JP3184905B2 - 生物膜用担体、並びに該生物膜用担体を用いた、水浄化装置、藻場、水浄化方法、藻場形成方法、飼料製造方法および肥料製造方法 - Google Patents

生物膜用担体、並びに該生物膜用担体を用いた、水浄化装置、藻場、水浄化方法、藻場形成方法、飼料製造方法および肥料製造方法

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JP3184905B2 JP26800697A JP26800697A JP3184905B2 JP 3184905 B2 JP3184905 B2 JP 3184905B2 JP 26800697 A JP26800697 A JP 26800697A JP 26800697 A JP26800697 A JP 26800697A JP 3184905 B2 JP3184905 B2 JP 3184905B2
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  • Fodder In General (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は上下水、河川、池、
ダム、湖沼、海などの水を浄化する方法および装置、並
びに生物育成のための藻場、並びに藻場の形成方法、及
び藻場より分離して得られた生物の用途に関するもので
ある。より詳しくはポリアクリロニトリル繊維またはポ
リアクリロニトリル系共重合体繊維(これらの繊維を単
に「アクリル繊維」と略す)から得た特定の酸化繊維お
よび/または炭素質繊維を生物膜用担体に用いて接触式
に水浄化する方法および浄化装置に関する。また本発明
は該繊維を用いた魚類の棲み易い藻場を形成する方法並
びに該繊維を水中に配置し、固着した生物を分離し、該
生物を利用した飼料や肥料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、上下水、河川、沼などを浄化
するための水浄化装置には、バクテリヤ等の微生物ある
いは微小生物を吸着してなる担体が生物膜からなる濾過
材として使用されており、該水浄化装置に排水等の汚染
水を、いわゆる接触酸化法により接触させて、水中の生
物を吸着し、水を浄化することが行われていた。この接
触酸化法に用いられる生物膜用担体には、従来、ナイロ
ン、ポリ塩化ビニリデンなどの有機合成樹脂のフィルム
や繊維が各種の形態に加工されて使用されていた。
【0003】また、近年、特開平8−266184号公
報、特開平8−290191号公報に示されるように、
人口藻場や水浄化装置に使用される生物膜用担体として
炭素繊維が有効であり、炭素繊維を単独または織物や編
み物により特殊な形態に加工して水中に配置することに
よって炭素繊維上に微生物が固着し増殖して水中のBO
D、COD、SSなどを減少させることや、炭素繊維を
水中に適度に配置することによって藻場を形成し、該藻
場に増殖した微生物を餌とする小動物が棲みつき人口藻
場、即ち、漁礁ができることが公知となっている。
【0004】前記公報によれば、アクリル繊維、ピッチ
およびメゾフェースピッチ、フェノール系繊維、セルロ
ース繊維などの出発原料から得られる炭素繊維は合成樹
脂にくらべて微生物がより速く、より多く固着するので
かなり有効な生物膜用担体の素材であると記載されてい
る。
【0005】ところで、アクリル繊維から得られる炭素
繊維(即ち、PAN系炭素繊維)はアクリル繊維を空気
中で酸素と反応させて酸化繊維とした後、窒素などの不
活性ガス中で徐々に高温に加熱して酸化繊維中の酸素、
窒素、炭素、水素の各構成元素を各種の分子として離脱
させながら繊維重量を減少させ(この過程にある繊維で
あって結合酸素量が2重量%を超えるものを「炭素質繊
