JP3182224U - 歯科実習用模型 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】口腔内の疾患の状態を模した疾患パーツが2以上連接した構造を有し、このような各種疾患を模した疾患パーツとしては、埋伏歯とその周辺組織を模したもの(埋伏歯抜歯実習用模型)、根尖に病巣をもつ歯とその周辺組織を模したもの(根尖病巣摘出実習用模型)、歯肉部の膿瘍とその周辺組織を模したもの(排膿実習用模型)、歯が失われた後の上顎の歯槽骨を模したもの(サイナスリフト・ソケットリフト実習用模型)が挙げられる。この際、2以上の上記疾患パーツは、直線上に配置されてもリング状に配置されても良い。
【選択図】図1
Description
しかしながら、これらの歯科実習用模型の場合、1つの模型で行える実習が各症例につき1回に限られるために、高度な技術を必要とする練習を何回も繰り返して実施することができないという問題があった。
図1には、埋伏歯の抜歯実習に適した構造を有する本考案の歯科実習用模型の好ましい一例における外観が示されており、側面から見た時の写真が下側に示され、上方から見た時の写真が上側に示されている。
図1の歯科実習用模型においては、埋伏歯1とそれに隣接する歯2及びその周辺組織を模した疾患パーツAが5個直線上に配列されて連接されており、各疾患パーツAにおいて、埋伏歯(智歯)1は、歯槽骨を模した骨部材3に傾斜埋伏状態に配置され、隣接する歯2は正常な状態で植立されている。そして、この埋伏歯1は、骨部材3を切削して削除することにより引き抜き可能であるか、あるいは、埋伏歯1の歯冠及び歯根を分割することにより摘出可能になっている。
尚、この歯科実習用模型の骨部材3は、実際の歯槽骨と同様の硬度を有した材質(例えばエポキシ樹脂等)により構成されていることが好ましく、この骨部材3に埋伏される埋伏歯1も天然歯と同様の硬度を有していることが好ましい。又、実際の口腔内の状態を再現するために、着色されたシリコン樹脂製の歯肉部材によって骨部材3の表面の一部又は全部が覆われた構造としても良い。この際、埋伏歯は、前記歯肉部材によって完全に覆われていなくてもよく、一部が歯肉部材から露出していてもよい。
図2の歯科実習用模型においては、根尖に病巣をもつ歯とその周辺組織を模した疾患パーツAが5個直線上に並んで連接されており、各疾患パーツAの、歯槽骨を模した骨部材3に植立された人工歯4(図2では、3本の人工歯のうち真ん中の人工歯)の根尖部分に、根尖病巣を模した病巣部材5が配置されている。この病巣部材5は、実習の際に骨部材3を切削・削除するか、あるいは、人工歯4の歯根端を切除することで摘出可能になっている。
尚、この歯科実習用模型の骨部材3は、実際の歯槽骨と同様の硬度を有した材質(例えばエポキシ樹脂等)により構成されていることが好ましく、この骨部材3に植立される人工歯4も天然歯と同様の硬度を有していることが好ましい。又、人工歯4の根尖部分に配置される病巣部材5としては、着色されたシリコン樹脂製の成形体が好ましい。又、実際の口腔内の状態を再現するために、着色されたシリコン樹脂製の歯肉部材によって骨部材3の表面の一部又は全部が覆われた構造としても良い。
図3の歯科実習用模型においては、歯肉部の膿瘍とその周辺組織を模した6個の疾患パーツAが3×2列で配列され一体化しており、5本の歯牙が並んで植立した各疾患パーツAにおける、歯槽骨を模した骨部材3の側面は、歯肉を模した歯肉部材6によって覆われており、歯肉部材6からなる歯肉部には、膿瘍を模した膿瘍部材7として、内部に液体(例えばオイル)が充填された袋体が配置されている。この図3に例示した模型の場合には、骨部材3と5本の人工歯が、合成樹脂(例えばエポキシ樹脂等)にて一体成形されており、膿瘍部材7が埋設されることにより外側に膨らんだ歯肉の状態が表された歯肉部材6が、着色されたシリコン樹脂によって成形され、頬側に設けられている。
