JP3180821U - スリーブ固定具 - Google Patents
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Abstract
【課題】鉄筋が配設された型枠内において配管や配線用の空間を確保するスリーブを鉄筋に脱落しないように強固に固定することができるスリーブ固定具を提供する。
【解決手段】スリーブ固定具10は、鉄筋取付部11とスリーブ取付部21が互いに軸線が直交するように配置されて、両者間が連結部18により連結されている。鉄筋取付部11は、第1,第2取付片12,16を広げて鉄筋に嵌め合わせ、第2取付片16に設けた第3係止凸部を第1取付片12の先端側に設けた第1係止凸部に係止させる。第1及び第2係止凸部は、周方向に連続した2つの突起を有する。スリーブ取付部21は、上下取付片22,23の先端側を広げてスリーブ28を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22の先端の第1突起24に係止させる。第1及び第2突起24,25は、周方向に連続した2つの突起を有する。
【選択図】図3
【解決手段】スリーブ固定具10は、鉄筋取付部11とスリーブ取付部21が互いに軸線が直交するように配置されて、両者間が連結部18により連結されている。鉄筋取付部11は、第1,第2取付片12,16を広げて鉄筋に嵌め合わせ、第2取付片16に設けた第3係止凸部を第1取付片12の先端側に設けた第1係止凸部に係止させる。第1及び第2係止凸部は、周方向に連続した2つの突起を有する。スリーブ取付部21は、上下取付片22,23の先端側を広げてスリーブ28を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22の先端の第1突起24に係止させる。第1及び第2突起24,25は、周方向に連続した2つの突起を有する。
【選択図】図3
Description
本考案は、鉄筋コンクリート製の梁や壁を形成する際に、鉄筋が配設された型枠内において水道やガス等の配管や電気配線用の空間を確保するスリーブを鉄筋に固定するために用いられるスリーブ固定具に関する。
住宅用等の鉄筋コンクリート梁や壁には、水道やガス等の配管や電気配線を通すために、貫通穴が形成されている。従来、この貫通穴の形成については、例えば特許文献1に示すように、鉄筋に装着しうる断面略C字状のクリップ部と、このクリップ部の側方に張り出すアーム部と、このアーム部に連続して設けられるスリーブを鉄筋と直交する方向に保持する略C字状のスリーブ保持部とを有するスリーブ固定具が用いられている。このスリーブ固定具のクリップ部を縦鉄筋に嵌め合わせて固定し、スリーブ保持部により水平に保持されたスリーブの両端を型枠で挟んで固定し、その状態で型枠間にコンクリートを打設することにより、鉄筋コンクリート梁等が形成される。
しかし、このスリーブ固定具の場合、断面略C字状のクリップ部によって鉄筋に装着されているのみなので、コンクリート打設の際にスリーブ固定具全体にコンクリートによる大きな力が加わるため、クリップ部が鉄筋から簡単に外れやすいという問題がある。そのために、クリップ部を針金等で鉄筋に縛り付けることにより、クリップ部の鉄筋への固定強度を高める必要があった。しかし、針金等でスリーブ固定具を一々鉄筋へ縛り付けることにより、現場作業が煩雑になり長時間を要するという問題がある。また、針金と鉄筋との異種の金属同士の接触により、鉄筋が腐食しやすくなるという問題もある。また、スリーブの保持についても略C字状のスリーブ保持部によって行われるため、クリップ部と鉄筋の関係と同様に、スリーブ保持部からスリーブが脱落しやすく、そのためにスリーブ保持部の相対する開口端縁部に設けた互いに拡幅方向に折り返されたフック部間を針金等で縛り付ける作業が必要であった。
また、上記スリーブ固定具については、鉄筋からの脱落やスリーブの脱落を防止するために、変形しにくいような硬い樹脂材料で形成することも行われている。しかし、このようにスリーブ固定具を硬くすることにより、クリップ部やスリーブ保持部が広げ難くなる為、クリップ部やスリーブ保持部への鉄筋やスリーブの取り付け作業が困難になり、さらに特に冬季のように樹脂が硬くなると、鉄筋やスリーブのクリップ部やスリーブ保持部への取り付けの際に、クリップ部やスリーブ保持部が破損しやすくなるという問題もある。樹脂の材質を均一なものにすることにより、樹脂が硬くても固定具を破損し難くすることはある程度は可能であるが、そのために樹脂材料が高価になり、スリーブ固定具の価格が高くなるという問題がある。さらには、クリップ部、スリーブ保持部共に単一の内径であるため、鉄筋の太さや、スリーブの外径が異なる場合に、径の異なる部材を用いる必要がある。そのため、径の異なる複数種類のスリーブ固定具を用意する必要があり、製造コストが高価になると共に部品管理の手間が煩雑であった。
本考案は、このような問題を解決しようとするもので、鉄筋が配設された型枠内において、配管や配線用の空間を確保するスリーブを鉄筋に脱落しないように強固に固定することができ、また鉄筋の腐食を抑えることができる安価なスリーブ固定具を提供することを目的とする。また、本考案は、径の異なる鉄筋やスリーブに対しても一種類で対応できるスリーブ固定具を提供することを他の目的とする。
上記目的を達成するために、本考案の構成上の特徴は、筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋に嵌合固定される弾性変形可能な鉄筋取付部と、筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋取付部と軸線が互いに直交するように配置され、筒状のスリーブが嵌合により取り付けられる弾性変形可能なスリーブ取付部と、鉄筋取付部とスリーブ取付部間を連結する連結部とを設けてなり、柔軟な樹脂材料により一体で形成されたスリーブ固定具であって、鉄筋取付部が、連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起部と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起部とを設け、両半円筒状部分が重なり合って第1突起部と第2突起部とが互いに解除可能に係止可能であり、スリーブ取付部が、連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起とを設け、両半円筒状部分が重なり合って第1突起と第2突起とが互いに解除可能に係止可能である、ことにある。