維」という)、さらに800℃以上に加熱することによ
ってつくられている。
【0006】一般に、PAN系炭素繊維は、炭素含有量
90重量%以上、結合酸素量2重量%以下と定義され、
電気比抵抗値が0.1オームcmより小さく、引張り弾
性率、引張り強度が極めて高い繊維であり、各種の母材
と組み合わせた複合材料などにして航空宇宙、スポー
ツ、工業分野に広く使用されている。この炭素繊維に対
して、一般に炭素質繊維は結合酸素量が2重量%を超え
るものと定義され、前記炭素繊維とは区別されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、炭素繊
維を藻場や浄化装置等の生物膜用担体に用いるには炭素
繊維は価格が高く、また、引張り伸度が極めて低いため
に織物や編み物等への加工性が悪く、経済面や加工面で
大きな問題があった。また、炭素繊維を生物膜用担体と
した場合、炭素繊維に固着した微生物等の生物が極めて
強固に繊維に固着するため、固着生物だけを炭素繊維か
ら分離することが困難であり、そのため固着生物を飼料
あるいは肥料に加工する場合には、炭素繊維と固着生物
からなる固着体を一緒に加工しなければならず、その
際、炭素繊維の廃棄の問題が惹起していた。
【0008】そこで本発明は、製造コストが安価で、得
られた繊維の引張り伸度が高く、繊維加工性が良好で、
且つ優れた生物固着性を示し、しかも固着した生物の繊
維からの分離を容易に行うことができる生物膜用担体を
提供すること、該生物膜用担体を用いた水浄化装置を提
供すること、該生物膜用担体を用いた藻場を提供するこ
と、該生物膜用担体を用いた水を浄化する方法を提供す
ること、該生物膜用担体を用いた藻場を形成する方法を
提供すること、該生物膜用担体に固着した生物を分離し
て飼料を製造する方法を提供すること、並びに該生物膜
用担体に固着した生物を分離して肥料を製造する方法を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等はかかる従来
の問題を解決すべく鋭意検討した結果、アクリル繊維を
酸化して得た、結合酸素量が4〜15重量%の酸化繊
維、あるいは該酸化繊維を炭素化して得た結合酸素量が
2重量%を超える炭素質繊維は安価で、しかも引張り伸
度が高く、加工性に優れていること、および水中の微生
物等の生物をよく固着して増殖させることを発見し、こ
れらの繊維を用いることによって前記問題点を解消でき
ることを見出し、本発明に至った。
【0010】すなわち、本発明の生物膜用担体は、アク
リル繊維を酸化して得た結合酸素量が4〜15重量%の
酸化繊維、および該酸化繊維を炭素化して得た結合酸素
量が2重量%を超える炭素質繊維から選ばれた一種また
は二種の繊維からなる。
【0011】本発明の水浄化装置は、前記特徴を有する
生物膜用担体に生物を固着させて生物膜とし、濾過材と
して用いたことを特徴とする。
【0012】本発明の藻場は、前記特徴を有する生物膜
用担体に生物を固着させて生物膜とし、藻場を形成した
ことを特徴とする。本発明で藻場とは、微生物等の生物
を固着したもの、或いはこれらの生物の周りに生物連鎖
により魚類が集まり漁礁を形成したものをも意味する。
【0013】本発明の水を浄化する方法は、前記特徴を
有する生物膜用担体を生物の生息する水中に浸漬して生
物を固着させ、水を浄化することを特徴とする。
【0014】本発明の藻場を形成する方法は、前記特徴
を有する生物膜用担体を生物の生息する水中に浸漬して
生物を固着させ、藻場を形成することを特徴とする。
【0015】本発明の飼料の製造方法は、前記特徴を有
する生物膜用担体を生物の生息する水中に浸漬して生物
を固着させ、固着した生物を分離し、得られた生物を飼
料とすることを特徴とする。
【0016】本発明の肥料の製造方法は、前記特徴を有