この図3の模型の場合、膿汁を排膿させる実習を6回行うことができ、実習を行う際、膿瘍部材7が配置された位置の歯肉部を切開するか、あるいは、当該位置にドレーン(膿汁を排膿するための誘導管)を挿入して膿瘍部材7に充填された液体を排出させる。
図4の歯科実習用模型においては、歯が失われた後の上顎の歯槽骨を模した疾患パーツAが4個直線上に配列されて連接されており、各疾患パーツAにおける歯槽骨を模した骨部材8には、上顎洞を模した空洞部9が形成されており、空洞部9の内壁面は、上顎洞粘膜(シュナイダー膜)を模した被膜部材10によって覆われ、この被膜部材10は骨部材8から剥離可能になっている。本考案における骨部材8の材質としては、発泡ウレタン樹脂が好ましく、被膜部材10の材質としてはシリコン樹脂が好ましく、膜厚みとしては0.1〜1mmが好ましい。
図4の歯科実習用模型は、このようなサイナスリフト・ソケットリフト実習に適した構造を有しており、疾患パーツAが4個連接されているので、サイナスリフト・ソケットリフト実習を4回行うことができる。
本考案の歯科実習用模型を用いて行われる歯科実習としては、例えば、インプラント実習(インプラント埋入、オステオトーム法、減張切開、GBR、上部構造作製、切開、全層弁、即時埋入、ドリリング、部分層弁、縫合、ボーンクラフト、ラテラルウィンドウ、リッジエキスパンション)、SRP実習(エキスプロービング、SRP)、エンド実習(根管拡大、根管充填、根管長測定、歯根端切除、歯髄切断、髄室開拡、抜髄)、形成実習(窩洞形成、歯台歯形成、歯台築造、ポストコア形成、レスト形成)、外科実習(骨整形術、骨膜剥離、歯牙結紮・顎間固定、縫合)、口腔外科実習(骨隆起除去、切開、切開・粘膜剥離、切開・剥離、切開・縫合、膿症切開)、歯周外科(歯根切断、歯肉切除術、小帯切除・切離術、組織再生誘導法、トンネリング、ファーケーションプラスティー、フラップ手術、ポケット掻爬術、遊離歯肉移植術)、修復実習(充填材料の填塞、軟化象牙質の除去、予防填塞、レジン填塞)、小児実習(生活歯髄切断)、抜歯(再植固定、暫間固定、難抜歯、普通抜歯、埋伏歯の抜歯)、保隙装置実習(可撤性保隙装置の製作、クラウンループの製作、保隙装置の製作)、補綴物実習(最終補綴物製作、暫間補綴物製作、修復物の製作、補綴物製作、ラミネートベニア形成)、麻酔実習(浸潤麻酔、麻酔)等が挙げられる。
市販の熱硬化性エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製)を所定の陰型に流し込むことにより、智歯及びそれに隣接する臼歯が植立される位置にそれぞれ歯牙穴部を有する歯槽骨の形状を模した骨部材が5個連接して一体化した棒状の成形体(図1に示される形状を有する骨部)を作製した。一方、この成形体に植立される歯牙として、同じ熱硬化性エポキシ樹脂を用い、智歯及びそれに隣接する臼歯をそれぞれ作製した。
そして、上記成形体の5つの疾患パーツにおける各歯牙穴部に、接着剤を用いて、智歯を骨部材に傾斜埋伏状態に配置して接着し、隣接する歯を正常な状態で植立して接着し、図1に示される外観の歯科実習用模型(埋伏歯抜歯模型)を製造した。更に、実際の口腔内の状態を再現するために、市販のシリコン樹脂(信越社製のシリコンゴム)を着色して用いて、口腔内の歯肉部を模した歯肉部材を作製し、骨部材及び埋伏歯の表面を覆うようにして配置し、接着固定した。