上記のように構成した本考案においては、弾性変形可能な鉄筋取付部の両半円筒状部分を押し広げて鉄筋に嵌合し、重なり合った両半円筒状部分の第1突起部と第2突起部とを互いに係止させることにより、スリーブ固定具が鉄筋取付部によって鉄筋に強固に締め付け固定される。さらに、弾性変形可能なスリーブ取付部の両半円筒状部分を押し広げてスリーブを嵌合させ、重なり合った両半円筒状部分の第1突起と第2突起とを互いに係止させることにより、スリーブがスリーブ取付部に強固に締め付け固定される。その結果、本考案においては、スリーブ固定具が鉄筋取付部によって鉄筋に強固に締め付け固定されているため、コンクリート打設の際にスリーブ固定具全体に大きな力が加わっても、スリーブ固定具の鉄筋からの脱落を確実に防止することができる。また、スリーブもスリーブ取付部に強固に締め付け固定されているため、スリーブ取付部からのスリーブの脱落が確実に防止される。
また、鉄筋取付部の第2突起部は、周方向に連続して突出した2つ以上の突起を有していることにより、第1突起部を第2突起部に係止させる際に、嵌め合わせる鉄筋の径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、鉄筋に緊密に締め付けた状態で確実に取り付けられる。同様に、スリーブ取付部の第2突起は、周方向に連続して突出した2つ以上の突起を有していることにより、第1突起を第2突起に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させられることにより、スリーブに緊密に締め付けた状態で確実に取り付けられる。その結果、本考案においては、鉄筋取付部、スリーブ取付部共に、締め付けの径の微調整が可能なため、鉄筋やスリーブの径に多少のばらつきがあっても、鉄筋とスリーブの強固な締め付け固定が安定して確実に行われる。
さらに、本考案によれば、鉄筋取付部の鉄筋への固定が第1及び第2突起部によって簡易にかつ短時間に行われ、スリーブ取付部によるスリーブの固定が第1及び第2突起によって簡易にかつ短時間に行われ、針金等による縛り付けが不要になるため、現場でのスリーブ固定具の取り付け作業が簡易になると共に、作業時間が大幅に短縮される。また、本考案によれば、スリーブ固定具の針金等による縛り付けが不要になることにより、針金と鉄筋との異種の金属同士の接触による鉄筋の腐食し易さの問題も解消される。さらに、本考案によれば、鉄筋取付部の鉄筋への固定が第1及び第2突起部を係止させることによって行われ、スリーブ取付部によるスリーブの固定が第1及び第2突起を係止させることによって行われるため、鉄筋取付部やスリーブ取付部自体の強度についてはあまり問題にならないので、樹脂材料としてリサイクル材のような雑多な材料を用いることができ、その結果、スリーブ固定具の製造コストを安価にすることができる。また、鉄筋取付部、連結部及びスリーブ取付部が、柔軟な樹脂材料により一体で形成されることにより、スリーブ固定具の量産が容易になり、スリーブ固定具が安価に提供される。
また、本考案において、鉄筋取付部として、連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止凸部を設けると共に連結部の近傍位置にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止凸部を設けた第1取付片と、第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて第1取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止凸部を設けた第2取付片とを設け、第2取付片が第1取付片に重なり合って第3係止凸部が第1係止凸部又は第2係止凸部と互いに解除可能に係止可能であるものとすることができる。
本考案においては、径の大きい鉄筋に対しては、連結部から両側に延びた略半円筒形状の第1取付片を広げて鉄筋に嵌め合わせ、第1取付片の他方側の先端に曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状の第2取付片の先端側を第1取付片の先端側に被せて、第2取付片の先端側の内周面に設けた第3係止凸部を、第1取付片の先端にて外方に突出した第1係止凸部に係止させる。これにより、鉄筋取付部が、径の大きい鉄筋に強固に締め付けた状態で取り付けられる。また、径の小さい鉄筋に対しては、略半円筒形状の第1取付片を広げて鉄筋に嵌め合わせ、第2取付片を第1取付片に被せて、第3係止凸部を第1取付片の連結部の近傍位置にて外方に突出した第2係止凸部に係止させる。これにより、鉄筋取付部が、径の小さい鉄筋に強固に締め付けた状態で取り付けられる。その結果、本考案によれば、二種類の径の異なる鉄筋に対して一種類のスリーブ固定具で対応可能になるため、スリーブ固定具の製造コストが安価になると共に部品管理の手間が省かれる。さらに、第1及び第2係止凸部を周方向に連続して2つ以上突出させたことにより、嵌め合わせる鉄筋の径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブ固定具が鉄筋に緊密に締め付けた状態で確実に取り付けられる。
また、本考案において、スリーブ取付部として、連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止突起を設けると共にその他の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止突起を設けた第3取付片と、該第3取付片における他方側に延びた部分の先端にて第3取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止突起を設けた第4取付片とを設け、第4取付片が第3取付片に重なり合って第3係止突起が第1係止突起又は第2係止突起と互いに解除可能に係止可能であるものとすることができる。