する生物膜用担体を生物の生息する水中に浸漬して生物
を固着させ、固着した生物を分離し、得られた生物を肥
料とすることを特徴とする。
【0017】本発明の生物膜用担体を形成する酸化繊維
あるいは炭素質繊維は、結合酸素量が2重量%以内の一
般的炭素繊維に比べて引張り伸度が高く、しかも生物固
着能力を有し、水浄化作用を有し、固着された生物は容
易に分離できる特徴を有する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。
【0019】酸化繊維 本発明で使用される酸化繊維は、アクリル繊維を酸素な
どの酸化性ガス雰囲気中、10〜200mg/dの張力
下で、加熱炉などの公知の炉を用いて酸化することによ
り得られた結合酸素量が4〜15重量%の酸化繊維であ
る。
【0020】該酸化繊維を製造するための原料となるア
クリル繊維は、アクリロニトリルの単独重合体からなる
ポリアクリロニトリル、またはアクリロニトリルを90
重量%とアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸等の単
量体およびそれらの塩類およびメチルまたはエチルエス
テル、アクリルアミド、スチレンスルホン酸、アリルス
ルホン酸、メタクリルスルホン酸またはそれらスルホン
酸塩などの公知の共単量体と共重合した分子量30,0
00以上を有するポリアクリロニトリル系共重合体を、
当該単独重合体あるいは共重合体の良溶剤であるジメチ
ルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスル
ホキシドなどの有機溶剤、塩化亜鉛濃厚水溶液、濃硝酸
水溶液、ロダン塩水溶液などの無機溶剤などの公知の溶
解剤に溶解させ、得られた重合体溶液を溶剤の水希釈液
中または沸点近傍の温度雰囲気中に細孔を有するノズル
を通して圧出する公知の湿式または乾式法により紡出し
た後、脱溶媒中で2〜5倍延伸し、高温水中であるいは
乾燥後蒸気中でさらに2〜5倍延伸して得ることができ
る。上記の製造方法で得られたアクリル繊維は、繊維構
成本数が100〜1,000,000本のストランドま
たはトウであり、引張り強度が3〜10グラム(g)/
デニール(d)の繊維である。
【0021】本発明で使用される酸化繊維は、結合酸素
量が4重量%以内の場合は水中における微生物の固着が
遅くその増殖も少ないため水を浄化する効果が小さい。
結合酸素量が4重量%を越えると微生物の固着が速くな
りその増殖も速くなるため水を浄化する効果が大きくな
るので好ましい。これは結合酸素量4重量%を越えると
繊維表面の酸素官能基が増加した構造となるため、水と
の親和性が増加するだけでなく繊維表面組織が窒素を含
む6員環構造に変わってくることが関係しているものと
思われる。一方、結合酸素量が15重量%を越えると繊
維の引張り伸度や強度が著しく低下し、繊維加工性も低
下するので好ましくない。
【0022】本発明で使用する酸化繊維の結合酸素量
は、繊維表面の酸素官能基や含窒素6員環構造の増加に
よると思われる水との親和性の増加による水中の微生物
の速い固着速度、固着した微生物の速い増殖特性およ
び、高い引張り伸度を有することによる織物や編み物な
どの繊維加工性を考慮して、特に好ましくは、5〜12
重量%が適当である。
【0023】炭素質繊維 本発明に使用される炭素質繊維は、アクリル繊維を酸化
して結合酸素量が4〜15重量%の酸化繊維とし、該酸
化繊維を炭素化して、結合酸素量が2重量%を超えた繊
維と定義される。
【0024】本発明に使用される炭素質繊維の製造方法
は、結合酸素量4〜15重量%の酸化繊維を窒素、アル
ゴンなどの不活性ガス中、300〜800℃、10〜2
00mg/dの張力下で、管状炉などの公知の焼成炉を
