JP3180765U - 自動車内装材用多孔質発泡成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制し、寸法安定性の良好な自動車内装材用多孔質発泡成形体を提供する。
【解決手段】樹脂発泡粒子を用いて成形された自動車内装材用多孔質発泡成形体において、樹脂粒子間の空隙率X(%)が12≦X≦26、曲げ破断点変位Y(mm)が10≦Y≦15であり、0.38≦Y/X≦1.24を満たすことを特徴とし、吸音率36%以上である吸音ピークが1000Hz以上2000Hz以下の周波数帯域に存在することが好ましい。
【選択図】図1
【解決手段】樹脂発泡粒子を用いて成形された自動車内装材用多孔質発泡成形体において、樹脂粒子間の空隙率X(%)が12≦X≦26、曲げ破断点変位Y(mm)が10≦Y≦15であり、0.38≦Y/X≦1.24を満たすことを特徴とし、吸音率36%以上である吸音ピークが1000Hz以上2000Hz以下の周波数帯域に存在することが好ましい。
【選択図】図1
Description
本考案は、自動車内装材用の発泡成形体に関し、より特定的には、樹脂発泡粒子を用いて成形された自動車内装材用多孔質発泡成形体に関する。
従来、樹脂発泡粒子を用いて成形された多孔質の発泡成形体が吸音体として用いられている。このような吸音体として、特許第3268094号(特許文献1)には、平均粒径が1.5〜5.5mmの樹脂発泡粒子の多数個が隣接する粒子表面の一部で面接合し、全体容積に対して15〜40%の容積空隙率を有して一体化されており、厚み10〜100mmで測定したときに、100〜3000Hzの周波数領域に吸音率30%以上のピーク周波数を有することを特徴とする樹脂発泡粒子の多孔質成形体からなる吸音体が開示されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示の吸音体は、吸音性能を高めるために容積空隙率を15〜40%にしている。このような発泡成形体が自動車の内装材に用いられた場合、発泡成形体の耐熱性が悪く寸法安定性に劣るという問題がある。
本考案は、上記問題点に鑑み、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制し、寸法安定性の良好な自動車内装材用多孔質発泡成形体を提供することを課題とする。
耐熱性を向上させ寸法安定性に優れる多孔質の発泡成形体とするために本考案者が鋭意研究した結果、曲げ破断点変位が耐熱性及び寸法安定性に影響を及ぼすことを見出し、さらに、曲げ破断点変位及び空隙率による指標を用いることで、自動車の内装材に適するように耐熱性及び吸音性能を制御できることを見出し、本考案を完成させた。
すなわち、本考案は、樹脂発泡粒子を用いて成形された自動車内装材用多孔質発泡成形体において、発泡成形体における樹脂粒子間の空隙率をX(%)、発泡成形体の曲げ破断点変位(mm)をYとしたときに、0.38≦Y/X≦1.24を満たすことを特徴とする。ここで、空隙率X(%)は、12≦X≦26であり、曲げ破断点変位Y(mm)は、10≦Y≦15である。
本考案の自動車内装材用多孔質発泡成形体によれば、空隙率X(%)が12≦X≦26、かつ、曲げ破断点変位Y(mm)が10≦Y≦15であることを前提として、曲げ破断点変位Y/空隙率Xを0.38以上にすることによって、耐熱性の低下を抑制できる。また、空隙率X(%)が12≦X≦26、かつ、曲げ破断点変位Y(mm)が10≦Y≦15であることを前提として、曲げ破断点変位Y/空隙率Xを1.24以下にすることによって、高い吸音性能を維持できる。したがって、本考案は、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制でき、寸法安定性の良好な多孔質発泡成形体を提供することができる。
上記発泡成形体において好ましくは、吸音率36%以上である吸音ピークが1000Hz以上2000Hz以下の周波数帯域に存在することを特徴とする。
これにより、自動車の騒音を含む上記周波数帯域の吸音性能を高めることができるので、自動車分野等で好適な発泡成形体となる。
自動車内は高温環境になる場合があるが、本考案の多孔質発泡成形体は、上記の通り耐熱性の低下を抑制できるので、自動車内装材に好適に用いられる。