本考案においては、径の大きいスリーブに対しては、連結部から両側に延びた第3取付片を広げてスリーブを嵌め合わせ、略半円筒形状の第4取付片の先端側を第3取付片の先端側に被せて、第4取付片の先端側の内周面に設けた第3係止突起を、第3取付片の先端にて外方に突出した第1係止突起に係止させる。これにより、スリーブ取付部に、径の大きいスリーブが強固に締め付けられた状態で取り付けられる。また、径の小さいスリーブに対しては、半円筒形状の第3取付片を広げてスリーブを嵌め合わせ、第4取付片を第3取付片に被せて、第3係止突起を第3取付片の周方向1か所にて外方に突出した第2係止突起に係止させる。これにより、スリーブ取付部に、径の小さいスリーブが強固に締め付けられた状態で取り付けられる。その結果、本考案によれば、二種類の径の異なるスリーブに対して一種類のスリーブ固定具で対応可能になるため、スリーブ固定具の製造コストが安価になると共に部品管理の手間が省かれる。さらに、第1及び第2係止突起を周方向に連続して2つ以上突出させたことにより、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブ固定具にスリーブが緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。
本考案においては、鉄筋取付部を鉄筋に嵌合し、両側部分の第1突起部と第2突起部、あるいは第1係止凸部又は第2係止凸部と第3係止凸部とを互いに係止させることにより、スリーブ固定具が鉄筋取付部によって鉄筋に強固に締め付け固定される。また、スリーブ取付部にスリーブを嵌め合わせ、両側部分の第1突起と第2突起、あるいは第1係止突起又は第2係止突起と第3係止突起と互いに係止させることにより、スリーブがスリーブ取付部に強固に締め付け固定される。その結果、本考案によれば、コンクリート打設の際にスリーブ固定具全体に大きな力が加わっても、スリーブ固定具の鉄筋からの脱落と、スリーブ取付部からのスリーブの脱落を確実に防止できる。特に、鉄筋取付部の第2突起部、第1及び第2係止凸部と、スリーブ取付部の第2突起、第1及び第2係止突起をそれぞれ周方向に連続して2つ以上突出させたことにより、嵌め合わせる鉄筋やスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブ固定具が鉄筋やスリーブに緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。
また、本考案によれば、鉄筋取付部の鉄筋への固定と、スリーブ取付部によるスリーブの固定が、鉄筋取付部の第1及び第2突起部あるいは第1,第2及び第3係止凸部、スリーブ取付部の第1及び第2突起あるいは第1,第2及び第3係止突起を係止させることによって簡易にかつ短時間に行われ、針金等による縛り付けが不要になるため、現場でのスリーブ固定具の取り付け作業が簡易になると共に、作業時間が大幅に短縮される。また、本考案によれば、鉄筋へのスリーブ固定具の針金等による縛り付けが不要になることにより、針金等と鉄筋との異種の金属同士の接触による鉄筋の腐食し易さの問題も解消される。さらに、本考案によれば、鉄筋取付部やスリーブ取付部自体の強度についてはあまり問題にならないので、樹脂材料としてリサイクル材のような雑多な材料を用いることができ、その結果、スリーブ固定具の製造コストをさらに安価にすることができる。また、本考案においては、鉄筋取付部に第1及び第2取付片を設け、スリーブ取付部に第3取付片と第4取付片を設けたことにより、これらが複数個所で係止可能にされることにより、径の異なる鉄筋あるいは径の異なるスリーブに対して一種類のスリーブ固定具で対応可能になるため、スリーブ固定具の製造コストが安価になると共に部品管理の手間が大幅に省かれる。
以下、本考案の実施形態について図面を用いて説明する。図1及び図2は実施例1であるスリーブ固定具を正面図及び平面図により示し、図3、図4及び図5はスリーブ固定具の使用態様1を斜視図、正面図及び平面図により示し、図6、図7はスリーブ固定具の使用態様2を正面図及び平面図により示し、図8、図9はスリーブ固定具の使用態様3を正面図及び平面図により示したものである。スリーブ固定具10は、柔軟性のあるポリエチレン等の樹脂製の部材であり、鉄筋1,2に締め付け固定される弾性変形可能な鉄筋取付部11と、鉄筋取付部11の外周面から軸直角方向に延びた連結部18と、連結部18端部に一体で取り付けられて鉄筋取付部11に対して軸線が直交するように配置されてスリーブ28,29を締め付け固定する弾性変形可能なスリーブ取付部21とを備えている。スリーブ固定具10は、樹脂の射出成形で一体で形成され、安価に提供される。また、樹脂材料については単一の均質なものに限らず、例えばリサイクル材を用いた安価な材料とすることも可能である。
鉄筋取付部11は、薄肉で略半円筒形状の第1取付片12と、第1取付片12の他端縁にて第1取付片12と軸線を揃えて曲げ変形可能に一体で取り付けられた略半円筒形の第2取付片16とにより構成されており、第1取付片12の周方向中央にて、軸方向両端間に配置されて径方向に延出した板状の連結部18と一体になっている。第1取付片12は、円筒形の略1/4周部分が除かれた半円筒状になっており、例えば外径が10mmφの太さの鉄筋2に合わせて内径が10mmφよりわずかに大きくなるように形成されている。第1取付片12の連結部18を挟んだ一端縁側(図1の前側)に延びた部分12aの外周面には、一端縁にて外方に突出して軸方向両端間に延びた第1係止凸部13が設けられており、また連結部18の近傍位置にて外方に突出して軸方向両端間に延びた第2係止凸部14が設けられている。
第1及び第2係止凸部13,14は、それぞれ周方向に連続する軸方向両端間に延びた2つの突起を有しており、各突起はそれぞれ平面から見て連結部18に向けて傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。第1及び第2係止凸部13,14はそれぞれ2つの突起を有していることにより、後述する第3係止凸部17を第1あるいは第2係止凸部13,14に係止させる際に、嵌め合わせる鉄筋の径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、鉄筋に緊密に締め付けた状態で取り付けられる。なお、上記突起の数については、2つに限らず、必要に応じて3つ以上とすることもできる。
第1取付片12の連結部18を挟んだ他端縁側(図1の後側)に延びた部分12bの先端縁には、軸方向に延びた薄肉の線状の薄肉連結部15が設けられており、この薄肉連結部15を介して略半円筒形の第2取付片16が第1取付片12と軸線を揃えて第1取付片12に曲げ変形可能に取り付けられている。第2取付片16は、円筒形の略1/2周部分が除かれた略半円筒形で外径が第1取付片12とほぼ同等の大きさであり、先端の内周部分にて内方にわずかに突出して軸方向両端間に延びた第3係止凸部17を設けている。第3係止凸部17は1つの突起になっており、突起の形状については、第1及び第2係止凸部13,14と同様に、平面から見て薄肉連結部15に向けて傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。第3係止凸部17と第1及び第2係止凸部13,14が互いに解除可能なように係止可能になっている。