用いて数分間加熱することにより結合酸素量が2重量%
を超える炭素質繊維を製造するものである。炭素質繊維
原料として用いる酸化繊維の結合酸素量が4重量%以
下、または15重量%を越える酸化繊維を用いて上記と
同様な処理を経て得られた炭素質繊維は、引張り伸度が
低く繊維加工性に劣るために、本発明での使用には好ま
しくない。
【0025】本発明で使用する炭素質繊維の製造過程に
おいて、付与する張力が10mg/d以下の場合は、得
られる炭素質繊維の引張り伸度が低下し、また、200
mg/dを越えると繊維の単繊維切れが増加するので好
ましくない。
【0026】得られた炭素質繊維の結合酸素量が2重量
%以内の場合(いわゆる炭素繊維の場合)は、酸化繊維
からの重量減が大きくなるため経済的に不利となるだけ
でなく、引張り伸度が小さく繊維加工が困難になるので
好ましくない。一方、結合酸素量が2重量%を超える場
合、水中の微生物の固着や増殖に効果があり、また、生
物膜用担体に固着した微生物等の生物を、担体である繊
維から容易に分離できるので好ましい。このような性質
が生ずる理由は、該炭素質繊維が有している酸素官能基
が繊維表面にかなり存在して水との親和性を高めている
ことによるからと思われる。
【0027】水浄化方法および装置 本発明の水を浄化する方法および装置は、前記酸化繊維
から選ばれた一種または二種の繊維からなる繊維のフィ
ラメント束またはトウを繊維方向に平行に並べて平板状
にするか、または織物、編み物、リボン状、ロープ状、
網状、フェルト、不織布などの公知の組織体であって、
その構成する単繊維が水中で揺動するようなソフトな組
織体に加工したものを生物膜用担体として用いた水浄化
装置であり、該装置を水中に配置して使用する水浄化方
法である。
【0028】本発明の水浄化装置は、特に制約はない
が、あらかじめ該組織体の生物膜用担体の面を平行にな
るように配置した箱様の装置が好ましく、この箱様水浄
化装置は水中に容易に設置することができる。
【0029】藻場の形成本発明の藻場を形成する方法
は、前記酸化繊維または/および前記炭素質繊維自体お
よびそれらを公知の組織体にしたものを藻場として水中
に適当な形態で適当に配置したものであれば特に制約は
ない。好ましくは、平面状の組織体の上辺端を浮体に下
辺端を重りに固定し魚類が遊回できる面間隔で、池、
沼、湖、ダム、海などの必要水域に設置するか、前記酸
化繊維または/および前記炭素質繊維を魚類が通れる大
きさの編み目をもつ網として水中に設置する方法であ
る。
【0030】飼料および肥料 本発明の飼料および肥料は、前記生物膜用担体に固着し
た微生物の集団(コロニー)等の生物を該生物膜用担体
から容易に分離して取り出すことにより得る。特に、本
発明の生物膜用担体としての酸化繊維および炭素質繊維
からの分離は、一般的な炭素繊維(即ち、結合酸素量が
2重量%以内)の場合に比べて比較的容易である。これ
は該繊維の表面と微生物固着体とが化学的に接着してい
ないためによると思われる。
【0031】具体的な1例を次に示す。
【0032】生物膜用担体として、結合酸素量5〜15
重量%を有する酸化繊維または結合酸素量2重量%を超
える炭素質繊維のフイラメント数12000本(繊維直
径7〜12ミクロンメータ)のストランドの織物を、そ
の織物の面の間隔を数cm以上離して数層以上、平行に
設置した箱状水浄化装置を下水活性汚泥処理漕に設置
し、織物の間に汚泥水を流して数分以上保持して微生物
を付着、増殖させる。
【0033】微生物が付着したこの装置を汚泥漕より取
り出し機械的に振動するか殴打して微生物を分離したの
ち50℃位の熱風または脱水機(ベルトコンベヤー式や
遠心脱水機)で脱水後、乾燥して水分率を10〜50重
量%として飼料および肥料が得られる。
【0034】必要ならばこれらの飼料および肥料を打ち