以上説明したように、本考案は、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制し、寸法安定性の良好な自動車内装材用多孔質発泡成形体を提供することができる。
以下、本考案の一実施の形態について説明する。
本実施の形態の自動車内装材用多孔質発泡成形体(以下、単に発泡成型体という)は、樹脂発泡粒子を用いて多孔質に成形されている。すなわち、本実施の形態の発泡成形体は、樹脂発泡粒子相互に略全面で熱融着してなり、樹脂発泡粒子間に空隙を有するように樹脂発泡粒子が相互に点融着してなる。
発泡成形体は多孔質であり、空隙を有する。本実施の形態の発泡成形体において、空隙率X(%)が12≦X≦26、かつ、曲げ破断点変位Y(mm)が10≦Y≦15であることを前提として、空隙率をX(%)、曲げ破断点変位をY(mm)としたときに、0.38≦Y/X≦1.24を満たし、好ましくは0.38≦Y/X≦0.67を満たす。0.38≦Y/X≦1.24の場合、高い吸音性能を維持しつつ、耐熱性の低下を抑制でき、0.38≦Y/X≦0.67の場合、耐熱性の低下を抑制でき、さらに吸音性能も向上できる。
ここで、上記「空隙率」は、発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を切り出し、この試験片について、ASTM D 2856に準拠して測定される値である。
また、上記「曲げ破断点変位」は、JIS K 7221−1に準拠して測定される値である。
上記「Y/X」は、樹脂発泡粒子の粒子径や樹脂発泡粒子の融着温度、加熱時間、成形時の型内圧力等の成形条件等により樹脂発泡粒子間の融着部を制御することで、空隙率X(%)と曲げ破断点変位Y(mm)とを自動車内装材として好適な範囲とすることで、吸音性能を実現しつつ、耐熱性の低下を抑制して、寸法安定性を良好とするように調整できる。
空隙率Xは、12%以上26%以下であり、12.1%以上26.0%以下であることが好ましく、17.9%以上26.0%以下であることがより好ましい。空隙率Xが上記範囲内の場合、高い吸音性能を維持することができ、自動車内装材として好適である。
曲げ破断点変位Yは、10mm以上15mm以下であり、10mm以上12mm以下がより好ましい。曲げ破断点変位Yが上記範囲内の場合、耐熱性の低下をより抑制でき、寸法安定性が良好となり自動車内装材に用いるのに好適である。
本実施の形態における発泡成形体は、1000Hz以上2000Hz以下の周波数帯域に吸音率36%以上の吸音ピークを有することが好ましく、1600Hz近傍に吸音ピークを有することがより好ましい。吸音ピークの吸音率は36%以上、好ましくは36.2%以上であり、57.6%以上であることがより好ましい。この周波数帯域の吸音性能が高い場合、自動車の騒音を遮音する効果が高い。
ここで、上記吸音率は、発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を切り出し、この試験片について、ASTM E 1050の垂直入射吸音率試験に準拠して測定される値である。
上記吸音率は、例えば、空隙率を調整すること等により調整することができる。具体的には、空隙率を大きくすると吸音率は高くなり、空隙率を小さくすると、吸音率は小さくなる。
本実施の形態における耐熱性及び寸法安定性は、発泡成形体から150mm×150mm×30mmの試験片を切り出し、この試験片を恒温槽に80℃で168時間放置したときの寸法変化の相対比で評価されるものである。この寸法変化の相対比は、寸法安定性が良好であり、自動車内装材として好適に用いることができるように、0.97以上1.03以下が好ましく、1.00が最も好ましい。なお、この寸法変化の相対比は、寸法の変化の比=(恒温槽での放置後の寸法−恒温槽に入れる前の寸法)/(恒温槽に入れる前の寸法)×100の式で測定した結果を求め、下記の実施例1の結果を1.00としたときの相対比として求められる値である。
本実施の形態における発泡成形体は、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制でき、寸法安定性に優れるので、自動車内装材に好適に用いられる。本実施の形態の発泡成形体は、自動車のギアノイズ、エンジンバルブ音などの騒音を吸音(遮音)できるとともに、自動車内が高温雰囲気になっても、高い性能を維持できる。