連結部18は、異形な薄板であり、一端縁が第1取付片12の周方向中央にて軸方向に沿って両端間にわたって一体で取り付けられて、第1取付片12に対して径方向に延びており、その他端縁がスリーブ取付部21の外周面の一部に沿って一体で取り付けられている。連結部18は、第1取付片12の下端近傍位置にて両面から水平にわずかに突出して長手方向に延びた板状のリブ19を有している。連結部18の上縁18aは、リブ19に向けて略円弧状に大きく湾曲して凹んでおり、スリーブ取付部21近傍でリブ19に最も接近しており、スリーブ取付部21の外周面に接するように連結されている。下縁18bも上縁18aと同様、リブ19に向けて略円弧状にわずかに湾曲しており、スリーブ取付部21の外周面に接するように連結されている。
スリーブ取付部21は、連結部18の他端において両側に延びた薄肉で軸方向長さの非常に短い略円筒形状であって、一方側(図1の上方)に延びた半円筒状の上取付片22と、他方側(図1の下方)に延びた半円筒状で上取付片22よりわずかに径の大きい下取付片23とを設けている。上及び下取付片22,23の外周面の幅方向中央にはわずかに突出したリブ22a,23aが全周に沿って設けられている。上及び下取付片22,23は、例えば外径が75mmφの大きさのスリーブ28に合わせて内径が75mmφよりわずかに大きくなるように形成されている。上取付片22は、その外周面の先端と先端から所定距離離れた位置の2か所にて突出すると共に軸方向両端間に延びた第1及び第2突起24,25を有している。
第1及び第2突起24,25は、いずれもそれぞれ周方向に連続する軸方向両端間に延びた2つの突起を有しており、各突起は正面から見て連結部18方向に向けて傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。第1及び第2突起24,25がそれぞれ2つの突起を有していることにより、後述する下取付片23の第3突起26を第1あるいは第2突起24,25に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブに緊密に締め付けた状態で取り付けられる。なお、上記突起の数については、2つに限らず、必要に応じて3つ以上とすることもできる。
下取付片23は、その先端位置の外周面から突出すると共に軸方向に延びた第3突起26を有している。第3突起26は1つの突起であり、突起の形状については、第1及び第2突起24,25と同様に、正面から見て連結部18に向けて傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっており、第3突起26と第1及び第2突起24,25が互いに解除可能に係止し合うようになっている。
スリーブ取付部21は、第3突起26と第1突起24が係止することにより、大径のスリーブを締め付け固定できる径になる。これに対して、第3突起26と第2突起25が互いに係止することにより、スリーブ取付部21は、小径のスリーブを締め付け固定できる径になる。第1及び第2突起24,25がそれぞれ2つの突起を有していることにより、第3突起26を第1あるいは第2突起24,25に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブを緊密に締め付けた状態で取り付けることができる。スリーブとしては、塩化ビニール製のMB管、ボイド管があり、また段ボール等の紙製のものも用いられている。
つぎに、実施例1のスリーブ固定具10の使用態様について説明する。
(1)スリーブ固定具10の使用態様1:鉄筋1の径が大きく、スリーブ28の径が大きい場合
図3〜図5に示すように、鉄筋取付部11を、連結部18から両側に延びた第1取付片12を広げて鉄筋1に嵌め合わせ、第2取付片16を広げて第1取付片12に第2取付片16を被せて、第2取付片16先端側の内周面に設けた第3係止凸部17を第1取付片12の先端側に設けた第1係止凸部13に係止させる。これにより、鉄筋取付部11が全体として1つの円筒状になり、径の大きい鉄筋1に強固に締め付けた状態で取り付けられる。つぎに、スリーブ取付部21の上及び下取付片22,23の先端側を広げてスリーブ28を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22先端の第1突起24に係止させて締め付けることにより、スリーブ28がスリーブ取付部21に強固に締め付け固定される。
(1)スリーブ固定具10の使用態様1:鉄筋1の径が大きく、スリーブ28の径が大きい場合
図3〜図5に示すように、鉄筋取付部11を、連結部18から両側に延びた第1取付片12を広げて鉄筋1に嵌め合わせ、第2取付片16を広げて第1取付片12に第2取付片16を被せて、第2取付片16先端側の内周面に設けた第3係止凸部17を第1取付片12の先端側に設けた第1係止凸部13に係止させる。これにより、鉄筋取付部11が全体として1つの円筒状になり、径の大きい鉄筋1に強固に締め付けた状態で取り付けられる。つぎに、スリーブ取付部21の上及び下取付片22,23の先端側を広げてスリーブ28を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22先端の第1突起24に係止させて締め付けることにより、スリーブ28がスリーブ取付部21に強固に締め付け固定される。
(2)スリーブ固定具10の使用態様2:鉄筋2の径が小さく、スリーブ28の径が大きい場合
図6,図7に示すように、鉄筋取付部11を、連結部18から両側に延びた第1取付片12を広げて鉄筋2に嵌め合わせ、第2取付片16を第1取付片12に被せて先端側の内周面に設けた第3係止凸部17を第1取付片12の連結部18近傍に設けた第2係止凸部14に係止させる。スリーブ取付部21のスリーブ28への取り付けについては上記使用態様1と同様である。これにより、鉄筋取付部11が径の小さい鉄筋2を強固に締め付けた状態で取り付けられる。
図6,図7に示すように、鉄筋取付部11を、連結部18から両側に延びた第1取付片12を広げて鉄筋2に嵌め合わせ、第2取付片16を第1取付片12に被せて先端側の内周面に設けた第3係止凸部17を第1取付片12の連結部18近傍に設けた第2係止凸部14に係止させる。スリーブ取付部21のスリーブ28への取り付けについては上記使用態様1と同様である。これにより、鉄筋取付部11が径の小さい鉄筋2を強固に締め付けた状態で取り付けられる。