この歯科実習用模型は、埋伏歯が配置された位置の歯肉部材を切開し、エポキシ樹脂製の骨部材を切削・削除して、骨部材に埋伏された埋伏歯を引き抜く実習に適しており、埋伏歯の歯冠及び歯根を分割して摘出する実習にも適したものであり、このような実習を5回実施することができた。
実施例1と同じ熱硬化性エポキシ樹脂を所定の陰型に流し込むことにより、3本の歯牙が植立される位置にそれぞれ歯牙穴部を有する歯槽骨の形状を模した疾患パーツが5つ連接された成形体(図2に示される形状を有する骨部)を作製した。この際、中央に位置する歯牙穴部の根尖部分には、根尖病巣を模した病巣部材が配置できるように空洞を設けた。一方、この成形体に植立される人工歯を、実施例1と同じ熱硬化性エポキシ樹脂を用いて作製し、実施例1と同じ着色されたシリコン樹脂を所定の型に注入して硬化させることにより小球状の病巣部材を作製した。
そして、上記成形体の各疾患パーツの中央にある歯牙穴部の根尖部分に設けた空洞に上記の病巣部材を配置し、その上方位置に上記人工歯を差し込み、接着剤で固定した。又、この人工歯を挟むようにして両側に配置される人工歯についても接着剤で固定し、図2に示される外観の歯科実習用模型(根尖病巣模型)を製造した。更に、実際の口腔内の状態を再現するために、実施例1と同じ市販のシリコン樹脂を着色して口腔内の歯肉部を模した歯肉部材を作製し、骨部材の表面を覆うようにして配置し、接着固定した。
この歯科実習用模型は、歯肉部材を切開し、その下側にある根尖病巣部近傍の骨部材を切削・削除することにより病巣部材を摘出するか、あるいは、人工歯の歯根端を切除することにより病巣部材を摘出する実習に適したものであり、このような実習を5回実施することができた。
実施例1と同じ熱硬化性エポキシ樹脂を所定の陰型に流し込むことにより、5本の人工歯が植立した歯槽骨の形状を模した骨部材が6個(3×2列)連接して一体化された成形体(図3に示される形状を有する骨部)を作製した。この際、上記骨部材の頬側には膿瘍部材を配置させるための凹み部を設けた。
一方、膿瘍部材として、歯肉部の膿瘍の膨らみに相当する量のオイルが内部に充填されたプラスチックフィルム製の袋体6個を作製し、この膿瘍部材が埋設されるようにして、実施例1と同じ市販のシリコン樹脂を着色して、膿瘍により外側に膨らんだ歯肉の状態が表された頬側の歯肉部を模した歯肉部材を6個作製した。
そして、各骨部材に設けた凹み部内に上記膿瘍部材が配置されるようにして上記歯肉部材を骨部材の頬側に配置して固定し、図3に示される外観の本考案の歯科実習用模型(膿瘍模型)を作製した。
この歯科実習用模型は、膿瘍部材が配置された位置の歯肉部を切開したり、当該位置にドレーンを挿入することによって、膿瘍部材の内部に充填された液体を排出し、歯肉部材を縫合する実習に適したものであり、このような実習を6回実施することができ、歯肉部材を交換することによって繰り返し使用することができた。
市販の発泡ウレタン樹脂(東洋ゴム工業社製)を所定の陰型に流し込み、発泡・硬化させ、上顎洞を模した空洞部が形成され、歯が失われた後の上顎の歯槽骨を模した骨部材が4個直線上に配列されて連接した成形体(図4に示される形状を有する骨部)を作製した。
そして、この骨部材の空洞部に市販のシリコン樹脂製膜(信越社製、膜厚み0.2mm)を貼り付け、空洞部の内壁面が、シュナイダー膜を模した被膜部材(シリコン樹脂製膜)によって覆われた構造を有する図4に示される外観の歯科実習用模型(サイナスリフト・ソケットリフト模型)を作製した。更に、実際の口腔内の状態を再現するために、実施例1と同じ市販のシリコン樹脂を着色して口腔内の歯肉部を模した歯肉部材を作製し、骨部材の外壁表面を覆うようにして配置し、接着固定した。