砕くかすりつぶすなどの公知の粒状、粉状などの形にし
たのち、動物の場合は通常の飼料に、植物肥料の場合は
土壌に数%〜数十%混合して用いることが好ましい。
【0035】本発明で使用する酸化繊維および炭素質繊
維から選ばれた一種または二種の繊維からなる生物膜用
担体を用いて水を浄化する方法及び装置により、従来に
ない安価で極めて速く水中のBOD、COD、SSなど
を除去してきれいな水に再生できる。
【0036】本発明で使用する酸化繊維および炭素質繊
維から選ばれた一種または二種の繊維は引張り強度が炭
素繊維に比べて高いので、河川、農業用水などの流れの
ある水、あるいは池、湖沼、海等の比較的流れのない水
などに応じて、水浄化に適した組織体を安価で簡単につ
くれるので、従来の炭素繊維を使用した生物膜用担体の
製造方法に比べて極めて経済的で、効率的である。
【0037】本発明の生物膜用担体に固着した生物は動
植の飼料や植物の肥料に適しており、自然環境の再生に
役立つ。
【0038】本発明の生物膜用担体を藻場(漁礁も含
む)に適用することにより、きれいな水環境を維持して
自然のままの生物連鎖を形成して魚介類の人工養殖がで
きる。本発明の生物膜用担体を水処理に適用した場合に
は、大量の微生物が固着して大きなコロニーを形成し、
そのコロニーの外側には好気性微生物が存在し、内部に
は嫌気性微生物が生息するようになり、水中のアンモニ
ア性窒素分をも除去できる効果がある。さらに、嫌気性
微生物を存在させた無酸素の水環境に本発明の生物膜用
担体を用いると、繊維に該微生物が固着し増殖するため
極めてはやく水中のアンモニア性窒素分を減らすことが
できる。
【0039】
【実施例】以下に、実施例により本発明を具体的に説明
するが、本発明はその要旨を越えない限り下記実施例に
限定されるものではない。なお、特に指定しない限り%
は重量%を意味する。
【0040】〔実施例1〜4、比較例1〜3〕アクリロ
ニトリル95%とアクリル酸メチルエステル5%からな
る重合体から得た単繊維直径10ミクロン、繊維本数1
2000本、引張り強さ485MPa、引張りヤング率
89GPaのアクリル繊維を0.2m/秒の空気気流中
で、240℃、80mg/dの張力下、60、120、
180、240、300、360分間加熱して結合酸素
量がそれぞれ3.2、5.5、8.4、11.6、1
4.8、17.2%で繊維直径が11.3±0.2ミク
ロン、繊維本数12000本である6種類の酸化繊維を
得た。
【0041】出発原料繊維としてのアクリル繊維の重量
に対するこれらの酸化繊維の収率は101〜97%の間
にあり、重量減によるコストアップはほとんど無かっ
た。これらの酸化繊維および比較のためのポリアミド繊
維(ナイロン:デュポン社の登録商標)を用意して繊維
加工性の尺度として繊維の引張り伸度を測定した。
【0042】また、これら酸化繊維およびポリアミド繊
維の微生物の固着試験を行った。固着試験は5リットル
広口ビンに活性汚泥500ccを入れ、これを水で3リ
ットルに薄めた臭気瓶を7個用意し、この液を100c
c/分の速度で空気をバブリングした中に、長さを8c
m、重さ0.1グラムに統一した6つの該酸化繊維とナ
イロン繊維の上端を、水面の位置に固定したガラス棒に
クリップで止め、下端に10mgの重りをつけて吊り下
げて1日間放置して行った。評価は該各繊維を引き出
し、110℃で水分率が1%以下になるように乾燥して
重量を測定し、試験前の繊維重量に対する固着体量比を
求めた。また、試験後の各瓶のバブリングを止めて静置
して沈降した量を試験前の沈降量と比較した。
【0043】以上の各実験の結果を下記の表1に示し、
各酸化繊維については比較例1(結合酸素量が3.2
%)、実施例1(同5.5%)、実施例2(同8.4
%)、実施例3(同11.6%)、実施例4(同14.