(3)スリーブ固定具10の使用態様3:鉄筋1の径が大きく、スリーブ29の径が小さい場合
図8,図9に示すように、スリーブ取付部21の上及び下取付片22,23の先端側を広げて小径のスリーブ29を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22先端から離れた位置に配置された第2突起25に係止させて締め付けることにより、スリーブ29がスリーブ取付部21に強固に締め付け固定される。鉄筋取付部11の鉄筋1への取り付けについては上記使用態様1と同様である。
図8,図9に示すように、スリーブ取付部21の上及び下取付片22,23の先端側を広げて小径のスリーブ29を挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22先端から離れた位置に配置された第2突起25に係止させて締め付けることにより、スリーブ29がスリーブ取付部21に強固に締め付け固定される。鉄筋取付部11の鉄筋1への取り付けについては上記使用態様1と同様である。
その結果、実施例1においては、スリーブ固定具10が鉄筋取付部11によって鉄筋1,2に強固に締め付け固定されているため、コンクリート打設の際にスリーブ固定具10全体に大きな力が加わっても、スリーブ固定具10の鉄筋1,2からの脱落を確実に防止することができる。特に、実施例1においては、第1及び第2係止凸部13,14は周方向に連続したそれぞれ2つの突起を有していることにより、第3係止凸部17を第1あるいは第2係止凸部13,14に係止させる際に、嵌め合わせる鉄筋の径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることができる。そのため、鉄筋取付部11が、鉄筋1,2に緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。また、スリーブ28,29もスリーブ取付部21に強固に締め付け固定されているため、スリーブ取付部21からのスリーブ28,29の脱落も確実に防止される。特に、第1及び第2突起24,25が周方向に連続したそれぞれ2つの突起を有していることにより、下取付片23の第3突起26を第1あるいは第2突起24,25に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることができる。そのため、スリーブ28,29も、スリーブ取付部21に緊密に締め付けられた状態で安定して確実に取り付けられる。
また、実施例1においては、鉄筋取付部11の鉄筋1,2への固定が第1取付片12の第3係止凸部17を第1あるいは第2係止凸部13,14に係止させることによって簡易に行われ、スリーブ28,29のスリーブ取付部21への固定が、下取付片23の第3突起26を上取付片22の第1あるいは第2突起24,25に係止させることによって簡易に行われる。そのため、実施例1においては、針金等によるスリーブ固定具10の鉄筋1,2やスリーブ28,29への縛り付けが不要になり、その結果、現場でのスリーブ固定具10の取り付け作業が簡易になりかつ作業時間が大幅に短縮される。
また、実施例1によれば、スリーブ固定具10の針金等による縛り付けが不要になることにより、針金等と鉄筋との異種の金属同士の接触による鉄筋の腐食し易さの問題も解消される。さらに、実施例1によれば、鉄筋取付部11の鉄筋1,2への固定が第3係止凸部17と第1あるいは第2係止凸部13,14を係止させることによって行われ、スリーブ取付部21のスリーブ28,29への固定が第3突起26を第1あるいは第2突起24,25に係止させることによって行われるため、鉄筋取付部11やスリーブ取付部21自体の強度についてはあまり問題にならない。そのため、実施例1では、樹脂材料としてリサイクル材のような雑多な材料を用いることができ、その結果、スリーブ固定具10の製造コストをさらに安価にすることができる。
さらに、実施例1においては、単一の鉄筋取付部11により太さの異なる二種類の鉄筋に固定することができると共に、単一のスリーブ取付部21により太さの異なる二種類のスリーブ28,29を固定することができるので、径の異なる鉄筋やスリーブに対して単一のスリーブ固定具10で対応が可能になる。その結果、スリーブ固定具10が安価に提供されると共に、スリーブ固定具10の部品管理の手間が省かれる。
つぎに、実施例2について説明する。
図10及び図11は実施例2であるスリーブ固定具を正面図及び底面図により示し、図12はスリーブ固定具30の使用態様1を正面図により示し、図13はスリーブ固定具30の使用態様2を正面図により示したものである。実施例2においては、スリーブの径が例えば75mmφと100mmφのように大きく異なる場合にも、一種類のスリーブ固定具30により対応できるようにしたものである。スリーブ固定具30は、上記スリーブ固定具10と同様に柔軟性のあるポリエチレン等の樹脂製の部材であり、上記鉄筋取付部11と、鉄筋取付部11の外周面から軸直角方向に延びた連結部31と、連結部31端部に一体で取り付けられて鉄筋取付部11に対して軸線が直交するように配置されてスリーブを締め付け固定するスリーブ取付部33とを備えている。
図10及び図11は実施例2であるスリーブ固定具を正面図及び底面図により示し、図12はスリーブ固定具30の使用態様1を正面図により示し、図13はスリーブ固定具30の使用態様2を正面図により示したものである。実施例2においては、スリーブの径が例えば75mmφと100mmφのように大きく異なる場合にも、一種類のスリーブ固定具30により対応できるようにしたものである。スリーブ固定具30は、上記スリーブ固定具10と同様に柔軟性のあるポリエチレン等の樹脂製の部材であり、上記鉄筋取付部11と、鉄筋取付部11の外周面から軸直角方向に延びた連結部31と、連結部31端部に一体で取り付けられて鉄筋取付部11に対して軸線が直交するように配置されてスリーブを締め付け固定するスリーブ取付部33とを備えている。
連結部31も、連結部18と同様の異形な薄板であり、一端縁が第1取付片12の周方向中央にて軸方向に沿って両端間にわたって一体で取り付けられて、第1取付片12に対して径方向に延びており、その他端縁がスリーブ取付部33の外周面の一部に沿って一体で取り付けられている。連結部31の上縁31a及び下縁31bは、略円弧状に湾曲して長手方向中央でわずかに凹んでおり、上縁31aには板に対して直角方向に延びたリブ31cを設けている。また、リブ31cの中央で幅方向にわずかに延びたリブ31dを設けている。なお、連結部31については、上記連結部18のような形状にすることも可能である。