自動車内装材としては、例えば、ドア部材、車室内壁材、フロア部材などが挙げられる。
なお、本実施の形態の発泡成形体は自動車内装材に好適に用いることができるが、同様に吸音性や耐熱性、寸法安定性などを要求されるような鉄道車両や航空機の内装部材などにも好適に用いることができる。
自動車内装材としては、例えば、ドア部材、車室内壁材、フロア部材などが挙げられる。
なお、本実施の形態の発泡成形体は自動車内装材に好適に用いることができるが、同様に吸音性や耐熱性、寸法安定性などを要求されるような鉄道車両や航空機の内装部材などにも好適に用いることができる。
本実施の形態における発泡成形体を構成する樹脂発泡粒子は、特に限定されないが、例えば発泡性ポリスチレン樹脂粒子、発泡性ポリエチレン系樹脂粒子、発泡性ポリプロピレン樹脂粒子などを用いることができ、好ましくはポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合発泡樹脂を用いる。
このような樹脂発泡粒子の製造には、従来から知られている方法を用いることができる。例えば、樹脂粒子、発泡剤、分散剤、水等を密閉容器内に投入して、攪拌させながら樹脂粒子の軟化温度以上まで加熱し、発泡剤を樹脂粒子中に含浸させ、密閉容器内の圧力を発泡剤の蒸気圧以上の圧力に保持した後、密閉容器内を開放し、樹脂粒子と水の圧力よりも低圧化の雰囲気中に取出すことにより、粒径1mm〜6mm程度、好ましくは3mm程度の樹脂発泡粒子を得ることができる。
このような樹脂発泡粒子を用いて、本実施の形態における自動車内装材用多孔質発泡成形体を製造する方法について説明する。
互いに嵌合可能な凹型及び凸型を有する所定の型を準備する。このような型内に樹脂発泡粒子を充填して型締めし、型内に水蒸気を供給して、型内を樹脂発泡粒子の融着温度まで昇温するとともに、型内に水蒸気を充満させて加圧する。
次に、水蒸気の供給により、樹脂発泡粒子の融着温度を維持するように加熱する。この工程では、融着温度に相当する蒸気圧で樹脂発泡粒子を加熱しているので、融着可能な温度を維持できるとともに、発泡成分の発泡圧が急激に上昇し、発泡が進行して、隣り合う樹脂発泡粒子は互いに接触し、接触した部分で融着が始まる。
型内全体が融着温度に達し、融着が始まった融着開始温度で、水蒸気の供給を停止するとともに、制御用空気を導入して、型内を加圧する。言い換えると、融着温度に達するとすぐに制御用空気を型内に導入して、型内を加圧する。この加圧する工程は、融着が進行しなくなる温度である融着終了温度まで実施する。つまり、融着開始温度で制御用空気を導入することにより型内を加圧し、樹脂発泡粒子同士を融着し、融着終了温度に相当する圧力まで減圧する。
制御用空気は、導入時の型内温度と常温との間の温度を有するとともに、導入時の型内の飽和圧力より高圧の圧力を有する。この工程により、融着温度に達した樹脂発泡粒子が瞬間的に膨張して樹脂発泡粒子間の空隙を埋め尽くしてしまうことを抑制できるので、樹脂発泡粒子の発泡量を制御し空隙を形成しながら融着を進行させることができる。このため、樹脂発泡粒子間の接合を強くすることができる。
制御用空気は、導入時の型内温度と常温との間の温度を有するとともに、導入時の型内の飽和圧力より高圧の圧力を有する。この工程により、融着温度に達した樹脂発泡粒子が瞬間的に膨張して樹脂発泡粒子間の空隙を埋め尽くしてしまうことを抑制できるので、樹脂発泡粒子の発泡量を制御し空隙を形成しながら融着を進行させることができる。このため、樹脂発泡粒子間の接合を強くすることができる。
次に、制御用空気で加圧された圧力を保持した状態で型を冷却し、型から発泡成形体を取り出す。
以上の工程を実施することによって、本実施の形態における発泡成形体を製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態は、樹脂発泡粒子を用いて成形された多孔質の発泡成形体において、空隙率をX(%)、曲げ破断点変位をY(mm)としたときに、12≦X≦26、10≦Y≦15、及び0.38≦Y/X≦1.24を満たすことを特徴とする
。
。