8%)、比較例2(同17.2%)として示し、ポリア
ミド繊維については比較例3として示す。
【0044】
【表1】
【0045】表1に示すように、本発明の範囲(実施例
1〜4)である酸化繊維は高い引張り伸度を有し、ま
た、微生物の固着量が多く、沈降量も少なく優れた水浄
化能力を示したが、比較例1、2は引張り伸度が低く加
工性に問題があった。また、比較例3のポリアミド繊維
ではわずかの微生物固着しかなく沈降量も減少せず水浄
化能力が極めて低かった。
【0046】〔実施例5〜8、比較例4〜5〕前記実施
例2で得た酸化繊維を0.2m/秒の窒素気流中で、8
0mg/dの張力下、400、550、700、95
0、1200℃の各温度で10分間焼成して結合酸素量
がそれぞれ8.0、6.9、4.5%の3種類の炭素質
繊維と、結合酸素量がそれぞれ1.5、0.1%の2種
類の炭素繊維を得た。これらの繊維の酸化繊維の重量に
対する収率はそれぞれ92、79、63、53、48%
であり、結合酸素量が多い程収率が高く経済的であっ
た。これらの繊維の繊維加工性の尺度として繊維の引張
り伸度を測定した。また、これら繊維の微生物の固着試
験を前記実施例1と同様にして行った。
【0047】以上の各実験の結果を下記の表2に示し、
各繊維については実施例5(結合酸素量が8.0%)、
実施例6(同6.9%)、実施例7(同4.5%)、比
較例4(同1.5%)、比較例5(同0.1%)として
示す。
【0048】
【表2】
【0049】表2に示すように、本発明の範囲(実施例
5〜7)である炭素質繊維は引張り伸度、微生物の固着
量、沈降量共に優れていたが、比較例4,5における炭
素繊維は水浄化能力には優れていたが引張り伸度が低く
加工性が劣っていた。
【0050】〔実施例9〕前記実施例2で得た酸化繊維
の3本束(繊維本数36000本)を2本用意し、それ
ぞれにZ方向の撚り15コ/mをかけた後、2本を合わ
せてS方向の撚りを15コ/mかけて72000本の紐
をつくり、この紐を緯糸40本/m、経糸40本からな
る網をつくり、この網の上辺の長さ20cmを発砲ポリ
スチレンに固定し、下辺長さ20cmに重りとして1m
m径の鉄線を通して上辺と下辺の長さ30cmとした網
の4面を平行に、深さ40cm、長さ5m、幅5mの鮒
を入れた屋外のコンクリートで作った人工水槽に水をポ
ンプで1L/分の速度で循環しつつ5月から3ヵ月間設
置したところ、網に藻や微生物が固着して、鮒がそれら
網の間に集まり群をつくっているだけでなく産卵したも
のもいて優れた藻場、即ち、漁礁を形成した。また、水
の透明度は該網を設置しない場合は3ヵ月後には40c
mであったが、該網を設置した場合は透明度105cm
であり、優れた水の浄化効果を示した。
【0051】
【発明の効果】本発明の生物膜用担体は、アクリル繊維
を酸化して得た結合酸素量が4〜15重量%の酸化繊
維、および該酸化繊維を炭素化して得た結合酸素量が2
重量%を超える炭素質繊維から選ばれたものであるの
で、炭素繊維に比べて製造コストが安価で、しかも得ら
れた繊維の引張り伸度が炭素繊維に比べて高く、繊維加
工性が良好であり、且つ優れた生物固着性を示し、しか
も固着した生物の繊維からの分離が炭素繊維の場合に比
べて容易に行える。したがって、本発明の生物膜用担体
を用いた水浄化装置または藻場、本発明の生物膜用担体
を生物の生息する水中に浸漬して生物を固着させて水を
浄化する方法あるいは藻場を形成する方法、本発明の生
物膜用担体を生物の生息する水中に浸漬して生物を固着
させ、固着した生物を分離し、得られた生物を飼料また
は肥料とする方法は上記の優れた特徴を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C05F 11/00 C05F 11/00 (56)参考文献 特開 平8−290191(JP,A) 特開 平4−89370(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C02F 3/02 - 3/10 C12N 11/00 - 13/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル繊維を酸化して得た結合酸素量
    が4〜15重量%の酸化繊維、および該酸化繊維を炭素
    化して得た結合酸素量が2重量%を超える炭素質繊維か
    ら選ばれた一種または二種の繊維からなる生物膜用担
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の生物膜用担体を用いた水
    浄化装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の生物膜用担体を用いた藻
    場。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の生物膜用担体を生物の生
    息する水中に浸漬して生物を固着させ、水を浄化する方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の生物膜用担体を生物の生
    息する水中に浸漬して生物を固着させ、藻場を形成する
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の生物膜用担体を生物の生
    息する水中に浸漬して生物を固着させ、固着した生物を
    分離し、得られた生物を飼料とすることを特徴とする飼
    料の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の生物膜用担体を生物の生
    息する水中に浸漬して生物を固着させ、固着した生物を
    分離し、得られた生物を肥料とすることを特徴とする肥
    料の製造方法。
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