スリーブ取付部33は、薄肉で略半円筒形状の第3取付片34と、第3取付片34の一端縁にて軸方向に延びた線状の薄肉連結部41を介して第3取付片34と軸線を揃えて第3取付片34に対して曲げ変形可能に一体で取り付けられた略半円筒形の第4取付片42とにより構成されており、第3取付片34の一端側近傍位置にて連結部31と一体になっている。第3取付片34は、円筒形の略1/6周部分が除かれた半円筒形になっており、一方側(連結部31に対して上方)にわずかに延びた第1片35と、他方側(連結部31に対して下方)に延びた第2片36とを設けており、例えば外径が75mmφの太さのスリーブに対して内径がわずかに大きくなるように形成されている。第2片36の先端側と周方向の略中間位置の外周面には、第1係止突起37と第2係止突起38が設けられている。また、第2片36の外周面の幅方向中央には、連結部31から第2係止突起38の近傍の間で突出したリブ36aが設けられている。
第1及び第2係止突起37,38は、それぞれ周方向に連続する軸方向両端間に延びた3つの突起を有しており、各突起はそれぞれ平面から見て連結部31方向に向けて傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。第1及び第2係止突起37,38がそれぞれ3つの突起を有していることにより、後述する第3係止突起43を第1あるいは第2係止突起37,38に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブを緊密に締め付けた状態で嵌め合わせることができる。なお、上記突起の数については、3つに限らず2つ以上であればよい。
第4取付片42は、第3取付片34と略同一径の略半円筒形になっており、先端の内周部分にて内方にわずかに突出して軸方向両端間に延びた第3係止突起43を設けている。第3係止突起43は一つの突起になっており、第1及び第2係止突起37,38と同様に、平面から見て連結部18方向に傾斜して突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっており、第1及び第2係止突起37,38と互いに係止可能になっている。なお、上記突起については、1つに限らない。また、第4取付片42の外周面の幅方向中央には、薄肉連結部41から第3係止突起43の近傍の間で突出したリブ42aが設けられている。
つぎに、実施例2のスリーブ固定具30の使用態様について説明する。
(1)スリーブ固定具30の使用態様1:スリーブ45の径が小さい場合
図12に示すように、スリーブ取付部33を、連結部31から両側に延びた第3取付片34を広げてスリーブ45を嵌め合わせ、第4取付片42を広げて第3取付片34に被せて、第4取付片42先端側の内周面に設けた第3係止突起43を第3取付片34の周方向中間位置に設けた第2係止突起38に係止させる。これにより、スリーブ取付部33が、径の小さい例えば75mmφのスリーブ45に強固に締め付けた状態で取り付けられる。鉄筋取付部11の鉄筋への取り付けについては実施例1に示した通りである。
(1)スリーブ固定具30の使用態様1:スリーブ45の径が小さい場合
図12に示すように、スリーブ取付部33を、連結部31から両側に延びた第3取付片34を広げてスリーブ45を嵌め合わせ、第4取付片42を広げて第3取付片34に被せて、第4取付片42先端側の内周面に設けた第3係止突起43を第3取付片34の周方向中間位置に設けた第2係止突起38に係止させる。これにより、スリーブ取付部33が、径の小さい例えば75mmφのスリーブ45に強固に締め付けた状態で取り付けられる。鉄筋取付部11の鉄筋への取り付けについては実施例1に示した通りである。
(2)スリーブ固定具30の使用態様2:スリーブ46の径が大きい場合
図13に示すように、スリーブ取付部33の第3取付片34を広げてスリーブ46を嵌め合わせ、第4取付片42を大きく広げてスリーブ46に被せて、先端側の内周面に設けた第3係止突起43を第3取付片34の先端に設けた第1係止突起37に係止させる。これにより、第3取付片34と第4取付片42が単一の円筒状にされスリーブ取付部33に径の大きいスリーブ46が強固に締め付けられた状態で取り付けられる。
図13に示すように、スリーブ取付部33の第3取付片34を広げてスリーブ46を嵌め合わせ、第4取付片42を大きく広げてスリーブ46に被せて、先端側の内周面に設けた第3係止突起43を第3取付片34の先端に設けた第1係止突起37に係止させる。これにより、第3取付片34と第4取付片42が単一の円筒状にされスリーブ取付部33に径の大きいスリーブ46が強固に締め付けられた状態で取り付けられる。
その結果、実施例2においては、単一のスリーブ取付部33により、径が大きく異なる二種類のスリーブ45,46を固定することができるので、径の大きく異なるスリーブ45,46に対してスリーブ固定具30が安価に提供されると共に、スリーブ固定具30の部品管理の手間が省かれる。さらに、実施例2においては、スリーブ45,46がスリーブ取付部33に強固に締め付け固定されているため、スリーブ取付部33からのスリーブ45,46の脱落も確実に防止される。特に、スリーブ取付部33の第1及び第2係止突起37,38を周方向に連続して3つ突出させたことにより、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブ固定具30にスリーブが緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。その他、実施例2においても、上記実施例1に示した種々の効果が同様に得られる。
つぎに、上記各実施例の変形例について説明する。
変形例は、上記実施例1,2と異なり、図14,図15に示すように、スリーブ固定具10Aは、単一の径の鉄筋とスリーブに対して適用されるものであり、鉄筋取付部51と上記連結部18とスリーブ取付部21Aを一体で設けたものである。鉄筋取付部51は、薄肉で略円筒形状の取付片52を設けており、取付片52の周方向中央にて、軸方向に配置された板状の連結部18と一体になっている。取付片52は、周方向の一か所で分離された略円筒形になっており、所定の外径の鉄筋に合わせて形成されている。取付片52の連結部18を挟んだ一端縁側(図14の前側)に延びた部分52aの外周面には、一端縁にて周方向に連続して2つ突出して軸方向両端間に延びた第1係止凸部53が設けられている。第1係止凸部53は2つの突起であり、突起は平面から見て連結部18方向に傾斜した突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。