本考案者が鋭意研究した結果、空隙を設けた多孔質の発泡成形体の耐熱性が悪くなり、寸法安定性に劣るのは、吸音性能を高めるために空隙を広げると、樹脂発泡粒子の接合が面接合から点接合に近くなる(場合によっては点接合になる)ように、樹脂発泡粒子同士の接合領域が狭くなるため、曲げ強度が弱くなることに起因していることを見出した。そこで、本考案者は、曲げ強度の指標である曲げ破断点変位で耐熱性を制御するとともに、吸音性能に影響がある空隙率で吸音性能を制御することで、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制できると考えた。つまり、空隙率X(%)を12≦X≦26、曲げ破断点変位Y(mm)を10≦Y≦15であることを前提とし、曲げ破断点変位Y及び空隙率XによるY/Xという指標を用いることを見出した。このY/Xという指標を用い、Y/Xが0.38以上であると、耐熱性の低下を抑制でき、Y/Xが1.24以下であると、高い吸音性能を維持できることを本考案者は見出した。つまり、Y/Xが0.38以上1.24以下であれば、吸音性能を向上するために高い空隙率を維持しても、耐熱性の低下を抑制できる。したがって、本実施の形態における発泡成形体は、高い吸音性能を維持するとともに、耐熱性の低下を抑制し、寸法安定性の良好なものとなる。
本実施例では、発泡成形体の空隙率X(%)を12≦X≦26、曲げ破断点変位Y(mm)を10≦Y≦15とした時に、0.38≦曲げ破断点変位Y/空隙率X≦1.24を満たすことによる効果について調べた。
(測定方法)
以下、実施例1〜4及び比較例1〜4の各種値の測定方法を記載する。
尚、実施例1〜4及び、比較例1〜4の各発泡成形体は、樹脂発泡粒子としては、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂粒子を使用し、発泡成形体の製造方法としては、上記したような方法により空隙率X(%)、曲げ破断点変位Y(mm)、Y/Xを調整したものである。
以下、実施例1〜4及び比較例1〜4の各種値の測定方法を記載する。
尚、実施例1〜4及び、比較例1〜4の各発泡成形体は、樹脂発泡粒子としては、ポリスチレン系樹脂とポリオレフィン系樹脂とを含む複合樹脂粒子を使用し、発泡成形体の製造方法としては、上記したような方法により空隙率X(%)、曲げ破断点変位Y(mm)、Y/Xを調整したものである。
<曲げ破断点変位>
曲げ破断点変位は、JIS K 7221−1に準拠して測定した。具体的には、以下のように測定した。まず、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から、130×25×20mmtの試験片を切り出し、テンシロン万能試験機 UCT−10T((株)オリエンテック製)にて測定した。試験片の上方から圧縮速度10mm/分で押圧し試験片を曲げた。直前荷重サンプリング点と比較して、サンプルが破断した点、その差(mm)を曲げ破断点変位Yとした。
曲げ破断点変位は、JIS K 7221−1に準拠して測定した。具体的には、以下のように測定した。まず、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から、130×25×20mmtの試験片を切り出し、テンシロン万能試験機 UCT−10T((株)オリエンテック製)にて測定した。試験片の上方から圧縮速度10mm/分で押圧し試験片を曲げた。直前荷重サンプリング点と比較して、サンプルが破断した点、その差(mm)を曲げ破断点変位Yとした。
<空隙率>
空隙率は、ASTM D 2856に準拠して測定した。具体的には、以下のように測定した。まず、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を5個切り出し、ノギスを用いて試験片の見かけ体積W1を測定した。また、空気比較式比重計(東京サイエンス株式会社製の1000型)を用いて、1−1/2−1気圧法により試験片の体積W2を測定した。下記の式から各試験片の空隙率を求め、その平均値を実施例1〜4及び比較例1〜4の空隙率Xとした。
空隙率(%)=(W1−W2)/W1×100
空隙率は、ASTM D 2856に準拠して測定した。具体的には、以下のように測定した。まず、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を5個切り出し、ノギスを用いて試験片の見かけ体積W1を測定した。また、空気比較式比重計(東京サイエンス株式会社製の1000型)を用いて、1−1/2−1気圧法により試験片の体積W2を測定した。下記の式から各試験片の空隙率を求め、その平均値を実施例1〜4及び比較例1〜4の空隙率Xとした。