この歯科実習用模型は、インプラントを挿入する位置の骨部材に穴をあけ、空洞部の内壁面に配置された被膜部材を骨部材から剥離して上方へ引き上げ、これによって生じた空隙に骨補填材を充填し、インプラントを埋入するサイナスリフト・ソケットリフト実習に適したものであり、このような実習を4回実施することができた。
実施例1と同じ熱硬化性エポキシ樹脂を所定の陰型に流し込むことにより、歯牙が植立される位置にそれぞれ歯牙穴部を有する歯槽骨の形状を模した骨部材が5個連接して一体化した成形体を作製した。この際、骨部材は、歯周疾患の症例に応じた形状とした。
一方、同じ熱硬化性エポキシ樹脂を用いて人工歯を作製した後、歯肉との境界部付近に人工歯石を付与し、各歯牙穴部に接着剤を用いて植立固定した。そして、実際の口腔内の状態を再現するために、実施例1と同じ市販のシリコン樹脂を着色して口腔内の歯肉部を模した歯肉部材を作製し、骨部材の表面を覆うようにして配置し、接着固定した。
この歯科実習用模型は、ルートプレーニング、スケーリングし、歯石を除去する歯周外科の術式(切開縫合、骨修正、歯肉採取など)の実習に適したものであり、このような実習を5回実施することができた。
1 埋伏歯
2 埋伏歯に隣接する歯
3 骨部材
4 人工歯
5 病巣部材
6 歯肉部材
7 膿瘍部材
8 骨部材
9 空洞部
10 被膜部材
Claims (6)
- 口腔内の疾患の状態を模した疾患パーツが2以上連接されてなることを特徴とする歯科実習用模型。
- 前記疾患パーツが、埋伏歯とその周辺組織を模したもの、根尖に病巣をもつ歯とその周辺組織を模したもの、歯肉部の膿瘍とその周辺組織を模したもの、歯が失われた後の上顎の歯槽骨を模したもの、のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の歯科実習用模型。
- 前記疾患パーツが、埋伏歯とそれに隣接する歯及びその周辺組織を模したものであって、前記埋伏歯が、歯槽骨を模した骨部材に傾斜埋伏状態又は水平埋伏状態に配置されていること、及び、当該埋伏歯が、前記骨部材を削除することにより引き抜き可能、あるいは、前記埋伏歯の歯冠及び歯根を分割することにより摘出可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯科実習用模型。
- 前記の疾患パーツが、根尖に病巣をもつ歯とその周辺組織を模したものであって、歯槽骨を模した骨部材に植立された人工歯の根尖部分には、根尖病巣を模した病巣部材が配置されており、当該病巣部材が、前記骨部材を削除、あるいは、前記人工歯の歯根端を切除することにより摘出可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯科実習用模型。
- 前記の疾患パーツが、歯肉部の膿瘍とその周辺組織を模したものであって、歯槽骨を模した骨部材の側面の一部又は全部が、歯肉を模した歯肉部材によって覆われており、前記歯肉部材からなる歯肉部には、膿瘍を模した膿瘍部材として、内部に液体が充填された袋体が配置されており、前記液体が、前記膿瘍部材が配置された位置の歯肉部を切開、あるいは、当該位置にドレーンを挿入することによって排出可能であることを特徴とする請求項1に記載の歯科実習用模型。
- 前記の疾患パーツが、歯が失われた後の上顎の歯槽骨を模したものであって、前記歯槽骨を模した骨部材には、上顎洞を模した空洞部が形成されており、前記空洞部の内壁面には、上顎洞粘膜を模した被膜部材が剥離可能な状態で貼着されていることを特徴とする請求項1に記載の歯科実習用模型。
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