変形例は、上記実施例1,2と異なり、図14,図15に示すように、スリーブ固定具10Aは、単一の径の鉄筋とスリーブに対して適用されるものであり、鉄筋取付部51と上記連結部18とスリーブ取付部21Aを一体で設けたものである。鉄筋取付部51は、薄肉で略円筒形状の取付片52を設けており、取付片52の周方向中央にて、軸方向に配置された板状の連結部18と一体になっている。取付片52は、周方向の一か所で分離された略円筒形になっており、所定の外径の鉄筋に合わせて形成されている。取付片52の連結部18を挟んだ一端縁側(図14の前側)に延びた部分52aの外周面には、一端縁にて周方向に連続して2つ突出して軸方向両端間に延びた第1係止凸部53が設けられている。第1係止凸部53は2つの突起であり、突起は平面から見て連結部18方向に傾斜した突出端が鋭角に尖った鋸歯状になっている。
取付片52の連結部18を挟んだ他端縁側(図14の後側)に延びた部分52bの内周面には、他端縁にて突出して軸方向両端間に延びた第2係止凸部54が設けられており、第1係止凸部53と互いに解除可能に係止し合うようになっている。スリーブ取付部21Aは、上記スリーブ取付部21において、上取付片22には先端外周面にて周方向に連続して2つ突出すると共に軸方向両端間に延びた第1突起24のみを設けたものであり、下取付片23に変更はない。これにより、第3突起26と第1突起24が互いに解除可能に係止し合うようになっている。
変形例においては、所定の径の一種類の鉄筋に対して、鉄筋取付部51を、連結部18から両側に延びた取付片52を広げて鉄筋に嵌め合わせ、先端側の内周面に設けた第2係止凸部54を第1係止凸部53に係止させることにより、鉄筋取付部51が鉄筋に強固に締め付けた状態で取り付けられる。特に、第1係止凸部53は2つの突起を有していることにより、第2係止凸部54を第1係止凸部53に係止させる際に、嵌め合わせる鉄筋の径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることができるため、鉄筋に緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。また、所定の径の一種類のスリーブに対して、スリーブ取付部21Aの上及び下取付片22,23の先端側を広げてスリーブを挿嵌し、下取付片23を上取付片22の先端に被せて第3突起26を上取付片22先端の第1突起24に係止させて締め付けることにより、スリーブがスリーブ取付部21Aに強固に締め付け固定される。特に、第1突起24が2つの突起を有していることにより、下取付片23の第3突起26を第1突起24に係止させる際に、嵌め合わせるスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることができるため、スリーブに緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。
以上のように、変形例においては、上記実施例1,2と同様に、所定太さの単一の径の鉄筋とスリーブに対してスリーブ固定具10Aを用いて、鉄筋に強固に取り付けられ、またスリーブを強固に固定することができるので、上記各実施例と同様に、鉄筋からのスリーブ固定具10Aの脱落や、スリーブ取付部21Aからのスリーブの脱落を確実に防止できる。また、変形例においては、鉄筋取付部51の鉄筋への固定が第1取付片12の第2係止凸部54を第1係止凸部52に係止させることによって簡易に行われ、スリーブのスリーブ取付部21への固定が、下取付片23の第3突起26を上取付片22の第1突起24に係止させることによって簡易にかつ短時間に行われる。そのため、変形例においては、針金等による縛り付けが不要になり、その結果、現場でのスリーブ固定具10Aの取り付け作業が簡易になり、作業時間が大幅に短縮される。その他、変形例においても、実施例1,2に示した種々の効果が同様に得られる。
なお、上記各実施例において、鉄筋取付部あるいはスリーブ取付部のいずれかを変形例の形状に変えることができる。その他、上記各実施例、変形例に示したスリーブ固定具については一例であり、本考案の趣旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することができる。
本考案は、鉄筋取付部に第2突起部、第1及び第2係止凸部を周方向に連続して2つ以上突出させ、スリーブ取付部に第2突起、第1及び第2係止突起を周方向に連続して2つ以上突出させたことにより、嵌め合わせる鉄筋やスリーブの径にばらつきがあっても、ばらつきに応じていずれかの突起を選択して係止させることにより、スリーブ固定具が鉄筋やスリーブに緊密に締め付けた状態で安定して確実に取り付けられる。また、本考案においては、スリーブ固定具の鉄筋やスリーブへの針金等による縛り付けが不要になるため、現場作業が簡易かつ短時間に行われる。さらに、本考案においては、径の異なる鉄筋、スリーブに対して一種類のスリーブ固定具で対応可能になるため、スリーブ固定具の製造コストが安価になると共に部品管理の手間が大幅に省かれる。そのために、本考案は有用である。
1,2…鉄筋、10,10A…スリーブ固定具、11,51…鉄筋取付部、12,52…第1取付片、13,53…第1係止凸部、14,54…第2係止凸部、15…薄肉連結部、16…第2取付片、17…第3係止凸部、18…連結部、21,21A…スリーブ取付部、22…上取付片、23…下取付片、24…第1突起、25…第2突起、26…第3突起、28,29…スリーブ、30…スリーブ固定具、31…連結部、33…スリーブ取付部、34…第3取付片、37…第1係止突起、38…第2係止突起、41…連結薄肉部、42…第4取付片、43…第3係止突起。
Claims (4)
- 筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋に嵌合固定される弾性変形可能な鉄筋取付部と、筒状で周方向の一か所にて分離されており、前記鉄筋取付部と軸線が互いに直交するように配置され、筒状のスリーブが嵌合により取り付けられる弾性変形可能なスリーブ取付部と、前記鉄筋取付部とスリーブ取付部間を連結する連結部とを設けてなり、柔軟な樹脂材料により一体で形成されたスリーブ固定具であって、