空隙率(%)=(W1−W2)/W1×100
<吸音率>
吸音率は、ASTM E 1050の垂直入射吸音率試験に準拠して測定した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を5個切り出し、この試験片について、垂直入射吸音率測定システム(Bruel&Kjaer社製の垂直入射吸音率測定システムMS1021型)を用いて、温度を23℃とし、周波数領域が1000Hz以上2000Hz以下の範囲の最大吸音率を測定した。
吸音率は、ASTM E 1050の垂直入射吸音率試験に準拠して測定した。具体的には、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から直径29mmで厚み30mmの試験片を5個切り出し、この試験片について、垂直入射吸音率測定システム(Bruel&Kjaer社製の垂直入射吸音率測定システムMS1021型)を用いて、温度を23℃とし、周波数領域が1000Hz以上2000Hz以下の範囲の最大吸音率を測定した。
<耐熱性及び寸法安定性>
耐熱性は、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から150mm×150mm×30mmの試験片を切り出し、この試験片を恒温槽に80℃で168時間放置したときの寸法の変化の相対比で評価した。具体的には、寸法の変化の比=(恒温槽での放置後の寸法−恒温槽に入れる前の寸法)/(恒温槽に入れる前の寸法)×100の式で測定した結果を求め、実施例1の寸法の変化の比の結果を1.00としたときの相対比を求めた。
この寸法変化の相対比は、0.97以上1.03以下である場合に、寸法安定性が良好であり、自動車内装材として好適であることの指標となる。
耐熱性は、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体から150mm×150mm×30mmの試験片を切り出し、この試験片を恒温槽に80℃で168時間放置したときの寸法の変化の相対比で評価した。具体的には、寸法の変化の比=(恒温槽での放置後の寸法−恒温槽に入れる前の寸法)/(恒温槽に入れる前の寸法)×100の式で測定した結果を求め、実施例1の寸法の変化の比の結果を1.00としたときの相対比を求めた。
この寸法変化の相対比は、0.97以上1.03以下である場合に、寸法安定性が良好であり、自動車内装材として好適であることの指標となる。
実施例1の発泡成形体は、空隙率X:26.0%、曲げ破断点変位Y:10mm、Y/Xは0.38であった。
実施例2の発泡成形体は、空隙率X:21.3%、曲げ破断点変位Y:11mm、Y/Xは0.52であった。
実施例3の発泡成形体は、空隙率X:17.9%、曲げ破断点変位Y:12mm、Y/Xは0.67であった。
実施例4の発泡成形体は、空隙率X:12.1%、曲げ破断点変位Y:15mm、Y/Xは1.24であった。
比較例1の発泡成形体は、空隙率X:4.0%、曲げ破断点変位Y:32mm、Y/Xは8.00であった。
比較例2の発泡成形体は、空隙率X:21.6%、曲げ破断点変位Y:4mm、Y/Xは0.19であった。
比較例3の発泡成形体は、空隙率X:18.3%、曲げ破断点変位Y:4mm、Y/Xは0.22であった。
比較例4の発泡成形体は、空隙率X:13.9%、曲げ破断点変位Y:5mm、Y/Xは0.36であった。
実施例2の発泡成形体は、空隙率X:21.3%、曲げ破断点変位Y:11mm、Y/Xは0.52であった。
実施例3の発泡成形体は、空隙率X:17.9%、曲げ破断点変位Y:12mm、Y/Xは0.67であった。
実施例4の発泡成形体は、空隙率X:12.1%、曲げ破断点変位Y:15mm、Y/Xは1.24であった。
比較例1の発泡成形体は、空隙率X:4.0%、曲げ破断点変位Y:32mm、Y/Xは8.00であった。
比較例2の発泡成形体は、空隙率X:21.6%、曲げ破断点変位Y:4mm、Y/Xは0.19であった。
比較例3の発泡成形体は、空隙率X:18.3%、曲げ破断点変位Y:4mm、Y/Xは0.22であった。
