが
でき、異常な二次イオン強度の増減をなくすことがで
き、精度の良い二次イオン強度分布を測定することがで
きる。したがって、該二次イオン質量分析装置の分解能
の校正の精度を向上させることができ、分解能の精度を
向上させることができる。また、物質層におけるイオン
の拡散の度合を知ることができ、イオンビーム誘起拡散
を評価することができる。
【0027】また、エッチングの際にある物質層中に隣
接する他の物質層のイオンが拡散する度合を知ることが
でき、エッチングによるノックオン効果の程度を知るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図2】本発明の実施例2の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図3】本発明の実施例3の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図4】本発明の実施例4の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図5】本発明の実施例5の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図6】本発明の実施例6の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図7】本発明の実施例7の標準試料を二次イオン質量
分析した場合のイオン強度分布を示す図である。
【図8】従来の標準試料を二次イオン質量分析した場合
のイオン強度分布を示す図である。
【図9】従来の他の標準試料を二次イオン質量分析した
場合のイオン強度分布を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 丸尾 哲也 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 川村 朋晃 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−179468(JP,A) 特開 昭64−75935(JP,A) 特開 平3−84435(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 1/00 102 G01N 1/28 G01N 23/225

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、金属単体からなる同位体を主
    成分とする物質層を複数積層させた構造とし、この積層
    構造の隣合う層に含まれる前記同位体は質量が互いに異
    なることを特徴とする標準試料。
JP06064093A 1993-03-19 1993-03-19 標準試料 Expired - Lifetime JP3185825B2 (ja)

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