前記鉄筋取付部が、前記連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起部と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起部とを設け、両半円筒状部分が重なり合って前記第1突起部と第2突起部とが互いに解除可能に係止可能であり、
前記スリーブ取付部が、前記連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起とを設け、両半円筒状部分が重なり合って前記第1突起と第2突起とが互いに解除可能に係止可能である、
ことを特徴とするスリーブ固定具。 - 筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋に嵌合固定される弾性変形可能な鉄筋取付部と、筒状で周方向の一か所にて分離されており、前記鉄筋取付部と軸線が互いに直交するように配置され、筒状のスリーブが嵌合により取り付けられる弾性変形可能なスリーブ取付部と、前記鉄筋取付部とスリーブ取付部間を連結する連結部とを設けてなり、柔軟な樹脂材料により一体で形成されたスリーブ固定具であって、
前記鉄筋取付部が、前記連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止凸部を設けると共に前記連結部の近傍位置にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止凸部を設けた第1取付片と、該第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて該第1取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止凸部を設けた第2取付片とを設け、前記第2取付片が前記第1取付片に重なり合って前記第3係止凸部が前記第1係止凸部又は第2係止凸部と互いに解除可能に係止可能であり、
前記スリーブ取付部が、前記連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起とを設け、両半円筒状部分が重なり合って前記第1突起と第2突起とが互いに解除可能に係止可能である、
ことを特徴とするスリーブ固定具。 - 筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋に嵌合固定される弾性変形可能な鉄筋取付部と、筒状で周方向の一か所にて分離されており、前記鉄筋取付部と軸線が互いに直交するように配置され、筒状のスリーブが嵌合により取り付けられる弾性変形可能なスリーブ取付部と、前記鉄筋取付部とスリーブ取付部間を連結する連結部とを設けてなり、柔軟な樹脂材料により一体で形成されたスリーブ固定具であって、
前記鉄筋取付部が、前記連結部から両側に延びた略円筒形状であって、一方側に延びた半円筒状部分の先端側の内周面にて突出した第1突起部と、他方側に延びた半円筒状部分の外周面の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2突起部とを設け、両半円筒状部分が重なり合って前記第1突起部と第2突起部とが互いに解除可能に係止可能であり、
前記スリーブ取付部が、前記連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止突起を設けると共にその他の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止突起を設けた第3取付片と、該第3取付片における他方側に延びた部分の先端にて該第3取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止突起を設けた第4取付片とを設け、前記第4取付片が前記第3取付片に重なり合って前記第3係止突起が前記第1係止突起又は第2係止突起と互いに解除可能に係止可能である、
ことを特徴とするスリーブ固定具。 - 筒状で周方向の一か所にて分離されており、鉄筋に嵌合固定される弾性変形可能な鉄筋取付部と、筒状で周方向の一か所にて分離されており、前記鉄筋取付部と軸線が互いに直交するように配置され、筒状のスリーブが嵌合により取り付けられる弾性変形可能なスリーブ取付部と、前記鉄筋取付部とスリーブ取付部間を連結する連結部とを設けてなり、柔軟な樹脂材料により一体で形成されたスリーブ固定具であって、
前記鉄筋取付部が、前記連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止凸部を設けると共に前記連結部の近傍位置にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止凸部を設けた第1取付片と、該第1取付片における他方側に延びた部分の先端にて該第1取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止凸部を設けた第2取付片とを設け、前記第2取付片が前記第1取付片に重なり合って前記第3係止凸部が前記第1係止凸部又は第2係止凸部と互いに解除可能に係止可能であり、
前記スリーブ取付部が、前記連結部から両側に延びた略半円筒形状であって、一方側に延びた部分の先端側の外周面にて周方向に連続して2つ以上突出した第1係止突起を設けると共にその他の周方向の少なくとも一か所にて周方向に連続して2つ以上突出した第2係止突起を設けた第3取付片と、該第3取付片における他方側に延びた部分の先端にて該第3取付片と軸線を揃えて曲げ変形可能に取り付けられた略半円筒形状であって、先端側の内周面に第3係止突起を設けた第4取付片とを設け、前記第4取付片が前記第3取付片に重なり合って前記第3係止突起が前記第1係止突起又は第2係止突起と互いに解除可能に係止可能である、
ことを特徴とするスリーブ固定具。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR102031643B1 (ko) * | 2019-07-15 | 2019-10-14 | 박경환 | 벽체 옹벽용 관통 슬리브 고정장치 |
KR102030792B1 (ko) * | 2019-07-16 | 2019-10-10 | 신동열 | 벽체 옹벽용 관통 슬리브 고정장치 |
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