比較例4の発泡成形体は、空隙率X:13.9%、曲げ破断点変位Y:5mm、Y/Xは0.36であった。
(評価結果)
実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体についての1000Hz以上2000Hz以下の範囲の最大吸音率及び耐熱性の結果を上記表1に示す。また、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体の曲げ破断点変位と、耐熱性(寸法変化の相対比)との関係を図1に示す。図1において、横軸は曲げ破断点変位(単位:mm)を示し、縦軸は耐熱性の指標である寸法変化の相対比(単位:なし)を示す。
実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体についての1000Hz以上2000Hz以下の範囲の最大吸音率及び耐熱性の結果を上記表1に示す。また、実施例1〜4及び比較例1〜4の発泡成形体の曲げ破断点変位と、耐熱性(寸法変化の相対比)との関係を図1に示す。図1において、横軸は曲げ破断点変位(単位:mm)を示し、縦軸は耐熱性の指標である寸法変化の相対比(単位:なし)を示す。
図1に示すように、曲げ破断点変位が耐熱性に影響を及ぼし、寸法変化が悪いことがわかった。具体的には、実施例1〜4よりも曲げ破断点変位が小さいと、耐熱性が悪く寸法安定性が悪いことがわかった。
また、表1に示すように、曲げ破断点変位Y及び空隙率Xによる指標であるY/Xを用いることで、耐熱性及び吸音性能を制御できることがわかった。
具体的には、Y/Xが0.38以上1.24以下である実施例1〜4は、36.2%以上の最大吸音率と、0.97以上1.00以下の寸法変化の相対比であり、寸法安定性に優れていた。このことから、Y/Xが0.38以上1.24以下である実施例1〜4は、本実施の形態における発泡成形体は、曲げ破断点変位を向上することで、最大吸音率が高い領域での空隙率の影響を低減し、耐熱性能を発揮し、寸法安定性が良好となった。
一方、Y/Xが1.24を超えていた比較例1の発泡成形体は、空隙率が低いため、最大吸音率が7.1%と非常に低かった。また、Y/Xが0.38未満の比較例2〜4の発泡成形体は、曲げ破断点変位が小さく、耐熱性が悪く、寸法変化の相対比が大きかった。
以上より、本実施例によれば、0.38≦曲げ破断点変位Y/空隙率X≦1.24を満たすことにより、高い吸音性能及び耐熱性を維持でき、寸法安定性が向上できることが確認できた。
本考案の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本考案の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなくて実用新案登録請求の範囲によって示され、実用新案登録請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (2)
- 樹脂発泡粒子を用いて成形された自動車内装材用多孔質発泡成形体において、
前記発泡成形体における樹脂粒子間の空隙率をX(%)、前記発泡成形体の曲げ破断点変位をY(mm)としたときに、0.38≦Y/X≦1.24を満たすことを特徴とする、自動車内装材用多孔質発泡成形体。
(ここで、空隙率X(%)は、12≦X≦26であり、曲げ破断点変位Y(mm)は、10≦Y≦15である。) - 吸音率36%以上である吸音ピークが1000Hz以上2000Hz以下の周波数帯域に存在することを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用多孔質発泡成形体。
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JP2015120859A (ja) * | 2013-12-25 | 2015-07-02 | 株式会社ジェイエスピー | 発泡成形体 |
JP2018039339A (ja) * | 2016-09-07 | 2018-03-15 | 三和工業株式会社 | 車両用成形天井材 |
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2012
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